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TeVガンマ線グループ研究紹介
准教授 窪秀利
特定助教 藤井俊博
D2 野崎誠也
M2 岡知彦
M2 梶原侑貴
TeVガンマ線グループでは...
①超高エネルギーガンマ線(10 GeV-100TeV)
1②極高エネルギー宇宙線(1020 eV-)
1. 宇宙線起源の探索2. 高エネルギー天体現象の
性質の解明3. 暗黒物質の間接探索
1. 宇宙線起源の探索2. 宇宙線エネルギースペクトル
の性質解明
MAGIC望遠鏡
TA実験 Auger実験
現在、稼働中の望遠鏡・実験でデータ取得&解析
次世代望遠鏡・実験の装置開発&観測
CTA計画
FAST実験
宇宙線の起源(宇宙の巨大加速器)の探索
2
1015109 1020 [eV]
宇宙
から
の到
来粒
子数
宇宙線スペクトル
1 particle/km2/century
銀河系内由来銀河系外由来
宇宙線がどこで生まれるのかどのように加速されているのかは未解明
①宇宙線由来の超高エネルギーガンマ線・・・電荷0のため磁場で曲げられない②極高エネルギー宇宙線・・・エネルギーが大きいため、磁場で曲げられにくい
観測の現状
3
0.1-50 TeV
TeV Gamma-Ray Source Catalog
223天体のみ5098天体
100MeV-300GeV
Fermi 4FGL catalog
E>1020eVE>57x1018eV
天体数・統計数を上げてより詳細なstudyをしたい
超高エネルギーガンマ線・極高エネルギー宇宙線観測
• X線やガンマ線は大気に吸収されて、地上まで届かない→ 気球や人工衛星を使って観測
4
エネルギーが高くなるほど到来光子数は少なく数十GeV以上では
もっと大きい検出器が必要
地球大気を検出器として利用する
波長短 長
γ線 X線
(Credit: STScI/JHU/NASA)
大気チェレンコフ望遠鏡
• 地球大気との反応を経て放出されるチェレンコフ光を検出し、ガンマ線のエネルギーと到来方向を決定
5
~10km
300m@30GeV
空気シャワー
焦点面カメラでシャワーイメージを
取得する
複数の望遠鏡で観測し到来方向を決定
現行の主な大気チェレンコフ望遠鏡
6
MAGIC(スペイン・ラパルマ)VERITAS(アリゾナ)
H.E.S.S.(ナミビア)
28 m ×112 m ×4
12 m ×4 17 m ×2
京大はMAGIC望遠鏡グループに参加している
7
17m
増田さん→
MAGIC望遠鏡
• ラパルマ島(スペイン)に口径17m望遠鏡を2台設置
• 30 GeVから100 TeVのガンマ線を観測
• 11か国が参加
日本からは東大、京大、東海大などが参加
(隔週でネットミーティング)
年に~1回運用シフト(約1か月)に参加 焦点面カメラ
人工光が届かないように標高~2000m
に設置
運用シフト中の様子
Cherenkov Telescope Array(CTA計画)
8
• 世界32か国が参加する望遠鏡建設計画
• 大中小の望遠鏡を南・北サイトに計約百台設置し、全天観測
• 公開天文台として、20-30年間運用する予定
日本からは東大・京大・名大・埼玉大・東海大など
~120名が参加
世界32か国>1400人
CTAコンソーシアムミーティング(2016年)@東大 宇宙線研究所
うち大学院生(M,D)は~30名
大学院生@東大
(京大だけだと少ないけど)
国内外のたくさんの人たちと協力しながら実験などを行っている
Cherenkov Telescope Array(CTA計画)
9
現行の望遠鏡より・ 感度10倍・ 広帯域化(20GeV-300TeV)
約1000もの超高エネルギーガンマ線天体
を発見できる
エネルギー[TeV]
10.10.01 10 100
感度曲線
感度 良
MAGIC望遠鏡
発見天体数
1960 1980 2000 2020
時間[年]
10
102
103
104
X線 γ線
VHE γ線
Naurois, Mazin
CTA
• 世界32か国が参加する望遠鏡建設計画
• 大中小の望遠鏡を南・北サイトに計約百台設置し、全天観測
• 公開天文台として、20-30年間運用する予定
10
チリアタカマ砂漠
スペインカナリア諸島ラパルマ島
VLT (8.2 m x4) CTA 南サイト
E-ELT (39 m)
CTA建設サイト
CTA 北サイト
北サイト:カナリア諸島(スペイン)南サイト:アタカマ砂漠(チリ)
完成予想図
11
・北サイト(スペイン・ラパルマ島)
・南サイト(チリ・パラナル)250 m
1 km
大口径
中口径
大口径中口径小口径
LST×(北4台+南4台)23m口径
20 GeV - 3 TeV
SST×(北0台+南70台)
4m口径5 TeV - 300 TeV
MST×(北15台+南25台)12m口径
100 GeV - 10 TeV
大口径望遠鏡(Large-Sized Telescope;LST)
12
• 低エネルギー側(20 GeVから3 TeV)に感度をもつ、口径23 mの望遠鏡
• 20秒で180度回転でき、突発天体の観測に適している(ガンマ線バーストなど)
日本チームは主に大口径望遠鏡の焦点面カメラと主鏡の開発を担当
焦点面カメラ
有効径2.2 m
焦点距離28 m
口径23 m
1855ピクセル
光検出器モジュール
PMT×7信号読み出し回路
主鏡198枚
視野4.5°
総重量 120t
光検出器モジュール
13
京大グループは信号読み出し回路の開発を担当
チェレンコフ光
PCへデータ送信
ICチップの制御やデータ取得などを行う
焦点面カメラ 完成までの道のり
14
2017/02 組立・試験@テネリフェ(スペイン)
2018/05 インストール@バルセロナ(スペイン)
2018/08 完成!@ラパルマ(スペイン)
焦点面カメラが望遠鏡に
取り付けられて…
CTA 大口径望遠鏡初号機 完成!(2018/10)
15
Credit: ICRR PR
Fast rotation
16
80% speed
試験の様子
17
昼も夜も試験をしてました
望遠鏡の隣にあるコンテナで作業
現地でとったデータを即座に解析
そして…
ファーストライト!!(2019年12月14日)
18
はじめてシャワーイメージの取得に成功!現在も引き続きキャリブレーション・解析を
行っている
今後の試験・開発
19
望遠鏡試運転試験・天体観測 解析ソフトの開発
今年11月までの試運転試験のあと、科学観測を開始
読み出し回路を理解しているのは京大だけ!
モノ観測・MAGICとのステレオ観測のための解析ソフトを開発中
キャリブレーション用のソフト開発を日本の修士学生(M1,M2)
も担当
大規模実験の中でも自分が中心となって関わることができる
自分たちが開発したソフトで天体データを解析できる
大口径望遠鏡2-4号機建設にむけた光検出器モジュール試験
PMT・読み出し回路は量産済みで今年度から2号機以降にむけた性能確認試験
@宇宙線研&テネリフェ
自分たちが試験したモジュールが望遠鏡に搭載される
CTA計画のスケジュール
20
現在MAGIC望遠鏡
完成予定図
LST-2
LST-3 LST-4
LST-1
CTAの今後スケジュール
21
FY2020
LST-2LST1
LST2
LST3
LST4
M1 M2 D1 D2 D3
FY2021 FY2022 FY2023 FY2024 FY2025
カメラ要素の製作・較正
望遠鏡建設 観測CTAにとってこれからが
ホットな時期になっていきます!
北サイト
南サイト
はじめはMAGIC2台とLST1台で観測・データ解析
LST建設・カメラ試験にも参加
北サイトLST4台を使った観測・データ解析
2021年度 LST5-8号機建設開始2025年度 全アレイ(北・南)完成
極高エネルギー宇宙線観測
22
①地表粒子検出器アレイ ②大気蛍光望遠鏡
①地表検出器507台②大気蛍光望遠鏡3か所(38台)
地球まで到来した二次宇宙線を検出
二次宇宙線による窒素分子の励起に伴って放出される
蛍光紫外線を撮像
エネルギーを決定する際にハドロン相互作用の
不定性による影響が大きい
空気をカロリメータとしてシャワーの撮像できるため
エネルギー決定精度が高い
大気蛍光望遠鏡建設にかかるコストは、地表検出器の十倍...
→地表検出器ほど有効面積を確保できないのが現状
TAサイト
30km
FAST実験
• Fluorescence detector Array of Single-pixel Telescopes
23
大型の鏡数百本のPMT
小型の光学系4本の大口径PMT
従来 新型
藤井さん(PI)
TA・Augerサイトに設置
700km23000km2
TA(アメリカ・ユタ) Auger(アルゼンチン)
60station x 12台で17000km2
良
極高エネルギー宇宙線に対する感度
E>1020eVを650event(5年)
FAST実験で用いる大気蛍光望遠鏡
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現行実験のデータ解析 & FAST実験に向けたR&D
• TA・Augerのデータ解析• データ収集回路の開発• TA・Augerサイトに設置・観測• FASTデータ解析(エネルギースペクトルetc)
次世代実験のR&Dを担当することができる
学生も世界で活躍!
25
LST解析講習会@イタリア 国際学会@ブラジル
カメラ試験@バルセロナ カメラ試験@ラパルマ
MAGIC General Meeting@イタリア
CTA General Meeting@ラパルマ
出張費は研究費からでます
まとめ
①超高エネルギーガンマ線(10 GeV-100TeV)
26②極高エネルギー宇宙線(1020 eV-)
1. 宇宙線起源の探索2. 高エネルギー天体現象の
性質の解明3. 暗黒物質の間接探索
1. 宇宙線起源の探索2. 宇宙線エネルギースペクトル
の性質解明
MAGIC望遠鏡
TA実験 Auger実験
現在、稼働中の望遠鏡・実験でデータ取得&解析
次世代望遠鏡・実験の装置開発&観測
CTA計画
FAST実験
27
Backup
超高エネルギーガンマ線天文学
28
“数十GeV を超えるエネルギーのガンマ線で見る宇宙”
1.宇宙線の起源(宇宙の巨大加速器)の探索
2.高エネルギー天体の性質の解明
3.暗黒物質の間接探索
活動銀河核
超新星残骸
0.1-50 TeV
パルサー星雲 連星系
スターバースト銀河
大質量星団・球状星団
未同定
TeV Gamma-Ray Source Catalog
現在までに検出されているのは208天体
宇宙線の起源(宇宙の巨大加速器)の探索
• 宇宙では1020 eVに及ぶ高エネルギー粒子(=宇宙線)が飛び交う
29
1015109 1020
エネルギー [eV]
宇宙
から
の到
来粒
子数
宇宙線スペクトル
ガンマ線の到来方向、スペクトルから宇宙線起源、加速機構の謎に迫る
宇宙線がどこで生まれるのかどのように加速されているのかは未解明
超新星残骸 活動銀河核(巨大ブラックホール)
宇宙線
ガンマ線
宇宙線から放射された高エネルギーガンマ線は曲げられずに地球に到来する
高エネルギー天体の性質の解明
30
ガンマ線バースト(GRB) パルサー
・中心駆動天体・放射機構・ジェットの形成機構などが未解明
宇宙最大の爆発現象中心からは高速のジェットを放出
高速回転する中性子星周期的な電磁放射
・放射領域・放射機構などが未解明
激しい高エネルギー天体現象の謎に迫る
あるGRBのエネルギースペクトル
GeVMeV
時間積分
a→b→c→dの順に時間変動
a
bd
c
1周期(33 ms)
あるパルサーの光度曲線(100-400 GeV)
Ackerman et al.Ahnen et al.
暗黒物質の間接探索
31
宇宙という”巨大実験場”を用いた基礎物理探求ができる
• 宇宙のエネルギー組成のうち23%はダークマター
ダークマターの正体は謎であり、未知の素粒子の候補として挙げられ、様々な手法で探索されている
散乱事象を検出する直接探索
加速器を用いたダークマター対生成
対消滅して生じたガンマ線などを検出する間接探索
100 GeV-数10 TeVのガンマ線の線スペクトルが存在するかが
大きなカギとなる
MAGIC望遠鏡でのデータ解析
32
E>200 GeV
北西ホットスポット
黄:MAGIC白:408 MHz 電波連続波
Preliminary
超新星残骸
Fermi衛星LAT
MAGIC
宇宙線加速の現場をMAGICだけでなくFermi 衛星などのデータも用いて解析
増田0.01 0.1 1 E[TeV]
エネルギースペクトル
活動銀河核
フラ
ック
ス
1年
800 MeV-10GeV
光度曲線(Fermi 衛星)
時間
12/15
12/16
12/19
12/20
有意度 5σ以上
光度曲線(MAGIC望遠鏡)
フレア(突発的な増光)をFermi 衛星が検出し
MAGICで追観測
平子
高エネルギー天体解析
33
Fermi 衛星 MAGIC望遠鏡
20 MeV-300 GeV
30 GeV-100 TeV
*観測データは誰でも入手可能*解析ツールも配布されている
*これまでの観測データを入手可能
*観測提案して新たにデータを取得
解析したい高エネルギー天体を自由に解析できる
さらに、次世代望遠鏡の建設が始まっている!
LST PMT信号読み出し回路 ~Dragon~
34
40 cm
35 cm
30 cm
30 cm
ver.1
ver.2
ver.3
ver.4
ver.5
ver.7
大口径望遠鏡1号機用
大口径望遠鏡2-4号機用
回路図設計、基板レイアウト、動作ロジック作製、動作試験⇒ 全て自分で作る
増田
野崎
最初は回路の知識がなくても
大丈夫です!(僕もそうでした)
大口径望遠鏡 1号機に向けて
35
テネリフェ
ラ・パルマ島(北サイト)
日本で製作したPMTと読出し回路を性能評価したのち、現地へ輸送
2017年1月-6月 テネリフェで組立&試験学生は東大・京大・甲南大から参加
暗箱を使って性能試験
PMT1652本分の試験を完了
スペイン
大口径望遠鏡 1号機に向けて
36
マドリードでもメカニクスなどの試験を行っている
梶田さん
2018年5月ー バルセロナでモジュール取付け&試験
2018年8月ー 北サイト・ラパルマ島でのモジュール取付け・試験野崎 参加予定
平子 参加予定
ー 読み出し回路は京大グループの担当 ー大規模プロジェクトだが
第一線で計画に関わることができる
大口径望遠鏡 初号機 建設状況
37
2016/9 2016/12 2017/11
2017/12 2018/3
2018年9月 望遠鏡完成 & ファーストライト!!
大口径望遠鏡 1号機 試運転期間
• ファーストライト後は試運転期間に入り、問題なくデータを取得できるかを確認していく
• と同時に、最初期のサイエンスの探求がはじまる
38
IT computer center(2000core、4 PByte)
大口径望遠鏡1台でも毎晩大量のデータを取得
日本担当
現地のIT computer centerで一次解析
やる気さえあれば誰でも解析の最前線に関わっていくことができる
*解析用のプログラムをつくるところから始まる*ガンマ線の到来方向やエネルギーの見積もりには
モンテカルロシミュレーションが必要
プログラミングに興味があれば解析プログラム作成や
モンテカルロシミュレーションをやってほしい
大口径望遠鏡 2-4号機(北サイト)に向けて
• 現在、大口径望遠鏡2-4号機用読み出し回路を1000枚量産中
• 量産されたPMTと組み合わせて試験を行っていく予定
39
はじめは読み出し回路を理解するところからスタート
1号機にも搭載されている読み出し回路を使って試験をすることで
検出器をしっかり理解したうえで解析をすることができる
2号機以降建設の際に現場で活躍できるようになる
大口径望遠鏡 5-8号機(南サイト)と今後に向けて
• 北サイトでの望遠鏡の運転を踏まえて、南サイト用の信号読み出し回路のR&Dを行っていく必要がある
40
• 現在は光検出器としてPMTを用いていたが、今後SiPM(半導体光検出器)に置き換える計画があり、イタリアが開発をしている
信号読み出し回路を理解している日本グループも今後SiPMの開発に関わっていく予定
SiPMの方がPMTと比べて・光検出効率が高い・夜光下でも観測できる
CTAの今後スケジュール
41
FY2018
LST-2LST1
LST2
LST3
LST4
LST5
LST6
LST7
LST8
M1 M2 D1 D2 D3
FY2019 FY2020 FY2021 FY2022 FY2023
カメラ要素の製作・較正
望遠鏡建設 観測CTAにとってこれからが
ホットな時期になっていきます!
北サイト
南サイト
42
43
極高エネルギー宇宙線観測
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①地表粒子検出器アレイ ②大気蛍光望遠鏡
①地表検出器507台②大気蛍光望遠鏡3か所(38台)
地表まで到来した二次宇宙線を検出
二次宇宙線による窒素分子の励起に伴って放出される
蛍光紫外線を撮像
24時間365日観測可月がなく大気が透明な夜
(稼働率10%)
検出粒子数→エネルギー検出器間での到来時間
差→到来方向
検出光量→エネルギー複数の望遠鏡でシャワー軸
を再構成
安価 高価
FDステレオ概念図
45