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Title <學界展望>淸初滿語文獻史料の現状 Author(s) 河内, 良弘 Citation 東洋史研究 (1989), 48(3): 550-565 Issue Date 1989-12-31 URL https://doi.org/10.14989/154292 Right Type Journal Article Textversion publisher Kyoto University

Title 淸初滿語文獻史料の現状 東洋史研究 (1989), …repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/... · Title 淸初滿語文獻史料の現状

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Title <學界展望>淸初滿語文獻史料の現状

Author(s) 河内, 良弘

Citation 東洋史研究 (1989), 48(3): 550-565

Issue Date 1989-12-31

URL https://doi.org/10.14989/154292

Right

Type Journal Article

Textversion publisher

Kyoto University

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550

望 1

清初満語文献史料の現吠

後金図成立以前の批判族(女民族〉自身の歴史記録は、彼等自身に

よって記録されたものといえば、わずかの女岡山文史料のほかにはな

く、研究を進めるには明閣や朝鮮の史料に頼るほかない。

しかしヌ

ルハチが満洲文字を制定して以後、満族自身による記録が飛腕的に

崎唱え、情報量も急激に多くなった。それらの尚文の記録は、満族自

身によって書かれているがために歴史・言語・文化研究のための第-

等史料であるが、これらにもとづく研究は、これまでは日本・アメ

リカ・西ドイツ・ロシア等の諸園でむしろ盛んにおこなわれ、中園で

は稀にしかおこなわれなかったことは奇異なことであった。ところ

が近年、ことに文化大革命終息後、満文楢案や少なからぬ数の満文

檎案の翻謬が公刊され、それらによる澗族

・錫伯族の歴史・文化・

言語等に関する中国人自身による研究もにわかに盛んになった。

これまで存在は知られていながら見ることのできなかった涌文楢

案、存在すら知られなかった楢案、減族の古老から採集した満族の

湖語による古い民話・侍読などが設掘され、原本、或はその翻誇、

或はそれに基づく新しい研究成果が設表され、百花斉放とはこのよ

うなことを言うのかと思われる程の盛況を呈するまでになった。新

しい知見は、歴史、言語、文風午、民俗、懇術、民族理論等の各分野に

及び、その研究成果の数と水準の高さに、われわれは感一倒されるば

かりである。これらの新史料や新知見の理解なしに、今後清初史と

満族史の研究をすすめるのは不可能であろう。しかし個々の雑誌に

設表された論文まで含めると、それらはかなりの数にのぼるので、

ここでは一九八

0年代に新しく設表された漏文楢案およびその翻

誇、満洲話および錫伯族の語感奮および僻書、満族および錫伯族の

歴史

・文化

・語皐に関する論文

・著作および雑誌、研究論文目録な

どを紹介し、現時粘での整理をしておきたい。

清初漢文指案および

中文滞初史研究論文は、重要ではあるがここでは割愛することとし

た。

しかしこ

の原則にとらわれなかった部分もある。個々の史料の

中には、内容に立入って紹介したものもあるが、紙数制限のために

内容紹介を差控えたものもある。しかしその場合でも讃者の内容理

解の震の

一助にと思っ

て、目次のみは-記述することとした。

-130ー

〔淵文史料〕

錫伯族遜従考記之宮駒込言、丘町号

222HRE2E言

nhss

(シボ族が移動し駐防した記録)

錫伯文。安俊、臭元盤、趨志強

者。

新碩人民出版社、一九八二年。目次て序文三、本文一一-

頁。木警に

ついては加藤直人氏がすでに「東洋療報』第六七谷第

-・二続、ご一

Ol一三

O頁

2九八五年十二月〉にくわしく紹介

しているので、ここではこれに依援し簡略に述べておきたい。本書

は中圏第

-歴史楢案館の奥元盟・越志強雨氏が、まず向指案館の新

設見史料に依接して錫伯族の移動に関する数編の研究論文を中園語

で護表され、次にその論文にもとづき錫伯文で錫伯族の讃者向けに

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卒易に書かれたのが本書である。冒頭の一軍は安俊氏の執筆に係る

「シポ族の名の起源」で、その名の由来を鮮卑に求めている。次の

章「シポ族の移駐」が前記雨氏の執筆によるもので、五つの節から

成っている。いま便宜上五つの節に番放を附けると、第一節では、

康照三十一年四月、錫伯族がコルチンから清朝に進献された後、満

洲上三旗に編入され、チチハル、ベドゥネ、ウラ等地に駐防させら

れた「第-次移駐」について述べてあり、第二節では康照三十八年

l四十年、ベド?不の錫伯族は盛京へ、ウラの錫伯は北京ヘ、チチ

ハルの錫伯はフフホトに移住させられた「第二次移駐」について、

原因、経過など、詳細な分析が示されている。第三節では乾隆二十

九年、

錫伯族の-部が新彊の伊裂に移駐させられた

「第三次移駐」

について原因、沿途の経過が述べられている。第四節では嘉慶二十

五年、僻旦減燃の開墾のため盛京・吉林南省内の八旗満洲、蒙古、漢

軍の-部が移住させられた時期に、錫伯族も移住したとし、これを

「第四次移駐」とし、前後の経過が述べてある。第五節では乾隆一一一

十四年四月、盛京を出愛した錫伯官兵が七月雲南に到着、翌三十五

年撤兵し盛京に防還するまでの綬線が解説してある。錫伯族が自身

の歴史を淵源に遡って書いた笹系的書物としては最初のもので、か

ような書籍が出版されるようになったのも、民族主義的意識の高揚

の反映とみることができる。

錫伯族筒史包~ζ

忌hRE"ななどWHEnphミ(錫伯文)安俊、呉

元盟、越士山強著、新騒人民出版社、烏魯木棺円、一九八五年二月。

文五七

O頁、附表一大清歴朝皇一帝年表、二伊製持軍年表、三

伊型錫伯領隊大臣年表、四伊型錫伯提督年表、五伊裂錫伯苑副

年表。本書については楠木賢道氏が『東洋皐報』に書評を載せられ

る議定なので、ここでは目次のみを紹介しておきたい。

第二章民族の源流と族名

一節錫伯族の名。第二節

錫伯族の源流。

第三章コルチン・モンゴル所属時代の錫伯族

第一節九部が曾盟しヌルハチと戟ったこと。第二節

コルチン・モンゴルの十旗に編入させたこと。

第四章

コルチン・モンゴルが錫伯らを清園に献上し、清図政府

がニルに編成させたこと

第一節吉林烏泣の錫伯が世管佐領を編成させられた事情およ

びその後の鎚化。第二節調門斉恰爾、伯都柄、士口林烏位等三所

に錫伯ニルを編成した褒端と終り。

第五章錫伯族の移動経過

第一節盛京ならびに北京への移住。第二節伊裂への移住。

第三節黒龍江と士口林に後に移住したこと。

第六章経済生活

-節狩獄。

第二節牧畜業。第三節農業。第四節手工

業。第五節一商業。

第七章錫伯族が租園に果した歴史的貢献

-節租閣の遜境を保衛したこと。

第二節外園の侵略に反

抗し園家を保衛したこと。第三節分裂を拒ぎ園家の統一を保

街したこと。第四節透境を開拓し租園を建設したこと。

第八章数育と蜜術

第一節教育。第二節

と套術(歌舞)。

錫伯を

-131-

言語文字の停存と歴史。第一一一節

文皐

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第九章錫伯族の風俗と宗教

第-節道徳を向ぶ良い風習。第二節

喪葬。第四節錫伯族の節目。第五節

服飾と飲食。

清代錫伯族楢案史料選編付同(錫伯文〉、中圏第二歴史檎案

館選編、新彊人民出版社、烏魯木湾、一九八七年三月。

H五二二

頁、

ω四五二一負。本書に

ついても楠木賢道氏が詳しい書評を執筆さ

れる激定なので、ここでは目次のみを紹介しておきたい。本書には

全部で三八九件の楢案が牧められており、各指案の曹百出しに番放が

附けてある。左の紹介文中、括弧内に記したのがその番銃である。

一編東北の錫伯族

第二章

コルチン蒙古等が上納する以前の錫伯族

第一節九部の兵がヌルハチと載ったこと並に降伏して貢物を

施したこと(一六)。第二節清園との交易(七|二二)。第

三節屯田を耕種し車を出して公課を資したこと〈一

一一一一|二

七〉。第四節雑事(二八|一一一一一一)。

第二一軍

黒龍江将軍管下の錫伯族

第{節コルチン蒙古が錫伯族等を上納した事、並に清園人が

ニルに編成し安揺した事(三四|四七)。第二節腺丁の鮫員

に披甲人を選ぴ、ニルを編成した(四八五二)。第三節官

の補授革退と官兵の数(五一ニ|六一)。第四節軍器の授輿と

弓鍛工人の選出(六二|六九〉。第五節官兵と彼等の寡婦に

俸糠銭糧を輿えた事〈七O|七五)。第六節屯田耕種と官糧

の交付〈七六|八四)。第七節呼和浩特への移住の停止(八

五|八九)。第八節雑事(九O|一O八〉。 宴

舎の躍儀。第三節

宗数と祭紀。第六節

第三章盛京将軍管下の錫伯族

第一節除伍を分ち盛京に移住した事(一O九|三二〉。第

二節沿途の逃亡者を般査寧捕した事

(一二二

l一二四)。第

三節人に輿えた女子をしらベ部に迭らせた事(一二五二二

一)。第四節

雲南出兵および感京への錦還(一一一一一一一一一一

八)。第五節雑事(一三九|一四五〉。

第四章吉林将軍管下の錫伯族三四六|

一五O)

第二編北京の錫伯族

第て章鎖紅旗蒙古第三甲側、銀黄旗蒙古固山、および甲剰に併

合された錫伯族の名と数三五一

ーー一五二〉

第二章上開院で公務をおこなった事(一五三

i一六七)

第三編新砲の錫伯族

第一章錫伯族の伊型選徒

第一節官兵を整理し護遣した事(一六八

l-八己。第二節

アンギ・ニルを編成し安揺した事(一八二|一八九)。

第二一詣

錫伯部の任官と昇縛

第一節領隊大臣の補授(一

九O|二O四)。第二節

苑副の補授(二O五|一一一一一一〉。

-132ー

総管、

以上第一加

牛41章京

(佐領)、雲騎尉等の章京、競騎校の補授〈二

一一一一一

l二六四)。

第三章官員等の勤時間、参劾、考試、引見

第一節賞賜、勧奨(一二ハ五|二六七)。第二節懲戒、参劾

(一二ハ八|二七二〉。第三節武官の考核(二七三1

二七七)。

第四節総管等を京師に迭り引見せしむること(二七八

l二八

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一一〉。

第四章錫伯官兵に俸縁、銭糧ハ俸制)と軍擦を給した事

第{節官兵に俸制を輿えたこと(二八二|二八七)。第二節

軍器を給し庭理した事(二八八|二九二。

第五章駐防、哨探看守、逃境巡察の寅施

第{節タルパハダイの駐守(二九二|三O二〉。第二節カ

シュガル減等の防守(三O三

l一一一一一

01第三節透境巡察、

哨探査察(一一一一二|一一一一一六)。第四節哨探看守と捕賊〈一一三

七|一一一一二四三

第六章家畜の飼養と団地の耕種

第-節繁殖牛の飼養(三三五|三四九)。第二節繁殖馬の

飼養(三五O|三五乙。第三節団地にカをつくして生活が

向上した事(三五二|一-一六一二)。

第七草錫伯の未成年者を選び、ソロン部に濯徒させ甲由同を着け

させ職衡を輿えたこと

第一節錫伯部の未成年者を選びソロン部に遜徒させた事(三

六四l三六五)。第二節ソロン部に錫伯族の官員を任じた事

会ニ六六1

三七一)。

第八章錫伯部の男子等を伊裂新満洲管に移し、職衡を輿えた事

(三七二|三七七)

第九露タルバハダイの新満洲鐙の設立、および錫伯人等への職

衡の授輿(三七八|三八二

第十重雑事(三八二|三八九)

553

以上第二崩

この警には清代の錫伯族の歴史の中、すでに知られている事柄に

関する原史料が枚められている外、今まで知られていなかった事寅

を記した史料も多く含まれている。史賓の黙ではより深く、時代的

にもより長期にわたり、地理的にもより康範な地域の史貨を停える

この原史料集を基礎的文献として得て、錫伯族史の研究は新たな段

階に入ったものと言えよう。『錫伯族楢案史料』上下(中圏第一一歴

史檎案館編、遼寧民族出版社、一九八九年七月〉も近く出版される

そうである。

満族古一神話(湖文)、愛新聞究羅

烏技際春編者、内蒙古人民出版

社、一九八七年四月。二三六頁。本書には次の九編の満族古紳話が

牧録されている。付三仙女同満洲的起源国老空王同伊徹満洲

的府開設伺脅斉恰爾建滅的捕開設内薩満輿別瞬闘法帥女丹薩淵

判尼山薩満同打伎的故事。本書の前言によれば著者は一九八五

年、黒穂江省において満洲語の調査に従事したが、その際

『満洲的

起源』『尼山薩櫛』を除く数篇の一神話故事を富裕鯨友誼郷三家子屯

で校集した。その中の大部分は嘗時すでに八十歳近く、且重い病を

負った計春生老人が、満語を以て講述したものであるという。各篇

の構成は、偶数頁に満洲文字で原文が十三行立で記されており、次

の奇数頁に横書きに針謬が施されている。劉誇は毎語三段立で、上

段には満語のローマ字鱒潟、中段には園際一音標文字による縛潟、下

段には漢詩が記され、各篇のおわりに注緯と語文が記されている。

ただし『満洲的起源』『尼山麓湖』には園際音標文字の注一音はな

い。本書の特色はまず涌語の黒龍江方言を話す計春生老人の語品目を

音標文字に篤し、それに標準瀬語を配し、刑判誇を施した貼にある。

従って本書は繍語の中級テキストであると同時に富裕豚地方の方言

を研究する上でも、また満族の一神話と故事の研究の上でも貴重な史

。dqo

i

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料を提供するものである。

〔漏文史料翻謬〕

清初内国史院涼交檎案譲編(上、

天聴朝、崇篠朝)。中圏第二歴

史檎案館、光明日報出版社、一九八六年五月序。本文五二八頁。本

警は中圏第

一歴史機案館所磁の「清入関前内図史院満文指案」の中

から選謬し、年月順に配列し編輯したものである。霧者は中圏第{

歴史楢案館満文部の関孝康、越中山強、郭美蘭氏。この「滴文槍案」

の原本は四十七加が現存する。その内謬は天聴朝のもの十八加、崇

徳朝二十九加であるが、この中、天聴元年から五年に到る橋案、お

よび崇徳元年槍は『尚文老楢』と重複するので霧出されず、天聴七

年から九年に到るものと、崇徳二年から八年に到るまでの二十五

加、て九八五件、四十除蔦字が露出され、本書『清初内園史院漏

文檎案誇編』に牧録されている。

内閣史院の前身は文舘といい、天聴三年三六二九)四月、盛京

に設立された。文館は天聴十年三月、内閣史院、内秘書院、内弘文

院の内三院に改められた。内因史院の職掌は汗の起居詔令の記注、

御製文字の牧臓、汗の用兵行政事宜の史書への編纂、祭天祝文等の

撰擬、歴代祖宗資銀の纂修、などであって、現存の『清入関前内菌

史院尚文機案』は、内閣史院が園史を纂修し輯録する時に使用した

機案材料である。この楢案は、『大清太宗文皇一帝貫録』の纂修の時

に用いられたが、記事の中には文言に塗抹、削除、改潟、増添され

た箇所も多い。本書ではその改潟、削除の部分も原文のまま翻詳

し、蛍時の歴史的事貨の復元につとめてある。本書は山民間徳元年十二

月の記事で移る『満文老檎』の後継史料として重要な意義をもっと

共に、清初の政治、経済、外交、軍事、文化、官制、風俗等の面に

おいて貴重な基本史料を提供するものである。

満交園史指濯謬『歴史捲案』一九八二・四、一五|二四頁。中圏

第一歴史捲案館関孝康、郭美蘭選誇。本書は天聴七年および八

年の瀬文園史楢からの選謬で、天聴七年十一月二十五日から八年十

二月二十八日に到るまで、

三十件の満文楢案の翻誇が採録されてい

る。ここに枚録された文献はいずれも前掲の『清初内園史院満文楢

案誇編上』に採録されており、謬文もほぼ似ているが、異なった

部分もある。たとえば司選誇』天聴八年十

-月初十日の「分定各部

滋牧地界」では

「輿雨賞旗下多諾楚虎爾、逮頼」の後に十七行の文

章がつづくが、『満文楢案誇縞』では、

この部分は〔原指残紋〕と

なっている。また『選謬』天聴八年十一

月二十三日、「宣稔狩綴紀

律」では

「穏約鞍醇、勿得相続。

-」となっているが、『満文指

案誇編』では

「:::」の部分が「是夜駐跨養息牧」となっている、

というように爾者には差異が認められるので、史料として採用する

時は恨重に取扱う必要があろう。

崇徳三年満支楢案詩編(中文)季、在潟、劉景憲譲編、遼溶書

位、一九八八年十月。前言、季永海、本文二八四真。本書は中圏第{

歴史稽案館所蔵の崇徳三年満文指案の謬注であって、原本の『三年

指』は一箇月

一筋、

全十二加より成る。季、氷海氏の前言によれば、

コ二年稽』と『諸問貫録』と比較すると、記事の内容から三種に分類

できるそうである。一は内容が完全に同じ部分で数の上では多くは

ない。二は内容が同じであっても『清寅録』の記事が『三年楢』ほ

どには詳細でない部分、或は加工改寓した部分。三は

『清貫録』

記載されていない記事を保存している部分である。内容からみると

-134ー

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コ二年楢』は『清賓銭』の同三年の記録の五分の三を占めるが、こ

れは『清貫録』の底本というものではなく、『清貧録』を編纂する

際に参照し、その中のいくらかの資料を採用したものである。いず

れにせよわが閣に将来され、或は務担拝された

『満文老楢』『替満洲

楢』は、どれも崇徳元年十二月で終っている。本書はその後の帥献を

補うもので、太宗時代の政治、外交、軍事、経済および言語皐の上

で、極めて珍貴な資料を提供する文献である。

さきに述べた『清初内園史院浦文楢案譲編』にも、「起用徳三年満

文楢案」は含まれている。同じ原文から譲出された謬文であるが、

雨者には差違が認められる。もとより爾諺文に意味上の決定的相違

というものは認められないが、『崇徳三年満文楢案書編』の方が、

やや丁寧に謬出されているようである。

三位副都統街円満女楢案誇編

遼寧省早稲築館、遼寧社曾科皐院歴

史研究所、滞陽故宮博物館誇編。遼洛書社、溶陽、一九八四年十

二月。誇編設明三頁。目次二六頁。本文四六二頁。遼震}省機案館関

克笑、沈微、遼寧祉品目科皐院歴史研究所関嘉録、務陽故宮博物館王

伺環選誇。本書は遼寧省指案館所臓のコ二一姓副都統街門槍』の滞

文楢案中から選び出した楢案を翻謬編輯したものである。乾隆八年

八月二十三日から光緒三十二年十二月初八日に到るまでの稽案-七

八件が枚録されている。一一一姓同酬は清代東北透境の重鎮で、康照五十

三年にはじめて協領街門が設けられ、薙正十年に副都統街門と改め

られ、光緒末年に及んだ。同街門の主要職掌は黒龍江中下流域から

庫頁島(樺太)およびウスリl江流域と、同地方に居住する赫哲費

雅略人と庫頁費雅略人等を管轄することであった。貢創卸賞烏林制度

は清朝政府が三姓地区の赫哲費雅略や庫頁費雅略に糾問しておこなっ

た重要制度の一であって、本垂直においても主に貫紹賞烏林を中心と

して文献が選律されている。構築は、一、関領和頒賞烏林。二、牧

納和解迭貢紹。三、供際貢犯人口一糧等。四、鹿理違禁情事及仙賞

健難官兵。五、官府和私人貿易紹皮。六、

震集環安萎及薩爾宰錐病

故。七、庭理赫哲、庫頁曲目雅略人之閲的殺人案件。八、徴調赫哲

人民守、巡査、

「剣匪」弁領給制銀、

子奨等。九、沙俄的入侵和清

朝的針策。十、換取那倫春、赫哲人之野牲、の十項に分類されてい

る。この地域の赫哲費雅略、庫頁費雅略の生活、風俗、文化、清朝

の封慮、歴史等を知るための第一級史料である。

盛京刑部原檎清太宗崇徳三年至崇徳四年、中園人民大皐清史研

究所、中圏第一一歴史檎案館露。群衆出版社北京、一九八五年三

月。

中園人民大皐清史研究所郭成康、劉景態語注。中圏第一歴

史楢案館尚文部屈六生審校。中圏第一一歴史楢案館所蔵の『盛京

原楢』には、清入関前の吏、戸、峰、丘(、刑等五部が保存した満文

楢案、およびその他の維機一一一ニ一件が含まれている。大部分は新潟

(有閤貼繍文〉で忠一書してあるが、老満文(無間貼満文)で書骨持

された部分もある。その中、第一六

O挽から一一一二一競までが刑部捲

案ですべて七十二件。これらは清太宗崇徳三年三六三八〉正月か

ら翌年十二月に至る二年聞に刑部が審理した四三四僚の案件であっ

て、このたび全部謬出され『腐京刑部原楢』として出版された。こ

れまで『満文老楢』『醤満洲循』が謬出あるいは出版され、清初史

研究に貢献するところ多大であったが、これらの書の記事は周知の

如く太宗崇徳元年十二月で彩っている。

清朝入関前の天聴五年三六三一)、刑部が設立されると、民事

の微細な案件はおおむねニル・エジ占ンが審結に嘗ったが、やや大

-135ー

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556

きな案件は一律に刑部に迭って審理した。その外、兵部、戸部、雄

部、理藩院等の部院も刑部と関係のあるいくつかの案件を承審し

た。『慮京刑部原悩』は崇徳三年以後の刑部の記録であって、しか

もこれまで纂改潤飾を経ず、素朴な本来の面影を残した、満族社舎

と清入関前史の研究の震の第

一等史料である。本蓄を讃むには、早血

昭信「『感京刑部原楢』輿清入関前史研究」『史皐集刊』一九八九・

=一、ハ士口林大皐)を参照するとよい。

清薙正靭鍾紅旗楢

劉厚生謬辞虹、栗振復校。東北師範大

息出版社、長春、-九八五年四月。一二七頁、人名漢詩表一八頁。

本書は東洋文庫清代史研究室紳田信夫、松村潤、岡田英弘、細谷

良夫謬編『鍛紅旗総|薙正朝|』(昭和四十七〉の中閣語謬であ

る。これは東洋文庫所臓の北京の鍛紅旗満洲都統街門の楢案の翻謬

であって、徹案の件数は薙正元年から民園十四年まで二百年間、二

千件以上にのぼる。この梢案は、清代史研究室の人々により整理翻

謬され、その中の難正朝の分、五十四件が東洋文庫から出版され

た。八旗制度や務正年聞の旗人の祉曾生活を知る上で重要な史料で

ある。東北師範大息から出されたのはその翻謬で、日本版にある湖

ロー

マ字鱒潟の部分は省かれ、巻末に「人名漢語表」が附録とし

てつけられている。

潟支土爾庖特楢案護編

中図枇舎科皐院民族研究所民族史研究

室、中圏第

一歴史梢築館洲文部詩編。民族出版社、北京、一九八

八年二月。本替はすでに説明詳しであった将文土問庖特文書四

O九件

と七

O件の月問機中から、一四五件の梢案を選び出し、時の順序に

より配列して編輯した史料集であって、乾隆三十六年三月二十二日

の「総定逃左副勝箪車布登札布等割土繭庖特来的之慮霞」に始まり、

乾隆四十年間十月二十四日の「伊型将軍伊紡園奏撤回各滋牧地開照

大臣等事宜摺」に到る文書から成って

いる。楢案の多くは土防庖特

蒙古が清閣に瞬間刷する前後の頃のものに集中しているが、その内容

は本書の前言によれば大要つぎの六つに概括されている。

て清園政府が土爾庖特蒙古の東師の消息を知った後に引き起こ

された懐疑と、清閑政府が土繭庖特蒙古に射して牧撫政策を質

施することを確定するに到るまでの過程。

二、土繭庖特蒙古が伊型河流域に舗るまでの現場記述と東院の人

数、戸数の質地調査。

三、土爾庖特蒙古の部衆への賑済と、土爾庖特首領への封賞につ

いての詳細な情況。

四、渥巴錫、策伯克多繭湾、

合楊らの承徳への入銀、および東錦

闘争を指噂した主要首領の回園後の政治的生渡。

五、土問屋特蒙古都衆の遊牧地の分割と艶濯、および乾隆三十九

年、渥巴錫が頒布した部落管理法規。

六、土爾庖特蒙古の歴史と王公世系等の記述。

トルグlト族は、明代にはイルティシュ

川上流にいたが、ジュ

ガル部と争い、二ハ一ニ

O年ロシア領に逃げ、ヴォルガ川に遊牧して

いた。しかし清朝が伊型を卒定すると(乾隆二十三年)、渡巴錫ハウ

パシ〉に率いられ、乾隆三十五年に出援し、伊型に着いた。本楢案

詩編は彼等の伊恕到着後の事情に光明をあてたもので、これによっ

てこれまで未知の事質で、あらたに設掘された部分もまた多い。

錫伯銭簡史(中文〉

錫伯族簡史編曲同組、民族出版社、北京、一

八六年六月。(園家民委民族問題五積叢書之て中園少数民族関史

叢書)、

一四四頁。本書は先に記した揃文の訟と同書名であるが、

ευ つ1u

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557

一方が他方の翻誇ではない。前者を讃む時の参考になるので、白衣

のみを記す。

第二章概論。第二章族名輿族源。第三章清代的錫伯族。第

四章民主革命時期的錫伯族。第五章錫伯族的祉曾組織和経済

生活。第六章錫伯族的文化。第七章生活習俗。第八章宗教

信仰輿道徳風向。附録大事記

次の書籍も中文で書かれているが、錫伯族の歴史・文化の研究の

ための基本的文献である。『錫伯族支事歴史論交集』(新彊維吾爾

自治区社舎科開学院民族研究所民族史研究室、一九八一年十二月〉。

次の書も中文で書かれた書であるが、錫伯文『錫伯族関史』を輔副む

ための参考になるので、書名と目次のみを記しておきたい。

錫伯族史論考遼寧省民族研究所編、遼寧民族出版社、藩陽、{

九八六年八月、二六二頁。

英雄民族的措笠||従頃仙洞北貌石刻祝文看錫伯族之源流米

呉礼控・克尭

奥元堕

・鎚志強

方鍛

越士山強・奥元襲

錫伯族早期社舎組織及其経済生活

遼代錫伯族先民研究管見

錫伯族由科爾泌蒙古旗編入満洲八旗始末

錫伯族的遜徒

太卒寺始末

法陽太卒寺及錫伯碑文雑議

漫話錫伯家廟

錫伯家廟碑文考

錫伯寺廟拾零

新弱地底的錫伯族関況

黒飽江省隻威照的錫伯族

撫順錫伯族社舎歴史調査述略

錫伯族的婚躍

整理錫伯族「譜書」讃談

越志強・奥元聾

修清一瞬・文明

奥札控・克莞

〔辞書〕

錫伯爵僻典修玉泉、賀盤、英文齢、穆克登布、下爾塔里整

理。新彊人民出版社、一九八七年十月、本文一一一一

-O頁、索引四一

六頁、錫伯文書名は

bzミS」R

hな

S?宮町内EFミζ・

目次一

頁。索引は次の六項目から成っている。村瀬洲語十二字頭表の順序

による語頭語集引、

-11八頁。口総綱、満洲語十二宰頭表の順序に

よる総合語奨索引、九ー-八八頁。白線綱にない語集の索引、一八

九|二

O一頁。帥部類内容の目次、

二O二|一一一四頁。田部類内

容、二-五四

O三頁。内部類目次、四

O四四二ハ頁。以下改頁

されて本文が{頁から-一一一一

O頁までつづく。

最近錫伯語の書籍が数多く出版されて、未知であった錫伯族の世

界に踏みこむことができるようになったのは幸いであるが、現代錫

伯語の適蛍な僻書がないのには蛍惑させられる。たとえば現代錫伯

語で

Z2EEロは宗教、

gnF『ロロrud司mrrzロは数育であるが『浦

和僻典』にそのような誇は載せられていない。ロ

25は『浦和』で

は卒坦、和卒の一意しか-記されないが、現代錫伯語では侵略の意であ

る。かように現代錫伯語僻典はなくてはならぬ書であるが、本書は

-137ー

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558

名は「錫伯語詞雌(』

であっても、貨は

『御製清文鑑』

の本文とその

索引である。本格的な

『現代錫伯諮僻典』が出版されるまで、不便

と失望者胸はつづくであろう。

簡明満漢僻奥

劉厚生、関克笑、沈微、牛建強編者。

河南大同学

出版社、一九八八年三月。序文王鍾翰。

木文四二七頁。附表一

術語併音字母表、

詰音節字母表、三

湖文字母針照表、

四満語詞類線表、五人穂代詞表、六浦語格助詞表、七動詞

「時」表、八動詞的「態」表、九動詞的「式」

表、

表、十一度量衡単位表、

干支表、十三二十四節気表、十

四尚文築字名裕表、十五繍語附加成伶使用説明徳表、十六清

代皐帝世系表。本警は科準的方法を用いて編纂された中園最初の

「溺漢辞書」である。語奨はアルファベット順に配列されている。

各語録は湖洲文字で見出し語が一ホされ、ロ

ーマ字鱒潟および詩語が

示される。語援は大同現段富で、特に術案や奏摺を読むのに有盆であ

る。たとえば

rz=2FcF3EE崇文門や文津閣、文筆殿等

は『湖和僻典』になくて木書に採録されており、その他

MOEFg

r口臼EozrE年富力強、

2Erロロ年貌、

ωEZSヨωω5rsz

大選、

広島曲

zrロ職掌などは木書に載っていて『浦和餅奥』にな

い語である。ただし

ZLgm岡山大言をはくこと、毛色HZBop-ケ

吉田om曲目印目玄不聞に付する、

r250E津山にある、などの語

は『浦和僻山内』

にあっても本書にはないから、本書だけですべて用

が足りるというわけにはいかないが、使い勝手もよく、楢案に頻出

する品阜市世話奨の多くが採録されているから、本書は満文官文書の讃

解に必須の工具書と言えるであろう。附録の十六項の表も大後有盆

である。

満洲語文語僻奥

一幅田昆之編、FLL溌行、横演、-九八七年十

月、

序文三頁、「動詞ゼロ

語尾形のはたらき」二頁、本文三|九一一一

一一良。この僻典は満洲語語奨を口一諸課した辞典で、課語と用例の塑

富なことが特徴的である。本辞典の編纂は編者が昭和五十二年に

『捧綴馴清志異』の謬注をはじめた時に開始された。そして『満文

金瓶侮』『合壁商煽記』『満洲賃銭』『尚文老槌

・太租紀』

『満文

老指

・太宗紀』等から適切な用例を堕富に引用し、謬語を附し、ア

ミオ『減併僻典』、ザハロフ

『尚路大辞典』、

ハウアl

『浦湖僻典』、

羽田亨『浦和僻典』などの僻書からも語索を採集し、編者自身がタ

イプライターでタイプして成った苦心の発作である。謡曲品にはすべ

て品詞が示されており、用例には出典が記されていることも、これ

までの僻書にない秀れた貼である。宮内目。

には(のに)の意がある

のに『減和辞典』には一示されていなかったし、

vr包ーσには(のそ

ばに〉の意があるのに『減和辞典』にはなかった。これらはほんの

こ例であるが、

基本的語奨の

謬語で改良されたものがすくなくな

い。ただ満文指案の誤解のさいには、やや不便な貼がなくもない。

たとえば

ωPEErロ責任、

巳-rωω日

Eロ向者、Z-nωEOE耳雪印

EF口監察御史などの語がなく、百円四自の語はあるけれども、部

院、街門の誇語が見首らないというように、官衡の文書を讃むさい

には、この

一加では充分とは言えない部分もある。

しかし同じ官衡

の用語でも

宮耳目白

Emg元利合計、君。口古文書などは記され

ており、用例の削且富なこと、適切な現代語謬が施されていること、

用例に出典が示されていることなどで、日本人に使い易く、且これ

までの世界の満語辞典の水準を抜いた秀れた辞典と言えよう。

奮清信僻奥〈減文〉新語維五口爾自治区古籍整理緋公宰整理。新

-138一

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559

彊人民出版社。一九八七年十二月。序文、一一一一一良。満語アルファベ

ットによる語集索引、九一頁。本文、五二二頁。減文書名は巴下

henH司雪之帆之官』広三遣、

HRRFRF(》苦hHミ宮内な世話二えHFG・「奮

清語」とは

「貫録内揮出頼回連問諸問」の通稽であって、質名は前記の滞

文書名である。

この辞典の出版される十八年前、『沓清語』の解説と全誇と語奨

索引、

および漢文寅録との封比とが-日本人によって出版された。

今西春秋「措置清語謬解」『東方皐紀要』

三、天理大皐おやさと研究

所、一九六九年、がそれである。これによれば『奮清語』は乾隆年

聞に改修された太租・太宗

・世租三代の貫録の中から、満洲古語す

なわち奮清諮を抽出し、これを新しい満洲語で解四押したものであ

る。この本には全部で十四巻十四加四百丁徐の完全本と、最後の十

三、十四谷を敏いて十二俳句しかない不完全本とがある。京都大築文

皐部史皐閲覧室東洋史

EF∞に『満文沓清一語』の見出しで保存され

ているものは前者、十四谷の完全木であり、東洋文庫牧裁本は第一

俳句より第十二各までの不完全本である。また天理図書館には北京故

宮の所識の『沓清語』の青寓居間本が第一巻より第五巻、および第九

巻の全六経六加が保存されている。右の諸本はどれも各頁六行。見

出語は太字、葬語は改行のうえ細字で記されている。

本書の中、第一巻と第二各とは太租貫録から抽出されたもので総

語嚢数は-七一。第三谷から第八巻までは太宗貫録からのもので総

語索数は三四五。第九

・十巻は世租貫録からのもので-一一一一一語。第

十一・十二巻は上項に洩れた語句を拾いあげて牧録したものである

が、太租・太宗貫録からだけで世組貧録からのものはない。第十三

巻は瀬文老僧大租紀からのもので五二語。第十四をは満文老櫨太租

紀および太宗紀からで三七語。『沓清語』は以上八

O七語句を貧録

の年月順に-記載したものである。以上の葱清語を時代別に整理する

と、太租時代二五九語、太宗時代四=ハ語、

世租時代-三

O徐語と

なる。指宙滞語と新潟語とが何時交代したものか確たる劉期はない

が、入関後、おびただしい漢文化に個別れた順治年聞に始まり、康照

年開に入って交代は急速に進み、乾隆年開には沓清語の意味すら分

らなくなり、かような『奮清語』の語環僻奥の必要が生じたのであ

ろう。本

書、新誼人民出版社の『替清語僻典』は、各頁九行。見出語は

太字。詳語はおおむね改行せず、見出語につづけて記してある。こ

れは日本俸存のどの本とも異なる。中閣に停存した刊本を鈎印した

ものか、或は或る種の刊本に依接して編輯したものであるらしい。

巻ごとに巻数が記されており、最後は

Ezrxr丘町一回ロロ曲目

EZ

E苫

SEr-で移っ

ているから、本書は所謂十四谷の完全本であ

り、満洲語のアルファベッ

ト順序による語集索引が附いているので

便利である。本書は満文貫録の記述の中で正確な意味の摘み難かっ

た語棄に解緯を施したものであるから、本書の各語奨が貧銭のどの

部分に記されているのか、

漢文質録の箇所と針比して示して欲しか

った。今西氏の謬解にはそれが一示されているのである。本書は稀親

書で、出版の意義はそれなりに大きいけれど、日本人には今西氏の

誇注本の方が利用しやすいように思う。

無圏黙字書北京市民族古籍整理。責任編輯巴徳夫。序文任

世鐸。天津古籍出版社。

一九八七年八月。一函四加。漏文書名は

shと予知白怠同宮、

hs二号、戸

周知の如く満洲文字には無闇

黙{子と有圏貼字(加圏貼字)とがある。明末の女員族は蒙古字を用

-139ー

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560

ぃ、蒙士口語で文書を作成していたが、ヌルハチは寓暦二十七年(一

五九九)、文臣に命じ、

蒙古字を用いて満洲誌を市潟するように改

めた。しかしoとu、

kとEとh、

tとdなどの底別のない蒙古手

の特徴をも引き縫いだため

に、引一い惜崎、誤解ともに不便であったの

で、天聴六年三六三二)、この文字に貼や園を加えて一音を区別す

る方法を迷海が考案した。そこで蒙古文字のままの字鐙を「無樹船舶

字」といい、閤勲を加えた文字を「有閤貼{子」或は「加閥貼字」と

言っている。本書『無閤紘字書』

は無閤貼{子を誠む震の有盆な工具

申いいで、洲洲語の語換が十二字頭表の配列法に従って書き並べられ、

まず無関貼字を太宰で記し、その左下に細字で、これに制制限する有

閤馳{子が記されている。一τ良七行。毎行三語乃至四語。手書きの抄

本の鉛印本であるらしいが、原本が何慮の磁本かは記されていな

い。本書とほぼ同じ内容の木が次の書である。

同ヨ。担、』広『hh

』W白白』WEbs-hHEH

F沈静偽

-c-防御ロrmw白押印ヲ同口臼zzz

rzmE02HL322E回。。日H件。tω門戸何回己曲『ロ目。同開ι区円防止02M

-zo刃包ugrrgopMME--玄O口問。-rH由g・〈。。『唱

Eωnユ玄02自

ζ。口問。-o『EB-吋。BE〈・司22nEE--)ω品印目

MU-

本書の内容は

前記の

『無閥貼字書』

と全く同じ。本書は刊本の鉛印本であるらし

く、こちらの方が見出語、相別府地諮ともに鮮明で讃み易い。

hh刊号ミZ』『酒乱。H

ミミ宿泊円FR・4

〈ニ-ssmON可nrF百円FPO

EM2Eロ円。。『刃。H

U宅〕百円・円ロ内田Eロ帥

C日〈23qCErn白ロι

-SF円

ω25P〈

o-cgozo--ロ壬白ECP22MFq-E2・5白司自

M・

本惑は著者がモンゴル誌の言語感的原則に関する博士論文執筆中、

必要に迫られ、

Z22

gn宮町、

hqE与吾

gbhFR・

必日町宮の語数一七、四六一語にもとづき、四筒月で作成した

『逆

引き満洲語索引』である。語尾を同じくする語繋が-団長の下に配列

されていて、

他言語との比較研究、

満…訪問文法の研究等の分肝で、使

い方によっては多面的な機能が期待できる便利な工具書である。

〔洲語文法〕

満話語昔、満隠語法(全三朋)、劉厚生編、東北師範大同学歴史系

明清数研室、一九八一年八月|八二年十月。編者劉厚生氏は多年に

わたり東北師範大泉で満洲語を数えてきた方で、本警はその教材で

ある。

『浦語語昔』一

加、

一六八頁は満洲語の一耳目債と文字の読み方、

書官同法が十六諜にわけて懇切丁寧に述べられている。

『尚一語語法』

は全二加で、第一加は十一課に分かれ、各課はテキスト、単語、語

法、作業(練習問題)より成り、この第一加で大陸の文法の設明は

終了し、関車なテキストが讃めるように配慮されている。第二加、

一四六頁は六課より成り、各課は中級者向の課文(テキスト)、

致、テキスト注稗、語法(文法説明〉、翻-誇練習によって構成され

る。課文として「陥室銘」

「官劇論戦」「雨康総督錫琳題本」「英

降奏本」

「難正五年十二月二十四日抄曹類家総旨」

「紙管内務府街

門題奏」が採用されており、本書が清代楢案を諒解するための質践

的教科書であることが理解される。

満語講本

愛新魔羅烏位照春編者、-内蒙古人民出版社、-九

八五年四月、木文二九四頁。木蓄は一|二五五頁までのテキスト部

分と、二五六|二九四頁までの語奨集とから成っている。

テキスト

は金二十謀。第一課から第五課までは満洲語の文宗と設一音の解説。

第六章以下の各課は、リlディ

ング

・テキスト、曾話、語集設明、

文法解説および練習問題からなる。本書のテキストは

『清文啓蒙』

-140ー

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『満蒙漢合壁教科書』『清太宗檎』『世間洲貧銭』からとられてい

る。課のすすむにつれ、文章、曾話ともに高度になり、第十四課で

は『満洲貧銭』がテキストに使われたりするので、文法の説明が追

いっかないという

一面もあるが、皐習者の進度にあわせて編輯して

あるので、

熱讃すれば高度な賞用問満洲語を習得することができ

る。本書には徳野伊勅氏の翻誇『漏語讃本』北九州中図書底、一九

八八年五月、二一二頁、がある。

満語語法

愛新魔羅烏控熊春編者、内蒙古人民出版社、

-九

八三年四月、本文五三八頁。第二事「満語概設」では満洲語の歴史

と漢遁、音節の構造、母一晶一日と諮律などが解説される。第二章「詞法」

は七節よりなり、まず第

一節では満語の全語集を一、固有語集、二、

漢語からの借用語奨、三、

蒙古語からの借用語索、の三種の類型に

分類し、例となる語集をあげてある。第二節、満語的構詞では、満

語の間早語を構成形式から、単純語、波生語、複合語の

一一一種に分類

してある。草純語は満語の基本単語で、波生語は名詞、動調、形容

詞のそれぞれにつき名詞から波生した語、動詞から波生した語、形

容詞から汲生した語の合計九種類に分類してある。複合語とは二箇

以上の単純語を連ねて構成した語で、弁列式、主従式、支配式の一-一

種に分類してある。第三簡は詞幹、詞根と詞綴であるが、これは名

詞、形容詞、動詞の各語あるいはその語幹に接尾して、或

一定の意

味を添える接尾鮮という程の意で、名詞、形容調、動詞に附属する

接尾僻が詳しく述べられている。第四節

「満語詞類の劃分」では、

満語を語法の特貼と語義から、一、僅詞類

(ω名司、

ω形容詞、

ω

数量詞、

ω代名詞〉、二、動詞類

(ω普通勤詞、

ω助動詞〉、三、間

属詞類

(ω副詞、

ω後置詞、助連接調、川判官草擬詞、切語気調、川明助

詞)の三つに分類している。第五節

「慢詞」から各品詞の説明とな

り、名詞、形容詞、数詞、代名詞の各品詞について詳細な分類と機

能の解説がなされる。第六節は「動詞類」で、それは付動調、同副

動詞、同形動詞と動名詞、伺助動詞から成っている。まず動調を構

造上から固有動詞と汲生動詞に分類し、また詞綴の努化から規則動

詞、不規則動詞、無語尾出炭化動詞の三つに分類している。

rr品目・

』。。の三語を無語尾繁化動詞に分類していることは注目すべきであ

る。及物動詞と不及物動詞の読明の後、動詞の式の解苛か、過去

時、現在時、終来時に分けて徹密になされ、動詞の態の設明がこれ

につづく。副動詞、形動詞、動名詞、助動詞という品調を設定した

のも著者の濁創によるが、

ZEE-gロSEr--ω円曲目

E-raESEr--

Hr--。日rrrH日E・E-EF若島一同・弘同同等が助動詞に入れられて

いる。第

七節は「附属詞」で、付副詞、同後置詞、国連接詞、同纂擬

調、国語気調、内助詞(格助詞、語気助詞)のそれぞれが詳説され

ている。第三章は

「句法」で、句子の基本成分、特殊成分、分類等

が詳説されている。本書は品開洲語を機能、生成吠況、用法等の特貼

から詳細に分類し、組立ててなった文法書で、著者の濁創が随所に

見られる研究室百である。満洲語の習得を志す日本人にとっ

ては、必

ずしも取附やすい入門書とは言えないが、大祭の皐部生に嘗る年齢

でこれだけの書を著した努力と能力は陸自に値する。

潟語語法

季、氷海、劉景憲、屈六生編著、民族出版社、一九八

六年五月。潟在前面的話徳林。序言馬製良。本文五二八頁。一

九六

0年代に周恩来総理は中央民族皐院少数民族語文皐系に満詩文

班を開設し、満語、世間文の翻譲工作の魚、漏文の事家を養成した。

-141ー

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562

本書の三人の編著者は、その課程を卒業した俊秀である。木警は上

昔、中編詞法、下編句法の三縞からなり、附録として、

て尚文的標貼符続、二、満悦針照関設文選、三、常用詞象表が附

けてある。上編語音の第

二早、語一耳目と字母では各字母とその一音僚

が丁寧に解説してあるので、

初心者に便利である。ただ洲洲文字の

活字が小さく、旦各字母が如何に一語録を構成するかについての解

説はなく、呈国債は文字では博えにくいから、思a

習者は数師について

皐ぶ必要はあろう。第二章は

「元一音和諮」すなわち母音調和の設

明。第三一章は

「一音節と重品目」。

中編「詞法」の第一章は

「満語の語集」で、満五聞の語奨の特色、

分類、構成について簡単に説明し、満語を賀詞と蹴詞に二大別し、

賞詞には名詞、動調、形容詞、代詞、数詞、

量詞の六品詞が腐し、

鹿詞には副詞、格助詞、連詞、後置詞、語気詞、翠擬詞、感嘆詞の

七口問詞が属するとする。助動詞は分類上は動詞に入れられている。

第二章

賀詞では、名詞(付分類、同構成、回数、同格幾化〉、動

詞(付分類、口構成、同時、現在時、過去時、開問来時、帥態、自

動態、使動態、被動態、方向態、費動態、互動態、持績態、伺式、

肯定式、否定式、疑問式、命令式、請願式、虚擬式、内副動詞、伺

形動調、的動名調、制能願動詞、例助動調、間判断動詞、白趨向動

詞)、形容詞

(付分類、口級、白特貼)、代詞(付分類、人稽代詞、

指示代詞、疑問代詞、物主代詞、指己代詞、人格代詞的格、指示代

詞間格、疑問代詞的格)、数詞と最詞、などの詳細な解説があり、第

三章虚詞では、て副詞、二、格助詞、三、連調、四、後置詞、

五、語気詞、六、常事擬詞、七、感嘆詞の各品詞について分類し、特

貼が述べられている。

下編「句法」では一訟の組合せと造句の規則が研究されており、第

一章では

「詞組(語句の構成)」、第二章では「句子と句子成分」、

第三章では「句子の類型」、第四章では

「翠句と復句」が解説され

ている。附録として「尚文標貼符続」の設明があり、「満漢針照閲

該文選」として清代の放、詰命、議笠弓奏摺、題木、『尚文老指』

などからとったテキストが満漢封照で記されており、最後に「満語

常用詞品晶表」として二千三百徐の常用語集が載せられており、一初皐

者の皐習に便利である。

速成自皐満語基礎講義

愛新血児羅観生著、民族出版社、北

京、

一九八五年十一月。一四九頁。全五十謀。第一課より第十五課

までは語一耳目と文字の解説、第十六課から第四十課までは口問詞の説

明、第四十一課から第五十課までは、

『清字一百傑』『太宗文皇帝

大破明師子松山之戦』『卒定朔漢方略』などから抜粋したテキスト

である。小皿山子ながらよくまとめてあるので、満洲語の速成自習に

適している。

錫伯語口語研究李樹蘭、仲謙、王慶盟編、民族出版社、北

京、{九八四年八月。三二ニ頁。本書は「錫伯語口語語法概要」

(一|八二頁)と

「錫伯語口語語索」の二編から成っている。

「錫

伯語口語語法概要」は李樹蘭氏の執筆したもので、錫伯文の母昔、

子一耳目、一音節構造と草音、母音調和などの語音の読明の後、

付名詞、

同形容詞、回数詞、帥代詞、伺動詞、内副詞、制模擬詞、的後置

詞、判連詞、例助詞、出語気詞、白嘆詞の十二品詞についての解説

および句法の設明がある。本書の特色と有用性は李樹蘭、仲謙、

主鹿盟氏らによって編纂された「錫伯語口語詞奨」によって増し加

わる。これは新麹察布査爾錫伯自治豚で話されている錫伯口語の語

-142ー

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集集で、牧録語集数は約六千。左欄に錫伯口一語、中欄に文章語、右

欄に漢誇が施されている。

先に述べたように現代錫伯語の僻書は出

版されておらず、近年出版された錫伯文書籍を讃むには、さまざま

な不便がつきまとうが、この語奨集によって幾分かは助けが得られ

る。しかし近い将来本格的な現代錫伯語僻典の編纂が皐まれる。

〔論集〕

563

み岡崎

4

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『問、白河hn-h満洲時代

本書には次のような副題

がついている。

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E∞叶・この論集の著者と論題を次に一示す。

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nnoz。B228満洲語のアクセントに闘する幾つかの考察

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皇帝湾儀とその家族についての傍註

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シポ族の詩

人、作家であるグイナ

ンの生涯と作品に関する研究ノlト

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O年分

『奮満洲楢』

『満

文老楢』との針照表

〔雑誌〕

満族文化満族協舎

(蔓北市和卒東路二段四九

l-貌九横〉夜

行。

一九八

一年八月創刊。各競約五O頁。

内容は論述、小品、満族

語文、

舎務に分かれる。

「論述」は満族の歴史、文化に関する専門

家による論説。

「小口問」

は満族の文化についての啓蒙的エ

ッセイ。

「満族語文」は満洲語の専家による満語口語入門、翻誇、史料解

説。

「舎務」は本協舎が繍族の親陵闘鐙でもあるため、舎の活動、

曾議の記録や禽員の消息などが記される。

錫伯文化

brpgg

(錫伯文〉、新麗人民出版社錫伯文編輯

室編。

一九八七年十月創刊。第二期は

一九八八年五月出版。

民開文

筆、詩歌、散文、短篇小説、語言文字、歴史資料等を枚録した総合

雑誌。満

語研究

黒龍江省滴語研究所涌語研究編輯部編

(恰爾讃市南両

区清潰路二六競)、一九八五年創刊、鈴季刊。この雑誌は黒龍江省

満語研究所の編纂書であるが、研究所の紀要ではない。創刊鋭には

張向凌氏の祝僻のあと、穆略駿、法里春、季永海、修永功、関嘉

銭、朝克、

安俊、王小虹、郭美蘭、資錫恵、郭成康、奇草山、付高

金、龍志賢といっ

た著名な満語研究者の論考が枚録され、劉景憲氏

「自民平瀬語教材」が載っている。以下毎銃着実に夜行され、瓶詰

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564

文教阜の研究と交流に寄興している。

満族研究

遼寧省民族研究所(滋陽市和卒大街四段十七鋭〉夜

行。

一九八五年創刊。主縞金啓孫。一九八七年より季刊。毎挽九六

頁。満族の文察、歴史、宗教、風俗、文化、地理などに関する研究

および騒蒙的論考が揚載されている。恐らく世界で唯一の満族研究

の総合雑誌である。

満族研究参考資料

遼寧省民族研究所夜行。-九八四年創刊。不

定期刊。-九八六年第一期が線第六期。主として中園以外の諸園で

夜表された湖族に関する研究論文・著作等を翻諜し、中園の研究者

に提供するために綱相科された雑誌。満族のみならず満族との交渉の

あったことを示す錫伯、蒙古、朝鮮、回、西蔵等民族の資料や、宗

教、民俗などで満族と同語族、同風俗の資料は、域外のものでも謬

出し編纂し参考に供される。これまでの各挽には、日本、事湾、フ

ランス、ロシア、モンゴル、ドイツ、アメリカ、イタリア、ポーラ

ンド等の研究者の秀れた論文が謬出されており、中園人のみならず

日本の研究者にも有盆である。

遼車交物

滞陽遼寧省博物館内『遼寧文物』編斡部編。筆者の

手もとには第一

・二期が飲落し、第三期(一九八二年十二月〉、第

四期(一九八三年二月〉、第五期(一九八三年六月)、第六期(一

八四年三月)のみがある。遼寧省博物館が『遼海文物皐刊』を夜行

する以前の愛掘調査等の報告書であるらしい。第五、六期所牧の挑

義国

「遼寧省考古間半文献目録(一九四七|一九八二年)」は非常に

参考になる。

遠海文物事刊遼寧省考古博物館屋舎、遼寧省博物館、遼寧省文

物考古研究所主緋。『遼海文物皐刊』編輯部編。遼寧省内のみな

らず東北各省内で出土した考古遺物ならびに遺跡に関する調査報

告、給査彫刻、古建築物などの調査報告が編縛されている。一九八

六年創刊。半年刊。

東北地方史研究

遼寧祉舎科皐院歴史研究所東北地方史研究編輯

部、{九八四年創刊。季刊。東北地方の近現代史、清史、民族史、

考古典文物、経済史、歴史地理、人物志、明代東北、奉系軍閥史、

人民十支叩史、歴史地名史研究等に関する多彩な秀れた論文が編輯さ

れている。

東北史研究

吉林省東北史研究曾編。第一揖は一

九八三年七月夜

行され、東北史の柑有名な研究者による二十四編の論文が校められて

いる。黒

龍江文物叢刊

黒飽江省文物出版編精室編、恰爾演。一九八一

年創刊、季刊。一九八四年第四期で終刊。以後、『北方文物』と改

稿。各挽一一二頁。主として黒龍江省内の考古渡見、民族史論、地

方史志、古跡文物、人物志、風土録、慈文志、博物館、紀念館、詩

文などの研究論文が絹綿されている。

北方交物北方文物編輯部編。一

九八五年創刊。季刊。

『固有'龍江

文物叢刊』がこのように改稿された。編輯内容は『黒龍江文物叢

刊』とほぼ同じ。

博物館研究

吉林省博物館皐舎

・吉林省考古皐曾主耕、博物館研

究編輯部編、長春。一九八二年十二月創刊。季刊。主として吉林省

内の考古と文物の渡据調査のほか、東北地方の地方史研究、高句麗

史研究、激海史研究、書叢鑑賞、博物館皐、鳥類調査、自然史研

究、博物館紹介、博物館工作などの研究論文が牧録されている。考

古患部門のみならず地方史その他の分野でも秀れた論文が多い。

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四平民族研究吉林省四卒民族事務委員曾編。一九八七年創刊。

囚卒は葉赫部の本接であったので、創刊挽には、

金基浩

「要重視瀬

族問題」、奇浩木子「葉赫部史初探」、伊通豚設掘満族文化遺産緋公

「満族在伊遁」、活史

「涌族家諸」など、満族関係の論文が多い

が、そのほか民族問題や朝鮮族関係の論文も掲載されている。

〔目録・索引〕

-九八

世界満交交隊目録

富麗、中園民族古文字研究舎、北京、

三年十月、一九三頁。

東北史論女資料索引責定天、馬秀英、待明静編、黒龍江人民

出版社、一九八六年七月、恰爾演。四八三頁。総論、政治、軍事、

経済、人物、民族、考古文物、歴史地理、文化、宗教、民族、文

献、書評、動態などの部門別に、清末以来-九八四年に到るまで、

中圏内で愛表された六千徐件の研究論文、報告などが牧録されてい

る総合的資料索引。

565

以上に紹介した清初瀬文史料のほかにも数多くの満族研究史料や

論文が、思行本として、或は論文集、雑誌に褒表されている。陳佳

翠編者『涌族史入門』(青海人民出版社、-九八七年〉は、小朋

子ながら歴史概述、史料開介、研究線述などの項目に満族史研究の

基礎的知識を要領よくまとめてある。金啓孫『満族的歴史奥生活|

三家子屯調査報告』(黒龍江人民出版社、一九八一年〉、張其卓『瀬

族在附岩』(遼寧人民出版社、一九八四年)、『満族関史』(中園少

数民族関史叢書、中華書局、一九七九)、『瀬族枇曾歴史調査』〈遼

寧人民出飯社、一九八五年〉も瀬族の歴史と文化を知るための基本

的文献である。雑誌論文の代表的なものは、委路「満族研究論者編

目」『滴族研究』一九八八・ニ・三・四に記されているので参照す

るとよい。王鍾翰主編『減族史研究集』(中園祉舎科皐出版社、

一九八八年)は、第一級の研究者による十四編の論文よりなり、現

在の中園における満族史研究の到達貼を示している。

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