Word 原稿からフォーマットを活かして取り込んだときの、InDesignCS3 と Quark8.1 の比較 条件 支給された word 原稿は 2007 バージョンで .docx で保存されていたため、MS サイトからパッ チをダウンロードして Windows 上で .doc に変換保存した。これを配置あるいは取り込んだと きの違いをテストしてみた。どちらも同じ条件で制作している。 ●制作条件 A5 縦サイズのファイル、テキストは 2 段組、グリッド使用。取り込みの後で段落スタイルを 設定して適用していく。word からの取り込み時には「フォーマットを保持」や「スタイルシー トを含む」をチェックする。 1. それぞれ txt ボックスを作成し、グリッドを適用して自動流し込みができるように設定しておく。 流し込み直後の状態 InDesign word で指定したフォントとサイズがそのまま生きてくる。word の段落スタイル(標 準)もいっしょに流し込まれる。ルビはそのまま適用されている。ただし、流し込 む前に、いったん段落スタイルを選択すると全ての文字に自動的に適用される。 流し込み直後の状態 Quark word で指定したフォントとサイズがそのまま生きてくる。同時に word 上のスタ イルがスタイルシートに全て入ってくる。作業的には邪魔なのでこれらのスタイ ルは全て削除した。

Word原稿からフォーマットを活かして取り込んだときの … · InDesignでQuarkファイルを開く 1.ファイルの互換性について InDesignでQuarkXPressのファイルを開くことができるのは、version4.1以前のものだけである。

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Word 原稿からフォーマットを活かして取り込んだときの、InDesignCS3 と Quark8.1 の比較

条件

支給されたword 原稿は 2007 バージョンで .docx で保存されていたため、MSサイトからパッ

チをダウンロードしてWindows 上で .doc に変換保存した。これを配置あるいは取り込んだと

きの違いをテストしてみた。どちらも同じ条件で制作している。

●制作条件

A5縦サイズのファイル、テキストは 2段組、グリッド使用。取り込みの後で段落スタイルを

設定して適用していく。word からの取り込み時には「フォーマットを保持」や「スタイルシー

トを含む」をチェックする。

1. それぞれ txt ボックスを作成し、グリッドを適用して自動流し込みができるように設定しておく。

流し込み直後の状態 InDesign

wordで指定したフォントとサイズがそのまま生きてくる。wordの段落スタイル(標

準)もいっしょに流し込まれる。ルビはそのまま適用されている。ただし、流し込

む前に、いったん段落スタイルを選択すると全ての文字に自動的に適用される。

流し込み直後の状態 Quark

word で指定したフォントとサイズがそのまま生きてくる。同時に word 上のスタ

イルがスタイルシートに全て入ってくる。作業的には邪魔なのでこれらのスタイ

ルは全て削除した。

2. どちらでも自動ページ挿入機能が途中で停止した。

InDesign

InDesign の場合

txt ボックスの最終にでるオーバーフロー

マーク▼をクリックして、次のページで

Shift を押しながらクリックすると自動レ

イアウトしてページを追加していく。ただ

し、途中で停止するので同じ作業を繰り返

す。新規ページでスプレッドがずれること

があるので、ページをあらかじめ追加して

おくとスムーズに行く。

Quark

Quark

最終 txt ボックスの改行マークをいくつか

削除すると、連続的にページが挿入され流

し込まれる。word 上に入れられた何かで

txt が終了したように判断されるようだ。

3. ルビについて

どちらも word で指定したルビが生きてくる。ただし段落スタイルで指定するとき、InDesign はルビの設定まで適用

できるが、Quark の段落スタイルにはルビ設定がないので最終的にフォント置き換えで対応する。このためルビの設

定を変えたい場合は個々に行うことになる。

InDesign Quark

4. 各段落設定について

段落スタイルを設定していく時、Qxp の場合は段落スタイルを決めて、Word で設定されている特定フォントとサイ

ズを検索し置換でスタイルを適用していく。置換設定する時スタイルシートをチェックして選択してもフォントやサ

イズがそのままになっている。自動的にスタイルシートの設定が読み込まれると使いやすい。

Indd の場合、検索置換でスタイル適用できないようなので、いったん全部を選択して本文を設定。その後節タイトル

やキャッチ部分を設定していく。こちらは強制適用するとルビもスタイルで決めたように設定できる。

5. 表組部分について

word の表組機能を使用して組まれた表は、Indd では表として読み取られる。ただ、そのままでは文字フローにかかっ

てしまうので、コピーして別扱いにした方が処理しやすい。Qxp の場合は表形式で読み込まれず、通常の txt として

流れる。セル間の送りはタブでなくスペースが入っている。

Word の比較的複雑な表組み原稿も Indd に配置するとほぼ同じ形で表として配置された。同じ原稿をQxp へ取り込

んでみたがやはり通常の txt になってしまう。

最終的には InDesign,Quak とも差があるといえない。グラフィックのアンカーなどもほとんど差がない。同

じような機能が別の名前で呼ばれていたりするので、とまどうが結局は同じような機能が見つかったりする。

(InDesign のプレビューボタンのようなものがQuak にもないかと探したが、ウインドウ分割機能を使って片

方の表示でガイドなどを消せば全く同じように使える。)

Excel との txt リンクなどとあわせて考えても、必ずどちらかでないといけないということはなさそうだ。仕

事の内容と今回のようにWord が原稿の場合、Word でどのように作ってあるかということをベースに選択

していけば良いと思う。出力に関しての比較として、同じページを pdf 書き出ししてみた。PDF/X1-a でト

ンボ付。

InDesign で Quark ファイルを開く

1. ファイルの互換性について

InDesign で QuarkXPress のファイルを開くことができるのは、version4.1 以前のものだけである。

OSX対応の 6.5 及び 8.1 はグレー表示になって開くことはできない。

2. ファイル変換テスト

QuarkXPress3.3 のファイルを開いてみる。(制作時にはOCFフォントを使用)

Ver6.5 8.1 はグレー表示される

全てのファイルを表示させ開こうとするとエラーメッセージが出る

フォントに関するメッセージ。この段階では置換できない。

そのまま開いた状態。オーバーフローしているテキストボックスがあり、全てのフォントに警告の赤いアミが入っている。

表部分の拡大

フォント検索置換で OTF に置き換える。この時「すべてを置換した時に…」の項目にチェックを入れておくと、段落スタイルや文字スタイルのフォントも置き換えられる。

次段落との行間設定方法が Quarkと異なるためか、突然行間が空いてしまうことがある。

テキストボックス内のベースラインの扱い、行間設定の差などが原因と思われるレイアウトのズレが発生してくる。さらに任意に置いたオブジェクト(ライン等)とテキストボックスのズレも発生している。一括で処理する方法はない?

レイアウトのズレが発生するのは DTPソフトとしては致命的だが、注意深くチェックしていけば対応できそうだ。しかしページ数が増えてきたときは大変な作業になる。これ以外に最初の行にルビが入ってくるとtxt ボックスの位置がずれる等、気をつけなければいけない箇所が結構出てくる。各ページ全て精査していくことを前提に変換することになる。6.5 以前のバージョンは表組機能が無いので上記のような作り方の表が多い。タブで揃えているので Indd の表作成で作りなおすことも可能だが大変な作業になる。

その他、Quark の特性に基づいたレイアウトもあり、想像外のレイアウトズレがでる可能性がある。どうしても InDesign へ変換する必要が無ければ、制作元のアプリケーションで対応するのが間違いない。

次に同じファイルを新しいバージョンの QuarkXPress8.1 で開いてみる。

QuarkXPress8.1 で旧バージョンファイルを開く

1.OCF使用の 3.3 バージョン

前ページの Indd のテストと同じファイルを開いてみる。

フォント違いの警告が出る。ここでフォント置換を行ってもよいが、今回はこのまま続ける。

フォントは全て標準設定のリュウミン L-KL に置き換えられているが、個々のフォント指定は生きているので、一括で OTFフォントに置き換える

フォント検索置換で置き換えてもよいが、今回は補助メニューにあるプラグインOCF2OTF で一括で対応するフォントに置き換える。レイアウトのズレなども無くオリジナルと全く同じ体裁になる。

Quark で作成したデータをQuark8.1 で開くのだから通常通り開いて当たり前だが、OCF からOTF に変わったことで若干の体裁の変更はあるようだ。Dr. カーニングで文字つめした箇所に OTF の文字詰めを入れた段落スタイルを新たに設定すると、2 重にかかって詰まりすぎることがある。その時は段落スタイルを強制適用するとなおる。Indd で開いてレイアウトのズレがでた箇所を個々に直していくより、元来のソフトで開く方が無理がない。