カーボンナノチューブ紡績糸を利用した フレキシブ …...アウトライン 1....

Preview:

Citation preview

カーボンナノチューブ紡績糸を利用したフレキシブル熱電デバイス

奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科   伊藤光洋、中村雅一

http://mswebs.naist.jp/LABs/greendevice/

第3回関西ものづくり技術シーズ発表会      2015/5/26

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学NARA INSTITUTE of SCIENCE and TECHNOLOGY

グリーンフォトニクス研究プロジェクトTHE GREEN PHOTONICS PROJECT

No. 20655040 No. 25888016 No. 15K21163 No. 15H01000 No. 15J10711

アウトライン

1. エナジーハーベスティングとIoT

2. 熱電変換デバイスの基本設計と材料への要求

3. フレキシブル熱電変換素子における技術課題

4. CNT紡績糸を利用した布状熱電変換デバイス

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学NARA INSTITUTE of SCIENCE and TECHNOLOGY グリーンフォトニクス研究プロジェクトTHE GREEN PHOTONICS PROJECT

エナジー・ハーベスティング (Energy Harvesting)

放送電波、橋の振動、自動車の熱、水道の水流、室内の光など、身の回りに存在する未利用エネルギーから小さな電力を得て電子回路を動かそうという技術。

http://hi-globe.com/?attachment_id=381

3

IoT: Internet of Things�

これら末端の孤立電子機器にはエナジーハーベスティングが必要!�

モノのインターネット:�従来パソコンやサーバーなどが接続されていたインターネットに、それ以外の様々な“モノ”を接続する技術。�

4

ヘルスモニタ

Internet�

モーションモニタ 環境モニタ ロケーションモニタ

身の回りのあらゆるモノに埋め込まれたセンサー 相互で通信が可能になる技術や仕組み、状態

アウトライン

1. エナジーハーベスティングとIoT

2. 熱電変換デバイスの基本設計と材料への要求

3. フレキシブル熱電変換素子における技術課題

4. CNT紡績糸を利用した布状熱電変換デバイス

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学NARA INSTITUTE of SCIENCE and TECHNOLOGY グリーンフォトニクス研究プロジェクトTHE GREEN PHOTONICS PROJECT

熱電変換基礎:ゼーベック効果

金属では数μV/K程度、

半導体では一般的に0.1〜1 mV/K程度

ゼーベック係数:� α=−

ΔVΔT

6

温度差 電位差

現象の総称であるため、 物理的メカニズムは多数ある

TΔTT +

ΔV・ キャリア密度の不均衡(半導体) ・ キャリア拡散係数の不均衡(金属)

※        

:  p-type :  n-type

0>α0<α

熱電変換基礎:デバイス構造

π-type cell

G.J. Snyder and E.S. Toberer, Nature Materials 7, 105 (2008).

α > 0α < 0

7

熱電変換基礎:デバイス効率とZT 

κ が小さいほど良い

α が大きいほど良い

σ が大きいほど良い

2. 無効な熱流による低温側へのエネルギーの漏れを抑えて

1. 効率良く電気エネルギーに変換し

3. ジュール熱での損失を抑えて電流として取り出す

8

T

ΔTT +

ZT =

α 2σT

κ

無次元性能指数

P =α 2σ (W/K2cm)

パワーファクター

フレキシブル熱電材料の現状 

9

フレキシブル熱電材料の研究は急激に発展しており、 ZT = 1 に迫りつつある

アウトライン

1. エナジーハーベスティングとIoT

2. 熱電変換デバイスの基本設計と材料への要求

3. フレキシブル熱電変換素子における技術課題

4. CNT紡績糸を利用した布状熱電変換デバイス

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学NARA INSTITUTE of SCIENCE and TECHNOLOGY グリーンフォトニクス研究プロジェクトTHE GREEN PHOTONICS PROJECT

フレキシブル熱電変素子における技術課題

p  ボタン電池等を置き換える経済的メリットが必要�→・出力あたりのコストが安い�

p  大きな面積で低い効率を補う必要がある�→・面積あたりのコストが安い��・機械的な柔軟性が高い��・身体や曲面に貼り付ける場合は、���ある程度薄いほうが良い�

p  特に低温源が大気になる場合が多く、放熱抵抗が大きいところで温度差を得なければならない�

p  人体貼付用途や建造物外壁用途など本来断熱的である場所では、むやみに熱流を流してはいけない�→・熱伝導率が低い��・ある程度の厚みが必要�

p  低温熱源であるため、セル1段あたりの出力電圧が小さい�→・セル直列接続の容易性�

11

ZT以外に考えるべきこと�

厚み制御が可能なフレキシブル熱電デバイス が必要

12

1.2

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

0.0η/η(κ

: 0.1

W/K

m, d

: 3

mm

)

543210Thickness, d (mm)

κ = 0.1 (W/Km)

κ = 1 (W/Km)

※ZT一定とするためにκ∝σとした。

大気を冷却源とする場合、放熱効率が低いために

温度差が得られない。

アウトライン

1. エナジーハーベスティングとIoT

2. 熱電変換デバイスの基本設計と材料への要求

3. フレキシブル熱電変換素子における技術課題

4. CNT紡績糸を利用した布状熱電変換デバイス

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学NARA INSTITUTE of SCIENCE and TECHNOLOGY グリーンフォトニクス研究プロジェクトTHE GREEN PHOTONICS PROJECT

CNT紡績糸

http://cen.acs.org/articles/91/i2/Spinning-Superior-Nanotube-Fibers.html �

M. Zhang et al., Science. 306, 1358 (2004).�

ウェットスピニング法�

https://nanonet.go.jp/magazine�

ドライスピニング法�巻き取られたCNT紡績糸�

基板、電極なしで、3次元デバイスを 作製でき、デバイス厚の制御が容易�

熱電デバイスへの応用

配向制御による導電率の向上�テキスタイルエレクトロニクス素材として 幅広い応用が可能� テキスタイルエレクトロニクスへの応用�

14

CNT紡績糸の熱電デバイス応用

CNT (SWNT : NanoIntegris社) 0.4 wt% �

SDS (sodium dodecyl sulfate : Sigma Aldrich) 3.5 wt% ・・・ �

PVA (polyvinyl alcohol : Sigma Aldrich) 7.5 wt% ・・・・・・・・・・ �

CNT分散剤、凝集液条件

分散剤�

凝集液�

ウェットスピニング法 ・・・分散剤や凝集液を変えることで界面制御が可能�

実験方法

15

実験方法

回転停止 引き上げ

純水に置換

乾燥

直径分布 出来上がったCNT紡績糸

・・・水面下降とともに上から乾燥

16

CNT紡績糸の熱電測定�

I-V測定

PVAへの正孔移動、 CNT間へのPVAの挿入�

2.9倍 凝集液の選択により さらなる性能向上

a ↑, s ↓の原因�

ゼーベック測定

(大気中 at 300 K)� 17

PEIによるN型ドーピング�

PEI (polyethyleneimine)・ ・ ・�CNTへのn型ドーパント剤�PEI�

CNT中のホールを打ち消し、真性に近づく (s ↓) �

導電率の変化

ドーピング

電子が多数キャリアに�

電子数の増加 (s ↑) �

18

PEIによるN型ドーピング�

PEI (polyethyleneimine)・ ・ ・�CNTへのn型ドーパント剤�PEI�

の変化

電子数の増加によりホールのゼーベック効果が打ち消させれる (|a |↓) �

ゼーベック係数の変化

ドーピング

電子が多数キャリアに�

電子のゼーベック効果を打ち消す正孔の減少(|a |↑) �薄膜同様にドーパントによるキャリア制御が可能

19

PEIによる部分N型ドーピング�

CNT紡績糸熱電デバイス 実験方法

PEI 1wt% 溶媒 : メタノール

1. PEIを用いて、CNTを部分n型ドーピング�

2. n型ドーピングを行った部分(DVn)、行って いない部分(DVp)、全体(DVpn) の熱起電力を測定�

DVn � DVp �

DVpn �

N型 ドーピング�

ドーピングなし�

電極�

電極� T�T�

T+DT�

電極�

20

PEIによる部分N型ドーピング�

CNT紡績糸熱電デバイス ドーピングなしCNT紡績糸

DVp ≒DVnより、DVpn ≒0

DVn �DVp �

DVpn �

p型�

n型�

ap=39.1 (mV/K) an=37.2 (mV/K) �apn=1.0(mV/K) �

21

PEIによる部分N型ドーピング�

CNT紡績糸熱電デバイス 部分ドーピング

両方がn型ゼーベック効果を示すこと により、DVpnが打ち消しあい減少

p型�

n型�

ap=-17.8(mV/K) an=-26.5(mV/K) �apn=-6.2(mV/K) �

PEI 1wt% 溶媒 : メタノール

CNT紡績糸�

DVn �DVp �

DVpn �

22

PEIによる部分N型ドーピング�

CNT紡績糸熱電デバイス 部分ドーピング

p型、n型両方の特性を有する CNT紡績糸の作製に成功

DVn �DVp �

DVpn �

p型�

n型�

ap=15.5 (mV/K) an=-17.8 (mV/K) �apn=32.0 (mV/K) �

メタノール PEI 1wt% 溶媒 : メタノール

CNT紡績糸�

23

熱電デバイス試作�

24 N型ドーピング部分

電流が流れるのを確認

P型部分

デバイス作製

P,NのパターニングをしたCNT紡績糸を布に縫いつけることでデバイス作製

熱電デバイス試作�

軽く触れるだけで電圧(〜2.5 mV)が出力される�25

2.50 mV

p  ボタン電池等を置き換える経済的メリットが必要�→・出力あたりのコストが安い�

熱電繊維を基材に縫い込むだけで立体的な直列素子構造が形成可能�

p  大きな面積で低い効率を補う必要がある�→・面積あたりのコストが安い��・機械的な柔軟性が高い��・身体や曲面に貼り付ける場合は、���ある程度薄いほうが良い�

p  特に低温源が大気になる場合が多く、放熱抵抗が大きいところで温度差を得なければならない�

p  人体貼付用途や建造物外壁用途など本来断熱的である場所では、むやみに熱流を流してはいけない�→・熱伝導率が低い��・ある程度の厚みが必要� (フレキシブル性と両立させる場合は、�

�数mmが適当か)�

本研究による解決法�

曲げ伸ばしに対する耐性が得られる�

CNT紡績糸により...�

構造基材としてフェルトや発泡樹脂が使える�

構造基材の厚みを活かして熱電素材を縫い込める�

p  低温熱源であるため、セル1段あたりの出力電圧が小さい�→・セル直列接続の容易性�

26

フレキシブル熱電変素子における技術課題の解決法

Recommended