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経営戦略Ⅱ
1.新興国市場戦略
東京大学経済学研究科・教授新宅 純二郎
http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.htmlhttp://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html
• 新宅純二郎(2009)「新興国市場開拓に向けた日本企業の課題と戦略」『国際協力銀行・国際調査室報』2号, pp.53-66.
二輪車の世界生産量および日本企業の生産量の推移
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50,000,0001975年
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台
世界生産量台数(推定)日本企業国内生産日本企業グローバル生産
日本企業グローバルシェア1999年 36.9% 04年 46.1 00年 37.5 05年 54.8 01年 39.2 06年 51.0 02年 44.3 07年 47.4 03年 46.1
出所:太田原(2009), 新宅・天野編著『ものづくりの国際経営戦略』第8章。著者が、本田技研工業『世界二輪車概況』各年度版、各社(本田技研工業、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業)有価証券報告書・IR資料より作成。
Graph1
1975年1975年1975年
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2006年2006年2006年
日本企業グローバルシェア1999年 36.9% 04年 46.1 00年 37.5 05年 54.8 01年 39.2 06年 51.0 02年 44.3 07年 47.4 03年 46.1
世界生産量台数(推定)
日本企業国内生産
日本企業グローバル生産
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図1 ズ二輪車の世界生産量および日本企業の生産量の推移 ニリンシャセカイセイサンリョウニホンキギョウセイサンリョウスイイ
出典:本田技研工業『世界二輪車概況』各年度版、各社(本田技研工業、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業)有価証券報告書・IR資料より集計 シュッテンホンダギケンコウギョウセカイニリンシャガイキョウカクネンドバンカクシャユウカショウケンホウコクショシリョウシュウケイ
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1975年1975年1975年
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2003年2003年2003年
2004年2004年2004年
2005年2005年2005年
2006年2006年2006年
日本企業グローバルシェア1999年 36.9% 04年 46.1 00年 37.5 05年 54.8 01年 39.2 06年 51.0 02年 44.3 07年 47.4 03年 46.1
世界生産量台数(推定)
日本企業国内生産
日本企業グローバル生産
台
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3802547
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Sheet2
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日本と中国のオートバイ生産
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Japan China
出所: 松岡 (2002), http://www.jama.org/statistics/motorcycle/mc_statistics.htm
© 椙山
中国におけるオートバイ産業の発展経路
• 日本メーカーからの技術導入– 例:ホンダの対中国技術提携製品
1981年 PA50 嘉陵工業1983年 CD70 嘉陵工業1985年 CG125 上海易初1989年 GL125 広州摩托車
– 90年代に入って日本メーカーが中国進出• 日本メーカーのモデルのコピー(国産化)が氾濫
– ベースとしての独立性の強い部品メーカー。• 日本のような系列関係は稀少。• 殆どが複数メーカーに納入し、価格で厳しい競争。
• 国営メーカーの地位の低下と,民営メーカーの台頭– 国営メーカーのコピーとしての民営メーカー– 中小メーカーの乱立状態に
• 上位10社のシェアは下がってきている。95年では上位10社で90.95%あったが,2000年は60.49%に。
– コピーから脱却し,フレームの新だけ同じ物を使っているという例も
© 椙山
中国オートバイ市場の特徴
• 主要な市場: 大都市近郊の衛星都市– ナンバープレート規制の影響で市場は大都市から大
都市周辺へ移動
• 中小組立メーカーの登場による過剰な価格競争– 上位20社の市場シェアは91.0% (1995)から60.5%
(2000)へと減少した– 競争の焦点は “許容できる品質でできる限り安価”へ– 例:2001年の125cc(GLタイプ)の価格
• ホンダ 6500 ~ 13000 元• 中国系大企業 4000 ~ 7000• 中国系中小企業 2000 ~ 3500
© 椙山
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2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度
ホンダ二輪車売上台数
その他の地
域
アジア
欧州
北米
日本
千台
出所:ホンダアニュアルレポート
ホンダのオートバイ販売台数
商品企画がカギマーケティング、開発、生産の連携
顧客ニーズ
製品
コンセプト
機能要件価格
製品設計
仕様、
設計図、部品
生産出荷
量産歩留
工程不良
市場
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商品企画の質
顕在的・潜在的な顧客ニーズを商品企画に転写できるか?
設計品質
機能要件を設計図面に正確に転写できるか?
製造品質
製品の設計情報をモノに正確に転写できるか?
市場品質
設計情報を転写されたモノが顧客に届いているか。
市場で想定外の使われ方をしていないか。
・・・・
・・・・
・・・・
ベトナム二輪市場における中国製とホンダの争奪戦
• 1999年中国のコピー車が登場、市場に氾濫。
• 中国系は500-700ドル。日本製は1200~2000ドル。
• 2002年ホンダWave αを800ドルで投入。価格差は、2000年の2.3倍から、1.3倍に。
• 55社の組立メーカーがあったが、淘汰されて16社に。
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1998 1999 2000 2001 2002 2003
シェア %生産 千台
ホンダ生産
総市場
ホンダベトナム
シェア
出所:ホンダベトナム資料より作成。
←中国系バイク
ホンダWave α→
アジア市場とホンダのシェア推移
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アジア市場
ホンダ
ホンダシェア
出所:太田原(2009), 新宅・天野編著『ものづくりの国際経営戦略』第8章。著者が、本田技研工業社内資料を基に作成。アジア市場とは、インド、インドネシア、タイ、中国、マレーシア、フィリピン、ベトナムの合計を指す。
アジア市場におけるホンダ製オートバイのシェア(2007年)
2017年 ベトナムホンダシェア70%、ヤマハ25%中国系のバイクはほとんどゼロ
三星電子の品質思想
• 品質は顧客が決めるものであり、メーカーが勝手に決めるものではない。
• 同じ製品でも、顧客は購入価格によって異なる品質を求める。
– 部品はランク分けして、高く売れる市場向けに高ランク部品、低価格市場向けには低ランク部品。
• 品質管理の指標– 体感不良率=クレーム件数÷販売台数
© MMRC特任研究員・吉川良三
ダイキン:中国エアコン事業市場を得意な土俵に誘導&見える化• 家庭用エアコンでは、ほぼ最後発で中国市場に
参入
• ダイキンの強みは、インバーター市場だが、中国市場では当時ほとんどノンインバーター– 定速エアコンとインバータエアコン(省エネ)
• 格力とダイキンの提携– ダイキンは格力にインバータの技術供与– 格力はダイキンから低価格機種の受託生産– 得意の土俵に誘導するため、あえて格力と提携して、
技術供与(限定的)。
ダイキン:中国エアコン事業市場を得意な土俵に誘導&見える化
• 中国政府の省エネ政策– 各種家電製品の省エネ表示の義務化と一定の
省エネ基準をクリアしていない商品の販売規制
– エアコンでは2004年省エネ基準策定、2009年規制強化。
• インバーター市場が中国でも形成されることで優位に立つ。
中国エアコン市場シェア
販売台数シェア(%) 販売額シェア(%)
国産 外資 国産 外資
2008年 2007年 2008年 2007年 2008年 2007年 2008年 2007年
壁掛型 80.45% 86.23% 19.55% 13.77% 74.01% 83.30% 25.99% 16.70%
床置型 76.64% 82.50% 23.36% 17.50% 70.56% 78.44% 29.44% 21.56%
全体 79.75% 85.62% 20.25% 14.38% 72.74% 81.80% 27.26% 18.20%
注)2007年・2008年上半期中国国内空調販売量にもとづき計算。床置型については、中国では床置型エアコンでもルームエアコンのカテゴリに入り、家庭ではよく使われている。広いリビングルームに置かれることが多い。出所)中国国家信息中心「2008冷凍年度国内空調市場白書」(筆者訳)
出所:ダイキンホームページ、http://www.daikin.co.jp/csr/information/lecture/act01.html
19
R
low high品質・機能
low
high
価格
出所:新宅純二郎『日本企業の競争戦略』有斐閣, 1994年, 第4章。
新宅(2009)の議論過剰品質(オーバースペック)か?
C
J
2015ⓒ新宅
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low highquality
low
high
price
Reasonable Quality and Price
C
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過剰品質
過小品質
適正品質
CD-R:北米市場、二輪:中国市場、DRAM:PC市場、液晶:モニタ市場
2015ⓒ新宅
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low highquality
low
high
price
Reasonable Quality and Price
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過剰品質
過小品質
適正品質
CD-R:日本市場、二輪:日本市場、DRAM:サーバー市場、液晶:TV市場
2015ⓒ新宅
イノベーターのジレンマ(クリステンセン)と新興国市場戦略のジレンマ
クリステンセン(1997)
1. イノベーターは主流市場の価値ネットワークによりよく適合することで成功する(持続的技術sustaining technologies)
2. 既存の主流市場では低く評価される技術が、新しい価値基準をもった市場で評価され始めることがある(分断的技術 disruptive technologies)
3. イノベータは新市場(新価値ネットワーク)で失敗。
新興国市場戦略
1. 日本企業は、日本国内や北米など先進国市場にむけた製品戦略で成功してきた。
2. 新興国市場向けの製品は先進国では評価されない。その新興国市場がニッチから大きな市場に拡大。
3. 先進国で成功した日本企業は、新興国で失敗。
22
4.新興国市場向け製品戦略
クリステンセンのイノベーターのジレンマと新興国市場戦略のジレンマ
クリステンセン
4. 時にして、技術が主流市場をオーバーシュートしていることがある。
5. すると、分断技術が主流市場にも適用されるようになる。過去のリーダーは元の主流市場でも地位が低下。
6. 分断的技術に対応するためには組織を分離すべし。
新興国市場戦略
4. 既存製品が先進国市場でオーバーシュートしていないか?
5. 新興国向け製品が先進国市場に流入してくる(Reverse Innovation)GE, 携帯、二輪
6. 新興国市場向け組織と先進国市場向け組織の分離?
23
」」
4.新興国市場向け製品戦略
スライド番号 1スライド番号 2二輪車の世界生産量および�日本企業の生産量の推移日本と中国のオートバイ生産�中国におけるオートバイ産業の�発展経路中国オートバイ市場の特徴 ホンダのオートバイ販売台数商品企画がカギ�マーケティング、開発、生産の連携ベトナム二輪市場における中国製とホンダの争奪戦アジア市場とホンダのシェア推移� スライド番号 11スライド番号 12三星電子の品質思想ダイキン:中国エアコン事業�市場を得意な土俵に誘導&見える化ダイキン:中国エアコン事業�市場を得意な土俵に誘導&見える化スライド番号 16中国エアコン市場シェア�スライド番号 18新宅(2009)の議論�過剰品質(オーバースペック)か?Reasonable Quality and PriceReasonable Quality and Priceイノベーターのジレンマ(クリステンセン)と新興国市場戦略のジレンマクリステンセンのイノベーターのジレンマと新興国市場戦略のジレンマ
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