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title:P2P技術に期待されるフロンティア領域 09/9/15にソサイエティ大会BT-2で発表
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2009/9/15 ソサイエティ大会 BT-2(IEICE)
P2P技術に期待されるフロンティア領域P2P技術に期待されるフロンティア領域
~持続的社会へ向けて~
吉田 幹吉田 幹
BBR / PIAX Inc.
大阪大学大阪大学
Agendaインターネットを持続させるP2P技術
実は限界 インターネット実は限界、インタ ネット
ID/Locator分離
新世代ネットワーク(NwGN)新世代ネットワ ク(NwGN)オーバレイで実現するID/Locator分離
社会を変えるP2P技術社会を変えるP2P技術
地球センシング
災害時ネ トワ ク災害時ネットワーク
低敷設コスト・低運用コストなネットワーク(開発途上国)
太陽光発電を支える賢い送電線網太陽光発電を支える賢い送電線網
新しい貨幣システム
2
インタ ネ トを持続させるP2P技術インターネットを持続させるP2P技術
実は限界、インターネット
ID/Locator分離ID/Locator分離
新世代ネットワーク(NwGN)オーバレイで実現するID/Locator分離
実は限界、インターネット
7年前は、
“IP Over Everything Everything Over IP”IP Over Everything, Everything Over IPだったけど...
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枯渇するアドレス
センサー、タグ類が大きく消費
2020年で100億ノード2020年で100億ノ ド
M2Mも
Smart Dust などSmart Dust など
IPv6は現状打破しない
htt // i / k /d /i 6 /Geoff Huston氏によるIPv4アドレス在庫枯渇予測グラフ
http://www.unixuser.org/~euske/doc/ipv6ex/LSN(Large Scale NAT, 旧CGN)が当面の対応策に
「 近づく ド 在庫枯渇 対する取「JPNIC、近づくIPv4アドレスの在庫枯渇に対する取り組みを発表」(2007/6/19)
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http://www.rbbtoday.com/news/20070619/42805.html
失われた到達性
必要悪なNATアドレス枯渇と関連アドレス枯渇と関連
end-to-end の透過性(任意のIPアドレスへの到達性)が損なわれる損なわれる
まともに動作しないプロトコルも多々アドレス回収の際、まだ生きているトランスポート層が切断されるといった細かい問題も
もはや、Stupid でなくなった
NAT, Firewall, VPN... と複雑に
実質的には、Web中心のトポロジー実質的 は、 中心 ポ ジ
P2PでなくC/S型クラウドコンピューティングの隆盛
6
クラウドコンピュ ティングの隆盛
他にも...困難なモバイル対応
そもそも端末が移動するなんて思ってなかったそもそも端末が移動するなんて思ってなかった
様々なプロトコルMobile IP, Mobile IPv6, NEMO(Network Mobility)Mobile IP, Mobile IPv6, NEMO(Network Mobility)
けれども、どんどん端末は移動する携帯デバイス(iPhone, Android, ...)、いずれは車載システムも, ,
大丈夫か? ルータ
増え続ける帯域、増え続ける経路表(30万エントリー)増え続ける帯域、増え続ける経路表(30万エントリ )マルチホームが経路表増大の原因の1つに
コアルータにおいては、小規模発電所並の電力を消費アル タ お は、小規模発電所並 電力を消費2020年には 48.7%に達するという試算も
http://innovation.nikkeibp.co.jp/etb/20060417-00.html
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他にも...できないマルチキャスト(IPv4)
プロトコルは山ほどプロトコルは山ほどDVMRP, MOSPF, PIM-DM, CBT, PIM-SM, PIM-SSM, IGMP...エンドでまともに動かない orzNATも問題の1つに
認証・セキュリティ
それぞれの層で後追いな対応IPsec, SSL, TSL, PGP, PKI...認証はユーザにかけたいのか、IPにかけたいのか?ほとんどの人は公開鍵を持っていない
バイル環境では IP は意味をなさないモバイル環境では、IPsecは意味をなさない
できないQoS
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9
問題の核心は
つまるところ、アーキテクチャが古いため1970年代の技術が使われ続けていること自体奇跡代 技 使 続
狭いアドレス空間 (いうまでもなく)狭 間 ( う もな )
IPにおける identifier と locator の概念の混在IPアドレスの二元性(duality of the IP address)問題IPアドレスの 元性(duality of the IP address)問題
物理アドレスが論理アドレスの機能も有している
モビリティ、マルチホーム、IPsec に支障が...ルーティングプロトコル
全ノードが同一の情報を集めて同じ動作をする分散型集中制御中制御
大域経路表の破綻(スケーラビリティに欠ける)Dijkstra法(経路計算)の計算量はノード数 Nとして、O(N2)
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Dijkstra法(経路計算)の計算量はノ ド数 Nとして、O(N ) 耐故障性、トポロジー変動への弱さ
もっと大事な問題は
非持続的な進化発展性すでに社会インフラとなっているインターネットをそっくりす 社会 ラ な る タ ッ をそ くり変えることは不可能
IPv6がよい教訓階的 変 行 う する デザ がどう もきたなくな段階的に変えて行こうとすると、デザインがどうしてもきたなくな
る。デザインを優先したのが、IPv6だった
悪い部分は変えていきたい。悪い部分は変えていきたい。けれど、それもできないジレンマ
新規技術に対する許容性が望まれる新規技術に対する許容性が望まれる科学的プロセスと技術的プロセスを繰り返し、技術をブラッシュアップさせていくためのフィールドと、
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実証された技術を取り入れることができる柔軟なアーキテクチャ
ID/L t 分離ID/Locator分離
ID/Locator分離
IPアドレスの二元性問題(duality problem of the IP address)
IPアドレス(or FQDN)が、ノード自身の識別子(ID)と接続位置(locator)の両方の意味を有している
ビ ホ ム 支障を生じるモビリティ、マルチホーム、IPsec に支障を生じる
ノードの個体(identity)と接続位置(location)の概念を分離し IDと l t を別レイヤで扱う必要が念を分離し、IDと locatorを別レイヤで扱う必要がある
SocketService SocketService
End-point
L ti
Host Identity
IP dd
End-point
L tiIP dd
13HIPにおけるID/Locator分離の例
Location IP addressLocationIP address
IPにおけるID/Locator分離の概要
IRTF, IETFにて検討が進められている
直近の問題として マルチホーミングに伴う経路表直近の問題として、マルチホーミングに伴う経路表の増大がある
提案方式提案方式
LINA(Location Independent Network Architecture), LIN6(Location Independent Networking for IPv6)LIN6(Location Independent Networking for IPv6)HIP(Host Identity Protocol)LISP(L t Id tifi S ti P t l)LISP(Locator Identifier Separation Protocol)
などなど
ずれも 解決にネ ムサ バを用 るいずれも、ID解決にネームサーバを用いる
ネームサーバは、(ID, locator)の組を管理する
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HIP ArchitectureTransportとNetwork層の間にID解決のための層を設ける
Transport Layer
HIP主な特徴
IDのために独立の空間を定義するLIN6の場合は IPv6アドレスに埋め込み
Internetworking Layer
HIP
LIN6の場合は、IPv6アドレスに埋め込み
IDに認証と匿名性のための機能を付与するこのため、2種類のID(HI, HIT)を持つ key generator
ID解決のためのネームサーバとして DHT(分散ハッシュ表)が
public key private key
として、DHT(分散ハッシュ表)が検討されている
(ID, locator) の組をDHTにより管理
public HI anonymous HI
hash
認証機能により、改竄を防ぐ
secure-i3i3(Internet Indirection Infrastructure)を拡張
HIT LSI
128bit 32bit
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i3(Internet Indirection Infrastructure)を拡張
新世代ネ トワ ク(N GN)新世代ネットワーク(NwGN)
新世代ネットワーク(NwGN)海外に先駆けて、将来に備え、新たなアーキテクチャを持つネットワークを実現するチャを持つネットワ クを実現する
アメリカ:GENI/FIND, 欧州:FP7/FIその心は Network for Next Generationsその心は、Network for Next Generations
※NICT, JGN2plus HPより
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NwGNのキモ(私見)薄い共通NW層, クロスレイヤ制御持続的(Sustainable)
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※AKARI概念設計書より
オーバレイネットワークの意味
NwGNで新しいアーキテクチャを考える鍵オーバレイは最初から Clean Slate構造化オーバレイでは、IDでルーティング
持続性は、新陳代謝により生まれる持続性 、新陳代謝 り るその時代その時代で、もっとも良くできたオーバレイ技術が実ネットワークになる
進化の過程では、新たなオーバレイが実ネットワーク上で開発される
オーバレイ
19実ネットワーク
オーバレイが1つの解になる
IDとlocatorの完全分離透過性も(NAT越え)
IPv6, non-IPネットワークの統合
持続的進化Overlay と Underlay の進化。ex. 光スイッチ技術
- DHTALM
Application Oriented Overlays
Applications
Obj t L k
- ALM- multi-dimensional range search
Overlay Transport Layer
DOLR SupportCommon Network I/F
d
OverlayNetworks
Object Lookup- Key-Based Routing
Overlay Transport Layer
IPv4 Network IsolatedIPv6 Network
non-IP Network(ZigBee,..)
- ID-Based Routing- Secure Routing
UnderlayNetworks
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( g , )Networks
オ バレイで実現するID/L t 分離オーバレイで実現するID/Locator分離
トランスポート層の分離
オーバレイネットワークの下位層を2層に分離ID Transport層
IDベースのルーティング ⇒ IDによるメッセージ到達性
経路表には、隣接ノードのIDとlocatorを保持
Locator Transport層Locator Transport層下位の物理ネットワークの抽象化が目的
実際の処理は委譲する
Overlay Network ID Reachability
ID Transport Layer routingtable
Locator Transport Layerlocator (dual)
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IP Network non-IP Network(MANET,..)
PhysicalNetworks
...
IDベースのルーティング
外部のネームサーバは不要になる
LocatorのTransport層では、ホップ単位のメッセージ到達性の p 層では、ホッ 単位の ッ ジ到達性があればよい(部分到達性)
マルチキャスト(ALM)も変更なしに扱える
nameserver
message
Locator
ID TransLayer
Trans Layer
A Brouter
message routingtableIPネットワーク
オーバレイネットワーク
Locator Trans
ID TransLayer
table
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Locator Trans Layer
A BX
高速ハンドオーバ
移動により、メッセージ到達性が失われる場合は、再びノードをオーバレイネットワークに参加(join)させる
経路表に対称性があり、メッセージ到達性が失われない場合、高速なハンドオーバが実現できる
経路表に対称性のある構造化オーバレイの例Kademlia, Skip Graph
B
L2’A
DL1’
2
CL1
L2
C
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C
Dual Locator 方式
locatorを2つ持つことで、通信断をなくす
以下の時間、旧locator を保持する以下の時間、旧 を保持する新しいlocatorを取得するのに要する時間(handover time)ID解決に要する時間(ID resolve time)
高速ハンドオーバのための目安100m届く無線APで、50mあたりからハンドオーバさせる場合、移動ノ ドが50m動くまでの間に完了させなければならないノードが50m動くまでの間に完了させなければならない
時速60kmなら、3秒
timelocator L
locator L’
t1 t2t3
25
handovertime
ID resolvetime
t2
IP以外のネットワークもカバー
オーバレイネットワークで、ID/Locator分離を行うことにより、ヘテロジーニアスな物理ネットワークをカバーできる
IP networknon-IP network
overlay network overlay network
non-IP network IP network
overlay network
26
overlay network
社会を変えるP2P技術社会を変えるP2P技術
事例
地球センシング
⇒ センサーオーバレイ⇒ センサ オ バレイ
災害時ネットワーク
低敷設コスト 低運用コストなネ トワ ク低敷設コスト・低運用コストなネットワーク(開発途上国)
⇒ DTN
太陽光発電を支える賢い送電線網
⇒ Smart Grid
新しい貨幣システム
⇒ i-WAT
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センサーオーバレイ
地球環境、人間社会のモニタリング
気象観測 土壌汚染の観測 災害検知など気象観測、土壌汚染の観測、災害検知など
WIDEでは、Live E! プロジェクトゲリラ豪雨に効果の報告も(2008/9/19 Live E! シンポジウム)ゲリラ豪雨に効果の報告も(2008/9/19 Live E! シンポジウム)
UCI(University of California, Irvine)で聞いた話
約7年前約7年前
アメリカでは山火事が深刻な社会問題ヘリコプターでの監視は発見が遅れるヘリコプタ での監視は発見が遅れる
小さなセンサデバイスを開発して、山中に撒き、ボヤを早期発見できるようにできないか
起こった研究塵のようなセンサ(センサダスト)をナノテクで開発する
1000億を越えるノ ドにより自律構成される D N t k1000億を越えるノードにより自律構成される Deep Network
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DTNDelay/Disruption/Disconnect Tolerant Networkまたは、 Delay Tolerant Networkまたは、 Delay Tolerant Network
劣通信環境でなんとか通信を成立させる
惑星間通信 深海通信 戦場でのアドホック通信惑星間通信, 深海通信, 戦場でのアドホック通信
事例
ZebraNetZebraNet3,5000頭のシマウマの生態情報を収集する(ケニア)
気球ネット気球ネット災害時に気球を飛ばし、一時的なネットワークを構築
DUMBOプロジェクト象さん+Li E! (タイ)象さん+Live E! (タイ)
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DTN + OLPCOLPC (One Laptop per Child)
開発途上国の子供たちにノートPCを開発途上国の子供たちにノ トPCを教育ツールにより、貧困を解決する糸口を
けれど、ネットワーク環境は問題けれど、ネットワ ク環境は問題
OLPCは、無線LANのアドホックモードで通信できるけど
OLPC に DTN を足すと何が起こるかOLPC に DTN を足すと何が起こるか
もう解りますよね :-)地理的経済的 Digital Divide地理的経済的 Digital Divideの解消
ネットに未開も先進もない
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太陽光発電とP2P太陽電池は進化と普及の一途にある
集中型化石燃料発電の時代から集中型化石燃料発電の時代から、分散型太陽光発電の時代に
電力の生産と消費の細かな制御が必要電力の生産と消費の細かな制御が必要
Smart Gridアメリカで始まった電力系統制御技術(計画or概念)アメリカで始まった電力系統制御技術(計画or概念)
「コンピュータと電話のような「進化」が電力網で起きる」http://business nikkeibp co jp/article/pba/20080917/170808/http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080917/170808/
日本の例太田市の「Pal Town 城西の杜」プロジェクト(NEDO)太田市の a o 城西の杜」プ ジ クト( O)
http://neps.nef.or.jp/opinion.html総戸数550戸、総発電量2200kW。集中連系型
P2Pが技術的に適していることは言うまでもない
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参考: Smart Grid
33
※AIST 櫻井氏の資料より
参考: 変動とならし効果の実例
34
※AIST 櫻井氏の資料より
エネルギーフローの危機
ピークオイル問題石油生産量の成長がピークに達した後、下り坂に転じる点
2030年頃と言われている
枯渇しないが、実質的に石油は使えなくなる
採掘コストの増大採掘コストの増大
消費量より生産量が下回る ⇒ 価格の高騰
実体経済と乖離した金融経済システム実体経済と乖離した金融経済シ テ
間違った情報フロー(金融経済システム)がエネルギーフロー(実体経済)をおかしくしている
私たちが生活を依存 る情報 をデザイ 直 人間圏私たちが生活を依存している情報フローをデザインし直し、人間圏におけるエネルギーフローが持続可能になるようにしなければならない(慶応大 斉藤氏)
「環境か経済かの選択ではない。繁栄か衰退かの選択だ」(09/4/22 オバマ大統領)
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i-WATシステム
地球規模OSに実装された貨幣システム幣システム
慶應大 斉藤先生のご研究
地産地消 経済システムまで考地産地消、経済システムまで考慮に入れたP2Pシステム
WATシステムのデジタル版WATシステムのデジタル版
WATシステム
森野榮一氏による地域通貨シ森野榮一氏による地域通貨システム
自然と 人間という自然が本位自然と、人間という自然が本位
デジタル財(基本フリー)も考慮減価する貨幣減価する貨幣
スタンプ紙幣(1920-30年)が原型36
ポイントとなる研究課題
ルーティングプロトコル
NwGNでは BGPの置き換えが必要NwGNでは、BGPの置き換えが必要
DTN、モバイルアドホックネットワークもその対象
オーバレイの複合化オーバレイの複合化
無線アクセス網と基幹ネットワークの統合
inte /m lti o e la net o k のような技術もinter/multi-overlay network のような技術も
分散ネットワーク環境における一貫性保証
例えば、BASE(Basically Available, Soft state, Eventually consistent)の具体化
クラウドコンピ ティングで注目クラウドコンピューティングで注目
Lock Free Synchronization のP2P版
複雑系における局所最適化技術複雑系における局所最適化技術
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ご清聴ありがとうございましたご清聴ありがとうございました
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