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不動産市場動向 RealEstate Market Status 2018 Spring

不動産市場動向 - tanikan.co.jp · 経済産業省の商業動態統計によると、2017年7~12月の6ヵ月間の業態別の売上高は、百貨店3.4兆円(前年同期比

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不動産市場動向RealEstate Market Status

2018 Spring

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■ 不動産天気予報 ①

(出典) ㈱ティーマックス

◆概況全用途の2017年12月末時点の天気は「晴れ時々くもり」、2018年上期と2018年下期もともに「晴れ時々くもり」となった。用途別では、オフィスと物流施設は2018年上期は「晴れ」予報、賃貸住宅(レジデンス)と商業施設は「晴れ時々くもり」となる予報である。

◆「ティーマックス不動産天気予報」とはJ-REIT保有不動産から基準不動産(今回調査は250物件)を抽出し、各物件の現在~6ヵ月後、7ヵ月後~12ヵ月後のNOI(Net OperatingIncome)を予測し、中長期的に安定的と見込まれる基準NOIとの乖離を天気図に見立てて不動産市況の見通しを定性的に表現するもの。今回は2017年12月末時点の天気と、2018年上期(2018年1月~6月)、2018年下期(2018年7月~12月)の天気予報を公表する。

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■ 不動産天気予報 ②

(出典) ㈱ティーマックス

<用途別概況>

◆オフィス2017年12月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2018年上期は「晴れ」の予報となった。

都心5区の空室率は2017年6月時点の3.26%から2017年12月時点は3.12%まで低下(三鬼商事オフィスデータ)。また、J-REIT保有物件におけるオフィス(全エリア)の実績稼働率(2017年12月末)は、98.6%と依然として高稼働が続いている。こうした空室率の低下が賃料上昇を牽引し、NOIは微増する見通しである。

企業業績は底堅く、オフィス需要は堅調である。有効求人倍率の上昇(2017年12月で1.69倍)や少子高齢化による人手不足、及び働き方改革の一環で、都心の交通利便性の高いエリアではシェアオフィスやコワーキングスペースの増加がみられるなど、オフィススペースに新しい需要が生まれている。 2018年のオフィスの新規供給は東京23区で約20.6万坪(賃貸面積ベース)と例年より多いが(2017年は約16.0万坪) 、竣工前にテナントがほぼ決まるビルもみられ、空室率への影響は限定的である。

地方主要都市(札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市)ではオフィスの新規供給が少ない状態が続いている。5都市ともに空室率も低い水準にあり、需給の逼迫から賃料の上昇は今後も続く見通しである。

◆賃貸住宅(レジデンス)2017年12月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2018年上期以降も「晴れ時々くもり」の予報となった。

国土交通省の住宅着工統計資料によると、2017年7~12月の半年間の貸家着工数は約21.8万戸で、前年同期比では▲3.6%となった。2017年6月以降、貸家着工数は7ヵ月連続で前年同月比マイナスとなり、相続税対策による貸家着工は一段落したものとみられる。東京都特別区や都市部への人口の転入超過傾向は継続し、世帯数の増加も続いているため、都市部における賃貸住宅の需要は安定的である。

◆商業施設2017年12月末時点の天気は「くもり」となり、 2018年上期以降は「晴れ時々くもり」の予報となった。

2017年の大規模小売店立地法の新設届出は、件数、店舗面積ともに減少し、出店適地の減少や競合店舗の増加を示唆する結果となった。大型店の閉店後に後継テナントが決まらないケースも散見され、調査対象においてもテナント退去後のダウンタイムの影響でNOIが低下した店舗がみられた。

経済産業省の商業動態統計によると、2017年7~12月の6ヵ月間の業態別の売上高は、百貨店3.4兆円(前年同期比▲0.1%)、スーパー6.7兆円(前年同期比+1.1%)、コンビニエンスストア6.1兆円(前年同期比+2.1%)となった。百貨店とスーパーともに、売上はほぼ下げ止まりとなっている。インバウンド客による消費については、2017年7~12月の訪日外客数は1,493万人(前年同期比+21.2%)と増加しており、商業施設の売上にとっては好材料となっている。

◆物流施設2017年12月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、 2018年上期以降は「晴れ」の予報となった。

JLLのTokyo Logisticsによると東京圏の物流施設の空室率は2017年12月末に4.1%と、2017年6月末の3.2%から0.9pt上昇した。今後の見通しとしては、大型物流施設に対するインターネット通販や3PL企業の需要は旺盛であるため新規供給の影響は限定的とみられ、空室率の大幅な上昇可能性は低いと考えられる。賃料は現状維持から緩やかな上昇で推移すると予想される。

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■ 不動産天気予報 ③

(出典) ㈱ティーマックス

調査概要

「ティーマックス不動産天気予報」は、①J-REITが保有する不動産から基準不動産を抽出、②基準不動産について2017年12月末時点を起点に、2018年上期(1月~6月)の6ヵ月間の予測NOI、2018年下期(7月~12月)の6ヵ月間の予測NOIを査定し、中長期的に安定的と見込まれる基準NOIとの乖離率を求め、③指定セグメントごとに集計した乖離率を天気に見立てることで天気予報図として表し、④これを6ヵ月ごとに更新するものである。

①基準不動産の用途は、オフィス,賃貸住宅(レジデンス),商業施設,物流施設で合計250物件

選定基準は主要エリアに配慮し、オフィスは、大~中規模ビルを中心とし、主にマルチテナントビル。賃貸住宅(レジデンス)は、ワンルームとファミリータイプからそれぞれ抽出し高級賃貸物件もカバー。商業施設は、NOI・賃料等の開示情報がある物件。物流施設は、NOI・賃料等の開示情報がある物件。

②現在を起点とし1~6ヵ月後、7~12ヵ月後の予測NOIを査定

予測NOI(Net Operating Income)は賃貸事業収益から賃貸事業費用(減価償却費,capex等は含まない)を控除した純収益を指す。本調査では、投資法人が発表している決算短信等で公表された実績値を参考に、市場賃料・空室率の査定値、テナント入退去の 新ニュース、独自調査したテナント需給動向等を反映し、現在を起点にした6ヵ月間ごとの予測NOIを査定する。

③天気予報図の表示ルール

天気予報図は、基準不動産ごとに直近の実績NOI(±0)、1~6ヵ月後の予測NOI(+6)、7~12ヵ月後の予測NOI(+7~12)と基準NOIとの乖離率を指定セグメント別に集計する。

天気予報図

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■【オフィス】都心部オフィスゾーンにおける平均募集賃料と空室率との関係

左記グラフは、平均募集賃料と空室率の関係を示したグラフである。空室率が高くなると、賃料は低くなり、空室率が改善し始めると、徐々に賃料が回復していくサイクルが確認できる。

◆丸の内・大手町・有楽町エリア賃料水準は、好立地の新築・築浅物件であれば@4万円台半ば~5万円台半ば/坪程度、一定の規模を有する標準的な物件で@3~4万円/坪程度、一定の築年が経過した大型物件であれば@3万円台前半~3万円台中盤/坪程度。賃料水準はほぼ横ばい。空室率は低水準で需給が逼迫した状況が続いている。

◆主要5区平均募集賃料は上昇傾向が続くが、上昇幅は小さくなっている。空室率は依然として低水準で推移している。

(出典) 各種公表データ等をもとに

(株)谷澤総合鑑定所作成

4

主要5区

賃 料

高空室率 UP

賃料 DOWN

賃料 DOWN

空室率 DOWN

空室率 DOWN

賃料 UP

賃料 UP

空室率 UP

空室率

空室率

賃 料

丸の内・大手町・有楽町

空室率 UP

賃料 DOWN

賃料 DOWN

空室率 DOWN

空室率 DOWN

賃料 UP

賃料 UP

空室率 UP

空室率

賃 料

空室率

賃 料

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■【オフィス】MAP’s [有効坪単価]都心主要3区S・Aクラス

◆総括2018年に大型ビルが竣工した影響で、港区「赤坂」の有効坪単価の 高値が上昇している。

◆千代田区「東京駅周辺」エリアは中央値1,460万円/坪となった。

◆中央区「八重洲・京橋・日本橋」は中央値900万円/坪となった。

◆港区「赤坂」エリアについては880万円/坪、「六本木」エリアは850万円/坪、「青山」エリアについては760万円/坪となった。

(出典) ㈱ティーマックス

※オフィスエリアごとに複数のビルを抽出し、有効坪単価を算出。これを集計してエリアの中央値と、 大値・ 小値を査定。

※坪単価は各物件の賃料・キャップレートを想定の上査定。年2回更新。

5

1,460

780 720670

930

900820 740

420 440560 750

880

850700

620760

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

東京駅周辺

神田・秋葉原・御茶ノ水周辺

四ツ谷・市ヶ谷駅周辺

飯田橋・水道橋

霞ヶ関・永田町・平河町

八重洲・京橋・日本橋

銀座

日本橋本町・室町・本石町

日本橋兜町・茅場町・新川

日本橋小舟町・大伝馬町・小伝馬町・

人形町・堀留町・富沢町

築地・新富・八丁堀

新橋・虎ノ門

赤坂

六本木

浜松町周辺

芝・三田・田町

青山

万円/坪MAP’s

(平成30年4 月1日時点)

港区

中央区

千代田区

中央値

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■【オフィス】都市別の新規オフィス供給量

2018年から2020年のオフィス供給量は、主要5区で約62万坪となる見込み。地方都市の供給は少なく、大阪市は3年間で約1.7万坪

◆主要5区のオフィス新規供給量は、2018年から2020年にかけて約62万坪(貸室面積)の供給が続く。2018年は、1月に竣工した「住友不動産大崎ガーデンタワー(旧・住友不動産大崎プロジェクト)」(貸室面積36,943坪)が 大規模であり、ほかに「東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー」や、JR山手線・京浜東北線「田町」駅前の「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」等、注目プロジェクトが相次いで竣工する。

◆一方で地方都市はオフィスビルの開発計画が少なく、特に大阪市における大型ビルは、2018年では「なんばスカイオ(旧・新南海会館)」(貸室面積10,500坪)が竣工するのみである。2019年には大型のオフィスビルの計画はなく、2020年に竣工予定の「(仮)オービック御堂筋ビル」も、オフィス、ホテル、店舗の複合ビルで、オフィス貸室面積は6,200坪程度であるため、当面は需給が逼迫した状態が続くものとみられる。

(出典)2013まではシービーアールイー㈱(出典)2014以降は㈱ザイマックスの集計に基づき㈱ティーマックス作成注) 面積は貸室面積・坪

6

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

主要5区 その他18区 札幌市 仙台市 名古屋市 大阪市 福岡市

(坪)

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

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(出典) J-REIT公表資料を基に㈱ティーマックス作成

注1) 2017年12月31日までのデータ注2) 賃料収入,賃貸可能戸数,稼働率が判明している物件が集計対象注3) 追加取得,一部売却された物件等については、サンプルから除外

■【レジデンス】エリア別の賃料単価及び稼働率の推移

7

◆ レジデンスの賃料・稼働率をエリア別にみると、都心5区の稼働率は97.0%と前期(96.9%)からさらに上昇した。

◆ 地方5都市(札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市)は、稼働率が96.1%と前期(96.9%)から低下した。

◆ 実績賃料はいずれも変動が少なかった。

14,200

97.0

90

95

100

0

5,000

10,000

15,000

05下

06上

06下

07上

07下

08上

08下

09上

09下

10上

10下

11上

11下

12上

12下

13上

13下

14上

14下

15上

15下

16上

16下

17上

17下

稼働率(%)賃料(円/坪) 都心5区

都心5区の賃料単価

都心5区の稼働率

7,506

96.1

90

95

100

0

5,000

10,000

15,000

05下

06上

06下

07上

07下

08上

08下

09上

09下

10上

10下

11上

11下

12上

12下

13上

13下

14上

14下

15上

15下

16上

16下

17上

17下

稼働率(%)賃料(円/坪) 地方5都市

地方5都市の賃料単価

地方5都市の稼働率

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(出典) J-REIT公表資料を基に㈱ティーマックス作成

注1) 2017年12月31日までのデータ注2) 賃料収入,賃貸可能戸数,稼働率が判明している物件が集計対象注3) 追加取得,一部売却された物件等については、サンプルから除外

■【レジデンス】タイプ別の賃料単価及び稼働率の推移

8

◆ ワンルーム(40㎡未満)の稼働率は97.0%と高い。

◆ 景気の変動によりボラティリティが大きい高級賃貸(90㎡以上かつ戸当たり月額賃料20万円以上)については、2017年下期は稼働率95.3%と半年間で僅かに低下した。

◆ 高級賃貸の賃料はやや低下したが、集計対象物件の売却の影響によるもので、個別では概ね横這いとなっている。

11,619

97.0

80

85

90

95

100

0

5,000

10,000

15,000

05下

06上

06下

07上

07下

08上

08下

09上

09下

10上

10下

11上

11下

12上

12下

13上

13下

14上

14下

15上

15下

16上

16下

17上

17下

稼働率(%)賃料(円/坪) ワンルーム

ワンルームの賃料単価

ワンルームの稼働率

12,880

95.3

80

85

90

95

100

0

5,000

10,000

15,000

05下

06上

06下

07上

07下

08上

08下

09上

09下

10上

10下

11上

11下

12上

12下

13上

13下

14上

14下

15上

15下

16上

16下

17上

17下

稼働率(%)賃料(円/坪) 高級賃貸

高級賃貸の賃料単価

高級賃貸の稼働率

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(出典) J-REIT公表資料を基に㈱ティーマックス作成

注1) 2017年12月31日までのデータ注2) 賃料収入,賃貸可能戸数,稼働率が判明している物件が集計対象注3) 追加取得,一部売却された物件等については、サンプルから除外

■【オフィス&レジデンス】賃料単価・稼働率の比較

9

◆ J-REITが保有するオフィスとレジデンスのデータを比較した。

◆ オフィスは稼働率が98.6%と引き続き上昇傾向で推移している。賃料は2017年上期からやや上昇傾向で推移した。

◆ レジデンスの稼働率は96.9%となった。賃料は2010年下期から横ばいが続いており変化が少ない。

16,690

98.6

90

95

100

0

5,000

10,000

15,000

20,000

04上

04下

05上

05下

06上

06下

07上

07下

08上

08下

09上

09下

10上

10下

11上

11下

12上

12下

13上

13下

14上

14下

15上

15下

16上

16下

17上

17下

稼働率(%)賃料(円/坪) オフィス

オフィスの賃料単価

オフィスの稼働率

11,022

96.9

90

95

100

0

5,000

10,000

15,000

20,000

05下

06下

07下

08下

09下

10下

11下

12下

13下

14下

15下

16下

17下

稼働率(%)賃料(円/坪) レジデンス

レジデンスの賃料単価

レジデンスの稼働率

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■ 不動産流動性 ①J-REIT不動産取引件数、DI(%)の関係

◆ 日銀が発表している金融機関の不動産向け貸出態度(DI)は2018年4月は+20となり、2016年Q2から8四半期間、+20台が連続している。

◆ J-REITによる不動産取引件数は、2018年Q1は取得180件、売却27件と増加した。

◆ 特にレジデンスの取引は投資法人の大量取得や複数物件の入替が影響し80件となった。

◆ 物流施設の取引も63件と多く、メガソーラーの追加取得や新規の大量取得などの取引が目立った。

(出典) 取引件数 : ㈱ティーマックスDI(%) : 日銀短観

10

-11-10

-21

-16

-20

-20 -21

-14

-12-11

-11

-7 -6 -6 -3

1

3468

68 9 10

8

4

-5

-9

-16

-25

-32 -29

-24

-21

-16-14-12

-9 -9

-5-3 -4

-2

-1

-2

1 14 4

69 9 1010

1516 151518

2022212021202120

0

50

100

150

200

250

Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

売却件数

取得件数

DI(ポイント)

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■ 不動産流動性 ②不動産流動性指数

◆ 不動産流動性指数は2007年末~2008年初頭をピークに急低下、2009年後半にかけて 悪期を迎えた。

◆ 2015年8月以降の一時下落後、価格変化の安定化を要因としてさらに上昇し、過去

高値を記録した。

◆ しかしながら、2017年度に入ると取引件数が減少したことにより流動性に低下傾向がみられており、直近においても、回復傾向にはあるが、大幅な上昇はみられていない。

((出典) ㈱ティーマックス

※不動産市場の流動性を指数化したグラフであり、不動産の取引動向等をもとに、㈱ティーマックスが独自に作成

※基準時点(2003年5月)=100

※指数値が高い(低い)⇒流動性が高い(低い)

注) 2018年2月までのデータ

11

585.6

39.0

724.9

428.6

1,199.2

891.7

1,935.9

1,130.1

1,365.5

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

2007年サブプライム問題

流動性高い・拡大期 流動性低い・回復期

2011.3.11東日本大震災

拡大期

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■ 東証REIT指数・ICRの推移

◆ J-REIT投資口価格は、2016年1月の日銀によるマイナス金利政策の導入以降、上昇トレンドで推移していたが、16年9月の長短金利操作付き量的緩和策以降、軟調に推移。

◆ 直近6ヶ月の動向をみると、一時上昇局面もみられたものの、2月上旬の世界同時株安の影響を受けて、再び下落した。

◆ インプライドキャップレート(ICR)も、J-REIT価格の下落を受けて、直近では上昇傾向となっており、全ての用途についてICRの上昇がみられる。 (出典) 東証REIT指数 : 東京証券取引所

ICR : ㈱ティーマックスによる査定

※ICR:Implied Cap Rate※ICR=個別物件の期待NOI

÷投資法人のEV

※EV:Enterprise Value※EV=ネット負債+投資口時価総額

12

3.5

4

4.5

5

5.5

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

2013

/1

2013

/3

2013

/5

2013

/7

2013

/9

2013/1

1

2014

/1

2014

/3

2014

/5

2014

/7

2014

/9

2014/1

1

2015

/1

2015

/3

2015

/5

2015

/7

2015

/9

2015/1

1

2016

/1

2016

/3

2016

/5

2016

/7

2016

/9

2016/1

1

2017

/1

2017

/3

2017

/5

2017

/7

2017

/9

2017/1

1

2018

/1

ICR

東証

REIT指数

東証REIT

オフィス指数

東証REIT

住宅指数

東証REIT

商業・物流等指数ICR(オフィス) ICR(住宅) ICR(その他)

2018

/2

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(出典) J-REIT公表資料を基に㈱ティーマックス作成

■各用途別・エリア別 鑑定CAPレートの推移

13

◆オフィスの利回り推移各エリアの利回り水準は、11年以降、低下傾向にある。東京都心部におけるオフィス需要は引き続き旺盛であり、主要5区については3%台後半まで低下している。

全国平均 4.3%

東京23区 4.0%主要5区 3.9%

札幌

札幌 5.1%仙台

仙台 5.1%

名古屋 4.7%

大阪 4.4%

福岡 4.8%

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

09年下期10年上期10年下期11年上期11年下期12年上期12年下期13年上期13年下期14年上期14年下期15年上期15年下期16年上期16年下期17年上期17年下期

(%)

オフィスの利回り推移(J-REIT/地域別)

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(出典) J-REIT公表資料を基に㈱ティーマックス作成

14

◆レジデンスの利回り推移

各エリアの利回り水準は、10年上期をピークに、全体として低下傾向にある。直近においては、より高い利回りを求めて地方物件の取引も活況を呈するなか、利回り水準は全国的に低下傾向が継続しており、全国平均ベースで4.6%まで低下している。

全国平均 4.6%

東京23区 4.3%主要5区 4.2%

札幌 5.2%仙台 5.3%

名古屋 4.9%大阪 4.8%

福岡 5.0%

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

09年下期10年上期10年下期11年上期11年下期12年上期12年下期13年上期13年下期14年上期14年下期15年上期15年下期16年上期16年下期17年上期17年下期

(%)

レジデンスの利回り推移(J-REIT/地域別)

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◆商業施設の利回り推移

各エリアの利回り水準は概ね低下傾向にある。取得意欲は引き続き旺盛であり、主要5区平均では3.5%まで低下している。

15

全国平均 4.8%

東京23区 3.8%

主要5区 3.5%

札幌 5.5%仙台

仙台 5.2%名古屋

名古屋 5.2%

大阪 4.2%

福岡 4.7%

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

09年下期10年上期10年下期11年上期11年下期12年上期12年下期13年上期13年下期14年上期14年下期15年上期15年下期16年上期16年下期17年上期17年下期

(%)

商業施設の利回り推移(J-REIT/地域別)

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(出典) J-REIT公表資料を基に㈱ティーマックス作成

◆物流施設の利回り推移

各エリアの利回りは低下傾向にある。内陸、湾岸とも、4%前半程度の取引が中心レンジとなっており、首都圏平均では4.5%まで低下している。新規参入等が進み、資産規模の割合がオフィス、レジデンスに次ぐ3番目のセクターになる等、取引も活況を呈しており、市場に厚みが増している。

16

全国平均 4.7%首都圏 4.5%

京阪神 4.8%

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

09年下期 10年上期 10年下期 11年上期 11年下期 12年上期 12年下期 13年上期 13年下期 14年上期 14年下期 15年上期 15年下期 16年上期 16年下期 17年上期 17年下期

(%)

物流施設の利回り推移(J-REIT/地域別)

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◆ホテルの利回り推移

全国平均の利回りは概ね低下傾向にあり、直近では5.1%まで低下しているが、ADR・稼働率に頭打ち感が認められる。

◆ヘルスケア施設の利回り推移

全国平均の利回りは17年上期まで低下傾向にあったが、直近では横ばい(5.0%)となった。

17

ヘルスケア施設 5.0%

ホテル 5.1%

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

10年下期 11年上期 11年下期 12年上期 12年下期 13年上期 13年下期 14年上期 14年下期 15年上期 15年下期 16年上期 16年下期 17年上期 17年下期

(%)

ホテル・ヘルスケア施設の利回り推移(J-REIT)