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84 AUTOCAR 05/2012
VOLKSWAGEN UP
ROAD TEST No 5041
WE LIKE
WE DON’T LIKE
フォルクスワーゲン・アップ
MODEL TESTED ◎テスト車輌概要
実際の燃費、上級感のあるインテリア、賞賛に値する開放感
トップグレードの価格、コンセプトカーに比べるとつまらない点
同時期にコンセプトを発表しながら発売で先行を許したトヨタiQの後を追うアップだが、VWはゴルフで確立したクオリティを、このコンパクトなニューモデルでも見せつけるのか。
●モデル名:VOLKSWAGEN UP HIGH UP 1.0●車両本体価格:邦貨換算約160万円●日本発売時期:未発売●最高出力:75ps/6200rpm●最大トルク:9.7kgm/3000-4300rpm●0-97km/h加速:13.8秒●113-0km/h制動距離:49.8m●最大求心加速度:0.88G●テスト平均燃費:15.6km/ℓ●二酸化炭素排出量:108g/km
photo: Stan Papior(スタン・ペイピア)
1 FRONT NOSEフロントノーズ
ノーズデザインはコンセプトカーからほとんどそのまま持ち込まれた。ただし、ボンネット下にあった収納スペースに代わって、3気筒エンジンが横置きされている。
3 ALLOY WHEELSアロイホイール
15インチの“スポーク”アルミホイールはハイアップ・グレード用の装備だ。それ以外のグレードは14インチのアルミホイールを標準装備する。
2 FOGLIGHTSフォグライト
このモデルのワイドな笑い顔を、フロントのフォグランプが多少なりとも中和している。だが、価格の高いトップグレードにのみ標準となる装備だ。
4 SUNROOFサンルーフ
ハイアップ・グレードでさえ、パノラミックサンルーフは標準装備ではない。これは邦貨換算約10万円のオプションである。
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85 AUTOCAR 05/2012
PORSCHE 911 ROAD TEST
VWは、ハッチバック作りにおいては長く優秀な歴史を持っているが、シティカーの歴史については、その系譜に目立った痕跡を刻めていない。1950年代と1960年代にフィアット500とミニが成功を収めたにもかかわらず、VWはそのジャンルが再び脚光を浴びる1990年代まで待ってから、リブランドしたセアト・アローザをルポとして発表した。そのクルマを2005年に引き継いだのが、安価だが全般的に不人気だったブラジル生産のフォックスであった。
HISTORYアップの祖先
5 BELTLINEベルトライン
アップの高いベルトラインはデザイン上の必要性からだが、巨大なCピラーのせいで、小さな子供から外が見えないと不満が出るかもしれない。
7 REAR BUMPERリヤバンパー
リヤバンパーのディテールでフロントグリルの形状を再現させ、すっきりと調和したフォルムを提供している。
6 BADGE車名エンブレム
VWはルポのバッジを継続するプランも検討したそうだが、結局はコンセプトカーの名前を市販モデルに採用する懸命なる決断を下した。残念ながら感嘆符もついてきた。
8 BOOT CATCHリヤゲートの開閉
トランクのオープナーをVWバッジの下に隠さなかったのは惜しまれる。黒いプラスティック製のノブは質素だ。
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VWは初のシティカーとして、セアト・アローザのバッジをルポに付け替えた。
3年前、トヨタは大胆にも、コンパクトシティカーの概念をリセットしようと企て
た。輝かしくも欠点を抱えるiQである。特別仕立てのその四角いクルマは、デザインの常識を覆すような大胆な挑戦だった。世界最大級の自動車メーカーが擁する頭脳集団とその野心は依然として健在であり、非現実的なほどのオリジナリティを生み出す力を有していることを世に示したのである。 トヨタがそのiQのコンセプトカーを発表した同じ年、彼らと販売台数のランキングを争うフォルクスワーゲンはフランクフルト・ショーでアップのコンセプトカーを披露する。リヤエンジンと後輪駆動という創意に富んだ構成でまとめられたアップは、革新的なアプローチと
いう点においてiQに匹敵するかのようにも見え、トヨタと同様、VWもまた、このニッチ市場において、経済性とエンジニアリングを売りに顧客を開拓できる力を持ってることを示した。 当然ながら、アップは業界の注目を集めた。そして昨年の秋、開発は予定より遅れたものの、コンセプトカーに込めた価値ある創意をいささかも失ってはいないかのような市販バージョンが、ついに登場したのである。
DESIGN&ENGINEERING●意匠と技術
★★★★★★☆☆☆☆ VWの生産インフラはコンポーネンツの共用化を前提に運用されている。したがって、コン
86 AUTOCAR 05/2012
4 5STEERING WHEELステアリングホイール
TRACTION CONTROLトラクションコントロール
ハイアップでは革巻きのステアリングホイールが標準装備される。リーチ調節は備えておらず、ハイトのみ変更できる。
トラクションコントロールのスイッチはわかりやすい位置にあるが、それを押しても完全にはシステムを解除できない。
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AIR VENTSエアコン吹き出し口
INSTRUMENTインストルメントパネル
SAT-NAVGPSナビゲーション
ダッシュボードのエアベントはクローム調のトリムで縁取られている。ダッシュボードのセンターコンソールに設けられたポッドにも同じトリムを使い、巧みに強調している。
極端に大型の計器ポッドは室内でもひときわ奇抜なアイテムだ。背の高いドライバーの場合、スピードメーターの上部をステアリングホイールが邪魔するかもしれない。
Maps&More社製のGPSナビゲーションユニットは簡単に取り外せる。バッテリーを内蔵しているため、車外に持ち出しても使える。
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87 AUTOCAR 05/2012
4.7ºobscured
6.7ºobscured
HOW BIG IS IT? サイズはどれくらい?
前席空間は広い。デザインの洗練度には欠けているが、それを質の高さが補っている。
後席は、レッグルームについては十分にあるが、背の高い人が乗ると頭上が狭い。
ラゲッジスペースはリヤシートを起こした状態でクラストップの251ℓの容積を持つ。
幅:900-1050mm
高さ:380-910mm
奥行き:440-1030mm
セプトカーで採用した異例のレイアウトをオーソドックスな横置き前輪駆動に置き換えた決定は理解できる。リヤエンジン+後輪駆動を押し通せば大幅な追加投資が必要となり、コンポーネンツの共用化にも制約を受けていたはずだからだ。 リヤアクスル直前にエンジンを搭載したコンパクトなVW車というアイディアに興味を示していた人にとってみれば、この変更は当初のコンセプトにあったオリジナリティを著しく薄めてしまう改悪に映るだろう。だが、コンセプトカーの広 と々した空間(それが異例のレイアウトを採用した大きな理由のひとつ)は、創意工夫によって保たれているとVWは主張する。 創意工夫が凝らされたのは、おもにボンネットの内側だ。新世代の3気筒ユニットにより、エンジンルームから100mm近いスペースを居住
空間側に取り戻しているのだ。この空間は、冷却システムをエンジンの前方ではなく、側面に配置することで稼ぎ出している。おかげでアップのホイールベースはこのセグメントでもっとも長い部類となり、VWによれば、3.54mという短い全長からすると驚異的な室内空間を確保できたという。 3気筒ガソリンエンジンは軽量なオールアルミ製で、最高出力は60psと75psの2種類が用意される。現在はどちらも同じ5段マニュアルのギヤボックスのみとの組み合わせだが、来年後半には5段A/Tが追加される予定だ。 こうした駆動方式の変更はあったが、外観はコンセプトカーによく似ている。それはトヨタ・アイゴ/シトロエンC1/プジョー107が2005年に確立した、大きな目のフロントとガラスハッチのリヤを持つシティカーに近いが、すっ
きりとしたVWのデザイン言語により、3ドア車はライバルに比べて研ぎ澄まされた姿に仕上がっている(5ドアは2012年の後半に追加される)。とはいえ実物を見ると、革新的というよりも派生的に見えるのは否めない。
INTERIOR●室内
★★★★★★★★☆☆ キャビンも冒険的というほどの新しさはないものの、VWらしい上質な仕上げとエルゴノミクス的な的確さが見事に融合しており、これはこれで満足のいくものだ。スイッチ類の配置の一部は、それがニュービートルから派生していることを感じさせるが(とくにトップグレードのハイアップで)、シティカーサイズにうまくスケールダウンされていて、すっきりとまとまって
VOLKSWAGEN UP ROAD TEST
VISIBILITY TEST 視認性テストスリムで直立したピラーと限りなく前方寄りに置かれたキャビンのおかげで、フロントの視界は素晴らしい。後方視界も良好である。
2420mm585mm5 35mm
3540mm 39%
1478mm
830mm min
1050mm max
870m
m m
in96
0mm
max
550mm min
820mm max
920m
m
0.32
1641mm1428mm 1424mm
251-951litres
59% 41%
Turn
ing
circle
: 9.8
m
88 AUTOCAR 05/2012
TRACK NOTESサーキットテスト
■発進加速テストトラック条件:天候霧/乾燥路面/気温12℃0-402m発進加速:20.1秒(到達速度:115.4km/h)0-1000m発進加速:19.4秒(到達速度:113.9km/h)
VWアップ ハイアップ1.0
キア・ピカント1.0
■制動距離乾燥路面
湿潤路面
■ドライサーキットVWアップ ハイアップ1.0ラップタイム:1分34秒5キア・ピカント1.0参考タイム:1分34秒7
■ウェットサーキットVWアップ ハイアップ1.0ラップタイム:1分21秒8キア・ピカント1.0参考タイム:1分20秒7
アップのほうがタイヤが太く、パワーも若干大きいが、ドライサーキットでピカントに差を付けるのはむずかしい。ピカントよりもスプリングが若干ソフトで背も高いためにロールは大きいが、果敢に持ちこたえる。
T1の進入ではブレーキングで極端なノーズダイブが発生するが、制動力は十分だ。
短いホイールベースと高いロールセンターにもかかわらず、T5でのブレーキング時のスタビリティは良好である。
ややアンダーステア傾向に躾けられたシャシーのおかげで扱いやすいが、ウェットサーキットでは活気に欠ける。ESPシステムは完全に解除できず、早期に介入する。トラクションとブレーキパフォーマンスは強力だ。
いる。 標準装備のGPSナビ(ハイアップ以外ではオプション)についても同様だ。Maps&More社製のポータブルデバイスなのだが、これほど見事にインテリアと調和がとれている例はない。 その結果、アップは(この高価なグレードの場合)ライバルの多くとはまったく対照的に、上級感のある室内となっている。フィアット500の素晴らしい美的センスにはおよばないが、その意図的なシンプルさは、韓国製と日本製のライバルを比較対象に考えている潜在顧客に、アップを一段上のクルマに感じさせるだろう。 室内スペースの広さについても、ほとんどの人にとっては失望には当たらないだろう。ボディサイズから想像するより、レッグルームははるかに広い。さすがに後席は、背の高い人にはかなり窮屈だが、標準的な身長の大人がふたり、市街地の短い距離を乗るには十分な空間がある。小さな荷物を入れるスペースさえ備えている。しかも、幅や奥行きこそ狭いが深さは驚くほどで、クラス最高水準の251ℓの容積を持つ。
PERFORMANCE●動力性能
★★★★★★★☆☆☆ アップは明らかに市街地での利用を前提にして設計・製作されているが、シティカーのパフォーマンスに対する潜在顧客の要求レベルは確実に高まっている。市街地をそこそこ元気に走れるだけでは、もはや十分とはいえない。したがってこのアップも、経済性と洗練度とレスポンスのいずれにおいても優れている必要があった。75psの3気筒エンジンを搭載するクルマにとってはむずかしい注文である。 パワーの不足(および3気筒特有の排気音)
Start/finishT1T2
T4
T3
T5 T6
T7
T8
Start/finishT1
T2
T3
T4
T5T6
T7
かなりスピードが乗るT8では良好なスタビリティに助けられ、ストレートへの速度を維持できる。
T2からの脱出時には、グリップ状況は良好なのに、過保護なEPSのためにそれを活かせず、我慢を強いられる。
48-0km/h
48-0km/h
80-0km/h
80-0km/h 113-0km/h
113-0km/h
49.8m
51.1m24.7m
22.7m
8.9m
8.3mDRY
WET
20m10m 40m 50m30m0
129km/h
28.5s
48km/h 64km/h 80km/h 97km/h 113km/h 145km/h
4.1s 6.5s 19.0s9.3s 13.8s 44.2s
15s5s 10s0 20s 30s25s 40s35s
129km/h
24.5s
48km/h64km/h 80km/h 97km/h 113km/h 145km/h
4.7s 7.0s 18.7s9.6s 13.8s 38.1s
15s5s 10s0 20s 30s25s 35s
89 AUTOCAR 05/2012
UNDER THE SKIN
ON THE LIMIT限界時の挙動
3気筒エンジンの秘密
アップに搭載された999ccの3気筒ガソリンユニットは、シリンダーの配置間隔こそ同社の1.0ℓ4気筒エンジンと同じだが、完全な新設計である。アルミ鋳造クランクケースとアルミヘッドを作用した、わずかにオーバースクエアなエンジンで、バランサーシャフトを省いているのが3気筒としては異例だ。これはピストンとコンロッドを軽量化してムービングマスを軽減して実現したが、それにより、洗練度を犠牲にすることなく効率のアップを図っている。 動弁系の仕様はツインカムシャフト/気筒あたり2バルブ/吸気側可変バルブタイミング機構となっている。水冷エグゾーストマニフォールドをシリンダーヘッドと一体化することで、エンジンのウォーミングアップを早め、短距離走行での経済性を向上させている。
VWアップのオーナーがコーナーをハイスピードで駆け抜けようと思う機会はそう多くないかもしれないが、仮にその必要があったときは、もっと大きなクルマのように余裕あるブレーキングとハンドリングの能力を発揮する。 これほど小さく、パワーも控えめで、車高が高めのクルマとしては、アップはサーキッ
トでのテストによく耐えた。VWが施したしなやかなシャシーセッティングのため、ハードコーナリング時のロールは大きいが、トラクションやステアリングの正確さに深刻な影響を与えるほどではない。ターンインから定常円旋回に移行したあとは、強力な横方向のグリップを発揮する。 ハンドリングバランスは若干フロント偏
重で、グリップの限界時には温和で読みやすい挙動を示す。これはこのようなクルマに望ましい運動特性である。だが、このクラスにはもっとバランスがよく、また、ESPを完全に解除できるクルマがほかにあり、そちらはもう少しナチュラルな走りを示す。 ウェットでは、細いタイヤとABSと常に
動作している電子制御のおかげで、ややおもしろみに欠けるほど強力に路面をホールドする。 アップの控えめな重量と電子ブレーキアシストシステム、それにブレーキング時にフロントが顕著に沈み込む特性のため、ブレーキペダルを思い切り踏んだときは、やや唐突な姿勢変化を示す。
PORSCHE 911 ROAD TEST
発進加速に関しては上をいくライバルがいるが、基本的には大きなクルマのような快適な走りである。
ピストンとコンロッドを軽量化して、バランサーシャフトを不要にしている。
にもっとも気づかされるのは発進時である。普通に発進しようとするときでさえ、やや引っ張り気味にエンジンを回さなければならない。ましてやアグレッシブにスタートしようとすると、クラッチとスロットルのレスポンスは予想を逸脱した鈍さであり、パワーがドライバーの意図に追いつくまでのあいだ、屈辱的なほど遅い走りとなる。 だが、そこを乗り越えてしまえば状況は好転する。VW最新世代の3気筒は生き生きとした
“ハッピー”なエンジンで、おおむね期待に応えてくれる。そのしわがれた排気音は完全に消えることはないし、3気筒ゆえのバランスの悪さゆえ、このクルマの短い背骨を通じてかすかな振動が伝わってくるのは確かだが、どちらも巡航状態に入れば和らぎ、アップのキャラクターにはむしろ合っているようにも思える(とくに市街地で)。 開けた道や高速道路ではパワーが大きいほうのモデルでも遅く感じられ、それこそ馬よりも早いものを追い越すのは無理なようにさえ思えるかもしれない。だが、頻繁なギヤチェンジが必須にならない程度のトルクは発生する(5段M/Tは確実な操作を行わないと思いどおりにシフトできないことがあるから、これは助かる)し、6600rpmのレッドラインまでよく回る。 そこまで回さずに走り続けられるほど忍耐力のあるオーナーなら、大きな経済的アドバンテージがある。われわれが設定したツーリング
90 AUTOCAR 05/2012
ルートでのテストでは、21.1km/ℓという素晴らしい燃費を記録した。これはVWの公称値とほとんど変わらない数字である。35ℓの燃料タンクで、航続距離は720km以上が見込める。ポロ・ブルーモーションのおよそ1290kmには遠くおよばないが、アップを市街地での通勤にしか使わない人であれば不満のない数字だろう。
RIDE&HANDLING●乗り心地と操縦安定性
★★★★★★★☆☆☆ 現代のシティカーの歴史は事実上、ミニとフィアット500から始まっているため、カートのようなハンドリングでなければならないという不文律ができてしまった。その結果、多くのクルマがこのアプローチに追随し、その結果、荒れた英国の道路を走るのに必要なしなやかさを提供することができないでいる。だが、アップは違う。VWは控えめなスプリングレートを選ぶ賢明な判断を下し、おかげで素人が舗装したような路面の凹凸でさえ吸収できる能力をアップにもたらした。大きなクルマのような快適性は、アップをライバルと差別化しようとしたVWの努力の一面である。 これがアップの魅力の幅を拡げる、意義深い側面になっている。扱いやすいサイズのクルマにありがちな、揺さぶられるような乗り心地にうんざりさせられることの多い顧客からは、歓迎されるはずである。しかし、なんの犠牲も伴わなかったわけではない。アップはVWのほかのクルマに比べてコーナーでのロールが大きく、ハイペースで走らせると落ち着きな
■エンジン形式:直列3気筒, 999cc最高出力:75ps/6200rpm最大トルク:9.7kgm/3000-4300rpm許容回転数:6600rpm馬力荷重比:80.7ps/tトルク荷重比:10.4kgm/t比出力:75.1ps/ℓ駆動方式:横置き前輪駆動ブロック:アルミ軽合金/ヘッド:アルミ軽合金ボア×ストローク:φ74.5×76.4mmバルブ配置:2バルブDOHC圧縮比:10.5:1
■燃料消費率オートカー実測値総平均/ツーリング/動力性能計測時15.6/21.1/4.6km/ℓメーカー公表値市街地/郊外/混合モード17.0/25.0/21.3km/ℓ燃料タンク容量:35ℓ現実的な航続距離:547kmCO₂排出量:108g/km
■サスペンション前:マクファーソン・ストラット/コイル +スタビライザー後:トーションビーム/コイル+スタビライザー
■ステアリング形式:ラック&ピニオン(電気油圧アシスト)ロック・トゥ・ロック:3.0回転最小回転半径:4.90m
■ブレーキ前:φ256mm Vディスク後:φ200mmドラム
■発進加速乾燥路面 実測車速mph(km/h) 秒
30 (48) 4.740 (64) 7.050 (80) 9.660 (97) 13.870 (113) 18.780 (129) 24.590 (145) 38.1100 (161) -110 (177) -120 (193) -130 (209) -140 (225) -150 (241) -160 (257) -
■中間加速〈秒〉mph (km/h) 2nd 3rd 4th 5th
20-40 (32-64) 4.9 8.3 12.2 16.130-50 (40-80) 5.2 7.9 12.4 17.040-60 (64-97) - 8.4 12.3 18.150-70 (80-113) - 9.5 13.0 18.660-80 (97-129) - 10.9 16.2 21.170-90 (113-145) - - 22.8 -80-100 (129-161) - - - -90-110 (145-177) - - - -100-120 (161-193) - - - -110-130 (177-209) - - - -120-140 (193-225) - - - -130-150 (209-241) - - - -140-160 (193-257) - - - -
■シャシー/ボディ車両重量:929/945kg(実測)抗力係数:0.32ホイール:5.5J×15in/アルミ軽合金タイヤ:185/55R15スペアタイヤ:なし(補修キット)■変速機形式:5段M/Tギヤ比/1000rpm時車速〈km/h〉①3.64/7.2②1.96/13.5③1.27/20.8④0.96/27.5⑤0.80/33.0最終減速比:4.17
■静粛性アイドリング:39dB3速最高回転時:75dB3速48km/h走行時:60dB3速80km/h走行時:65dB3速113km/h走行時:68dB
■安全装備ABS, ESP, ASREuro N CAP/ 5ツ星
■最高速
■エンジン性能曲線
DATA LOG計測テストデータ
注意事項:馬力荷重比とトルク荷重比の計算にはメーカー公称車両重量を使用しています。 © Autocar 2012. テスト結果は権利者の書面による承諾なしに転用することはできません。一部バックナンバーは www.autocar.jp に掲載されています。
1 3 5
48km/h6600rpm
137km/h6600rpm
171km/h5167rpm
*claimed89km/h6600rpm
171km/h6200rpm
2 4
0 02000 4000 800060000
Engine (rpm)
9.7kgm/3000-4300rpm
75ps/6200rpm
Powe
r out
put (
ps) Torque (kgm
)
3
6
11
14
8
17
61
20
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81
91 AUTOCAR 05/2012
PORSCHE 911 ROAD TEST
く上下動する傾向が多少ある。また、高負荷時にシフトチェンジすると、ボディが跳ねる傾向も感じる。 だが、ほとんどの問題はクルマの負担が大きいときにのみ気づく程度であり、普通の速度域であれば満足できる走りだ。ステアリングは手応えが軽く、駐車時と市街地では操りやすい。それでいて市街地以外でも、フィードバック不足はVWの技術による良好なフロントグリップに助けられ、ほとんど障害とならない。 車重の軽さと寸法の小ささは、走り全体にもプラスをもたらしている。車重は実測で945kgでクラスの平均的な数値だが、大型のサルーンから乗り換える顧客にとっては、テンポのいい発進が求められる市街地で扱いやすく感じるだろう。
BUYING&OWNING●購入と維持
★★★★★★★★☆☆ 主力クラスにおいては、VWのブランド名が比較的高い価格を正当化できる要素になっていることはVW自身も認めているが、アップは古さが目立ってきたルポが、そのクラスで失ったシェアを取り返すことを目指したモデルである。英国では“Take Up”、“ Move Up”、“High Up”という3つのグレードが用意され、もっとも安いモデルは邦貨換算約125万円で、バリューを売り物にする韓国製のライバルとも渡り合える価格になっている。また、フィアット500やフォードKaなどの欧州製の人気車よりも安い。それに、装備が充実しているトップグレード車の邦貨換算約160万円というプライスは、より値打ちのある同社のポロやフォード・
フィエスタに肩を並べる。 ただし、アップには経済的なハンディキャップがひとつある。小さな3気筒エンジン搭載車
でありながら、CO₂排出量は100g/kmを切っていないのだ。ただし、ブルーモーションテクノロジーモデルを選ぶと96g/kmである。●A
われわれはこう考える
結論
車両価格最高出力最大トルク0-97km/h加速最高速度燃料消費率(混合)車輌重量(公称値)CO₂排出量
TOP FIVE
よくできたパッケージング、魅力、まずまずのバリュー。このクラスでもトップにランクされるシティカー。
★★★★★★★★☆☆
VOLKSWAGENUp high up 1.0フォルクスワーゲン・アップ ハイアップ1.0
邦貨換算約160万円75ps/6200rpm9.7kgm/3000-4300rpm13.8秒171km/h21.3km/ℓ929kg108g/km
もっと大きなクルマに匹敵する洗練度を持つ革新的なシティカー。ライバルと比べると価格が高め。
★★★★★★★★☆☆
TOYOTAiQ 100G→トヨタiQ 100Gゴー
155.0万円68ps/6000rpm9.2kgm/4800rpm15.3秒(0-100km/h)150km/h20.8km/ℓ890kg110g/km
トレンディで魅力にあふれるが、平凡な走りと高い価格が不満。
★★★★★★☆☆☆☆
FIAT500 1.2 SPORTフィアット500 1.2スポーツ
225.0万円69ps/5500rpm10.4kgm/3000rpm12.9秒(0-100km/h)159km/h20.9km/ℓ990kg113g/km
装備が充実し、活気のある、依然として素晴らしいクルマ。ただし古くさくなりつつある。
★★★★★★★★☆☆
HYUNDAIi10 1.2 Styleヒュンダイi10 1.2スタイル
邦貨換算約145万円85ps/6000rpm12.3kgm/4000rpm13.3秒169km/h21.7km/ℓ996kg108g/km
スタイリッシュで室内が広く、運動性能も優れている。だが、アップほど成熟していない。
★★★★★★★★☆☆
KIAPicanto 1.25 Equinox 3drキア・ピカント1.25エキノクス 3ドア
邦貨換算約180万円85ps/6000rpm12.3kgm/4000rpm11.0秒(0-100km/h)171km/h21.3km/ℓ1025kg109g/km
2nd 4th3rd 5th
TESTERS’ NOTES●テスターのひと言コメント
JOBS FOR THE FACELIFT●マイナーチェンジ時に望むこと
助手席側パワーウィンドウのスイッチが運転席側にない。キャビンでコストダウンするにしても、もっといい方法を見つけられなかったのだろうか? ニック・キャケット
脱着式のGPSナビは素晴らしいが、露出した電極はウィンドスクリーンの丸い吸盤跡と同じくらい、泥棒にとって格好の目印に見えるかもしれない。 マット・プライアー
ガラス製テールゲートの欠点として、VWはちょうどいいサイズのバッジの下に、トランクキャッチを優雅に隠すことができなくなった。
マット・ソーンダーズ
• 3気筒エンジンの排気音をもっと静かにしてほしい。
• すべてのモデルでCO₂排出量が100g/kmを切るようにしてほしい。
• エンジンにターボチャージャーを装着して、サスペンションを下げて、アップGTIを造ってほしい。
ROAD TEST No 5041
AUTOCAR VERDICT ●オートカーの結論
★★★★★★★★☆☆VOLKSWAGEN UP
「幅広い能力により、VWの新型車はクラストップになった」
アップのコンセプトカーに込められていた大胆なエンジニアリングのアイディアを、利益を確保するために放棄したことは、フォルクスワーゲン自らが正直に認めている。だが、ここはしばし、革新性の欠如について目をつむろう。そうすればこのアップが、VWが冷静に計算し尽くした成功へのアプローチのよい見本であることが明らかになる。あれだけ革新的でありながら、トヨタiQが大ヒットモデルにはなり得ていないことを忘れてはいけない。アップがフォックスと入れ替わるモデルだと考えれば、前任モデルよりも完成されたクルマであることは明らかだ。 実際、よくできたインテリア、まずまずの乗り心地と洗練度、競争力のある室内スペース、現実的な燃費、そしてブランドの魅力を備えたアップは、このところ新型車の参入で活発化しているこのセグメントにおけるクラスリーダーである。コンセプトカー段階での技術的なオリジナリティによってもたらされるはずだったカリスマ性に欠けると思うのは、理想主義者だけである。●A
1st