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看護師特定能力 シミュレーション演習(救急分野)のデザ インと評価 獨協医科大学越谷病院救命救急センター 池上敬一 130119

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看護師特定能力

シミュレーション演習(救急分野)のデザ

インと評価

獨協医科大学越谷病院救命救急センター池上敬一130119

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看護師の資格

看護師国家試験

看護+「診療の補助」を行なう

認定看護師(特定看護師の前提条件)

日本看護協会の認定看護師認定審査

水準の高い看護実践・看護師の指導

特定看護師(特定能力を修得した看護師)

未定(厚労省が認定した研修を修了する)

包括的指示により特定(医)行為を行なう

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なぜ看護師特定能力を養成するのか?

● 厚労省は「チーム医療」の一環としている

● 実際には看護師が医師の指示のもとさまざまな

行為を行なっている

● 医師不足

● 研修医2年目程度の看護師医師がいるとよい

● 米国では医師補助などの資格・職業がある

● 日本医師会は慎重

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医 師

医師しか行なうことができない行為

医師を頂点とする医療体制

医師が看護師に「診療の補助」を

実施するように指示

患者ごとに指示

包括的指示に従い、特定看護師が特定行為を

実施する

包括的指示

包括的指示に従い、救急救命士が特定行為を

実施する

包括的指示具体的指示

医 師

メディカル

コントロール

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看護師特定能力の分野

● 救急分野

● 皮膚・排泄ケア分野

● 感染管理分野

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学習者特性と基本的な課題

● 学習者特性

○ 救急認定看護師として経験がある

■ 水準の高い看護実践・看護師の指導

■ 基本的な知的スキルがあり、手技ができる

○ 動機がある

● 基本的な課題

○ 新たな職種ではない

○ 業務内容は病院により異なる

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特定看護師の自施設での位置づけ

● 救急分野・試行錯誤

● 「医師ではない」「看護師でもない」

○ 思考過程は医師(看護師ではない)

○ 制限付き自己裁量権(医師ではない)

● 救急分野の特定看護師の勤務状況

○ 救急医と連携し、報告・連絡・相談を密に行なう

○ 施設でのプロトコールに従って活動する

○ 活動の場は救急外来(ER)

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看護師特定能力養成・実施過程

公益社団法人 日本看護協会 看護研修学校

8ヶ月課程 調査試行事業 実施課程・救急分野

カリキュラム(受講者 7名)

講義:165時間

シミュレーション演習:30時間

病院実習:135時間

OSCE評価

認定

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シミュレーションによる

救命救急処置演習

1.酸素療法の実施の決定と評価

2.エスマルヒ、タニケットによる止血処置の実施の決定と評価

3.異物による気道閉塞患者の器具を用いた異物除去(喉頭鏡、吸引、マギール鉗子)の実施の決定と評価

4.緊急の除脈や心停止に対する体表電極(経皮的)ペーシングの実施の決定と評価

5.けいれんに対する静脈路確保と薬剤投与(ジアゼパム注射液)の実施の決定と評価

6.気管支喘息患者の薬液吸入療法(塩酸プロカテロール、サリブタモール硫酸塩、クロモグリク酸ナトリウム

等)と静脈路確保の実施の決定と評価

7.誘導心電図でST上昇を認める患者の薬剤投与(アスピリン、クロビドグレル)の実施の決定と評価

8.低血糖に対するブドウ糖静脈注射の実施の決定と評価

9.アナーフィラキシー・ショックに対する薬剤投与(エピネフリン)の実施の決定と評価

10.心停止に対する静脈路確保と輸液、薬剤投与(エピネフリン)の実施の決定と評価

11.動脈血採血

12.気管挿管、除細動の実施の決定、実施および評価

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救急分野・看護師特定能力

● 総合救急診療パスを用いて個々の患者の問題

解決プランを策定できる

● 特定行為を安全・確実に実施できる

● 医師と良好なコミュニケーションをとることができ

● 業務を終了することができる

● 業務の振り返りにより能力を向上できる

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救急分野・看護師特定能力

シミュレーション演習のゴール

● 総合救急診療パスを用いて個々の患者の問題

解決プランを策定できる

● 特定行為を安全・確実に実施できる

● 医師と良好なコミュニケーションをとることができ

● 業務を終了することができる

● 業務の振り返りにより能力を向上できる

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医療における知的スキルの階層構造

医師の場合

基礎医学解剖、生化学、分子生物学、生理学、病理学、薬理学・・・

臨床医学内科学、外科学、小児科学、整形外科学、救急医学・・・

1−4年

臨床実習患者を対象に疾患を学ぶ

内科

臨床実習患者を対象に疾患を学ぶ

外科

5−6年

臨床研修 患者:初期観察

疾患A?、疾患B?、その他?

疾患Nを選択:ガイドライン

疾患Nを選択:治療プラン

患者:初期観察

意識障害、ショック、VF

とりあえずの処置

患者の問題解決策立案

この知識構造は、ガニェの学習成果の分類?

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デザインとインストラクションで

活用したモデル・方法

● メリル「ID第一原理」

● ケラー「学習意欲の第一原理」

● ガニェ「9教授事象」

● パリッシュ「ID美学第一原理」

● ibstpi「インストラクター・コンピテンシー」

● タイム・アウト

● デブリーフィング「プラス&デルタ」

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学習エイド

● 総合救急診療パス

● 臨床推論シート

● 報告シート(SBAR)

● 心停止のパスウェイ

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シミュレーション演習・56シナリオ

● 1月7日(月)

○ 11:00-12:00 総合救急診療パスの使い方デモ

○ 13:00-16:30 ペーパーペイシェントで演習、7本

● 1月8日(火)、9日(水)、10日(木)

○ 9:30-16:30 シミュレーション、14シナリオ/7名

● 1月11日(金)

○ 9:30-12:00 シミュレーション、7シナリオ/7名

○ 12:15-12:45 振り返り

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シミュレーションの概要 1

● 救急外来(Emergency Room: ER)

○ 患者は独歩来院または救急搬送

● 学習者は知的スキルを駆使し、総合救急診療

パスを活用し診療の責任範囲を終了する

○ 包括的指示の範囲を逸脱するとき

○ 包括的指示の範囲で業務を終了するとき

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シミュレーションの概要 2

● 学習者

○ タイムアウト・アドバイスを要求できる

● インストラクター

○ タイムアウトを宣言できる

● デブリーフィング

○ プラス:学習目標のうちできたことを述べる

○ デルタ:改善すべきこと、具体的な改善策を述べる

● 見学者を含めて質疑

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ビデオ:シミュレーション

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ビデオ:インタビュー

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デザインとインストラクションで

活用したモデル・方法

● メリル「ID第一原理」

● ケラー「学習意欲の第一原理」

● ガニェ「9教授事象」

● パリッシュ「ID美学第一原理」

● ibstpi「インストラクター・コンピテンシー」

● タイム・アウト

● デブリーフィング「プラス&デルタ」

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メリルのID第一原理

1. 現実に起こりそうな問題に挑戦する(Problem)

2. すでに知っている知識を動員する(Activation)

3. 例示がある(Tell meでなくShow me)

4. 応用するチャンスがある(Let me)

5. 現場で活用し、振り返るチャンスがある

(Integration)

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ケラーの「学習意欲の第一原理」

1. Attention:面白そう

2. Relevance:やりがいがある

3. Confidence:やればできそうだ

4. Satisfaction:やってよかった

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ガニェの9教授事象

1. 学習者の注意を獲得する

2. 学習の目標を知らせる

3. 前提条件を思い出させる

4. 新しい事項を提示する

5. 学習の指針を与える

6. 練習の機会をつくる

7. フィードバックを与える

8. 学習の成果を評価する

9. 保持と転移を高める

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パリッシュのID美学第一原理

1. 学習経験にはプロットがある

2. 学習者は、自分の学習経験の主人公である

3. 教科ではなく学習活動がテーマを設定する

4. 文脈が教育場面への没入感に貢献する

5. インストラクターとデザイナーは、作者で

あり助演者であり主人公のモデルであ

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インストラクター・コンピテンシー

● ibstpi

● アメリカ心臓協会のシミュレーション・インストラ

クターコース受講の前提条件

● BLS/ACLSのインストラクションを通じて獲得さ

れる(はず・・・)

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タイム・アウトと時間旅行

● 時間を止めることができる

● 過去に戻りやり直すことができる

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プラス&デルタ

● プラス

○ できたこと

● デルタ

○ できなかったこと

○ 改善を要すること

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インストラクターの役割

● プラス&デルタまで導く

● 学習者が改善プランを策定することを

支援する

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インタビューまとめ

● IDモデル、協調学習、インストラクター・コンピテ

ンシーを応用した

● レベル1は達成、レベル2は80%程度

○ 総合救急診療パスを使える

○ ジョブを終了できる

○ SBARで報告できる

● 業務のイメージ化と実習の準備ができた

● 認知的方略の学習ができた