1
P1
乾式直打用賦形剤「乾式直打用賦形剤「SmartEx™」」
の開発と口腔内崩壊錠への適用の開発と口腔内崩壊錠への適用
信越化学工業(株) 合成技術研究所
平間 康之
本資料に記載された事項は、当社の実験的試験結果に基づくものですが、実際の現場結果を確実に保証するものではありません。
データ値は製品の規格値ではありません。
第13回 医薬品添加剤セミナー
平成26年2月4日(火) 大阪 薬業年金会館
平成26年2月7日(金) 東京 全電通労働会館
P2アウトラインアウトライン
Introduction
乾式直打用賦形剤「SmartEx™」について
L-HPCを用いた口腔内崩壊錠の検討
水分散液噴霧造粒法
L-HPC新製品 NBDグレードの水噴霧造粒法への適用
乾式直打用賦形剤「SmartEx™」の開発
SmartEx™の基礎物性
SmartEx™の口腔内崩壊錠への適用
P3口腔内速崩壊錠口腔内速崩壊錠 (OD(OD錠錠))
口腔内の少量の唾液で速やかに崩壊
容易に嚥下可能
いつどこでも、水なしで服用可能
年々マーケット増大、PLCM
基剤: D-マンニトール等
結合剤: MCC, HPC, PVA, PVP etc.
崩壊剤: cl-PVP, L-HPC etc.
従来は、液体乾燥法、湿製法、乾式結晶転移法などの特殊な技術が必要。
最近は通常の錠剤の製法 (湿式造粒、直打法) で製造される例が増えており、
今後主流となるものと考えられる。
OD錠の製造方法
OD錠に使用される添加剤
OD錠とは
2
P4
D-Mannitol L-HPC PVA
LL--HPCHPC水分散液造粒法水分散液造粒法
公定書収載の添加剤のみから構成
独自の加工技術( LL--HPCHPC水分散液造粒法水分散液造粒法))
粒子径の異なる二つのグレード
信越化学工業、フロイント産業との共同開発品
(販売元: 信越化学工業 製造元: フロイント産業)
ライセンス契約等は不要
PHARMA TECH JAPAN Vol.28 No.2(2012) p238-240
乾式直打用賦形剤乾式直打用賦形剤 SmartEx™
JP JP JPE
賦形剤 崩壊剤 結合剤
SmartEx™
Smart Excipient
SmartEx™ QD-50
SmartEx™ QD-100
特許出願中
P5
高成形性成形性の低い薬剤にも適応可能
優れた崩壊性口腔内の少量の水で崩壊時間10数秒
優れた口腔内服用性滑らかな食感
高流動性高速打錠時でもバラツキの少ない錠剤
優れた安定性硬度低下、崩壊遅延なく自動分包機対応可能
SmartEx™の特長の特長
P6
2008年~ L-HPCのOD錠への適用検討
2011年~ SmartEx™の開発に着手
2012年~ フロイント産業 (株) との共同開発に着手
2013年10月 SmartEx™を上市
2013年11月 サンプルワーク開始
SmartEx™の開発経緯の開発経緯
結合剤、崩壊剤の両機能を有するL-HPCの特性を利用
水分散液造粒法の検討
水溶性バインダー検討による成形性改善検討。
処方及び製造条件最適化検討
スケールアップ検討及び製品化検討
3
P7低置換度ヒドロキシプロピルセルロース低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
水不溶性で、吸水膨潤する特性により、崩壊剤としての機能。
非イオン性、他の崩壊剤と比較して低吸湿性。
薬物との相互作用が少なく、安定性に優れる。
結合剤としての機能あり。(湿式造粒、キャッピング防止)
Molar substitution : 0.2
Glucose unit
Hydroxypropoxy group
Water
【 L-HPCの膨潤機構】【 L-HPCの構造式】
R = H or CH2CH(CH3)OHCAS No : 9004-64-2 R = H or CH2CH(CH3)OHCAS No : 9004-64-2 R = H or CH2CH(CH3)OHCAS No : 9004-64-2 R = H or CH2CH(CH3)OHCAS No : 9004-64-2
OROR
OROR
RO
RO
P8
L-HPC, L-HPMC, L-MC, L-HEC
ノニオン性崩壊剤 薬物との相互作用低い
LL--HPCHPC 吸水膨潤率 高い
吸水速度 速い
1977年 日本で初めて使用認可。
1986年 第11局 日本薬局方に収載。
1990年 USP/NF 17に収載。
2002年 LH-B1(重質タイプ)を上市。
2011年 NBD(高流動、高成型性タイプ)を上市。
1970 ~
LL--HPCHPC開発の歴史開発の歴史
現在、国内で最も汎用される崩壊剤の一つとなっている現在、国内で最も汎用される崩壊剤の一つとなっている。。
P9LL--HPCHPCを用いたを用いたODOD錠錠の検討の検討
一般的にL-HPC等の水不溶性セルロース系添加剤は吸水
膨潤する特性に優れるが、口腔内での食感があまり良くない
ため、できるだけ低添加量 (目標10%以下) で結合性、崩壊
性を発揮させる必要がある。
直打法では、薬物、基剤粉体の流動性が低いため、連続打
錠が困難。粉体の流動性を確保し、低添加量で成形性向上
および、薬物含量均一性を確保し易い流動層造粒法でのOD
錠作製を検討した。
目標錠剤物性錠剤硬度: 50N以上崩壊時間: 30秒以内
4
P10検討検討11.流動層造粒.流動層造粒 ((水噴霧水噴霧) ) によるによるODOD錠検討錠検討
造粒条件装置:Multiplex MP-01
(Powrex Japan)吸気温度: 74℃排気温度: 38~42℃流動エアー量: 0.5m3/minスプレー速度: 7g/minスプレーエアー圧: 150kPa
上記粉体に水を噴霧して造粒を実施。
添加剤L-HPC: LH-21, LH-31, LH-B1結合剤: MCC PH-101崩壊剤: cl-PVP
粉体D-マンニトール 100 (部)添加剤 6
液体精製水 100
Method 1(水噴霧造粒)
打錠条件打錠機: ロータリー打錠機 VIRGO®
(菊水製作所)錠剤サイズ: 8mm-d, 10mm-r, 200mg/T.打錠圧: 予圧 3kN, 本圧 5~12.5kN打錠速度: 40rpm
造粒物に対して1.0部のSt-Mgを混合後、打錠を実施
処方
P11
0
10
20
30
40
50
0 5 10 15
打錠圧 (kN)
錠剤
硬度
(N
)
LH-21
LH-31
LH-B1
MCC
cl-PVP
検討検討11.水噴霧造粒.水噴霧造粒によるによるODOD錠検討錠検討
LH-21
LH-B1
粒子形態: 微粉
HPO基: 11%
平均粒子系: 20μm
粒子形態: やや繊維状
HPO基: 11%
平均粒子系: 45μm
粒子形態: 重質
HPO基: 11%
平均粒子系: 55μm
LH-31
キャッピング発生
粒子径の小さいL-HPCほど
錠剤硬度が高くなる傾向を
示したが、成形性が不十分
で改善が必要であった。
P12検討検討22.流動層造粒.流動層造粒 ((水分散液噴霧水分散液噴霧) ) によるによるODOD錠検討錠検討
Method 2(水分散液噴霧造粒)
上記水分散液をマンニトールに噴霧して造粒を実施。
粉体D-マンニトール 100 (部)
液体添加剤 6 精製水 94
造粒条件、打錠条件はMethod 1と同様
スプレー
D-マンニトール
乾燥
分散
L-HPC
添加剤L-HPC: LH-21, LH-31, LH-B1 結合剤: MCC PH-101崩壊剤: cl-PVP
L-HPCの特徴 (水に不溶で吸水・膨潤する) を利用
処方
5
P13検討検討22.水分散液造粒.水分散液造粒によるによるODOD錠検討錠検討
0
20
40
60
80
100
120
0 5 10 15
打錠圧 (kN)
錠剤
硬度
(N
)
0
20
40
60
80
0 20 40 60 80 100 120
錠剤硬度 (N)
崩壊
時間
(se
c)
0 5 1 0 1 5
LH-21
LH-31
LH-B1
MCC
cl-PVP
L-HPCの水分散液を噴霧して造粒することにより、高い錠剤硬度で崩壊性に優れるOD錠を得ることができた。
微粉タイプのLH-31が最も優れた成形性を示し、重質タイプのLH-B1が最も優れた崩壊性を示した。
MCCやcl-PVPでは、成形性が殆ど改善されなかった。
P14造粒物の表面状態造粒物の表面状態
Method 1(水噴霧造粒) Method 2(水分散液噴霧造粒)
造粒がほとんど進行せず、マンニトールの結晶が多く残る。
L-HPCにより表面改質されている。
P15水分散液造粒によるアセトアミノフェン含有水分散液造粒によるアセトアミノフェン含有ODOD錠の検討錠の検討
造粒条件装置: Multiplex MP-01
(Powrex Japan)吸気温度: 60℃排気温度: 27~30℃流動エアー量: 0.5~0.6m3/hrスプレー速度: 15g/minスプレーエアー圧: 150kPa後乾燥: 排気温度 45℃まで
L-HPC: LH-21, LH-31, LH-B1
粉体アセトアミノフェンD-マンニトール
液体L-HPCD-マンニトール精製水
20 (部)70
5590
打錠条件打錠機: ロータリー打錠機 VIRGO®
(菊水製作所)錠剤サイズ: 8mm-d, 10mm-r, 200mg/T.打錠圧: 予圧 3kN, 本圧 5~12.5kN打錠速度: 20rpm
造粒物に対して1.0部のSt-Mgを混合後、打錠を実施
マンニトール水溶液にL-HPCを分散し、アセトアミノフェン/マンニトールに噴霧して造粒を実施。
処方
6
P16水分散液造粒によるアセトアミノフェン含有水分散液造粒によるアセトアミノフェン含有ODOD錠の検討錠の検討
0
20
40
60
80
100
0 5 10 15
打錠圧 (kN)
錠剤
硬度
(N
)
0
5
10
15
20
0 20 40 60 80 100
錠剤硬度 (N)
崩壊
時間
(se
c)
LH-31, LH-21を用いることにより、目標物性 (硬度50N以上、崩壊時間30秒以内) を満たすOD錠を作製できた。
粒子径が小さいグレードほど優れた成形性を示し、粒子径が大きいグレードほど優れた崩壊性を示した。
LH-31
LH-21
LH-B1
LH-31
LH-21
LH-B1
P17LL--HPCHPC新製品新製品 NBDNBDグレードについてグレードについて
既存L-HPC (LH-21)NBDNBD
既存品
NBD-022 NBD-021 NBD-020 LH-21ヒドロキシプロポキシ基置換度 (%) 8 11 14 11平均粒子径(μm)-D50*1 45 45 45 4590% 積算粒子径 (μm)-D90*1 100 100 100 135粒子径比 (D90/D50) 2.2 2.2 2.2 3.0ゆるめ見掛密度 (g/ml) 0.32 0.32 0.32 0.39安息角 (°) 43 43 43 50特徴 高膨潤速度 標準品 高結合性 標準品
主用途乾式直打、
口腔内速崩壊錠用乾式直打、湿式造粒用
湿式造粒用 湿式造粒
新製品
NBDNBD
LH-21
代表値であり、規格値ではありません。*1 レーザー回折法
P18
0
100
200
300
400
500
600
0 50 100 150 200
打錠圧 (MPa)
錠剤
硬度
(N
)
球状粒子は緻密な構造で塑性変形しづらい。また、繊維状粒子はその絡み合いにより、成形性を示すが、1次粒子サイズが大きく、密な成形体を形成し辛い。
繊維状粒子が少なく、圧縮による再配列が容易で密な成形体を形成する。また、粒子サイズが均一で比表面積が大きいため、結合点増加により成形性向上。
緻密な構造の粒状物
長繊維状形態 多
長繊維状形態 少
1次粒子サイズ 小
圧縮
既存L-HPC
NBD
Tablet size: 11.3mmφ 480mg/T
cl-CMC-Na: Croscarmellose sodium
cl-PVP: Crospovidone
CMS-Na: Sodium starch glycolate
MCC : Microcrystalline cellulose
圧縮成形性圧縮成形性
圧縮
基剤単独の圧縮成形性
MCC PH-101
NBD-022, 021, 020
既存L-HPC LH-21
cl-PVP
cl-CMC-Na
CMS-Na
7
P19LL--HPCHPC水分散液粘度と口腔内における食感水分散液粘度と口腔内における食感
HPO置換度が低い程L-HPC水分散液粘度が低く、口腔内での食感に優れる。
参考文献 Shimizu et al. Chem. Pharm. Bull. 51(10) 1121—1127 (2003)
L/Dが小さい程、 L-HPC水分散液粘度が低い。
10
100
1000
0 1 2 3 4 5 6
L/D
L-H
PC
水分
散液
粘度
(m
Pa・
s)
1
10
100
1000
0 2 4 6 8 10 12 14 16
HPO置換度(%)
L-H
PC
水分
散液
粘度
(m
Pa・
s)
0
200
400
600
LH-11
LH-21
LH-B1
LH-22
NBD-022
NBD-021
NBD-020
水分
散液
粘度
(m
Pa・
s)
※ 水分散液粘度:
L-HPC 10%濃度 (20℃) における粘度
NBD
既存品
NBD
既存品
P20アセトアミノフェン含有乳糖系アセトアミノフェン含有乳糖系ODOD錠の検討錠の検討
造粒条件装置: Multiplex MP-01
(Powrex Japan)吸気温度: 60℃排気温度: 27~28℃流動エアー量: 0.45~0.6m3/hrスプレー速度: 12g/minスプレーエアー圧: 150kPa後乾燥: 排気温度 45℃まで
L-HPC: LH-21, NBD-022,NBD-021, NBD-020
粉体アセトアミノフェン乳糖 200M
液体L-HPC精製水
40 (部)50
10133
打錠条件打錠機: ロータリー打錠機 VIRGO®
(菊水製作所)錠剤サイズ: 8mm-d, 10mm-r, 200mg/T.打錠圧: 予圧 3kN, 本圧 5~12.5kN打錠速度: 20rpm
造粒物に対して1.0部のSt-Mgを混合後、打錠を実施
L-HPCの分散液 (7%濃度) をアセトアミノフェン/乳糖に噴霧して造粒を実施。
処方
P21
0
1 0 0
0 2 0
NBD-020
NBD-021
NBD-022
LH-21
0
20
40
60
80
0 5 10 15打錠圧 (kN)
錠剤
硬度
(N
)
0
10
20
30
40
0 20 40 60 80錠剤硬度 (N)
崩壊
時間
(se
c)
NBDは、従来品LH-21と比較して高い成型性を示した。
NBD品種間の比較では、HPO置換度の高い程成型性は向上
し、崩壊性はHPO置換度が低い程優れていた。
製剤化にあたっては目的に合わせて品種選定可能。
アセトアミノフェン含有乳糖系アセトアミノフェン含有乳糖系ODOD錠の検討錠の検討
8
P22小括小括
L-HPCの水分散液を、薬物及び糖又は糖アル
コールの混合物に噴霧し、流動層造粒を行うこと
により、高い錠剤硬度を有し、かつ、崩壊性に優
れるOD錠を製造できることが解った。
求める物性・目的に応じて、L-HPCの品種を自由
に選択可能。
P23乾式直打用賦形剤乾式直打用賦形剤 SmartEx™の開発
マンニトールをL-HPC水分散造粒した造粒物の製
品化を望む声があり、直打用賦形剤 SmartEx™の
開発に着手 (2011~)。
製品化にあたり、更なる成形性の改善が望まれた。
水溶性バインダーの検討及び処方改良を実施
P24水溶性バインダーの検討水溶性バインダーの検討と処方及び条件最適化と処方及び条件最適化
PVAを添加することにより、崩壊性をほとんど悪化させずに成形性の改善が
可能であった。
さらに、処方と条件を最適化することにより、更なる成形性の改善と崩壊性の
改善を達成した。
0
50
100
150
200
0 5 10 15
打錠圧(kN)
錠剤
硬度
(N)
0
10
20
30
40
0 50 100 150 200
錠剤硬度(N)
崩壊
時間
(se
c)
錠剤サイズ:8mm-d, 12mm-r, 200mg/T.
HPC: ヒドロキシプロピルセルロース、MC: メチルセルロース
HPMC: ヒドロキシプロピルメチルセルロース、PVA: ポリビニルアルコール
0
50
100
150
200
0 20
水溶性バインダーなし
HPC
MC
HPMC
PVA
PVA (処方及び条件最適化)
9
P25SmartEx™の粉体物性の粉体物性
SmartEx™ QD-50 SmartEx™ QD-100
0
2
4
6
8
10
1 10 100 1000粒径 (μm)
頻度
(%)
QD-50QD-100
QD-50 QD-100
平均粒子径 D50 (μm)* 57 86
90%積算粒子径 D90 (μm) 133 182
ゆるめ見掛密度 (g/mL) 0.45 0.44
固め見掛密度 (g/mL) 0.61 0.55
圧縮度 (%) 26 21
安息角 (°) 38 37
*レーザー回折法 (代表値であり規格値ではありません)
P26SmartEx™の吸湿性の吸湿性 (at 25(at 25℃℃))
SmartEx™は、相対湿度75%においても平衡含水率が1%程度と低いため、水分に
対して不安定な薬物にも適用可能である。
SmartEx™は、吸湿による固着の発生も認められなかった。
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0 20 40 60 80 100
相対湿度 (%)
平衡
含水
率 (
%)
D-Mannitol
SmartEx QD-50
SmartEx QD-100
A社ODT用賦形剤
B社ODT用賦形剤
C社ODT用賦形剤
D社ODT用賦形剤
P27
0
10
20
30
40
50
60
0 50 100 150 200錠剤硬度 (N)
崩壊
時間
(se
c)
0
50
100
150
200
250
0 5 10 15
打錠圧 (kN)
錠剤
硬度
(N
)
SmartEx™の成形性・崩壊性の成形性・崩壊性
SmartExTM QD-50 or QD-100
St-Mg
: 100 (部)
: 1.0
打錠機: ロータリー打錠機 VIRGO® (菊水製作所)
打錠圧: 予圧 3.0kN, 本圧 5.0~12.5kN
打錠速度: 20rpm
錠剤サイズ: 8mm-D, 12mm-R, 200mg/T.
両グレード共に、優れた成形性・崩壊性を示した。
QD-50は崩壊性に優れ、QD-100は成形性に優れていた。
QD-50
QD-100
QD-50
QD-100
錠剤組成 打錠条件
10
P28SmartEx™連続打錠時の錠剤物性バラツキ連続打錠時の錠剤物性バラツキ
打錠圧: 5.0kN
打錠速度: 40rpm
粉体供給: オープンフィードシュー
両グレード共に、流動性に優れ、バラツキが少ない錠剤を作製でき、
直打用賦形剤として有用な特性を示した。
打錠条件
QD-50
1時間の連続打錠を実施し、10分毎にサンプリングを行い、錠剤物性バラツキを評価した (n=20)。
QD-100
0
20
40
60
80
0 10 20 30 40 50 60 70
時間 (min)
錠剤
硬度
(N
)
崩壊
時間
(se
c)
190
195
200
205
210
錠剤
質量
(m
g)
0
20
40
60
80
0 10 20 30 40 50 60 70
時間 (min)
錠剤
硬度
(N
)
崩壊
時間
(se
c)
190
195
200
205
210
錠剤
質量
(m
g)
錠剤硬度 (RSD: 4.4%)
錠剤質量 (RSD: 0.40%)
崩壊時間 (RSD: 2.8%)
錠剤硬度 (RSD: 5.4%)
錠剤質量 (RSD: 0.46%)
崩壊時間 (RSD: 4.2%)
P29プラセボ錠の保存安定性プラセボ錠の保存安定性 ((錠剤水分、厚み錠剤水分、厚み))
両グレード共に、吸湿性が低く、加速試験後も錠剤水分が1%以下と低い値を
示した。また、錠剤厚み変化もほとんど生じず、安定であった。
打錠圧5kNで作製したプラセボ錠について、PP容器中、40℃75%RH、開放条件下、
6ヶ月間 (24週間) の加速安定性試験を実施した。
錠剤水分 錠剤厚み
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
0 5 10 15 20 25
保存期間 (Week)
錠剤
水分
(%)
QD-50
QD-100
3.7
3.8
3.9
4.0
4.1
4.2
4.3
0 5 10 15 20 25
保存期間 (Week)
錠剤
厚み
(m
m)
QD-50
QD-100
P30プラセボ錠の保存安定性プラセボ錠の保存安定性 ((錠剤硬度、崩壊時間錠剤硬度、崩壊時間))
QD-50は、錠剤硬度変化が少なく、崩壊時間に変化がみられず安定であった。
QD-100は、初期に硬度上昇と崩壊時間の延長がみられたが、その後は変化が
少なく、良好な崩壊性を示した。
打錠圧5kNで作製したプラセボ錠について、PP容器中、40℃75%RH、開放条件下、
6ヶ月間の加速安定性試験を実施した。
錠剤硬度 崩壊時間
40
50
60
70
80
90
100
0 5 10 15 20 25
保存期間 (Week)
錠剤
硬度
(N
)
QD-50
QD-100
0
5
10
15
20
25
30
0 5 10 15 20 25
保存期間 (Week)
崩壊
時間
(se
c)
QD-50
QD-100
11
P31SmartSmartExEx™™ののODOD錠への錠への適用適用 (1)(1)
どちらのグレードを用いても、良好な物性を示す顆粒含有OD錠を作製できた。
QD-50を使用したOD錠は優れた崩壊性を示し、QD-100を使用したOD錠は摩損性
が低い特徴を示した。
苦味マスキング顆粒*
SmartExTM QD-50 or QD-100
St-Mg
: 20 (部)
: 80
: 1
錠剤組成
錠剤サイズ: 8mm-D, 12mm-R, 200mg/T.
打錠圧: 8kN (QD-50), 7kN (QD-100)
打錠速度: 20rpm
打錠条件
核粒子 (結晶セルロース CELPHERE® CP-102) にアセトアミノフェンをレイヤリング (50wt%) 後、信越AQOAT®
(HPMCAS) (30wt%) でコーティングして調整 (平均粒子径: 230μm)。*
* in vitro口腔内崩壊時間:
トリコープテスタ (岡田精工製) による崩壊時間0
10
20
30
40
50
60
70
QD-50 QD-100
錠剤
硬度
(N
)
崩壊
時間
(se
c)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7摩
損度
(%)
錠剤硬度
日局崩壊時間
in vitro口腔内崩壊時間
摩損度
*
P32SmartSmartExEx™™ののODOD錠への適用錠への適用 (2)(2)
いずれの薬物においても、低打錠圧で十分な強度のOD錠が得られた。
水溶性の高い薬物であるVC錠は、AAP錠やETZ錠と比較して崩壊時間
が若干遅くなる傾向を示したが、何れも良好な崩壊性を示した。
API*
SmartExTM QD-50 or QD-100
St-Mg
: 10 (部)
: 90
: 1
アセトアミノフェン (AAP)
エテンザミド (ETZ)
アスコルビン酸 (VC)
錠剤組成 *API (微粉グレード)
錠剤サイズ: 8mm-D, 12mm-R, 200mg/T.
打錠圧: 予圧 3.0kN, 本圧 5.0kN
打錠速度: 20rpm
打錠条件
QD-50 QD-100
0
10
20
30
40
50
60
70
AAP錠 ETZ錠 VC錠
錠剤
硬度
(N
)崩
壊時
間 (
sec)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
摩損
度 (
%)
0
10
20
30
40
50
60
70
AAP錠 ETZ錠 VC錠
錠剤
硬度
(N
)崩
壊時
間 (
sec)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
摩損
度 (
%)
0 .0
0 .20 .4
0 .6
0 .8
錠剤硬度
日局崩壊時間
in vitro口腔内崩壊時間摩損度
P33
0
20
40
60
80
100
120
0 2 4 6 8 10
時間 (min)
溶出
率 (%)
AAPAAP錠と錠とETZETZ錠の溶出性錠の溶出性
PP容器中、OD錠を「40℃75%RH, 開放」
及び「50℃, 密栓」条件下にて3ヶ月保存
後、薬物溶出性を評価した。
溶出試験条件:
JP溶出試験 パドル法 50rpm
試験液 純水 900mL
いずれのOD錠も、速やかな
溶出性を示した。
QD-50を使用したOD錠は、
溶出性が全く変化せず、優れ
た安定性を示した。
QD-100を使用したOD錠は、
安定性試験後に1分後の溶
出率のみ若干低くなる傾向を
示した。0
20
40
60
80
100
120
0 2 4 6 8 10
時間 (min)
溶出
率 (%)
0
20
40
60
80
100
120
0 5 10 15 20 25 30
時間 (min)
溶出
率 (%)
QD-100 AAP錠 QD-100 ETZ錠
QD-50 AAP錠 QD-50 ETZ錠
0
20
40
60
80
100
120
0 5 10 15 20 25 30
時間 (min)
溶出
率 (%)
0
200initial 40℃75%RH, 開放, 3M 50℃, 密栓, 3M
12
P34SmartSmartExEx™™ののODOD錠への適用錠への適用 (3)(3)
アセトアミノフェン
SmartExTM QD-50 or QD-100
L-HPC NBD-022
アドソリダー101
St-Mg
: 50 (部)
: 43
: 5
: 1
: 1
錠剤組成
錠剤サイズ: 8mm-D, 12mm-R, 200mg/T.
打錠圧: 予圧 3.0kN, 本圧 8.0kN
打錠速度: 20rpm
打錠条件
* in vitro口腔内崩壊時間:
トリコープテスタ (岡田精工製) による崩壊時間
どちらのグレードを用いても、良好な物性を示すOD錠を作製できた。
0
10
20
30
40
50
60
70
QD-50 QD-100
錠剤
硬度
(N
)
崩壊
時間
(se
c)
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
摩損
度 (%)
錠剤硬度
日局崩壊時間
in vitro口腔内崩壊時間
摩損度
*
P35最後に最後に
SmartEx™は、流動性、成形性、崩壊性、保存
安定性に優れ、直打用賦形剤として有用な特性
を示した。
SmartEx™を使用することにより、十分な強度と
崩壊性を備えるOD錠を作製可能であった。
SmartEx™が処方設計及び工程の簡略化に貢
献し、コストカット、生産性アップの一助となれば
幸いである。