気象・水文観測実習
屋上緑化による熱環境への影響評価~データ解析~
2019年6月6日
生態気象学・植山雅仁水環境学・中桐貴生
大阪府立大学・生命環境科学域・緑地環境科学類
緑地環境科学実習演習ⅡA
目的
観測したデータを解析する事で...
地表面熱収支に関する理解
微気象データの扱い方
表計算ソフトの使い方
屋上面 緑化面
緑化すると熱環境はどう変わるか?
潅水?
無潅水
潅水すると熱環境はどう変わるか?
潅水スタート:2019/5/22
下向き短波放射(日射) (S↓)
上向き短波放射(S↑)
下向き長波放射 (L↓)
(大気放射)
上向き長波放射(L↑)
反射
Rn = S↓ - S↑ + L↓ - L↑
放射収支の概念
Rn ≒ H + lE + G
顕熱フラックス(H)
潜熱フラックス(≒蒸発散量)
(lE)
地中熱流量 (G)
大気を暖める
水を蒸発させる
地中を暖める
純放射量(Rn)
熱収支の概念
純放射量(Rn)
純放射計
どうやって測定したか?
地中熱流板
地中熱流量 (G)
どうやって測定したか?
潜熱フラックス (≒蒸発散量)
TDR(時間領域反射測定)法TDR:Time Domain Reflectometer
どうやって測定したか?
Rn ≒ H + lE + G
顕熱フラックス(H)
潜熱フラックス(≒蒸発散量)
(lE)
地中熱流量 (G)
Rn-LE-G
TDRセンサー
地中熱流板
純放射量(Rn)
熱収支法
純放射計
屋上面
反射率の測定
緑化面
Rn = S↓ - S↑ + L↓ - L↑
屋上面 緑化面
Rn = S↓ - S↑ + L↓ - L↑
表面温度の測定銅ーコンスタンタン熱電対
2018/05/14
2018/05/19
http://atmenv.envi.osakafu-u.ac.jp/
解析データ生態気象GのHPより配布
ココ
解析データ
Group A (屋上面) Group B (緑化面)
T_a 気温RH_a 相対湿度Ts_a 地表面温度Rs_up_a 短波放射量↑
G_a 地中熱流量Rn_a 純放射量Rain_a 雨量
T_b 気温RH_b 相対湿度Ts_b 地表面温度Rs_up_b 短波放射量↑
G_b 地中熱流量Rn_b 純放射量VWC_b 土壌体積含水率Rs_down 下向き短波放射量
無潅水区
解析データ
Group C (緑化面)
Ts_c 地表面温度Rs_up_c 短波放射量↑
G_c 地中熱流量Rn_c 短波放射量↑
VWC_c 土壌体積含水率
無潅水区
soilcurrentprevious30 DvwcvwcE
603030 EE
一つ前の土壌水分量(m3 m-3)
当該ランの土壌水分量(m3 m-3)
緑化基盤の厚さ150 mm蒸発量 (mm 30-minute-1)
蒸発量 (mm s-1)
作業1
緑化面の潜熱フラックスの計算
作業1
緑化面の潜熱フラックスの計算
603030 EE
蒸発量 (mm s-1)
1 m
1 m
1 mm
0.001 m3 = 1 L 1 kg
蒸発量 (kg m-2 s-1)
作業1
緑化面の潜熱フラックスの計算
気化潜熱(2.5 × 106 J kg-1)
EllE
潜熱フラックス (J m-2 s-1 → W m-2)
W = J s-1
作業1
潜熱フラックスと降水量の時間変化
0
100
200
300
400
4/18 4/19
2014
潜熱フラックス
(W m
-2)
0
1
2
3
4
降水量
(mm
)
潜熱フラックス-30分値
潜熱フラックス-1.5時間移動平均値
降水量
Rn≒ H + lE + G
H≒ Rn – lE – G
作業2
顕熱フラックスの計算
作業2
顕熱フラックスの計算
-100
0
100
200
300
400
500
0:00 6:00 12:00 18:00 0:00
時間
エネルギーフラックス
(W m
-2)
0:00 6:00 12:00 18:00 0:00時間
純放射量
顕熱フラックス
潜熱フラックス
地中熱流量
(a) 屋上面 (b) 緑化面
屋上面と緑化面における平均的なエネルギーフラックスの日変化
作業3
アルベドの計算
LLSref
LLSSRn
1
アルベド
ref≒ S↑/ S↓
短波 長波
作業3
アルベドの計算
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0:00 6:00 12:00 18:00 0:00
時間
アルベド
屋上面
緑化面
屋上面と緑化面における平均的なアルベドの日変化
作業4
正味長波放射の計算
LLSSRn
短波 長波
同じとみなせる
作業4
正味長波放射の計算
ステファン・ボルツマンの法則
4surfεσTL 表面温度 (K)
ステファン・ボルツマン定数5.67 × 10-8 W m-2 K-4
射出率屋上面 (0.96)、 緑化面 (0.98; 近藤, 2000)
長波放射量(W m-2)
作業4
正味長波放射の計算
0
100
200
300
400
500
600
700
800
0:00 6:00 12:00 18:00 0:00
時間
エネルギーフラックス
(W m
-2)
屋上面(Rs↓-Rs↑)
屋上面L↑
緑化面(Rs↓-Rs↑)
緑化面L↑
屋上面と緑化面における平均的な正味短波放射量と上向き長波放射量の日変化
作業5
緑化効果の計算
roofgreen EEEf
屋上面で計測された要素
緑化面で計測された要素
負:緑化によって要素が小さくなった。正:緑化によって要素が大きくなった。
作業5
緑化効果の計算
-80
-40
0
40
80
Rn H LE G Rs net Rl net
緑化効果
(W m
-2)
屋上緑化に伴う熱収支・放射収支の変化量
レポート
序論 : 明快な目的、仮説設定
原理 : 熱収支について簡潔に
手法 : 具体的に、かつ簡潔に
表紙不要・4枚以内
結果 : 具体的に (数値、統計値)図表は丁寧に
考察 : 論理的な解釈 (感想ではない)
不確実性・問題点結論 : 得られた知見を簡潔に; 提言
対応
全部で
1ページ以内
レポート 表紙不要・4枚以内
引用文献 : すべて記載
感想 : もし書きたければ
提出方法: 2019年6月20日 18時授業支援システムから
考察のポイント
日中、夜間のいずれがどのように?
放射収支と熱収支のつじつまは?
屋上緑化するとどのようなことが期待?
評価方法に問題・不確かさはないか?
レポート (挑戦的課題)
潅水区、無潅水区の植生の違い
潅水による熱収支の違い(5/22以降のみで解析)