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社会マネジメント学科
就活物語就活物語2016
目次
第1章 十人十色の物語☆初志貫徹型物語① Aさん(都市銀行)物語② Bさん(市役所)物語③ Cさん(警察)☆取捨選択型物語④ Dさん(システムエンジニア)物語⑤ Eさん(メガネ販売)物語⑥ Fさん(菓子メーカー)物語⑦ Gさん(自動車販売)
H
3
物語⑧ Hさん(百貨店)物語⑨ I さん(エネルギー企業)物語⑩ Jさん(生命保険)
◎参考データ
第2章 解説1. 就活物語から見えること2. 学科での学びがどう活かされたのか
◎補足 社会マネジメント学科とは
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2
第1章
十人十色の物語
※この物語は、2015年11月、社会マネジメント学科で就活を終えている4年生のうち10名に協力いただき、個別インタビューを
もとにまとめたものです。彼女たちのリアルで、等身大の姿が十人十色で描かれています。
*イラスト 清水彩生(社会マネジメント学科3年)
3
物語① Aさん(都市銀行)
「忙しい日々の中、業界を絞り、効率的な活動を心がけた」
大学時代は、マンドリン部やアルバイトと、忙しい日々を送っていた。そのため、就活には時間のやりくりの工夫が必要だった。
3年生の秋から、学内の合同企業説明会など一気に志望企業
が見られる機会を積極的に活用した。第一志望は地方銀行。「泥臭さ」や「地域のために頑張るぞ」という雰囲気にあこがれていた。
本格的に選考を受け始めたのは、マンドリン部の活動が落ち着く5月頃から。すでに周りには内定を得た学生もいて焦った。でも、保険会社の人に就活で成功する方法(時間の使い方や企業の受け方)をアドバイスしてもらうなど、やる気アップにつなげた。
5、6月は9社から面接不合格の通知をもらった。すごく落ち込んだが、「落ちることも就活の一環だ」と自分を説得し、乗り越えることができた。自分なりの工夫として、いきなり第一志望群を受け
初志貫徹型
ことができた。自分なりの工夫として、いきなり第一志望群を受けるのではなく、それ以外の職種や自分にはハードルが高いと感じる企業など、バランスを考えて受けた。まさに、実践から学んだ。
第一志望には受からなかったが、最終的には金融業界4社から内定をもらえた。現在の内定先に決めた理由は、学内推薦だったことや、「信頼」を全国的に得ている銀行であることが大きい。
私の就活のキーワードは「信頼」。人から信頼されないとできない仕事として、金融にこだわった。初志貫徹できたと思う。
就活を終えて・・・①業界は絞った方が良い。やみくもに受けるとわからなくなる。
戦略を持って臨むことが大事だと感じた。②部活もアルバイトもだと時間の使い方が大変。時間を区切って
やりきる、アルバイトの時間を減らしてもらう。それまでの生活を少しずつ変える工夫が必要。 4
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「人から信頼される固い仕事。ある程度知名度もある企業かな。
地域貢献にも興味があります。」
Q2. 就活で支えになったことって?「マンドリン部担当の先生からのアドバイス。ゼミの友人との
励まし合い。キャリア支援にもたくさんお世話になりました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「集中して就活に時間が使えることが大切。3年生までにしっかり単位をとっておくと、4年生で就活に本気で取り組めるよ。」
ゼミ教員からのメッセージ
就活では、相模原市のさまざまな市民との交流、チームでゼミの仕事を進めていった点が、役立ったのではないでしょうか。
希望通りの結果が出せたことは努力の賜物と思います。弱い人の立場も思いやれる仕事をしていって下さいね。
(橋場)
5
物語② Bさん(市役所)
「ゼミ教員に積極的に相談し、徹底的に準備した」
大学1年生の時、現在のゼミ教員から「市役所が向いているの
では」と声をかけてもらった。それが市役所に興味を持つきっかけになった。その後、地元の市役所の活動に参加したり、県外のまちづくりプロジェクトにも参加したりした。市役所職員の働き方を目の当たりにし、さらに憧れの気持ちに発展した。
3年生の冬、就職活動がスタートしてからは、地元の市役所を第
一志望とした。ただ、市役所一本に絞るのは不安だったので、航空業界にもエントリーしていた。そのことは、市役所の選考の前に練習を積むことにもなった。
地元の市役所は、筆記試験だけではなく、面接を重視しているとのことだった。そこで、自治体研究にしっかり取り組んだ。具体的には、関連する本や、広報誌を毎月確認するなど情報収集を
初志貫徹型
的には、関連する本や、広報誌を毎月確認するなど情報収集を行った。そして、それに対する自分なりの考えをまとめた。どんな質問にも自分の意見がはっきりと言えるよう万全を期した。ゼミ教員には、エントリーシートや面接の相談も積極的にした。社会人デビュー講座で大勢の前で行う「1分間プレゼン」も役に立った。
実際の面接では、かなり鋭い質問も受けたが、想定質問など準備を行っていたので、しっかり応対できた。それが、内定につながったと思う。
就活を終えて・・・①自治体でも、企業でも、なぜ志望先にこだわるのか、そこで何を
したいのかを考え抜き、相手にしっかり説明できることが大切。②面接がある程度得意な人は、スキルを上げるより、自治体研究や
企業研究をしっかり行い、話す中身の質を上げることが大事。面接官は、応募者が「自分の言葉で話しているか」に注目している。
6
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「地元の町や人が好きで、地元に貢献できる仕事。地元の
市役所こそ、熱意をもってそんな仕事ができると思います。」
Q2. 就活で支えになったことって?「ゼミの教員にたくさんお世話になりました。また、ゼミの友人
にも、就活に悩んだときかなり助けてもらいました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「志望先は、好きだからこそ研究できる。情報を自分で取りに行くこと、課題を自分で考えることが大切ですね。」
ゼミ教員からのメッセージ
ゼミでまちづくりに出かけ、本人の持っていた能力が引き出されたと思います。先輩の力も大きいですね。
なぜ公務員になったのか、その基本をいつまでも大切に。(松下)
7
物語③ Cさん(警察)
「長年の夢だった仕事に、ようやくたどり着けた」
警察官の仕事は、小さい頃から憧れていた。きっかけはドラマ。ずっとかっこいい仕事というイメージがあった。高卒で警察官になることも考えていたが、「大学でもっと視野を広げたら」と言われ諦めた。
大学1年のときから、早々キャリア支援に相談に行った。また、防犯ボランティアも始めた。目標の実現に向けて少しずつ行動をしていた。
公務員試験対策にも取り組んだ。1,2年生の時、アルバイトで貯めたお金で、3年4月にTACの通信講座に申し込んだ。しかし、思うように試験対策ができなかった。そこで、3年の冬に民間企業への就職活動も始めた。志望先はIT業界や小売業。特にIT企業を多く受けた。理由は「手に職がつく」から。
初志貫徹型
を多く受けた。理由は「手に職がつく」から。働く上でのこだわりは、週休2日。そして、地元で働けること。就
職活動は、いろいろな企業を見るチャンスだとも思い臨んだ。振り返ってみれば、楽しかった。
結果として、民間では家電販売企業と警備会社から内定をいただいた。幸い、第一志望の警視庁にも合格できた。他県の警察も受験していたが、警視庁は「規模が大きくていろんな仕事がある」ことから、警視庁に決めた。内定先にはとても満足している。
就活を終えて・・・①いろいろな会社を見ることは今しかできない。「社会勉強」や
「気分転換」として臨むことで、刺激を受ける良い機会にもなる。②社会人デビュー講座は、就活に必要な一通りのことが学べる。
しっかり学んでおくと役に立つ。
8
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「完全週休2日制。体を壊さず長く働けることが大切だから。
そして、地元で働けることです。」
Q2. 就活で支えになったことって?「ゼミ教員からインターンシップや求人の情報をいただいた。
キャリア支援にも、合同企業説明会や相談に行きました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「就活は楽しんでほしい。いろいろな会社を見ることは、今しかできないから。」
ゼミ教員からのメッセージ
ゼミの中でも屈指の明るさと積極性で、活動に取り組んできましたね。こうした経験のすべてが、希望通りの就職につながったのだと思います。
おめでとう!心身共にタフな仕事でしょうが、きっと素敵な警察官になれると信じています。(奥貫)
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物語④ Dさん(システムエンジニア)
「キャリア支援のアドバイスから、自分に合う志望先を決めた」
3年生の春学期までは、学科内のデビュー講座で学ぶ程度だっ
た。しかし、なんとなく不安があり、秋頃から友達を誘って、キャリア支援の主催する講座や相談に積極的に参加するようにした。
そのおかげで、年内には就職活動に必要な一通りの準備を仕上げることができた。
キャリア支援での相談時に、「ものを作ることが好き」「黙々と自分の興味があることを続けることが向いている」などの話をしたところ、キャリア支援からSE(システムエンジニア)職を勧められた。自分も向いているように感じた。そこで、SE職を中心にイメージしながら、採用活動が早いと聞いていたIT業界を志望するようになった。
だが、なかなか面接がうまくいかなかった。ほとんどの企業から
取捨選択型
だが、なかなか面接がうまくいかなかった。ほとんどの企業から不合格の連絡が続いた。応募企業も残り1つになった。
最後の企業の面接官(現場社員)に、「自分が出せないのかもしれません」と答えたところ、「そんなんじゃだめだよ。受からない」とはっきり言われた。そこで、初めて肩の力を抜くことができた。
そして、その残り1社が内定先になった。第二志望の企業だった
けれど、内定者同士の雰囲気も良く、ここで決まって良かったと納得している。
就活を終えて・・・①キャリア支援は有効に活用した方がよい。友達だと、「IT業界を
目指している」というと、自分へのイメージだけで「向いていないんじゃない」などいわれて傷つくこともあった。
②後輩のために、IT業界の就職活動記録を作成した。自分のときは資料がなくて困ったので、ぜひ活用してほしい。 10
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「給与、創立時期、従業員数。100人以上で、リーマンショック
以降も、会社が残っているかを目安にしていました。」
Q2. 就活で支えになったことって?「キャリア支援に、週3,4回のペースで通っていました。とにかく
キャリア支援への相談をベースに、就活をしていました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「自分の譲れない思いや大切にしたいこと。それを会社研究では、実際に文字にして表現することが大事だと思います。」
ゼミ教員からのメッセージ
自分の意見を自由に言い合うゼミを通して、協調性のある、その場に適した提案ができるようになったと思います。素直な人柄が認めてもらえたのでしょう。
数学を使うことも多いでしょうが、何でも困ったときはいままでのように、遠慮なく質問に来て下さい。(吉田)
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物語⑤ Eさん(メガネ販売)
「高校時代の体験が、希望業界の決め手になった」
高校生の時、初めてコンタクトを購入した。その際、店舗で対応してくれた販売員さんがとても優しく印象に残っていた。
大学3年の夏休みに、その業界を体験したいと思い、インターン
シップに参加した。実際の店舗の状態や仕事のことがよくわかり、とても参考になった。
就職活動を始めた最初の頃は、業界では介護や福祉、職種としてSEや接客など幅広く見ていた。しかし、勤務地や自分の適性、
社風などを考えたとき、最初に興味を持った業界への「想い」を大切にしようと考えた。そして、業界を絞ることにした。
就活では、自分の強みを、志望企業でどう活かせるかを説明する点で苦労した。そこで、ホームページを読み込んだり、店舗に足を運んだりし、企業研究をしっかり行った。
取捨選択型
を運んだりし、企業研究をしっかり行った。
面接のときに、アピールした体験は「選挙管理委員会」の活動。大学1年から参加し、大学2年の時に委員長役に自ら立候補した。
リーダーシップはもともと苦手だったが、この体験で鍛えられたことを思い出した。それを面接の際アピールできたことが、内定につながったと思う。
第一希望の企業で働けることになった。社風も気に入っている。働くことが、今から楽しみに感じている。
就活を終えて・・・①自分の興味が持てる業界に絞り、なぜ興味があるかを突き詰める
ことが大事。②合同企業説明会は疲れるので行かなかった。その代り、興味の
ある業界に絞り、深く企業研究をした。企業研究は、調べれば調べるほど、面接で質問に答えやすくなる。 12
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「勤務地と社風かな。社内の風通しがよく、社員同士の助け
合いが自然に行われているところが理想です。」
Q2. 就活で支えになったことって?「自己PRは、家族や友人に積極的に相談、キャリア支援には
何度か相談に行き、企業を紹介していただきました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「体験を通して納得することが大切。インターンシップだけではなく、企業研究で店舗見学したことは、とても役に立ったと思います。」
ゼミ教員からのメッセージ
子ども向けの地域の講座などで、しっかりと、丁寧に作業を進め、他のゼミ生の協力を引き出していましたね。
Kid‘sサマースクールでのお姉さん役が印象に残っています。みんなをまとめてくれて、ありがとう。(山口)
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物語⑥ Fさん(菓子メーカー)
「企業理念に共感。合同説明会での偶然の出会い」
社会のことを知らないまま、就職活動に入るのは不安だった。そこで、3年の夏休みにインターンシップに参加した。IT企業の事
務職として、総務や人事を経験した。そこでは、社内での上司や部下の人間関係について、考えるきっかけになった。
その後学園祭で「さがっぱ・ジョー」の活動に時間を割くことを優先し、一旦就職活動はストップした。「ジョー」の活動は充実していたが、年内まで就職活動に取り組めなかった点は痛手だった。
その後、3月に偶然参加した合同企業説明会で、ある食品メーカーの理念に共感した。そして、この企業に入りたいと感じた。
志望先として、福祉業界も考えていた。大切にしていた思いは、「人を喜ばせたい」点。「さがっぱ・ジョー」の活動も、福祉業界も、菓子業界も、一見異なるように見えるが、人を喜ばせる点では同
取捨選択型
菓子業界も、一見異なるように見えるが、人を喜ばせる点では同じ。それが、自分に合っていると感じていた。
グループディスカッションやグループ面接は本当に苦労した。口を挟むタイミングが難しかった。キャリア支援に相談もしながら、何とか乗り越えることができ、第一志望の内定につながった。
最終的に就職先を決めた理由は、本社所在地。親の実家が愛媛にあり、今後Uターンする可能性もあるため、本社が愛媛にある食品メーカーにした。もちろん企業理念にも納得している。
就活を終えて・・・①「さがっぱ・ジョー」の取り組みは、広報サポーターの活動として
就活でもPRした。企業の人もかなり興味を持ってくれた。人と違う経験の大事さにも気づかされた。
②就活の準備は早いに越したことはない。少なくとも3年の12月頃までには、自分の関心と大きな方向性を決めてほしい。 14
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「就活を通して、自分は人を喜ばせる仕事が好きだとわかり
ました。仕事は社風が大事だと強く感じましたね。」
Q2. 就活で支えになったことって?「家族や友人にも相談したが、主に相談先はキャリア支援。
ゼミや「ジョー」をがんばったことも役立ちました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「自己分析は1人ではできません。キャリア支援の人に、話しながら引き出してもらって、自己PRをまとめることができました。」
ゼミ教員からのメッセージ
ゼミで真剣に行った「ゆるキャラ研究」が、いろいろな意味で学生時代の宝になりましたね。
これからは故郷で、のびのびと仕事を楽しんでください。そのうち故郷を支える1人にもなってほしいと願っています。
(宮田)
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物語⑦ Gさん(自動車販売)
「ゼミの先輩との交流が、仕事の決め手になった」
自動車販売の仕事に興味を持ったきっかけは、2年生のとき、
ゼミの先輩の話を授業で聞いたことだ。将来の仕事のイメージは、漠然と「事務がいいかな」と思っていた。でも、自動車販売ショールームスタッフなら事務職でも、お客さんと接することもできる。
しかも、その「距離が近い」ことに惹かれていた。なぜなら、「自動車は寿命が長くて点検などもあり、接点が多いから」「自動車の種類は限りがあるので、商品理解を深めることができ、お客さんに適切な提案ができるから」で、そこは自分にとって魅力だった。
3年生の3月に、視野を広げようと思い不動産業界の説明会にも行ってみた。しかし、なんとなく自分には合わないように感じた。
5月下旬にはホンダカーズ、6月初旬にはトヨタカローラからも内
定をいただいた。第一志望はホンダカーズだった。その理由は、
取捨選択型
定をいただいた。第一志望はホンダカーズだった。その理由は、「本田技研の100%子会社で、福利厚生が本田技研と同じ。年間休日も多い」「長く働きやすそう(店舗見学で、1年目から産休を取
る人がいることを聞いた)」「実家がこのお店の顧客で、お客さんの立場から見ていいお店だった」から。
就活で悩んだ点は、事務か営業か、どの内定を優先するか、働く場所をどこの支店にするかだった。説明会で社員の方に尋ねたり、父親に相談したりした。就職先には、十分納得ができた。
就活を終えて・・・①就職活動で大切なのは、自分の分析をしっかりすること。曖昧だと、
面接のときに対応できない。②「周りを気にしすぎないこと」そして「人事の人に印象付けるために、
人と違ったことをすること」が大切だと感じた。
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インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「地元に住み続けたいので、地元で長く働けることです。
事務だけど接客もできる。福利厚生も重視していました。」
Q2. 就活で支えになったことって?「地域活性化ゼミで、行動力やコミュニケーション力、提案力
などが鍛えられました。キャリア支援には「内定保留・辞退」についてアドバイスをいただきました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「説明会では、人事の方からためになる話もありました。自分の成長となる機会でもあったと思います。」
ゼミ教員からのメッセージ
まちづくりへの取り組みが、自信につながったと思います。ゼミの先輩との交流が、仕事を決めるきっかけになりましたね。
ゼミでは、困ったこと、手間がかかることを、いやな顔をせず引き受けてくれました。感謝しています。(松下)
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物語⑧ Hさん(百貨店)
「アルバイトでの経験や、徹底した企業研究が役立った」
大学2年の時、銀行のインターンシップに参加したが、雰囲気
が合わなかった。一方、渋谷ヒカリエでアルバイトもしたところ、とても魅力を感じた。それがきっかけとなり、百貨店で、販売(接客業)が第一希望となった。
3年生の冬、合同説明会に参加した。当初、東京近郊での就職
を考えていたが、両親の勧めで地元の新潟の企業も視野に入れるようになった。
接客の仕事は、お客様それぞれにあった提案ができることが魅力だった。アルバイトしたヒカリエでは、お客様との会話を楽しむ温かい雰囲気があり、気に入っていた。ただ、職種を選ぶ段階で「いろいろ仕事を経験できる総合職」と「販売のみを行う販売職」で迷い、買い付け業務にも憧れがあったので「総合職」を選んだ。
取捨選択型
で迷い、買い付け業務にも憧れがあったので「総合職」を選んだ。4年生の7月までに、2社から内定をいただいた。しかし、百貨店
業界が第一志望だったため、就活を続けた。
就活では、企業研究に力を入れた。具体的には、「新聞を読む(日経、日経MJ)」「OG訪問をする」「本を読む(接客、経営など)」「インターネットや会社案内で企業ごとの特徴を調べる」など。
企業研究を進める中で、自分が働きたい百貨店を絞ることができた。そして、第一志望の百貨店から、幸い内定がいただけた。
就活を終えて・・・①個別の会社説明会やセミナーは、いろいろ会社を見る良い経験
となった。今しかできないことだし、視野も広げられた。自分に「合う」会社は、実際に見てみないとわからないと感じた。
② SPI(Webテスト)の対策は、もっと早い段階からやればよかった。
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インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「長く働きたいと考えています。とくに、子育てしながら働き続け
られることを重視し、説明会などに参加していました。」
Q2. 就活で支えになったことって?「サークルやアルバイト先の先輩。就職の話は、社会人の先輩
から話を聴いたり、相談したりするのが良いと思ったから。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「ゼミや社会人デビュー講座、フィールドワークの授業が役立ちました。授業でやったことは、就活でも十分活かせますよ。」
ゼミ教員、担当教員からのメッセージ
卒論では中国消費の展望について考察しました。すぐに満足することなく、大量の情報を収集しました。
今後は外国人客を想定した品揃えや販売方法を検討する過程で、新しいライフスタイルを提案してください。 (金森)
新潟の山村のフィールドワークで経験した、歩く、見る、聞くの心意気でチャレンジしてください。 「汝の立つところを深く掘れ、その処に泉あり」(竹本)
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物語⑨ I さん(エネルギー企業)
「長く勤められることが、自分の軸だと気づきました」
就職に漠然とした不安を抱え、また「これがやりたい」という
強い意志がなかなか持てなかった。その焦りから、キャリア支援の講座には欠かさず参加していた。
3年の冬から、就活を本格的に開始した。学科の授業やゼミ活動から「地域貢献」「マーケティング」への関心があったので、IT業界や金融業界からスタートした。しかし、IT業界はベンチャー企業
が多く、説明会で「転職が当たり前、会社を踏み台にする」という雰囲気に「違和感」を持った。そこで、自分が大切にしたいもう1つの軸として、「長く勤められる会社」があることに気づいた。
そこで、その軸を手がかりに、金融業界やインフラ業界に視野を広げた。金融業界は、選考過程で「知識重視」だと感じた。面接でのやり取りなどから、自分には合わないと感じ始めた。
取捨選択型
のやり取りなどから、自分には合わないと感じ始めた。
一方、インフラ業界は「地域貢献」「長く勤められる会社」にぴったりだと気づいた。選考中も、人柄を重視している様子が伝わってきて、リラックスして自分のことを伝えられた。
そして、5月に内定をいただいた。ただ「まじめで、つまらないの
かな」という不安や、「残業有・シフト制勤務」が気になり、内定後も就活を続けていた。しかし8月に、ある銀行の選考が不合格になったとき、自分の中で区切りがつき、納得して終えられた。
就活を終えて・・・①就職活動を通じて、自分の良いところ、悪いところに気づくことが
できた。それが、自分にとっての一番の実りだった。②筆記試験対策をしっかりとしておけばよかった。面接は、不合格
でも納得できるが、筆記試験は不合格だと、もっとがんばれたと思えて仕方なかった。 20
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「長く勤められる会社。そして、地域貢献。これが自分の
軸だと気づきました。」
Q2. 就活で支えになったことって?「キャリア支援に、たくさんお世話になりました。愚痴を聞いて
もらい、話すことで気が楽になりました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「100%すべての条件で、満足できる就職先はありません。自分でしっかり調べることで、現実的に納得できることが大切ですね。」
ゼミ教員からのメッセージ
共同研究や商品開発に積極的に参加しました。自分で考えた内容を提案する経験が生きたと思います。
就職先は、需要家への提案が仕事になると思います。
電力自由化や省エネ技術革新などのチャンスを生かしてください。(金森)
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物語⑩ Jさん(生命保険)
「思い切ってチャレンジしよう。そう決めたことが内定に」
もともと金融業界には関心があった。高校2年、また大学2年の
時、家族に不幸があった際、保険会社の人に「プロの知識」と「親切な対応」で助けてもらった。この経験が強く印象に残り、自分でもこんな仕事がしたいと思っていた。
3年生の冬に、それまで社会人デビュー講座で学んだ事を踏ま
え、エントリーシートの作成など、就活の準備をしていた。キャリア支援には、エントリーシートの添削や相談によく通っていた。
第一志望の生命保険会社は、身近な人がその営業をしており、大学2年の時にWebサイトを見ていいなと思っていた。しかし、自
分のレベルでは大手企業は難しく、職種も「事務」かなと思い込んでいた。周りの先輩も、金融なら信用金庫で事務というケースが多く、なんとなく自分もそんな気がしていた。
取捨選択型
多く、なんとなく自分もそんな気がしていた。
ただ、就活を進めていくうちに「もっと深くお客様と関わりたい」「信用金庫よりも銀行、保険がいい」「自分でどんどん動ける営業がいい」という思いが出てきた。
4年の4,5月頃は、不合格が続きつらかったが、失敗から学んだ。6月には第一志望の生命保険会社の職場見学に参加し、思い切って受けてみたいと心が決まった。そして、8月に内定をいただくことができた。思い切ってチャレンジしてよかったと思っている。
就活を終えて・・・①決まらない時期はつらかったが、そんな時期だからこそ、「人に話
を聞いてもらう」「とにかく行動する」ことで、自分の不安は解消することに気づくことができた。
②最終面接での失敗から、コミュニケーションは「しっかり聞くこと」「相手の求めていることに応えること」が大事だとわかった。 22
インタビュー
Q1. 就職先、働き方へのこだわりは?「長く働きたいので、正社員で、福利厚生が整っていることを
意識しました。実家から通えることも大切です。」
Q2. 就活で支えになったことって?「高校や大学時代の友人には、他己分析や話相手になって
もらいました。アルバイト先の先輩には、いろいろ率直なアドバイスをいただきました。」
Q3. 最後に一言どうぞ
「周りを見過ぎて弱気にならず、思い切ってチャレンジして本当に良かったと思います。」
担当教員からのメッセージ
社会人デビュー講座で学んだことが、就活でしっかり活かされていることがよくわかります。
周りを見ながら、なんとなく弱気にならず、思い切ってチャレンジする覚悟をしたことが、憧れの第一志望から内定がいただけた最良の結果になりましたね。おめでとう。(宮田)
23
◎参考データ
物語 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 平均
資料請求数 30 5 20 30 20 16 20 60 55 15 27.1
ES提出数※ 15 4 20 12 6 10 20 10 40 17 15.4
説明会参加数
20 2 20 10 30 12 15 30 40 13 19.2
面接回数 13 3 15 10 4 6 10 8 20 8 9.7
内定数 4 2 3 1 1 2 3 3 1 1 2.1
内定月 8 10 9 5 6 7 6 8 5 8 -
●就活データ
※ 「ES」はエントリーシートのこと。
●コメント今回インタビューに応じてくれた就活生の活動データを眺めてみ
ると、大きく2つのタイプに分けることができる。①~③の「初志貫徹型」は、かなり志望先を絞り活動している。
一方、④~⑨の「取捨選択型」はスタート時に、業界や志望先をやや広めに設定しながら、徐々に自分に合った業界や企業に気づいていく。人により、気づくのが早いか遅いかは差がある。
昨年と比べて、「資料請求数」は半分程度となっている。採用市場が活発化し、内定が出やすくなってきたことがわかる。
一方、内定が出る時期は遅くなっている。これは、就活時期が後ろ倒しになった結果だろう。ただ、また今後、大手企業を中心に2か月前倒しになるので、内定時期は多少早まることが予測できる。
いずれにしても、今後も大勢に影響はないと考えられる。
24
第2章
解説
25
1. 就活物語から見えること
今回事例として協力してくれた4年生は、2012年4月に入学した。就活に励んだ2015年は、景気がそこそこ回復してきた一方、大手企業の採用時期が後ろ倒しになり、中小企業にも悪影響を及ぼした年でもあった。
彼女たちは、学科全体から見れば、比較的早くから熱心に就活に取り組んだ学生ばかりだ。そして、第一志望先または第二志望先から内定を得、納得度は高い様子だ。それでも、十人十色の物語を丁寧に見ていくと、楽な物語など1つもなく、苦労、悩み、安堵、喜びなど、さまざまな思いが伝わってくるものばかりである。
これらの事例の優れた点は、後輩や教員をはじめ、当事者以外にとっても参考となることがたくさん詰まっていることだ。それらについて、気づいたことを簡単にまとめてみたい。
①信頼できる相手から積極的にアドバイスを求め、学んでいる。それぞれの就活には、多様な人が関わっている。母親など家族、アル
バイト先の先輩や仲間、また学内のキャリア支援の職員など信頼できバイト先の先輩や仲間、また学内のキャリア支援の職員など信頼できる相手から、自分にとって必要なアドバイスを見極め、就活に活かしている様子が見られる。他者に学ぶ力、それを参考に都度軌道修正する力は就活には不可欠である。困難な場面に突き当たると、そこから逃げ出したり、安易に自分の殻の中に引きこもったりしがちだが、そうならないよう積極的に信頼できる相手に支えてもらっている姿が印象的である。
②自分の目で確かめること、体験から学ぶことを大切にしている。現在の就活は「ネット就活」だと見られがちである。しかし、インター
ネットで得られることはきっかけに過ぎない。学内での企業説明会に参加し、しっかりと話に耳を傾け、率直に質問してみる。面接でうまくいかなかったことから学び、次に活かせるよう工夫してみる。そもそも、つきたい仕事のイメージを、アルバイトでの体験や学科による地域連携活動での体験、ゼミや授業で学んだことから、丁寧に考えてみる。
このような当たり前のことができているからこそ、納得して就活が終えられている。彼女たちの地道で真面目な取り組み姿勢が伝わってくる。
26
③「長く働けること」を大切にし、内定先を選ぶ人が目立つ。志望先を選ぶとき、また内定が複数得られたとき、「長く働けること」を
意識して組織や仕事を選ぶ人が今回も目立っていた。子育てをしながら働き続けられるか、社内の雰囲気は良いか、福利厚生が充実しているかなど、長い目で仕事を考えている様子が見て取れる。彼女たちなりに「自活女子」を目指す堅実な姿勢が感じられる。将来が不透明な時代であることを、敏感に察知しているのかもしれない。
④「人と関われる仕事」「地域貢献」への関心も高い。いくつかの物語で、「人と関われる仕事」や「地域貢献できる仕事」が
したいと、仕事のイメージが語られていた。従来から女子大では一般的に、就職するなら「事務職」がいいとか、「営業職」は大変だからできれば避けたいという声をよく耳にした。しかし、漠然と「事務職」「営業職」と考えるのではなく、「人と関われる仕事」「地域貢献できる仕事」という視点から、具体的に仕事のイメージを描いているところに、彼女たちの仕点から、具体的に仕事のイメージを描いているところに、彼女たちの仕事への真剣さと成長を感じる。
また、この点は、社会マネジメント学科で学んだ地域連携活動やゼミでの取り組みが活かされていることが改めてわかる。彼女たちが大学生活全体で関わった人の数や世代の幅広さは財産といえるだろう。
⑤社マネの学生らしさ物語全体を通して、本学科の学生らしさが以下の点で感じられる。・選考で落ちても簡単に諦めない。なかなかしぶといのだ。・仕事内容以上に、働く人や職場の雰囲気を大切に考え判断している。
やることだけではなく、組織を見る視点が持てていることがわかる。・地域連携活動やフィールドワークなど、社会的活動として経験し、
学んだことが活かされている。それに気づくと、自己PRがしやすい。今回の物語では、それぞれにゼミ教員や担当教員からのメッセージ
が添えられている。 社マネらしさ、社マネで学んだ学生らしさが、そこからも十分伝わってくると思う。
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2. 学科での学びがどう活かされたか
今回の物語の背景には、本学科で学んだことがいろいろ活かされている。学科のカリキュラムへの考え方から、その点に少し踏み込んでみたい。
本学科では、まず「社会人基礎力」の育成を丁寧に行っている。たとえば、1,2,3年連続で必修科目として位置づけられている「社会人デビュー
講座」では、グループワークを通して、「相手の考えをしっかり受け止めること」、「全員の前で自分の考えを堂々と発表すること」、「話し合いを通して最善策を見極めること」などに力を入れている。
そして、大学から社会に飛び出し、地域や企業と連携しながら、さまざまな人たちと一緒に課題解決を行う体験学習、すなわち「プロジェクト型教育」を重視している。それにより、学生の中に「現実の中で考えること」、「さまざまな人とコミュニケーションを通して考えること」、「組織の中で自「さまざまな人とコミュニケーションを通して考えること」、「組織の中で自分の役割を意識しながら行動すること」などを、時間をかけて育てている。
「社会人基礎力」は、「プロジェクト型教育」の場で応用されることにより、個々の学生の中に現実感のある確かなものとして定着していく。
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社マネだからこそ、いえること
①「社会人基礎力」の育成・「社会人デビュー講座(必修、基礎・中級・応用)」・「インターンシップ」(選択)など
②「プロジェクト型教育」の重視・「地域で学ぶ社会の仕組み」(必修)・「フィールドワーク」(選択)・「地域連携プロジェクト演習」(選択)など
③少人数「ゼミナール」(必修)での深い学び
さらに、3年生からは必修で「ゼミナール(ゼミ)」に参加する。ゼミでは、10名以内の少人数で、それぞれのゼミ・テーマに応じて深く学ぶことが
できる。ゼミを担当する教員との距離は極めて近く、ゼミ生同士のコミュニケーションも活発に行われる。近年、就活では「ゼミで打ち込んだことは何か」、「ゼミで学んだことが、現在の自分や将来にいかにつながっているか」などに、企業側の関心が高まっている。
本学科において、ゼミは大学で学んだことを総合的に発展させる場であるとともに、将来につなげる場にもなっている。
就活では、物語を通して具体的に見てきたように、「社会人基礎力」「プロジェクト型教育」「ゼミナール」で得たことが、それぞれの学生らしさの中で、十分発揮されている。
今回の物語は、学科で取り組んできたことの価値を再確認できる大切な機会にもなっている。
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◎補足 社会マネジメント学科とは
[沿革]2003年 本学学芸学部に人間社会学科が開設される。2008年 上記が人間社会学部社会マネジメント学科と
人間社会学部人間心理学科に改組される。同年、社会マネジメント学科は文部科学省より「教育GP」(質の高い大学教育プログラム、3年間)に選定される。
2011年 「地域貢献度ランキング」(日経グローカル)で本学が女子大NO1となり、その獲得に社会マネジメント学科が大きく貢献する。
2012年 社会マネジメント学科1期生が卒業。2013年 社会マネジメント学科開設5周年を迎える。2013年 社会マネジメント学科開設5周年を迎える。
[組織]専任教員数 14名(2016年4月時点)
[学科コンセプト]
プロジェクト型教育により、未来を生き抜く女性を育てる!社会・情報・法律・政治・経済・経営に加え、心理も学びます。明るくあたたかい安心な社会をつくるために、現代の暮らしの問題を考え、解決策を提案し、それを実行できる行動力を育成します。
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☆さまざまな学科プロジェクトの事例☆
三重県熊野市での農業実習
「丸山千枚田稲刈り」
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「社会マネジメント学科就活物語 2016」
2016年3月発行社会マネジメント学科32
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