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E-Learning Section-22医療コミュニケーションスキルアップ

実務編

株式会社葵 調 剤

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Lesson 22-1  医療コミュニケーション

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まずは「聞くこと」に徹する!「患者さんとの会話が苦手」という人に言いたいのは、「上手に話さなくてもいい」ということです。「上手く話せない」、「何を話したらいいんだろう?」など、話そう話そうとするから余計に力が入ってしまうのです。会話の基本は聞くこと。その代わり、じっくり時間をかけて患者さんの話を聞くのです。「私の話をしっかり聞いてくれた」ということが、信頼関係を築く最も有効な方法なのです。とくに患者さんたち、あるいはそのご家族は、病気のことで悩んだり苦しんだりしている状態。気持ちを吐き出すだけで楽になることも多いので、薬剤師にとっては話を聞くことがとても重要な仕事なのです。また、かなり真剣に「患者さんとの対話が苦手」と悩んでいる人が、休憩時間などにスタッフ同士で話す際は、違和感なく話せていることも多いんです。この場合は、「私は患者さん応対が苦手だ!」と思い込み過ぎている可能性が大。初対面やあまり親しくない人と接するとき、人は多少なりとも緊張するものです。必要以上に苦手意識を膨らませず、「そのうちに慣れるはず」というぐらいの軽い気持ちを持つことが大切です。

Case-1  患者さんとコミュニケーションが続かない

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Lesson 22-1  医療コミュニケーション

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相手に対して興味を持つ会話上手になる一番のコツは、相手に対して興味を持つこと。たとえ初対面の人であっても、処方せんという個人情報がいっぱい詰まったデータが目の前にあるのですから、興味さえ持てば会話の糸口はいくらでも見つかるはずです。飲み忘れはないか、薬の形状的に飲みにくくはないか…… そんなことをやり取りしていく中から、重要な情報が引き出せることもあります。「雑談まじりの気軽な雰囲気だから本音を話せる」という患者さんも決して少なくありません。雑談の中で得た情報をもとに疑義照会をし、重要なミスを事前に防ぐことができたケースもたくさんあります。「それでもやっぱり緊張してしまう!」という人は、最後の手段。とっておきの方法をお教えしましょう。最初に、「緊張して上手く話せないのですが、なんでもご相談くださいね」と伝えてしまうのです。人は、弱みを見せてくれる相手を「心を開いている」と認識し、親しみを感じやすいものです。最初に「緊張しています」と伝えておくことで、「嫌な感じだな」と思われるリスクはかなり減ります。とはいえ、やはり薬剤師としては「頼りになる」と思われることが大切なので、少しずつでもコミュニケーションスキルをアップできるよう、日頃から心がけてみてください。

Case-1  患者さんとコミュニケーションが続かない

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Lesson 22-2  医療コミュニケーション

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Case-2  笑顔になれない笑顔ほど強力な癒しパワーを持ったものはない薬のチカラで患者さんを支える。それが薬剤師の使命です。病気に立ち向かう、あるいは受け入れながら日々を過ごす患者さんたちに寄り添い、少しでも気持ちを癒すために必要不可欠なのは笑顔です。笑顔というのは実に強大なパワーを秘めていて、どんな言葉よりも多くの安心感や信頼感を伝えられるもの。「あの薬剤師さんが言うから苦い薬も頑張って飲み続けている」、「通院は大変だけど、優しい薬剤師さんに会えると思うと苦労も半減する」といった意見をしばしば聞きます。笑顔そのものに治療効果があり、治療に欠かせないものであるとさえ思っています。薬剤師が薬に対する知識を持っているのは当たり前。それを患者さんに正確に伝え、サポートすることも当たり前のことです。では、ほかの薬局と何で差別化を図るかというと、薬剤師それぞれが持つ心の温かさ、思いやり、優しさといった人間性に他なりません。そういった意味でも、笑顔は薬剤師にとって必要不可欠な要素だと言えるでしょう。

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Lesson 22-2  医療コミュニケーション

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より自然な笑顔はトレーニングでつくる笑顔を意識してつくるのは意外に難しいものです。そのため、接客を重視するホテルや飲食店などは、笑顔をつくるトレーニングをしっかり行っています。朝、顔を洗って鏡を見るときや日中、手洗いに立ったときなど、鏡があれば笑顔の確認。薬局にも高いレベルの接遇が求められる今、薬剤師にとっても笑顔トレーニングは必要不可欠だと思います。ときどき、「頑張ってもどうしても笑顔がつくれない」という相談を受けることがありますが、その場合はせめて優しい表情を意識してください。一目でつくり笑いとわかるような笑顔なら、本心からの優しさがにじみ出るような表情の方が、何倍も好印象だからです。とくに気をつけたいのは、目。目はその人の心を如実に表します。心から患者さんのことを思いやり、気遣う優しさを持っていることが大切なのです。最近は衛生の観点からマスクを着用していることも多く、口元が隠れているため、余計に目の表情が際立ちます。反対に、心がまったく伴っていないのに表面上だけで笑顔をつくり続けていると、少しずつ「なんとなくあの患者さんとは話がかみ合わないな」と感じることが増えてくるはずです。これは、心の中を患者さんに見透かされている証拠。とくに、「ほかの薬剤師に対する態度と、私に対する態度が違う。私には笑顔を見せてくれないな」という患者さんがいる場合は、早急に態度を改める必要があります。患者さんの態度は、自らの接遇態度を採点する鏡だと思って意識しておくといいでしょう。まずは患者さんを心から思いやる心を持つ。そのうえで、その気持ちを笑顔で示せるように練習しましょう。

Case-2  笑顔になれない

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Lesson 22-3  医療コミュニケーション

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Case-3  話し好きの患者さんへの接し方話をしてくれる患者さんはありがたい存在高齢の患者さんなどでよくあるケースですね。この場合、大前提として心にとどめておいてほしいのは、こんな風に話してくださる患者さんは、薬局を信頼してくださり、薬局のファンでもあるありがたい存在なんだということ。いろいろと話してくれることに感謝しましょう。とはいえ、薬局が混んでいるときは、ほかの患者さんとの兼ね合いもありますので、じっくり話を聞くことが難しいですよね。そんなときは、「○○さん申し訳ありません。もっとお聞きしたいんですけど、今日はとても混んできたので……。また今度、聞かせてもらえますか?」とお願いしてみましょう。このときのポイントは、「もっと聞きたいんです」という点をしっかり強調すること。そして、申し訳ないという気持ちをしっかり伝えるということです。心にもないことを演技して言うわけではありません。そんな表面的な演技は、患者さんにすぐ見抜かれてしまうものです。まずは本心から聞きたいと思う。そして、ゆっくり話ができない状況を残念だと思う。そうすれば、自然に申し訳ない表情や口調になるはずです。人間は言葉そのものよりも、口調や表情などの雰囲気で受け取り方が大きく左右されるそうです。言葉だけで謝るのではなく、「申し訳なく思う」ことで、「この人はちゃんと私の話を聞いてくれるんだ」と感じていただけます。 葵調剤

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Lesson 22-3  医療コミュニケーション

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Case-3  話し好きの患者さんへの接し方処方せんがなくても気軽に立ち寄れる薬局に薬局が地域密着・患者さん重視をうたっているなら、さらに加えて「処方せんがなくても、お時間があればいつでも立ち寄ってくださいね」と言えたらベストでしょう。一般の方にとって、薬局は特殊な場所。「薬のことならお気軽にご相談ください」と言われても、中に入るのに気が引けるものです。でも薬剤師から、「処方せんを持っていなくても大丈夫ですよ」、「散歩の途中で、お茶でも飲みに来てくださいね」と言われれば、かなり身近な存在として感じられるはずです。その際、「○曜日の○時頃なら比較的空いていますので」などと具体的な情報を添えれば、よりウエルカムな気持ちが伝わりやすいと思います。話好きな患者さんの場合、薬に関係のない話が延々と続くケースもありますが、上手く誘導すれば、体調や薬に関係する話題に持っていくこともできるはず。何気ない会話の中で、思いがけない情報を引き出せることもあります。また、病気や通院などで疲れがたまり、誰かに吐き出したいこともあるでしょう。薬を渡すだけではなく、患者さんの気持ちを受けとめ、癒せる存在になる。そんな気持ちで仕事をしてくれる薬剤師が一人でも増えてくれたら…… と心から思います。

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Lesson 22-4  医療コミュニケーション

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おもちゃや絵本など、子ども対策をしておくこれは子どもの年齢や保護者の対応などでも違ってきますから、一概に「こうすればいい」と言い切ることができない難しい質問ですね。小児科や耳鼻咽喉科など、普段から子どもがよく来る薬局では、プレイルームやおもちゃ、絵本などが充実していて対策がしっかりとられているため、このような悩みは比較的少ないようです。しかし、たとえ子どもの患者さんが少なくても、保護者が病気で診察に連れてくる可能性があります。そう考えると、いずれの薬局も子どもがくる可能性があると判断して、最低限の絵本やシールなどのアイテムは用意しておくといいでしょう。製薬会社が用意する販促用のグッズなどを活用してもいいですね。子どもが来て困ったときにはどうすればいいか、あらかじめスタッフ同士で対応策を話し合っておくのもいいと思います。

Case-4  薬局内ではしゃぐ子供への注意

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Lesson 22-4  医療コミュニケーション

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注意をするときは言い方を考えて。 保護者にも「お願い」をする絵本やおもちゃには見向きもせず走りまわっているときは、注意をして止めなければいけません。その際は大人に接するのと同様、言い方を考える必要があります。「走りまわったらダメ!」と頭ごなしに叱るのは避けたいですね。子どもが反抗してますます暴れる可能性も高いですし、何より聞いているまわりの大人も、あまり気持ちがいいものではありません。子どもの年齢にもよりますが、言葉を理解できるような年齢であれば、まずは「元気いいね」、「もう体調はよくなったの?」と笑顔で声をかけましょう。そのうえで、「でも薬局には具合が悪い患者さんが多いから、静かにしようね」と優しく諭すように言い聞かせます。「この本、おもしろいから読んでみない?」とほかに興味をそらせるのも有効でしょう。保護者がいるなら、保護者の方にも「注意」ではなく、「お願い」をします。ポイントは子どもに対しても保護者に対しても、命令口調ではなく穏やかにお願いをすることです。なかなか難しいケースだと思いますが、ほかの患者さんにぶつかるなどという事故を防ぐことはもちろん、患者さん同士でトラブルになる可能性もありますので、「そのうち大人しくなるだろう」と待つより早めに対処することが大切です。

Case-4  薬局内ではしゃぐ子供への注意

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Lesson 22-5  医療コミュニケーション

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Case-5  会話を嫌がる患者さん要望に応えることが第一。無理にやり取りしようとしない「薬局でいつもいつも『お薬は余っていませんか?』と聞かれるのがとても不愉快という話を患者さんから聞くことがあります。理由は「ちゃんと飲んでいるのに、疑われているような気がするから」とのこと。薬剤師にしてみれば、確認事項として聞いているだけなのですが、患者さんにはそんな風に感じるようです。まずはなぜ話したくないのか、薬局側の対応として非がなかったかを振り返ってみましょう。もしかしたら以前、知らないうちに患者さんが不愉快に思うことをしてしまい、それが原因で会話を嫌がるようになってしまったのかもしれません。もちろん、単に忙しくて説明を聞いている時間がない、あるいは医師としっかり話しているので大丈夫、という可能性もあるでしょう。いずれにしても、「早くしてほしい」という患者さんの要望に応えることが第一です。作業を急ぐのはもちろん、説明が不要だと言われたらできるだけ簡潔に。おくすり手帳や薬歴などの記録も利用して、必要なやり取りのみにとどめます。一点、気をつけたいのは、「早くする」=「機械的に接する」ではないということ。短い時間で最低限のやり取りしかできないからこそ、なおさら丁寧な接遇を心がけましょう。

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Lesson 22-5  医療コミュニケーション

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Case-5  会話を嫌がる患者さん

「お役に立ちたい」という気持ちを添えてプラスアルファとしてぜひ行っていただきたいのは、「もしわからないことがあれば、いつでもご相談ください」という一言と、やさしい笑顔です。薬を受け取るときには急いでいた、あるいは会話をしたくなかった。でも後から確認したいことが出てくるかもしれません。そんなとき、「いつでも相談してください」と笑顔で一言を添えられていたら、どうでしょう。気軽に聞けますよね。信頼関係を深めようと、いろいろ話しかけて積極的にアプローチすることも大切です。しかし、「あなたの役に立てるよう、いつでも待っています」というウエルカムな雰囲気を伝えるだけにとどめた方がいい場合もあります。大切なのはやり取りをすることではなく、「もしものときに頼れる存在」と思ってもらうことなのです。

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Lesson 22-6  医療コミュニケーション

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待ち時間と状況を告げることで、患者さんの気持ちは変わる病院や薬局の待ち時間は、古くて新しい永遠の課題ですね。どんなに急いで作業をしても、混んでくれば必ず待ち時間はできてしまいます。とはいえ、「こんなに急いでやっているのに」、「ある程度は仕方がない」と思うのは NG 。お待たせしているのは事実ですから、申し訳ないという気持ちで接する必要があります。待ち時間対策のポイントは、不満を感じさせてから謝罪するのではなく、できるだけ不満や不愉快な気持ちにさせないようにすること。どれくらいかかるかわからないまま、ただ待たされるという状況が人を不安にさせ、不満や怒りを増長させます。たとえば、あらかじめ待ち時間が長くかかることを伝えておくという方法も有効です。その際、「○分ぐらいかかります」ではなく、「○分ぐらいかかりますが、よろしいでしょうか?」あるいは、「お待ちいただけますか?」と、質問やお願いするかたちで伝えるのがコツです。質問や提案として確認されれば、待つかどうかを患者さん自身が選択したことになります。人間は選択できる立場=優位に立つことで不満がわきにくくなります。また、あらかじめ「○分ぐらいかかる」ということがわかれば、その間に買い物や用事を済ませることもできます。家や職場が近いなら、「後から取りに来る」という選択肢があることを提案してもいいでしょう。要は、待ち時間を有効利用して気持ち良く待ってもらうためにはどうすればいいかを考える。これも一つの思いやりですね。

Case-6  お待たせした時の謝り方

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Lesson 22-6  医療コミュニケーション

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Case-6  お待たせした時の謝り方「申し訳ございません」だけでは、さらに大きなクレームになる可能性も患者さんからのクレーム時に気をつけたいのが、「申し訳ございません」を繰り返すだけでは不十分だということ。何に対して謝罪しているのかをはっきりさせないと、「(謝罪の)態度が良くない」とさらに大きなクレームになる可能性があります。「待たせたことについて不満に思っているのを十分理解している。とても申し訳なく思っている」という気持ちを伝えるためにも、謝罪の言葉は「お待たせしてしまい、申し訳ございません」がベストです。加えて「できるだけお待たせしないように努力しておりますが、今後お急ぎの際はあらかじめお声掛けください」や「(処方せんの有効期間を伝え)○曜日のこの時間はとても混むのですが、比較的空いている○曜日もご利用ください」など、将来的な提案ができればなおいいですね。心底申し訳なく思っていて、なんとか改善しようとしているという意志が伝わります。

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Lesson 22-7  医療コミュニケーション

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Case-7  「病気のことは医師に話した」と言われたら一般の人にとって、薬剤師の仕事は謎だらけ病気のことを薬局で話したがらない患者さんもいますね。患者さんが「なぜ薬剤師にまで病気のことを話さなければならないのか」と思うのは、話す理由が不明瞭だからです。薬剤師であれば「気になる点があるから確認する。そんなの当たり前のこと」と感じるかもしれませんが、それはあくまでも「薬剤師の常識」。一般の人にとって薬剤師の仕事は何となくわかりにくく、どういう流れを経て薬が出されるのか、薬剤師が何を考え、どこをチェックしているのかといったことはわからないのです。ですから、「なぜ薬剤師が病気のことを聞こうとするのか」と患者さんが思ってしまうのも無理はありません。一方で、薬剤師は「薬に関して、万が一の事故を防ぐ」という役割を担っています。患者さんに間違った薬が渡ってしまうのを防ぐ“最後の砦”として、気になったことはしっかりと確認すべきでしょう。そこで、「お薬を間違いなく飲んでいただくために、念には念を入れて確認したいのですが、処方せんに少し気になる点があるのです」と、確認の意図を丁寧にわかりやすく伝えることがポイントです。患者さんもそれが自分のためになることだとわかれば、そこまで不愉快と感じることはないはずです。

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Lesson 22-7  医療コミュニケーション

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日頃から相談しやすい雰囲気づくりを普段から心がけていただきたいのは、「相談しやすい雰囲気をつくること」です。ほかの患者さんがあれこれと相談している様子を見れば、何となく「自分も何か聞いてみようかな?」と思うものです。薬剤師と話せば何か役に立つ情報が得られる(=メリットがある)と思ってもらえればしめたもの。「患者さんが話してくれない」と思うのではなく、「話したくなるような雰囲気をつくろう」と、まずは自分たちが変わることを考えてみてください。また、話したがらない患者さんに多いのは「急いでいる」という理由です。たとえば具合の悪そうなお子さんがいる場合、お母さんが「カウンターで話したくない理由」(この場合なら「早く帰りたい」)は、はっきりしています。こういう場合にどうしても確認しておきたいことがあったら、「お子さん、つらそうですね。早くお薬渡しますね」と、共感の気持ちをしっかりと言葉にして伝えたうえで、「 1点だけ確認させてください」と切り出します。もちろん、質問は簡潔にして最小限の確認にとどめ、「早く終わらせたい」という気持ちを十分に汲んだ応対をしてください。

Case-7  「病気のことは医師に話した」と言われたら

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