超音波検査機によるアキレス腱断裂修復過程の観察
~カラードップラーを用いて~
米 田 病 院
久保田 竜祐
米 田 實
大 山 耕平
2-E-01
はじめに
当院では超音波検査機による経過観察がアキレス腱の治癒経
過を判断する指標の一つになると考え、Bモードやカラードッ
プラーを用いてアキレス腱の修復過程の観察を行い、患部周囲
の血流の有無が経時的にどのように変化するかに着目し調査を
行った。
米 田 病 院
対 象
期間:平成20年1月1日から平成21年8月31日
対象:新鮮アキレス腱皮下断裂と診断された症例54名のうち
保存療法を行い、受傷後約3ヶ月まで超音波検査を施
行することの出来た症例13名
年齢:22~78歳 平均47.5歳(±13.5)
米 田 病 院
方 法
[初診時(1.4日±1.8) ] [受傷後約2ヶ月(60.8日±3.8)]
[受傷後約1ヶ月(29.8日±2.5)][受傷後約3ヶ月(89.5日±6.3)]
検査機器:GE横川メディカルシステム社製超音波検査機(LOGIQe)
プローブ:リニア型プローブ モード:color-Doppler-mode周波数 12.0MHz 周波数5.0MHz Gain20
患者を5分間臥位にて安静にする
米 田 病 院
①最も血流が多く観察できる部位を長軸と短軸にて動画を記録
②血流が最も多く認められる瞬間を静止画にする
③色の付いている部分の輪郭をなぞり面積を計測する
3度計測を行い平均値を計測の値とする
方 法 米 田 病 院
0.23
0.20
0.10
0.03
(0.05)
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
結 果 1
[㎝2]
初
診
受傷後
約1ヶ月
受傷後
約2ヶ月
受傷後
約3ヶ月
P<0.01
血流面積の推移 『長軸』
米 田 病 院
(29.8日±2.5) (60.8日±3.8) (89.5日±6.3)
P<0.01
(1.4日±1.8)
0.03
0.08
0.14
0.19
(0.05)
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
結 果 2
[㎝2]
初
診
受傷後
約1ヶ月
受傷後
約2ヶ月
受傷後
約3ヶ月
P<0.05
P<0.01
P<0.05
血流面積の推移 『短軸』
米 田 病 院
(29.8日±2.5) (60.8日±3.8) (89.5日±6.3)(1.4日±1.8)
考 察
ラットのアキレス腱切断後に修復していく過程で
血管は、3日後には修復部の周辺に少数観察され、
次第に増加して分布も広がり、2週後には修復部や
切断された腱の内部にも多数観察されたが、4週後
以降は減少した。
米 田 病 院
安東ら『ラットアキレス腱断裂後の修復過程について.広島大学保健学ジャーナルvol.6(1).2006』 より一部改変
断裂後1~2週:断端周囲に新生毛細血管が豊富に認められた。
断裂後4週:断裂部から近位にかけて著明に増生した毛細血管を
認めた。
断裂後8週:断裂部の著明な毛細血管群は減少し線維方向への小
血管の整列が全層に認められた。
断裂後10週:血管増生は更に消退し線維方向に縦走する小血管
が全層に認められた。
断裂後12週:血管は減少し膠原線維の走行、線維芽細胞の状態
は正常アキレス腱に近づいていた。
考 察
家兎を用いたmicroangiographyによる血行の観察および
組織学的観察にて
水野ら『Dynamic MRIによるアキレス腱修復過程の血行動態評価.Medical journal ofKobe University .2000』 より一部改変
米 田 病 院
考 察
初診 約2週 約4週
約7週 約12週 約20週 約24週
血流の経時的変化『長軸』
米 田 病 院
考 察
『超音波検査の弱点』
他の画像検査より再現性が低い
新生血管と既存の血管との鑑別はできない
超音波検査による経過観察は
臨床の現場にて簡易に治癒過程を評価する
手段として有効である
米 田 病 院
まとめ
保存療法を行った新鮮アキレス腱皮下断裂患者に対し超音
波検査により血流の変化を経時的に観察した結果、受傷後す
ぐでは血流が少なく、受傷後1ヶ月には血流の増加が認めら
れ、受傷後3ヶ月まで増加が継続している傾向であることが
確認できた。
本調査による血流の傾向は先行研究の結果に類似していた
ため臨床の現場にて簡易に治癒過程を評価する手段として有
効であると考えた。
米 田 病 院
スライド 12スライド 12スライド 12スライド 12
久保田竜祐2 久保田竜祐2 久保田竜祐2 久保田竜祐2 抄録に合わせる久保田竜祐, 2009/06/22