摩擦攪拌接合技術(FSW)の 基礎 -...

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摩擦攪拌接合技術(FSW)の基礎

大阪大学 接合科学研究所中田 一博

平成26年11月12日

第1回とやま高機能素材研究会~摩擦撹拌プロセス利用WG~

講演内容

1. 摩擦撹拌接合(FSW)の出現

2. FSWの原理

3. FSW装置と接合パラメータ

4. FSWの特徴

5. 問題点解決に向けた取組み

6. 適用可能材料と応用

7. FSWの新しい展開

摩擦攪拌接合FSW : Friction Stir Weldingの出現

英国溶接研究所TWIが1991年に国際特許を取得、

2015年まで有効。

(1)R198 - Improvements Relating To Friction Welding

(Friction Stir Welding)

GRANTED PATENTS: Japan, 271 283 8,

granted 27 Nov. 1992 for 20 years

(2)R227 - Friction Stir Welding

GRANTED PATENTS: Japan, 279 223 3,

granted 5 Jan. 1995 for 20 years

国内企業から多数の応用特許が出願されており、その調整が必要!

FSWの原理

高速回転しているツールを突合せた2枚の板の突合せ部表面に押しつけると、摩擦熱によりツールと接触している部分の温度が上昇し、ちょうど水あめのように塑性流動を起こし2枚の板が混ざり合う。このときツールを突合せ部に沿って移動することにより連続した接合が可能となる。接合部の温度は固相線温度以下であり,このため溶融溶接が困難な材料、例えばジュラルミン系の2024や7075等の航空機用高強度Al合金などの接合が可能となる。

前進側(Advancing side)

後退側(Retreating side)

FSWの原理:FSW装置

[大阪大学 接合科学研究所]

荷重制御式FSW装置 複動式FSW装置

片持梁式 両持梁式(門形)

FSWの原理:操作手順

( a )2枚の部材を突合せてバッキングプレートに固定する。( b )円柱の端面に特殊形状のプローブを付けたツールを突合せ部の真上にセットする。( c )ツールを一定の回転速度で回転させながら,プローブを突合せ部に押し込む(挿入する)。( d )プローブを押し込むに従い,

摩擦熱で加熱されて塑性流動化した金属がプローブの周りの表面に押し出されるが,最終的にツール端面(これを専門用語でショルダと呼ぶ)を板表面に強く押し付けることによりこの金属の押出しは抑制される。またこの時,ツール端面での著しい摩擦発熱により突合せ部は高温に加熱される。( e )この状態でツール(もしくは部材)を板に対して移動すると塑性

流動化した金属は回転するピンの周りを前方部から後方に移動し,ツールの移動,すなわち熱源の移動と共に冷却されて接合部が形成される。[図:C.J.Dawes]

FSW作動ビデオ

回転ツール

裏当金

押さえジグ

被接合材:アルミ合金板、板厚6mm

アルミ板

プローブ開先

20mm

(a) 母材 (b) 熱影響部(HAZ) (c) 熱加工影響部(TMAZ) (d) 攪拌部(SZ)

200mm100mmSZ

TMAZ

Advancing sideRetreating side

1mm

(a) (b)

(c)

(d)

後退側 前進側

20mm

FSW組織の特徴:A2024

母材組織(鋳造組織、加工組織)が微細再結晶組織に変化する

回転ツールツール材質:・鉄系(工具鋼)・超硬(WC-Co)系

・タングステン(W,W-Re)・セラミックス系(PCBN)

形状及びサイズ:・ショルダー径・プローブ径・プローブ長

ツール先端形状(標準型)

プローブ

ショルダ

FSWの原理:ツール及び接合パラメータ

接合パラメータ

① プローブ(ピン)挿入角度

② ツール押し込み荷重

③ ツール回転速度

④ 接合速度(溶接速度)

ツール挿入状態(接合方向の断面模式図)

制御方式:荷重制御位置制御(トルク制御)

高強度アルミニウム合金のFSW適正条件範囲

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

0 500 1000 1500 2000 2500

溶接速度,V/mm

ツール回転速度

, N

/rpm

7075-T5

2024-T65083-O6061-T6

FSW, アルミ合金, 板厚4mm ; プローブ径5mm, ショルダー径15mm

最適条件域

5083

6061

2024

7075

0 10 20 30 40 50 60 70 80

100

200

300

400

500

温度

(℃)

時間 (s)

395℃

FSW, ADC12, 4mmt, 14.2kN, 1250rpm-250mm/min

392℃

344℃

0

FSW接合中の接合部の温度サイクル

ツール

母材

接合欠陥:トンネル状空洞・溝状欠陥

評価法:外観検査、X線透過試験、超音波探傷試験、断面マクロ観察

入熱不足が原因:

バリ過剰入熱:・バリの発生・ツールと裏当金との接触

Appearance X-ray radiography Cross-section

無欠陥(6.9kN, 250mm/min)

溝状欠陥(6.9kN, 750mm/min)

空洞欠陥(6.9kN, 500mm/min)

FSW, ADC12, 4mmt, Stir-in-plate, 1500rpm

2mm

Advancing side

Retreating side

Cavity

10mm 10mm 2mm

プローブ欠損:ツール先端のプローブが折れて接合部に埋め込まれた状態になる

接合欠陥:Kissing Bond(キッシングボンド)

欠陥:接合部裏面ルート部の不完全接合原因:プローブの押込み不足及び

入熱不足による塑性流動・撹拌不足

・評価法:断面ミクロ組織検査,裏曲げ試験

100mm 100mm

Microview of kissing bond in FSW joints (as-welded)

(a) 200rpm-500mm/min and (b) 500rpm-300mm/min

Kissing bond (FSW, Al alloys, 4mmt)

(a) 5083-O (b) 7075-T6

SZ SZ

欠陥発生メカニズム

<欠陥発生メカニズム>

(1)入熱過剰(2)入熱不足(3)塑性流動異常

回転する棒端の摩擦発熱Q:Q=(4/3)p2mPNR3

m:摩擦係数P:ツール荷重N:ツール回転速度R:ショルダー径

単位接合長さ当りの入熱:摩擦発熱Q/接合速度V、N/Vに比例する

回転速度

N (

rpm

)

接合速度 V (mm/min)

0 250 500 750 1000 1250 15000

250

500

750

1000

1250

1500

1750

2000

FSW, ADC12, 4mmt

ツール荷重ごとの適正接合条件範囲

6.9kN

9.3kN

11.8kN

14.2kN

塑性流動異常

入熱不足

入熱過剰

ツール破損空洞・溝状欠陥

適正

FSWの特徴(アーク溶接との比較)溶接品質 ・固相接合であり、溶接特有の溶接割れ、気孔の発生が無い。

・スパッタ、ヒューム、紫外線の発生が無いクリーンな環境。

・固相接合にかかわらず、連続した接合継手が得られる。

・接合長の長い接合部でも溶接変形が極めて小さい。

・溶融溶接に比して溶接残留応力が小さい。・接合部組織が微細再結晶粒となり、母材と同等以上の強度

特性を示す。・中厚板材の1パス突合せ継手形成が可能。

溶接消耗品・溶接材料(溶加材)が不要。

・シールドガスが不要(鉄鋼、チタンなどでは要)。

溶接前工程・開先加工や前処理が不要(特にAl合金の場合)。

装置・操作・既存の工作機械技術が適用でき、熟練溶接技能者が不要。

・溶接用電源が不要。

・自動化が容易。

応 用・異なる板厚の継手が可能。

・溶融溶接が困難な鋳物、複合材料への適用が可能。

・異種金属接合への裕度が大きい。

コスト低減・低温接合による省エネルギー化。

・溶接消耗品、前処理、人件費等の大幅削減可能。

アルミ合金厚板の1パス接合

10mm

A5083,25mmt (川重)

開先加工、前処理が不要

FSWの課題と解決策

(1)接合終端部にプローブ穴が残る。

プローブ引き抜き式が開発中、タブ板の適用

(2)溶接線は直線及び2次元で、3次元への適用は難しい。

FSWロボットが開発中

(3)現状ではツール材質の制約で適用材料がアルミ合金、

マグネ合金、銅等の柔らかい材料に限定されている。

高融点金属材,高靱性セラミックス材が開発中

(4)部材を固定するための拘束治具装置、ツール荷重を支える

裏当金が必要。

継手形状の工夫,ボビン式ツール

複動式ツールによる終端部穴の解消

(a) 通常のFSW (b) 複動式FSW

試 料試 料

プローブ穴

異なる厚さの試料に対応可能な複動式ツール

途中で板厚が変動してもプローブの出し入れで調整可能

ピン部

試 料

断面模式図

ボビンツールによる裏当金の解消・

加圧軸力の低減

複動式ツールに試料裏面からショルダー部をつけた場合

試 料

プローブ

ショルダー(表)

試 料

厚板用ボビンツールの一例

ショルダー(裏)

FSWの応用

#アルミニウム合金への適用例(1)アーク溶接からFSWへの転換:

材料:アルミ合金A5000、A6000押出型材適用:鉄道車両、船舶、自動車など目的:溶接変形の低減、コスト削減

(2)リベット継手からFSWへの転換:材料:アルミ合金A2000,A7000

適用:航空機、ロケット機体目的:難溶接材、コスト削減

#溶融溶接が困難な材料、継手への展開・溶接割れ感受性の高い材料・鋳物、ダイカスト材・金属基複合材料・粉末焼結材料・異種金属材料接合継手

各種金属材料へのFSW適用の難易

軟質金属:適用容易

・Al合金 :容易(1000,3000,5000,6000系),

可能(2000,7000系)

・Mg合金:容易(AZ系,AM系,ZK系)

・Cu合金:容易(無酸素銅、60/40黄銅),

硬質/高融点金属:適用可能(困難)

ツールの選択:鉄系ツールでは不可能

超硬ツール、セラミックスツールPCBNの適用

・鉄鋼材料:高張力鋼、低・高炭素鋼、Cr-Mo鋼等

・ステンレス鋼:SUS304,SUS316,2相ステンレス鋼等

・ニッケル合金:インコネル600,インコネル718等

・チタン合金:Ti6Al4V等

・銅合金等(燐青銅、Al青銅、白銅)

AZ系Mg合金のFSW適正条件範囲

FSW, Mg alloys, 5mmt

3000

3500

0

500

1000

1500

2000

2500

0 500 1000 1500 2000 2500

D

AZ61

AZ31

Defect free zone

AZ31

AZ61

AZ91D

溶接速度, V / mm/min

ツール回転速度

, R

t/

rpm

ZK60

AZ91ZK60

Al量の増加に伴い適正接合条件範囲は狭くなる。難燃性Mg合金AMC602はAZ31に近い接合条件範囲を有する。

Mg合金引張強さ

(MPa)

伸び

(%)

継手効率

(%)備考

AZ31B 231 9.4 92押出材

5 mm t

AZ61 269 9.6 87押出材

5 mm t

AZ91D250

(平均)4 100

チクソモールド材

2 mm t

AMC602 235 10 94押出材

2 mm t

難燃性Mg合金

Mg 合金のFSW継手引張強度特性例

基本的に継手破断位置はHAZからTMAZにかけての部分。継手効率は高い値を示す。

無酸素銅及び60Cu/40Zn黄銅のFSW適正条件範囲

500 1000 1500 2000 250000

500

1000

1500

2000

2500

(b) 60/40 黄銅

X X

X 欠陥発生

欠陥無し

X

溶接速度, V / mm/minツール回転速度

, R

t/ rp

m

2500500 1000 1500 200000

500

1000

1500

2000

2500

3000

X X X

X 欠陥発生

欠陥無し(a) 無酸素銅

溶接速度, V / mm/min

ツール回転速度

, R

t/ rp

m

無酸素銅及び60/40黄銅の板厚2mm材では接合条件範囲は広い。板厚の増加に伴い適正溶接速度は減少する。板厚3mmの高力黄銅では400mm/minまで。板厚5mmの無酸素銅では50mm/min程度まで。

60Cu/40Zn 黄銅のFSW継手断面ミクロ組織

100μm20μm

A C

(b) 攪拌部 (c) 前進側 (d) 母材

1mm

後退側 前進側

(a)

CA B

100μm100μm

TMAZ

SZB

B.M.

攪拌部は微細再結晶粒となる。60/40黄銅では特に微細化し易く2~3mmにまで小さくなる。

60/40 黄銅のFSW継手断面硬さ分布

-10 -5 0 5 10

1000-500

1000-1000

(rpm-mm/mm)

前進側後退側

0

40

80

120

160

200

1000-2000

60/40 黄銅

攪拌部

ビッカース硬さ,

H/

HV

0.4

9N

攪拌部中央からの距離,d / mm

60/40黄銅の攪拌部は著しい結晶粒微細化により母材よりも硬さが著しく増加する。

■ 溶接中にガスが素材から吹き出し,溶接が困難となり,多数の

ブローホール発生

■ FSWはこれらの材料に適した接合プロセス

固相接合のためにブローホールが発生しない

プローブの攪拌作用により鋳造組織が微細再結晶組織に変化

鋳造欠陥(ボイド)が消滅する

ダイカスト材・チクソモールディング材

AZ91Dダイカスト材のMIG溶

接部に発生したブローホール(断面組織, AZ61 ワイヤ)

20mm

(b)20mm

(c)

(b) Base Metal

母材(c) Stirred Zone (SZ)

攪拌部

Retreating side Advancing side

1mm(a)

(b)(c)

AZ91Dダイカスト材のFSW部の断面組織

■ セラミックス粒子分散型MMCは高強度でかつ耐摩耗性,耐熱性に優れているが加工性に劣る欠点がある

■ 溶接が困難である

ブローホール,キャビティの発生

セラミックス粒子の凝集,分解

■ FSWはMMCの接合に適している

金属基複合材料(MMC)のFSW接合

10%Al2O3 6061MMC の YAG

レーザ溶接部断面

10%Al2O3 6061MMCのFSW接合継手

断面組織(a),母材 (b) ,攪拌部 (c)

粉末焼結高強度マグネシウム合金へのFSWの適用

10mm200mm

RCP処理(粉末冶金)

微細粒化(高強度化)

Ingot Fine-grained alloy

FSW Joint microstructure:1500rpm, 500mm/min

Base metal:367MPa、10%FSW Joint:338MPa、8%Fine grains are still kept in SZ

By Prof. Kondoh, JWRI

By Prof. Nakata, JWRI

Roll Compaction Process (RCP)

1~2 mm

後退側 前進側

ADC12 A5052

異材継手:ダイカスト材/圧延材

・各種アルミニウム合金の組合せ・製造法の異なる合金の組合せ

10%Al2O3 6061MMCと6061アルミ合金とのFSW突合継手

鉄鋼・耐熱合金のFSW

信頼できるツールの開発が必要現行のツール材質:・超硬合金(WC-Co)

・W-Re合金・立方晶窒化ホウ素 PCBN

IF鋼

回転ツール回転ツール

IF鋼

PCBNツールによるIF鋼のFSW中の外観

ステンレス鋼FSW外観

高炭素鋼のFSW:FSW of High carbon steel

共析組織Eutectoid S70C(0.7wt%C); 300mmL×30mmW×1.6mmT:Butt joint

Tool: 超硬WC/CoShoulder径: 12mmProbe径: 4mmProbe長: 1.4mm

FSW of steel:

High temperature FSW

1000〜1200℃Martensite

Low temperature FSW

Lower than 723℃,A1

Fine ferrite phase

+ granular cementite

微細F+球状Fe3C

By Prof. FUjii, JWRI

インコネル600のFSW接合部組織

攪拌部母材

接合部断面:

板厚2mm

攪拌部の結晶粒は母材よりも微細化する

FSW継手は母材部で破断する

鉄鋼・耐熱合金の摩擦撹拌接合の課題

1. 耐久性の高いツールの開発2. 接合部の特性評価3. 現場に適用可能な装置システムの開発4. 最終ツール穴の処理法の開発

など

#1 摩擦撹拌プロセスFriction Stir Processing (FSP)

組織改質による機械的性質の改善

#2 摩擦撹拌点接合Friction Spot Joining (FSJ)

Friction Stir Spot Welding (FSSW)

FSWによる薄板重ね点接合

#3 摩擦撹拌重ね接合Friction Stir Lap Joining

#4 摩擦肉盛Friction Cladding

FSWの新しい展開

20mm 20mm20mm

5mm 5mm

Retreating side Advancing side

1mm

31

2

母材 SZ部

1

5mm

共晶Si

共晶Si

α-Al

Base Metal

2

TMAZ

3

SZ

OM

SEM

α-Al

共晶Si

ADC12ダイカスト材FSW接合部の微細組織形成

◆鋳造組織の改質-ブローホールの削減-破断チル層の消滅-結晶粒微細化-金属間化合物の微細分散

FSP部の機械的性質の向上(引張、衝撃、疲労特性)

FSPによるADC12ダイカスト材の組織改質

破断チル層(Cold flake)

1mm

0

50

100

150

200

250

300

Number of cycles

Am

plit

ud

e s

tre

ss (

MP

a)

104 105 106 107 108

Base Metal

MP-FSP

母材130MPa

FSP部195MPa

摩擦撹拌点接合:FSJ,FSSW

1. アルミ合金の抵抗スポット溶接の代替2.高張力鋼シート材の抵抗スポット溶接の代替3.アルミ合金/鉄鋼シート材の重ね異材接合

技術開発の動向に注意を払う必要あり

摩擦点接合の接合過程

ツ ール

被接合材

回 転 方 向

塑 性 流 動

上 下 方 向

塑 性 流 動

( 1) ピ ン 圧入 ( 2) 攪拌・ 一体化 ( 3) ピ ン 引抜き

接合条件のパラメータ

ツール回転数

押込み荷重

ツール形状

接合時間

回転ツール

アルミシート

アルミシート

アルミ合金シート材の重ねスポット接合

摩擦撹拌点接合:動画

摩擦肉盛法

光生アルミニューム工業(株)

肉盛材からなる丸棒を回転させながら基材表面に加圧して押し付け、発生する摩擦熱で肉盛材を軟化し、塑性変形させて基材に圧着する肉盛法

おわりに

#進化する高機能・低コストアーク溶接#汎用性を高めているレーザ溶接そして、#低炭素社会に適応したFSWとその発展型の各種プロセス

これらを常に比較検討し、適材適所で適用を図る必要がある

ご清聴有難うございました。

溶融溶接が困難な材料への適用例

FSWの適用:各種金属材料

Mg合金(AZ91D)ダイカスト材のFSWミクロ組織

母材の粗大な凝固組織はプローブの攪拌により微細再結晶粒となり,粗大な金属間化合物Mg17Al12相は分解消滅する

20mm

(b)20mm

(c)

(b) Base Metal

母材(c) Stirred Zone (SZ)

攪拌部

Retreating side Advancing side

1mm(a)

(b)(c)

■ 溶接中にガスが素材から吹き出し,溶接が困難となり,多数の

ブローホール発生

■ FSWはこれらの材料に適した接合プロセス

固相接合のためにブローホールが発生しない

ピンの攪拌作用により鋳造組織が微細再結晶組織に変化

鋳造欠陥(ボイド)が消滅する

ダイカスト材・チクソモールディング材

AZ91Dチクソモールディング材のFSW継手断面組織(1750rpm, 50 mm/min)

AZ91Dダイカスト材のMIG溶

接部に発生したブローホール(断面組織, AZ61 ワイヤ)

AZ系Mg合金のFSW適正条件範囲

FSW, Mg alloys, 5mmt

3000

3500

0

500

1000

1500

2000

2500

0 500 1000 1500 2000 2500

D

AZ61

AZ31

Defect free zone

AZ31

AZ61

AZ91D

溶接速度, V / mm/min

ツール回転速度

, R

t/

rpm

ZK60

AZ91ZK60

Al量の増加に伴い適正接合条件範囲は狭くなる。難燃性Mg合金AMC602はAZ31に近い接合条件範囲を有する。

Mg合金引張強さ

(MPa)

伸び

(%)

継手効率

(%)備考

AZ31B 231 9.4 92押出材

5 mm t

AZ61 269 9.6 87押出材

5 mm t

AZ91D250

(平均)4 100

チクソモールド材

2 mm t

AMC602 235 10 94押出材

2 mm t

難燃性Mg合金

Mg 合金のFSW継手引張強度特性例

基本的に継手破断位置はHAZからTMAZにかけての部分。継手効率は高い値を示す。

■ 溶接中にガスが素材から吹き出し,溶接が困難となり,多数の

ブローホール発生

■ FSWはこれらの材料に適した接合プロセス

固相接合のためにブローホールが発生しない

プローブの攪拌作用により鋳造組織が微細再結晶組織に変化

鋳造欠陥(ボイド)が消滅する

ダイカスト材・チクソモールディング材

AZ91Dダイカスト材のMIG溶

接部に発生したブローホール(断面組織, AZ61 ワイヤ)

20mm

(b)20mm

(c)

(b) Base Metal

母材(c) Stirred Zone (SZ)

攪拌部

Retreating side Advancing side

1mm(a)

(b)(c)

AZ91Dダイカスト材のFSW部の断面組織

■ 溶接中にガスが素材から吹き出し,溶接が困難となり,多数の

ブローホール発生

■ FSWはこれらの材料に適した接合プロセス

固相接合のためにブローホールが発生しない

ピンの攪拌作用により鋳造組織が微細再結晶組織に変化

鋳造欠陥(ボイド)が消滅する

ダイカスト材・チクソモールディング材

AZ91Dチクソモールディング材のFSW継手断面組織(1750rpm, 50 mm/min)

AZ91Dダイカスト材のMIG溶

接部に発生したブローホール(断面組織, AZ61 ワイヤ)

■ セラミックス粒子分散型MMCは高強度でかつ耐摩耗性,耐熱性に優れているが加工性に劣る欠点がある

■ 溶接が困難である

ブローホール,キャビティの発生

セラミックス粒子の凝集,分解

■ FSWはMMCの接合に適している

金属基複合材料(MMC)のFSW接合

10%Al2O3 6061MMC の

YAGレーザ溶接部断面

10%Al2O3 6061MMCのFSW接合継手

断面組織(a),母材 (b) ,攪拌部 (c)

後退側 前進側

ADC12 A5052

異材継手:ダイカスト材/圧延材

・各種アルミニウム合金の組合せ・製造法の異なる合金の組合せ

10%Al2O3 6061MMCと6061アルミ合金とのFSW突合継手

鉄鋼・耐熱合金のFSW

信頼できるツールの開発が必要現行のツール材質:・超硬合金(WC-Co)

・W-Re合金・立方晶窒化ホウ素 PCBN

IF鋼

回転ツール回転ツール

IF鋼

PCBNツールによるIF鋼のFSW中の外観

ステンレス鋼FSW外観

高炭素鋼のFSW:FSW of High carbon steel

共析組織Eutectoid S70C(0.7wt%C); 300mmL×30mmW×1.6mmT:Butt joint

Tool: 超硬WC/CoShoulder径: 12mmProbe径: 4mmProbe長: 1.4mm

FSW of steel:

High temperature FSW

1000〜1200℃Martensite

Low temperature FSW

Lower than 723℃,A1

Fine ferrite phase

+ granular cementite

微細F+球状Fe3C

By Prof. FUjii, JWRI

インコネル600のFSW接合部組織

攪拌部母材

接合部断面:

板厚2mm

攪拌部の結晶粒は母材よりも微細化する

FSW継手は母材部で破断する

#1 摩擦攪拌プロセスFriction Stir Processing (FSP)

組織改質による機械的性質の改善

#2 摩擦攪拌点接合Friction Spot Joining (FSJ)

Friction Stir Spot Welding (FSSW)

FSWによる薄板重ね点接合

FSWの新しい展開

20mm 20mm20mm

5mm 5mm

Retreating side Advancing side

1mm

31

2

母材 SZ部

1

5mm

共晶Si

共晶Si

α-Al

Base Metal

2

TMAZ

3

SZ

OM

SEM

α-Al

共晶Si

ADC12ダイカスト材FSW接合部の微細組織形成

◆鋳造組織の改質-ブローホールの削減-破断チル層の消滅-結晶粒微細化-金属間化合物の微細分散

FSP部の機械的性質の向上(引張、衝撃、疲労特性)

FSPによるADC12ダイカスト材の組織改質

破断チル層(Cold flake)

1mm

0

50

100

150

200

250

300

Number of cycles

Am

plit

ud

e s

tre

ss (

MP

a)

104 105 106 107 108

Base Metal

MP-FSP

母材130MPa

FSP部195MPa

摩擦撹拌点接合:FSJ,FSSW

1. アルミ合金の抵抗スポット溶接の代替2.高張力鋼シート材の抵抗スポット溶接の代替3.アルミ合金/鉄鋼シート材の重ね異材接合

技術開発の動向に注意を払う必要あり

摩擦点接合の接合過程

ツ ール

被接合材

回 転 方 向

塑 性 流 動

上 下 方 向

塑 性 流 動

( 1) ピ ン 圧入 ( 2) 攪拌・ 一体化 ( 3) ピ ン 引抜き

接合条件のパラメータ

ツール回転数

押込み荷重

ツール形状

接合時間

おわりに

#進化する高機能・低コストアーク溶接#汎用性を高めているレーザ溶接そして、#低炭素社会に適応したFSW

これらを常に比較検討し、適材適所で適用を図る必要がある

ご清聴有難うございました。

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