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KRCフィールド通信
モザンビーク・ミッションに同行して 10年振りのベトナム
経済開発部 顧問 田中秀和
ちょうど 10 年前にベトナムの市場経済化支援の一環で競争法(独占禁止法)の運用に関
するワークショップ・シリーズを 1 年間に亘って複数回開催するプロジェクトに参加した
ことがある。講師には日本の公正取引委員会の職員を招いて日本で実際に起きた事案を紹
介しつつ、行政当局での調査、立件、審査などの実務的な内容を紹介するもので、セミナー
を企画・運営しながら学ぶことの多い仕事だった。ワークショップはハノイで商業省はじめ
行政機関を対象に実施し、最終段階では民間企業を招いたセミナーをハノイ、ダナン、ホー
チミン(HCM)で開催した。当時のベトナムは既に多くの日本企業が進出し、ホテル施設
も充実しつつあったが、産業インフラの整備がまだ途上、との印象であった。先日、久々に
ハノイを訪れ、この 10 年間の発展ぶりに驚き、一方で今も変わらぬベトナムの風景にも触
れることができた。
今回のベトナム出張は、昨年から始まった「モザンビーク投資促進・円滑化能力強化プロ
ジェクト」の第三国研修同行が目的で、カウンターパートであるモザンビークの投資・輸出
促進機関(APIEX)から 4 名、商工省 1 名の計 5 名が参加した。全体で 2 週間の訪問・視
察プログラムのうち 1 週目のハノイ-ダナンの行程を担当し、2 週目の HCM 周辺訪問は石
田副総括にバトンタッチした。ハノイ入りする前の週は別件でダッカに滞在していたので、
ハノイにはシンガポール経由で昼前に着いた。ハノイ空港では新しい国際ターミナルに到
着し、ハノイ市内への道は 2 年前に開通したという片側 3 車線の高速道路になっていた。
ダッカから直行したせいか、まるで先進国に来たかのようだった。
空港―ハノイの高速道路(紅河を渡る)
ハノイ市内オペラ座界隈
(掲載写真は全て筆者が撮影)
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今回、ベトナムを第三国研修先にしたのにはいくつかの理由がある。研修の狙いはモザン
ビークの今後の投資促進活動の参考にアジアで特に日本企業が活発に進出し、経済発展の
テコになっている国の投資促進政策および促進活動を学ぶことだ。ベトナムはこの条件に
合致し、かつ石油ガス資源を持ち、南北に長い海岸線があるなどの類似点がある。モザンビ
ークは以前社会主義体制下にあったが、歴史的に両国間の交流は活発で、2012 年には相互
に大使館を開設、今年の 8 月にはモザンビークから首相を団長に投資促進ミッションがベ
トナムを訪れている。また、ベトナムの国有携帯電話会社 Viettel はモザンビークに進出し、
Movitel を運営しており、我々チームメンバーも現地では世話になっている。マプト市内に
はベトナム料理レストランが 2 か所あり、ベトナム駐在員たちのたまり場になっているよ
うだ。
このような背景があってか、ベトナム計画投資省(MPI)はじめ訪問先での受入は円滑に
進んだ。今回の訪問のアポイントの取り付け、車、ホテル、通訳などのロジ手配はチームメ
ンバー(法制度担当)である日本の大手法律事務所の弁護士がたまたま同所のハノイおよび
HCM 事務所の代表を務めていることから、これらの事務所のベトナム人スタッフを動員し
て行われたこともプロジェクトにとってはラッキーだった。
MPI での会合
ハノイ最終日の団内ラップアップ
ミーティング(右奥が筆者)
このような海外研修においては、目的である訪問視察を予定どおりこなし学ぶことが当
然、主題ではあるが、異国の風物に触れ、お土産を買って帰ることも研修員たちの楽しみで
もあり、これにさりげなく応えることも同行者の仕事だ。ハノイでは滞在の最終日の午後に
研修内容の確認とレポートのまとめ方を決めるためのラップアップ・セッションを設けた
が、幸いそのセッションが終わったあとに街に買い物に出かける時間が得られた。
どのようなものを探したいか聞いたところ、メンバーの一人から最初に「iPhone」という
要望が出た。意外ではあったが、急遽、民芸品ではなく携帯電話を扱っているショップを探
した。考えてみたら、ベトナムの輸出品目の第一位は「携帯電話および付属品」であり、生
産地で買えば安く種類も多いと考えるのももっともと思いショップに案内した。ベトナム
で扱っている iPhone は SIM カードを自由に出し入れできるモデルで、各国への出張の際
に便利そうだったので、私もつられて同じモデル(iPhone 6)を買ってしまった。現地通貨
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で 795 万ドン($361)は果たして安かったのかどうかはわからない。
もう一つ、研修団の昼食と夕食をどうするか、も重要な課題だ。今回の場合、各研修員に
は規定の日当(一人一日 4,000 円程度)を初日にドル現金でまとめて支給してあり、そのな
かから各メンバーは食事代を払う。従って、手ごろで安心できるところに案内する必要があ
った。結局、昼食は KFC やロッテリアなどのファストフード、夕食はホテル周辺でレスト
ランを探し、幸い一人当たり$10 程度で土地のベトナム人で賑わっている小さなレストラン
を見つけることができた。ハノイでは 3 日間とも同じ店に通った。(気に行ったら同じ店の
リピートが良い、店の人も親切にしてくれる)
お土産を買いに街へ
ハノイ市内は相変わらずバイクだらけ
半年ほどかけて準備した 2 週間のベトナム研修もあっという間に終わり、参加者 5 名は
予定どおり、HCM からシンガポール、ヨハネスブルグ経由マプトに発ったというメールを
先ほど受けたところだ。来月半ばのマプト出張の頃には彼らによってレポートがまとめら
れ、研修報告会を APIEX の総裁はじめスタッフの参加を得て開催する予定となっている。
参加者には訪問視察先に関する報告に加え、夫々の担当業務に関連してベトナムで参考と
なったベスト・プラクティスとモザンビークへの摘要について考察すること、今後、同様の
研修を企画する際への提言も宿題として出してある。来月はマプトでその結果を聞くのが
楽しみだ。来年はマレーシアで同様の第三国研修を検討している。(2017 年 10 月 14 日)