25jsphcs S42-3

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Keiichi KOIDO, Pharmacist, JSOP, BCOPS, BCICPS, IDPSPharmacy Division & Office of Infection Control National Cancer Center Hospital, Tokyo JapanE-Mail: kkoido@ncc.go.jp

何を?どうする?腎機能低下患者の抗がん剤治療

How do you coordinate and administer medication for cancer patients with kidney disease.

第 25 回日本医療薬学会年会利益相反の開示

 

小井土啓一

私は今回の演題に関連して、開示すべき利益相反はありません。

いきなりですが、こんなんどうでしょう?症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

いきなりですが、こんなんどうでしょう?症例②

62 歳 男性 胃がん

StageⅣ骨転移・肝転移

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

いきなりですが、こんなんどうでしょう?症例②

62 歳 男性 胃がん

StageⅣ骨転移・肝転移

症例③52 歳 女性 乳がん術後再発骨転移・腹膜転移

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

いきなりですが、こんなんどうでしょう?症例②

62 歳 男性 胃がん

StageⅣ骨転移・肝転移

症例③52 歳 女性 乳がん術後再発骨転移・腹膜転移

症例④32 歳 女性 

ホジキンリンパ種Clinical Stage Ⅳb

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

いきなりですが、こんなんどうでしょう?症例②

62 歳 男性 胃がん

StageⅣ骨転移・肝転移

症例③52 歳 女性 乳がん術後再発骨転移・腹膜転移

症例④32 歳 女性 

ホジキンリンパ種Clinical Stage Ⅳb

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

みんなⅣ期だし、抗がん剤治療になるねぇ〜

レジメン決めなきゃ

でも、ちょっと問題が

くらべてみましょう!症例②

62 歳 男性 胃がん

StageⅣ骨転移・肝転移

症例③52 歳 女性 乳がん術後再発骨転移・腹膜転移

症例④32 歳 女性 

ホジキンリンパ種Clinical Stage Ⅳb

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

もしも全員が同等の腎機能障害を有していたら

たとえば・・・

eGFR 25 mL/min

くらべてみましょう!症例②

62 歳 男性 胃がん

StageⅣ骨転移・肝転移

症例③52 歳 女性 乳がん術後再発骨転移・腹膜転移

症例④32 歳 女性 

ホジキンリンパ種Clinical Stage

Ⅳb

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

もしも全員が同等の腎機能障害を有していたら

たとえば・・・

CLcr 25 mL/min/body

どんな治療を行うか?どうやって用量を調節するか?

(はもちろん大切なことですが)

その前に、

どのくらい「頑張る意味」があるのか心して考えておく必要がある

効果の期待は少ない(奏効率 30% 以下)

悪性黒色腫・脳腫瘍・甲状腺がん舌がん

化学療法に期待される効果(チョット古い情報)絨毛がん・急性骨髄性白血病急性リンパ性白血病(小児)ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫(高中悪性度)睾丸腫瘍(奏効率 80 %〜)

治癒が期待できる

乳がん・卵巣がん・小細胞肺がん多発性骨髄腫・膀胱がん

非ホジキンリンパ腫(低悪性度)慢性骨髄性白血病・骨肉腫

(奏効率 60 〜 80% )

延命が期待できる

症状緩和が期待できる(奏効率 30 〜 60% )    

前立腺がん・頭頚部がん軟部組織腫瘍・膀胱がん

非小細胞肺がん・食道がん・胃がん

子宮がん・膵がん・肝がん

A 群 B 群

D 群 C 群

がん診療レジデントマニュアル第 5 版 一部抜粋改変

症例をあてはめてみる

治癒が期待できる 延命が期待できる

症状緩和が期待できる

A 群 B 群

C 群

症例④32 歳 女性 ホジキンリンパ種Clinical Stage Ⅳb

症例③52 歳 女性 乳がん術後再発 骨転移・腹膜転移

症例①72 歳 男性 肺がん(腺がん)StageⅣ胸水・骨転移

症例②62 歳 男性 胃がん StageⅣ骨転移・肝転移

【ほぼ B 群】分子標的薬が劇的に変えた

では、たとえばこの症例:症例②62 歳 男性 胃がん StageⅣ (骨転移・肝転移)

ガイドラインによると標準治療の第 1 選択は「 SP 療法」ですが・・・

S-1 40mg/m2 1 日 2 回 3 週間投与CDDP 60mg/m2 day8 5 週毎

さあ、どうしましょうか?

たとえば、こんな選択肢

• CDDP: 60mg/m2

• S-1: 40mg/m2 x 2No Change【 Standard

Regimen】

• CDDP: 50mg/m2

• S-1:   30mg/m2 x 2Reduce

• CDDP: CBDCA ・ 254S ・ L-OHP

• S-1: 5FU ・ Cape ・ UFTReplace

• Paclitaxel ・ Docetaxel• Trastuzumab ?Other

どうする?の答えを探すのはそれほど難しくない?

腎機能障害時Chemotherapy-associated renal dysfunction.Sahni V, Choudhury D, Ahmed Z. Nat Rev Nephrol. 2009 Aug;5(8):450-62.

International Society of Geriatric Oncology (SIOG) recommendations for the adjustment of dosing in elderly cancer patients with renal insufficiency.Lichtman SM, Wildiers H, Launay-Vacher V, Steer C, Chatelut E, Aapro M. Eur J Cancer. 2007 Jan;43(1):14-34.

透析時Proposal for dosage adjustment and timing of chemotherapy in hemodialyzed patients.Janus N, Thariat J, Boulanger H, Deray G, Launay-Vacher V. Ann Oncol. 2010 Jul;21(7):1395-403.

Eur J Cancer. 2007 ;43:14-34.

ただし、これらの Evidence が示しているものは

安全に投与できることを証明している(もちろんそれが無ければ投与できないわけですが)

だけで、

治療効果を明らかにしている訳ではない

抗がん剤特有の事情?

毒性と効果の関係が逆転治療は副作用を耐えうるかどうか? で決定

日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本腎臓学会・日本腎臓病薬物療法学会が合同で作成中

がん薬物療法時の腎障害ガイドライン(案)

ガイドライン CQ の一部抜粋• 抗がん薬投与における用量調節のための腎機能評価に eGFR

は推奨されるか • 腎機能の低下した患者に対して毒性を軽減するために抗がん

薬投与量減量は推奨されるか ? • シスフラチンによる AKI を予測するために、リスク因子によ

る評価は推奨されるか ? • シスフラチン分割投与は腎障害の予防に推奨されるか ? • シスフラチン投与時の大量補液は腎障害を軽減するために推奨されるか ?

• シスフラチン投与時の short hydration は推奨されるか ? • 利尿薬投与は白金製剤による腎障害の予防に推奨されるか ? • マクネシウム投与はシスフラチンによる腎障害の予防に推奨

されるか ? • 腎機能に基つくカルホフラチンの投与量設定は推奨されるか ?

ガイドライン CQ の一部抜粋• 抗がん薬投与における用量調節のための腎機能評価に eGFR

は推奨されるか • 腎機能の低下した患者に対して毒性を軽減するために抗がん

薬投与量減量は推奨されるか ? • シスフラチンによる AKI を予測するために、リスク因子によ

る評価は推奨されるか ? • シスフラチン分割投与は腎障害の予防に推奨されるか ? • シスフラチン投与時の大量補液は腎障害を軽減するために推奨されるか ?

• シスフラチン投与時の short hydration は推奨されるか ? • 利尿薬投与は白金製剤による腎障害の予防に推奨されるか ? • マクネシウム投与はシスフラチンによる腎障害の予防に推奨

されるか ? • 腎機能に基つくカルホフラチンの投与量設定は推奨されるか ?

ちょ

っと

待っ

た!

副作用の考え方:抗がん剤特有の事情?

• 毒性として腎臓に直接的なダメージを与える

• 腎排泄型薬剤の排泄が遅延することによって曝露時間が増えて副作用が重症化する

正常細胞の Cell Turn Over に合わせて投与する必要がある抗がん剤の毒性を舐めてはいけない。

症状緩和が期待できるC 群

症例②62 歳 男性 胃がん StageⅣ骨転移・肝転移

では、たとえばこの症例62 歳 男性 胃がん StageⅣ (骨転移・肝転移)

S-1 40mg/m2 1 日 2 回 3 週間投与 CDDP 60mg/m2 day8 5 週毎

Risk & Benefit を冷静に考えましょう

たとえば、こんな選択肢

• CDDP: 60mg/m2

• S-1: 40mg/m2 x 2No Change【 Standard

Regimen】

• CDDP: 50mg/m2

• S-1:   30mg/m2 x 2Reduce

• CDDP: CBDCA ・ 254S ・ L-OHP

• S-1: 5FU ・ Cape ・ UFTReplace

• Paclitaxel ・ Docetaxel• Trastuzumab ?Other

抗がん剤

A

抗がん剤

B

抗がん剤 A と B の併用療法

減量すればどうやら投与でき

そう

投与しない方がいいらしい

抗がん剤 A だけを投与するべきか

併用療法では、「抜いてもいい薬」「絶対に抜いてはいけない薬」がある

治療の Key Drug

抜け薬

たとえば、こんな選択肢

する

No Change

Reduce

Other

Replace

しない

抗がん剤の治療を

決して忘れてはいけません

目的は

抗がん剤を投与すること

・・・ではない!

多くの場合、がんの治療は「急ぎません」いろいろなことを調べて、

貴方が想うベストを提案しましょう。

ときに・・・患者さん自身に選択を委ねることもあります

しかし・・・「正しい判断ができることは多くない」

と言われています

何を?どうする?腎機能低下患者の抗がん剤治療

How do you coordinate and administer medication for cancer patients with kidney disease.

Keiichi KOIDO, Pharmacist, JSOP, BCOPS, BCICPS, IDPSPharmacy Division & Office of Infection Control National Cancer Center Hospital, Tokyo JapanE-Mail: kkoido@ncc.go.jp

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