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2016年度実践メディアビジネス講座I
2016年度シリーズ講義「クールジャパンのその次は」
第1回 イントロダクション
駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部
山口 浩
実践メディアビジネス講座Ⅰ
• メディアビジネスの実際を第一線のプロから学ぶ
• 山口の担当回はシリーズ講義を展開
– 2009年度 オタク市場論
– 2010年度 ネットの力、みんなのチカラ
– 2011年度 マンガ・アニメの現在・過去・未来
– 2012年度 大学生のための口コミマーケティング入門
– 2013年度 テレビのミライ
– 2014年度 ゲームがゲームを超えるとき
– 2015年度 宗教とメディアの新時代
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今年度のテーマ
クールジャパンのその次は
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クールジャパン
• 日本の魅力を世界に発信する活動
– 日本のプレゼンス向上
– 海外マーケットの拡大
– 訪日外国人旅行者の増加
• そろそろ「次」を考える時期に来ているのではないか
• 意義をとらえ直す必要があるのではないか4
クールジャパン小史• 「新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~」(2010 年 6 月閣議決定)
– 知的財産・標準化戦略とクール・ジャパンの海外展開
• 我が国のファッション、コンテンツ、デザイン、食、伝統・文化・観光、音楽などの「クール・ジャパン」は、その潜在力が成長に結びついておらず、今後はこれらのソフトパワーを活用し、その魅力と一体となった製品・サービスを世界に提供することが鍵となっている。
• このため、海外の番組枠の買取り、デジタル配信の強化、海外のコンテンツ流通規制の緩和・撤廃、海賊版の防止、番組の権利処理の迅速化とともに、民間を中心としたチームによるクール・ジャパン関連産業や43地域産品の売込み
と海外ビジネス展開支援、人材育成の強化、海外クリエイター誘致のための在留資格要件の緩和等を行う。
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コンテンツ政策• 2000年代初頭から注目
• 2001 年 経済産業省商務情報政策局に文化情報関連産業課(メディア・コンテンツ課)
• 2002 年 知的財産戦略大綱
– 「優れたコンテンツ創出等への支援」
• 2004年コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律
– エンターテインメント・コンテンツの振興に国家戦略として取り組む
– 資金調達や権利侵害への対応、海外展開、公正取引、中小企業・消費者への配慮など 6
コンテンツ政策からクールジャパンへ
• 「新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~」(2010 年 6 月閣議決定)
– 経済産業省にクール・ジャパン室
• 2011年 経済産業省に生活文化創造産業課(クリエイティブ産業課)
– クール・ジャパン室、日用品室、伝統的工芸品産業室、デザイン・人間生活システム政策室、ファッション政策室などを統合
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クールジャパン政策の展開
• 2012年12月、第2次安倍内閣に「クールジャパン戦略担当」大臣ポスト
• 2013年11月、「株式会社海外需要開拓支援機構」 (クールジャパン機構)設立
• 2015年12月、クールジャパン官民連携プラットフォーム設立
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「クールジャパン」の源流
• “Soft Power”– Joseph Nye (2004)
• “Gross National Cool”– Douglas McGray (2002)
• “Cool Britania”
• コンテンツ振興からより広い範囲へ9
“Soft Power”
• Joseph S. Nye Jr (2004). Soft Power: The Means to Success in World Politics. – 軍事力や経済力などの他国を強制し得るハード・パワーと対置される概念
– 米国の対外政策のあり方・手法として生まれた
– 「文化」と「政策」
– ブッシュ政権以降のアメリカの中東政策による、国際的な批判の高まりを受けたもの
– 情報化社会への移行でソフトパワーが増大
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“Gross National Cool”
• DOUGLAS MCGRAY (2002). Japan’s Gross National Cool. Foreign Policy– 日本は再び新たな超大国として再生しつつある
– 日本のグローバルな文化的勢力は力強さを増し経済大国から文化大国に進化した
– 日本には可能性に満ちたソフトパワーが大量に蓄えられている
– GNP(国民総生産)をもじって「Gross National Cool(国民総文化力/クール力/かっこ良さ)」という新たな指標を提唱
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“Cool Britannia”• 英国の文化産業戦略
– 1990年代の英国文化好調を受けた表現
– 文化の発信地としてのイギリスの復権
– 1997年、ブレア政権が政策として展開
– “Creative industry”• 広告、建築、美術・骨董品、工芸、デザイン、デザイナーズ・ファッション、映画・ビデオ、テレビ・コンピュータゲームソフト、音楽、舞台芸術、出版、コンピュータソフトウェア・コンピュータサービス、テレビ・ラジオ
– 輸出促進、技術・教育、財政支援、税制、知的財産権、地域振興
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日本経済のたどった道• 戦後復興
• 高度成長
• オイルショック
• 成熟化
• “Japan As No.1”• 円高不況
• バブル経済
• バブル崩壊
• 失われた20年• アベノミクス 13
製造業の競争力低下
少子高齢化
地方経済の疲弊
サービス業の低生産性
東京一極集中新興国の追い上げ
ベビーブーム
少子化
日本列島改造論
貿易摩擦
傾斜生産方式
ニクソンショック
韓国のコンテンツ政策
• 1960s~ “4 Asian Tigers”→NIES• 1997~ アジア通貨危機で深刻な影響
– IMF管理下で大胆な構造改革
• 1998 年 金大中大統領「文化大統領宣言」
– コンテンツ産業を中心産業に
• 2001 年 「コンテンツ・コリアビジョン 21」– デジタルコンテンツ産業発展を目的に 2 年間で約 600 億円の資金投入
• 2009年 韓国コンテンツ振興院設立14
15※http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/kisoshiryo.pdf
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日本のコンテンツは世界で人気
• 例:ポケモン
– 関連ゲームソフトの累計販売数:全世界で2億7,700万本以上(2015年9月末)
– カードゲーム11言語74の国と地域累計出荷枚数:全世界で215億枚以上(2015年9月末)
– アニメ放送累計93の国と地域
– 映画興行収入:約767.2億円(2016年1月末)
– 全世界における累計市場規模:4.6兆円以上(2015年9月末)
• 国内46%、海外54%
https://www.pokemon.co.jp/corporate/data/ 17
高まる関心:JAPAN EXPO
18http://www.japan-expo-france.jp/jp/actualites/2016japan-expo-pr_103939.htm
外国人観光客2000万人時代
• この10年で3倍強
19http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html
批判
• 「クール」なのか?
– 自画自賛?
• 「ジャパン」なのか?
– むしろ無国籍だから受けた
• なぜ政府が関与?
– お役人にはわからない
• 効果あるのか?
– 実際にビジネスにつながるか
不毛な批判に終始していても意味がない検証を経て次の段階へ
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自分で言うか?
それ日本的?
大ヒット確実!
「クールジャパン」ということば
• 海外ではあまり知られていない
21※Googleトレンド
22nippon.com
「クールジャパン」は誰のため?
• 海外では知られていない
– どこでも「ニッチ」
• 主に国内向けのメッセージ
– では国内の誰?
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日本すげー
元気もらった
産業政策は有効?
• 産業育成のための政策的支援は狙った成果を挙げない場合が少なくない
– もともと競争力のない産業への支援
– 非効率を温存する政策
– 支援先選定の失敗
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大ヒット確実!
補助金よこせ
「2000万人」のその先
• 英仏に匹敵する規模をめざす
– 英3400万人(2014)– 仏8400万人(2014)
25※「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」資料
「爆買い」から「体験」へ
• 昨年の訪日外国人観光客1973万人のうち中国人訪日客は499万人
• 使用金額3兆4771億円の約4割になる1兆4174億円が中国人観光客
• 買い物から「体験」へ
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「日本」を売る
• 個別製品・サービスではなく「体験」「生活」
• 「一部だけクール」ではだめ
• ではその「日本」を担うのは誰か?
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「クールジャパン」を再定義する
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「誰かのクールジャパン」から「私のクールジャパン」へ
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「オールジャパン」ではない
• 差が出るのはやむを得ない
– ×「ジャパン」は「クール」
– ○「クール」な「ジャパン」を発信
• でもまとまることは重要
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「ジャパン」とは何か
• 国籍?場所?
• 日本人だけのものではない
• 日本にしかないものではない
• 国技館・講道館・ウィンブルドン
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「羽ばたくグローバル」から「街角のグローバル」へ
32支える人材の必要性
GNC → GDC → GJC• Gross Domestic Cool
– 国籍にかかわらず日本で活躍してもらう
– 経済の国際化により、国の経済規模を語る指標がGNPからGDPへ変化したのと同じ
– 日本では世界最高水準の「cool」を楽しめる
• Gross Japanese Cool– 国籍にかかわらず世界で日本型の商品・サービスが定着
– 世界の「cool」の「中心地」に
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メディアの役割
• ネットの発達で「地方」「小さい」のデメリットが減少
– 世界中の「ニッチ」が結ばれる
– 「直接つながる」ことが重要に
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各回の講師
• 5/30 山口によるイントロダクション
• 6/ 6 橋本直樹氏
– 経済産業省
• 6/13 山田太郎氏
– 参議院議員
• 6/20 湯下健一氏
– ㈱海外需要開拓支援機構
• 6/27 古賀鉄也氏– 角川コンテンツアカデミー
• 7/ 4 近藤千草氏– 株式会社くるり
• 7/11 政府観光局
• 課題授業(日程未定)
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7月4日着物・浴衣デ―
• できるだけ着物・浴衣で受講してください
– 作務衣・甚平も可
• 授業への積極的参加としてご協力ください
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ではよろしくー
URL: http://www.h-yamaguchi.net/
Twitter: @HYamaguchi
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