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平成30年3月14日 関税・外国為替等審議会 TPP11協定の概要 資料1

TPP11協定の概要...平成30年3月14日 関税・外国為替等審議会 関 税 分 科 会 財務省関税局 TPP11協定の概要 資料1 2010年 3月 ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ(P4協定加盟4

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平 成 3 0 年 3 月 1 4 日関税・外国為替等審議会関 税 分 科 会財 務 省 関 税 局

TPP11協定の概要

資料1

2010年3月 ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイ(P4協定加盟4

か国)、米、豪、ペルー、ベトナムの8か国で交渉開始

2013年3月 安倍総理「交渉参加」表明7月 日本が交渉参加(於:コタキナバル(マレーシア))

2015年10月 TPP12閣僚会合(於:アトランタ(米国))、大筋合意

2016年2月 署名(於:オークランド(ニュージーランド))12月 国会でTPP12協定承認案・TPP整備法案が可決・成立

2017年1月 日本国内手続き完了、寄託国のニュージーランドに通報

米国よりニュージーランド及び各原署名国へ離脱通知3月 TPP11閣僚会合(於:ビニャ・デル・マル(チリ))5月 TPP11閣僚会合(於:ハノイ(ベトナム))

「環太平洋パートナーシップ協定閣僚声明」を発出→ TPP11協定の早期発効に向けた選択肢を11月のAPEC首脳会合までに検討することで合意

7月-11月 TPP11高級事務レベル会合11月 TPP11閣僚会合(於:ダナン(ベトナム))、TPP11協定大筋合意

2018年1月 TPP11高級事務レベル会合(東京(日本))、協定文確定3月 TPP11協定署名(サンティアゴ(チリ))

TPP協定交渉の経緯

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1.意義

経済的意義モノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進める等、幅広い分野で21世紀型のルールを、アジア太平洋に構築し、自由で公正な巨大市場(世界のGDPの約13%、貿易総額の15%、人口約5億人)を作り出す。

アジア太平洋地域の巨大市場を活用することで新たな成長が期待される。

戦略的意義自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とともに今後の世界の貿易・投資ルールの新たなスタンダードを提供。アジア太平洋地域において、普遍的価値を共有する国々との間で経済的な相互依存関係を深めていくことは、地域の成長・繁栄・安定にも資する。

2.条文の概要

第1条 TPP12協定の組込み

第2条 特定の規定の適用の停止(凍結)

第3条 効力発生(6か国の締結完了)

第4条 脱退

第5条 加入

第6条 本協定の見直し→ TPP12協定の効力発生が差し迫っている場合又はTPP12協定が効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に応じ、この協定の改正及び関係する事項を検討するため、この協定の運用を見直す。

第7条 正文(英、仏、西)

4.今後の予定

TPP11協定及び関連国内法案を今国会に提出するべく準備中。

22項目(うち11項目は知的財産関連)・ 急送少額貨物(第5・7条1(f)の第2文)・ ISDS(投資許可、投資合意)関連規定(第9章)・ 生物製剤データ保護(第18・51条) 等

※ 凍結項目一覧を次頁に記載。※ 昨年11月のダナン大筋合意で継続協議となっていた4項目(①マレーシア国有企業、②ブルネイ投資・サービス留保、③ベトナム労働制裁、④カナダ文化例外)については全て決着(①②は凍結項目に追加、③④は別文書(国際約束)で解決)

3.凍結項目

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TPP11協定の概要

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<参考>凍結項目一覧

〇急送少額貨物(第5・7条1(f)の第2文)

〇ISDS(投資許可、投資合意)関連規定(第9章)

〇急送便附属書(附属書10-B 5及び6)

〇金融サービス最低基準待遇関連規定(第11・2

条の一部等)

〇電気通信紛争解決(第13・21条1(d))

〇政府調達(参加条件)(第15・8条5)

〇政府調達(追加的交渉)(第15・24条2の一部)

〇知的財産の内国民待遇(第18・8条(脚注4の第

3~4文))

〇特許対象事項(第18・37条2、第18・37条4の

第2文)

〇審査遅延に基づく特許期間延長(第18・46条)

〇医薬承認審査に基づく特許期間延長(第18・48

条)

〇一般医薬品データ保護(第18・50条)

〇生物製剤データ保護(第18・51条)

〇著作権等の保護期間(第18・63条)

〇技術的保護手段(第18・68条)

〇権利管理情報(第18・69条)

〇衛星・ケーブル信号の保護(第18・79条)

〇インターネット・サービス・プロバイダ(第18・82

条、附属書18-E、附属書18-F)

〇保存及び貿易(第20・17条5の一部)

〇医薬品・医療機器に関する透明性(附属書26-

A第3条)

○ブルネイの投資・サービス留保表の一部(附属書

Ⅱの一部)

○マレーシアの国有企業留保表の一部(附属書Ⅳ

の一部)

農産品の重要5品目を中心に関税撤廃の例外を数多く確保しつつ、全体では高いレベルの自由化。

サービス・投資等の分野で、中小企業も含めた我が国企業の海外展開を促進するルール、約束を数多く実現。

原産地規則の完全累積制度の実現により、中間財等を生産する中堅・中小企業も、我が国に居ながらにしてグローバル・バリューチェーンに参加することが可能に。

TPP11協定による新たなグローバル・バリューチェーンの創出は、多様な分野における生産技術の向上、イノベーションを促進し、産業間・企業間の連携が進むこと等を通じて、新しい産業を創出し、我が国経済全体としての生産性向上につながることが期待される。

投資: 投資先の国が、投資企業に対し技術移転等を要求することを禁止。

貿易円滑化: 急送貨物の迅速な税関手続を確保するため、「6時間以内の引取」を明記。関税分類等に関する事前教示制度を義務付け。

ビジネス関係者の一時的入国: 多くの国で、滞在可能期間の長期化、家族の帯同許可等を実現。

電子商取引: デジタル・コンテンツへの関税賦課禁止。ソースコード(ソフトウエアの設計図)の移転、アクセス要求の禁止。

知的財産: 模倣・偽造品等に対する厳格な規律。地理的表示の保護を規定。

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TPP11協定の効果

本章のルールにより、例えば以下のようなメリットが考えられる。

迅速通関(関税法の遵守を確保するために必要な期間内(可能な限り貨物の到着から48時間以内)に引取りを許可)

急送貨物(通常の状況において、必要な税関書類の提出後6時間以内に引取りを許可)

輸入者、輸出者又は生産者の要請による書面での事前教示制度(関税分類、原産性等)(150日以内に回答)

自動化(輸出入手続を、単一の窓口において、電子的に完了することができるよう努める)

税関手続について予見可能性、一貫性及び透明性のある適用を確保するとともに、締約国間の協力の促進、国際基準への調和、通関等の手続の迅速化、行政上及び司法上の審査の確保等について規定。

環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要内閣官房TPP政府対策本部平成27年10月5日より抜粋

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税関当局及び貿易円滑化

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<参考>TPP交渉参加各国の関税撤廃率

国 我が国 米国 カナダ 豪州 NZ シンガポール

品目数ベース 95% 100% 99% 100% 100% 100%

貿易額ベース 95% 100% 100% 100% 100% 100%

国 メキシコ チリ ペルー マレーシア ベトナム ブルネイ

品目数ベース 99% 100% 99% 100% 100% 100%

貿易額ベース 99% 100% 100% 100% 100% 100%

(参考)日本の直近のEPA(日豪EPA)における関税撤廃率:89%(注)NZ、シンガポール、ブルネイについては、全ての品目について関税撤廃。

「TPP大筋合意の概要」関税分科会資料(平成27年10月27日)より抜粋

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<参考>農林水産品※1の対日関税撤廃等の状況

GDP※2

(十億ドル)ライン数 即時撤廃※3 2~11年目まで※4

撤廃12年目以降撤廃

非撤廃(TRQ・削減等)

米国 16,663 2058 55.5% 37.8% 5.5% 1.2%

カナダ 1,839 1566 86.2% 7.9% 0.0% 5.9%

豪州 1,497 941 99.5% 0.5% 0.0% 0.0%

メキシコ 1,262 1387 74.1% 17.2% 5.1% 3.6%

マレーシア 323 3324 96.7% 1.2% 1.7% 0.4%

シンガポール 302 1400 100.0% 0.0% 0.0% 0.0%

チリ 277 1634 96.3% 3.2% 0.0% 0.5%

ペルー 202 1155 82.1% 11.9% 2.0% 4.0%

NZ 185 1287 97.7% 2.3% 0.0% 0.0%

ベトナム 171 1431 42.6% 52.3% 4.5% 0.6%

ブルネイ 18 1400 98.6% 1.4% 0.0% 0.0%

11カ国平均 - - 84.5% 12.3% 1.7% 1.5%

(参考)日本 4,920 2328 51.3% 27.5% 2.2% 19.0%

※1:日本以外の国の農林水産品については、国際的な商品分類(HS2007)において1~24、44及び46類に分類される農林水産物であって、農林水産省所管品目とは一致しない(日本のライン数には含まれていない財務省所管の酒・たばこ類が含まれる)。

※2:2013年(出典:IMF)※3:即時撤廃には既に無税の物品を含む。※4:我が国の既存EPAの自由化率は11年目までに撤廃されるライン数の割合とされているため、11年目までで区分。

「TPP大筋合意の概要」関税分科会資料(平成27年10月27日)より抜粋

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<参考>TPPにおける農林水産物の関税の取扱い

総ライン数 関税を残すライン 備考

全品目 9,018 443

うち農林水産物 2,328 443

うち関税撤廃したことがないもの 834 439

うち重要5品目米、麦、甘味資源作物、乳製品、牛肉・豚肉

586 412

うち重要5品目以外特産畑作物、果樹・野菜、鶏肉、林産物、水産物等

248 27雑豆、こんにゃく、しいたけ、海藻等

うち関税撤廃したことがあるもの 1,494 4 ひじき・わかめ

「TPP大筋合意の概要」関税分科会資料(平成27年10月27日)より抜粋

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1.相手国側

TPP11カ国全体• 即時撤廃率:(品目数ベース)86.9%、(貿易額ベース)76.6%• 関税撤廃率:(品目数ベース)99.9%、(貿易額ベース)99.9%

各国別

国名即時撤廃率 関税撤廃率

品目数ベース 貿易額ベース 品目数ベース 貿易額ベース

米国 90.9% 67.4% 100.0% 100.0%カナダ 96.9% 68.4% 100.0% 100.0%

ニュージーランド 93.9% 98.0% 100.0% 100.0%豪州 91.8% 94.2% 99.8% 99.8%

ブルネイ 90.6% 96.4% 100.0% 100.0%チリ 94.7% 98.9% 100.0% 100.0%

マレーシア 78.8% 77.3% 100.0% 100.0%メキシコ 77.0% 94.6% 99.6% 99.4%ペルー 80.2% 98.2% 100.0% 100.0%

シンガポール 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%ベトナム 70.2% 72.1% 100.0% 100.0%

※小数点第二位を四捨五入。但し、99.9%以上100%未満については、小数点第二位を切り捨て。※即時撤廃率、関税撤廃率の算出にあたり、「品目数ベース」の数値については各国の2010年1月時点の国内細分に基づき計算、「貿易額ベース」の数値については、2010年における日本から各国への輸出額に基づき計算。

2.日本側

TPP11カ国全体• 即時撤廃率:(品目数ベース)95.3%、(貿易額ベース)99.1%• 関税撤廃率:(品目数ベース)100%、 (貿易額ベース)100%

「TPP大筋合意の概要」関税分科会資料(平成27年10月27日)より抜粋

<参考>工業製品の即時撤廃率及び関税撤廃率

環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定

前文

この協定の締約国は、

二千十六年二月四日にオークランドで作成された環太平洋パートナーシップ協定(以下「TPP」という。)の前文に規定する事項を再確認すること、

この協定を通じてもたらされるTPPの利益並びにTPP及びこの協定の戦略上及び経済上の意義を迅速に実現すること、

開放された市場を維持し、世界貿易を増大し、並びにあらゆる所得及び経済的背景の人々に新たな経済的機会を創出することに寄与すること、

締約国間の一層の地域的な経済統合及び協力を促進すること、

地域における貿易の自由化及び投資の促進のための機会を増大させること、

企業の社会的責任、文化的な同一性及び多様性、環境の保護及び保全、性の平等、先住民の権利、労働者の権利、包摂的な貿易、持続可能な開発並びに伝統的な知識を促進することの重要性並びに公共の利益のために締約国が規制を行う権利を有することの重要性を再確認すること並びに

他の国又は独立の関税地域のこの協定への加入を歓迎することを決意して、

次のとおり協定した。

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<参考>TPP11協定テキスト(仮訳)①

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第一条 環太平洋パートナーシップ協定の組込み

1 締約国は、二千十六年二月四日にオークランドで作成された環太平洋パートナーシップ協定(TPP)(第三十・四条(加入)、第三十・五条(効力発生)、第三十・六条(脱退)及び第三十・八条(正文)を除く。)の規定が、この協定の規定に従い、必要な変更を加えた上で、この協定に組み込まれ、この協定の一部を成すことをここに合意する(注)。

注 この協定の規定は、この協定の非締約国に対していかなる権利も与えるものではない。

2 この協定の適用上、TPPにおける署名の日については、この協定の署名の日を意味するものとする。

3 TPPが効力を有する場合において、この協定とTPPとが抵触するときは、その抵触の限りにおいて、この協定が優先する。

第二条 特定の規定の適用の停止

締約国は、この協定の効力発生の日に、この協定の附属書に掲げる規定の適用を停止する。締約国は、これらの規定のうち一又は二以上の規定の適用の停止を終了させることに締約国が合意する時まで、当該規定の適用を停止する(注)。

注 適用の停止を終了させるための締約国によるいかなる合意も、一の締約国の関係する国内法上の手続の完了後にのみ、当該締約国について適用する。

<参考>TPP11協定テキスト(仮訳)②

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第三条 効力発生

1 この協定は、この協定の署名国のうち少なくとも六又は少なくとも半数のいずれか少ない方の国がそれぞれの関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報した日の後六十日で効力を生ずる。

2 この協定は、1の規定に従ってこの協定が自国について効力を生じていないこの協定の署名国については、当該署名国が自国の関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報した日の後六十日で効力を生ずる。

第四条 脱退

1 締約国は、書面により寄託者に対して脱退の通告を行うことにより、この協定から脱退することができ

る。脱退する締約国は、同時に、TPP第二十七・五条(連絡部局)の規定に従って指定される総合的な連絡部局を通じて、他の締約国に対して自国の脱退を通報する。

2 脱退は、締約国が異なる期間について合意する場合を除くほか、いずれかの締約国が1の規定に従っ

て書面により寄託者に対して通告を行った後六箇月で効力を生ずる。この協定は、いずれかの締約国が脱退する場合には、残余の締約国について引き続き効力を有する。

<参考>TPP11協定テキスト(仮訳)③

第五条 加入

国又は独立の関税地域は、この協定の効力発生の日の後、締約国と当該国又は独立の関税地域との間で合意する条件に従ってこの協定に加入することができる。

第六条 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の見直し

締約国は、TPP第二十七・二条(委員会の任務)の規定を適用するほか、TPPの効力発生が差し迫っている場合又はTPPが効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に応じ、この協定の改正及び関係する事項を検討するため、この協定の運用を見直す。

第七条 正文

この協定は、英語、スペイン語及びフランス語をひとしく正文とする。これらの本文の間に相違がある場合には、英語の本文による。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。

二千十八年三月八日にサンティアゴで、英語、フランス語及びスペイン語により作成した。

(※)附属書は省略。

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<参考>TPP11協定テキスト(仮訳)④