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東大科学哲学ゼミ第9”科学リテラシー”ありますか? 理解・アクセス コミュニケーション・意思決定

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東大科学哲学ゼミ第9回 ”科学リテラシー”ありますか?

理解・アクセス コミュニケーション・意思決定

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
資料は↓にいろいろあるみたい。他スライドのノートにも関連項目を書いてたりします http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/18917 問題となるのは、 科学・技術が社会に影響を与えることが自明な中で、影響を受ける側がいかにして意思決定にかかわるか 欠如モデル的考え方であるにせよ、科学が必要な場があるとき 科学に適切なアクセスが受けられない人々にいかにして十分なアクセスの権利を与えるか 科学を一般の人がどれほど理解するべきなのかは難問 科学を理解しないことで、「個人の自由」だといって看過できないほどの不利益をこうむることがある。いかに知識を啓蒙するか たとえば自然主義の誤謬が広まってしまうことは避けたい(「人間は種として戦争するようにできている」という生物学的事実が戦争を倫理的に肯定するか?否) たとえば、「水とありがとう」が学校で教えられてしまうことはどうか ED説が教えられる米国の学校との差異と同一はいかに? 科学は文明に影響を及ぼす、ということ。イスラムやキリスト教原理主義がダーウィンを嫌っていても科学をすべて拒んでいるわけではない 科学を理解する際に橋渡しとなるメディア・コミュニケータの質・育成・

科学に結びつ

かない技術

技術に結び

つかない科学

科学技術

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
科学に結びつかない技術…テクノロジー、テクニック、エンジニアリング、、。iPodは結びつかないけどテクノロジー的存在 科学技術…テクノロジー、テクノサイエンス、サイエンスアンドテクノロジー? 技術に結びつかない科学…サイエンス 技術に結びつかない科学は社会に関係ないのか? 否。世界観の変容という点で、物理的次元でなく観念・思想的次元で社会と関係がある。 進化生物学、社会生物学、素粒子物理学など 科学に対する「夢」イメージの形成と天文・宇宙論 技術に結びつかない科学は大衆は理解する必要がないのか、と言われれば違うはず。俗流解釈の蔓延。医学・生物学・生理学の分野では特にこの問題は大きいのではないか エイズと差別、ジェンダーの問題。予防接種は自分のためだけなのか、という公衆衛生的見地などなど

科学技術コミュニケーション – 科学技術の専門家集団が自分たち以外の社会の様々な集団や組織と科学技術について意思疎通を図る活動。

市民

科学・技術

サイエンスカフェ

学校教育

サイエンスコミュニケーター

サイエンスジャーナリズム

サイエンスアゴラ

アウトリーチ

etc.

科学博物館

コンセンサス会議

市民

科学・技術

サイエンスカフェ

学校教育

サイエンスコミュニケーター

サイエンスジャーナリズム

サイエンスアゴラ

アウトリーチ

etc.

科学博物館

コンセンサス会議

何も知らないから啓蒙しないと

不信感、市民のことを考えていない

1.理科教育の変遷

• 参照

2.現行の小・中学の理科 •小3から開始

学習指導要領

「自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象についての理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。」

ここでいう”自然”とは日本の伝統的な自然観なんだとか、なんとか。

3.現行の小・中学の理科

• 中学理科の内容 • 第一分野:物理・化学 • 第二分野:生物・地学(懐かしい...) • 最後の単元に環境問題や資源・エネルギーに着いて学ぶ単元が各分野のまとめとしてある。

• 必修理科と選択理科(内容は現場に任せられる)

• 高校では科目履修が選択制となるため、理科全般を学ぶ最後の機会である。

4.現行の高校の理科

• 学習指導要領に「”科学的な自然観”の育成」の文言が付け加わる。

• 科目 • 理科総合A(物化)理科総合B(生地) • 物化生地それぞれにI IIがある。 • ここから2科目以上を選択する。上位校では理科総合を扱わない傾向が強い。

5.科学専門教育の例

•現状:義務教育での理科は専門性をもった人材の育成には対応していない。

•→高校での専門課程への接続が困難

• 科学に興味のある子のそれから先の育成は?

•文部科学省(JST)の取り組み

•スーパーサイエンスハイスクール

•サイエンスキャンプ

6.JSTの取り組み 未来の科学者養成講座 審査基準 • 卓越した意欲・能力を有する児童生徒の選抜手法の開発・実施ができるか

• 対象の児童生徒の意欲・能力を伸ばす体系的な取組か • 知識の伝授にとどまらない課題設定・解決能力を育成・伸長する取組か

• 発達段階に応じた指導か • 理系の職業や進路の魅力を児童・生徒等に伝える取組か

• 委託期間終了後の展開が有効か

6.JSTの取り組み

スーパーサイエンスハイスクール • 高等学校等において、先進的な理数教育を実施するとともに、高大接続の在り方について大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進。

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
PUS 啓蒙的、欠如モデル的アプローチ 一般市民には彼らの生活を向上させる科学的知識が十分にないという観点からやや説教的なアプローチを見せる。1985年に出版された Walter Bodmer の王立協会レポート[1]が元になって、科学に関わるイギリスの人々はこの方法を取った。一方アメリカ合衆国では、「科学リテラシー」という言葉が同様な方法を取る際に使われた。Jon Miller は彼の研究[2]の中で、一般市民が科学をどれくらい良く理解しているかを調査した。 イギリスの欠如モデルからの脱却 ブライアンウィン  理科知識を保持できるの?専門職以外に進むと知識を使わない… どのように「保持している」? 教育されたが、どのような職種そ選ぶかでどの知識が保持されるか決まる 社会的関係・職場での分業、立場の違いによって情報の保持が変わる セラフィールド 核燃料再処理施設で働くひと ⇒欠如とよばれるような欠陥ではない トランスサイエンス1972年 PUS 1985 コンセンサス会議 1985 SC→PEST サイエンスコミュニケーターは一般市民の知識を尊重し、科学者と一般市民が対話することが重要であると考えている。The House of Lords Third Report on Science and Society from 2000[3] は、イギリスのサイエンスコミュニケーションにおけるこのような「対話への新しい潮流」について述べている。その直後、 シンクタンク See-Through Science によるレポート[4]が発表され、科学政策策定の初期過程において一般市民が積極的に関与すべきであるという認識が一般化した。

専門家(職業科学者・技術者)

非専門家(市民)

科学・技術

社会

体制化科学・ 産業化科学

アカデミズム科学

サイエンスショップ CBR

コンセンサス会議

市民科学

ユーザー イノベーション

アマチュア科学

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
科学といっても主体はさまざま 相互に対立依存関係にある。 第一象限と第二象限の科学・技術への批判意識が第三象限にある。対抗的専門性counter-expertise しかし第一象限のアカデミズム科学も、第二象限の批判のために生まれてきたという背景があるし、相互的にアカデミズム科学は「役に立つ」科学の批判にさらされる 科学技術ジャーナリズムはどの証言にも軸足を置きうる。 第一象限に身を置き新たな科学的発見を紹介していくのも役割だが、権力としての科学を批判する第三象限に身を置くことが、ジャーナリズムとしての性質に不可欠

なぜコミュニケーションか • 技術の問題が確率論的リスクの問いへ • 不確実性と社会性(トランスサイエンス)

• 市民の知る権利への対応と情報公開

科学・技術

政治・社会

トランス サイエンス

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
トランスサイエンス 専門家に聞くことはできるが、確定的にはわからない。論争がある境域でそれでも意思決定をせねばならないとき、政治的性格が強まる。

なぜ科学・技術を巡って争うのか

• 関係主体間の知識の差異 • 不均一な利害関係 • 価値観の相違 • どのような社会に生きたいか • 専門的知見への不信感

日本の科学技術コミュニケ―ションの背景

経済・産業の

ための科学

市民の支持獲得目的

理科離れ対策

科学への信頼崩壊

阪神大震災

JCO

サリン事件

市民の懸念

遺伝子組み換え

BSE

生命技術

情報技術

アウトリーチ

• 「国民の研究活動・科学技術への興味や関心を高め、かつ国民との双方向な対話を通じて国民のニーズを研究者が共有するため、研究者自身が国民一般に対して行う双方向なコミュニケーション活動」 –科学技術基本計画などでは以上のように説明

サイエンスショップ

• 70sオランダ学生運動を起源とするWetenschapswinkels

• 社会的弱者の市民へ大学の研究資源を無償・低価格で提供

• 大阪大学、神戸大学、熊本大学

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
サイエンスショップの具体例は下から引きましょう http://handai.scienceshop.jp/content/view/22/36/ http://www.h.kobe-u.ac.jp/ja/node/521 http://scishop-2011.h.kobe-u.ac.jp/

コンセンサス会議

• 市民が科学技術について意思決定をする。 • アメリカの医療機器についての医療者の合意から、デンマークの科学技術に関する会議へ

• 運営委員会、事務局、会議開催までのスケジュール、市民パネル司会、

関係する専門家のリスト、市民パネルにテーマを説明する文書

[計画・準備]

• 地方紙(5、6紙でデンマーク全体をカバー)の公告。自己紹介、

テーマについて持っている知識、参加したい理由を紙1枚に書いて申

し込む。14人程度。年齢・性別・教育程度・職業・地域を考慮して

構成

[市民パネルの構成]

• 事務局長は候補となった専門家に接触、専門家パネルに参加する意思

を確認

[専門家パネルの構成]

• 2、3カ月前。市民パネルは会の目的、進め方、司会の役割を聞

き、自己紹介。何を問題とするか、基礎的知識鍵となる質問、ど

のような専門家たちに答えて欲しいか

[準備のための第1回週末会合]

• 約1カ月前。さらに議論が続けられ、専門家への「鍵となる質

問」を最終的に文書化。市民パネルは専門家パネルの構成を承認。

[準備のための第2回週末会合]

• 会議前夜、市民パネルは集まって、最後の準備討論

[会議開催]

• 専門家パネル(10~15人)はそれぞれ2、30分で市民パネルの出した質問に答え、見方・知

識を提示する。質疑応答は事柄を明らかにすることに限ってなされる。

第一日(公開)

• 市民パネルは鍵となる質問がどのように明らかにされ、どの部分がさらに明らかにされる必要があ

るかを話し合う。これに基づいて、第2日にどのように専門家に質問するかを決める。

第一日夜

• 市民パネルは専門家に質問する。ここでは、さらに聴衆に質問をし考えを述べる機会も与えられる。

第二日午前(公開)

• 夜:市民パネルは最終文書を用意する。パネルは始めいくつかのグループに分かれて議論し、それ

を持ち寄ってさらに議論してコンセンサス作成。多大の時間がかかり、多くの場合、深夜に及ぶ。

第二日午後

• 市民パネルは最終文書を発表する。専門家は技術的誤りや誤解を訂正するよう求められる(内容に

はコメントできない)。その後、会場全体で議論する。なお、聴衆には一般参加者の他、議員やマ

スコミが招待される。

第三日午前

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
http://www.ajcost.jp/material_h_2.htm http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=k2bT31Uw-uE