資料編
‐資 12‐
資料-1-3.富山県総合デザインセンター
①施設の概要
富山県の産業・地域活性のために、「デザイン」をキーワードに、「商品開発・人材育成・情報発
信」の3つの軸で県内産業等の従事者を支援する県直営の産業・工芸支援施設。
②視察を選定したポイント
デザインで県内の工芸・産業の活性化を図り、県全体の活性化を図るための様々な取り組みする
施設で本計画の取組み方針に類似することから選定した。
表 富山県総合デザインセンターの基礎情報
正式名称 富山県総合デザインセンター
所在地・連絡先 〒939-1119 富山県高岡市オフィスパーク 5 番地
TEL:0766-62-0510
開館年・月 平成 11 年 7 月
設立主体 富山県 商工労働部
運営主体 富山県 商工労働部
ヒアリング先 富山県総合デザインセンター ※所属:富山県
副所長 仁木 久司 様 / 主任研究員 平野 尊治 様
休館日 土日・祝日・年末年始
開館時間 08:30〜17:00
建築 階数:地上 2 階
構造:(鉄骨鉄筋コンクリート造)
敷地面積 約 10,087.21 ㎡
延床面積 約 1,070 ㎡
諸室の構成・
詳細面積
■1F
モックアップ工房 191.71 ㎡ 塗装室 15.63 ㎡ 3次元測定室 17.44 ㎡ ロビー・エントランス 103.20 ㎡ 事務室 113.95 ㎡
■2F
デザインライブラリー 106.46 ㎡ デザイン工房 163.80 ㎡ デジタル撮影室 16.46 ㎡ ペーパーモデル作成室 24.62 ㎡ プレゼンテーションルーム 58.47 ㎡
事業費
総事業費 ―円
〈内訳〉計画 ―円 設計 ―円 工事 559 百万円(平成 10~13 年度) 建設費:393 百万円(電気・空調・給排水含む) 設備費:166 百万円(機械・什器備品・図書) 外構工事:40 百万円
資料編
‐資 13‐
■入口 総合受付カウンタ〡産業·工芸商品作者紹介用カ〡ド什器
■隣接する富山県産業高度化センタ〡内ロビ〡をレンタルし、「富山プロダクツ」を常設展示。
■施設全景富山県総合デザインセンタ〡·高岡市デザイン·工芸センタ〡·富山産業高度化センタ〡の3団体が入居
■モックアップ工房
■デザインライブラリ〡素材サンプルなどがある
■デザイン工房 サンプル作成用の3Dプリンタ〡も設置
■ペ〡パ〡モデル制作室
■ロビ〡(富山県認定製品の展示)■デジタル撮影室カタログ等の作成用に作られた撮影室
■3次元測定室立体をスキャンするための機械
最先端の機械を利用することで製品展開を探ることが可能
資料編
‐資 14‐
③ヒアリング内容
《主な活動について》
共同研究から生まれた素材を活かした工芸技術を活用し、デザインから販路開拓まで一貫した
支援を行い従事者と二人三脚で商品を開発。
首都圏デザイナーと県内企業とのマッチング事業(H25年度)
県の独自の認定制度、富山プロダクツデザインの導入。県内で企画または製造される性能、品
質及びデザイン性に優れた工業製品を「富山プロダクツ」として認定し、これらの商品の普及
と需要拡大を図る。
■商品開発活動の成功事例
販路開拓の支援施策として、「富山プロダクツ」のカタログ製作、HP 等でも紹介する他、販売
イベント事業で見本市への出展、また独自イベントで県内外にて、富山プロダクツ商品を中心に
期間限定の販売も行う。
県内のものづくり企業を対象とした会員制の研究会を発足。会員企業を対象に、 新デザイン情
報の提供、デザイン商品開発の促進、企業間交流の促進を図る。(H25 年度は会員 25 社/年 7
回実施)
プロダクツの開発支援のために、形状のテストとして3Dプリンターなど実践的な機材を設置。
■研究開発から商品デザイン指導まで
…錫の鋳造方法に関する共同研究と商品デザイン開発
県内企業とデザインセンターが、錫の鋳造方法について共同研究を進めるなか
で、研究員より錫の曲がる特性を活かした箸置きのデザインを提案。錫製品量
産の根幹となる効率的な量産手法の共同開発と共に、今も売れ続ける。
■富山デザインウエーブ(デザインコンペ/ワークショップ)
「富山プロダクトデザインコンペティション」は、商品化を目的としたコンペとして、
30 点を超える商品化実績を持つ。(アッシュコンセプト「SPLASH」「KUSA」ほか
多数)
また、近年では、「富山マテリアルワークショップ」からも、商品化事例が増えてき
ている。(能作「KAGO」ほか多数、二上「FUTAGAMI シリーズ」等)
■越中富山お土産プロジェクト
県内物産品をお土産としてブランディングした事例。
県内の良質な物産品を女性視点でセレクトし、食べ切りサイズで展
開。パッケージに統一デザインを施し「越中富山 幸のこわけ」として
商品化。
(H22 年度 販売開始 H26.9 現在 22 社 26 商品を展開)
資料編
‐資 15‐
《デザインへの意識を高める情報発信活動について》
デザインライブラリーを設置。一般の主な利用者は、相談や設備利用で来所した県内企業、近隣
のデザイナー、学生等が利用しているが、利用頻度は少ない。
施設独自の機関誌「offer」を発行し、県内外の企業、デザイナー、建築家、学生などに配布。
職員は限られるため、季刊誌の発行は業務を委託し効率を図る。また、副次的に施設活動のアー
カイブ資料としても利用。
《隣接する施設・地域との連携について》
高岡市デザイン・工芸センターとの間で、設備の相互利用、デザイナーや企業の相互紹介。
毎年 10 月上旬に、富山市、高岡市各団体が開催するイベントの開催日程を調整し、「富山デザイ
ンウィーク」と称し、県内外問わず広く富山県の PR 活動を行っている。
【管理・運営】
施設やセンターの活動などの広報宣伝は、予算が確保していない。広報が中心。機関紙、ホーム
ページ、Facebook(デザインセンター/越中富山幸のこわけ)を活用している。
富山県デザインセンター長は人脈、経験値の豊富な外部の人間を嘱託契約、東京に在中。活動の
拠点を東京とすることで PRや販路開拓、情報発信・取得が効率的に行えている。
施設運営について外部評価委員会を年 1 回開催し、活動内容についてアドバイスをもらっている。
事業収支(平成 25 年度実績)及び年間利用者数(平成 25 年度実績)は次のとおり。
表 事業収支(平成 25 年度実績)
分 類 項 目
歳出:40,036 千円 細目不明※人件費除く
歳入:8,450 千円 ◆使用料 8,425 千円
◆雑入 25 千円
表 年間利用者数(平成 25 利用実績)
項目 件数
相談受付 合計415件
来所:301件/企業訪問:87件/魚津・富山相談窓口14件/電話:13件
施設利用 1,446件(8,896時間)
使用料金収入:8,425千円
見学受入 22件(159人)
資料編
‐資 16‐
④本計画で検討すべきポイント
■デザインセンター機能・研究開発機能
研究開発からデザイン開発まで一貫した商品開発支援の制度構築と体制の整備
独自の認定制度による工芸品ブランディング
観光業とコラボレーションしたお土産商品開発など新たな市場開発
■展示情報発信機能・販売(企画)機能
活動をイベント化させ一般に公開し、販売する等の新たな販路の場の開拓
■人材育成機能・研究開発機能
3D プリンターなどによる試作品が安易に作れる製品開発するための設備導入
■運営・管理
情報発信力強化、情報取得のための柔軟な人事組織の整備
定期的な情報発信と効率的な運用方法
資料編
‐資 17‐
資料-1-4.高岡市デザイン・工芸センター
①施設の概要
高岡市デザイン・工芸センターは、「新クラフト産業・デザインの育成」「伝統工芸の保存・継承」
「デザイン・工芸の啓発・普及」の三つの柱で活動を行う施設。また従事者への積極的な技術継承
支援制度を事業を設け、広く工芸振興を行う。
②視察先として選定したポイント
デザインを起点に商品開発を行い工芸振興支援を行う高岡デザインセンターは従事者視点で本計
画に求められる施設の在り方に類似していることから選定。
表 高岡デザイン・工芸センター
正式名称 高岡市デザイン・工芸センター
所在地・連絡先 〒939-1119 富山県高岡市オフィスパーク 5 番地 TEL: 0766-62-0520
開館年・月 平成 11 年 7 月
設立主体 高岡市 産業振興部
運営主体 高岡市 産業振興部
ヒアリング先 高岡市デザイン工芸センター ※所属:高岡市
所長 高川 昭良 様 日野 利 様
休館日 月曜日・祝日・年末年始
開館時間 09:00〜17:00
建築 階数:地上 2 階 構造:(鉄骨鉄筋コンクリート造)
敷地面積 約 10,087.21 ㎡
延床面積 約 411.82 ㎡
諸室の構成・
詳細面積
■1F
造形・体験工房 132.26 ㎡ 鋳造場 38.34 ㎡ 材料室 14.00 ㎡ 事務室 70.65 ㎡ ロビー・エントランス 83.85 ㎡ ロッカールーム 16.24 ㎡ 電気室 19.34 ㎡
■2F
デザインライブラリー 53.33 ㎡ 表面処理室 58.16 ㎡ 乾燥室 31.02 ㎡ 検査室 13.44 ㎡ ライブラリーサロン 69.70 ㎡ 書庫 21.30 ㎡ 会議室 50.63 ㎡ サロン 91.09 ㎡
事業費
総事業費 281 百万円 〈内訳〉調査設計 13 百万円 工事 268 百万円
建設費:162 百万円 電気工事費:26 百万円 設備費:46 百万円 機械設備費:34 百万(研究機器+研究情報機器)
資料編
‐資 18‐
■表面処理室 ■乾燥室
■ライブラリー ■会議室
■サロン(展示)マテリアル紹介やトピック商品を展示
■デザインルーム
■造形・体験工房
■鋳造場 ■着色ブース
■施設全景富山デザインセンター・高岡市工芸センター・富山産業高度化センターの3つが入居するビル
■隣接する富山産業高度化センターロビーをレンタルし、工芸品を展示、作者などの紹介を行う
資料編
‐資 19‐
③ヒアリング内容
【事業内容】
《「新クラフト産業の育成・デザインの育成」の活動について》
伝統工芸技術者の技の繊細な技に着目し、国の伝統工芸修復事業を受託、工芸をインテリア業
界に活用する等販路開拓に結び付く新市場の開発を積極的に行う。
項 目 概 要
各種様々な商品開発
プロジェクト
デザイン・工芸センターが仲介役となり、デザイナーと地元企業をマッチングさせ、
新商品開発の実施
・「ハイヒル」プロジェクト:漆器関連企業10社と高岡の表面処理
素材をつかった建築内装材開発(H16年Gマーク取得)
・「うるおしプロジェクト」高岡漆器を使った女性をターゲットした水
回り商品開発プロジェクト。
・「いのり・いわいプロジェクト」銅器・漆器関連16社と神具・仏具
に囚われない商品開発。
・「たかおかudeco(ゆでこ)プロジェクト」工芸技術をつかったユニ
バーサルデザインやエコ視点での技術・素材による商品開発。
高岡コミュニケーションギフト「ZAI+(ザイプラス)」開発プロジェク
ト。低迷する工芸業界の再生策として市場競争力を持つギフト
商品の開発に取り組む。
クラフトマン・デザイナー
育成支援事業
若手クラフトマンの展示即売会するイベント「クラフトマンギャザリング」を開催。
市民参加の体験教室も実施し、作り手と消費者の接点の場を図りながら双方に交
流の場を用意。
デザイン作成研究事業 伝統工芸品活性化のための商品開発に伴うデザイン作成を実施
《「伝統工芸の保存・継承」の活動について》
従事者減少により分業化による弊害で工芸製品の製造ができないものが出はじめていること
から、伝統工芸の技の継承を図るために各種補助金制度を制定し活性化を図る。
項 目 概 要
次世代ものづくり人材育
成事業
人従来からの要請スクール事業に3Dプリンターなどによる立体造形コースを
設け、最先端による新たな人材育成、商品開発、技術開発を結び付け伝統
工芸の高度化を図る。
高岡市ものづくり人材養成スクールは8コース。
基礎研究コース(4年)、専門コース(1年)、修理技術コース(2年)、3D造形コ
ース。
伝統工芸産業希少技
術継承事業
伝統工芸の希少な伝統的な技を伝承するために、育成者・継承者、両者を
支援する補助金制度を実施。人材確保・人材育成、継承者の自立、定住化
を促し工芸やものづくり産業の活性化を図る。※交付金は最長2年
育成者には年額60万、継承者には年間120万(2年目以降110万)の助成。
伝統工芸技術者指定
表彰事業
技術の保存と後継者育成の視点から、優秀な技術を有する者には、「高岡市
伝統工芸産業技術保持者」、産業の発展に貢献した者についても「技術功労
者」、優れた担い手についても「担い手優秀技術者」(※40歳以下)として指定
し表彰する。本業界における人的モチベーションを維持させるための施策。
《「デザイン・工芸の啓発・普及」の活動について》
工芸デザインセンターが主導となってデザインを起点にした情報発信、積極的な参加等による
資料編
‐資 20‐
販路開拓と人的ネットワークの構築、各種工芸振興事業を行っている。
項 目 概 要
デザイン情報誌発行事
業
市の商業、工業、観光業や本施設の活動を紹介する機関誌「MOVIN’」を発
行している。A4判12ページ構成で6000部を発行。
情報提供事業 施設の紹介や活動の紹介としてホームページを作成。
※事業は委託している。
補助金事業 高岡金属意匠審議会運営補助金。金属商品デザイン保護のため、申請商品
に対しる審査及び登録を行い、特許庁や日本デザイン保護協会と連携を図
り、知的所有権などのセミナーを開催するための補助金制度。
高岡巧美会運営等補助金。市指定の工芸技術保持者による継承・保存、啓
発を図るために作品展を市美術館で開催。また、来場者に魅力を伝えるため
に工房見学、ものづくり体験なども併催し、ものづくりの町としてひろくアピール
するための補助金制度。
伝統工芸品展事業補助金。技術保持者による作品展を東京「伝統工芸スク
エア」や県のアンテナショップで開催するための補助金制度。
その他事業 高岡クラフトコンペ開催事務局の企画・運営協力※主催:高岡商工会議所
高岡市文化財修理協会事業運営協力
高岡の職人沢のブランド化推進事務局としても活動
富山県総合デザインセンター、デザイン協会、富山県作業高度化センターと
の人的な連携や施設の貸し出し、イベントの連携などを行っている。
【管理・運営】
事業収支(平成 25 年度実績)及び年間利用者数(平成 25 年度実績)は次表のとおり。
表 事業収支
分 類 項 目
歳出:63,332 千円 ◆新クラフト産業デザイン育成事業
新クラフト産業・デザイン育成支援事業費
クラフトマン・デザイナー育成支援事業費
◆デザイン作成研究事業費
◆地場産業支援事業費
伝統工芸産業技術者養成スクール事業費
伝統産業希少技術継承事業費
伝統工芸産業技術者指定表彰事業費
高岡金属意匠審議会運営補助費
高岡巧美会運営補助費
伝統工芸展事業費
◆デザイン・クラフト情報提供事業費
情報提供事業費
デザイン情報誌発行事業費
◆施設管理運営費
◆職員人件費
歳入:1,034 千円 ◆施設使用料
◆デザイン作成手数料
◆養成スクール受講料
◆情報誌広告収入
資料編
‐資 21‐
表 年間利用者数(平成 25 年度実績)
項 目 人 数
養成スクール 1,479 人
新クラフト参加者 104 人
その他施設利用 1,115 人
視察者 91 人
合計 2,496 人
④本計画で検討すべきポイント】
■デザインセンター機能
研究開発を通じた新たな工芸従事者への市場開発
商品開発のためのツール作成
■研究開発機能・人材育成機能
販路開拓のための技術開発支援と商品開発
希少技術の伝承と若者の従事者人材獲得のための支援制度の検討
■展示・情報発信機能
展示情報発信機能、販路開拓、交流促進を包括した視点での各種イベント開催と参画
■運営・管理
定期的な情報発信の効率的な運用方法