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成功するイメージングチームに必要な メディカルイメージング技術サポート -イメージングエンドポイントを効率よく利用するために- Tatsuaki Kobayashi [email protected] 2015/2/25 Ver.1.0.1 It is not a commercial purpose

成功するイメージングチームに必要なメディカルイメージング技術サポート

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Page 1: 成功するイメージングチームに必要なメディカルイメージング技術サポート

成功するイメージングチームに必要なメディカルイメージング技術サポート-イメージングエンドポイントを効率よく利用するために-

Tatsuaki [email protected]

2015/2/25Ver.1.0.1

It is not a commercial purpose

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注意事項

● 本資料は筆者の個人活動により作成された資料です。● 筆者はこの資料を参考にしたことによって発生したいかなる事項

にも一切責任を負いません。● 本資料を引用または流用する場合は、嬉しいので、一報いただ

けますと幸いです。

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成功するイメージングチーム● 臨床試験において医薬品や医療機器の適格性・有効性・安全性を確立するためにメディカルイメージング技術(※1)を利用することが

多くなっています。このイメージング技術を利用するメリットは、主にイメージングエンドポイント(※2)を導き出すことにあります。イメージングエンドポイントを導き出すには、品質が保証されたイメージングデータの収集や保管およびイメージングバイオマーカー(※3)を用いた解析/評価などのキーコンポーネントを運用する必要があります。

● これらのキーコンポーネントの運用はその技術的な障壁によって、イメージングの専門ではないスポンサーやモニタリングを行う研究開発受託機関の運用を非効率にすることがあり、スポンサーにとっては、この非効率を軽減するためのチームビルディングが必要不可欠です。

● イメージング技術を効率よく運用するためのチームには、スポンサーをはじめ、チームの中で自身の専門領域に関して医療技術的リーダーとして協力が可能な臨床の医師、施設のデータマネージメントを担う施設支援機関・メディカルスタッフ、一般的なモニタリング業務

や統計解析を担う研究開発受託機関およびイメージングコアラボなどのメンバーが必要です。● このイメージングコアラボは、上述のキーコンポーネント運用に関するマネージメントやコンサルタントを担い、スポンサーが効率的にイ

メージングエンドポイントを利用し、最終的にプロダクトを上市するまでの期間を短縮する「成功するイメージングチーム」を作るキーとなります。

イメージングコアラボ

スポンサー医療機関(医師)

施設支援機関

研究開発受託機関放射線専門医や放射線技師などの専門家

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イメージングチームに必要なイメージングコアラボ  イメージングコアラボにとって一番重要なこと - 画像を用いた評価結果の品質の保証 -

● イメージングコアラボにとって一番重要なことは、 画像を用いた評価結果の品質の保証 です。● 画像を用いた評価結果の品質の保証のためには、イメージングコアラボに 以下のキーコンポーネントを運用する

能力が必要です。

● スポンサーがイメージングを専門としていない研究受託機関と試行錯誤でイメージングデータを運用している場合は、技術を持ったイメージングコアラボをチームに加える事でイメージングデータ運用が劇的に効率化されます。

● あまり望ましくないケースとして、イメージングを専門としているもののその実態は技術的な内容を伴わない事務的なサポートのみを行なう研究開発受託機関と協働している場合は注意が必要です。たとえ大企業であっても技術の空洞化が起こっている可能性があるため、チームビルディングを再考する事をお勧め致します。

コアラボで実働するメンバーが医療系国家資格、医療機関における臨床経験、GCPおよびイメージング技術に関するリテラシーを持っていることもこれらのコアラボの能力を実現するための重要なポイントです。

❏ イメージングエンドポイントの理解❏ イメージングエンドポイントを算出するための検証された手法の利用❏ 利用するイメージングモダリティの理解(精度管理や原理など)❏ 目的に沿った適切で十分な検査のためのサポート❏ 医用画像の基本の理解❏ 医用画像解析❏ プロフェッショナルな医師による画像評価およびそのサポート❏ 画像評価結果のモニタリング(効果判定の群間比較や経時的変化の管理)❏ 医療情報を理解したうえでの、一連のデータの一貫したデータマネージメント

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イメージングコアラボの効果

● イメージングコアラボは以下の活動を通じて、従来のイメージングデータハンドリングの非効率を最小化し、 開発の高効率化を実現します。

時間効率の向上

❏ 適切にイメージングエンドポイントを導くためのイメージングプロトコルや標準業務手順書の作成(QIBAとの協調)❏ スポンサーや研究開発受託機関への技術的なサポート❏ 医療機関のメディカルスタッフとの技術的なコミュニケーション❏ コンピュータ化システムバリデーションで検証済みのDICOMデータの半自動収集・永続的な保管・構造化評価レポート作成およ

びその利活用が可能かつセキュアなイメージングデータ保管システムを用いたデータマネージメント(※構造化評価レポートはCDISC SDTMへのコンバートを考慮)

❏ イメージングデータを対象としたモニタリング業務のサポート(匿名化/盲検化や検査条件を自動的に確認できるDICOMデータモニタリングツールの提供など)

❏ 医用画像評価のための読影環境(遠隔含む)の提供や画像評価に必要なイメージングデータの準備❏ プロトコル上またはオフプロトコルのイメージングバイオマーカーを対象とした医用画像解析やそのデータ分析❏ 一般的な解析ソフトに非搭載の専門的な画像評価システム開発❏ etc

電子化によるヒューマンエラーの防止 イメージングデータの永続的な保管と利活用

適切なイメージングコアラボは開発プロセスのイメージングデータ運用を効率化し、研究開発を加速します。

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まとめ

● 成功するイメージングチームには、イメージング技術に関する臨床的な知識、医療情報の知識および医薬品・医療機器開発の各種規制に対応できる技術的な支援が可能なイメージングコアラボが必要不可欠です。

● これから先、疾患の解明やメディカルイメージング技術の進歩に伴って変化するイメージング技術サポートそのものの研究に、その専門性を認識して活発に参加することも、イメージング技術を専門とした一員として開発チームに関わるイメージングコアラボの役割の一つになっていくと考えています。

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補足1:医薬品・医療機器開発を加速する                メディカルイメージング技術

放射線医学領域で利用される高度な医療機器(イメージングモダリティ)

このイメージング技術の最大のメリットは、

「可視化された体の内部の状態を客観的に

定量評価できること」

従来から医薬品や医療機器の研究開発に

用いられています。

● 一般X線撮影(レントゲン)

● X線透視(血管撮影など)

● 骨塩定量

● 超音波

● CT● MRI● PET● PET-CT● PET-MRI● SPECT● SPECT-CT● etc

● メディカルイメージングで体の内部を可視化するためにはいくつかのステップが存在し、これらのステップに関わる技術全般をメディカルイメージング技術と呼びます。

❏ 検査や治療のオーダー ❏ 検査や治療の計画❏ 検査や治療の手技❏ 検査や治療の結果の評価❏ 医用画像や読影レポートなどのイメージングデータの保存❏ 放射線部門システム etc

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補足2:イメージングエンドポイント

● イメージングエンドポイントは 2010年に作成されたGuidance for Industry Standards for Clinical Trial Imaging Endpoints DRAFT GUIDANCEで示されています。

● 広義の意味は、臨床試験において画像検査の結果を用いるエンドポイントがイメージングエンドポイントです。● 一般的な解釈として、患者個人の生活の質などの評価を含む True EndpointとTrue Endpointを代替する

Surrogate Endpointのうち、イメージングエンドポイントは Surrogate Endopointとして認識されており、臨床研究の内容によって、主要評価項目(プライマリーエンドポイント)や副次評価項目(セカンダリーエンドポイント)として利用されます。

● イメージングエンドポイントの利用例として、抗癌剤の開発があります。従来では、 Overall Survival(全生存期間)を主要評価項目として運用している試験が多かったのですが、イメージングモダリティの高性能化もあり、近年では、CTやMRIなどの画像を用いて腫瘍の長径や短径などのイメージングバイオマーカーを利用して、Progression Free Survival(無増悪生存期間 )やResponse Rate(応答率)がプライマリなイメージングエンドポイントとして利用されつつあります。全生存期間を調査することに比べ、これらの PFSやRRで評価することで、早期に薬効を評価し、多くの患者さんの手元に薬が届くまでの期間を短縮できることがあります。

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補足3:イメージングバイオマーカー

● 医薬品・医療機器開発では、適格性・有効性・安全性を定量的に評価するために従来からバイオマーカーが利用

されてきました。このバイオバーカーとは通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療的介入に対する薬

理学的応答の指標として、客観的に評価される特性を意味します。バイオマーカーの代表的な例に、 k-rasなどが

あります。

● このバイオマーカーのうち、イメージングで得られるバイオマーカーをイメージングバイオマーカーと呼びます。

● 例えば、代表的なものに解剖学的構造の長さや濃度、面積、体積、構造の複雑さを示す指標、 PETのStandard Uptake Valueなどの「視覚的な構造の特徴」や、 functional MRIやMR Spectroscopyなどの分子レベルのプロト

ンの挙動を利用した信号情報などの「構造物そのものの属性を示す物理的な特徴」まで、イメージングバイオマー

カーには臨床(医用) /非臨床の画像情報から得られるさまざまな特徴量が含まれます。

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Thanks.