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Google Apps と Office 365 の違いにつきまして

(第二章)

ITライブラリー (pdf 100冊)

http://itlib1.sakura.ne.jp/

一般社団法人

情報処理学会 正会員

腰山 信一

ftks7856@ybb.ne.jp

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目次番号 100番 Google AppsとOffice 365の違いにつきまして

全5冊 500ページ

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SLAにおける比較

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一般的なクラウドサービスでは、責任のあり方を「SLA(サービスレベル契約)」という形で規定しており、その内容は、サービスによってさまざまで、適用するトラブルの範囲や可用性の定義、一定のレベルを下回ったときの保証項目などに違いがあります。

トラブルによる業務停止は、どのような業態の企業によっても避けるべきことに違いはありませんが、万がーの場合に、どのような内容に従って保証が受けられるかは、サービス選びの基準として事前に考慮しておく必要があります。

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たとえば、SLAの対象がどのようになっているのかは、サービスによって考え方が異なる場合があります。

Office365では、すべてのサービスをSLAの対象として包括的なものとして定義していますが、Google Apps では新機能を事前に試すことができるベータテストをSLAの対象外としています。

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正式なサービスではない以上、SLAの対象外であることは明らかですが、便利な機能の場合、SLAを考慮せずに利用してしまうユーザーも少なくありません。

自己責任の領域がサービスに含まれていることは、ユーザーとして注意しておく必要があります。

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また、Office365では、 SLAで定義された稼働率を下回った場合に、規定されたサービス利用料金に相当する金銭が返金されますが、 Google APPSでは、基本的にサービスクレジットとして、サービス期間終了後に無償で追加されるサービス日数として提供されます(毎月の請求プランの場合のみ金銭で精算可能)。

このほか、サービスの動作状況(正常性)について、管理用画面から確認できるかどうかもサービスによって違いがあります。

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トラブルの切り分けが容易か、万がーの場合にどのような保証が受けられるのかをしっかりと確認しておく必要があります。

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SLAの対象となる機能および条件、稼働状況の確認方法

Google Apps

サービス対象

Gmail

Google カレンダー

Google トーク

Google ドライブとドキュメント

Google グルーブ

Google サイト

Google Apps Vault

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月間稼働率と返金率

99.9%未満 →3日分

99%未満 →7日分

95%未満 →15日分

稼動状況

ステータスダッシュボード

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Office365

サービス対象

Bing Maps Enterprise Platform

Bing Maps Mobile Asset Management

Duet Enterprise Online

Dynamics CRM Online

Exchange Online Archiving

Exchange Online

Exchange Online Protection

Lync Online

Office Web アプリケーションProject Online

SharePoint Online

Translator API

Windows Azure Active Directory Rights Management

Yammer Enterprise

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99.9%未満 →25%

99%未満→50%

95%未満→100%

月間稼働率と返金率

稼動状況

管理者でサインインしたホーム画面

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ロードマップにおける比較

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常に革新を求めて進化を続けるGoogle では、スビートが重視されており、開発途中のべータ版サービスをユーザーに提供する機会が多く、そのサービスの本サービス化や廃止も1週間程度の短期間で決定されるケースが多いです。

ユーザーは結果的に、他には存在しない革新的なサービスを常に使い続けることができますが、自社で採用したいと考えていたベータ版サービスが廃止になるケースやサービス改善のために操作性が変更されることに対して、常に対応するための準備が欠かせないことになります。

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一方、Office365は、Google Apps のようなスピード感はないものの、重要な変更については12ケ月前に通知されるなど、サーヒスの変更について、ユーザーに十分な対応期間が与えられるケースが多いです。

導入後に、どのようにサービスを維持していくか、サービスの変化にどこまで追従できるか、自社の意志決定や展開のスビード感なども考慮しながら、利用するサービスを選定すべきだと思います。

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社内への展開・導入の計画に閲わるチェックポイント

①最新の機能を常に利用できる

②ユーザーインターフェイスが迅速に改善される

Google Apps 優位な点

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①新機能のロードマップが明らかでない

②機能によっては廃止される可能性がある

③新機能より、リリースは1週間前と期間が短い

検討すべき点 Google Apps

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①突然の変更に対する対応やコストがかからない

②定期的な更新に加え要な変更は12力月前に通知される

③ロードマップが公開されている

Office365 優位な点

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①将来導入される機能のテスト機会が多くはない

②大規模な機能の改善に時間がかかる場合がある

Office365検討すべき点

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サボート面における比較

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サービスの停止や動作に問題が発生した際に、どのような対処が期待できるのかもクラウドベースのグループウェアを選ぶ重要な基準となる。

特に、社内のまとめ役となる管理担当者が、重大なトラブルに関して、どのような方法で連絡することができ、どのような対応をしてもらえるのかは、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

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Google Apps、Office365ともに、サボートへの連絡方法としてさまざまな窓口が用意されています。

エンドユーザー向けにハウツーやよくある質問なとのコンテンツを用意したり、ユーザー同士のコミュニケーションによるトラブルシューティングの場が用意されるほか、メールでの問い合わせや電話でのやり取りを行なうことも可能です。

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ただし、利用方法はトラブルの重要度などによって区別されており、 Office365では、使い方や簡単な障害についてはヘルプおよびコミュニティの参照や検索、トラブルシューティングの利用が推奨されています。

より複雑なトラブルについては、 Web上のフォームからサービスリクエストを送信することができ、サービスが利用できないなどの重大なトラブルの場合は、VirtualChatと呼ばれる質問に自動回答するシステムを利用したり、直接、電話をかけることで、その場で24時間の対応を受けることができます。

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一方、Google Appsも、軽微なトラブルに関しては、ハウツーやよくある質問などを参照し、重大なトラプルに関してはメールや電話でのサポートを受けることができますが、この際、 「GoogleApps 技術サボートサービスガイドライン」というガイドラインに沿った形で対応が分けられます。

Googleでは、顧客からのりクエストに優先度を設定することで、対応の時間や返答方法が区別されます。

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たとえば、優先度1(重大な影響)のトラブルについては、年中無休で1時間以内を目標に一次回答を返信するといった形態となります。

必ずしも自社のリクエストが優先的に処理されるわけでなく、トラブルが重大かどうかによって対応が変わることがある点は注意しておく必要があります。

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拡張性における比較

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Office365のユーザーやライセンス、認証などの機能は、「Windows Azure Active Directory」として、 APIが公開されており、Windows Azure 上に展開したディレクトリサービスや自社内に設置したADサーバーと連携させることも可能となっています。

また、業界標準のブロトコルや豊富に用意された外部連携用のAPIを活用することが可能なため、古くから自社内に設置して使い続けている業務システムと連携させたり、CRMやERPなどの他社のクラウドサービスとOffice365の各種サービスを連携させることなども可能となっています。

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こう言った他のシステムとの連携においてもビジネス・ニーズを基盤に開発して来たOffice365のほうが、個人向けに発達してきたGoogle Appsより優れていると思います。

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Microsoft Office 2013 と並列で動作する Office 365 ProPlus

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具体的な移行面における比較

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クラウド型のグループウエアを導入する際、最も考慮する必要があるのは、やはり既存システムからの移行です。

メールやカレンダー、ドキュメント共有など、企業規模やニーズによって導入している機能に違いはあるものの、これらの機能で利用している情報が、Google AppsやOffice365の導入後も、問題なく使えるかどうかは非常に重要な問題です。

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特にメールに関しては、普段の業務と密接に関係しているだけに、いかに手間なく、そしてサービスを止めることなく短期間、かつシームレスに移行できるかどうかが重要です。

このようなニーズに対して、Google Apps、Office365の両者ともに、規模と機能に応じたさまざまなソリューションを用意しています。

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①より多くのアカウントを手間なく移行するための

ディレクトリー同期、

②パスワード管理の煩雑さをなくすためのシングル

サインオン構成

③ さらにローカルとクラウドのハイブリッド構成など

規模や利用形態のサービスごとに、既存システムから移行するためのさまざまなしくみが用意されています。

10名前後の小規模な環境のホスティングメールからの移行はもちろんのこと、

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どのような場合に、どの方法を利用すればいいのかを検討しつつ、 Google Apps、Office365の特微や違いをケースごとにご説明します。

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数百名以上の大規模な環境での移行はディレクトリー同期+SSOで移行

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ユーザー数が数百名を超えるような大規模な環境では、どのような移行となるのだろうか?

基本的な考え方は、中規模な環境と同様にディレケトリー同期ツールを利用して、 Active DirectoryなどからGoogle

AppsやOffice365にユーザーを移行することになりますが、同時にシングルサインオン(SSO)の環境を整備しておくとがベターです。

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SSOの環境を構築すれば、認証はローカルのActive

Directoryで行うことができるため、ローカルで利用しているアカウントをそのまま使ってクラウドサービスにサインインすることができます。

方法としては、Google Apps、Office365ともにActive

Directory フェデレーションサービス2.0 (ADFS2.0)を利用するのが一般的ですが、設定手順はそれぞれ異なるOffice365では、ディレクトリー同期を含め、環境の構築に役立つ自習書などのドキュメントが充実しているので参考にするといいと思います。

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SSOが必要な大規模な環境の場合、作業を外部に委託する場合が多いですが、テスト環境の構築や自力で移行する際には参考になります。

なお、両者ともパスワードの同期などを含めたより高度な同期やシングルサインオン環境を構築できるサードパーティ製の有料ツールが存在しますので、これらの利用も検討する価値があると思います。

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シングルサインオンの構成例 ADFSサーバーを用意することで、クラウドサービスの認証をローカルのAclive

Directoryと連携させることができます。

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同一

ID/PW

ユーザー Active Directory

同期ツール

ユーザー情報

同期

AD FS 2.0

ディレクトリー

OR

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ディレクトリー伺期によるGoogle Apps へのアカウントと登録

ADFSサーバーの準備(インストール/サーバー証明書)

Google Appsでのシングルサインオン設定

ADFSの設定、Google Appsの信頼

Active Directory へのメールアドレスのマッピング

Google Apps

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移行のポイント

設定手順を複数の場所で実行する必要がある

シングルサインオン用のサードパーティ製ツール(有料)が数多く存在する。

Google Apps

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Office365

ディレクトリー同期によるOffice365へのアカウント登録

ADFSサーバーの準備インストール/サーバー証明書

フェデレーション環境のセットアップ、コマンド実行

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移行のポイント

PowerShell コマンドレットを使ったシンプルな設定

ローカルのExhangeを併用するハイブリッド環境も実現可能

シングルサインオン用のサードパーティ製ツール(有料)も利用できる

Office365

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Office365は加えて、プレミアサボートなどの有料サポートも提供されています。

また、どちらもフォーラムなどでのコミュニケーションが活発なため、身近な疑問に関してはフォーラムなどで解決することが可能です。

環境構築や技術などの理解に役立つドキュメントについては、どちらも充実しているものの、Google Apps は英文のまま掲載されているケースが多く見られれます。

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Exchange Serverからのデータ移行における比較

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規模に関係なくメールや連絡先などのデータをローカルからクラウドに移行しなければならない場合もあります。

このような場合でも、 Google Apps、Office365のいずれもデータ移行に利用可能な各種ツールを用意しているため、此較的容易に移行することができます。

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たとえば、ローカルに設置してあるExchanaeサーバーからの移行の場合、Office365ではExchange Serverに接続するための設定を施した後に、Office365側から移行用のプログラムを起動することで、ローカルのデータをウラウドへと移行することができます。

また、ユーザーのバソコンに保存されているExchangeのデータファイルを探索してサーバーに吸い上げる無償ツールもあります。

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Google Appsも同様に「Google Apps Migration for

Microsoft Exchange」をローカルにインストールすることで、Exchangeのデータをクラウドへ移行可能です。

ただし利用には条件もあります。Office365では1000以上のアカウント移行はExchange 2010以降でのみサポートされます。Google Appsでは、バブリックフォルダーや25MB以上のメール、定期的な予定、グローバルアドレスリストなどが移行できません。

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Exchange Google Apps Migration

for Microsoft Exchange

登録

Google Apps

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移行のポイント

①移行用サーバーにOutlookとユーザーリストのCSVファイル必要

②PSTファイルを読み込み、ユーザーごとにGoogle Apps へ移行

③移行できない情報に注意

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Exchange

Outlook Anywhere を有効メールボックスへのアクセス許可

Office365を承認済みドメインとして追加

コントロールパネルから移行プログラムを実行

データを移行

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移行のポイント

ローカルにExchangeを残さずにクラウドに移行する場合は、Office365のコントロールバネルからの操作で移行が可能

ローカル環境と共存するハイブリッド移行も可能(ディレクトリー同期&SSOを併用)

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運用管理ツールにおける比較

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管理業務を担うWeb画面

自前のサーバーを設置しなくて済むのがクラウドサービスの特徴とはいえ、普段の管理業務から完全に解放されるわけではありません。

人事異動によるユーザーの登録や変更、利用サービスの割り当て、各種レボートの参照など、各種設定や管理業務は必要不可欠です。

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そこで注目したいのが、 Google AppsやOffice365を日常的に運用していくための管理機能の完成度です。

まずは、Google Apps ですが、Google のコーポレートデザインを踏襲したシンプルな構成の管理画面が提供されています。

管理者アカウントでサインインすると、ダッシュボードと呼ばれるメイン画面が表示され、ここからメール、カレンダーなど、実際にユーザーに利用させるサービスを追加することができます。

Google Apps では、Google Apps Marketplaceやパートナーで提供されている有料/無料のサービスも追加することができますが、これらの追加もダッシュボードから構成可能です。

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一方、Office365では、管理者としてサインインすると、「管理者の概要」と呼ばれるガイドページからスタートします。

管理用のショートカットも配置されているので、操作に慣れた管理者なら、すぐに管理業務に取り掛かれます。

管理者のタスクがステップごとに紹介されており、はじめて利用する場合でも何をすればいいのかが、わかりやすいです。

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機能や役割の割り当て方法

組織形態や従業員の役割に合わせて柔軟な機能や権限が与えられるかどうかを比較してみました。

Google Appsでは、ユーザーごとに割り当てる機能を区別したいときは、下位組織を作成し、組織単位でユーザーと機能を構成する必要があります。

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Office365では、ユーザーが利用できる機能は、サブスクリプション画面内で管理します。

ここでは、契約中のプランを割り当てたり、特定機能の利用を許可・制限したりということが、個別に設定できます。

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Google Appsでは、ユーザーごとに「特権管理者」、「グループ管理者」、「ユーザー管理者」、「ヘルプデスク管理者」、「サービス管理者」など、管理者の役割を設定することが可能です。

たとえばユーザーの登録が可能なアカウントを作成するなど、特定の管理権限を持ったユーザーを作成できる管理画面にアクセスした際は、与えられた管理業務のみが表示されるようになっています。

ユーザーの役割の割り当て方にも、Google AppsとOffice365では異なる点があります。

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一方、 Office365は、もう少し複雑な管理が可能です。ユーザーへの管理者の役割の設定機能はGoogle Appsと同様のものが備わっています。

これに加えて、ExchangeやSharePoint などのアプリケーションごとに、さらに細かく管理権限を設定も可能です。

たとえば、監査目的で他のユーザーのメールボックスを検索できる権限を付与したり、SharePoint でサイトごとに管理する権限を個別のユーザーに設定したりすることができます。

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これにより、ユーザー部門で現場のりーダーをたてて、アプリケーションの管理をやりたい場合や、アプリケーションごとに管理部門が異なる場合にも対応できます。

Google Apps の方がシンプルですが、実際のビジネスシーンでは複数のユーザーで管理業務を分担したり、グループごとの管理はそのグループの長に委譲したりするケースもあるため、柔軟な運用をしたい場合はOffice365の方が適していると言えます。

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Google Appsの管理画面。Google のサービスらしくシンプルなユーザーインターフェイスを採用しています。 サービスの全体的な管理権限をユーザーに委譲することも可能です。

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Office365の管理画面。 サービス全体の管理業務だけでなく、サービスごとの管理権までも細かく設定可能です。 使いこなすことができれば、組織内で管理作業を効率的に分担できます。

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