H30.10.30~31 平成30年度全国老人福祉施設研究会議(北海道会議) 第1分科会:「伴走型介護の追求-QOL向上に資するケアの実践」分散会⑥(口腔ケアの実践)-:福岡県
誤嚥性肺炎ゼロに向けての
口腔ケアの取り組み ~誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト~
さわら福祉会 特別養護老人ホーム マナハウス
介護職員 内山 遥 介護職員 横田 直哉
クロスケアデンタル
歯科医師 瀧内博也
特養マナハウスが抱えていた悩み
入居者の誤嚥性肺炎が非常に多い!
入居者を誤嚥性肺炎で苦しませたくない!
取り組み前の特養マナハウスの肺炎の入院の状況
入居定員69名に対し
合計1248日 特養マナハウスの平成27年度の1年間の入院日数
446日
148日
13日
65日 55日
肺炎 (誤嚥性肺炎と その他の肺炎)
尿路感染症
骨折
腎疾患
心疾患
19回の入院 (16名)
25日 呼吸器・ 循環器疾患
消化器疾患
75日 179日
脱水
162日 その他
嚥下障害・ 食事困難
74日
6日
発熱
肺炎 16名
肺炎によって入院した入居者のその後
平成27年度 終了時
入居(3名)
退去 or
死亡 (13名)
肺炎入院経験者の多くが 退去・死亡につながっていました
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト調べ H27.4月~H30.9月まで
(日)
口腔ケアスタート
月別の入院日数の推移
口腔ケアに取り組んだことで誤嚥性肺炎は激減
0
50
100
150
200
250 4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
27年度 28年度 29年度 30年度
肺炎による入院日数 その他の入院日数
0
100
200
300
400
500
600
0
10
20
30
40
50
60
2年前 1年前 1年目
肺炎による入院回数 肺炎による入院日数
(回)
1年間の肺炎の入院の推移
(日) 口腔ケアスタート
肺炎入院回数は 約1/2に減少 肺炎入院日数は 約1/4に減少
18回 25回 10回
337日
545日
144日
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト調べ H27.4月~H30.9月まで
口腔ケアに取り組んだことで誤嚥性肺炎は激減
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
0
20
40
60
80
100
120
140
160
2年前 1年前 1年目
肺炎による入院回数 肺炎による入院日数 全体の入院日数
更には全ての入院が減少し全体の入院日数も激減
(回) (日)
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト調べ H27.4月~H30.9月まで
『全体』の 入院日数も 約1/3に減少 稼働率:92.5%
1310日
459日
1339日
93.9%
97.5%
口腔ケアスタート
1年間の全体の入院の推移
『週1回』の口腔ケアで誤嚥性肺炎は予防できる 口腔ケアと誤嚥性肺炎の累積発症率
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
対照群 口腔ケア群
(%)
適切な口腔ケアを『週1回』でも行うことで 入居者の誤嚥性肺炎を減らすことができます
(Yoneyama T et al. 1999).
口腔ケア前
口腔ケア後
歯科関係者の 『週1回』の 口腔ケアで 誤嚥性肺炎は 約40%減少
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクトとは
参加介護施設 アットホーム博多の森(特養)、アットホーム福岡(特養)
アットホーム諸岡(特養)、おおはし徳巣(特養) グループホーム金泉(グループホーム)、サンシャインプラザ(特養)
サンシャインセンター(特養)、マナハウス(特養) 美夜古(特養)、ライフケア大手門(特養)
ライフケアしかた(特養)、ライフケア柏原(特養) and more...
参加訪問歯科 坂本歯科
デンタルオフィスプルメリア デンタルサポート
中村司・比路江歯科医院
前田歯科クリニック and more...
『介護職員の口腔ケアで誤嚥性肺炎ゼロ』を目指すプロジェクト 多くの介護施設がグループの垣根を超え集結 医療と介護の垣根を超え訪問歯科と協力
訪問歯科
介護職員
誤嚥性肺炎減少
口腔ケア
全介護職員への 口腔ケアセミナー
全入居者に対し 介護職員が行う 週2回の口腔ケア
介護職員に対し 訪問歯科が行う 口腔ケア指導
約2.5時間 の 講義 と 実習
約10分 の ブラッシング と リハビリテーション
入居者ごとの注意点と 介護職員の技術指導
1
2
3
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクトの口腔ケアマニュアル
3ステップの取り組みで口腔ケアを進めていきます
全介護職員への口腔ケアセミナー 約2.5時間 の 講義 と 実習
口腔ケアセミナーを全職員が受講し目標を共有
講義では 口腔ケアの 重要性・効果 を学習
実習では 正しい
口腔ケアを 体感・習得
セミナー受講後は介護職員が口腔ケアをスタート 介護職員が行う週2回の口腔ケア 約10分 の ブラッシング と リハビリテーション
スポンジブラシ 歯ブラシ
舌の清掃・リハビリ リハビリマッサージ
全入居者に対し週2回、1回約5~10分の口腔ケアを開始 口腔ケアの方法は誰でも行える簡単なもの
器具・手順を統一しなるべく簡単に行えるように工夫
ブラッシング
リハビリテーション
訪問歯科は定期的に介護職員に口腔ケアを指導 訪問歯科が行う口腔ケア指導 入居者ごとの注意点 と 介護職員の技術指導
訪問歯科がOHATで入居者のお口の健康状態を評価 その結果を元に入居者ごとの注意点を指導
介護職員の技術アップのための実技指導を継続していく
OHATで評価
合計10点(16点満点中)
点数が高いほど お口の状態は不良
肺炎によって特養マナハウスに生じていた問題点
特養マナハウスは肺炎によって
肺炎により多方面に大きな損失が生まれていました
入居者
死亡、入院 苦しい症状
ADL低下、介護度上昇 食べる楽しみの喪失
介護施設
施設収入約620万円、 稼働率約1.8%の低下 (特養では入院1日ごとに約1.4万円の収入減少)
医療費
年間約2,200万円の入院医療費の発生 (高齢者の肺炎入院の医療費は1日約5万円)
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
0
20
40
60
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100
120
140
160
2年前 1年前 1年目
肺炎による入院回数 肺炎による入院日数 全体の入院日数
(回) (日) 口腔ケアスタート
1339日
1310日
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト調べ H27.4月~H30.9月まで
459日
介護職員の口腔ケアで肺炎、全体の入院は激減
1年間の全体の入院の推移
介護職員による口腔ケアにより、スタート後わずか1年間で 施設収入は約1,200万円アップ、医療費は約4,250万円削減
1年間で 約850日の減少
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
9000
10000
2年前 1年前 1年目
0
500
1000
1500
2000
2500
2年前 1年前 1年目
1年間の全体の入院の推移
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト調べ H27.4月~H30.3月まで
4施設(入居定員計348名)全てで見ても、1年間で約2,750日減少 施設収入は約3,850万円アップ、医療費は約13,700万円削減
(日) (日)
口腔ケア スタート
口腔ケア スタート 約2,750日
の減少
各施設ごとの推移 4施設合計の推移
グループの特養4施設すべてでも入院日数は減少
6351 日
5342 日 3607
日
プロジェクトはまだスタートしたばかり
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクトへの参加を募り より多くの施設で取り組み、口腔ケアのマニュアルの
肺炎減少効果のエビデンスを蓄積させていく
訪問歯科
介護職員
誤嚥性肺炎減少
口腔ケア
入居者の幸せな生活のため 誤嚥性肺炎ゼロ、全体の入院ゼロを目標に
今後も口腔ケアを続けていく
入居者 の幸せ
口腔ケアは低栄養の改善につながることで すべての疾患の減少につながったのではないか?
口腔ケアを科学的介護として確立させていく
訪問歯科
介護職員
誤嚥性肺炎減少
口腔ケア 入居者 の幸せ
口腔ケアの更なる可能性
低栄養改善 すべての疾患減少
誤嚥性肺炎ゼロプロジェクトへの反響
多くのメディアに取り上げていただきました
毎日新聞
シルバー新報
福祉新聞 中国新聞
最後に
入居者さんの幸せな生活、大切な命を守っていくためにも 今後も口腔ケアに取り組んでいきます
ご清聴ありがとうございました