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Fig. 1 Oil pressure parts for automotive (a) (b) Fig. 2 Defects on the bottom face Fig. 3 Algorithm of defect detection system スタート 画像の読み込み 前処理 傾き補正 エッジ強調 本処理 Wavelet変換(分解) 高周波成分の抽出 後処理 キズの判別 画像の出力 終了 領域抽出 ラベリング Wavelet 変換を用いた画像処理によるキズ検査に関する研究 茨大院 高森 郁, 茨大院 小野 真志, 野々村 和隆, 茨大工 周 立波, 尾嶌 裕隆 A study of defect detection by image processing using wavelet transform Graduate school, Ibaraki University, Kaoru TAKAMORI, Masashi ONO, Kazutaka NONOMURA, Ibaraki University, Libo ZHOU, Hirotaka OJIMA Today, there is an increased need for quality control in the manufacturing sectors. And the automation of the defect detection is an indispensable to fulfill the requirement. In this paper, we propose a algorithm of surface defect detection by the image processing that used the wavelet transform. The algorithm is based on the differences of defect in the spatial frequency. Described in this paper are the details of algorithm and experimental results. Keywords: defect detection, image processing, wavelet, lifting scheme 1. 諸 言 今日,ものつくりの分野において製品の検査行程自動化は, 生産性の向上および品質保障において不可欠な技術になっ ている.そこで本研究では,部品表面のキズ検査を自動化す るためのキズ検出アルゴリズムの設計と開発を行った. キズ部分の空間周波数は,キズのない表面のそれに比べ大 きな値を持つ.本研究では,このような空間周波数の違いを 利用するため,画像の高周波成分取得に Wavelet 変換を用い る. Fig.1 は検査対象の自動車用油圧部品を示しており, Fig.2 は油圧部品の円筒底面の拡大画像である.検出を試みるキズ は,Fig.2 中の丸で囲まれた部分のキズである. 2. 検査方法 従来,画像処理によるキズ検査にはパターンマッチングが よく用いられているが,本研究では幾何情報を持たないキズ を扱うため, Fig.3 の検査アルゴリズムを提案する.検査方法 は,前処理,本処理,後処理の 3 段階から成る. 前処理では,エッジを強調するための処理を施す.まず, 円筒底面の傾きを最小二乗法により水平に補正する.その後, エッジ保存スムージングという手法を用い,エッジを強調し, その他のノイズは平滑化する.この 2 つのステップが前処理 である. 本処理では,前処理を施した画像に Lifting scheme を用い Wavelet 変換を行い,画像をウェーブレット係数(高周波 成分)とスケーリング関数係数(低周波成分)に分解する. Lifting scheme の分解と再構築のアルゴリズムを Fig.4 に示す [1].分解後,再構築は行わず,各レベルの高周波成分を抽出 し,1 枚の画像に結合する.その際,輝度値に対してハード しきい値処理を行い,得た画像を二値化する.輝度値に対す るしきい値 λ は,画像処理で一般的に用いられる以下の式に より設定した. σ λ * 3 = (1) ここで,σ は標準偏差である. さらに,後処理としてキズの検出を行う.まず,本処理後 の高周波成分の円筒底面領域のみを抽出する.抽出した領域 のデータに対し,ラベリングを行い,高周波成分を示すピク セルが密集している場合,同じラベルを与える.通常のラベ リングでは,対象ピクセルとの距離が 1 である,周囲 8 ピク セルに検索を行うが,今回は,対象ピクセルとの距離を 5 した.その後,与えられたラベルを用いてキズの判別を行う. 10 - 417 - G02

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Fig. 1 Oil pressure parts for automotive

(a) (b) Fig. 2 Defects on the bottom face

Fig. 3 Algorithm of defect detection system

スタート

画像の読み込み

前処理

傾き補正

エッジ強調

本処理

Wavelet変換(分解)

高周波成分の抽出

後処理

キズの判別

画像の出力

終了

領域抽出

ラベリング

Wavelet 変換を用いた画像処理によるキズ検査に関する研究

茨大院 ○高森 郁, 茨大院 小野 真志, 野々村 和隆, 茨大工 周 立波, 尾嶌 裕隆

A study of defect detection by image processing using wavelet transform Graduate school, Ibaraki University, Kaoru TAKAMORI, Masashi ONO, Kazutaka NONOMURA,

Ibaraki University, Libo ZHOU, Hirotaka OJIMA Today, there is an increased need for quality control in the manufacturing sectors. And the automation of the defect

detection is an indispensable to fulfill the requirement. In this paper, we propose a algorithm of surface defect detection by the image processing that used the wavelet transform. The algorithm is based on the differences of defect in the spatial frequency. Described in this paper are the details of algorithm and experimental results.

Keywords: defect detection, image processing, wavelet, lifting scheme

1. 諸 言

今日,ものつくりの分野において製品の検査行程自動化は,

生産性の向上および品質保障において不可欠な技術になっ

ている.そこで本研究では,部品表面のキズ検査を自動化す

るためのキズ検出アルゴリズムの設計と開発を行った. キズ部分の空間周波数は,キズのない表面のそれに比べ大

きな値を持つ.本研究では,このような空間周波数の違いを

利用するため,画像の高周波成分取得に Wavelet 変換を用い

る.Fig.1 は検査対象の自動車用油圧部品を示しており,Fig.2は油圧部品の円筒底面の拡大画像である.検出を試みるキズ

は,Fig.2 中の丸で囲まれた部分のキズである.

2. 検査方法

従来,画像処理によるキズ検査にはパターンマッチングが

よく用いられているが,本研究では幾何情報を持たないキズ

を扱うため,Fig.3 の検査アルゴリズムを提案する.検査方法

は,前処理,本処理,後処理の 3 段階から成る. 前処理では,エッジを強調するための処理を施す.まず,

円筒底面の傾きを最小二乗法により水平に補正する.その後,

エッジ保存スムージングという手法を用い,エッジを強調し,

その他のノイズは平滑化する.この 2 つのステップが前処理

である. 本処理では,前処理を施した画像に Lifting scheme を用い

て Wavelet 変換を行い,画像をウェーブレット係数(高周波

成分)とスケーリング関数係数(低周波成分)に分解する.

Lifting scheme の分解と再構築のアルゴリズムを Fig.4 に示す

[1].分解後,再構築は行わず,各レベルの高周波成分を抽出

し,1 枚の画像に結合する.その際,輝度値に対してハード

しきい値処理を行い,得た画像を二値化する.輝度値に対す

るしきい値 λは,画像処理で一般的に用いられる以下の式に

より設定した.

σλ *3= (1) ここで,σは標準偏差である. さらに,後処理としてキズの検出を行う.まず,本処理後

の高周波成分の円筒底面領域のみを抽出する.抽出した領域

のデータに対し,ラベリングを行い,高周波成分を示すピク

セルが密集している場合,同じラベルを与える.通常のラベ

リングでは,対象ピクセルとの距離が 1 である,周囲 8 ピク

セルに検索を行うが,今回は,対象ピクセルとの距離を 5 と

した.その後,与えられたラベルを用いてキズの判別を行う.

2010年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集-417-

G02

(a) (b) Fig. 5 Results of pre-processing

Fig. 4 Algorithm of lifting wavelet decomposition (i) and reconstruction (ii)

split predict update

+

-

even( )

odd( )

Low frequencydomain

High frequencydomain

mergeupdate predict

+

-even( )

odd( )High frequencydomain

Low frequencydomain

Decomposition (WT)

Reconstruction (IWT)

ls

lns2

lns 12 +

1−ls

1−ld

ls

ld

lns2

lns 12 +

(a) (b) Fig. 7 Results of post-processing

(ii)

(i)

(a) (b) Fig. 6 Result of main-processing

キズの判別のしきい値には,抽出した円筒底面積に対する,

同じラベルを持つピクセル集合の面積の割合を用い,しきい

値以上の面積を持つピクセル集合をキズと判別する.キズと

判別されたピクセル集合の重心をキズの位置,円筒底面積に

対するピクセル集合の面積の割合をキズの程度とした.検出

したキズのそれぞれの位置に,キズの程度を示し,画像を出

力する.

3. 検査結果および考察

Fig.5,Fig.6,Fig.7 に,Fig.2(a),(b)の前処理,本処理,後処

理後の結果を示す. Fig.5 では,(a),(b)ともに前処理を施す前より,キズが鮮明

に現れている.傾き補正を行うことで,円筒底面部の輝度値

の偏りがなくなり,エッジ保存スムージングを施すことで,

キズ部分と,その他の領域のコントラストが強調されたと考

えられる. Fig.6 は,Wavelet 変換の分解レベルを-3 までとし,本処理を

行い,得た高周波成分である.高周波成分として,エッジで

ある円筒底面の淵とキズがはっきりと抽出されている.前処

理において,コントラストの強調を行ったことで,はっきり

とした高周波成分の像が得られたと考えられる. Fig.7 は検出されたキズを示している.図中の円はキズの重

心位置,示された値はキズの程度である.キズ判別のしきい

値は,円筒底面積に対し 400ppm とした.Fig.2 中の丸で囲ま

れたキズは,全て検出されていることがわかる.しかし,キ

ズ以外でも検出された個所がみられる.これは,円筒底面領

域の抽出時に円筒の淵も抽出され,高周波成分が密集してし

まったためである.このような誤検出をなくすには,正確な

円筒底面領域の抽出,また,そのためのより鮮明な高周波成

分像が必要である.

4. 結 言

自動車用油圧部品の円筒底面部表面のキズを画像処理によ

り検出するアルゴリズムの設計と開発を行った.キズの境界

部分に存在する空間周波数の違いを利用するために,Wavelet変換の Lifting scheme を用いた.また,より鮮明な高周波成分

像を得るために,Wavelet 変換の前処理として,傾き補正とエ

ッジ保存スムージングを取り入れた.さらに,キズの判別に

は,ラベリングを用いて高周波成分の集合を検出し,集合の

面積をキズの程度として判断した.提案アルゴリズムを用い

て検査した結果,検査対象の全てのキズが検出されたが,キ

ズ以外にも検出された個所があった.この結果から,検査精

度向上のための課題として,より鮮明な高周波成分の像を得

るための前処理,本処理の開発が挙げられる.また,円筒底

面の淵周辺のキズは,今回提案した方法では検出できない.

そのため,それらのキズはタイプ分けをして検査する必要が

あり,その検査アルゴリズムの開発も今後の課題である.

参考文献

[1] Wim Sweldens, the lifting scheme:A construction of second generation wavelets,(1996) 14-16

[2] 戸田浩,ウェーブレット実践講座,ソフトバンククリエイ

ティブ,(2005) 142

2010年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集-418-

G02