〈技術編〉
成果
8
狙い
技術編
試作品・製品編
技術編
試作品・製品編
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■お問い合わせ/国立大学法人 豊橋技術科学大学 環境・生命工学系 学長補佐 教授 岩佐精二
e-mail:[email protected] 電話番号:0532-44-6817 FAX:0532-44-6817
■特許の有無:特願2009-156192、特願2015-017356、特願2015-110192、特願2015-204622
期待される活用法開発した技術には、特に、廉価、迅速な分析時間、多様な測定環境に対応、簡便な前処理等の特徴がある。これらの利点を活かして農薬を使用する野菜や果物などに関わる生産者、集荷場、食品加工業者、農薬生産販売企業、輸出入業者および消費者などの広範な局面で直接的かつ重層的に活用され食の安心、安全に寄与することが期待される。
技術的優位性免疫的化学測定法(イムノアッセイ)は原理的に抗原抗体反応を利用するため微量で標的物質を特異的に認識する。特に本技術では以下のような優位性がある。1)相対的に超低分子の標的農薬の特定や定量ができる。2)廉価、3)迅速な分析時間、4)多様な測定環境に対応、5)簡便な前処理、6)少量の使用有機溶媒等、既存の総合的機器分析システムに比べて大きな利点と技術的優位性がある。
抗原抗体反応を利用する場合、農薬のような低分子物質は免疫応答を起こしにくいため標的農薬にリンカーを導入しハプテンを合成し、これと高分子タンパクと結合させマウス免疫により標的農薬抗体を作製する。その後、モノクロナール抗体として単離・精製し、キット化する。このプロセス開発によって廉価、高感度、迅速な測定時間で多様な測定状況に対応する残留農薬キットが完成した。
農薬は野菜や果物などの安定供給のために重要であると同時に残留農薬の確認は食の安全確保のために不可欠である。本研究では抗原抗体反応を利用した廉価で迅速かつ正確に測定できる農薬検出技術を確立することを狙いとしている。
イムノアッセイ法を用いた農薬検出技術
豊橋技術科学大学 工学研究科 教授 岩佐精二、京都高度技術研究所 主幹研究員 三宅司郎科学技術交流財団 主任研究員 足立香代、愛知県農業総合試験場 主任研究員 大竹敏也
標的農薬
標的農薬抗体
標的残留農薬センサー開発
残留農薬検出技術の確立
食の安全・安心
実際に使用している農薬
「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト
食の安心・安全技術開発プロジェクト農畜産物等の有害化学物質を検出できる高度な計測デバイスの開発
イムノアッセイ(免疫測定法)を用いた残留農薬の開発ー食品中の0.01~1ppm特定残留農薬をで検知ー 誰でもどこでも簡単に検査
できる残量農薬キット
生体防御機構、抗原抗体反応の原理を利用→農薬抗体を作製→農薬センサーとして実装→キット化
有機合成化学・抗体工学
イムノクロマト法
【想定利用者】国内外農作物出荷前自主検査農薬開発、環境調査関連一般消費者等
図1. 技術創出の背景と開発プロセス
高分子タンパクに結合
マウス免疫標的農薬の抗体生産
図2. 標的農薬を特異的に認識する抗体作製プロセス
リンカー導入
モノクロナール抗体の精製
標的農薬
図3. イムノクロマト法による測定原理とキット化
金コロイド標識抗農薬抗体
捕捉農薬
捕捉抗体
農薬
ライン1 ライン2
農薬濃度が低いほどライン1が濃く、農薬濃度が高いほど2のラインが濃く発色
標的農薬に特異的に作用するモノクロナール抗体
イムノクロマト法による残留農薬測定キット
イムノクロマト法による残留農薬の測定
・高感度精密分析・特定標的物質・廉価・場所を選ばない・簡単な前処理・大量のサンプル処理
①作物から試料調製
②イムノクロマト
③判定・定量
目視 光学機器測定
検査環境・目的により方法を選択
スマートホン
色見本 (ppm )
0 0.1 1 10 100
①農作物から試料調製
図4.イムノクロマト法を利用した残留農薬の測定プロセス