Webデザイナーのためのマーケティング基礎講座

Webデザイナーのための

マーケティング基礎講座Marketing Basic Course for Web Designers

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略歴：

枌谷力（そぎたにつとむ）

立教大学文学部史学科卒。1997年～2001年まで株式会社NTTデータでコンサル営業に従事。その後、Web業界に転職。Webデザイナー/Webディレクターとして6年間制作会社でWebデザインやWebビジネスの提案業務に携わる。2007年にフリーランスとして独立。2010年に株式会社ベイジ設立。現在に至る。

名前：

株式会社ベイジ所属：

～自己紹介～

職業：代表／プロデューサー／アートディレクター


～本講義のゴール～

“マーケティング視点”でデザインが見れるようになるキッカケを作ること


序章Introduction

第1章


マーケティングとは？Definition of Marketing.


マーケティング【marketing】とは、顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動の全てを表す概念

出典：wikipedia


マーケティングとWebデザインの関係は？Relationship of Marketing and Web Design.


マーケティング戦略

広告 PR ・・・商品開発

テレビ新聞ネット雑誌交通広告・・・

バナー SNS ・・・Webサイトモバイル

機能 Webデザイン・・・コンテンツテクノロジー


マーケティングを理解してないとキレイなWebデザインはできてもビジネスの目的に合致した正しいWebデザインはできない。


マーケティング視点でデザインができないと・・・

■デザインに説得力がでない。

■具体的な指示がないとデザインができない。

■自分でアイデアを出しても提案できない。

■説明やプレゼンができない。

■キャリアアップができない。


マーケティング視点のデザインとは？

Web Design from Marketing Logic.


【マーケティング視点じゃないデザイン】

×青色が映えるから、補色の黄色を使った。

×全体が硬いイメージになりすぎたから、角丸にした。

×レイアウトが窮屈だから、余白を多めに使った。

×キレイな写真だったので、メインビジュアルにした。

×デザイナーの間で流行ってる書体だから、採用した。

×スタイリッシュだから、海外サイトのようにした。


部分最適の判断基準としては必ずしも間違ってはいないが、これらはデザイン視点であって、マーケティング視点ではない


【マーケティング視点のデザイン】

〇ターゲットに対し、誠実なイメージをより強く訴求した方がいいため、青の面積を広めに使った。

〇競合とのイメージ面での差別化が不可欠であるため、競合が使っている都市イメージのビジュアル以外から選んだ。

〇論理的な説明が必要な種類の商材だから、ファーストビューではコピーがまず飛び込むデザインにした。

〇女性層を獲得するためのキャンペーンだから、曲線を活かした女性的なフォルムを多用すべきと判断した。


マーケティング視点のデザインではデザインの理屈ではなくビジネスの理屈から解を導くからデザインに説得力が出る。


マーケティングを勉強してできること／できないこと

Ability and Inability of Marketing Study.


マーケティングを勉強してできるようになること

■ビジネス視点でデザインが考えられるようになる。

■ゴールを理解してデザインができるようになる。

■説得力のあるデザインができるようになる。

■論理的に思考を組み立てることができるようになる。

■デザインの大局的な意味が見えてくる。

■オリエンからビジネス的な文脈が見えてくる。

■ビジネスパーソンと対等に話ができるようになる。


マーケティングを勉強してできるように“ならない”こと

■デザインがうまくなる。

■デザインのセンスが養われる。

■良い写真やイラストを選べるようになる。

■デザインのトレンドを掴めるようになる。

■ Photoshopなどのアプリの使い方がうまくなる。

■デザインの知識が増えていく。


マーケティング視点を身に付けても今日、明日の仕事を楽にはしてくれない。ただし、キャリアを長い目で見たとき、必ず良い影響を与えてくれる。


マーケティング概要Outline Of Marketing

第2章


マーケティング視点を身に付ける方法

1. マーケティングのプロセスを知る2. プロセスに登場する視点、切り口でデザインを考える


01 分析する～アナライズ【Analyze】

02 戦略を決める～ストラテジー【Strategy】

03 対象を決める～ターゲティング【Targeting】

04 位置を決める～ポジショニング【Positioning】

05 伝える～コミュニケーション【Communication】

マーケティングの5STEP


マーケティングの5STEP01 分析する～アナライズ【Analyze】






分析の3領域

マクロ環境

外部要因

内部要因


内部要因

企業やサービスの内側にある要因

商品ラインナップ

資金力

技術力

販売体制

ブランド

組織力


市場（顧客）

代替

供給者競合外部要因

企業やサービスを取り巻く業界内の環境要因


人口動態

技術の趨勢

社会・文化

政治・法律

経済

自然環境

マクロ環境

企業やサービスに影響を与えている非常に大きな環境要因


実践Practice


競合

代替



■野菜が手軽に食べられる。

■野菜がおいしく食べられる。

■野菜が低カロリーで食べられる。

■野菜が素早く食べられる。

競合にも代替にも勝てる点



Panasonic LUMIX LX7


■ラインナップ LUMIXシリーズのハイエンド機種

■ブランド LUMIX = 浜崎あゆみ？綾瀬はるか？

■技術コンデジトップクラスの明るさ

■体制ライカとの提携関係


弊社実績


デザイナーが持つべき視点

このWebサイトは、どういうマクロ環境のもとで必要とされているのだろうか？

Webサイトには、どのような競合、代替、顧客、供給先が存在しているのだろうか？

Webサイトを作る企業には、どういう事情、強み、バックボーンがあるのだろうか？

外部要因・内部要因から発想していくと、どういうデザインになるだろうか？









～競争優位の戦略～

コストリーダーシップ差別化ニッチ

Cost LeadershipDifferentiation Niche

～戦略の全体像～

多角化Divarsification

集中と選択Concentration and Choice


多角化

■ソニー

■東急グループ

■花王

■東芝

■トヨタ自動車

■NTTグループ

■ JT

■ソフトバンク

Divarsification

事業やビジネス領域を同時に広げていく経営戦略。


コストリーダーシップ戦略

より低価格で提供することで優位に立つ戦略。

■西友

■ヤマダ電機

■ユニクロ

■エイサー

■すき家

■マクドナルド

■ニトリ

■スシロー

Cost Leadership


差別化戦略

価格以外の差別化ポイントで優位に立つ戦略。

■アップル

■モスバーガー

■任天堂

■伊勢丹

■スターバックス

■無印良品

■オリエンタルランド

■パタゴニア

Differentiation


ニッチ戦略

他社との競争のない狭い分野を狙う戦略。

■ヤマト運輸

■フェラーリ

■日本電産（モーター）

■かどや製油（ゴマ製品）

■アスクル

■ローム（半導体）

■マニー（医療器具）

■タカタ（安全器具）

Niche


実践Practice


多角経営企業のコーポレートサイトはどうなりますか？

~ Question ~



コストリーダーシップ戦略をとっている企業・サービスのサイトはどうなりますか？

~ Question ~



Cocorose London


■折り畳みができる

■折り畳めるけどオシャレ

■英国のセレブが愛用


弊社実績


微細な超音波振動と加圧力によって瞬時に溶融し、接合する加工技術

超音波溶着


弊社実績



企業の基本的な経営方針は多角化なのか、集中と選択なのか？

コストリーダーシップ戦略であるならば、価格を前面に出す必要はないのだろうか？

差別化戦略であるなら、差別化ポイントは何で、どのような優先順位で表現すべきか？

ニッチ戦略であれば、限定的なニーズに対して、Webサイトはどうあるべきだろうか？









デモグラフィックサイコグラフィックニーズ・ウォンツdemographic Phycographic Needs,Wants

～ターゲティングの3つの視点～


デモグラフィック

人口統計学的属性を基準にターゲットをセグメント化する伝統的な手法

■年齢

■学歴

■婚姻歴

■性別

■地域

■家族構成

Demographic

■職業

■出身

■所得

■国籍


M1層F2層


■ C1層：4～12歳の子供

■ C2層：13～19歳の子供

■ F1層： 20～34歳の女性

■ F2層： 35～49歳の女性

■ F3層：50歳以上の女性

■M1層：20～34歳の男性

■M2層：35～49歳の男性

■M3層：50歳以上の男性


サイコグラフィック

ユーザの心理的特性の視点から、ターゲットをセグメントする手法

■ライフスタイル

■価値観

■購買動機

■趣味趣向

Phycographic

■性格（キャラクター）

■態度（好意・批判）

■利用頻度

■消費行動パターン


ニーズ・ウォンツ

人々の潜在的・顕在的ニーズの種類によって、ターゲットをセグメントする手法

■気軽に乗りたい

■安く乗りたい

■大人数で使いたい

■用途が多い方がいい

Needs and Wants

■丈夫な車がほしい

■事故のリスクを少なく

■自己主張をしたい

■環境にやさしい車がいい


実践Practice


ドイツの化粧品会社。日本では白髪染めで有名。デモグラフィックでいうとどういうユーザがターゲット？


30代後半以降の女性



高級アイスクリームブランド。サイコグラフィックでいうと、どういうユーザがターゲット？


甘いもの好き。充実感、達成感のあった日に自分へのご褒美を買う人。少し高価なスイーツを食べて、至福の時間を楽しむ人がターゲット。



■ PCで疲れないメガネがほしい

■軽くて壊れないメガネがほしい

■スーツに似合うメガネがほしい




デモグラフィック、ライフスタイル、ニーズ・ウィンツの、どれで考えられたターゲットか？

デモグラフィックの場合、そこから落とし込んでターゲットを絞り込んで考えられないか？

ライフスタイルであれば、それに関連付けできるデザインが考えられないか？

ニーズ・ウォンツであれば、ユーザのモチベーションを高めるデザインはどういうのがいいか？









ポジショニングとは

どの領域のNo.1を目指すかということ


既存カテゴリのNo.1

既存のマーケットでNo.1になる。


新カテゴリのNo.1

新しいカテゴリを創出してNo.1になる。


サブカテゴリのNo.1

既存カテゴリのサブカテゴリでNo.1になる。


No.1のチャレンジャー

No.1に立ち向かうチャレンジャーになる。


魅力的なフォロアー

フォロアーであることを活用し、No.1を目指す。


実践Practice


新しいカテゴリのサービス。No.1を目指して各社立ちあがったところ。

スマートフォン決済



フェラーリに対するチャレンジャー


弊社実績


フォロアー・チャレンジャーの戦い方①

模倣する


リーダー：ポカリスエットフォロアー：アクエリアス


フォロアー・チャレンジャーの戦い方②

No.1、リーダーをリポジションングする


伊右衛門 SUBWAY



Webサイトは、どのポジションを狙ったものか？

新しいカテゴリのリーダーであれば、そのカテゴリの価値はどのように伝えればいいか？

チャレンジャーやフォロアーであれば、リーダーに対してどういう見せ方をすればいいか？

そのブランドが目指しているポジションから、デザインのモチーフが生み出せないか？









広告 PR SP

～Webが関わる主なコミュニケーション方法～

営業クチコミダイレクト

マーケティング

キャンペーンイベントメディア運営


広告

テレビ、雑誌、ラジオ、交通機関など、人が集まるメディアにお金を出して露出する。

■バナー広告

■ランディングページ

■スペシャルサイト



PR

話題を提供し、メディアに取り上げてもらう手法。直接的にメディアにお金を払うことはない。

■プレスリリース

■ PRイベントページ


■ Facebookページ



SPツール

店頭ツール、サンプル、クーポンなど。コンタクトポイントで直接的なコミュニケーションを行う。

■デジタルサイネージ

■ SP用アプリ

■店頭デモ

■クーポンページ



ダイレクトマーケティング

メディアや営業などを介さず、また場所や時間的制約を受けずに、直接コミュニケーションを行う。

■メールマガジン

■ステップメール

■会員向けサイト

■デジタルカタログ



クチコミ

消費者から消費者にコミュニケーション。SNSの発達で注目されているが、昔から存在する手法ではある。


■ Twitterアカウント


■ Youtubeチャンネル



営業

営業担当のスタッフによって顧客とのコミュニケーションを行う。特にB2B商材などではメインとなる。

■ B2Bサイト

■会員向けサイト

■営業支援ツール

■顧客管理ページ


弊社実績


キャンペーン・イベント

オープン／クローズドな各種キャンペーンやイベントを行い、顧客との設定を創りだす。

■キャンペーンサイト


■バナー広告

■ Twitterアカウント



メディア運営

自らWebメディアを運営し、そこへの集客によってコミュニケーションを図る。

■コーポレートサイト

■ブログ

■情報ポータル




作ろうとしているWebサイトは、どういったコミュニケーションの用途のためか？

コミュニケーションの目的は何で、Webサイトで優先されることはなんなのか？

コミュニーションの目的を考えたときに、最適なデザインとはどういうものなのだろうか？


最後にClosing

第3章


マーケティングの知識をデザインに活かすための3つのポイント


多面的に考える


結論は自分で出す


議論する


ご清聴ありがとうございました

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