4
当 院 は 一 貫して、 診 療 の 柱 のひとつとして、がん医療に注 力してきました。新病院に移転 してからも、診療科や部署の垣 根を越えて、医師をはじめメデ ィカルスタッフが協働し、一丸となって徹底し たチーム医療に取り組んでいきます。各科にま たがる症例に関しては、週1回開催しているキ ャンサーボード(多診療科の医師や多職種が最 適な診療方針を決定するために行う会議)で検 討し、一人ひとりの患者さんに合った医療を合 議で決めています。 4月から血液内科など新たに開設する診療 科が複数あり、キャンサーボードの体制も厚み が増します。診断後早期からの緩和ケアにも力 を入れており、全人的な医療の提供を重視しています。さ らに当院は標準治療の提供に加え、多分野の臨床研究や 治験に積極的に取り組み、患者さんが先端的な治療を受 けられる機会の提供にも努めていきたいと考えています。 当院は55年の歴史が あります。その間、増改 築を重ねてきましたが、 患者さん1人当たりのス ペースなど、今の時代に はそぐわない造りとなっ ていました。ようやく新 築移転が実現し、患者さんに優しい病院として 生まれ変わることができます。緩和ケア病棟に 畳敷きの病室も用意するなど、少しでも多く患 者さんのニーズに応えられるよう、さまざまな アイデアや患者さんへの思いを形にしました。 地域から求められる役割をしっかりと担い、 これからも地域の方々との信頼関係の構築に努 めます。患者さんに寄り添うケアの提供に尽力 するとともに、看護スキルの向上のため教育システムの充 実や専門性の追求にも取り組み、市民の方々から選ばれる 病院を目指します。 綿96 2 06 西新病院フロアガイド 8階 一般病棟 7階 一般病棟 6階 一般病棟 5階 緩和ケア病棟、一般病棟 4階 手術室、HCU、病理検査室、中央材料室 3階 外来、リハビリテーションセンター、健 診センター、生理検査室、腫瘍・血液セ ンター、外来化学療法室、講堂、超音波 検査室、臨床研究・治験センター、カフ ェ・食堂、透析室、栄養指導室、コンビ ニエンスストア 2階 総合案内、外来、薬局、入退院支援セン ター、地域連携センター、RI検査室、放 射線治療部門、放射線診断部門、がん 患者相談支援センター、内視鏡室、救 急外来、時間外診察室、防災センター 1階 栄養科、薬剤部、解剖室、霊安室、駐 車場 和泉市立総合医療センター 大阪府和泉市和気町4-5-1 ☎0725-41-1331 【診療科目】救急科、外科、心臓血管外科、脳 神経外科、呼吸器外科、消化器外科、形成外 科、整形外科、乳腺外科、麻酔科、内科、循環 器内科、脳神経内科、呼吸器内科、消化器内 科、肝胆膵内科、内分泌・糖尿病内科、血液 内科、腫瘍内科、緩和ケア科、リウマチ内科、 腎・透析内科、放射線科、小児科、婦人科、泌 尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻いんこう科、精神 科、リハビリテーション科、病理診断科(32 診療科) 50 「救急・急性期医療」、「がん医療を はじめとする専門医療」を2本柱とし て、地域の方々から信頼される病院 を目指していきます。新築移転にと もない常勤医は50人ほどから80人 ほどに増え、診療科は32に増加します。ご高齢の患 者さんは複数の疾患を抱えているケースが少なくあ りませんが、各科の医師が協力することにより、新 病院では今まで以上にさまざまな疾患・病態の患 者さんの受け入れが可能です。また当院は10年ぶ りに基幹型臨床研修指定病院として再指定を受けま した。4月から大阪府南部出身の2人の初期研修医が 当院での研修をスタートします。 さらに、高精度放射線治療装置トモセラピーの新 規導入など医療機器の更新による診療機能の向上 も図りました。公設民営の自治体病院として、小児医療や学校 健診など政策医療も積極的に担い、回復期や慢性期病院、診療 所など地域の医療機関との連携や機能分担も推進していきます。 公園との一体整備で新築した和泉市立総合医療センター 吹き抜けの開放的なエントランスホール。受付 カウンターに地場産材の「いずもく」を使い、 壁面は「和泉木綿」をイメージして装飾 5 階の緩和ケア病棟は各病室のそれぞれに専用 のテラスを設置 地震の揺れを低減し建物を守る免震ゴム。建物 の下に多数設置 4月1日に新築移転オープン 救急・急性期医療と専門医療へ注力 和泉市立病院 山上副院長(左)、川口・ 看護部長 3月25日(日)正午〜午後5時に新病院内覧会開催 命だけは平等だ 平成 30 3 19 日 月曜日│No. 1125 319月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3262-3133 制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:news@tokushukai.jp No. 1125 19/MAR. 2018 TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS

TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS 4月1日に新 …...平成30 年3月19日 月曜日 No.1125 命だけは平等だ 3月19日 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS 4月1日に新 …...平成30 年3月19日 月曜日 No.1125 命だけは平等だ 3月19日 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074

患者さんに優しい病院

山上美恵子副院長・川口いずみ看護部長

当院は一貫して、診療の柱のひとつとして、がん医療に注力してきました。新病院に移転してからも、診療科や部署の垣根を越えて、医師をはじめメディカルスタッフが協働し、一丸となって徹底したチーム医療に取り組んでいきます。各科にまたがる症例に関しては、週1回開催しているキャンサーボード(多診療科の医師や多職種が最適な診療方針を決定するために行う会議)で検討し、一人ひとりの患者さんに合った医療を合議で決めています。4月から血液内科など新たに開設する診療

科が複数あり、キャンサーボードの体制も厚みが増します。診断後早期からの緩和ケアにも力を入れており、全人的な医療の提供を重視しています。さらに当院は標準治療の提供に加え、多分野の臨床研究や治験に積極的に取り組み、患者さんが先端的な治療を受けられる機会の提供にも努めていきたいと考えています。

当院は55年の歴史があります。その間、増改築を重ねてきましたが、患者さん1人当たりのスペースなど、今の時代にはそぐわない造りとなっていました。ようやく新築移転が実現し、患者さんに優しい病院として生まれ変わることができます。緩和ケア病棟に畳敷きの病室も用意するなど、少しでも多く患者さんのニーズに応えられるよう、さまざまなアイデアや患者さんへの思いを形にしました。地域から求められる役割をしっかりと担い、

これからも地域の方 と々の信頼関係の構築に努めます。患者さんに寄り添うケアの提供に尽力するとともに、看護スキルの向上のため教育システムの充実や専門性の追求にも取り組み、市民の方々から選ばれる病院を目指します。

空間が広がり、受付カウ

ンターには地場産材であ

る「いずもく」を用い、

壁面は天然織物の「和泉

木綿」をイメージした装

飾や、和泉市の特産品で

ある人造真珠を用いて、

槇尾川をイメージした陶

器製の大きな飾りをあし

らい、和やかな空間を演

出した。

各フロアの構成は左上

に揚げたフロアガイドの

通り。病棟の大部屋は4

床室で、1床当たり8㎡

の広さを確保した。個室

は計96床。

ER(救急外来)と放

射線診断部門が隣接して

いるため、CT(コンピ

ュータ断層撮影)検査を

要する場合なども移動に

よる時間のロスを最小限

に抑えることができる。

刻一刻を争う救急医療の

現場では大きなアドバン

テージだ。

を設置したりするなど、

ライフラインの多重化を

図った。

屋上に非常用自家発電

機を設置、電気の供給が

断絶した場合でも3日間

は7割程度の電力を賄い、

病院機能を維持できるだ

けの燃料も常時備蓄する。

構造的な特徴としては、

敷地内の地面は正面玄関

設置した。

また同院は、オール電

化を採用。異なる方角か

らの2回線で、電力の供

給を受ける。

さらに地下水の濾ろ

か過シ

ステムを導入し、井水を

利用したり、下水管が損

傷した場合に備え7日分

(400t)の下水を貯

留できる緊急排水汚水層

構造を採用。大規模災害

時に地域の中核的な医療

拠点となることが期待さ

れている。発災時には、

正面玄関前のロータリー

などを一次トリアージ

(緊急度・重症度選別)

スペースにする計画で、

外来の待合スペースなど

には軽症患者さんの処置

を行えるよう電源や医療

ガス、LAN設備を分散

環境となっている。

新病院は2万1476

㎡の敷地(公園を除く)

に、鉄筋コンクリート造・

一部鉄骨造の8階建て。

病院本体の延床面積は現

病院の約1・5倍となる

3万1532㎡。このほ

か、敷地内に院内保育園

と院外薬局用の建物を整

備した。

建設工事は設計施工一

括発注方式(デザインビ

ルド方式)を採用。基本

設計・工事監理は内藤建

築事務所、実施設計・施

工は清水建設。

強い地震による揺れを

低減し、建物を守る免震

徳洲会が和泉市立病院

の指定管理者になったの

は2014年4月。和泉

市は「06年に受け入れを

停止した救急医療の再

開」、「慢性的な赤字体質」、

「施設の老朽化」という

同院の課題を解決するた

め、病院改革策として民

間ノウハウを活用する指

定管理者制度の導入を決

定。公募の結果、徳洲会

が指定を受けた。

新病院は現所在地から

南東方向に約500mの

位置に立地。市内を流れ

る槇ま

尾お

川がわ

に面した市民球

場の跡地に建つ。今回の

新築移転は、槇尾川公園

と一体整備する形で実施

した。病院西側にはテニ

スコートを含む公園が整

備され、緑あふれる周辺

新病院フロアガイド8階 一般病棟7階 一般病棟6階 一般病棟5階 緩和ケア病棟、一般病棟4階 手術室、HCU、病理検査室、中央材料室3階 外来、リハビリテーションセンター、健

診センター、生理検査室、腫瘍・血液センター、外来化学療法室、講堂、超音波検査室、臨床研究・治験センター、カフェ・食堂、透析室、栄養指導室、コンビニエンスストア

2階 総合案内、外来、薬局、入退院支援センター、地域連携センター、RI検査室、放射線治療部門、放射線診断部門、がん患者相談支援センター、内視鏡室、救急外来、時間外診察室、防災センター

1階 栄養科、薬剤部、解剖室、霊安室、駐車場

和泉市立総合医療センター大阪府和泉市和気町4-5-1☎0725-41-1331【診療科目】救急科、外科、心臓血管外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、形成外科、整形外科、乳腺外科、麻酔科、内科、循環器内科、脳神経内科、呼吸器内科、消化器内科、肝胆膵内科、内分泌・糖尿病内科、血液内科、腫瘍内科、緩和ケア科、リウマチ内科、腎・透析内科、放射線科、小児科、婦人科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻いんこう科、精神科、リハビリテーション科、病理診断科(32診療科)

(2面に続く)

医療法人徳洲会が指定管理者として管理・運営している和泉市立病院(大阪府、

307床)は4月1日、新築移転オープンする。これにともない名称を和泉市立

総合医療センターに変更。1963年に公立和泉病院分院として開院した同院は、

一部の建物を除いて建築後50年超が経過し、老朽化してきたことから建て替えを

実施。免震構造で災害に強い病院にしたほか、高精度の放射線治療機器などを新

たに導入する。「救急・急性期医療」と、「がん医療など専門医療」を二本柱と位

置付け、地域から信頼される病院を目指す。

和泉市立総合医療センターに改称

全人的な医療を重視

福岡正博総長

「救急・急性期医療」、「がん医療をはじめとする専門医療」を2本柱として、地域の方々から信頼される病院を目指していきます。新築移転にともない常勤医は50人ほどから80人ほどに増え、診療科は32に増加します。ご高齢の患者さんは複数の疾患を抱えているケースが少なくありませんが、各科の医師が協力することにより、新病院では今まで以上にさまざまな疾患・病態の患者さんの受け入れが可能です。また当院は10年ぶりに基幹型臨床研修指定病院として再指定を受けました。4月から大阪府南部出身の2人の初期研修医が当院での研修をスタートします。さらに、高精度放射線治療装置トモセラピーの新規導入など医療機器の更新による診療機能の向上も図りました。公設民営の自治体病院として、小児医療や学校健診など政策医療も積極的に担い、回復期や慢性期病院、診療所など地域の医療機関との連携や機能分担も推進していきます。

信頼される病院目指す

村上城子院長

公園との一体整備で新築した和泉市立総合医療センター

吹き抜けの開放的なエントランスホール。受付カウンターに地場産材の「いずもく」を使い、壁面は「和泉木綿」をイメージして装飾

5階の緩和ケア病棟は各病室のそれぞれに専用のテラスを設置

地震の揺れを低減し建物を守る免震ゴム。建物の下に多数設置

4月1日に新築移転オープン救急・急性期医療と専門医療へ注力

和泉市立病院

山上副院長(左)、川口・看護部長

3月25日(日)正午〜午後5時に新病院内覧会開催

のある建物北

側と南側で高

低差があり、

北側のほうが

高いことから、

正面玄関やエ

ントランスホ

ールは2階部

分に設置。ホ

ールは吹き抜

けの開放的な

徳 洲 新 聞徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❶ 平成 30 年 3 月19 日 月曜日 │ No.1125

3月19日 月 曜 日

発行:一般社団法人徳洲会  〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階

TEL:03-3262-3133制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:[email protected]

No.112519/MAR. 2018

TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS

Page 2: TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS 4月1日に新 …...平成30 年3月19日 月曜日 No.1125 命だけは平等だ 3月19日 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074

また救急用(兼非常用)

エレベーターが1台ある

ため、上階の手術室への

移動もスムーズに行える。

緩和ケア病棟のある5

階には屋上庭園をつくっ

た。さらに同病棟は病室

ごとにテラスを設けた。

室内にミニキッチンも付

いている。テラスに通じ

る扉はバリアフリーで段

差がないため、車いすで

も気軽に出て外気に触れ

たり、晴れの日には日差

しを浴びたりすることが

できる。

畳の部屋で布団に寝た

いという患者さんのニー

ズに応えられるよう、畳

の部屋も一部設けた。同

病棟は移転前の22床から

24床に2床増床した。

外来化学療法室は12床、

内視鏡室は3ブース、透

析室は12床。手術室は計

6室で、うち1室はハイ

ブリッド手術室(血管造

影装置のある手術室)仕

様とし、将来的に同手術

室として運用する計画だ。

もう1室はBCR(バイ

オクリーンルーム=通常

よりも清浄度の高い手術

室)。ERは初療室が3床、

観察室が2床などとなっ

ている。

各病棟の中心にスタッ

フステーションを配置。

スタッフステーション近

傍の6床はスタッフの目

が届きやすいことから、

常時注意を要する患者さ

んなどが入る重症個室と

した。

新築移転

により、建

物が新しく

生まれ変わ

るのに加えて、特筆すべ

きは常勤医数が約80人に

大幅増加することなどに

より、診療科目が16から

32に拡大するこ

とだ。今まで以

上に幅広い患者

さんを受け入れ、

地域医療の充実に貢献で

きる体制が実現する。

櫛引健一事務長は「敷

居が低く地域から頼りに

される病院を目指します。

同時に、地域の診療所や

病院などとの連携を大切

にし、機能分担しながら

地域で完結する医療を提

供していけるよう尽力し

ていきたいと考えていま

す」と話している。

れたら、普通の奴ならすぐに逃

げ出すか、けんかして脱藩(退

局)してしまうだろう。A医師

の下に入れられても耐えていけ

る新人は誰か」という話し合い

が医局でなされ、全員一致で「加

納しかいないだろう」との結論

に至ったと、組み合わせの1カ

月後に知らされました。

私は毎朝、一番に出勤して「A

先生、今日はどうしたらよろし

いでしょうか」と尋ねるのです

が、先生は何も言わずにプイッ

と横を向いて、どこかに行って

しまわれるのです。日に何度も

尋ねますが、一向に口を利いて

もらえません。

その他の先輩医師たちが、数

日後には見かねて、いろいろな

手技を自分の担当研修医に教え

る時に、「加納君も一緒にいて

いいよ」と誘ってくださるよう

になりました。私は声をかけら

れる前から、他の研修医たちが

指導を受けているのを脇で観な

がら学び取っていましたが、正

式に同伴のお許しを得て、ほっ

としました。

私は同期生のなかで「オレこ

そ一番優秀な研修医だ」と自信

をもっていたため、A医師のイ

ジメにも耐えることができ、い

ろいろな知識・手技を盗み取る

ことができました。これは後に、

自分で直接手を下せなくても

〝観て学び取る方法〟を体得す

ることにもつながりました。

苦しい最初の2カ月乗り越え

人間的にも医師としても成長

入職後2カ月が過ぎた頃、医

局長と病棟医長に「加納、ちょ

っと話がある」と呼ばれました。

4月は新入職員を迎える時期

です。今、働いている徳洲会グ

ループの職員の皆さんにも新人

の時期があったと思います。医

師、看護師、各種メディカルス

タッフ、事務職などすべての職

種の皆さんに、学校を出て初め

て職に就いた時の興奮、不安、

期待、その後に経験した幸せ、

絶望、屈辱があったことと思い

ます。

私にも苦しい新人時代があり

ました。多くが親切な指導者で

したが、今でも忘れられない意

地悪な指導者もいました。結論

を言いますと、どんな人からも

何か学ぶことがあり、職場で出

会うすべての人々が、自分の先

生であったと思っています。

私は岐阜大学医学部卒業後、

外科医を目指して大学の外科学

教室に入りました。同期入局の

新卒医師は7人いました。入職

すると、新人医師を直接指導す

る役目の先輩医師が決められ、

その医師の下で右も左もわから

ない新人が研修を始めるのです。

尋ねるも口を利いてもらえず

〝観て学び取る方法〟を体得

初出勤日に、それぞれの新人

医師と指導医の組み合わせが発

表されました。私の組み合わせ

が発表された時に、多くの職員

から爆笑に近い笑いが起きまし

た。私は不思議に思っていまし

たが、1週間も経たないうちに

真相がわかりました。

私の指導を行うA医師は、病

院内で大変問題のある人で、こ

の医師の下に、どの新人を付け

るかで大変な議論がなされたそ

うです。「A医師の下に付けら

とくに緊張することもなく講師

室に行くと、「君には入職後、

大変つらい思いをさせて申し訳

なかった。じつは医局の事情か

ら、A医師を切る必要があった

のだが、何かもうひとつ決定打

が必要だった。そのため、最後

のチャンスを彼に与えることに

し、研修医の指導ができるかど

うかを見ることにしたのだ。皆

で相談した結果、並みの研修医

では彼の下では耐えられないこ

とが明らかだったので、それに

耐えられる者は誰かと協議した

結果、申し訳ないと思いつつ、

加納しかいないという結論にな

り、君に過酷な経験をさせてし

まうことになったのだ。本当に

申し訳なかった。それにもかか

わらず、君は一番実力を付けて

くれた。評判以上の大物である

ことがわかった。ありがとう」

と言われました。

その頃には、私の耳にも、い

ろいろな人から医局人事の情報

が入ってきていたため、「やっ

ぱりそうだったのか」と思うに

とどめました。ずいぶん苦しい

最初の2カ月でしたが、そのお

かげで、自分は人間的にも外科

医としても大きく成長できまし

た。悲運に見舞われても、それ

を栄養に成長しようとする姿勢

を体得することができたのです。

じつは、卒後数年で米国に留

学する予定であった私の人生計

画が、ベトナム戦争によって大

きく変わりました。それについ

ては、あらためてお話ししたい

と思います。新人は職場環境の

すべてが勉強の種であるという

心構えをもってください。

皆で頑張りましょう。

(1面から続く)

「敷居が低く地域から頼りにされる病院を目指します」と櫛引事務長

新築移転にともない高

性能の医療機器を新たに

導入する。

目玉は高性能放射線治

療装置のトモセラピーだ。

CTのような形状をした

装置で、実際に、位置合

わせのためのCTの機能

を組み込んでいる。中央

放射線科の谷川原竜乙主

任は「従来の放射線治療

装置よりも精度の高い放

射線照射が可能で、正常

部位や重要臓器への照射

を低減し、副作用の少な

い治療が期待できます」

とアピール。

トモセラピーは、さま

ざまな角度から強弱を付

けて放射線を病変部分に

集中的に照射する技術で

あるIMRT(強度変調

放射線治療)の施行が可

能。また、既存の1・5

テスラMRIに換えて、

3・0テスラMRIを導

入。高画質な検査結果を

得ることができ、より正

確な診断に寄与する。

さらに今回、SPEC

T–

CTを新規導入。こ

れは、CTと一体型にな

ったSPECT(単一光

子放射断層撮影装置)装

置。SPECT装置は、

微量のガンマ線を出すR

I(ラジオアイソトープ

=放射線同位元素)によ

り〝目印〟を付けた放射

性医薬品を患者さんに静

脈注射し、ガンマ線を捉

えるカメラで撮影、映像

化することで、臓器の血

流や機能の状態を調べる

RI検査装置のひとつ。

狭心症や心筋梗塞などの

虚血性心疾患や脳血管障

害などの診断で用いる医

療機器だ。

CTに関しては16年に

導入した320列CTを

新病院に移設する。多列

化が進むCTのなかでも

320列は最高峰。1回

の撮影で16㎝幅をカバー

できるため、拍動の影響

をほとんど受けずにぶれ

のない心臓の冠動脈撮影

が可能。撮影データから

3Dの立体画像を描出す

ることもできる。

このほか、新しい血管

造影装置(アンギオ)を

新規導入。既存のアンギ

オも4月末には移設し2

台体制となる見込みだ。

心臓カテーテル検査・治

療などに活用する。

新規導入するのは、バ

イプレーンシステム(X

線の照射装置と検知器を

両端にもつCアームが2

台)のアンギオで、1回

の撮影で2方向から同時

に撮影でき、被ばくや造

影剤量の低減、撮影時間

の短縮といったメリット

がある。

診断・治療機能が向上

高精度トモセラピーなど導入

精度の高い放射線照射を特徴とするトモセラピー

高画質な検査結果で、より正確な診断に寄与する3.0テスラMRI

臓器の血流や機能の状態を調べるSPECT-CT

加か

納の う

宣の ぶ や す

康千葉徳洲会病院院長

今でも忘れられない意地悪な指導医

新人は環境のすべてが勉強の種悲運にあってもそれを糧に成長

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 平成 30 年 3 月19 日 月曜日 │ No.1125 ❷

Page 3: TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS 4月1日に新 …...平成30 年3月19日 月曜日 No.1125 命だけは平等だ 3月19日 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074

在宅医療を支える訪看STスタッフ(愛心訪看ST)

可能性を示唆した。発表

後、前川薬剤師は「現在、

めて参加した。

前川薬剤師は「褥

じょく

瘡そう

部の水分保持率の調査報

告」を発表。昨今、褥瘡

創部の湿潤環境が治療で

重要視されていることか

ら、モイスチャーチェッ

カーを用いた水分保持率

の測定が適切な治療に寄

与できる可能性について

検証した。対象は仙骨部

に褥瘡が見られる患者さ

ん14人。期間を4カ月と

し、週1回の褥瘡回診時

に仙骨部の湿潤環境を測

定し、治癒するまでの水

分保持率を比較検討した。

その結果、治癒時より

も初回水分保持率が低い

ことが判明。水分保持率

の測定により、褥瘡創部

の湿潤環境を数値で把握

できるメリットや、早期

の治療効果が期待できる

生駒市立病院(奈良県)

の前川大輔薬剤師は2月

18日、奈良県で開かれた

第4回外用療法研究会

(大会テーマ:高齢者の

身体的特徴をとらえた薬

物療法の実践)で、ポス

ター発表を行った。同研

究会は外用剤に関する学

術的な勉強会。同院は初

褥瘡治癒過程の評価ツー

ルとして用いられている

DESIGN-

Rは褥瘡

治療に従事している人し

かわかりません」と指摘。

そのうえで「モイスチャ

ーチェッカーであれば誰

でも測定できるので、そ

の利点を今後の褥瘡治療

に生かしていきたい」と

意欲的だ。

タン、フルーツ、サラダ

など12品。飲み物はフリ

ードリンク制とした。利

用者さんに職員がひとり

ずつ付き添った。とくに

寿司の人気が高く、調理

師が利用者さんの目の前

で寿司を握るパフォーマ

ンスを披露する場面では、

多くの利用者さんから喜

びの声が上がった。

今回、夜勤など、やむ

を得ない理由以外の職員

は全員出勤。マンパワー

を確保できるめどが立っ

たことから開催した。

企画を中心的に進めた

菅生大喜・介護主任(介

介護老人保健施設シル

バーホームいずみ(宮城

県、68床)は入所者さん

向けのイベントで約10年

ぶりにバイキング食を実

施した。48人の利用者さ

んと12組14人の家族が参

加し、好評を博した。

今回、提供したメニュ

ーは寿司、茶わん蒸し、

ピラフ、唐揚げ、ポテト、

白身魚のフライ、ナポリ

護福祉士)と嶺岸三奈・

栄養科副主任(管理栄養

士)は「今年度は利用者

さん参加型のイベントを

行いたいと考えていまし

た。職員の協力に感謝し

ています」と口々に説明。

アンケートの回答や目標

の「家族参加率20%」を

クリアしたことから、半

年に1回くらいのペース

で行う意欲を示した。

吉川洋子・総看護師長

も「施設で提供している

食事を、ご家族がふだん

見たり食べたりする機会

がないので、そういう面

でも今回開催できて良か

った」と満足げ。

機能強化型訪看STは、

在宅医療の推進を目的に

2014年に新設された

訪看STの類型。24時間

対応や常勤看護職員数、

超重症児の対応人数、年

間の看取り件数など、定

められた要件を満たし、

当該行政事務所に届け出

れば、機能強化型となる。

「1」と「2」があり、「1」

のほうが要件は厳しい。

徳洲会グループでは愛

心訪看ST(神奈川県)

が制度創設時にいち早く

「1」を届出。現在、登

録患者数は160人で、

月間の訪問看護件数は8

00〜900に上る。「緩

和ケア認定看護師が在籍

しており、末期のがん患

者さんに対応したり、看

 

15年には茅ヶ崎駅前訪

看ST(神奈川県)が「1」

を届出。年々、人員を強

化し、現在は看護師が常

勤10人、リハビリテーシ

ョンセラピストが常勤7

人と非常勤1人という体

制で、月間約1400件

の訪問看護を実施してい

る。登録患者さんは30

0人を超え、うち重症患

者さんは40人超。なかに

は悪性リンパ腫の治療で

末まっ

梢しょう

血の幹細胞移植を行

った透析患者さんもいる。

毎日、注射による抗生剤

の投与、週3日の透析治

療が必要で、主に茅ヶ崎

徳洲会病院(同)と連携

しながらサポート。

家族からは「以前は自

宅から離れた大学病院ま

で通わなければなりませ

んでした。何とか自宅で

世話をしたいと思ってい

たなか、徳洲会病院を紹

介してくださり、徳洲会

もすぐに対応してくださ

いました。精神的に楽に

なりました」といった声

が聞かれる。茅ヶ崎病院

地域医療支援室の桐澤美

香・看護師長も訪看ST

の役割のひとつに「家族

のサポート」を掲げる。

看取りは、主に在宅緩

和ケアを手がける「ひき

のクリニック」と連携し

対応。同院の引野雅子院

長は「終末期の前から患

者さんにかかわる訪看S

Tは医療的にも生活をサ

ポートする面でも大き

い」と指摘し、「いろい

ろな業者がかかわると混

乱する患者さんやご家族

もいます。その点、茅ヶ

崎駅前訪看STは病院や

介護事業所も同じ徳洲会

で対応できるため心強

い」と信頼を寄せる。

介護事業所とも連携。

つるみね介護センター

(同)の田代健治ケアマ

ネジャーは同訪看STの

強みに対応力を挙げる。

その後、宇治徳洲会訪

看ST(京都府)、千葉

西訪看STが「2」を届

出。宇治訪看STは宇治

徳洲会病院(同)と連携

し実現した。「いずれは

機能強化型1を目指して

います」(唄野清美所長)。

今年4月の診療報酬改

定で「機能強化型3」が

創設される。茅ヶ崎駅前

訪看STの鈴木恵子所長

は「グループ全体でさら

に機能強化型が増えてい

くと思います」。

職種越え親睦深める3年目研修を初実施

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は3月3日、同院の血液浄化センター前でフットケアイベントを開催した。順番待ちの行列ができるほどで、イベントを担当した同センターの愛甲美穂フットケア指導士・フットケア専任看護師は「今年はフットケア相談会参加者やケア希望者の方がと

ても多く、告知のおかげだと思います」と話す。今回は約70人が足の相談とケアに参加した。日本フ

ットケア学会理事長を務める同院の小林修三・院長代行兼腎臓病総合医療センター長も参加した。イベントには徳洲会グループだけでなく関東地区の病院からフットケア指導士20人程度が参加。魚の目や外がいはん

反母ぼ し

趾、下肢感染症など多くの相談を受けた。行列待ちをしていた60歳代男性は魚の目に悩まされていたが「とても丁寧な説明で嬉しかった。あらためて外来を受診することにしました」。同院講堂で、早稲田大学スポーツ科学学術院の中村好男教授による「ウォーキング特別講演」も開かれ、140人が参加した。講演の冒頭、中村教授は「日本の足病の治療は、欧米に比べ遅れています。転倒の8割が足の爪の不備。足をケアすることで、気持ち良く歩いていただきたいのですが、健康のためだからと歩きすぎには注意をしてください」とアドバイス。講演内容は、①歩くということ、②ウォーキングの効果、③さまざまなウォーキング、④技術・メソッドの基本要素、⑤楽に歩く。「楽に歩くことを念頭に置き、荷重をなくすことを癖にすること。決して無理をしないで歩くようにしてください」と中村教授はウォーキングの効果を訴えた。

引野院長は訪看STの役割の大きさを強調

グループホームで末期がんの入居者さんに対応(茅ヶ崎駅前訪看ST)

フットケアについて講演を行った中村教授

フットケアの様子を見守る小林・院長代行(中央)

フットケアイベント開催湘南鎌倉総合病院 在

宅医療・介護が進むなか、徳洲会グループは訪問

看護の充実を図っている。国が評価する機能強化型

の訪問看護ステーション(訪看ST)を拡充し、24

時間対応体制の構築や医療ニーズの高い患者さんの

在宅サポート、自宅での看取りなどを実践している。

徳洲会

グループ

機能強化型4カ所に

在宅の看護を充実

取り後に家族に行う

グリーフケア(死別

の悲しみから立ち直

るため、周囲が寄り

添うサポート)に注

力したりしていま

す」(野口薫所長)。

自院の取り組みを発表する前川薬剤師

10年ぶりバイキング食

家族参加率の目標達成

老健シルバーホームいずみ

「今後は流しそうめんなども」と意欲を見せる菅生主任(右)と嶺岸副主任

付き添いのスタッフ向けに、各利用者さんの食形態や禁忌食を記したカードを作成

バイキングは豊富なメニューを用意。寿司は食中毒に配慮し、玉子、蒸したエビやアナゴを提供

東京西徳洲会病院は入職3年目の職員を対象とした「3年目研修」を初めて実施した。昨年10月から今年2月にかけ、4回に分け1泊2日で実施、合計49人が参加。研修では外部講師を招き、

まずは自分を動物に見立てた自己紹介をひとりずつ実施。あらためて自分自身や同期の仲間の性格や特徴を把握した。続いて「3年間の成長、病院への要望、病院から求められていること」をテーマにグループワーク。考えていることを付箋に書き、模造紙に自由な発想でまとめ、代表者が発表した。入職してからの3年間を振り返り、職種の垣根を越えて同期のチームワークをより深める機会となった。渡部和巨院長は「この研修をとおして顔が見える関係が

構築できたと考えます。3年目研修に参加した職員が今後リーダーシップを取って、自部署だけではなく部署間をつなぐ役割を果たし、自らの手で当院を良くしていってください」とエール。丸山恭子・看護部長、宗像雅則事務長もメッセージを送った。参加者からは「これからの目標を考える良い機会となりま

した」、「同期の考えていることを知ることができて良かったです」などと充実した研修に喜びの声。同研修は来年以降も実施する計画だ。

東京西徳洲会病院

グループごとに自由に考えをまとめて発表し3年間を振り返り

前川・生駒市立病院薬剤師

褥瘡治癒評価を発表

外用療法研 究 会

徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❸ 平成 30 年 3 月19 日 月曜日 │ No.1125

Page 4: TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS 4月1日に新 …...平成30 年3月19日 月曜日 No.1125 命だけは平等だ 3月19日 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074

同協定は、岐阜大学病

院が高度急性期の患者さ

んの治療を効率よく進め

るため、回復期の病床を

もつ病院に急性期治療を

終えた患者さんの紹介を

積極的に行うのが主な目

的。最初は昨年4月、同

大学病院のある岐阜市と、

その近郊を中心に10病院

と締結、さらに岐阜県全

域に範囲を広げ、同10月

に大垣病院を含む13病院

と新たに締結した。これ

団塊の世代が75歳にな

る2025年に向け、各

自治体は医療提供体制を

整えるために地域医療構

想を策定。これにより医

療機関の機能分化と連携

が加速している。岐阜大

学病院も医療機能が異な

る医療機関と緊密

な連携を図ること

で、より適切な医

療の提供を目指し、

医療機能を連携す

る病院群と「アラ

イアンスパートナ

ーズ医療機能連携

協定」の締結を開

始した。

大垣徳洲会病院(岐阜県)は昨年、岐阜大学医学部附属病院と「アライアンスパー

トナーズ医療機能連携協定」を締結した。同協定は入退院状況を常時共有し、相

互に患者さんの紹介・受け入れを積極的に行うなど、これまで取ってきた連携を

さらに強化するのが目的。大垣病院の間瀬隆弘院長は「地域の方々の信頼や安心

につながります。今後も地域のなかでの役割を把握し、患者さんに必要とされる

医療を提供していきます」と意気軒高。1月には同院の協力に対し、岐阜大学病

院から感謝状が贈られた。

に先立ち岐阜大学病院の

小倉真治院長が大垣病院

に来院、同協定の締結式

を行い、間瀬院長と固い

握手を交わした。

同院と岐阜大学病院と

の連携は2年ほど前に開

始。大垣病院の消化器外

科、脳神経外科、整形外

科に岐阜大学病院から医

師の派遣があり、相互交

流を深めていた。同協定

は、これまでの連携で築

いた信頼関係をもとに、

対等な立場でさらに連携

を強化していくために締

結したものだ。

締結後は「医療機能連

携協定締結証」を待合ロ

ビーに掲示したり、ホー

ムページに表示したりし

て、患者さんにアピール。

間瀬院長は「岐阜大学病

院との連携は地域の方々

への信頼感の醸成につな

がります。安心して当院

で治療に専念していただ

けると思います」と胸を

張る。

具体的には、岐阜大学

病院から急性期の治療を

終えた患者さんを大垣病

院に紹介。一方、大垣病

院からは同院で主に治療

が困難な患者さんを岐阜

大学病院に紹介する。患

者さんの紹介を積極的に

行うために、互いの病院

の空きベッド状況を毎朝

交換し合っている。これ

により高度で無駄のない

治療とスムーズな入退院

を実現する。

大垣病院の倉坪弘一事

務長は「岐阜大学病院か

ら当院へ、逆に当院から

岐阜大学病院へ、実際に

紹介患者さんが増えてい

ます」と明かす。両院の

連携が患者さんに明確に

伝わったことで、患者さ

んも病院への要望を出し

やすくなった。

こうした積極的な連携

により、1月には岐阜大

学病院の小倉院長から大

垣病院に感謝状が贈られ

た。間瀬院長は「協定を

締結して3カ月ほどしか

経過していないのに感謝

状を贈られることはあま

りないとうかがいました。

それだけしっかり連携が

できているのだと思いま

す」と振り返ると同時に、

「お互いにとってメリッ

トのある連携なので、こ

の感謝状を機にますます

励んでいきたいです」と

意気込む。

また、大垣病院は岐阜

大学関連病院長会議にも

参加している。これは岐

阜大学病院を中心に岐阜

県内の40病院ほどの院長

が課題などを共有し、地

域医療を活性化するのが

目的。これまで主に災害

対策や人材交流などが議

題に挙がっている。とく

に大垣病院は岐阜県の西

濃圏域(大垣市、揖斐川

町など)での災害発生時

に中心的な役割を期待さ

れている。

間瀬院長は「当院は急

性期、回復期、療養と複

数の機能をもつケアミッ

クス病院。一般的な診療

から治療、術後のケア、

そして看取りに至るまで、

患者さんの状態に合わせ

山川病院(鹿児島県)は地域貢献活動の一環として、近隣の指宿市立山川中学校で、2年生の全生徒を対象にBLS(一次救命処置)講習会を開催した。同校では2年生の保健体育の授業で救命処置を学ぶ座

学のカリキュラムがあるものの、実習の時間はなかった。実際に救命処置を要する場面に遭遇した場合には、実技訓練を事前に受けておくことが望ましいことから、同院に講習会の依頼があった。当日は野口修二院長や、講師陣のリーダーを務める放

射線科の有村隆一主任をはじめ、外来や病棟の看護師5人、上野謙介事務長や地域医療課のスタッフ3人の計11人が同校を訪問。体育館を会場に73人の生徒を6グループに分け、ガイドラインに基づき指導した。有村主任は「生徒さんたちは初めて使用するAED(自動

体外式除細動器)や人型のシミュレーター(医療訓練用人形)にとまどいながらも真剣に取り組んでいました」。同院はこれまでにも徳洲会グループの関連施設を中心にBLS講習会を実施している。今後も地域で救命処置法の普及に努めていく考えだ。

山川病院

中学生に救命法指導沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)は昨年12月の新築移転を機に1.5テスラ

MRI(磁気共鳴画像診断装置)を新規導入、頭部MRIと頚けい

部ぶ

血管超音波で構成する簡易脳ドックを開始した。名瀬徳洲会病院(同)の板垣徹也・名誉院長が1カ月に3日間、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の伊藤恒・神経内科部長が1カ月に2日間それぞれ担当する。脳ドックは昨年11月23日に行った新病院内覧会で受け付けを開始し、今

年5月までの期間限定で受け付ける。2月末までに264件の予約があり、すでに103件を実施。陳

ちん

旧きゅう

性せい

脳梗塞や未破裂動脈瘤りゅう

、動静脈奇形といった外科的治療の対象となり得る病気も見つかり、板垣・名誉院長

と伊藤部長が経過観察したり、島外の医療機関に治療を依頼したりしている。健康管理課の川南鶴代・事務職員は

「新病院開院記念企画として始めました。患者さんから好評で嬉しく思います」と笑顔。川南職員はドック開始時には医療スタッフとともに内容などを検討、今はこれまで入った予約に対しドックの実施計画を立てている。今後の課題は検査内容を見直した

り、島内で治療を完結できるように医療環境を改善したりすることだ。川南職員は「6月以降の脳ドックのあり方を検討しています。島の方々の希望に寄り添っていきたいです」と意気込みを見せている。

沖永良部徳洲会病院

簡易脳ドック好評生徒73人が講習会参加

新築移転記念で期間限定

同セミナーは2016年2月に第1回を開催して以降、年2回のペースで開催し今回で5回目。解説する治療戦略や機器、薬剤などに偏りが出ないよう、企業協賛を募らず自主開催の形を取っている。医療の進歩が目まぐるしいなか、同じ地域の病院と診療所の医師がともに最先端の医療に触れ、情報共有することで、患者さんへの最適な医療の提供につなげるのが狙い。今回は160人ほどの参加があった。冒頭、名古屋病院の大橋壯樹総長が、同

院の心臓血管外科が20周年を迎えたことを報告し、謝辞を述べ開会。まずは同院の只腰雅夫・心臓血管外科部長が「透析・糖尿病性足病変への当院の取り組み」と題し講演した。日本では糖尿病や閉塞性動脈硬化症が原因で足病変が重症化し、下肢切断に至るケースが年間約1万件あることを指摘。課題として①細分化された診療科、②少ない透析ベッド、③平均在院日数の制約―を挙げた。これに対し同院では、①心臓血管外科が主科となり、治療コーディネーターとして他科と連携、②透析ベッドは28床あり、緊急透析は年中無休・24時間対応、③一般病床と療養病床を組み合わせて長期間の治療環境を確保―という取り組みを行っていることを解説。苦労や工夫した点なども紹介した。続いて吹田徳洲会病院(大阪府)の渋谷卓・心臓血管外科部長が「閉塞性動脈硬化症の外科的治療について」をテーマに講演。同疾患の治療目的は、間欠性跛

行こう

では症状の軽減・消失、重症虚血肢では足

そく

趾し

の温存・疼とう

痛つう

コントロールであると説明。そのうえで人工血管、薬剤、糸、画像診断などに言及しながら、さまざまな術式について解説した。この後、浦澤副院長が「閉塞性動脈硬化症の内科的治療について」と題し講演。内科医が行う血管内治療と外科医が行うバイパス術を比較したうえで、浦澤副院長が実際に行った血管内治療について動画を用いて説明した。新しい治療技術および治療デバイス(医療機器)により、重症下肢虚血症例に対する血管内治療は、高い初期成功率、救肢率、創傷治癒率が期待できるとし、「数年内に国内に導入が予定されている薬剤塗布バルーンを用いることにより、血管内治療の成績がさらに高まることが期待されます」とまとめた。最後に大橋総長が次回セミナ

ーを案内。第6回は「心不全に対する最新の治療」をテーマに9月15日、愛知県内で開催予定だ。

閉塞性動脈硬化症の情報共有名古屋徳洲会総合病院

第5回春日井心臓血管セミ開催

名古屋徳洲会総合病院は2月17日、愛知県内で第5回春日井心臓血管セミナーを開催した。今回のテーマは「閉塞性動脈硬化症」。毎回テーマに合わせ第一人者を迎え、地域の医療従事者と最新の研究や治療戦略などを共有するのが目的。今回は時計台記念病院の浦澤一史副院長兼循環器センター長が特別講演を行った。

医療機能連携協定を締結

大   垣

徳洲会病院

岐阜大学病院と

より連携強化

た医療を提供できます」

と強調したうえで、「開

院して10年が経過し、地

域のなかで欠かせない病

院として認識されるよう

になってきました。今後

も他の病院と同じではな

く、当院にしかできない

役割を把握し、全うして

いきたいです」と展望し

ている。

協定の締結式で固く握手を交わす間瀬院長(右)と岐阜大学病院の小倉院長

動脈硬化症の最新情報に真剣に耳を傾ける参加者

医療機能連携協定締結証、感謝状をそれぞれ掲げる間瀬院長(左)、倉坪事務長

名古屋病院の心臓血管外科が20周年を迎えたことに謝辞を述べる大橋総長

閉塞性動脈硬化症の外科的治療を解説する渋谷部長

一次救命処置法の習得に真剣に取り組む生徒たち

板垣・名誉院長(写真上の右から2人目)、伊藤部長(写真下の右から2人目)の協力で脳ドックを実施。川南職員(右から3人目)らと一緒に沖永良部島をイメージしたエラブポーズ

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 平成 30 年 3 月19 日 月曜日 │ No.1125 ❹