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JIS X 405� から JLreq へ小 林 敏20�2.6.26
� JIS X 405�と JLreq�.� JIS X 40�5�)
・〈日本語文書〉の組版方法を規定している・〈行〉の組版方法
例:約物の配置,分離・分割,和欧文混植,ルビ・圏点,添え字,割注,行の調整処理,タブ処理,漢文 等
・〈版面〉の組版方法例:段落,見出し,注,図・写真等,表 等
・〈ページ〉の組版方法例:判型と版面,柱,ノンブル 等
・主に〈書籍〉に適用・日本語ワープロ,DTP などの〈組版ソフト〉で参照されて
いる
�.2 JLreq2)
・Requirements for Japanese Text Layout(日本語組版処理の要件)
・W3C の技術ノートである
2
・W3C の CSS,XSL-FO などの規格において,日本語組版の処理方法を反映できるようにする
・JIS X 4501 か,それと同じ内容のものの英訳が必要→日本語で新たに執筆し,それを英訳
・実装レベルではなく,その前提条件として,日本語組版で各要素をどう処理したらよいのか,その問題点を主に記載
・非日本語話者にも理解できるようにする・図解を多くした・説明している要素の使用頻度についても簡単に解説
2 日本語組版の主な問題点2.� 字詰め方向と行送り方向
・字詰め方向:1 行の中で,1 つの文字から次の文字へと続く方向
・行送り方向:1 つの行が次の行へと続く方向
2.2 字詰め方向の主な処理・文字や記号の前または後ろの〈字間〉をどう処理したらよ
いか・文字や記号の字間での〈分割〉(2 行にわたる)の可否
注記:行頭禁則・行末禁則は,ここに含めて考えることができる
・〈行の調整処理〉は,どのように行えばよいか注記:日本語組版の一般の本文組では,段落の最終行を除
外し,各行の行長は指定された行長に揃える必要があり,その指定された行長にするために,字間を詰めるまたは空ける処理を行の調整処理という3)
�
・それ以外に,〈ルビ〉,〈圏点〉,〈添え字〉,〈タブ処理〉など
2.� 行送り方向(版面内への配置を含む)の主な処理・段落内の〈行間4)〉と段落間の〈行間〉・版面先頭および末尾の行の配置方法・〈注〉(後注,脚注(横組),傍注(縦組))の配置方法・〈並列注〉(縦組の頭注・脚注,横組の傍注)の配置方法
注記:〈並列注〉という用語は,JLreq で独自に決めた用語である
・〈図版〉や〈表〉の配置方法・行送り方向の〈領域の調整処理〉
� 字詰め方向の処理と文字クラス�.� 文字クラスという考え方
・文字や記号をその振る舞いで文字クラスとして分類する・各文字クラスごとに,処理内容を定義する・文字クラスの例
―JIS X 40515)
―JLreq―UTR#50(Unicode)
�.2 各文字クラスの配置方法・それぞれが並んだ場合(行頭・行末の配置法を含む)の〈文字間の空き量〉6)
・文字や記号が並んだ場合,その字間で 2 行に渡る〈分割が可能かどうか〉7)
注記:二分ダーシを行頭に配置してよいかどうかは,これまで問題にされてこなかったが,JIS X 4051(第 3
4
次規格)では〈ハイフン類〉として新たな文字クラスが規定され,行頭への配置は禁止された
注記:注記の合印も,JIS X 4051(第 3 次規格)では行頭への配置は禁止されている
・行の調整処理で〈字間を詰めてよい箇所〉と,優先順序8)
・行の調整処理で〈字間を空けてよい箇所〉と,優先順序9)
・UTR#50 では,縦組にした場合の文字の向きが問題とされている
4 ルビの組方―主に熟語ルビについて4.� 親文字とルビ文字との関係でいえば,次の�つの処理方法がある・モノルビ:親文字の 1 字ごとに対応してルビをつけて配
置する方法
例:故こを忘
わすれず
・グループルビ:複数の親文字で構成される語全体に掛かるように均等間隔にルビをつけて配置する方法10)
例:規ルール則 田
いなか舎 即
リアルタイム時
・熟語ルビ:熟語の個々の漢字の読みと熟語としてのまとまりの 2 つを考慮して配置位置を決めるルビの配置方法11)
例:の流りゆうぎ儀は
5
4.2 熟語ルビの処理�2)
・熟語を構成するそれぞれの漢字の読み方を示す→ 1 字 1字の親文字とその読みを示すルビ文字とを対応させる
例:
遭そう
遇ぐう
遭そう
遇ぐう
転てん
嫁か 転て
ん嫁か
菩ぼ
薩さつ
菩ぼ
薩さつ
畏い
怖ふ
畏い
怖ふ
・熟語としてのまとまりを考慮する→熟語内の他の漢字に最大でルビ文字サイズで全角(または 1.5 倍)まで掛かってよい(例 2 は,モノルビで処理した主な例である)
例 1: 凝ぎようし視
師ししよう匠
例 2:
・グループルビは,親文字の字間で 2 行に分割できないが,熟語ルビは分割してよい
5 行送り方向の配置―見出しなど5.� 行送り方向の版面(または段)の幅は揃える
凝ぎよう視し
凝ぎよう視し
凝ぎよう
視し
凝ぎよう視し
師し
匠しよう
師し
匠しよう
師し
匠しよう
6
・版面または段の行送り方向のサイズだけが揃っていればよい
・行位置も,基本版面で設定した位置にできるだけ揃っていてほしい
5.2 版面・段の行送り方向のサイズを揃える方法・配置する見出しなどの配置領域を行単位にする(〈行取り〉
で指定する)13)
・〈行間の調整〉を行う(後注の例,図 1)
・行間の調整で調整箇所が 2 つ以上ある場合(1)〈アキを揃える〉方法(図 2)(2)〈行位置も揃える〉方法(図 3)
するようになる。
(12)
(12)
(13)
(13)
後注の文字サイズの全角アキ
版面(又は段)の行送り方向のサイズは揃える
縦中横処理
基本版面の文字サイズの 2倍(又は 1倍)+ハンパ
後注の文字サイズの2倍(又は1倍)アキ
基本版面の行間
基本版面の行間+ハンパ
。
。
版面の下端に揃える
図� 後注の配置例
�
図� 数式の配置例(行位置を揃える)
分数とは,数(または式)を0でない数(または式)
で割った結果を,次のように横線の下に除数を,横線
の上に被除数を記して表したもので,横線の上のもの
を分子,横線の下のものを分母という.分子が1であ
る分数を単位分数という.
4
また,分母または分子が分数である分数は繁分数と
よばれている.繁分数は,分子を分母で割る,または
分子と分母に数(または式)を掛けることにより普通
の分数に変えることができる.
例えば,次のような繁分数が与えらた場合,
11+
分母と分子にx+1を掛けると次のようになる.
=
また,分子が分母より小さい分数を真分数といい,
値は1より小さくなる.分子が分母より大きい分数は
仮分数といい,1より大きくなる.
分数の四則計算では,分母が同じ2つの分数の場合
の和または差は,その共通の分母を分母とし,分子の
和また差を分子とする分数である.分母が違う分数の
場合は,まず分母を同じにするために通分してから,
2 行 取 り
中 央 に 配 置
3 行 取 り
中 央 に 配 置
基 本 版 面 の 行 位 置
に そ ろ っ て い る
基 本 版 面 の 行 位 置
に そ ろ っ て い る
基 本 版 面 の 設 定 で 決 ま っ て い る 文 字 位 置 を 示 す 枠
2 行 取 り
中 央 に 配 置
図2 数式の配置例(アキを揃える)
行 間 6 ポ イ ン
ト + 半 端 分
基 本 版 面 の 行 位 置
か ら ず れ て い る
基 本 版 面 の 行 位 置
に そ ろ っ て い る行 間 6 ポ イ ン
ト + 半 端 分
行 間 6 ポ イ ン
ト + 半 端 分
基 本 版 面 の 設 定 で 決 ま っ て い る 文 字 位 置 を 示 す 枠
分数とは,数(または式)を0でない数(または式)
で割った結果を,次のように横線の下に除数を,横線
の上に被除数を記して表したもので,横線の上のもの
を分子,横線の下のものを分母という.分子が1であ
る分数を単位分数という.
4また,分母または分子が分数である分数は繁分数と
よばれている.繁分数は,分子を分母で割る,または
分子と分母に数(または式)を掛けることにより普通
の分数に変えることができる.
例えば,次のような繁分数が与えらた場合,
11+
分母と分子にx+1を掛けると次のようになる.
=
また,分子が分母より小さい分数を真分数といい,値
は1より小さくなる.分子が分母より大きい分数は仮
分数といい,1より大きくなる.
分数の四則計算では,分母が同じ2つの分数の場合
の和または差は,その共通の分母を分母とし,分子の
和また差を分子とする分数である.分母が違う分数の
場合は,まず分母を同じにするために通分してから,
分子の和また差を分子として計算する.
�
6 図版(または表)を配置する6.� 図版の配置位置を指定する2つの方法
・図版を配置する具体的なページと,そのページ内での〈詳細な配置位置を指定〉(例:図版の多い雑誌)
・図版と本文との対応を指示し,ページ内での図版配置位置は〈原則のみを指定〉(例:図版が多くない書籍)
6.2 書籍の図版配置の一般的な例・縦組:版面の天・小口(図 4)・横組:左右中央,左右には文字を配置しない(図 5)
図4 縦組の書籍の図版配置の一般的な例
図5 横組の書籍の図版配置の一般的な例
�
6.� JIS X 405�の図版配置の方法�4)
・絶対位置指定 図 4 のように天および小口からの 2 方向から指定する場
合は,絶対位置指定の方法・相対位置指定 図 5 のように字詰め方向は指定の位置,行送り方向は,リ
ンクした本文のテキストの位置により決まるものは,相対位置指定の方法(天または地に配置する場合は絶対位置指定の方法も可能)
6.4 相対位置指定における配置方法・リンクの指定が出現した行の直後に図版を配置する・図版と文字との間は所定の空き量をとる(最小と最大の空
き量を決めておく)・図版の直前または直後には,行を 1 行だけ配置しない・図 6 の域内にある部分(a)と,領域からはみ出した部分(b)の長さを比較し,実際に配置するページを決める(本文のテキストの説明の近い場所に置くようにするが,説明より先になることは,できれば避けたいということから,a と b の値に重さを付ける)
・図 6 のように a≧2b の場合は,図版はそのページ内に配置し(追い込み),リンクのある行を含め図版の領域と重なる行は,図 7 のように次ページに移動する(追い出す)
・図 8 の a<2b の場合は,図 9 のように図版を次ページに移動し(追い出す),その空いた領域には,次ページから本文のテキストをもってくる(追い込む)
�0
図6 a≧2bの場合の位置調整前(相対位置指定)
版面の領域
13
a
b
リンク先
12
×
図� a≧2bの場合の位置調整後(相対位置指定)
版面の領域
13
リンク先
12×
��
6.5 絶対位置指定における配置方法・本文のリンク先の出現時点における指定の出現位置と版面
または段の領域の最後までの距離(図 10 の左側の a)・次にそのページの指定位置に図版を配置した結果としてリ
図� a<2bの場合の位置調整前(相対位置指定)
版面の領域
13
a
b
12
リンク先
×
図� a<2bの場合の位置調整後(相対位置指定)
版面の領域
1312
リンク先
×
�2
ンク先が移動し,その移動したリンク先が同一ページの場合は,そのページに図版を配置
・リンク先が次ページになった場合は,そのリンク先と版面または段の領域の先頭までの距離を計算(図 10 の右側のb),a と b を比較
・図 10 のように a<2b の場合は,図版は次ページ(13 ページ)の左側に移動(配置後は図 11)
図�0 a<2bの場合の位置調整前(絶対位置指定)
リンク先
×
版面の領域 版面の領域a b
12 1213 リンク先
×
図�� a<2bの場合の位置調整後(絶対位置指定)
リンク先
×
版面の領域
1213
��
・図 12 のように a≧2b の場合は,最初にリンク先が出現したページに図版を配置
注記:簡単にいえば,図版を配置した結果,リンク先が図版の配置ページにあればよいが,リンク先が次ページにいった場合,それが次ページの先頭近くの位置なら許容し,だいぶ先になるのなら,図版を次ページに移動する
6.6 図版の配置と字詰め方向の文字配置・回り込み:図版・表などを配置するために確保した領域の
字詰め方向の余白に本文を組み込むこと・回り込みで配置する本文の行長は,〈基本版面で設定した文字サイズの整数倍〉にする必要がある
図�2 a≧2bの場合の位置調整前(後も同じ)(絶対位置指定)
リンク先
×
版面の領域 版面の領域a b
リンク先
×
13 1212
�4
用 紙 に つ い て は 、 用 紙 の サ イ ズ 、 厚 さ 、 取 引 単 位 な ど に つ い て 知 っ て お く 必 要 が あ る 。 用 紙 の
サ イ ズ と し て は 、 裁 断 す る 前 の 原 紙 の サ イ ズ と 、 そ れ を 加 工 し て 仕 上 げ た 印 刷 物 の サ イ ズ が あ り 、
そ れ ぞ れ 日 本 工 業 規 格 ( J I S ) が 制 定 さ れ て い る 。
洋 紙 の 原 紙 仕 上 り サ イ ズ に つ い て の と し て は 、 一 九 六 九 年 に 制 定 さ れ 、 一 九 九 八 年 に 改 定 さ れ
た JIS P 0202 ( 紙 の 原 紙 寸 法 ) が あ る 。 こ れ に は 、 A 列 本 判 、 B 列 本 判 、 四 六 判 、 菊 判 、 ハ ト ロ ン
判 の 五 種 類 の サ イ ズ が 規 定 さ れ て い る ( 図 3・ 8 ) 。
こ れ ら 原 紙 の 規 格 寸 法 の も の で 、 断
裁 さ れ て い な い も の を 全 判 ( 全 紙 ) と よ
ん で い る 。 A 全 判 ( A 判 全 紙 ) や B 全 判
( B 判 全 紙 ) 、 四 六 全 判 ( 四 六 判 全 紙 ) や
菊 全 判 ( 菊 判 全 紙 ) な ど と い う 。 一 般 に
紙 の 取 引 で は 、 こ の 全 判 の 大 き さ で 行
っ て い る 。 な お 全 判 の 倍 の 大 き さ の 紙
も つ く ら れ て い る が 、 こ れ は 倍 判 と よ
ば れ て い る 。 逆 に 全 判 を 半 分 に し た も
の を 半 裁 、 そ の 半 分 を 四 裁 な ど と よ ぶ
127
900788
788
765
625
544
単位はmm
636
1200
1085
1091
939
880
ハトロン判
四六判
四六判半裁
B判
A判菊判
図3・8 洋紙の原紙寸法の比較
基 本 版 面 の 設 定 で 決 ま っ て い る 文 字 位 置 を 示 す 枠
すべての行で行の調整処理が行われており,文字が
基本版面で設定した文字の枠にそろっていない
回 り 込 み し た 行 の 行 頭 は 基 本 万 面 で 設 定 し た
文 字 位 置 に そ ろ っ て い な い
図�4 回り込みの配置例2
用 紙 に つ い て は 、 用 紙 の サ イ ズ 、 厚 さ 、 取 引 単 位 な ど に つ い て 知 っ て お く 必 要 が あ る 。 用 紙 の
サ イ ズ と し て は 、 裁 断 す る 前 の 原 紙 の サ イ ズ と 、 そ れ を 加 工 し て 仕 上 げ た 印 刷 物 の サ イ ズ が あ り 、
そ れ ぞ れ 日 本 工 業 規 格 ( J I S ) が 制 定 さ れ て い る 。
洋 紙 の 原 紙 仕 上 り サ イ ズ に つ い て の と し て は 、 一 九 六 九 年 に 制 定 さ れ 、 一 九 九 八 年 に 改 定 さ れ
た JIS P 0202 ( 紙 の 原 紙 寸 法 ) が あ る 。 こ れ に は 、 A 列 本 判 、 B 列 本 判 、 四 六 判 、 菊 判 、 ハ ト ロ ン
判 の 五 種 類 の サ イ ズ が 規 定 さ れ て い る ( 図 3・ 8 ) 。
こ れ ら 原 紙 の 規 格 寸 法 の も の で 、 断
裁 さ れ て い な い も の を 全 判 ( 全 紙 ) と
よ ん で い る 。 A 全 判 ( A 判 全 紙 ) や B
全 判 ( B 判 全 紙 ) 、 四 六 全 判 ( 四 六 判 全
紙 ) や 菊 全 判 ( 菊 判 全 紙 ) な ど と い う 。
一 般 に 紙 の 取 引 で は 、 こ の 全 判 の 大 き
さ で 行 っ て い る 。 な お 全 判 の 倍 の 大 き
さ の 紙 も つ く ら れ て い る が 、 こ れ は 倍
判 と よ ば れ て い る 。 逆 に 全 判 を 半 分 に
し た も の を 半 裁 、 そ の 半 分 を 四 裁 な ど
127
900788
788
765
625
544
単位はmm
636
1200
1085
1091
939
880
ハトロン判
四六判
四六判半裁
B判
A判菊判
図3・8 洋紙の原紙寸法の比較
基 本 版 面 の 設 定 で 決 ま っ て い る 文 字 位 置 を 示 す 枠
この2行だけが行の調整処理が行われている
回 り 込 み し た 行 の 行 頭 は 基 本 万 面 で 設 定 し た
文 字 位 置 に そ ろ っ て い る
図�� 回り込みの配置例�(問題あり)
15
図 15 回り込みの配置例2の仕上り
用紙については、用紙のサイズ、厚さ、取引単位などについて知っておく必要がある。用紙の
サイズとしては、裁断する前の原紙のサイズと、それを加工して仕上げた印刷物のサイズがあり、
それぞれ日本工業規格(JIS)が制定されている。
洋紙の原紙仕上りサイズについてのとしては、一九六九年に制定され、一九九八年に改定され
たJIS P 0202
(紙の原紙寸法)がある。これには、A列本判、B列本判、四六判、菊判、ハトロン
判の五種類のサイズが規定されている(図3・
8)。
これら原紙の規格寸法のもので、断
裁されていないものを全判(全紙)とよ
んでいる。A全判(A判全紙)やB全判
(B判全紙)、四六全判(四六判全紙)や
菊全判(菊判全紙)などという。一般に
紙の取引では、この全判の大きさで行
っている。なお全判の倍の大きさの紙
もつくられているが、これは倍判とよ
ばれている。逆に全判を半分にしたも
のを半裁、その半分を四裁などとよぶ
127
900
788
788
765
625
544
単位はmm 636
1200
10851091
939880
ハトロン判四六判
四六判半裁
B判
A判菊判
図 3・8 洋紙の原紙寸法の比較
�6
注 記
1) 以下に,“JIS X 4051(日本語文書の組版方法)”の適用範囲を掲げる. “この規格は,JIS X 0201,JIS X 0208,JIS X 0212,JIS X 0213 及び JIS X 0221-1 に規定され
る図形文字を対象とする文字(以下,文字という。)を基本として用いた日本語文書の行,版面及びページについての基本的な組版方法を規定する。ここでいう行の組版方法は,欧文ピッチ処理を含む 1 行の構成方法及び行内での文字配置を規定する。版面の組版方法は,段落,中扉,見出し,箇条書き,注,図・写真等,表及び訓点等のつく漢文を含む版面の構成方法並びに版面内での文字,けい(罫)線及び図・写真等の配置方法を規定する。ページの組版方法は,柱,ノンブル及び版面を含むページの構成方法及び配置方法を規定する。
ここで規定する組版方法は,主に書籍に適用する。” なお,JIS X 4051 は,次で入手できる.
日本規格協会 http://www.jsa.or.jp/ 次で,“データベース検索”から JIS の番号で検索して,閲覧が可能(データの保存および印刷は不
可) 日本工業標準調査会 http://www.jsa.or.jp/2) JLreq は,以下に掲載されている.
[1] http://www.w3.org/TR/jlreq/[2] http://www.w3.org/2007/02/japanese-layout/[3] http://www.w3.org/TR/2012/NOTE-jlreq-20120403/ja/ ←日本語版
また,東京電機大学出版局から “W3C 技術ノート 日本語組版処理の要件 ” の書名で発売されている.(定価(消費税込):5040 円)
3) 行の調整処理は,JLreq(日本語版)の“3. 8 行の調整処理”で解説されている.この行の調整処理は,初心者にとって,とっつきにくい事項でもある.そこで,JLreq(日本語版)の“3. 1. 12 行の調整処理例”をまず参照するとよいだろう.
4) 日本語組版では,字間はベタ組を基本とすればよいが,特別の場合を除いて行間はなんらかの値を選択しなければならない.この行間の選択が読みやすさや体裁に大きく影響する.字間をベタ組とするかツメ組とするか,1 行の行長(1 行に配置する字数)はどれくらいか,さらに,フォントや文字サイズなどを考慮して決める必要がある.次に行間を選択する際の目安をいくつか示しておく.ここに掲げるものは,あくまで目安であり,いろいろの行間を見て,自分なりに判断基準を作成しておくとよい.
書籍の本文は,字詰が多い場合は,使用する文字サイズの全角かやや詰める. 〈例〉A5,横組,9 ポ,1 行 35 字,行間は 9 ポから 7 ポくらい,詰めても 6 ポくらい.字詰が少な
い場合,例えば,20 字くらいであれば使用する文字サイズの二分までは可能,余裕があれば二分よりやや空ける.空けても 2/3 くらい.
書籍の注は,縦組の 1 段組の専門書などでは字数が多いので,本文の行間にもよるが,注に使用する文字サイズの二分四分から,詰めても二分くらいである.横組の脚注では,二分くらいか,それよりやや詰めた方が体裁がよい.
書籍の本文中に挿入する表では,一般に表に使用する文字サイズの二分にすればよい.大きな表では,行間を二分よりやや詰めた方がよい(そのかわりに 5 行または 10 行ごとに大きく空ける).なお,項目名など部分的に 2 行にする部分は,他の項目の幅とそろえるために 0 まで詰めてよい.
書籍の表や図版のキャプションで,キャプションが長くて 2 行以上にする場合の行間である.キャ
��
プションが一体として読めるように,キャプションに使用する文字サイズの四分から二分くらいが目安である.
書籍の見出しで,見出しが長くて 2 行や 3 行にする場合がある.この場合も見出しが一体として読めるように,見出しに使用する文字サイズの三分か四分くらいが目安である.
5) 図 16 に JIS X 4051 の文字クラスを示す.なお,JLreq では,JIS X 4051 の文字クラスに少し変更を加えている.Appendix A で,ISO/IEC 10646 のサブセット(コレクション 285“基本日本文字集合”および コレクション 286“拡張非漢字集合”)に含まれる非漢字の文字・記号を分類して示している.
6) 文字間の空き量については,JIS X 4051 では,規格票の 47 ページに表 5 として示されている.また,JLreq では,Appendix � に示されている.文字クラス以�の内�についても,一部変更されてAppendix � に示されている.文字クラス以�の内�についても,一部変更されて � に示されている.文字クラス以�の内�についても,一部変更されている.
7) 2 行に渡る分割の可否については,JIS X 4051 では,規格票の 49 ページに表 6 として示されている.また,JLreq では,Appendix C に示されている.
8) 行の調整処理で詰めてよい箇所については,JIS X 4051 では,表としては示されていない(本文で規定されている).JLreq では,優先順位を含めた表が Appendix � に示されている.Appendix � に示されている. � に示されている.
9) 行の調整処理で空けてよい箇所については,JIS X 4051 では,規格票の 51 ページに表 7 として示
4
図�6 JIS X 4051 の文字クラス
��
されている.ただし,表 7 には優先順序は示されていない(本文で規定されている).JLreq では,優先順位を含めた表が Appendix E に示されている.Appendix E に示されている. E に示されている.
10) グループは,分割できないとする処理系が多い.しかし,それは処理のむつかしさからきているもので,ある面ではやむを得ない.しかし,編集する側から見れば,必ずしも分割禁止ではない.親文字で字数の多い,あるいはグループルビが頻出する場合などでは,分割しないとうまくいかないケースもある.
11) 熟語ルビは,JIS X 4051 の第 3 次規格で規定された処理方法である.12) ルビの配置方法については,肩ツキ,中ツキの用語がある.この用語は,ややあいまいな点があ
る. ①肩ツキと中ツキは,あくまで,親文字 1 字に対し,ルビ 1 字の場合の配置方法である. ②親文字 1 字に対し,ルビ 1 字の場合と限定したものではない.親文字の先頭とルビ文字列の先頭
を揃える方法が肩ツキであり,親文字列とルビ文字列の中心を揃える方法が中ツキである,と考える. 活字組版では,一般に①であり,実際のルビの処理方法を考えた場合にも,①と考えた方がよい.
その理由としては,親文字 1 字にルビ文字が 4 字ついた場合,行中で肩ツキの②の方法を採用する例は少ないであろう.②の中ツキについては,統一的に処理できるが,肩ツキでは必ずしもそうはならない場合があるということである.
ルビの字数が多い場合の処理方法としては,次のようなものが考えられる.(1)親文字からのルビのはみ出しは,後ろ側を優先し,前後に配置する文字クラスにより,前ま
たは前・後ろの両側とする.後ろの文字に掛けてよい量だけまずルビを掛け,それで処理できない場合,次に前の文字に掛けてよい量だけルビを掛けてはみ出させ,それでも処理できない量は,前および後ろに均等に追加する(最後のケースでは前後の文字との字間が空くことになる).
(2)親文字からのルビのはみ出しは,前と後ろを均等とすることを優先する.前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が同じ場合は,前と後ろを均等にはみ出させ,前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が異なる場合は,まず掛けてよい量まで前または後ろに掛け,それで処理できない量は,前および後ろに均等に追加する.
(3)親文字からのルビのはみ出しは,前と後ろを均等とする. 肩ツキ(①でいう)の場合,ルビの字数が多い処理方法としては,(1)が一般に選択される.(3)と
する例もある.(3)とする例は,親文字列とルビ文字列は必ず中心を揃えるようにまずなっており,①でいう肩ツキは,ルビ文字列の入力の際に,1 字のルビ+ルビの全角スペースという形で入力し,処理する方法である.
中ツキ(①でいう)の場合,ルビの字数が多い処理方法としては,(3)が一般に選択される.例は少ないが,(2)とする例もある.
JLreq の Appendix � に,肩ツキ(①でいう)で字数が多い場合の処理方法を(1)とした場合の熟Appendix � に,肩ツキ(①でいう)で字数が多い場合の処理方法を(1)とした場合の熟 � に,肩ツキ(①でいう)で字数が多い場合の処理方法を(1)とした場合の熟語ルビの処理法が記載されている.
13) JLreq(日本語版)の“4. 1. 6 行取りの処理例”に,行取りの例が図解して掲げられている.14) JIS X 4051 の“絶対位置指定”と“相対位置指定”という用語の定義を次に掲げる.
相対位置指定:ブロック類の指定が本文段落などの流れとともに出現した行を配置位置基準とし,行送り方向の分割を不可とする,ブロック類の配置位置指定方法.(ブロック類:図・写真等のブロックおよび表のブロックの総称)
絶対位置指定:ブロック類の指定が出現した版面又は見開きを単位とする領域からの絶対的な位置を配置位置基準とする,ブロック類の配置位置指定方法.
なお,JLreq(日本語版)では,図版の配置は,“4. 3 図版の配置処理”で解説されている.図解