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情報革命時代における多様性の共存と エンジニアのキャリア、評価について singtacks / SHIN Takeuchi 2015-02-20

情報革命時代における多様性の共存とエンジニアのキャリア、評価について

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情報革命時代における多様性の共存とエンジニアのキャリア、評価について

singtacks / SHIN Takeuchi

2015-02-20

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最初に自己紹介させていただきます

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自己紹介

竹内真(SHIN Takeuchi)

株式会社ビズリーチ取締役CTO

株式会社レイハウオリ代表取締役社長

大学卒業後、富士ソフト入社(6年在籍)その後フリーランス(リクルート社)を経て連続起業現在は新規事業の立ち上げと制度、組織全般の課題解決

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僕は悩んでいることがあります

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いいものと売れるものはなかなか一致しない

いいもの 売れるもの

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ほとんどの場合、どちらかが優勢な組織が多い

いいものを作りたい! 収益を上げたい!

作り手、エンジニア優勢組織 売り手、営業優勢組織

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あちらを立てれば、こちらが立たぬ

いいものを作りたい! 収益を上げたい!

作り手、エンジニア優勢組織 売り手、営業優勢組織

いいものだけど、ずっと収益がでないと会社がつぶれちゃ

うよ。

収益は上がるけど、全然イノベーティブじゃないし、もっといいもの作りたい!

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どちらかが優勢ではなくスピーディに両者が活発に議論するような組織を

作りたい

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既存の産業をベースに考えてみた

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世の中は「売り手」と「作り手」が分かれている

例えば日本の伝統工芸品

作り手

伝統工芸職人

売り手

デパート、小売店など

例えば自動車

作り手

車メーカーの工場もしくは子会社、下請け

売り手

車メーカーの本社ディーラー店舗

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完成品を「売る」ときは別々でも良かった

売りたい製品の仕様を伝える

作り手売り手

完成品を納品する

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インターネット企業はプロダクトを高速で改善し続ける

作り手売り手

改善提案と改善を繰り返す

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今までのやり方ではスピード感も一体感も生まれない

作り手売り手

要件

見積

承認

仕様確認

承認

納品

改善要望

見積

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つまり「売り手」と「作り手」の一体化が必要

作り手売り手

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しかし現実は、別会社だったり隔離された別部門だったり一体化できていない組織ばかりである

作り手売り手

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組織の一体化が難しい理由から考えてみる

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コミュニケーションにおけるスーザン・ケインの指摘に関する問題

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人間は遺伝子レベルで50%程度下の二つの種類にわかれている

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

刺激に敏感で大量の刺激を本能的に避けるタイプの人間

刺激に鈍感で少量の刺激では必要量を満たせないために

大量の刺激を必要とするタイプの人間

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扁桃体という脳の機能が大きく関わっている

扁桃体(へんとうたい、英: Amygdala)はアーモンド形の神経細胞の集まりで、ヒトを含む高等脊椎動物の側頭葉内側の奥に存在する。

扁桃体は情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つことが示されており、大脳辺縁系の一部であると考えられている。

扁桃核(へんとうかく)とも言う。

出展: wikipedia –扁桃体http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93

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扁桃体は主に不安や恐怖という感情に深く関わる

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刺激の感じ方は個人差が大きくある

敏感 鈍感

敏感度合いを「敏感さ(センシティビティ)」

と呼ぶ

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どちらも「社交的」であるがコミュニケーションスタイルが異なるという課題

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

• 一対一や数人との社交性はエクストロバートよりも高い

• 深い思考を得意とするが、口先、表現が苦手である

• 人の話を聞くことができる

• 多数の人間との社交を行うことができる

• 深い思考は苦手だが、口先は巧み

• 自分の話を聞かせたい

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ポイントは刺激に対する感度のただ一点

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

小さな刺激

ひとつの事象、相手の表情、言動、仕草から大量の情報を受け取り、瞬時に様々な想定ケースを思い浮かべる。気が利く場合が多いが、同時にもの凄い想像を膨らませているため、その時間や場面が楽しい、楽しくないに関わらず、未知のシチュエーションで多くの時間を過ごすことは、非常に疲れることである。

大きくて沢山の刺激

刺激に対して鈍感であるが故、ひとつの事象に対して不必要に多くのことを考えたりせず、刺激そのものを楽しむことができる。新しい人との出会いや、新しい場所での自分の存在を認知させることなどを好む傾向があり、不特定多数の人がいる場面を心地よい刺激に変えられる。対して、特定少数の人との長く、深い付き合いは苦手な傾向が強い

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近代以降の社会はエクストロバート至上社会になっている

近代以降、資本を求め商品をいかに買わせるかが社会の関心事となり深い思考は苦手だが口先が巧みなエクストロバートを量産し経済拡大に用いるというシステムが、教育も含めて現代では日常化してしまっている。

この社会(エクストロバートワールド)では、イントロバートは欠陥品とされ(イデオロギーの定着のため病名まで発明された経緯もある)エクストロバートになることを強制される。

しかしその性質は遺伝子レベルで50%以上固定されているために、対外的にはエクストロバートを「ふるまう」。

無理の結果として心の病を併発したり出社拒否に陥るケースがある。

スーザン・ケイン

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ビジネスとモノ作りそれぞれ外向型と内向型が偏重する傾向がある

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

• エンジニア• デザイナー• ライター• プロデューサー• ディレクター

• セールス• 一部の経営者

あくまで内向型の人の比率が高い、外向型の比率が高いという話でありエンジニアでも外向型の人もいれば、セールスでも内向型の人も多い

ただし偏重傾向はあるため、共存のためにはベースとしてこの傾向を理解する必要がある

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例えセールスの組織でも内向型はかなりの割合でいると考えられる

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

一般的には周りの人のうち3人に1人、もしくは2人程度は内向型の人がいるといわれるセールスの組織がある程度一般化された組織であると仮定すると

意識としては半分は内向型、半分は外向型だと考えていても問題は無いだろう

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インターネット企業は外向型と内向型が気持ち良く共存するべきだと考える

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

そのために必要なことは相互理解

特に内向型の人間は、社会から自己を欠陥品扱いされている印象を持っているほど社会からの疎外感を受けている人間が多く

外向型からの内向型理解、そして外向型カルチャーを強要しないことなど外向型と内向型の違いを理解した上で共存する方法(特に刺激の大小を本質的な議題として)を

考えながらカルチャーを作ることが必要だと考える

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それぞれのタイプには指向の強さがある

超内向型 超外向型

両向型

「かなり内向型」の人の方が、外界からの刺激に敏感で孤独をより強く好み「やや内向型」の人のほうが、外界からの刺激にも耐え易いように

同じ内向型、同じ外向型でも刺激に対する「敏感さ」「鈍感さ」には差がある

真ん中の人は両向型と言われる社会生活を営める人に極端な人は少ない

(正規分布にはならない)

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内向型対外向型のコミュニケーションにて良く起こる問題 (1)

内向型 外向型

週末、色んな人が集まるBBQがあるから来てよ!面白い変わった人とかも沢山くるから絶対楽しいよ!

え…あ、うん。。。

そんなとこ行ったら疲れて週末休めないよ!でも、そういう社交的な人間にならなきゃな。。。

外向型の人は沢山の刺激のある新しい人との出会いに適度な刺激を感じるためその刺激が心地よく、周りの人もみんなそうであると勘違いをしがち

内向型の人も断ることも悪いと思ったり、社会的に社交的な人間にならなければならない風なプレッシャーによって断れないケースが多々ある

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内向型対外向型のコミュニケーションにて良く起こる問題 (2)

内向型 外向型

あ、すいません…そうですね。

ここ、相手の気持ちに立って考えたら普通こういう風にしないとおかしいでしょ?相手の表情とか見たら、このくらい感じ取れるでしょ?

表情見たってわかんないし、教えて貰ってないし。そういうのちゃんと言葉で言ってくんないとわかんないよ。

内向型の人は常にアンテナを立てているので、ふとした仕草や表情から多くの情報を手に入れているため「空気を読もう」とする人が多く、強要するケースがあります。刺激に対して鈍感ということは、ひとつの事象から得られる、想定できる情報量が少ないということなので、言葉や明確な態度で伝えていないことは伝わらない可能性があります。

これを強要しても、ただ相手は自信を無くすだけで解決されない場合があります。

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遺伝子レベルの「違い」であるなら指向性の違いによる要求はハラスメントとも考える

イントロバート、内向型(introvert)

エクストロバート、外向型(extrovert)

「多くの人の前で話せるようになりなさい」「友達一人パーティに連れて来て」「一人でしっぽり飲んでないでさ」「とにかく沢山の人と話しなさい」

「表情とか状況見たら分からない?」「普通このくらいわかるでしょ?」「どうしてそんなに考えられないの?」

これらはハラスメントの可能性有り社会的には外向型礼参文化が根強いため、対外向型ハラスメントは相対的に少ないと考えられる

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情報革命時代においては内向型人材の強みが活き易い

イントロバート、内向型(introvert)

• 口頭よりも文書が得意• インターネットは電文でのやり取り

• インターネットの多くは非同期コミュニケーション

• コンテンツに価値がある• 時間をかけても論理建てられた文書に価値がつきやすい

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外向型人材と内向型人材の相互理解が前提として必要

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内向型の「刺激」も大切にする

社内パネルディスカッションの風景社内のプロダクトマネージャ達が議題を交わして、知の共有を生む時間新しくリアリティのある知識は、それ自体が快感になる「刺激」でもある

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内向型の誠実さと心地よさも考える

個室や、静かな別室など内向型が集中しやすい環境を用意する

性悪説からのみ考えると個室のような場所は作りづらい

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キャリアと評価制度はどうあるべきか?

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残念ながら世の中は近代資本主義社会

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社会でも通用する能力に対して評価しそれらの能力を内向型人材も手に入れられやすいように

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2種類のスキル軸からの評価

経営

事業長

部門長

マネージャー

スタッフ

経営課題解決(全指標)

事業課題解決(P/Lベース)

部門課題解決(KPIベース)

仮説立案(KPIベース)

要件抽出整理(実務)

実施計画立案(実務)

実行/開発/制作(実務)

チェック/テスト(実務)

改善計画立案(部分KPI改善)

ビジネススキルマネジメントスキル

スキルのみでは人を動かせない。ゆえに、決定権は無い。

多数のアイデアから、状況に応じて決定、責任を持つ

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ビジネススキルは技術者としての能力 + ビジネス力

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技術者としての評価と職位

実装設計要件仮説要因分析

課題発見

事業戦略策定

プログラマー

エンジニア

リードエンジニア

チーフエンジニア

プロダクトマネージャ

事業オーナー

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技術者として要求する能力

協調性 実現力 技術力マーケティング力

経営力

上級チーフエンジニア ◎ ◎ ◎ ◎ ○

チーフエンジニア ◎ ◎ ◎ ○ △

リードエンジニア ◎ ◎ ◎ △ ー

エンジニア ◎ ◎ ○ ー ー

プログラマー ○ ○ △ ー ー

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マネジメントスキルは論理的に分解して理解してインストールして貰う

(マネジメントさせるわけではない)

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例えば、アウトプットサーキット

立問

思考

理解

伝達

実行

インプットアウトプット(結果)

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例えば、感情のコントロールについて

状況

他者

認知

行動

感情

身体

相互作用

相互作用相互作用

相互作用

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例えば、シチュエーショナルリーダーシップについて

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例えば、評価グレードと必要な要素マップについて

G7

G6

G5

G4

G3

G2客観的自己認識

他者理解

人間愛

伝道力(1対n)

・全社P/L、B/S、C/F責任・投資バランス管理、M&A・資金調達など

・事業P/L責任、全予算策定・部門P/L、部門KPI分解・P/L達成のための運営全般・事業戦略、戦術の体系化、展開

・部門P/L責任・チームへKPI分解・KPI達成のための運営全般・部門戦略、戦術の体系化、展開

・チームKPI責任・メンバーへKPI分解・KPI達成のための運営全般・チーム戦略、戦術体系化、展開

・個人KPI責任(高次元)・後輩KPI仮責任・個人戦略、戦術の体系化、展開

・個人KPI責任(一人前)・後輩教育、指導

・会社、組織全体に影響する施策の実施、運営指揮、統率

・全社P/Lへの影響が大きな施策の実施

・事業P/L上キーとなるKPIに影響する施策の立案、実施

・部門P/L上キーとなるKPIに影響する施策の立案、実施

・KPIツリー上どこかのKPIに影響する施策の立案、実施

・上記仮説の要件整理、計画、または実施、現場運営など

・上記要件に従って、詳細な仕様設計、詳細計画の立案、および現場運営、実施

必要となるビジネススキル

職能スキルベースでの必要な問題解決力

必要となる人間的成長要件

感情のコントロール(一貫性)

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エンジニアを含めた内向型人材に対しては「人間」というものを徹底的に因数分解することで理解、インストール、実行に移してくれる

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まとめ

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1. 組織全体として外/内向型の相互理解

2. 近代資本主義外向型偏重主義でも負けない人格成形

3. 技術者に対してもビジネス力を鍛える機会の提供

4. 例外的な完全技術思考人材を受け入れられる柔軟さ

3. 徹底的に評価制度を因数分解し、論理的に説明

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ご清聴ありがとうございました