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1 # 2013-06-06 15:35-15:50 15min. 海外の動向について少しお話させて頂きます。

20130606 Open Access Summit 2013

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2013年6月6-7日に開催されたオープンアクセス・サミット2013( http://www.nii.ac.jp/irp/event/2013/OA_summit/ )での発表原稿です。

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# 2013-06-06 15:35-15:50 15min.

海外の動向について少しお話させて頂きます。

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まず、現在、世界でどのくらいの数の機関リポジトリがあるのかを見ますと、

OpenDOAR には 1,900 弱

===== memo

http://www.opendoar.org/find.php?format=charts

Disciplinary(分野別)等も含めた総数は 2,281

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ROAR には、約2,200 登録されています。

===== memo

NIIの統計 http://www.nii.ac.jp/irp/archive/statistic/irp_2013_statistic.html

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機関リポジトリのコンテンツの存在感は増しています。

従来より、リゾルバのリンクターゲットとなることで、各種文献データベースからリポジトリに登録されている本文へつなぐサービスを多くの機関が提供してきましたが、

昨今各機関で導入が進んでいるディスカバリ・サービスでも、機関リポジトリのコンテンツがデータベースの収録対象として採用されており、発見可能性がさらに高まっています。

また、商用データベースからリポジトリへコンテンツ提供の便を図る取り組みも見られるなど、ベンダー側からも、リポジトリはコンテンツとして大きな価値を持つとみなされています。

===== memo

SFX:AIRwayやJAIROに対応

AIRway http://airway.lib.hokudai.ac.jp/index_ja.html ※参加募集対象IRは全アイテムが本文を持つIR

リンクリゾルブ例:QUT、IRDB、PMC等 http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?AIRway%2Ftargets

文献DB(医中誌)→リゾルバ(SFX)→JAIROの図の例(名古屋市立大学):http://www.nagoya-cu.ac.jp/secure/7118/sfx.pdf

Ex Libris社SFXにJAIROが含まれることの案内(2009年3月号) http://www.usaco.co.jp/u_news/un2fc193.html#2

http://www.ebsco.co.jp/e-solution/eds_news/JAIRO.html

http://www.exlibrisgroup.com/?catid={916AFF5B-CA4A-48FD-AD54-9AD2ADADEB88}&itemid={A3932128-A7AC-4531-BA72-7076C9F5041F} ※申請制

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http://www.librarytechnology.org/ltg-displaytext.pl?RC=17845

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では、その利用されている機関リポジトリの、中味はどうなっているか?理念の一つに掲げたオープンアクセスの進展状況はどうなっているか?を見てみます。

STM Reportの2012年版は、2011年に出版されたSTM分野の論文約180万本のうち、機関リポジトリにセルフアーカイブされた論文は約10-12%だったとしています。

===== memo

http://www.stm-assoc.org/2012_12_11_STM_Report_2012.pdf

cf.) STM分野全雑誌(約28,100タイトル)中、OA誌は28%

*IRはSTM論文以外も含

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そのSTM分野の論文約180万本のうち、国別シェアを見ると日本は約6%を占めており、11万本弱を生産しています。

一方、日本の機関リポジトリに登録されている学術雑誌論文は、現在約19万本ありますが、出版年が2011年のものは8,000本弱でした。これは日本語論文も含めた数です。

よく言われるように、日本の機関リポジトリのコンテンツの多くは紀要論文で、そのコンテンツとしての価値や電子化の意義はもちろん大きいのですが、

リポジトリの理念の一つである学術雑誌論文のオープンアクセスはあまり進展していません。

===== memo

IRDB (2013-04-30) *N=1,156,595

Journal Article(学術雑誌論文) 187,708 (16.2%)

Thesis or Dissertation(学位論文) 49,593 (4.3%)

Departmental Bulletin Paper(紀要論文) 596,961 (51.6%)

JAIRO 種別「学術雑誌論文」、「本文あり」、出版年「2011年」でカウント:7,830件 ※日本語論文を含んだ数

cf.) JST国内収集誌の電子化状況 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/56/2/56_93/_html/-char/ja/

9639誌のうち、電子化率48%。学協会の学術誌・学会誌の電子化率は 60%(J-STAGEにおける電子化の推進の影響)。

“2008年に行われた学術出版社協会(Association of Learned and Professional Society Publishers: AL

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PSP)の調査によれば,欧米を中心とした主要な出版社における科学技術系ジャーナルの電子化率は96.1%である。また中国の科学技術雑誌は2008年には6,082誌であり,電子化し流通している状況6)から見れば,中国における科学技術資料の電子化率は,100%に近いと予測される。これらと比較すれば,本調査の対象となる国内資料の電子化率は未だ低い状態である。”

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紀要リポジトリでも十分という意見もありますが、学術雑誌論文のリポジトリ登録が進まない状況を改善することはできないのでしょうか。

出版者の登録許諾方針を見てみると、リポジトリに登録可能な論文数自体は多く、

SCOPUSに採録されている、2010年に出版された論文について見てみると、出版者トップ100によるものが68%を占め、そのうち81%が登録可能だった、との報告があります。

===== memo

Bjork, Laakso, Welling and Paetau (2013), Anatomy of Green Open Access, accepted in Journal of the American Society for Information Science and Technology

http://www.openaccesspublishing.org/apc8/

data covering over 18,000 journals and 5900 publishers obtained from the Scopus index (Laakso 2013)

68% x 81% = 55.08%

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国内についても、

機関リポジトリへの登録を許諾する学協会誌は多いにも関わらず、実際にはほとんど登録されていないとの報告がなされています。

===== memo

・2000年~2009年の日本の学協会誌掲載論文を調査したところ、機関リポジトリに収録されていたのは1.8%、さらに学内学会誌を除くと0.9%だった。

・また、約45%の論文が収録を許可されていたが、それらの論文でも実際に機関リポジトリに収録されていたのは2.6%、さらに学内学会誌を除くと1.3%だった。

*国内学会誌は、J-STAGE等で無料公開している例も多い。

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このように、セルフアーカイブによるオープンアクセスが低調な中、

イギリスでは、オープンアクセス実現の手段として、発展著しいオープンアクセスジャーナルを重視する方針も打ち出されました。しかし、これに関しては、各所から懸念も表明されています。

例えば、Oxford大学では、支出が最悪350%増になるとの予測が出されたように、研究志向の大学ではAPCの負担が大きく増加するのではという懸念があります。(http://www.timeshighereducation.co.uk/420392.article)

また、RCUKのポリシーについては、セルフアーカイブへの悪影響、つまり出版者が自らの利益となるようポリシーを変更する誘因となる可能性も指摘されており、実際、Springerでは、機関リポジトリへの登録許諾方針について、それまで設けていなかった12か月のエンバーゴを設けると変更しています。(http://aoasg.org.au/2013/05/23/walking-in-quicksand-keeping-up-with-copyright-agreements/)

オープンアクセスのためのコストモデルについては様々な議論がなされていますが、

セルフアーカイブを推進するHarnadらは、登録を義務化することで、Greenオープンアクセスはもっと成果を上げることができると主張しています。(Gargouri et al.(2012) Testing the Finch Hypothesis on Green OA Mandate Effectiveness, Open Access Week 2012)

===== memo

Finch report (正式名称:Accessibility, sustainability, excellence: how to expand access to research publications): 2012年6月17日 英国研究情報ネットワーク(RIN)発表

英国研究会議(RCUK)のOA方針(2013年4月1日~適用): RCUKの助成を受けた研究成果について、OA誌出版>IR でのOA義務付け

出版者のポリシー変更はイギリスだけでなく各国への影響も大きい

Green OAの達成率は出版者に大きな影響力を持つ

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現在、機関リポジトリは一定の成果を挙げていますが、機関の教育・研究成果の可視性・アクセス性を高めるためにも、コンテンツの数・種類を一層充実させることが必要ではないかと思います。

研究成果の中でも重要な位置にある学術雑誌論文の捕捉率を高めながら リポジトリを推進していくために、どのような取り組みが考えられるか。

研究者のオープンアクセスや機関リポジトリへの理解を深めるための活動はどんな時でも必要ですが、

さらにリポジトリと研究者の距離を近づけるための環境を整えていくこと、

研究者の負担を軽減しながら、関心に合致する機能を持たせ、研究者にとって、リポジトリがなくてはならない存在、インフラとなるよう、機関として戦略的に推進していくこと、

が必要ではないかと思います。

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Greenオープンアクセスを進めるために、海外ではどのようなことが行われているか、いくつか見ていきます。

ひとつが制度の整備です。日本ではまだ少数ですが、機関や研究助成機関による、研究成果のオープンアクセス推進/義務化が世界的に進んでいます。

===== memo

ROARMAP: Registry of Open Access Repositories Mandatory Archiving Policies

http://roarmap.eprints.org/

Institutional Mandates (169) Proposed Institutional Mandates (6)

Sub-Institutional Mandates (37) Proposed Sub-Institutional Mandates (4)

Multi-Institutional Mandates (4) Proposed Multi-Institutional Mandates (7)

Funder Mandates (80) Proposed Funder Mandates (12)

Thesis Mandates (102)

Cf. 日本の学位規則改正も登録されている。

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特に昨今、助成機関によるオープンアクセス義務化が増えており、その動向がオープンアクセス・機関リポジトリの今後の展開の鍵を握っています。

日本でもこの4月にJSTがオープンアクセスを推進していくという方針を発表したところです。

各研究助成機関の世界的な協調が進んでおり、出版物のオープンアクセスをどのように進めていくか、が議題にも上がっています。

===== memo

cf.) Funder policies http://www.biomedcentral.com/funding/funderpolicies

Grobal Research Council: 2012年5月設立

Action Plan towards Open Access to Publications http://www.dfg.de/download/pdf/dfg_magazin/internationales/130528_grc_annual_meeting/grc_action_plan_open_access.pdf

This plan consists of the following 14 points:

1. Tackle the perception of open access by publicizing success stories

2. Collect and document best practices for rewarding the provision of open access

3. Organise awareness-raising workshops on open access publishing, especially in developing countries

4. Encourage publishers to further develop open access models

5. Develop an integrated funding stream for hybrid open access

6. Monitor and assess the affordability of open access

7. Work with scholarly societies to transition society journals into open access

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8. Supporting self-archiving through funding guidelines and copyright regulations

9. Negotiate publisher services to facilitate deposit in open access repositories

10. Work with publishers to find intelligent billing solutions for the increasing amount of open access articles

11. Work with repository organisations to develop efficient mechanisms for harvesting and accessing information

12. Explore new ways to assess quality and impact of research articles

13. Develop and explore mechanisms to assess the impact of the GRC's support for open access

14. Periodically review how the implementation of the Action Plan is evolving

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登録義務化の話に戻ります。

ただし、リポジトリへの登録を義務化さえすれば、任意の場合と比較して登録率が劇的に伸びる、といったことはありません。

イギリスでは3分の1の大学が登録を義務化しているが、登録率は40%程度、という報告がされています。

===== memo

Xia et al. A Review of Open Access Self-Archiving Mandate Policies, Libraries and the Academy, Volume 12, Number 1, January, 2012, pp. 85-102

IRでは登録義務化により半数以上でコンテンツ増加につながったとの調査結果。

義務化例:University of Liege, Harvard, MIT, the Royal Netherlands Academy of Arts and Science, Ghent University, University of Minho, and Queensland University of Technology etc.

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つまり、登録義務化は、機関の方針を示すものではありますが、その実効性を上げるための取り組みがあわせて行われる必要があります。

その取り組みは研究者の関心に合致していなければ、機能しません。

業績評価と関連付ける、登録数に応じて財政的支援を行う、学位論文の登録を修了要件とする、遵守しない場合は制裁措置を課す、といった実践例があります。

また、登録義務化について議論することは、機関全体で適正な学術情報流通のありかたについて考える契機にもなるかもしれません。

===== memo

European Commission has clearly stated its intent to mandate Open Access of publications for the research it funds in its Horizon 2020 programme. As well, earlier this year, the Obama Administration announced that Federal agencies spending more than $100M in Research & Development must make the results of the research they fund freely available within 12 months of publication.

NIH PMC 遵守率75%

ルクセンブルク大学:

http://current.ndl.go.jp/node/23392

2013年4月15日、全構成員に対し、研究成果のリポジトリ登録を義務化する方針を発表。対象は2009年1月1日以降に構成員が公表した出版物で、査読論文・会議録掲載論文については全文の登録が、それ以外については書誌情報の登録が求められる。2014年1月1日以降には、リポジトリに登録されていない情

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報を学内での業績評価等に用いない。

2013-05-10時点 846 references in ORBilu (489 with full text) <=全文登録されていても即時OAでない学内限定のものも多い。著者にメールコンタクトとれるようになっている。"Request a Copy"

ROAMAPでは、Thesis Mandates (102)

NIH

http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2013/01/008074.html

Wellcome Trust

http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2012/07/007459.html

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コンテンツの登録者についても複数のアプローチがあります。

日本では代行登録が多いように思いますが、イギリスでは、研究者や部局の入力をベースに、リポジトリスタッフが一部代行登録する形が多いようです。

研究者自身によるセルフアーカイブを目指しつつ、しかしその負担を軽減するための取り組みも行われています。

===== memo

Fully - repository staff create records, add all the metadata, check copyright and upload full text where appropriate

Partially - people other than repository staff (e.g departmental administrators, researchers) create records and then these are checked by repository staff (e.g. checking copyright)

None - people other than repository staff create records and make them live

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例えば、マサチューセッツ工科大学では、コンテンツの収集・登録についてシステマティックなワークフローシステムを構築していますが、出版者代行登録も利用しています。出版者代行登録のサービスを提供しているBioMed Central社では、SWORDによる機関リポジトリへの転送を行なっており、収集・登録作業の負

担軽減につながります。出版者からファイル入手できないものについては著者にファイル提供を依頼しています。

===== memo

ワークフローシステムについては、日本でも九大・一橋大等によるプロジェクトがあり。

Mathew Willmott and Ellen Duranceau (2011), Implementing an Open Access Policy: Building the Workflow to Identify and Gather Content, Berlin 9 conference

http://www.berlin9.org/bm~doc/berlin9presentation_willmott_duranceau_2.pdf

Ellen Finnie Duranceau and Sue Kriegsman (2013), Implementing Open Access Policies Using Institutional Repositories. In The institutional repository: Benefits and challenges, ed. Pamela Bluh and Cindy Hepfer, 75-97. Chicago: American Library Association

http://www.ala.org/alcts/sites/ala.org.alcts/files/content/resources/papers/ir_ch05_.pdf

出版者代行登録:BioMed Central, SpringerOPEN, Hindawi(予定)

BioMed Centralは、会員機関向けサービス。 http://www.biomedcentral.com/download/gateways/japanese.pdf 最終稿の PDFファイルを(メタデータのサポートとともに)自動的に適切な機関リポジトリに転送できる。

Elsevier, Nature Publishing Groupは、著者が登録義務を遵守するためのサポートとしてPMCやEuropePMCへ代行登録。研究助成機関からOAにするための資金を得る。NPGはIRへのサービス拡大も検討と5年位前から言っている。

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* IRに拡大した場合のコスト回収は?

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また、コンテンツを収集・登録するための取り組みの一つとして、分野別リポジトリに登録されたコンテンツを、再度機関リポジトリに登録する手間をかける必要がないよう、機関リポジトリに自動転送する仕組みも検討されています(JISCが支援するプロジェクト"Repository Junction Broker")。

===== memo

"Repository Junction Broker" RSP webinar

http://rsp.ac.uk/events/the-repository-junction-broker-a-tool-to-automate-delivery-of-research-output-to-institutional-repositories/

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コンテンツ収集のための、また異なるアプローチとして、電子ジャーナルやデータベースのライセンシングにオープンアクセスに関する条項を含める、という取り組みもあります。

対象ジャーナル掲載論文をセルフアーカイブ可能とするとともに、自動登録の仕組みも検討されているそうです。

このように、セルフアーカイブを推進するための方策とともに、著者の負担を軽減しながら機関リポジトリのコンテンツを充実させるための様々な試みが行われています。

===== memo

ジャーナル数はそれほど多くない。

http://current.ndl.go.jp/node/21076

自動登録の仕組みも検討されている模様。

http://liber.library.uu.nl/index.php/lq/article/view/8055/8536

http://orbi.ulg.ac.be/homenews?id=58

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リポジトリ推進の取り組みとして、リポジトリと、研究者や論文に関連する情報・システムとの連携も見られます。

研究情報管理システムとの連携を筆頭に、外部の評価情報との連携、助成情報(助成機関からの要請による)の入力、等、各研究成果や研究者に関する情報やパフォーマンスを集約して示す動きが見られます。

いずれにしても、機関リポジトリが、機関の中で独立・あるいは孤立したシステムではなく、研究者の研究活動や大学の運営と結びついたシステムになることで、大学のインフラへとなりえると言えます。

===== memo

総覧へのリンクは日本でもよく見られる

信州大学の視認度評価分析システム http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/rvas-dept/mainmenu

IRとWoSの論文別統計/論文数(研究者総覧登録数、IR登録数、WoS収録数)、被引用数など

佛教大IR:「被引用情報」のタブが各コンテンツにあり

Altmetic社が無料サービス提供: http://altmetric.com/blog/altmetrics-in-academic-libraries-and-institutional-repositories/

IR x Gold OA

http://www.goldoa.org.uk/the-pi-warrior-and-the-bag-of-gold-oa-metadata-university-accounting-practice/

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研究情報管理システム(CRIS)とリポジトリとの統合運用に関しては、

イギリスのRSPの調査結果によると、回答のあった82機関のうち、62機関で、統合済・実装中・計画中と何らかの形で統合運用が進められていました。

CRISの中でも導入例の多いSymplectic Elementsでは、スライドに挙げたような、

研究者の日常の活動としてリポジトリ登録を促進するための仕組みが見られます。

機関における研究成果物の管理とその収集とが一体となって行われていると言えます。

===== memo

日本でも研究者情報データベースとIRとの連携の例あり。

CRIS-IR 英国での導入事例:http://bit.ly/Tw2q6I

Symplecticのほか、Pure(http://www.atira.dk/en/pure/)、Converis(http://www.avedas.com/en/converis.html)

Symplecticは、2012.11時点で、英国では研究大学の45%にあたる24大学で導入済とのこと。

Symplectic Elementsの画面から機関リポジトリへ本文ファイルを登録することができる機能:研究者は、本文ファイルをアップロードする権限を他者に許可することができる(delegate)。←つまり、研究事務の方や秘書が代行できる。

http://www.symplectic.co.uk/assets/pdfs/JP-Elements-productsheet.pdf

RSP調査(2013.3update) http://www.rsp.ac.uk/pmwiki/index.php?n=Institutions.Summary

- Is your repository integrated at all with university research management systems?

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Already integrated 12 14.6%

Partially - in the process of implementation 26 31.7%

Planned but not in progress 24 29.3%

No plans at the moment 20 24.4%

TOTAL responses 82

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画面は、機関リポジトリと外部の論文データベースとの連携の例です。

左は、論文ごとに、それがどのような評価を受けているか、リポジトリ上のダウンロード数だけでなく、SCOPUS, WOSにおける被引用数の情報もあわせて表示されている画面です。

なお、このリポジトリはメタデータのみのコンテンツもあり、右は、著者ごとに、登録コンテンツの本文登録率・そのOA率も表示されている画面です。

(Ex. http://eprints.qut.edu.au/1352/)

==== memo

Cf. オーストラリア Universities Australia “An Agenda for Australian higher education : a smarter Australia 2013-2016”

http://www.universitiesaustralia.edu.au/resources/792/1549

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別の機関では、

先ほどの例(QUT)と同様に、論文ごとに、外部のデータベースにおける被引用数の情報のほか、掲載誌のImpact Factorや、助成情報も表示し、

論文ひいては大学がどのような資金を元にどのような研究成果を上げ評価を受けているかを示しています。

また、上部タブにあるように、研究者情報、成果物情報、学位論文、助成情報、特許情報等、大学の知的生産に関連する様々な情報が1つのサイトに集約されています。

http://hub.hku.hk/handle/10722/151680

===== memo

DSpace-CRIS(2012-11 dspace-general ML)

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研究者ページでも、論文数や被引用数など外部の統計を一覧させています。

また、研究者同士のつながりを、共著関係やキーワード等からビジュアライズする機能も備えています。

http://hub.hku.hk/rp/rp00427

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このほか、日本でも実装例がありますが、一般的な文献データベースが備えているような機能を機関リポジトリに持たせることで、研究者の研究活動にとってのリポジトリの有用性を高める取り組みも行われています。

===== memo

日本の対応例:京都大(リゾルバー、RefWorks、SNS)、小樽商大(検索結果)(EndNote、BIBTEX)、北大・静岡大・千葉大(SNS)、佛教大(RefWorks・Mendeley)、JAIRO Cloud(BIBTEX等)等

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リポジトリ推進のためのアプローチとして、リポジトリをどう位置付けるか、のスタンスも挙げられると思います。

ヨーロッパやオーストラリアでは、リポジトリを研究成果データベースとして用い、メタデータのみ登録していることも多く、イギリスの本文登録率は約50%との調査結果もあります。

===== memo

日本でも、本文が現時点で非公開のコンテンツやメタデータのみのコンテンツも登録する機関あり。

Ex.) 東工大、山口大、徳島大、佛教大、長崎大・金沢大(エンバーゴ)等

http://irdb.nii.ac.jp/analysis/index.php

http://www.rsp.ac.uk/pmwiki/index.php?n=Institutions.Summary (2013.3update 回答機関数88)

http://rspproject.wordpress.com/2013/03/25/rsp-institutional-repositories-summary-data-an-update/

RAE (Research Assessment Exercise)

英国の、高等研究機関に対する研究助成金配分の根拠となる、研究評価の仕組み。

後継がREF (Research Excellence Framework)

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所属者に対して、全出版物の登録を義務付けているリエージュ大学は、Greenオープンアクセスの優良事例とされています。登録コンテンツの種別内訳の円グラフを見ると、日本のそれとは大きく異なっています。

登録されている本文は、即時オープンアクセスのもの・エンバーゴのもの等、公開度は多様ですが、捕捉率の高さとそれが導くオープンアクセス達成度の高さ、機関の研究成果の一覧性と可視性の高さが、際立っています。

さらにリポジトリ上で即本文入手できなくても、メールリクエスト等で本文を入手するための別の手段を用意し、機関の成果物を発見・入手するためのポータルの役目を果たしています。

===== memo

cf.)欧州委員会(EC)の研究開発プログラムFP7で助成を受けた研究成果は各機関または主題別リポジトリに登録・公開。OpenAIREの統計(2013-05-12 https://www.openaire.eu/en/component/openaire/stats/default/393)では、助成を受けた研究成果の総数は 41,820、うちOA(green or gold)は 16,395(≒40%)、embargoが 25,291(≒60%)。これまでの助成額は550 Mユーロ(http://ec.europa.eu/research/infrastructures/index_en.cfm?pg=mapri)

・本文率の高低は母数次第。日本は本文登録率は高いが、課題は雑誌論文についての捕捉率の低さ。

・メタデータのみ=論文の存在の可視性は向上→ 本文へのアクセス要求が強まり登録を促すことになる可能性もあるか

・リエージュ大学: http://initiatives.exlibrisgroup.com/2013/05/a-mandate-for-open-access-university-of.html

・著者へのメールリクエスト機能: Harnadの主張

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国際連携組織であるオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)が打ち出している戦略的方向性は、各リポ

ジトリが今後取り組むべき課題といえますが、大きくまとめると、リポジトリを学術情報インフラの重要な要素と位置付け、そのポテンシャルをもっと高めていくことが重要との認識が示されています。

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最後に、私見をまとめます。

1つ目。話の中で何度か触れたイギリスではJiscが理念や技術面を主導する形で機関リポジトリが発展し

てきたのに対して、日本では財政支援を受けつつコミュニティが主導する形で機関リポジトリが発展してきました。が、日本でも政策レベルでもオープンアクセスの促進・機関リポジトリの活用の方針が打ち出されてきています。

各機関でも、機関として、なぜリポジトリを持つのか、その目的はどの程度果たされているか、大学の運営において今後どのように展開させていくか、あらためて全体の意識共有(、さらに可能ならポリシーの制定)を行う必要があるのではと考えます。

2つ目。機関リポジトリの目的・役割は一様ではありませんが、

研究・教育成果の発信・可視性向上、社会への説明責任については一定の成果を収めてきました。しかし捕捉率は十分ではないと思います。

また、コスト効率性は機関によって異なるとはいえ、全てのジャーナルをオープンアクセスジャーナルに転換できるわけではありません。学術情報流通のステークホルダーとして、Green オープンアクセスにも一層

取り組んでいく必要があるのではないか、そのためには、研究者の負担を軽減しながら機関リポジトリへの障壁を低くしていくための様々な対策を取る必要があるのではないか、と考えます。

他のシステムやサービスと連携させながら、その機関の研究・教育・運営のインフラとして機能させることで、当たり前にオープンアクセスも実現できていけたら、と思います。

また、研究データや教育資源のオープンアクセスを求める動きも高まっていますが、共通の理念を持つこれらの動きと協働しながらオープンアクセスの普遍化に取り組んでいくこと、機関リポジトリコンテンツの再利用ニーズへの対応策を検討していくこと、も今後は必要ではないかと考えます。

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発表は以上です。

===== memo

IRだけでなくOA全体について、コスト効率性を考えながら、方針を打ち出すべき。

cf.) University of Manchester http://www.openaccess.manchester.ac.uk/

月刊DRF 39号

UK マンチェスター大学: “現存しているIRに出版機能を加えたものでOAのサポートをしていきたいと話していました。たとえば、編集機能の強化、コンテンツ登録の為のwebフォームの構築、テキストのハーベスト等です。”

研究データの登録・公開を義務付けるジャーナルが増えてきているが、日本の図書館側からの反応はあまり見えない。データリポジトリ自体は増加してきているが。

Australia

ANDS:Australian National Data Service http://www.ands.org.au/ オーストラリアの研究データのアーカイブ。共有と再利用を促進。

[再利用] ex. 英MERLINプロジェクト

IRコンテンツのテキストマイニングによるキーワード抽出とその重み付け→主題特化した検索インターフェイス

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