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1 IEEJ:2004 3 アジア/世界エネルギーアウトルック (財)日本エネルギー経済研究所 常務理事 研究統括本部長 兼 計量分析部長 伊 藤 浩 吉 385回 定例研究会 2004310急成長するアジア経済と 変化するエネルギー需給構造

アジア 世界エネルギーアウトルック · z世界のエネルギー需要展望 ... -IEA等諸機関の展望を参考に、長期的には新規のプロジェクトによる供給力が

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1

IEEJ:2004年3月掲載

アジア/世界エネルギーアウトルック

(財)日本エネルギー経済研究所

常務理事 研究統括本部長 兼計量分析部長

伊藤 浩吉

第385回 定例研究会 2004年3月10日

急成長するアジア経済と

変化するエネルギー需給構造

2

IEEJ:2004年3月掲載

報告内容

研究概要

– 研究目的・分析手法・主要前提条件世界のエネルギー需要展望

– 一次エネルギー消費・最終エネルギー消費・発電構成

アジアのエネルギー需要展望

– 一次エネルギー消費・最終エネルギー消費・発電構成

CO2排出量、モータリゼーション

アジア主要国、地域のエネルギー需給展望

– 中国、北東アジア他

インプリケーション

3

IEEJ:2004年3月掲載

研究目的:

将来の経済社会構造の変化を考慮しながら、世界およびアジアにおけるエネルギー需給像を整合的、定量的に提示

特にアジア地域については、各国専門機関との情報交流等に基づき詳細な定量的分析を加え、より現実性のある見通しを作成

予測期間: 2000年~2020年

予測手法: マクロ経済モデル、エネルギー需給モデル

ケース設定:

– 基準ケース 現時点における経済・社会情勢、政策等を鑑み、より現実性、蓋然性が高いと考えられる想定のもとでの将来のエネルギー需給像を試算

– 中国の経済成長に関する感度分析

研究の概要

4

IEEJ:2004年3月掲載

地域区分

– 世界を31地域に区分、特にアジア地域を14地域に区分– アジアのエネルギー需給構造を詳細に考慮

・アメリカ・カナダ

・メキシコ・チリ・他中南米

・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・他欧州OECD

・旧ソ連・他欧州非OECD

・アフリカ

・中東

・オーストラリア・ニュージーランド・その他

・中国 ・日本 ・香港・台湾 ・韓国・シンガポール ・ブルネイ・インドネシア ・マレーシア・フィリピン ・タイ ・ベトナム・インド ・他アジア

北米

中南米

欧州OECD 欧州非OECD

アジア(14地域)

アフリカ

中東

オセアニアその他

5

IEEJ:2004年3月掲載

マクロ経済モデル†

エネルギー需給モデル

産業活動指標

エネルギー需要

エネルギー転換

エネルギー供給

(主要前提)GDP関連指標

物価指数・金融等

CO2排出量

* 将来のエネルギー需給を規定する要素と各種因果関係をエネルギーバランス表に基づき計量的・整合的に捉える。

計量経済モデルの構造

GDP、原油価格、為替レート人口、電源計画、世界貿易など

運輸関連指標等

* エネルギー消費水準に関する信頼性の高い現実的なエネルギー需給の試算が可能

†中国、韓国、アセアン4カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ)について、詳細なマクロ経済モデルを併用

6

IEEJ:2004年3月掲載

3.22.1 2.2 1.8

9.7

2.8

5.6 6.0

3.2 2.72.63.4

2.03.3 3.7 3.2

1.3

-0.6-0.9

5.6

4.1

2.3 2.7

7.2

-2

02

46

810

12北

中南

欧州

OEC

D

欧州

非O

ECD

アフ

リカ

中東

中国

日本

イン

他ア

ジア

オセ

アニ

世界

1980-2000 2000-2020年平均伸び率 (%)

GDPの想定

・ 世界経済は発展途上国を中心に、年率2.7%で持続的成長

・ 中国は旺盛な国内需要と着実な技術進歩により年率7.2%で高成長を維持

5.4%アジア(除日本)4.5%非OECD2.2%OECD

2000-2020年

7

IEEJ:2004年3月掲載

GDPの想定(アジア)

・ タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム等では、輸出、民間投資等の景気牽引力に支えられ持続的成長、韓国、台湾、シンガポールなど成熟度の高い国は成長が減速

7.2

1.3

4.3

5.6

4.4

3.3

3.8

4.9

4.3

5.2

6.3

3.5

5.4

9.7

2.8

7.4

5.6

5.3

7.2

7.5

6.5

2.3

6.1

6.5

5.5

6.7

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

中国

日本

韓国

インド

インドネシア

台湾

シンガポール

マレーシア

フィリピン

タイ

ベトナム

香港

アジア(除日本)1980-20002000-2020

[%]

8

IEEJ:2004年3月掲載

人口の想定

・ 2000年から2020年の人口増分の9割を非OECD諸国、5割をアジアが占める

0

400

800

1200

1600北

中南

欧州

OEC

D欧

州非

OEC

Dア

フリ

中東

中国

日本

イン

他ア

ジア

オセ

アニ

1980 2000 2020百万人

41億人33億人アジア

77億人62億人世界

20202000

9

IEEJ:2004年3月掲載

国際エネルギー価格の想定

原油価格

- 米国EIA/DOE、IEA等による価格想定を参考に設定。長期的には石油生産コストの上昇に伴い緩やかに上昇:

2010年 24ドル/バレル2020年 27ドル/バレル (2000年実質価格)

天然ガス価格

- IEA等諸機関の展望を参考に、長期的には新規のプロジェクトによる供給力が十分に存在すること、価格決定方式の弾力化等により、相対的に原油価格ほど上昇しないと想定

- 原油価格と強い相関関係にはないことから、将来価格はIEA等の見通しを参考に、生産コストの緩やかな上昇のみを織り込み想定

石炭価格

10

IEEJ:2004年3月掲載

世界のエネルギー需要展望

11

IEEJ:2004年3月掲載

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

世界の一次エネルギー消費(地域別)

アジア

北米

欧州OECD

欧州非OECD中南米

中東

アフリカ

オセアニア

3.2%4.2%アジア

1.1%1.2%北米

2.1%1.7%世界

’00-‘20’80-‘00年平均伸び率

・アジアは数年以内に最大のエネルギー消費地域へ、2020年の消費量は現在の約2倍へ拡大

2000年91億トン

↓2020年

136億トン(1.5倍増)

12

IEEJ:2004年3月掲載

世界の一次エネルギー消費シェア(地域別)

・非OECD諸国やアジアにおいてエネルギー消費が急速に拡大、アジア全体のシェアは2020年に3割に達する見通し

・中国の消費シェアは2020年に15%へ拡大

63 5949

37 4151

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1980 2000 2020

OECD

非OECD

31 28 24

2319

16

19

1110

6

1015

1016 18

10 15 17

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1980 2000 2020

北米

欧州OECD

欧州非OECD

中国

他アジア

その他

13

IEEJ:2004年3月掲載

-400

-200

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1980-2000 2000-2020

石油換算百万トン

世界の一次エネルギー消費増分(地域別) 2000ー2020年

14%8%1%25%14%他アジアインド日本中国北米

2000-2020の増分シェア

・急速な経済成長により、中国を中心としたアジア諸国のエネルギー需要の増加が世界のエネルギー需要を押し上げる

アジアの増分が約5割

欧州非OECD

中国

北米

中南米

欧州OECD

インド

他アジア

その他

日本

14

IEEJ:2004年3月掲載

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

世界の一次エネルギー消費(エネルギー源別)

石油

石炭

天然ガス

原子力その他再生可能

水力

・2020年には天然ガスのシェアが石炭にキャッチアップ

・依然として、2020年まで石油が主要エネルギー源として着実に増加

1.9%0.8%石油

2.0%1.3%石炭

2.6%2.7%天然ガス

2.1%1.7%合計

’00-‘20’80-‘00年平均伸び率

15

IEEJ:2004年3月掲載

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

1980-2000 2000-2020

石油換算百万トン

石炭

石油

天然ガス

原子力

水力

その他再生可能

世界の一次エネルギー消費増分(エネルギー源別)

30%35%26%天然ガス石油石炭

2000-2020の増分シェア

・ 一次エネルギー消費増分の約9割が化石エネルギー資源に集中

16

IEEJ:2004年3月掲載

一次エネルギー消費地域別増分(2000-2020年)

OECD 非OECD

北米

中南米

欧州OECD

欧州非OECD

アフリカ

中東

アジア

オセアニア

石炭

石油

天然ガス

原子力

水力

その他再生可能

・ 欧州においてエネルギー消費増分の5割以上が天然ガスにより供給

・ アジアでは発電用石炭消費が増加

17

IEEJ:2004年3月掲載

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

その他

欧州

アジア

北米

21%

23%

26%

19%34%

23%

27%

28%

約16億トン

世界の石油消費(地域別)

・ 石油消費増分の5割がアジアに集中

152

782

464

28

0200400600800

1000

北米 欧州 アジア その他

2000-2020年の増分

11% 10%

50%29%

2000年35億トン

(7000万BD)↓

2020年51億トン

(1億200万BD)(1.5倍増)

18

IEEJ:2004年3月掲載

世界のガス消費(地域別)

0

1000

2000

3000

4000

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

その他

欧州

アジア

北米

38%

23%

42%

17% 17%

22%

11%

30%

約14億トン

・ 世界のガス消費は2000年21億トン(2兆3,400億㎥)から2020年には

  35億トン(3兆8,800億㎥)で、1.7倍へ増加

443361

451

28

0

200

400

600

北米 欧州 アジア その他

2000-2020年の増分

9%

32%26%

33%

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IEEJ:2004年3月掲載

世界の石炭消費(地域別)

・ 石炭消費増分の65%はアジアによるもので、シェアは52%まで拡大

0

1000

2000

3000

4000

5000

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

その他

欧州

アジア

北米

18%

6%

23%

8% 52%

24%

45%

25%

約12億トン108

762

34

28

0

300

600

900

北米 欧州 アジア その他

2000-2020年の増分

22% 9%

65%

3%

20

IEEJ:2004年3月掲載

一次エネルギー消費増分(中国のプレゼンス)

OECD

非OECD

中国

・ 中国が一次エネの25%、石炭の43%、ガスの23%の増分に寄与

・ 石油、ガス増分の5割以上が非OECD諸国に起因

2543

2310

29

30

2232

4627

54 58

0%

20%

40%

60%

80%

100%

一次エネ 石炭 石油 天然ガス

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IEEJ:2004年3月掲載

化石燃料消費増分の内訳(世界)

・ 石油消費増分の約6割は運輸、天然ガス消費増分の約7割は発電、

石炭消費増分の約9割は発電部門に集中

2000-2020年の消費増分内訳

0%

20%

40%

60%

80%

100%

石油 天然ガス 石炭

14

64

13

21

65

9

91

13

産業

運輸

民生発電

非エネ

22

IEEJ:2004年3月掲載

世界の最終エネルギー消費

・ モータリゼーションの進展により、運輸部門の消費が着実に増加

・ 電力消費も徐々に進展し、シェア約20%にまで拡大

(石油換算百万トン)

2000 2020/1990 /2000

2,035 2,154 2,482 2,944 0.6 1.6部 (38) (35) (34) (33)門 1,750 1,987 2,412 2,974 1.3 2.0別 (32) (33) (33) (33)内 1,422 1,781 2,198 2,730 2.3 2.2訳 (26) (29) (30) (31)

189 180 216 251 -0.5 1.7(3.5) (3.0) (3.0) (2.8)760 524 575 618 -3.6 0.8

エ (14) (8.6) (7.9) (6.9)ネ 2,543 2,970 3,565 4,379 1.6 2.0ル (47) (49) (49) (49)ギ 1,001 1,151 1,326 1,578 1.4 1.6| (19) (19) (18) (18)源 828 1,088 1,461 1,935 2.8 2.9別 (15) (18) (20) (22)内 264 370 382 390 3.4 0.3訳 (4.9) (6.1) (5.2) (4.4)

計 5,396 6,103 7,308 8,900 1.2 1.9(100.0) (100.0) (100.0) (100.0)

実  績 予  測

1990年 2000年 2010年 2020年

年平均伸び率(%)

産業部門

民生農業部門

運輸部門

非エネルギー等

新エネルギー等

石 炭

石 油

ガ ス

電 力

23

IEEJ:2004年3月掲載

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

1980 1990 2000 2010 2020

TWh

石油火力

石炭火力

天然ガス火力

原子力

その他再生可能

水力

1.6%-1.5%石油

3.0%3.3%石炭

5.2%5.1%天然ガス

3.0%3.2%合計

’00-‘20’80-‘00年平均伸び率

発電構成(世界)

・ 天然ガス複合発電等の導入により、世界的に天然ガス利用が拡大し、化石資源の中では最も大きい伸び率で増加

24

IEEJ:2004年3月掲載

発電構成シェア(地域別エネルギー源別)

2000 2020

北米

2000 2020

欧州OECD

2000 2020

欧州非OECD

2000 2020

オセアニア

2000 2020

中南米

2000 2020

アフリカ

2000 2020

中東

2000 2020

アジア

OECD 非OECD

2000 2020 2000 2020

石炭

石油

天然ガス

原子力

水力

その他再生可能

・ 世界的に天然ガスの発電シェアが拡大

・ 北米、アジア等では石炭が発電シェアの太宗を占める

25

IEEJ:2004年3月掲載

アジアのエネルギー需要展望

26

IEEJ:2004年3月掲載

0

1000

2000

3000

4000

5000

1980 1990 2000 2010 2020

中国 日本韓国 インドインドネシア 台湾シンガポール マレーシアフィリピン タイベトナム 香港他アジア

中国

日本

韓国

インド

石油換算百万トン

38%45%

12%

22%8%

7%

15%

13%

アジアの一次エネルギー消費(地域別)

・ 中国は高い経済成長に伴い、アジアに占めるシェアは45%まで拡大

・ 経済の成熟化、人口減少に伴い日本のシェアは22%から12%まで減少

2000年24億トン

↓2020年

46億トン

(1.9倍増)

年平均伸び率 中国 日本 韓国 インド インドネシア 台湾 シンガポール

1980-2000 4.1% 2.1% 8.0% 6.3% 6.8% 5.5% 7.3%2000-2020 4.1% 0.3% 2.3% 3.8% 3.9% 2.4% 3.4%

マレーシア フィリピン タイ ベトナム 香港 他アジア

7.7% 4.6% 8.1% 6.3% 5.4% 2.4%4.3% 5.5% 4.7% 6.9% 1.4% 2.8%

27

IEEJ:2004年3月掲載

0

400

800

1200

1980-2000 2000-2020

石油換算百万トン

中国

インド

日本

韓国

インドネシア

台湾

シンガポール マレーシア

フィリピン

タイ

ベトナム

他アジア

香港

アジアの一次エネルギー消費増分(地域別)

5%韓国

17%インド

2%日本

53%中国

2000-2020の増分シェア

・ 中国はアジアのエネルギー消費増分の5割以上を占める

28

IEEJ:2004年3月掲載

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

アジアの一次エネルギー消費(エネルギー源別)

石油

石炭

天然ガス

原子力その他再生可能

水力

3.1%3.3%石油

2.8%4.1%石炭

4.7%7.9%天然ガス

3.2%4.2%合計

’00-‘20’80-‘00年平均伸び率

・天然ガスが発電用途における利用拡大に伴い、シェア13%まで拡大

・2020年まで石炭、石油が主要エネルギー源として増加

29

IEEJ:2004年3月掲載

0

10

20

30

40

50

60

1971 1980 1990 2000 2010 2020

石油

石炭

天然ガス

原子力

水力

%

0

10

20

30

40

50

60

1971 1980 1990 2000 2010 2020

石油

石炭

天然ガス

原子力水力

%

世界、アジアの一次エネルギー消費シェア(エネルギー源別)

世界 アジア

30

IEEJ:2004年3月掲載

一次エネルギー消費増分(エネルギー源別)

世界 アジア

石炭

石油

天然ガス

原子力

水力

その他

21 2542 35

19

35

33 3634

31 14 17198 523 2 2 2 444 2

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1980-2000 2000-2020 1980-2000 2000-2020

・世界ではエネルギー消費増分の90%以上が化石資源

・アジアでは引続き石炭が増分の30%以上を占める

31

IEEJ:2004年3月掲載

アジアの一次エネルギー消費増分の内訳(エネルギー源別)

インド

中国 日本

インドネシア

マレーシア

タイ

ベトナム

フィリピン

韓国

台湾

シンガポール

石炭

石油

天然ガス

原子力

水力

その他再生可能

・アジアでは、急速に増加するエネルギー需要に対し、各国の地域特性に応じた

エネルギー供給を展開

32

IEEJ:2004年3月掲載

0

500

1000

1500

2000

1980 1990 2000 2010 2020

中国 日本韓国 インドインドネシア 台湾シンガポール マレーシアフィリピン タイベトナム 香港他アジア

中国

日本

韓国

インド

石油換算百万トン

24%

34%

8%

28%

11%

16%

12% 15%

アジアの石油消費

2000-2020年増分のシェア

・中国ではモータリゼーションが進展し、石油消費が2.2億トンから5.9億トンへ増大

2000年9.4億トン

(1,890万BD)↓

2020年17.2億トン

(3,450万BD) (1.8倍増)

中国 日本 韓国 インド インドネシア 台湾 シンガポール

47% - 4% 21% 7.1% 1.8% 3%マレーシア フィリピン タイ ベトナム 香港 他アジア

4.6% 2.9% 4.2% 2.7% - 2.4%

33

IEEJ:2004年3月掲載

0

100

200

300

400

500

600

700

1980 1990 2000 2010 2020

中国 日本韓国 インドインドネシア 台湾シンガポール マレーシアフィリピン タイベトナム 香港他アジア

中国

日本

韓国

インド

石油換算百万トン

12%

27%

7%

27%7%

12%

10%

14%

アジアのガス消費

2000-2020年増分のシェア

・中国のガス消費は、発電用需要の増加に加えて、都市部での民生用

需要の増加、環境対策の強化を背景に増大する見込み

中国 日本 韓国 インド インドネシア 台湾 シンガポール

39% - 8% 14% 8.2% 3.1% 0.9%マレーシア フィリピン タイ ベトナム 香港 他アジア

3.7% 0.6% 11.8% 2.8% - 7.8%

34

IEEJ:2004年3月掲載

0

500

1000

1500

2000

1980 1990 2000 2010 2020

中国 日本韓国 インドインドネシア 台湾シンガポール マレーシアフィリピン タイベトナム 香港他アジア

中国

日本韓国

インド

石油換算百万トン

63%

64%

6%

9%4%

4%

17%

17%

アジアの石炭消費

2000-2020年増分のシェア

・国内石炭資源が豊富な中国、インド、インドネシア等では、急増する電力需要に対し、

主として石炭火力により供給を行うため消費が増加

中国 日本 韓国 インド インドネシア 台湾 シンガポール

66% 1% 3% 17% 3.4% 2.8% 0%マレーシア フィリピン タイ ベトナム 香港 他アジア

1.6% 0.2% 1.6% 0.6% 0.6% 1.7%

35

IEEJ:2004年3月掲載

アジアの一次エネルギー消費増分(エネ源別地域別)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

一次エネ 石炭 石油 天然ガス

53

17

66

17

47

21

7

37

58

13

8

11

%

中国日本

韓国

インドネシア

インド

台湾シンガポール

マレーシア

フィリピンタイ

ベトナム

その他アジア

36

IEEJ:2004年3月掲載

化石燃料消費増分の内訳(世界、アジア)

2000-2020年の消費増分内訳

・ 世界、アジアともに石油は運輸部門、天然ガス、石炭は発電部門へ集中

0%

20%

40%

60%

80%

100%

世界 アジア 世界 アジア 世界 アジア

17

61

21

24

54

12

88

20

14

64

13

21

65

9

91

13

石油 天然ガス 石炭

発電

産業

民生運輸

非エネ等

37

IEEJ:2004年3月掲載

2000 2020/1990 /2000

574 708 902 1,118 2.1 2.3部 (50) (47) (44) (40)門 333 416 599 863 2.3 3.7別 (29) (28) (29) (31)内 211 346 522 786 5.1 4.2訳 (18) (23) (25) (28)

24 41 46 60 5.4 1.9(2.1) (2.7) (2.2) (2.1)439 346 394 427 -2.3 1.1

エ (38) (22.9) (19.1) (15.1)ネ 478 763 1,048 1,471 4.8 3.3ル (42) (50) (51) (52)ギ 50 94 156 240 6.5 4.8| (4) (6) (8) (9)源 158 276 423 619 5.7 4.1別 (14) (18) (20) (22)内 17 32 47 69 6.4 3.9訳 (1.5) (2.1) (2.3) (2.4)

計 1,142 1,511 2,069 2,826 2.8 3.2(100.0) (100.0) (100.0) (100.0)

新エネルギー等

石 炭

石 油

ガ ス

電 力

産業部門

民生農業部門

運輸部門

非エネルギー等

実  績 予  測

1990年 2000年 2010年 2020年

年平均伸び率(%)

アジアの最終エネルギー消費

・生活水準の向上に伴い、運輸、民生部門の伸びが高い。 

・電力消費は経済成長により利用が拡大し2割を占め、石油は5割を占める。

(石油換算百万トン)

38

IEEJ:2004年3月掲載

電力消費

・発展途上地域における経済発展の結果、エネルギー利用の高度化に伴い電力化が進展

1980- 2000- 1980- 2000-2000 2020 2000 2020

アメリカ 2.8 2.0 0.9 0.9日本 3.2 1.1 2.0 0.2韓国 10.3 3.4 7.2 2.4中国 7.4 5.5 2.9 3.9インドネシア 13.3 5.8 6.1 3.9マレーシア 10.3 5.4 7.9 4.6タイ 10.0 5.5 7.9 4.5OECD 2.8 2.0 1.1 0.9非OECD 3.9 4.3 1.7 3.1

電力消費 最終需要年平均伸び率

(%)

39

IEEJ:2004年3月掲載

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

1980 1990 2000 2010 2020

TWh

アジアの発電構成

石油火力

石炭火力

天然ガス火力原子力

その他再生可能 水力

0.5%-1.0%石油

4.5%10.0%石炭

5.4%9.1%天然ガス

4.2%6.2%合計

’00-‘20’80-‘00年平均伸び率

・ 豊富な石炭資源の発電部門における利用が今後も進み、石炭シェアは約5割%まで拡大

・ 天然ガス利用も進展し、シェア約2割まで拡大

40

IEEJ:2004年3月掲載

発電構成シェア(世界、アジア)

世界 アジア

・ アジアでは、増大する電力需要に対して、石炭火力、天然ガス火力で対応

0

10

20

30

40

50

60

1971 1980 1990 2000 2010 2020

%

石油火力

石炭火力

天然ガス火力

原子力

水力

新エネルギー等

0

10

20

30

40

50

60

1971 1980 1990 2000 2010 2020

%

石油火力

石炭火力

天然ガス火力

原子力

水力

新エネルギー等

41

IEEJ:2004年3月掲載

中国

2000 2020

2000 2020

インド

2000 2020

日本

2000 2020

インドネシア

2000 2020

マレーシア

2000 2020

ベトナム

2000 2020

タイ

2000 2020

フィリピン

2000 2020

韓国

2000 2020

シンガポール

2000 2020

台湾

発電構成シェア(地域別エネルギー源別)

石炭

石油

天然ガス

原子力

水力

その他再生可能

・国内石炭資源が豊富な中国、インド、インドネシア等では石炭火力が大半を占める

42

IEEJ:2004年3月掲載

CO2排出量(世界)

・ アジアがCO2排出量増分の約5割、北米、欧州合計で増分の約3割を占める。

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

10000

1980 1990 2000 2010 2020

炭素換算百万トン

その他

欧州

アジア

北米

24%

17%

28%

15%37%

23%

30%

27%

約34億トン増

513

1,715

68628

0

500

1000

1500

2000

北米 欧州 アジア その他

2000-2020年の増分

50%

15% 15% 20%

43

IEEJ:2004年3月掲載

CO2排出量(アジア)

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

1980 1990 2000 2010 2020

炭素換算百万トン

その他アジア

中国

インド

日本

50%

24%

47%

21%

16%

9%

15%

17%

約17億トン増

918

296487

280

200

400

600

800

1000

1200

日本 中国 インド 他アジア

2000-2020年の増分

44

IEEJ:2004年3月掲載

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1980 1990 2000 2010 2020

百万台

その他

欧州

アジア

北米

31%

17%

37%

13%

27%

25%

18%

32%

約4.7億台増

7.6億台

12.2億台

自動車保有台数(世界)

104

196

104

28

0

50

100

150

200

250

北米 欧州 アジア その他

2000-2020年の増分

13%22%

42%

22%

・世界の自動車保有台数増分の約4割がアジアに起因し、先進諸国では保有台

数は飽和傾向

45

IEEJ:2004年3月掲載

モータリゼーションの進展

1

10

100

1,000

100 1,000 10,000 100,000

一人当たりGDP(1995年価格米ドル)

1000

人当

たり

保有

台数

アメリカイギリス日本韓国中国インドタイベトナムオーストラリア

インド 中国

韓国

タイ

ベトナム

日本

46

IEEJ:2004年3月掲載

自動車保有率

アメリカ

日本OECD

韓国

マレーシア

タイ

中国非OECD

・ アジア諸国では急速な経済発展に伴い、モータリゼーションが進展

0

200

400

600

800

1000

1980 1990 2000 2010 2020

台/1000人

83%

66%

64%

6.7%

51%

8.2%26%

38%

2020年の普及率

47

IEEJ:2004年3月掲載

自動車保有台数(アジア)

0

50

100

150

200

250

300

350

1980 1990 2000 2010 2020

百万台

その他アジア

中国

インド

日本

35%

29%

12%

30%

11%

24%

7%

52%

約2億台増103

29

56

280

50

100

150

日本 中国 インド 他アジア

2000-2020年の増分

・ 中国でモータリゼーションが急速に進展、日本の保有台数は微増傾向で推移

48

IEEJ:2004年3月掲載

自動車保有率

・中国の自動車保有台数は2020年に1億2,000万台に達すると見込まれるが、保有率は8%程度であることから、2020年以降、更なるモータリゼーション加速

の可能性。

台数 保有率 台数 保有率 台数 保有率

北米 1.7億 67% 2.4億 76% 3.0億 81%欧州OECD 1.3億 27% 2.4億 46% 3.2億 60%アジア 0.5億 2.0% 1.4億 4.2% 3.4億 8.2%

中国 0.02億 0.2% 0.16億 1.3% 1.19億 8.2%日本 0.4億 32% 0.73億 57% 0.81億 66%韓国 0.01億 1.4% 0.12億 26% 0.26億 51%インドネシア 0.01億 0.9% 0.06億 2.6% 0.12億 4.3%マレーシア 0.01億 6.5% 0.05億 23% 0.13億 38%タイ 0.01億 1.9% 0.06億 10% 0.18億 26%

1980 2000 2020

49

IEEJ:2004年3月掲載

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

2200

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

29%

24%

8%

56%

3%

70%

一次エネルギー消費(中国)

503

371

13457 35 32

0

200

400

600

石炭 石油 ガス 原子力 水力 その他

2000-2020年の増分

・ エネ消費増分の約4割が石炭、約3割が石油により供給される見通し

・ 石炭への依存度は減少するが、今後も主要供給源として消費される

・ 石油の増加は運輸部門、ガスの増加は民生、発電部門の消費増加に起因

50

IEEJ:2004年3月掲載

最終エネルギー消費(中国)

0

200

400

600

800

1000

1200

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

電力

0

100

200

300

400

500

600

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

運輸

民生農業

産業

発電

その他

最終エネルギー消費(エネルギー源別) 石油消費の部門別内訳

・ 2020年において、石油消費の45%はモータリゼーションの進展により、運輸部門用として消費

51

IEEJ:2004年3月掲載

2000年~2020年までの経済成長シナリオ

・基準ケース:7.2%   ・高成長ケース:8.3%   ・低成長ケース:5.6%

2020年までの経済成長シナリオ(中国)

・高成長シナリオでは、モータリゼーションの更なる進展を背景に、基準ケースに比較して石油需要を1.4億トン(300万バレル/日)押し上げ

2000実績 基準 高成長 低成長 基準 高成長 低成長

一次エネルギー消費 929 2,063 2,375 1,722 4.1 4.8 3.1石油 (百万トン ) 222 592 727 455 5.0 6.1 3.7

(24%) (29%) (31%) (26%)   (百万バレル /日 ) 4.4 12 15 9.1 5.0 6.1 3.7

最終エネルギー消費 559 1,195 1,366 1,014 3.9 4.6 3.0電力 90 263 303 217 5.5 6.3 4.5

(16%) (22%) (22%) (21%)運輸部門 74 278 358 199 6.8 8.2 5.1

(13%) (23%) (26%) (20%)

(石油換算百万トン)

2020 2000-2020年平均伸び率 (%)

52

IEEJ:2004年3月掲載

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1980 1990 2000 2010 2020

百万台

自動車保有台数(中国)

8,000万台

1億6,000万台

1億2,000万台

保有台数

6%

11%

8%保有率2020年

低成長ケース

高成長ケース

基準ケース

自動車保有台数(2000年)7,300万台(日本)1,200万台(韓国)

2億2000万台(米国)

  2020年までの経済成長シナリオ

基準ケース:7.2%   高成長ケース:8.3%   低成長ケース:5.6%

高成長

基準

低成長

53

IEEJ:2004年3月掲載

1.41.6

2.1 2.1 2.01.8

1.51.3 1.3 1.3 1.2

0

1

2

3

4

46-5

0

51-5

5

56-6

0

61-6

5

66-7

0

71-7

5

76-8

0

81-8

5

86-9

0

91-9

5

96-2

000

%

0.3 0.3 0.3 0.3 0.20.6

1.3

2.4

3.0

0

1

2

3

4

61-6

5

66-7

0

71-7

5

76-8

0

81-8

5

86-9

0

91-9

5

96-2

000

2000

-202

0

%

輸送インフラへの投資額(対GDP比,%)

アメリカ 中国

・中国の輸送インフラへの投資は、先進国に比較すると発展途上段階

・中国の更なる自動車普及ポテンシャルは大きく、更に石油需要を押し上げる可能性

54

IEEJ:2004年3月掲載

石油需給(中国)

・2020年における純輸入量は3.8億トン(767万バレル/日)へ

89

222

366

592

108163 176 211

-19

58

190

382

-200

-100

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1980 2000 2010 2020

消費 生産 純輸入

石油換算百万トン

34%

62%輸入依存度

50%

・2020年の日本の輸入量は2.5億トンであり、輸入量で中国が日本を追い抜く見通し

55

IEEJ:2004年3月掲載

天然ガス需給(中国)

・2010年までに天然ガスの純輸入国に転じる可能性

1228

79

162

1228

76

124

0 0 3

38

0

50

100

150

200

250

1980 2000 2010 2020

消費 生産 純輸入

石油換算百万トン

4%

23%輸入依存度

56

IEEJ:2004年3月掲載

0 02

31

16

0

10

20

30

40

50

60

1980 2000 2010 2020 2020

百万トン

イルクーツク

パイプライン供給の想定

2020年における中国向けLNG供給能力(40-56)

2010年における中国向けLNG供給能力(6-10)

LNG需給(中国)

LNG輸入見通し

珠江ベルト(広東LNGターミナル)、福建LNGターミナル、長江デルタ、渤海デルタ

57

IEEJ:2004年3月掲載

一次エネルギー消費(インド)

0

200

400

600

800

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

41%

35%

10%

45%

7%

55%

130

166

48

10 7 10

50

100

150

200

250

石炭 石油 ガス 原子力 水力 その他

2000-2020年の増分

・堅調な経済成長、モータリゼーションにより、エネルギー消費増分の46%が石油により供給・急増する電力需要は豊富な石炭資源を利用することにより供給される見込み・発電部門を中心に今後ガス需要が急増することから、LNG輸入により対応する見通し

58

IEEJ:2004年3月掲載

一次エネルギー消費(タイ、ベトナム、台湾)

0

30

60

90

120

150

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭0

10

20

30

40

50

60

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

水力

0

30

60

90

120

150

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

原子力

タイ ベトナム 台湾

・タイ: 政府による国内天然ガス資源の利用促進により、発電部門を中心に天然ガス消費量が増加

・ベトナム: モータリゼーションの進展等により石油消費量が増加し、主要エネルギー供給源として太宗を占める

・台湾: 石油火力への燃料投入量減少に伴い石油のシェアが低下、発電部門を中心に天然ガス消費が増加

2.4一次エネ

3.3GDP

2000-2020

年平均伸び率(%)

6.9一次エネ

6.3GDP

2000-2020

年平均伸び率(%)

4.7一次エネ

5.2GDP

2000-2020

年平均伸び率(%)

59

IEEJ:2004年3月掲載

一次エネルギー消費(韓国、インドネシア、マレーシア)

0

30

60

90

120

150

180

210

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

0

50

100

150

200

250

300

350

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

原子力

0

30

60

90

120

1980 1990 2000 2010 2020

石油換算百万トン

石油

ガス

石炭

韓国 インドネシア マレーシア

・韓国: 天然ガスが発電・都市ガス用で急速に増加、原子力は建設中・計画中を含め約2割のシェアを占める

・インドネシア: 発電部門において国内石炭資源の有効利用を図ることから、石炭消費が徐々に拡大

・マレーシア: モータリゼーションの進展より石油消費が拡大、発電用を中心に石炭シェアが増加

4.3一次エネ

4.9GDP

2000-2020

年平均伸び率(%)

3.9一次エネ

4.4GDP

2000-2020

年平均伸び率(%)

2.3一次エネ

4.3GDP

2000-2020

年平均伸び率(%)

60

IEEJ:2004年3月掲載

北東アジア(日中韓)の石油需給と中東依存度

・北東アジアの輸入依存度は2020年に約80%へ上昇

・2020年の北東アジアの石油消費量は9.8億トン(1,970万バレル/日)、純輸入量は7.7億トン(1,550万バレル/日)に達する

・シベリア原油の輸入により、北東アジアの中東依存度は約1割ほど減少

352

590

750

982

108165 178 212243

426

572

770

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1980 2000 2010 2020

消費 生産 純輸入

石油換算百万トン

72%

78%輸入依存度

69%

76%

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 2005 2010 2015 2020

シベリア原油輸入(1億トン)

%

中国

日本

北東アジア

韓国

58%

89%

65%

79%

54%

51%

71%

11%減少

61

IEEJ:2004年3月掲載

17

68

96

145

123117

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1980 2000 2010 2020 2020 2020

百万トン

イルクーツク イルクーツク+サハリンⅠ

パイプライン供給の想定

2010年におけるアジア太平洋向けLNG供給能力(113)

2010年におけるアジア太平洋向けLNG供給能力+事業化検討中プロジェクト(177)

LNG需給(東アジア:日中韓台)

・急速に増加する東アジアの天然ガス需要を充足するLNG供給能力は十分に存在

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IEEJ:2004年3月掲載

インプリケーション

<アジアにとってのエネルギーセキュリティ確保>

●アジアは高い経済成長、モータリゼーションの進展によりエネルギー需要の増大が見込まれるが、とりわけ石油需要の急増は域内での供給増が期待できないため石油供給の中東依存はさらに増大する。エネルギーキュリティの確保は各国の自助努力は当然重要であるが、1国の過度な利益追求は、かえって地域のエネルギーセキュリティを損なう可能性もあり、利益を共有する地域全体の問題として取り組むことが益々重要となっている。

●このためにはアジアの消費国が協調し①大石油消費地域としてのバーゲニングパワーを発揮し、対等の立場から産油国との対話・協力関係の強化、②短期的な供給途絶に対する危機対策として、共同備蓄といった緊急時への対応体制の構築、既存インフラの活用、③域内、域外における共同資源開発・調達の促進、④柔軟な需給対応を可能にする国際石油市場の整備、などを推進していくことが肝要である。

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IEEJ:2004年3月掲載

<エネルギーの多様化・ベストミックスの追及>エネルギーのベストミックスの追及は、各国のエネルギー需要特性、資源賦存量の大きさ、技術水準、経済性等に基づき、本来各国がそれぞれ取り組む問題であるが、消費国・供給国として協力し、地域全体としての最適化をはかるという発想も重要である。

●石炭は経済性に優れているものの環境負荷が高いことから、今後先進諸国では利用拡大に歯止めがかかる可能性がある。一方、中国、インド、インドネシアなど豊富な国内資源を賦存するアジア地域では、石炭の利用が発電部門を中心として利用が拡大していくとみられ、石炭の高効率利用技術を活用した環境適合的な石炭利用がより一層重要となる。エネルギーセキュリティ、経済性の観点からも、アジア地域で豊富な石炭を効率的に利用していくことは極めて重要であり、これ対する技術先進国日本の果たすべき役割は大きい。

●天然ガスはアジアにおいても発電用、民生需要を中心に利用拡大が見込まれる。そのためには、経済性の向上が重要であり、アジア太平洋地域におけるLNG供給ポテンシャルは長期的に十分存在することが予測されることから、消費国が協調しバーゲニングパワーの発揮等による一層の経済性確保が重要である。ガス価格はこれまで、石油との競合から原油リンクで価格が決められていたが、今後は石炭との競合が益々重要になってこよう。

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IEEJ:2004年3月掲載

●原子力は欧米先進国において発電所の新規着工はほとんどなく今後減少傾向で推移すると見られる一方、今後の原子力発電の増加のほぼ全てがアジアに集中している。相対的に国内資源の乏しいアジア地域では、安定供給の確保、環境問題の克服を進めるうえでも原子力の果たす役割は大きい。また、運用・管理も含めて、この分野における地域の協力も重要である。

→いずれにしても、エネルギー供給源はいろいろなカードを持っておくことが重要で、エネルギーセキュリティ確保はもとより、競合燃料に対して価格交渉力を増すことにもつながる。

<地球環境問題への対応>●中国やアジアの発展途上諸国におけるCO2排出量の急速な増加を見れば、環境制約に関して日本の国内対策の効果は限定的であり、エネルギー需要が増大するアジアを含めて技術のトランスファー等による環境負荷の削減を考えた方が、全体での効果は遙かに大きいと言える。

●これは、単に先進国の責務を果たすという意味での協力という視点ではなく、環境から派生する巨大なビジネスチャンスとみることもできる。中国をはじめアジアの途上国は省エネルギーの潜在量が大きく、CDMを含めて技術協力の余地は極めて大きい。日本は省エネ・環境技術で世界の最先端をいっている。天然資源を持たない日本は、今後とも技術という枯渇しない資源を活用して、日本経済を支えていくことが重要。