はなちゃんと バイナリめがね

作： @cchanabo Kyoko HANADA 2014

はなちゃんと、ぬいぐるみのウマタロウはだいのなかよし。

そんなふたりがママからもらったふしぎなめがねで、しらないせかいで、だいぼうけんをします。

このおはなしは、

まだふたりがふしぎな

そのめがねにであうまえのおはなし。

「あーあ。」

はなちゃんが、おえかきをしているとためいきがきこえてきました。

ぬいぐるみのウマタロウです。

「ウマタロウ、どうしたの？」 「はやくおうちにかえりたいな」

「だってまだママが帰ってきてないもん…」

そうなのです。

はなちゃんのママはセキュリティ・キャンプとかにいってしまい、ふたりは、はなちゃんはおばあちゃんのおうちで、おるすばんをしているのです。

「…た、す、け、て…」

「…たー、すー、けー、てー」

あれあれ？

どこからか、こえがします。

ふたりはこえのするほうにめをむけました。

そこにはママのアイパッドがあります。

はなちゃんはウマタロウをかかえながら、アイパッドにちかづきました。

こえはどうやらそこからきこえてくるようです。

「…ここかな？」

ウマタロウがうなずきました。

「…えいっ！」

おそるおそるふたをめくってみると…

「はーーーーっ、たすかったー」

「もうびっくりしたわよー」

iPadの上にしろいうさぎとくろいうさぎがはさまっていました。

はなちゃんとウマタロウはびっくりしていると、ふたりにきづいたうさぎが、たちあがりました。

くろいうさぎが、むねのまえにてをあてて、あいさつをします。

「あぶないところをたすけていただきまして、ありがとうございました。」

「わたくし、バイナリおうこくのビットひめのけらいで、ゼロともうします。」

「わたくしは、イチともうします。」

しろいうさぎもあいさつをします。

ふたりのみみには、0と1のマークがはいっています。

「バイナリ、おうこく？ 」

「ビット、ひめ？」

はなちゃんとウマタロウははじめてきくなまえにおどろきました。

そんななまえのくには、ママからもきいたことがありません。

すると、ゼロとイチはふたりのてをつかんで、

「おねがいです！！」

「いますぐにバイナリおうこくに、きてください！」

すると、ゼロとイチのみみから

0と1のうずがびょーーーーんと、とびでてきました。

「きゃぁぁぁぁぁーーーーー」

あっというまに、はなちゃんとウマタロウはそのうずにまきこまれてしまいました。

「シクシク、シクシク」

だれかがないているこえでふたりはめをさましました。

きがつくともりのなかでないているおひめさまと…あのうさぎたちが8ひきいます。

さっきふたりにたすけられたゼロとイチがやってきました。

「こちらにいらっしゃるおかたが、バイナリおうこくだいいちおうじょ、ビットひめであーる！」

ゼロがいうと、

「あーる！」

イチとほかのけらいもいいました。

「ひめとわたしたちは、おうさまのつかいで、となりのアセンブラこうこくにでかけていました。」

「かえりに、このもりをとおったのですが、そこでわるいまじょにであいまして。」

「バイナリおうこくへのちずを、そのまじょにこわされてしまったのです。」

「ちずをなおさないと、おうこくへかえれません。」

ひめは、ずっとなきつづけています。

ひめのまえには、こわれたちずのはへんのようなものが、4まいならんでいます。

「ちずは、2まいのジェイペグといしゃしんのファイルなのです。

でも、まじょがこのファイルを、こわしてしまったのです。」

はなちゃんとウマタロウは、そのちずのファイルをのぞきこみました。

しゃしんはみたことがあります。

ママのアイパッドでよくさつえいしています。

でも、これはしゃしんにはみえません。

「ふだんは、バイナリめがねで、かんたんになおすことができるのです。」

ゼロがいいました。

「バイナリめがね？」

「…でも、まじょにこわされてしまって、てもとにありません。」

「めがねはパパがしてるよ！」

そうです、はなちゃんのパパはめがわるくてめがねをしています。

「パパのめがねはちがいます。」

「…そっか。」

「…めがねがあれば、バイナリデータをみられるのに！」

イチがくやしそうにいいました。

「バイナリデータってなあに？」

「コホン」

「すべてのファイルは0と1でできております。」

8ひきのうさぎがならびました。

みみに0と1がついています。

ゼロがとくいそうにつづけます。

「0と1のならびかたがちがうと、ファイルのなかみもちがってしまいます。」

「だから、0と1のならびかたがわかると、どんなファイルなのかわかってしまうのでーす！」

「へぇー」

「へくしょん！」

とつぜんウマタロウがくしゃみをしました。

「ウマタロウだいじょうぶ？」

はなちゃんはズボンのポケットからティッシュをとりだしたとき、ポトリとなにかがおちました。

「あっ！メガネ！」

イチがさけびます。

はなちゃんのポケットにあったのは、ママがおでかけまえに、はなちゃんにつくってくれた、おりがみのめがねです。

「えっ？これはおりがみのめがねだよ。」

「いいからかけてくださいっ！」

イチとゼロがせかします。

おどろきながらはなちゃんがめがねをかけると…

「うわーーー！！」

はなちゃんがおどろいたこえをあげました。

「なにがみえるの？？」

「なんか1と0のすうじと、あかいせんやあおいせんがみえるよ」

「やはり！！そのめがねはバイナリめがねですっ！」

「ちょっとかしてください！」

ゼロにいわれて、はなちゃんはめがねをけらいにかしました。

ゼロはめがねをつけましたが、

すぐにかたをおとしてしまいました。

「み、みえない…」

イチもひめもほかのけらいも、

みんなつけましたがみえません。

「このめがねは、どうやらはなちゃんせんようのもののようです。」

「おねがいです、このめがねでファイルを、さがしてくれませんか？」

はなちゃんはウマタロウをだきしめながら、こくんとうなずきました。

さっそく、めがねをつけた、

はなちゃんとけらいたちによる、ちずファイルさがしが、

はじまりました。

まずは、1まいめのファイルを、のぞきこみました。

「なにがみえますか？」

「えっとね・・・

2まいめはどうかな・・・

3まいめはどうかな・・・

4まいめはどうかな・・・

「わかりましたっ！」

イチがさけびました。

「ちずは、

1まいめと4まいめです！」

うさぎたちは、1まいめと4まいめのファイルを、となりにならべて、うたいます。

♪バイナリバイナリバイナリ

バイナリバイナリー♪♪

すると…

さっきまでバラバラだった

ファイルがきれいなしゃしんに

はやがわり！

2まいのファイルは、ちゃんと

ちずになっています。

「やったーーーーー」

はなちゃんも、

ウマタロウも、

ひめもけらいのうさぎたちも、

みんなで、てをとりあって

おおよろこびしました。

ゼロがはなちゃんに

「どうもありがとうございました。

このごおんはいっしょうわすれません。

できましたら、いまからバイナリおうこくにごあんないし、おれいをしたいのですが…」

といいました。

すると、ウマタロウのおなかが、

「ぐぅーー」

となりました。

ウマタロウはおかおがまっか。

みんなおおわらいです。

でも、はなちゃんはママのごはんがたべたくなってしまいました。

「あのね、はなちゃんとウマタロウはね、おうちにかえりたいな。」

はなちゃんがこういうと、ゼロは

「わかりました。では、そとのせかいへおおくりします。」

といい・・・

またまたあの、

0と1のぐるぐるが・・・・

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁー」

「…はなちゃん、おきて。」

ママのこえでめがさめました。

どうやら、ママのアイパッドの

うえで、ねていたようです…。

だいすきなママのごはんを、

たくさんたべたはなちゃんは、

ママから、おみやげをもらいました。

そのおみやげ、

なんだとおもいますか？

それは、

しろいうさぎと、くろいうさぎが

りょうわきについた、

めがねでした。

「ママ、このめがねはなあに？」

ママはふふふっとわらって、

「バイナリめがね、っていうの。

うさぎさんがかわいいでしょ。」

と、めがねをかけてくれました。

めがねをかけたはなちゃんに、

なにがみえたでしょうか？

はなちゃんとバイナリめがねの

おはなしはこれでおしまい。