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多様なユースケースに対応可能なユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実装と評価
奈良先端科学技術大学院大学 ユビキタスコンピューティングシステム研究室
◎ 松田 裕貴 荒川 豊 安本 慶一
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム
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目次
• 研究背景
• 関連研究と本研究の課題
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の提案
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験・評価
• ディスカッション
• まとめ
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
• 研究背景
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ユビキタスコンピューティングの浸透
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
人や環境の状況測定(センシング)
理解(データ解析)
還元(レスポンス)
快適な生活などに寄与
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効率のよいセンシングが必要?
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
人や環境の状況測定(センシング)
理解(データ解析)
還元(レスポンス)
快適な生活などに寄与
大量の情報発生源大量のセンシング対象
街に拡大すると……?
測定(センシング)
理解(データ解析)
重要!
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都市の環境を理解するための手法
• 設置型センサを用いたもの– センサネットワーク
– 設置型 IoT
• 行政や企業による都市調査– 行政(国土地理院等):道路情報、環境情報
– ゼンリン :地図情報(建物・道路の新設・取壊し等)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
設置コスト : 高→ 網羅性に難あり
調査の間隔 : 長→ リアルタイム性に難あり
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Human Probe / ユーザ参加型センシング
Human Probe : ユーザによる計測
ユーザが日常生活で利用する端末から情報を収集する
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
ユーザ参加型センシングリアルタイム性・網羅性に利点
街中にいる人々
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ユーザ参加型センシングの活用例(電波データ)
• OpenSignal *
– 一般ユーザが現在地点の電波状況を報告
– データ解析 → 世界規模の電波状況を整理・可視化
* OpenSignal, Inc, “ Opensignal,” http://opensignal.com/
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ユーザ参加型センシングの活用例(動画)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
• 桜センサー *
– 車載スマートフォンで動画を撮影、解析、桜の開花状況を報告
* 前中 省吾 他:「桜センサ:車載スマートフォンを用いた桜開花状況の収集・共有システム」 , 情報処理学会論文誌 , 2016
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ユーザ参加型センシングの活用例(照度センサ)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
• 街灯これくしょん *
– スマートフォンを持ち歩いた際の照度変化を収集、解析することで、夜道における街灯の明るさを推定、夜道の安全性を判定
* 松田 裕貴 他:「スマートフォン搭載照度センサの集合知による網羅的な街灯情報収集システムの開発」 , 情報処理学会論文誌 , 2016
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ユーザ参加型センシングの抱える課題
1. センサデータの校正・解析
– 各センサごとに精度が違う– 悪意のあるデータの混入
2. サステナビリティ
– ユーザのモチベーションの不足– ユーザの離脱
3. システム構築・運用コスト
– 各モジュールが再利用できていない– システムの実装コスト・導入コストが高い
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
独自のシステムをゼロから作る必要がある
増えるセンシング需要・多様化するセンシング端
末に対応できない!
将来的に…
共通部分が多い システムごとにアプリインストールが必須
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目次
• 研究背景
• 関連研究と本研究の課題
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の提案
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験・評価
• ディスカッション
• まとめ
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
関連研究 - Ohmage
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08 12
◎ アンケートベースの参加型調査
◎ GPS データ等の基本的なセンサ
◎ アプリ作成・収集・可視化
△ 環境データ収集のタスクは実施不可△ モチベーションを与える機構が不足
関連研究 - AWARE
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◎ プラグインベースのアプリ作成基盤
◎ iOS, Android のアプリを生成
◎ 解析支援ツールを提供
△ シンプルなロガーに留まっている
△ モチベーションを与える機構が不足
関連研究 - LiveLabs
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◎ GUIベースのシステム生成支援
◎ iOS, Android のアプリを生成
◎ 時間や場所、被験者等 の詳細な設定
△ モチベーションを与える機構が不足 → 金銭的インセンティブが基本となっている
△ 使用するセンサの設定ができない
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目次
• 研究背景
• 関連研究と本研究の課題
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の提案
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験・評価
• ディスカッション
• まとめ
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
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ユーザ参加型モバイルセンシング基盤のアイデア
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
モジュールベースのセンシングシステム構築・運用基盤
センシングシナリオ モチベーション生成シナリオ
新規実装・再利用が容易に 設定の異なる同一アプリを構築可能
各シナリオの「モジュール化」 + 「組合せ」によるシステム構築
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ユーザ参加型モバイルセンシング基盤のコンセプト
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
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ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の設計(全体像)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
GUI によるユーザ参加型センシングアプリの実装・運用
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アプリ作成システム
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
センサを自由に組換え可能(センシングシナリオ)
ゲーミフィケーションも組換え可能(ゲーミフィケーションシナリオ)
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ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の設計(全体像)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
アプリごとに内部システムを起動(各々独立サーバとして機能)
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センシング基盤の実装( MQTT サーバ)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
ユーザが利用しているアプリごとに自動振り分け
センシング・ゲーミフィケーションシナリオに従った処理・情報配信
内部システムを管理 自動で内部システムを構築・起動
ユーザがデータをアップロード
センシング基盤の実装(クライアントアプリ)
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム
参加者用アプリ
||あらゆる参加型センシングの
シナリオを実行可能
参加するシナリオを選択
HTTP サーバからシナリオを取得・適用
参加型センシングアプリとして起動
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目次
• 研究背景
• 関連研究と本研究の課題
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の提案
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験・評価
• ディスカッション
• まとめ
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ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験概要
• システムの性能の評価– 実装容易性
– 運用性能
– スケーラビリティ
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センシング基盤の実装容易性評価
• システム構築にかかる工数に基づく評価
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
内訳 ファイル数 LOC
java
Activity, View (画面) 14 2,744Gamification モジュー
ル 10 688
共有リソース 17 18,54小計 41 5,285
xmlレイアウト定義 30 2,154
定数など 8 508小計 38 2,662
合計 79 7,947
過去に作成した街灯照度収集アプリケーション
1,500 行 / 1人月 → 5ヶ月程度の規模
センシング基盤によって生成した街灯照度収集アプリ
GUI の操作のみ
容易な実装可能に
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センシング基盤の運用性能評価( 1 )
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
実際のフィールドワークで検証
– 定期報告型アプリでの検証
• 被験者: 12名• 期 間: 10 日間• タスク:温度計や掲示板などの
写真とセンサデータを アップロードする
計 515 枚の写真データおよびセンサデータの収集を行えた
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センシング基盤の運用性能評価( 2 )
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
実際のフィールドワークで検証
– チェックラリー型アプリでの検証(イベント等との連携を想定)
• 被験者: 10名• 期 間: 1 日間• タスク:チェックポイントの
写真とセンサデータを アップロードする
計 90 枚の写真・センサデータ
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センシング基盤の運用性能評価( 3 )
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
実際のフィールドワークで検証
– 自由投稿型アプリでの検証(マッピングパーティを想定)
• 被験者: 15名• 期 間: 25 分間• タスク:樹木のネームプレート
の写真を自由に投稿
計 315 枚の写真・センサデータ
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センシング基盤の運用性能評価のまとめ
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
定期報告型 チェックラリー型 自由投稿型
期間 10 日 1 日 25 分
参加人数 12 人 10 人 15 人
チェックポイント数 10 40 -
収集枚数(結果) 515 枚 90 枚 318 枚
長期 短期
様々な期間・形態におけるアプリの運用が可能→ より長期的な実環境実験を行うことで検証を行う
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センシング基盤のスケーラビリティ評価
ユーザ数が増大した時の性能を検証
– 仮想ユーザを生成した上での同時送信試験
• 仮想ユーザ数: 300名• 送信データ :約 2MB
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
応答最大時間約 300 [sec]
DB操作がボトルネック
[ms]
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センシング基盤のスケーラビリティ評価
内部システムの分散化( 5 分割)
– 仮想ユーザを生成した上での同時送信試験
• 仮想ユーザ数: 500名( +200名)• 送信データ :約 2MB
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
( 300名時)応答最大時間約 40 [sec]
300
約 85% の改善
より細かい単位にタスクを分割し、分散処理が必要
[ms]
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目次
• 研究背景
• 関連研究と本研究の課題
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の提案
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験・評価
• ディスカッション
• まとめ
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モチベーション生成シナリオについて
定期報告型アプリ
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 150
20
40
60
80
100
ユーザ ID
撮影枚数
高参加率層( 63% を占める)中間層
低参加率層
ユーザごとの撮影枚数
• アクティブユーザは限られている• 中間層をアクティブユーザに引き上げることが重要
36マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1005
10152025303540
チェックポイント ID1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0
10
20
30
40
50
60
チェックポイント ID
撮影枚数
12
3
4
5
678
10
9
チェックポイントごとの撮影枚数
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314150
20
40
60
80
100 高参加率層中間・低参加率層
参加率層別では…
大きな枚数差は見られない
高参加率層の偏りは少ない ■ 高参加率層■ 中間・低参加率層
距離の遠い場所での枚数減少が大きい
37マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1005
10152025303540
チェックポイント ID1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0
10
20
30
40
50
60
チェックポイント ID
撮影枚数
チェックポイントごとの撮影枚数
大きな枚数差は見られない
高参加率層の偏りは少ない ■ 高参加率層■ 中間・低参加率層
距離の遠い場所での枚数減少が大きい
参加人数が増加 → 無視できない「差」になる
中間・低参加率層のモチベーション向上が重要= シナリオのデザイン
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目次
• 研究背景
• 関連研究と本研究の課題
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の提案
• ユーザ参加型モバイルセンシング基盤の実験・評価
• ディスカッション
• まとめ
マルチメディア、分散、協調とモバイル( DICOMO 2016 )シンポジウム - 2016.0706-08
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まとめ
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