35
嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜 嗜嗜嗜嗜 嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜 嗜嗜 嗜嗜嗜 嗜嗜嗜嗜 ・・ 2016/4/22( 嗜 ) 19:00 21:00 嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜嗜 嗜嗜嗜 I II

嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

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Page 1: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

嗜好品摂取の心理学的効果、嗜好と依存の境界について

横光健吾公益財団法人たばこ総合研究センター

薬物・精神・行動の会2016/4/22(金 )   19:00~ 21:00

東京慈恵会医科大学中央棟8階 会議室 I ・ II

Page 2: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 発表の構成

■ 本発表における「嗜好品」の定義■ 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について■ 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に  及ぼす影響■ 何が嗜好と依存を分けているのか

1

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 発表の構成

■ 本発表における「嗜好品」の定義■ 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について■ 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に  及ぼす影響■ 何が嗜好と依存を分けているのか

1

Page 4: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

1. 本発表における「嗜好品」の定義

嗜好品

2

Page 5: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 本発表における嗜好品の定義

■ 定義(新村, 2008)

●「栄養摂取を目的とせず,香味や刺激の類を得る    ための飲食物。酒,茶,コーヒー,タバコの類。」● 日常的に摂取している   ※研究者には、〇〇な作用・効果があるものを  「嗜好品」と捉える者もいる ・「ないと寂しい感じがするもの」(高田, 2008)

 ・「抗ストレス作用があるもの」(藤本 , 2014)

1. 本発表における「嗜好品」の定義 3

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 発表の構成

■ 本発表における「嗜好品」の定義■ 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について■ 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に  及ぼす影響■ 何が嗜好と依存を分けているのか

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 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について

■ 嗜好品摂取の心理学的効果には         成分由来(ニコチンやカフェイン)         薬理学的には本来得られない  ※ニコチン・タバコと注意機能のメタアナリシス

  ※カフェイン研究のレビュー  →摂取者が主観的に体験するすべての効果を対象

■ 基本的には、お酒(タバコ、お茶等)を摂った結果、  主観的に何が得られたか or 取り除かれたか    

2. 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について 4

薬理学的効果プラセボ効果

Heishman et al. (2010). Psychopharmacology, 210, 453-469.

Ruxton (2008). Nutrition Bulletin, 33, 12-25. Glade (2010). Nutrition, 26, 932-938.

Page 9: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

報酬獲得的?( 嫌悪 ) 回避

的?

個の活動

における

効果

社交的な

 

場面の

効果

 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について

■ 尺度開発過程における因子構造   

2. 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について 6

セルフ・エンパワメント

恥ずかしさが和らぐかっこよさを演出する

自信を持つ嫌なことを忘れる

集中力の向上

頭の中を整理する作業がはかどる集中力が増す

次の計画を考える

コミュニケーションの促進

他者と有意義な時間を過ごす会話が弾む会話を楽しむ

リラクセーション

くつろぐことができる癒しを得る気持ちが和む

息抜きをすることができる

    本研究は現在論文査読中( unpublished )

Page 10: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 発表の構成

■ 本発表における「嗜好品」の定義■ 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について■ 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に  及ぼす影響■ 何が嗜好と依存を分けているのか

セルフ・エンパワメント

恥ずかしさが和らぐかっこよさを演出する

自信を持つ嫌なことを忘れる

集中力の向上

頭の中を整理する作業がはかどる集中力が増す

次の計画を考える

コミュニケーションの促進

他者と有意義な時間を過ごす

会話が弾む会話を楽しむ

リラクセーション

くつろぐことができる癒しを得る気持ちが和む

息抜きをすることができる

Page 11: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 問題と目的● 仕事や対人場面においてストレスを感じた時,       ストレスからの回復を狙って,コーヒーやタバコを   はじめとする嗜好品を摂取することがある。

● どの嗜好品を摂取しても,人々はリラックス効果を   獲得できると感じている。

● 先行研究をみると、日常的に摂取しているコーヒー   やタバコを対象にした研究は少ない。

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響 7

横光他 (2015). 心理学研究, 86, 354-360.

    本研究は現在論文執筆中( unpublished )

Page 12: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 仮説:嗜好品を摂取する実験群は,嗜好品を摂取    しない統制群と比較して,スピーチ課題後の  回復期において,低い生理学的・心理学的ストレス   反応が認められる。

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

● 徳島県在住一般成人 56名。募集は、調査会社に依頼 ・包含基準: a ) 20~ 69歳、 b )タバコ、  コーヒー、お茶のいずれかを日常的に摂取 ・除外基準: a )妊娠中、授乳中、 b )糖尿病に罹患、 c )医師から毎日、あるいは定期的に服薬指導 ・インターネットによる募集を通して、開始 12時間  以内の断酒、 4 時間以内の水以外の飲食、喫煙・  カフェイン摂取の禁止に同意できる者。

8

Page 13: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ アウトカム指標● 生理学的ストレス反応  BIOPAC MP150 (ゼロシーセブン社)を用いて, 3つの生理指標(心拍数,心拍変動,及び皮膚伝導水準)の測定を行った。心拍変動の指標として、交感神 経活動 指標( LF / HF+LF )と迷走神経活動 指標( HF / HF+LF )を算出。各時期の3分間の平均値を算出。● 心理学的ストレス反応 日本語版 Profile of Mood States短縮版( POMS ; 横山他, 1990 )を用いた。気分状態(緊張-不安,抑うつ-落ち込み,怒り-敵意,活 気,疲労,混乱)を測定する尺度。6因子 30項目で構成。分析には標準化された T 得点を用いた。

93. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 14: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 実験デザイン:クロスオーバー無作為化比較試験

10

● 1回目の実験の1週間後に、2回目の実験を実施。● 年齢,性別,喫煙の有無について、層化。

タイムライン 実験内容募集

待機時間

実験開始前

ベースライン

スピーチ課題

休憩時間

回復期間15( 分後)

回復期間30( 分後)

a

b

c d

e

f g

hf

g

i

f

f g

実験協力者は,実験開始1時間前に会場に到着する。

実験協力者は,体調に関するアンケート(初回参加時には,日本語版社会恐怖尺度)に回答する。

実験者は,体調に関するアンケートの回答を確認後,実験協力者に,実験の説明,注意事項を説明する。

実験協力者は,説明を聞いた後,実験参加に同意する場合,同意書に記入する。

BIOPAC MP150実験者は,生理指標測定のため,参加者にの電極を装着する。

3分間の生理指標の測定を行う。

Profile of Mood States日本語版 短縮版の測定を行う。

実験協力者に「あなた自身のことを上手に紹介してください」の教示を行い,2分間の考える時間の後,3分間(実験協力者には,スピーチ時間を教えない)のスピーチ課題を行った。また,実験協力者には,正面に設置しているビデオに向かって話をするよう伝え,スピーチ中の様子を録画することを伝える(実際には,録画を行わない)。実験者は,スピーチ中の参加者の様子について,メモを取っているふりをする。

実験群:実験協力者は嗜好品を自由に摂取しながら7分間の休憩をとる。なお,着座した状態で休憩を取り,休憩中部屋から出ることはできない。 統制群:着座した状態で7分間の休憩を取り,休憩中部屋からでることはできない。

i

a

b

c

d

e

f

g

h

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 15: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 解析方法・一般化線形混合モデルを使用。 各ストレス反応を複数回測定、その相関関係を考慮。・確率分布は、ガンマ分布。・リンク関数は、 log リンク関数。・母数の推定は、最尤推定法。

・ lme4 パッケージ( https://cran.r-project.org/web/packages/lme4/lme4.pd

f)を 使用。

113. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 16: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 生理学的ストレス反応に関する結果

12

生理指標を応答変数とした線形混合モデルにおける統計量(N = 56)心拍数 交感神経 副交感神経 SCL

固定効果a

切片 4.30 (0.02) * -0.68 (0.05) * -0.97 (0.10) * 1.28 (0.11) *スピーチ課題 0.26 (0.02) * 0.15 (0.07) * -0.22 (0.13) 0.46 (0.07) *回復期1 0.01 (0.02) 0.07 (0.06) -0.08 (0.09) * 0.14 (0.07) *回復期2 0.01 (0.01) 0.11 (0.06) -0.16 (0.09) * 0.12 (0.07)ベースライン:実験群 -8.8e-04 (0.01) -0.03 (0.05) 0.07 (0.07) -0.07 (0.06)スピーチ課題:実験群 -1.0e-03 (0.01) -0.10 (0.05) 0.15 (0.07) * -0.06 (0.06)回復期1:実験群 0.03 (0.01) * 0.02 (0.05) -0.06 (0.07) 0.05 (0.05)回復期2:実験群 0.03 (0.01) * -0.05 (0.05) 0.03 (0.07) 0.05 (0.05)

変量効果b

切片 0.01 (0.08) 0.07 (0.26) 0.14 (0.37) 0.14 (0.37)スピーチ課題 0.01 (0.09) 0.11 (0.34) 0.28 (0.52) 0.05 (0.22)回復期1 2.2e-03 (0.05) 0.05 (0.23) 0.04 (0.20) 0.04 (0.20)回復期2 1.1e-03 (0.03) 0.04 (0.20) 0.08 (0.29) 0.05 (0.23)残差 0.01 (0.08) 0.08 (0.28) 0.16 (0.40) 0.11 (0.33)

Note. SCL = skin conductance level, a推定値(標準誤差), b分散(標準偏差), *p < .05.

● 生理学的ストレス反応に対する嗜好品摂取の  効果は認められなかった。● 正負の影響にばらつき。

生理指標を応答変数とした線形混合モデルにおける統計量(N = 56)心拍数 交感神経 副交感神経 SCL

回復期1:コーヒー -0.04 (0.02) -0.01 (0.08) -0.05 (0.12) 0.07 (0.18)回復期1:ラテ 0.06 (0.02) * -0.01 (0.07) -0.08 (0.10) -0.38 (0.17) *回復期1:お茶 4.5e-03(0.04) -0.37 (0.15) * 0.25 (0.22) 0.09 (0.26)回復期1:紅茶 0.04 (0.06) 0.07 (0.21) 0.20 (0.31) -回復期1:タバコ - - - -回復期1:コーヒー+タバコ 0.05 (0.03) * 0.04 (0.10) 0.03 (0.14) 0.20 (0.19)回復期1:ラテ+タバコ 0.11 (0.03) * 0.35 (0.13) * -0.47 (0.18) * -0.20 (0.22)回復期2:コーヒー -0.04 (0.02) * -0.11 (0.08) 0.10 (0.12) 0.07 (0.18)回復期2:ラテ 0.06 (0.02) * -0.08 (0.07) 0.09 (0.10) -0.38 (0.17) *回復期2:お茶 -1.0e-04 (0.04) -0.26 (0.15) 0.26 (0.23) 0.09 (0.26)回復期2:紅茶 -0.04 (0.05) -0.02 (0.21) 0.32 (0.30) -回復期2:タバコ - - - -回復期2:コーヒー+タバコ 0.04 (0.02) 0.05 (0.10) -0.24 (0.14) 0.20 (0.19)回復期2:ラテ+タバコ 0.07 (0.03) * 0.16 (0.12) -0.14 (0.18) -0.20 (0.22)

Note. SCL = skin conductance level, a推定値(標準誤差), b分散(標準偏差), *p < .05.

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 17: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 考 察● 生理学的ストレス反応の回復について,各嗜好品が     正負の異なる影響を及ぼすことが考えられる。  →ニコチンは視床下部下垂体副腎系を活 性    カフェインは…副・交感神 経活動の活 性

● 習慣的な摂取者とそうでない人とでは、摂取に    よって得られる薬理学的な効果が異なる(耐性)。     →嗜好品間における耐性も異なる?

13

Richards et al. (2011). Biological Psychology, 88, 1-12.

Corti et al. (2002). Circulation, 106, 2935-2940.

Monda et al. (2009). Nutritional Neuroscience, 12, 43-48.

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 18: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 心理学的ストレス反応に関する結果

14

TA D AH V F C固定効果

a

切片 3.67 (2.7e-03) * 3.69 (0.01) * 3.62 (0.01) * 3.41 (0.02) * 3.62 (0.02) * 3.83 (0.01) *スピーチ課題 0.15 (2.8e-03) * 0.04 (0.02) 3.4e-03 (0.01) 0.03 (0.02) 0.10 (0.03) * 0.15 (0.02) *回復期2 -0.07 (2.7e-03) * 0.01 (0.01) 2.0e-03 (0.01) -0.02 (0.01) 0.10 (0.02) * 3.4e-03 (0.01)ベースライン:実験群 0.02 (2.8e-03) * 3.9e-03 (0.01) 2.6e-04 (0.01) 0.02 (0.01) 0.01 (0.01) -0.02 (0.01)スピーチ課題:実験群 0.03 (2.6e-03) * 0.01 (0.01) 3.9e-03 (0.01) 0.04 (0.01) * -6.9e-05 (0.01) 0.01 (0.01)回復期2:実験群 -8.2e-04 (2.7e-03) 0.01 (0.01) -0.01 (0.01) 0.01 (0.01) -0.03 (0.01) * -0.01 (0.01)

変量効果b

切片 0.01 (0.10) 4.7e-04 (0.02) 5.6e-04 (0.02) 0.01 (0.09) 4.6e-03 (0.07) 2.9e-03 (0.05)スピーチ課題 0.02 (0.15) 0.01 (0.08) 8.6e-04 (0.03) 0.01 (0.10) 0.01 (0.12) 0.01 (0.11)回復期2 0.01 (0.12) 1.2e-03 (0.03) 5.6e-04 (0.02) 3.8e-03 (0.06) 0.01 (0.10) 3.2e-03 (0.06)残差 0.01 (0.10) 2.7e-03 (0.05) 1.0e-03 (0.03) 0.01 (0.08) 0.01 (0.07) 0.01 (0.08)

Note. TA = Profile of Mood States日本語版の緊張-不安得点, D = Profile of Mood States日本語版の抑うつ-落ち込み得点, AH = Profile of MoodStates日本語版の怒り-敵意得点, V = Profile of Mood States日本語版の活気得点, F = Profile of Mood States日本語版の疲労得点, C = Profile of MoodStates日本語版の混乱得点, a推定値(標準誤差), b分散(標準偏差), *p < .05.

気分状態を応答変数とした線形混合モデルにおける統計量(N = 56)

● 心理学的ストレス反応のうち,疲労に関して  嗜好品摂取の小さな効果が認められた。

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 19: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 心理学的ストレス反応に関する結果

15

● コーヒーは怒り,ラテ・マキアートとコーヒー+   タバコの組合せは疲労,紅茶は混乱を減少。

TA D AH V F C回復期2:コーヒー 0.01 (0.03) -0.01 (0.01) -0.02 (0.01) * 0.01 (0.02) -3.5e-03 (0.02) 4.5e-03 (0.02)回復期2:ラテ 0.03 (0.02) 0.03 (0.01) * 2.7e-03 (0.01) 0.03 (0.02) -0.05 (0.01) * 0.01 (0.02)回復期2:お茶 3.0e-03 (0.05) -1.3e-03 (0.02) 5.6e-05 (0.02) 0.02 (0.04) 4.7e-03 (0.03) -0.02 (0.04)回復期2:紅茶 -0.07 (0.07) 0.04 (0.03) -3.4e-03 (0.02) 0.01 (0.05) -0.02 (0.05) -0.18 (0.05) *回復期2:タバコ - - - - - -回復期2:コーヒー+タバコ -0.05 (0.03) -2.6e-03 (0.02) -0.01 (0.01) -0.03 (0.02) -0.06 (0.02) * -0.04 (0.02)回復期2:ラテ+タバコ -0.01 (0.04) -4.0e-04 (0.02) -0.01 (0.01) -0.01 (0.03) -0.01 (0.03) 0.02 (0.03)

気分状態を応答変数とした線形混合モデルにおける統計量(N = 56)

Note. TA = Profile of Mood States日本語版の緊張-不安得点, D = Profile of Mood States日本語版の抑うつ-落ち込み得点, AH = Profile of Mood States日本語版の怒り-敵意得点, V = Profile of Mood States日本語版の活気得点, F = Profile of Mood States日本語版の疲労得点, C = Profile of Mood States日本語版の

混乱得点, a推定値(標準誤差), b分散(標準偏差), *p < .05.

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 20: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 考 察● 心理学的ストレス反応の回復について,疲労回復    (主観的指標)の効果が認められたが、これは     結果予期といった認知的側面 の影響。  →‘疲れを感じた時に,カフェインは自分を元気づけ   る’、‘喫煙はネガティブな気分を解放させる’

   → 思い込みの効果。 

16

Hine et al. (2007). Psychological Assessment, 19, 347-355.

Juliano et al. (2011). Experimental & Clinical Psychopharmacology, 19, 105-115.

Huntley & Juliano (2012). Psychological Assessment, 24, 592-607.

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 21: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好品摂取がストレス反応に及ぼす影響

■ 今後の方向性● 得られる心理学的効果について、主観的な反応は  嗜好品を通して一貫している可能性。

● 結果予期が形成されるうえで、重要な要因は? ・ 記憶(自分の経験によるもの、伝え聞いたもの)   の影響。 ・周囲とのつながり+他者からの情報の影響。

17

Mundt (2011). Academic Pediatrics, 11, 414-421.

3. 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に及ぼす影響

Page 22: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 発表の構成

■ 本発表における「嗜好品」の定義■ 嗜好品摂取によって得られる心理学的効果について■ 嗜好品摂取が生理学的・心理学的ストレス反応に  及ぼす影響■ 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 23: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好と依存の線引きという話を聞いて…

■ そもそも探ろうとしている概念に、境界を想定したほうがいい(質的な違いがある)のか、しないほうがいい(程度の違いがある)のか…?

18

境界を想定したつもり

頭の中では 現 実

無理やり境界を作成?なんなら恣意的に分類

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 24: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 嗜好と依存の線引きという話を聞いて…● 線引きをすべきかどうかは、病理の理解、従属変数の扱い(介入、調査)、分析、今後の研究にも影響?  →線引きをすべきかを考える必要

● 測定する概念の分布を検討する   (連続的 or 非連続的:ある集団の中に異なる集団が存在する)ことで、明らかになる

● taxometric 分析を用いることで可能

19

Ruscio et al. (2006). Introduction to the Taxometric Method:

A practical Guide. Routledge.

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 25: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 依存という概念に境界はあるのか…■ 研究例● 目 的 ニコチン依存が連続的かを検討● 対 象  18歳以上の喫煙者 12,467名● 指 標 喫煙行動とニコチン依存症状( NSDUH )● 結 果 ニコチン依存は非連続的(境界が示唆) 

20

Goedeker & Tiffany (2008). Journal of Abnormal Psychology, 117, 896-909.

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 26: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 依存という概念に境界はあるのか…■ 研究例● 目 的 (性感染症や性犯罪などにつながる)性欲  過剰( hypersexuality: 色情症)が連続的かを検討  対 象 大学生 1,146名● 指 標  The Multidimensional Inventory of Development, Sex, and Aggression(MIDSA)

● 結 果 性欲の過剰は連続的(境界はない…) 

21

Graham et al. (2016). Journal of Sex Research, 53, 224-238.

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 27: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 依存という概念に境界はあるのか…22

現在、結果集約&論文執筆中( unpublished )

■ 研究の紹介● 目 的 ギャンブリング症状が連続的かを検討● 対 象 大学生 1,500名( 18 の大学で調査)● 指 標  South Oaks Gambling Screen 日本語版● 結 果 ギャンブリング症状は連続的(境界なし)      MAMBAC: CCFI = .465, MAXEIG: CCFI = .067,      Lmode: CCFI = .027 

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 28: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 境界はないと決めつけるには早い…■ 研究の紹介● 目 的 ギャンブリング症状が連続的かを検討● 対 象 大学生 342名( SOGS1 点以上)● 指 標  South Oaks Gambling Screen 日本語版● 結 果 ギャンブリング症状は非連続的      MAMBAC: CCFI = .669, MAXEIG: CCFI = .447,       Lmode: CCFI = .762 

23

現在、結果集約&論文執筆中( unpublished )

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 29: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 ギャンブリング症状の潜在構造について

■ 大学生全体でみると、連続的■ 大学生のうち問題を抱えている人でみると、非連続  →2つの指標( PGSI と DSM-IV )を用いて、問題を抱えているギャンブラーの調査では、非連続的

■ ギャンブラーにおいて、ギャンブリング症状の潜在構造は、非連続的である可能性  

24

James et al. (2014). Addiction, 109, 1707-1717.

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 30: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 その他の研究もあわせて考えると

■ ギャンブリング症状は非連続的SOGS には「借金をする」、「仕事や学校の時間をむだにする」、「意図していた以上にギャンブルをする」 

■ 認知的特徴 (ギャンブルに対する考え方 ) は連続的ギャンブルへの期待(ギャンブルすると物事がうまく行く気がする)、幻想的必勝法(ある特定の色や数字は勝つ確率を増やしてくれる)等

■ 質的な差異は、 behavioral な特徴に関連する可能性  →病的かどうかは、意思決定が関連?目先の利益にとびつき、長期的な損失につながる選択をする傾向

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Yokomitsu et al. (2015). Asian Journal of Gambling Issue & Public Health, doi: 10.1186/s40405-015-0006-4.

Brever et al. (2015). Addiction Biology, doi:10.1111/adb.12239.Hong et al. (2015). Journal of Gambling Studies, 31, 1617-1632.

横光( 2014 )北海道医療大学大学院博士論文

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 31: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

Taxometric 分析について

■ 研究内で一貫した結果が必要  ・様々な分析( MAMBAC, MAXEIG, L-MODE )  ・ indicator の組み合わせ

■ 研究間で一貫した結果(先行研究との比較)が得られることで、分布の連続性を総合的に判断する。

■ (臨床心理学等の領域では)得られた結果は、介入研究における測定指標の使い方に影響?      非連続的:カットオフを超えるかどうかが重要   連 続 的:得点の減少の幅が重要  ※連続的であれば、先行研究(コミュニティサンプルや大学生対象の研究)の価値を高める?

264. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 32: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

Taxometric 分析について

■ 非連続的であれば、あるカットオフを境に異なる  回帰直線を考慮したモデル( Regression  Discontinuity Design )を使用する必要性  

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Moscoe et al. (2015). Journal of Clinical Epidemiology, 68, 132-143.

4. 何が嗜好と依存を分けているのか

Page 33: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

Take home messages■ 嗜好品摂取によって獲得できる心理学的効果は、  大きく4つに分けられる。「セルフ・エンパワメント」、「コミュニケーションの促進」「リラクセーション」、「集中力の向上」

■ 嗜好品摂取は、  主観的な心理学的ストレス反応(疲労)に影響を及ぼす。

■ 嗜好と依存の線引きについて、測定する概念の分布を検討することで、その検討が可能になる。  ・ taxometric 分析の利用

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Page 34: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 最後に

■ 嗜好品や依存症の分野では、心理学領域の研究で  わからないことも多いです。  →(すぐに or いつか)共同で研究しましょう。

■ Problematic Online Gaming Questionnaire 日本語版を作成します。サンプリングにご協力いただける方、ご協力お願いいたします。■ 日本国内の大学や研究機関に所属する研究者に対し、嗜好品に関する人文・社会科学研究について、研究費の助成を実施しています。  ※平成 29年度の募集開始は、 10月を予定。■ 今日のテーマでご質問や分析等に興味を持たれた方は、[email protected] まで。

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Page 35: 嗜好品摂取の心理学的効果、及び嗜好と依存の境界について

 自己紹介

■ 出身 福岡県北九州市■ 学歴 上津役中学校 卒業    小倉高校 卒業    同志社大学  卒業    北海道医療大学大学院(博士 : 臨床心理学)■ 職歴 北海道でクリニックや精神科病棟臨床心理士    現在、 ( 公財 ) たばこ総合研究センター研究員■ 研究 ギャンブル・ゲーム依存症に対する認知行動    療法の効果検討や心理学的メカニズムの解明    嗜好品摂取の心理学的効果の検討■ 嗜好 禁酒中、コーヒー・タバコ摂取せず