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防衛省規格 NDS
K 4305B
テトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用) 制定 昭和55. 4. 1
改正 平成 26. 4.23
X 目 次
ページ
1 適用範囲 ··································································· 1
2 引用規格 ··································································· 1
3 用語の定義 ································································· 1
4 種類 ······································································· 2
5 化学的性質・物理的性質 ····················································· 2
6 試料採取方法 ······························································· 2
6.1 ロットの構成 ····························································· 2
6.2 採取方法 ································································· 2
7 試験方法 ··································································· 2
7.1 β-HMX含有量・α-HMX含有量・RDX含有量の測定 ··················· 2
7.2 融点 ····································································· 7
7.3 全アセトン不溶分 ························································· 8
7.4 無機不溶分 ······························································· 8
7.5 不溶解粒子 ······························································· 8
7.6 酸分 ····································································· 8
附属書A ····································································· 10
解説 ········································································· 11
防衛省規格 NDS
K 4305B
テトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用) 制定 昭和55. 4. 1
改正 平成 26. 4.23
1 適用範囲
この規格は,弾薬に使用するテトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用)(以下,HMXとい
う。)について規定する。
2 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。これら
の引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8372 酢酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8465 1,2-ジクロロエタン(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 9702 ジメチルスルホキシド(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8801-1 試験用ふるい-第 1 部:金属製網ふるい
NDS K 4303 トリメチレントリニトロアミン(弾薬用)
NDS K 4818 試験方法 106.1 不溶解粒子試験方法(溶剤抽出法)
NDS K 4818 試験方法 204.2 粒度試験方法(湿式法)
NDS K 4818 試験方法 208.1 融点試験方法(毛細管法)
NDS Y 0001 弾薬用語
3 用語の定義
この規格で用いる主な用語の定義は,次によるほか,NDS Y 0001 による
3.1
RDX
Research Department Explosive はトリメチレントリニトロアミン(NDS K 4303)である。
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2
4 種類
HMXは,β-HMX含有量により等級Ⅰ及び等級Ⅱに分類する。
5 化学的性質・物理的性質
HMXの化学的性質及び物理的性質は,7 に規定する方法で試験したとき,表1の規定に適合
しなければならない。
表1-化学的性質及び物理的性質
項目 規定
等級Ⅰ 等級Ⅱ
β-HMX含有量 (%) 98 以上 93 以上
α-HMX含有量 (%) 0.10 以下
RDX含有量 (%) 2 以下 7 以下
融点 (℃) 270 以上
全アセトン不溶分 (%) 0.05 以下
無機不溶分 (%) 0.03 以下
不溶解粒子(個) 金属製網ふるい 425μm a) 0
金属製網ふるい 250μm a) 5 以下
酸分(酢酸として) (%) 0.02 以下
粒度 附属書Aによる
注 a) JIS Z 8801-1 による金属製網ふるい
6 試料採取方法
6.1 ロットの構成
HMXの1ロットは,同一製造業者が同一条件で製造し,最終的に品質の均一とみなされる同
一種類のHMXをもって構成するものとする。
6.2 採取方法
HMXの試料の採取は,1ロットから無作為に 10 個の容器(1ロットの容器数が 10 個未満の
場合は全容器)を選出し,各容器から 500 g ずつの試料を採取し,これをよく混合縮分して 200
g の試料を二つ作る。その一つを試験用試料とし,他を予備試料として保管する。
7 試験方法
7.1 β-HMX含有量・α-HMX含有量・RDX含有量の測定
β-HMX含有量,α-HMX含有量及びRDX含有量の各試験は,次に示す標準方法,代用方
法のいずれかの方法により行うものとする。
a) 標準方法
1) 試験装置 使用する試験装置はX線回折装置とする。
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1.1) 対陰極の物質として銅を使用するものとし,Kα,Kβの特性X線のうちニッケルフィル
タで KβX線を除いた KαX線を測定に利用する。
1.2) 検出器はシンチレーションカウンタを使用し、カウント数は 100 秒間の積算とする。
2) 標準試料の調製
2.1) β-HMX HMX製造バッチから試料 200 g を採取し,これをビーカに入れて緩衝液
[氷酢酸 1)6.1 mℓ と酢酸ナトリウム 2)13.6 g を水 3)1 000 mℓ に希釈する。(pH=4.6)]を
800 g 加え,約 90 ℃の蒸気浴上で約2時間加熱する。この懸濁液をるつぼ形ガラスろ過
器 4)でろ過後,るつぼ形ガラスろ過器 4)に残ったβ-HMXを乾燥器により約 100 ℃で
約2時間乾燥する。乾燥したβ-HMXを 1,2-ジクロロエタン 5)200 mℓ で洗浄してRD
Xを除去する。次に 50 %アセトン 6)水溶液で洗浄し,約 100 ℃で約2時間乾燥器によ
り乾燥する。この試料の一部を使用して 2.4)の方法でβ-HMXの含有量分析を行う。
含有量が低い場合には,含有量が 99.90 %以上になるまで上記の操作を繰り返して精製
する。
注 1) JIS K 8355 に規定する氷酢酸
2) JIS K 8372 に規定する酢酸ナトリウム
3) JIS K 0557 の A3 に規定する水
4) JIS R 3503 に規定するるつぼ形ガラスろ過器
5) JIS K 8465 に規定する 1,2-ジクロロエタン
6) JIS K 8034 に規定するアセトン
2.2) α-HMX 70 %硝酸 7)80 mℓ に,精製したβ-HMX4 g を加え,β-HMXがほぼ溶解
するまで加熱する。この溶液をるつぼ形ガラスろ過器 4)でろ過し,ろ液を 30 ℃以下に
なるまで自然冷却する。次に,これを室温で1時間以上放置後,この懸濁液を別のるつ
ぼ形ガラスろ過器 4)を使用してろ過する。るつぼ形ガラスろ過器 4)上の沈殿物を水 3)で
完全に洗浄し,真空乾燥器に入れて約 60 ℃で約2時間乾燥する。この試料がα-HMX
であることを顕微鏡又は赤外分光光度計で確認する。
注 7) JIS K 8541 に規定する硝酸
2.3) RDX 含有量の高いRDX製造バッチから試料 100 g を採取する。この試料に 2.1)
の緩衝液 400 g を加えて約 90 ℃の蒸気浴上で約2時間加熱し,ろ過後約 100 ℃で約2
時間乾燥器により乾燥させる。次に,この乾燥したRDXの 100 g にジメチルスルホキ
シド 8)100 mℓを加え,蒸気浴上で 92~96 ℃に加熱する。その後,更に 50 mℓのジメチル
スルホキシド 8)を加え,RDXを完全に溶解させ,92~96 ℃で約 30 分間保つ。その後,
この溶液が濁りを生じるまで水 3)を加え,再びこの溶液が清澄になるまで加熱して,室
温まで自然冷却させる。その後,析出した沈殿物をるつぼ形ガラスろ過器 4)でろ過,洗
浄して約 100 ℃で約2時間乾燥器により乾燥する。この試料の一部を使用して 2.4)の
方法でRDXの含有量分析を行う。含有量が低い場合には,含有量が 99.90 %以上にな
るまで上記の操作を繰り返して精製する。含有量が 99.90 %以上の試料が得られたなら
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ば,50 %アセトン 6)水溶液で洗浄後,約 100 ℃で約2時間乾燥器により乾燥する。
注 8) JIS K 9702 に規定するジメチルスルホキシド
2.4) β-HMX及びRDX標準試料の含有量分析
2.4.1) 試薬の調製は,1,2-ジクロロエタン 5)にβ-HMXを室温での溶解度より過剰に加え,
室温で約4時間撹拌し,β-HMXの飽和溶液を作る。
注記 1,2-ジクロロエタン 5)200 mℓに対して、HMX0.05 g を加える。1,2-ジクロ
ロエタン 5)への溶解度は,温度 24 ℃で 100 mℓ に対して 0.02 g である。
2.4.2) 乾燥した標準試料 0.2 g を 0.1 mg のけたまで量り,容量 200 mℓ の三角フラスコに入
れ,これに 2.4.1)で調製した試薬 100 mℓ を加え,堅く栓をして約1時間振とうする。
次にるつぼ形ガラスろ過器 4)の質量を 0.1 mg のけたまで量り,吸引ろ過瓶上に置き,
吸引しながら,試料を三角フラスコからるつぼ形ガラスろ過器 4)に移す。その後,三
角フラスコの残留物すべてを 2.4.1)で調製した試薬で洗浄してるつぼ形ガラスろ過
器 4)に移す。るつぼ形ガラスろ過器 4)に移した残留物を,ジエチルエーテル 9)100 mℓ
ずつで2回洗浄し,15 分間以上吸引ろ過後乾燥させる。るつぼ形ガラスろ過器 4)が室
温になった後,乾燥試料が残ったるつぼ形ガラスろ過器 4)の質量を 0.1 mg のけたまで
量る。HMXの含有量(%)及びRDXの含有量(%)は,次の式により算出する。
H= 100A
B
R= 100
A
BA
ここに,H:HMXの含有量(%)
R:RDXの含有量(%)
A :試料の質量(g)
B :残留物の質量(g)
注 9) JIS K 8103 に規定するジエチルエーテル
3) 検量線の作成
3.1) 検量線作成用の標準混合薬の調製は,2)で作成したβ-HMX,α-HMX及びRDX(い
ずれも金属製網ふるい 53 μm を通過する粒度のもの。)を使用して,表2に示す組成で
13 種類を各 5 g ずつ調製する。標準混合薬は,2)で作成した標準試料をめのう乳ばちに
入れ,水 3)を数滴加えてペースト状態とし,よく混合して作る。調整した標準混合薬は,
るつぼ形ガラスろ過器 4)でろ過,脱水した後に真空乾燥器に入れ,約 60 ℃で約2時間
乾燥する。
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表2-標準混合薬
β-HMX(%) α-HMX(%) RDX(%)
1 99.90 0.10
0.00 2 99.80 0.20
3 99.70 0.30
4 99.00
0.00
1.00
5 98.00 2.00
6 97.00 3.00
7 96.00 4.00
8 95.00 5.00
9 94.00 6.00
10 93.00 7.00
11 92.00 8.00
12 91.00 9.00
13 90.00 10.00
3.2) 検量線は,3.1)の標準混合薬を使用して作成し,試料濃度の測定に使用する。
3.2.1) 検量線Ⅰ(RDXの濃度) 標準混合薬を,それぞれの濃度に応じ,測定角 2 が
17.81 °,バックグラウンドは 16.90 °で測定する。濃度とバックグラウンドで除去
したカウント数より相関を求めた直線近似式を検量線Ⅰとする。
3.2.2) 検量線Ⅱ(α-HMXの濃度) 標準混合薬を,それぞれの濃度に応じ,測定角 2 が
25.10 °,バックグラウンドは 24.10 °で測定する。濃度とバックグラウンドで除去
したカウント数より相関を求めた直線近似式を検量線Ⅱとする。
3.2.3) 検量線Ⅲ(RDXが混在したときのα-HMXの補正線) α-HMXを含有しない標
準混合薬を,それぞれの濃度に応じ,測定角 2 が 25.10 °,バックグラウンドは
24.10 °で測定する。濃度とバックグラウンドで除去したカウント数より相関を求め
た直線近似式を検量線Ⅲとする。
4) 測定試料の調製 試験用試料の粒子が大きいときは,0.1 g ずつをめのう乳ばちに入れて
軽く粉砕して,金属製網ふるい 63 μm を通過する粒度のものにする。粉砕した試料は,試
料容器に入れて手で圧力を加え,表面に空げき,割れなどのないように平滑にして試料を
調製する。
5) β-HMX含有量,α-HMX含有量及びRDX含有量の解析 試料は,測定角 2 が
16.90 °,17.81 °,24.10 °及び 25.10 °で測定する。
5.1) RDXの含有量は,測定角 2 が 17.81°のときのカウント数から測定角 2 が 16.90°の
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カウント数を差し引いて補正した値から,検量線Iを使用して求める。
5.2) α-HMXの含有量は,測定角 2 が 25.10°のカウント数から測定角 2 が 24.10°のカ
ウント数を差し引いて補正した値から,検量線Ⅱを使用して求める。ただし,RDX濃度
が1 %よりも大きいときのα-HMXの含有量は,検量線ⅢのRDX濃度に相当するカウ
ント数を,補正したカウント数から更に差し引いて補正し,検量線Ⅱから求める。
5.3) β-HMXの含有量(%)は,次の式により算出する。
A= )(100 CB
ここに, A :β-HMXの含有量(%)
B :検量線Iから求めたRDX含有量(%)
C :検量線Ⅱから求めたα-HMX含有量(%)
b) 代用方法
1) 試験装置 使用する装置は高速液体クロマトグラフィー(以下,HPLC 10)という。)と
する。
注 10) HPLC:High Performance Liquid Chromatography
2) 試験条件
2.1) 試験に使用するカラムは,シアノプロピル基が修飾されたシリカが充填されたカラム,
例えば microBondapak CN(粒子径:10 μm,φ3.9 mm×150 mm,waters 社製)又は同等
品とする。
2.2) 移動相は表3の組成で4種類の溶媒を混合する。溶媒はHPLC用試薬 11)を使用する。
調製した移動相は試験前に減圧又は不活性ガスのパージにより完全に脱気する。
表3-移動相の溶媒
溶媒 容量比(%)
2,2,4-トリメチルペンタン 70.0
アセトニトリル 15.0
クロロホルム 13) 7.5
メタノール 14) 7.5
注 11) JIS K 0124 に規定するHPLC用試薬
2.3) 流量は 1.5 mℓ/min とする。
2.4) 検出器は紫外吸光光度検出器を使用し,検出波長は 254 nm とする。
3) 標準溶液の調製及び試験
3.1) 標準溶液の調製は,a)2)で作成した純度 99.90 %以上のHMX及びRDXの標準試料を
使用して,表4に示す割合のものを調製する。250 mℓのメスフラスコにHMX及びRD
Xの標準試料を 0.1 mg のけたまで量り,100 mℓのアセトン 6)を加えて完全に溶解した
後,メスフラスコの標線までアセトン 6)を加えて 250 mℓとする。
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表4-標準溶液
HMX RDX
割合(%) 質量(g) 割合
(%)
質量(g)
99.5 0.4975 0.5 0.0025
98.0 0.4900 2.0 0.0100
96.5 0.4825 3.5 0.0175
3.2) 3.1)で調製した標準溶液 20 μℓを,それぞれ,HPLC装置に注入し,試験する。標準
溶液のクロマトグラムからHMX及びRDXのピーク面積を読み取り,記録する。
4) 試料溶液の調製及び試験
4.1) 試験用試料約1 g を 100±5 ℃で1時間乾燥器により乾燥する。25 mℓのメスフラスコ
に乾燥した試料 0.5 g を 0.1 mg のけたまで量り,10 mℓのアセトン 6)を加えて完全に溶
解した後,メスフラスコの標線までアセトン 6)を加えて 250 mℓとする。
4.2) 4.1)で調製した試料溶液 20 μℓをHPLC装置に注入し,試験する。試料溶液のクロマ
トグラムからHMX及びRDXのピーク面積を読み取り,記録する。HMX含有量(%)
は,次の式により算出する。
H= 100
WC
BA
ここに, H :HMXの含有量(%)
A :試料溶液から得られたHMXのピーク面積
B :標準溶液のHMX質量(g)
C :上記 B の質量の標準溶液から得られたピーク面積
W :試料の質量(g)
また,RDX含有量(%)は,次の式により算出する。
R= 100
WG
FE
ここに, R :RDXの含有量(%)
E :試料溶液から得られたRDXのピーク面積
F :標準溶液のRDX質量(g)
G :上記 F の質量の標準溶液から得られたピーク面積
W :試料の質量(g)
注記 B の標準溶液のHMX質量及び F の標準溶液のRDX質量は,試料溶
液から得られたピーク面積に一番近いピーク面積を与える標準溶液の
質量を用いる。
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7.2 融点
融点の測定は,NDS K 4818 試験方法 208.1 融点試験方法(毛細管法)により行う。
7.3 全アセトン不溶分
HMXの乾燥試料約 10 g を 0.1 mg のけたまで量り,1 000 mℓ のビーカに入れてアセトン 6)400
mℓ を加える。ビーカの上部に時計皿を載せ,HMXが溶解するまで蒸気浴上で加熱する。このア
セトン溶液を質量既知のるつぼ形ガラスろ過器 4)に移し,ろ過する。不溶分は,すべてるつぼ形
ガラスろ過器 4)に移すように特に留意する。残留物は,20 mℓ アセトン 6)で3回洗浄し,アセトン
臭がなくなるまで吸引し,るつぼ形ガラスろ過器 4)を乾燥器に入れて 105±5 ℃で約 30 分間乾燥
する。その後,デシケータ内で放冷してひょう量する。試料中の全アセトン不溶分(%)は,次
の式により算出する。
A= 100
W
BC
ここに, A :全アセトン不溶分(%)
B :るつぼ形ガラスろ過器 4)の質量(g)
C :るつぼ形ガラスろ過器 4)と)残留物の質量(g)
W :試料の質量(g)
7.4 無機不溶分
7.3 によって得られたるつぼ形ガラスろ過器 4)内のアセトン不溶分を 700±10 ℃で 30±5 分間
電気炉により焼いて,デシケータ内で放冷し再ひょう量する。無機不溶分(%)は,次の式によ
り算出する。
A= 100
W
BC
ここに,A :無機不溶分(%)
B :るつぼ形ガラスろ過器 4)の質量(g)
C :全アセトン不溶分を焼いた後のるつぼ形ガラスろ過器 4)の質量(g)
W :7.3 の試料の質量(g)
7.5 不溶解粒子
不溶解粒子の測定は,NDS K 4818 試験方法 106.1 不溶解粒子試験方法(溶剤抽出法)によ
り行う。ただし,使用する溶剤はアセトン 6)を使用するものとし,試料は 17 g,アセトン 6)は 500
mℓ及び 1 000 mℓとする。
7.6 酸分
HMXの試料 10 g を 0.1 mg のけたまで量り,1 000 mℓのビーカに移してアセトン 6)500 mℓを
加え,HMXが完全に溶解するまで蒸気浴上で加熱する。その後,水 100 mℓを加えて内容液を冷
却し,フェノールフタレイン又はメチルレッドを指示薬として,0.05 moℓ/ℓ 水酸化ナトリウム
12)溶液で滴定する。また,溶剤の酸分補正のために空試験を行う。酸分(酢酸として)(%)は,
次の式により算出する。
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A=W
NvV )(0.6
ここに, A :酸分(酢酸として)(%)
V :試料の滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の量(mℓ)
v :空試験に要した水酸化ナトリウム溶液の量(mℓ)
N :滴定に使用した水酸化ナトリウムのモル濃度(moℓ/ℓ)
W :試料の質量(g)
注 12) JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウム
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10
附属書A
テトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用)の粒度
A.1 粒度
HMXの粒度区分は,表 A.1 のとおりとする。
表 A.1-粒度区分
金属製網ふるい
目開き
(μm)
ふるい通過量(%)
クラス
A B C D E F
2360 - - - 100 - -
1700 - - 99 以上 85 以上 - 99 以上
500 - - - 25±15 - -
300 90±6 100 40±15 - - 90 以上
150 50±10 - 20±10 15 以下 - 65±15
125 - 98 以上 - - - -
75 20±6 - 10±10 - - 30±15
45 8±5 75 以上 - - 98 以上 15±10
A.2 粒度測定方法
粒度の測定は,NDS K 4818 試験方法 204.2 粒度試験方法(湿式法)により行う。
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解 1
11
テトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用) 解説
この解説は,本体に規定・記載した事柄及びこれらに関連した事柄を説明するものであって,規
格の一部ではない。
1 α-HMX含有量
HMXの結晶形(β又はα)については,NDS規格の初版制定時において“β-HMXだけ
でなければならない”と規定されたため,少量のα-HMX含有量の定量は必要ではなく,赤外
分光光度計により“含有していないこと”を確認するだけであった。しかし, MIL-DTL-45444C
において,項目名称が“結晶形”から“α-HMX含有量”に変更となり,α-HMXの含有量を
定量することが求められることになった。α-HMX含有量の定量は,従来の赤外分光光度計で
はできないこと及び MIL-DTL-45444C でX線回折装置の使用が記述されていることから,X線回
折装置による分析方法を標準方法とした。
なお,MIL-DTL-45444C に代用法として記述されているように,近年HPLCを使用すること
により,RDX含有量を容易に測定できるようになってきているため,HMXの総含有量とRD
Xの含有量を簡便に測定する代用方法としてHPLCによる方法も規定した。
2 HMXの融点
HMXの融点規格値は,MIL-DTL-45444C では,等級Ⅰ,等級Ⅱともに加熱板式融点測定装置
を使用して277 ℃以上と規定されている。MIL-H-45444B では同じ値であるが,MIL-H-45444A
では270 ℃以上と規定されている。実験によりHMXの融点は,毛細管法及び加熱板式融点
測定法の両方で測定した結果,解説表1のとおりであり,加熱板式融点測定法の方が8℃高い値
を示すことが判明した。
解説表1-測定結果
毛細管法 加熱板式融点測定法
272℃ 280℃
NDS K 4818(爆薬理化学試験方法)には,毛細管法による融点測定が標準的な試験方法となっ
ているため、本規格にも毛細管法による融点試験方法を規定し,それに伴いHMXの融点規格値
を等級Ⅰ,等級Ⅱともに270℃以上とした。
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解 2.
12.
3 改正規格原案調査作業委員会の構成
この規格は,防衛省技術研究本部陸上装備研究所弾道技術研究部弾道・火薬研究室が主管とな
り,次に示す社団法人日本防衛装備工業会会員の協力によって改正規格原案(案)を作成したも
のである。
火薬類安全性試験方法ほか1件の改正規格原案調査作業委員会
所属
(委員長) 中国化薬株式会社
(委員) 株式会社 IHI エアロスペース
旭化成ケミカルズ株式会社
株式会社小松製作所
ダイキン工業株式会社
株式会社ダイセル
日油株式会社
日本工機株式会社
(事務局) 社団法人日本防衛装備工業会
参考文献
1) JIS K 4810 火薬類性能試験方法
2) NDS K 4305 テトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用)
3) NDS K 4818 爆薬理化学試験方法
4) MIL-H-45444A HMX
5) MIL-H-45444B HMX
6) MIL-DTL-45444C HMX
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