15
Title 北海道鰊定置漁業に於ける漁場動員(下) Author(s) 岡本, 淸造 Citation 經濟論叢 (1934), 38(6): 1178-1190 Issue Date 1934-06-01 URL https://doi.org/10.14989/130455 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

Title 北海道鰊定置漁業に於ける漁場動員(下) 經濟論叢 (1934), … · 北海道練定置漁業に於ける漁場動員 第三十八巻 七 八. 第大時制 O 北海道練定置漁業に於げる漁場動員

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Title 北海道鰊定置漁業に於ける漁場動員(下)

Author(s) 岡本, 淸造

Citation 經濟論叢 (1934), 38(6): 1178-1190

Issue Date 1934-06-01

URL https://doi.org/10.14989/130455

Right

Type Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

Kyoto University

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新不労封t1銀産号 1 2圭の金登論説録ーに税

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法皐博士神戸正雄

支悪博士高田保馬

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端洲問題ご閲民主義:・:Ei--:ji--:将軍十博土石川興二

生産増加三貨幣需要

ji---ji---抗日涛月下士中谷宜

北海道鰍定置漁業に於げる漁場動員絡ま十土岡本清造

景礼観測について・:・:・::さ御率士祭原光太郎

定航海傭舶契約に於げる特約候項,.き岬準士佐波宣平

百貨府出張版責の本質-jji---踊

22Z堀

事 11<本新雪土ミ巳

第外三園十 経附八済巻雑線誌自主録要

論題

鋒今思

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北海道練定置漁業に於ける漁場動員

第三十八巻

七八.

第大時制

O

北海道練定置漁業に於げる漁場動員

(下)

,'11二)8

1m

以上持飛の肝究に保つべき幾多の課題や主一市しつ

¥1北海道腕漁場

鯨漁場占有の状態

の動員につき一般的な考察を試みた。斯かる極構的問題を有つ錬漁場の動日只か、現存の鯨漁業経

糟機構ーとりわけ鯨漁業の個冷分散的小規模経替に趨醸せる分散的な漁場占有の批態の下に於て、

漁業経持上如何なる意義を有するか、の考察に入るにたにも、練漁場占有の扶態に若干の分析を

加へておかねばならぬ。

漁場占有股態並びに漁場経傍肢態に閲しては、農地所有・経管牒態に闘するが如き精密な杢般的

調査がなされてゐないから、十訟では不完全な材料に基きて概観を得る程度で満足せねばならぬ。

先づ、最近の漁場私占の状態は、左表の一不す如〈極めて分散的である。但し、十ケ漁場以上の

{註一}

粂併も亦決して看過すべきではない。

第斗衰

所有旗揚扱別漁場主調査表(昭和問年現在)

選膳水産課調査-一ヨル

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地方劃側酬珂漁地

1

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石狩一八一

5

8

第二表

『選勝水産謀調ヨ官J

F

計算機括λ

漁場主別占有漁場数概括表

漁場主別

所有漁場合計

内寸4

漁場以上占有

量よl

英 市町 業組合漁 銀 舎義社名 個人名

イ也村 行 義

富舎i革四

八一四回す?唱 = 0

四ノZ余'1

喪主材ヂ演、

五盆閥、

ケ増 ノE乙漁毛 一一.場、 銀 ケ

天責 | 行ヂ場漁

北海道練定量海業に於ける漁場動員

註一右掲第一表に見る知〈、北海道練猟場占有白一方の極に

は僅かに一乃至三漁場をしか有せざる小漁場主白大多殻が居

p、

その封極には十ケ漁場以上三十有餓漁場を宥ナる極少殿町大漁場

主が居る。即ち、三漁場以下の小漁場主は各地を遁じで漁場主誠

殻の約九

O%を占め、北海道線漁場占有が知何に分散的であるか

γ明白である。之に反して、十ケ漁場以上回大漁場主は、後志小

樽に於て漁場主組数三九一のニ・五MF

に相嘗ナる十一漁場主が漁

場総数八五九白一六dhk相常ナる一三九漁場在、石狩に於ては演

盆村有を隙きて議場主総数回三一%に過ぎね二漁場主が議場総数由

一ユ

O%に相営ナる二八漁場を、留蔚に於ては町村有を除いて議場

第三十八品位

一一七九

第六貌

一O三

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北海道錬定置漁業に於ける抽出場動員

第三十八箸

O 四

第六披

一一八O

主総毅回二・五%に過V4v

ぬ五漁場主が楓場総数のニO%に嘗る一

0↓一漁場を、最後に宗谷に於ては抽出場主総数のて六%に過

布、ぬ六漁場主が漁場組搬の一二%に賞る九七漁場を占有してゐる。前掲第二表は全道春鯨定量撫場一一三六Oが分有せられて

「毘ニゆ

ゐる主要群を一尽すものであるが、第一表と併せ見るときは、錬漁場点宥の現状を大館明白に窺ひ得るであらう。

註ニ第二表に見る知〈鯨漁場は現在個人(忍曾枇〕有が陛倒的であって、漁業組合有が微少であるe是,れ北海道鯨漁場占

有朕強め一特徴である』いはねばな

bぬ。

元より漁場占有と漁場経替とは別佃の範時じ属することは、現在漁場賃貸借経管の存するに上

り℃も明hrTあるから、漁場占有脱脂な吊すには克に漁場を賃借@白鰐別仁分ちて北(の分散@集中

の統計を作製するに非

4

されば、漁場占有の経糟闘係を明確に知ることが出来ぬ。併し材料の整は

rtる現在では、前掲表と関聯して、次の如き鯨漁場経替の分散肢態を併せ観ることを以て満足せ

ねばならぬ。

「建網類は一機業者一統経笹を普通とすれとも、後志天聴北見利尻龍夫には一人にて二三ケ統を経替する者多〈、中には問

、、

.

.

.

.

.

. 、..

、...... 、、‘... 、

乃至六統を経倍ナる者稀には八九統に及ぶ者もあり、・:・・・-又激揚主一人にてこ十四内外を有ナる者な奇に非ずと雄も此

等は多〈賃貸ナるか若〈は内若干を直替するに過ぎず。」

きれば、現在見るが如き分散的な漁場私占の朕態は大瞳一漁場一極笹の小規模分散的な経管方

式に趨醸せるものである、と概言することが出来る。

借て漁場動員の前提であり且っその結果である所の漁場私占の肢態について、分散化か若〈は

集中化、かの長期に亙る一般的傾向を考察することは、必要な割賛費料の備はらrtる現在では殆ど

不可能であり、又地域別・年次別に漁場動員現象を整理し、漁場貰買の行はるう率や頻度を明か

北海道膳「産業調査報告書第十五港水産ノj'fs其ー I(大正四年)九頁16)

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にし、之に漁場の取引債格の指数を配し、兎に此等ぞ前掲の漁場債格決定諸要因の指数等と闘聯

せしめて考察し、以て漁場動員現象を内容的により一一層明瞭ならしめることは、是亦費料不備の

ために会〈不可能である。故に蕊には精密な調査を勝家に委ねること冶し、資料の不備不完舎を

意識しつ〉、蒐集し得た材料に基き、漁場私占の一般的傾向を概説し、持来の調査に一の指示を

典へ40に止めようと思ふ。

明治二十年代の北海道に於ける漁場占有と漁場経管との一服態に就いては、記述が此等閑範鴫を

峻別してゐないから、それに依って精確に之を明かならしめ難いが、其の示す所に依れば、地方

的には可成h

リ接しき楠迭の存するは勿論でめる炉、大曜に於て、漁場の故からのみ見れば、比較

的多数の漁場を占有し経替せる者が多数あった如〈である。是れ蓋し、一には嘗時尚ほ奮請負川八

の過大占有形態が残存せると、二には個今の経笹漁場面積の狭陸なりしとに因るものであらう。

その後の全道一一閣の練漁場占有肢況を示す調査が懐けてゐるから、特に練漁業地として杢道中上

位にあった厚田・潰盆雨郡につき、明治三十年頃の朕況を窺ふことb

する。

十八年以来

総績漁場主

十八年以来

継績漁場主

:::民二十七年以来-

纏績漁場主一

三O一一一一一一六=一

一五一七一一二

演厚言十

益田北海遁錬定鑑識業に於ける漁場動員

第六時耽

O 五

第三十八巻

i¥.

村尾元長「北海道漁業蕊要」三三五頁ー主主主主七頁白詳述を見よ。突で明治三十年代初頭白状況に於ても、大したる中日興な〈、建網・引網を合せ八十統若〈は五六十統を有する大漁業{場)主か b最γJ2曹は一統を有する年止まる者あり、中位の者は五統乃至七八統を有した。〔内務省北海道諜 l北海道自主業取調書」t明治三二年一三四年調査)一明治三五年刊三七頁一三九頁〕

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• 第二一十八巻

北海道錬定置漁業に於ける抽出場動員

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性)

右表に依ればイ漁場の人格的移轄の甚しきことロ漁場移轄が漁場粂併を伴ふことが明かであれU

r'E

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・、、

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註「其/然ル所以7考察λ

札作戸-二前品三山漣迎ベタルガ如夕角網使用以来魚群机沿悶岸湘描憐附ノ自由ヲ制セラレタル品ヨリ富来m潟ノ街-一

rz、

営PMタル漁場ノミ好漁ヲナシ他ハ多ク之ヱ典ル能ハズ、然ル品大漁業家ハ各所回一漁場7有スルガ故三甲品分グモゐ品多グ丙

=凶漁ナルモ丁一二賢牧見ルガ知タ期セズU

テ所有各漁場ユ相互保険ノ知キ関係ヲ生ズ二年三依り来湯=厚簿アルハhm論ナル

rg

一で小糠業者ρ雨三年ノ不協同一一際曾セバ忽チ倒レザルヲ得ザルE

反-v大漁業家ρ能ク不瓶二噛且テ豊漁ノ年ヲ侠ヴユヨリ永年

ノ間昌利金ノ平均ヲ保ツヲトヲ得。乃ナ兼併ハ止ムペカヲザルノ勢ナリ」と法解せられ亡ゐる。

川、

第六披

布川畑仰隅山いけは漁場白伴MV-前惜してゐる州

t、漁場占有l漁場純批判との分化4V前枇什司令、陥って油

業経管の集中即漁場私占の粂併を問題にしてゐる如くである。何て之k闘聯せしめて漁場経替集

中の傾向を、損益郡のみに限られたる資料を基礎として窺はう凶

(百A)(ェR)(AA)練建 h

一 ケ ケ網

響三 機重 貴温 重潟管

(町ノ 上施 施才下子

合 33m|

?官

一二十

四二五年|八人人

寸ー一二七

七六一年六人人

十一一i¥.一九七年|三人人

一一一ー十十

年百ノユ

一一 一 割合封ス

三ハ六 Jレ|三八八

卸ち右表の示す如〈、演盆郡に於ては漁場経替の集中傾向、多数漁場の同一漁業者による統合

『註}

的経替の稜展方向が見られる。

註これに関しては、「涜綱沖出大ナルトキハ湘滋ノ向在ヲ失フガ故=前記突入地盤=営レル部商=於テハ好滋ヲ得ベキモ

池一般多敏ノ諒場品於テ殆ド取種哲一一ナク鴛メユ地方品於ケル縁漁獲高品目盆スル所ナキ=止マラズ各制ノ収穫ノ上=非常ノ港

明治三六年、札幌支思編、投手薄岡鏡場氏調査報告「漁業健部品開ス Jレ意見ノ概要」ニー頁一二三頁。潰盆郡組合長山崎亀蔵氏「錬建網路業ノ経鋒方法襲!Æ'~閥ス pレ意見」九頁十頁

18)

19)

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日賂ヲ生ぜUV

メ延テ錬抽出業ハ天運ア侠ツノ外ナキノ概ヲ増大セUJ

ム。而U

テ佳天射倖ハ著寅勤勉倫約忍耐等ノ美徳ト金ク相容

レズ博者ノ快ヲ一時ユ取LPY知キ風管ヲ馴致シ者修浪費至一フd

ツルナク資本ノ増殖ヲ阻碍γ風紀7素批

ν住民ノ土着心ヲ藩弱

ナラシムル等種々ノ算害ヲ助長セシムル品止マヲズ漕資者ハ一瞬再ピ起ヴ能ハザル一二民

v巨大ノ資本ヲ抱掩zp大漁業者旦

在リテハ全沿岸各方面昌漁場ヲ所有スルガ故ニ侃此聾凶相補ノ使アリ且持久力強大一一

U

テ藩漁孟突グ大潟ヲ待ツf使命ヲ有

シ漁捗成績上方面ト歳衣トノ統計的平均ヲ得テ愈々盆々膨大ヲ致シ群多ノ小漁業家ヲ併呑シ貧富ノ懸隔年々-一昔Uカラ

yム

ル等社合的部面ヨリ之ヲ見ルモ又貫一一一黙過月ベカラザル事相ナリトス」と加註されてゐる。

以上によれば、鯨漁業経漕の領域に於ても、漁業経惜の集中及び漁場占有の粂併の傾而が存し

資本制極樺に一般的な集中の法則が存する、と見ることが出来る。併乍ら・此傾向ぞ一面的に推

建めて行〈ことは決して袋賞ではない、叫脅し、

それは事象の山中両たるに止まり、他方に於て漁場

経替の分散と漁場占有の分散との状態を固執せしめ、表〈はそれを促す極端問的諸僚件の存するこ

立志)

とを見越し得ないからである。

拡に分散的浪場私有状態を固執せしめ、或は之を促進する経済的諸傑件白塊てにわたり考察する徐裕がないか

b、唯

漁場動員に闘する限りに於て考察する。漁場の集中的占有と多数漁場の総合的経瞥とは既挫の知〈資木制祉舎に適帰する練

漁業経轡輩化の主要な方法であるみ」は一再三新に練漁業界に入来って斯かる経俸を組織せむとナるが知膏漁業者は少〈とも

一般資本家と同様に平均率白利潤白責魂を目指し、従ジて典へ

bれた経済事情白下に於て彼が漁場獲得白魚に支梯ひ得ベき

註慣絡は、常然此利潤市中によりて限界を受けざるを得ず、又資本家的打算に於て評領されざるを得ぎるに反し、現に漁場の大

部分を占有してゐる小自磐漁場主宇、液場に封して緊迫的需要を有ナる小漁業者は、資本家的打算を逸して高〈漁場を評債

卜してゐるか

b‘或は彼等から漁場を買取り、若〈は仮令潟揚が市場に提供さるふととありとしても債格競争に於で此等小漁

業者に打勝ワことは・、必ずしも資本家白なし得る所ではない。漁場を市場に提供ナる者にとっては、該漁場空局債なる原因

北海道線定置漁業に於げる漁場動員

第一一一十八巻

A

第六務

。七

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北海道錬定量漁業に於ける議場動員

第三十八巻

i¥ 四

第六披

O i¥

の如何宇鼠業経済上.の影響如何は全〈彼白介意せざる所にして、瞳高一き債格で費れて甘〈利盆をせしめさへナれば宜いので

ある。錬漁業白金管展を徳Tべ奇相相場統合組織の一貫現も、個人主義的な漁場占有平現存の漁場動員の諸傑件目下では、困難

む障碍に逢着してゐるのである。但、錬漁業が資木制的に令理的な経替組織を貸現ナるか否かは、。串自に漁場債格白高低に依

るのみではな〈、出血〈一般経済事情白知何に懸る問題である。

此位一寸諸僚件を綜合して考慮せば、漁場占有につき次の如き一般的傾向佐暫定的に推定するとと

が出来る。即ち一中層漁場主の溶層による一方に於ける小漁場主の多撒的分散と他方に於りる大

漁場主の少数的集中との傾向、戸い大漁場主は共有する漁場を個別的に小規模経費者に賃貸するの

傾向、三漁場貰買の自由は郎ち漁場主が漁場占有を不利と見倣す場合に之を貰却して他に投費部

面を求め漁業界から身を退〈の自由であるが、漁場の買却は大漁場主にあっては小漁場主よ

hも

より自由より有利に之念行ひ得るから、需要事情に鷹じて、漁場は大漁場主から群多の小漁場主

に分散するの傾向がある。新かる推察の貫誼は之を時燕の材料の蒐集と整理じ侯たねばならぬか

『註}

ら、高には唯将来漁場占有状態に闘する材料取扱上注意すべき諸輸を摘示しておくに止めたい。

註時代別に、大中小漁場主分類をなし各階層白糠場主総数に封ナる比率を算出し、該比率の年次的動向を考察ナること

第二に撫揚主白白轡・賃貸分類をなし闘部類白相封的地位の年代的動向を見、更に之と第一表と封照ずること〆第三に現貨

に貰買された漁場を拡へて、之に研究上必要な類別をなし、年代的に比較して、以て一般的傾向を見出す乙とが必要である

漁場占有状態白年代的比較に於では、右越の漁場主階層構成状態を基礎とせねばならぬ、蓋し別に詳漣ナる却〈、個々の挽

揚白面積が漸失披大し従うて沿岸全漁場教が漸減する傾向にあるから、所有漁場数そ白・も白に基く比帥慨は無意味一であるか

b

(註』

である。

倫材料蒐集上註意を要ナるこーとは、拍臨場責買の件搬を悉〈集計し得ぎることである。法制上海場に闘する事項はnv・録

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ずべ骨ことふなってゐる(漁業法及び漁業奇銭令)が、恐〈抽出場資買の一全てが登録されるのではなからう。夏に若し時代を湖

って漁場資買を取調べむとする時には、腕に(脚註4)所漣の知〈法令禁止の下に行はれた漁場貰買に蓬着するが、此等を集

計することは恐〈全く不可能であらう。其故に、前掲引用表の加者も何慮まで事責を正確に捕捉したか、其信頼性が一一際同棋

はれるが、大積本稿に漣ぺる所を傍詮ナる程度に於では閑に令ふ資料であらうと思ふ。

斯の如〈北海道練漁場占有に就いては二つの相反する傾向が見られるが、現在では前掲表の一二小

すが知〈、小規模・分散的な漁業経替の摩倒的な存在と之に卦臆せる小漁場主の分散的な存在と

の状態炉、練漁業経捕問機構上特徴的な事貫であり、且つ此の状態が現貫に漁場問題を喚起してゐ

る?と見るべきである。然らぱ、斯かる漁場忍占状態と漁場動員とが相交錯しつ〉漁業の金援展に

如何なる影響を及ぼすか、を考{禁しよう。

分散的小艦管に針醸せる漁場分散般態の下に於ける漁場動員の経済的意義

漁場の白白

轄動の蝶件が一般的に成立して漁場が債格を有つに至るや、小漁業者による漁場の細分的占有の

牒態の下では、或は遺産分割や共有分割に際し之を貨幣額に見積って相績し又は占有し、或は自

ら漁場を購入(多〈は抵営附借入金を以ごしたりすることの行はれる結果、此種漁業者にとっては漁場

債格は事貫上生産費の一要素となる。換言せば、資本化された漁場賃料牧盆たる此漁場債格が漁

業種管上諌め前提されねばならぬ一要素となる。而も漁場債格にるや、不断に、且つ屡と純費本

制的な水準債格を超えて、騰貴する傾向にある。

抑ミ漁業生産の組織としては個別分散的漁場白管の形態は、共性質上漁業州労働の協会組織の後

北海道練定置漁業に於ける漁場動員

第三十八巻

一一八五

第六抗

O 九

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北緯遺錬定龍源業に於ける源場動員

第三十入港

一一八六

第六務

O

建や漁業資本の集積や其他漁業生産の毅遼を促す諸俊件。ぞ排除するものであるが、斯かる漁業形

躍と結会せる漁場動員は愈ミ益ミこれを助長する、何者、漁場動員は漁業者をして漸騰傾向の漁

場債格に費本伝向け

Fるを得ぎらしめ、必熱的に現貨の漁業経皆上の資本合制限せしめる結果、

生産機闘の限り無き分散化k漁業者相互聞の個別隔在化とを盆ミ甚しからしめるからである。剖

ち漁場の利用そのものにとって外来的な此漁場債格なる一要素が漁業生産の粧樺的諸峰件を県加

的に感化し、漁業者の拭沼市伊-応化する一悶であぶからでめるの功ハじ拍拐の花的トハ布と挽掛的ム日開

的経径との澗に横はれる斯の一般的な矛盾は、漁場の動員過程に於て、右辿の如〈漁場債格が白

替漁場主にをりち一の費用要素であることと、夫にも拘らや漁場債格が漁獲物市場債格者〈はそ

の水準たる漁獲物生産債格の中に必然的いは

λ込まね正いふこL」との矛盾となって現れる官一世ふ

に、小漁業者の漁場占有の牒態的下では、此等漁業者が漁場を利用し又共目的で漁場を購入するた

めには、通関の費本制経梼事情の下に於けるとは異り、必中しも漁獲物情格が漁業者の手に卒均利

潤や況苧漁場債格に固定せる資本の利子やや-清らすに充分な程度に迄騰貴することを要しない。

漁獲物債格が偲令比較的に低くとも、彼等は自己の資本家としての地位の劣弱による貧窮と漁

業接働者の過度の搾取とを犠牲にして、一般的には不利と見らるる健件を以て敢て漁場を購入せ

ゴるを梓?、叉事貰購入する。その結果、例へば金利が比較的に高い場合でも漁場債格が高〈定

められ、従って、漁業者が漁場購入に投じに資本部分から受け得る牧益の比較的低きに劃して、被

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自らは前漁場主若〈は抵骨田植者(抵営附借入金を以て購入した場合)に高率の利子を支排はねばならぬと

いふ艶立的な現象が生じるのであへ討に

註-漁場貨料・漁場債格の利子相営分が漁獲物償絡に決定的要素として入込み得るとともある。例へば、漁獲物債格が

街占慣格である場合或は漁業が純資木制的に経替され且つ該漁業資本組成の低位と漁場燭占とに傑件づけ

bれたる賃料部分

の知雪に於て。併し此場合でも、十年若〈は二十年と長期にわたワて前食された所の資本化された漁場賃料郎ち漁場債格は

必ずしも斯様に単純に債格決定要素として漁獲物慎格中に含まれるものではなか

bぅ。況宇、漁業経俸が純資系制化サヂ資

本制的諸傑件。未熟な現在白練漁業に於ては、抽開場債格は抽間業者白負携を加重する一傑件であると見なければならぬ。

詰-一漁場購入資会融遁上白諸事情は木稿に瞭〈漁場抵常の稿で詳述するが、小自替漁場主の頼り得る金融傑件は、漁場

債格を水準的に決定する所の一般的金融傑件ではなくて、高利貸的な傑件であるか、b、彼等が向己白頼り得る傑件か、bは会

f不利な高債で猟場を購入せざるぺからず、従フて現貨の漁場牧盆債格、と現貰の漁場購入債格との聞に大なる港庭が生じる

に械速ない。此の不利、此の差額は如何にして社曾的に埋A

付されるであbうか。不利な個々の小自慢漁場主白破産と祈た小

白骨淵場主巴代替的出現、斯かる事情目下では、漁場動員過程は畢寛滋業白田官民に封ナる悪無限の循環に他ならぬであらう。

線じて小規模漁業経管者に卦しては高利貸や商業資本家の貧埜飽くなき鯛手が延べられる。漁

場購入に際しでも此等資本家は高利の漁場抵嘗貸金の形態に於て屡ど小漁業者の漁場占有を貰質

的に表頑せしめ、漁業者の経済的諸保件を盆宅悪化せしめる。此等諸塵迫は小漁業者守して愈ミ

盆ミ漁場資源の焦燥的な顧慮なき掠奪と人間接働力の蕩壷とに向はしめるのでめる。新かる経梼

関係の下では、協同的な恒久的な資源としての漁場の会理的な経替は全〈排除せられて失ひ、叉

漁業持働手段の改善は放榔され、勢働生産力を増進せしなべき諸手段の利用は閑却され玄るを得

。きるは勿論、漁夫の海上勢働の危険を避りることさへ見棄てられ、多敷人命の喪失を避けること

北海道練定鑑漁業に於ける滋場動員

第三十ん巻

l¥ -[二

第六時砺

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北海道練定量油開業に於ける油開場動員

第三十八巻

一一八八

第六時菰

さへ困難であるのである。

上来遮ペ来りたる如〈に、漁場の私的占有の形態であり叉結果七る漁場債格は漁業生涯の合理

的殺展に劃する制限として現れ、漁場の動員は漁業生産の経済的後進性を固化するの役割を演じ

てゐるのである。要約すれば、現在北海道鯨漁業に於けるが如〈小規模漁業経替と之に封臆せる

漁場の細分的占有とが支配的に存してゐる所では、漁業者が州労働の枇曾化に必要な資本を融き、

新漁業技術を導入し得る前提的諮僚件が備はらや、更に相互競争的な小漁業者の孤立的隔在は高

利貸・商業費本に肱居の館地ぞ奥へ、漁獲物市場闘係を刷乱脈ならしめ、漁場全般の荒廃を招〈等

{註}

漁業経済上劣悪な諸健件が存するが、漁場の動員は‘既に詳越した如〈此等諸俸件を一見に悪化せ

しめるのである。錬漁業経済保件の斯の如き累加的悪化は分散的漁場占有に立脚せる小規模の自

替漁業者の存頑を愈ミ困難ならしめ、彼等から漁場を牧奪し、遂に資本制漁業成立の前提を開〈

ではあらう。併し、錬漁業に於て、現在の如き低位な漁業生産方法を乗超えて資本制経傍方法炉

貫現し、純費本制機構が成立するに至るや否やは、漁場闘係以外に更に他の諸事情の如何に懸る

所の問題でめる。

北海道鯨淑業の現在白磁立分散的経笹が現伐の資本制一般鰹部との聯闘に於て如何に不令理な経済関係を生ぜしめで

註ゐるかは、漁場関係自分析に績〈稿で詳察ナるであらう。

大規模の資本制経替と之に趨臆せる集中的な漁場占有形態の存する場会にも、漁場の個人主義

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的占有が漁業生産への投費を拘束する勤、漁場の私的占有が漁場動員を通じて漁業生産の会後展

を阻碍する鞘に於は、上来述べ古都ちたる所と本質的には喜色種りはない。叉此場合に於ても、漁

業経漕の個人的替利組織の存する限り、漁業者と漁場主とを可及的に富ましめむ,かために漁場を

利用し、漁場の荒臨臓を結果することは不可避的であらう。併し、他面に於て、多数漁場の集中的

占有と統合的経替とを以て漁業を資本制的に強化し得ぺき大漁業組織に於ては、凡ゆる方面に漁

業の資本制的統制の可能性が聞け、小規模の分散的経替や小漁場主の分散せる現在よh-は漁業生

産上優れた諸健件が形成されるであらう。純資本制諸僚件の下に於ける漁場動員を考察すること

は北海謹錬漁業に現存の漁場諸聞係を分析せhu

とする本稿の範岡外仁局する。

第三

共の成立の営初に於ては北海道杢沿岸仁多数の建網漁業経替者の漁場利用を誘致し、鯨漁業説明

展の貫現に役立つ所ありし漁場の自由な動員は、今や、個別分散的・隔在的な小規模漁業者の相

互競争的な経替と結びつき、而して斯かる経替方法と経笹組織とを固化し、資本制経済によく遁合

せる練漁業経管組織の寅現を遅滞せしめ、而も会漁場の内容を荒底せしめ、錦漁業の生産諸健件

を悪化せしめる等、錬漁業杢龍のA口理的義展に劃する阻碍的な一保件に醇化するに至ってゐるの

である。是れ、現存の個人主義的な漁場開係の一般的不合理性が、漁場の動員を通じて現れ来れ

北海道練定置漁業に於ける漁場動員

第三十八血管

A 7し

第六猿

一一

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北海道錬定置漁業に於ける漁場動員

第三十凡倉

一一九

O

第大競

る具瞳的な容姿である。

以上私は本稿に於て、右述の諸鈷を考察し、鯨漁業界が現に営面してゐる漁場諸問題を其基礎

に於て大瞳説明した積りである。言ム迄もなく、漁場動員に闘する一般理論的諸問題の一層深さ

、.、.

分析や、叉より具髄的に展開せしめねばならぬ各個の諸問題の研究は、本稿では唯問題の呈一不に

終りも之bJ宮崎飛に遺した。次に本摘に於て漁場動員過程の断面に於C捕へた如、古北海道糠漁業経

掛機構の特質は、今やこれに趨臆せる諸特徴を有せる錬漁業恐慌のために解惜しつ〉める。北海

道鯨漁業が近代資本制経済下に経過し来りたる景況については、大瞳明治三十年代迄を以て殺展

の上昇期、以後現時に至る迄を下降期と見倣し得るが、此聞の上昇的・下降的な動き特に現在の

錬漁業の危機との闘係に於て、漁場動員を促へて、諸問題を分析する必要がめる。錬漁業の危機

は、北海道館漁業の会経済的機構の瞳制的分解と資本制的章化とを、鯨漁業会同問題として現貫

にその日程に上せた、漁場の買買、漁場債格の問題も亦現貫の問題であるのであるが、これに闘

する考察は、本稿に次いで錬漁場抵営闘係を取扱ひ、現存錬漁場諸闘係の大瞳の研究を了へたる

上で、試みるであらう。ハ昭和八・十二・二O)