海洋科学技術センター試験研究報告　第33号　JAMSTECR, 33 (March 1996)

飽 和 潜 水 用 減 圧 表 の 研 究

一第２報，階段減圧法と直線減圧法-

設楽 文朗＊1他谷 康＊2

毛利 元彦＊2　 ―Chong　 ＬＩＮ゛3

Universal Decompression Table : UDT (Y. C. Lin et al., 1988° 1989s-1)を用い

て300m,He-02) P。2=0.5bar

の飽和潜水の減圧時間を安全に短縮するために動物実験

でＵＤＴの有効性を検討した。減圧法は階段減圧法に比較し直線減圧法が有効である

ことが示唆された。5）6）

本報告では，第１報の実験動物にラット，ウサギ，イヌに加えてマウスを追加し，

半飽和時間と体重の関係式T/2=25.990Wa577, 5Tau について階段減圧法と直線減圧

法を比較し減圧法の安全|生を検討したｏ

結果は，正常体重から肥満にいたる各実験動物について階段減圧法に比較し直線減

圧法が安全な減圧法であることが実証できた。また，この実証できたＵＤＴで，ヒト体

重70kg の300m, He-02, P02=0.5bar の飽和潜水の減圧時間は約7.1 日間であることが

試算された。この日数は，海洋科学技術センターの300m 飽和潜水に使用している減

圧期間12日間を，より安全に短縮できる可能性が示唆された。

キーワード：飽和潜水，減圧表，動物実験，減圧症

Study of Universal Decompression Tablefor Saturation Dives

―Second Report : A Comparison of theStage and Linear Decompressions ―

Fumiro SHIDARA" Yasushi TAYA*S

Motohiko MOHRI*5 Yu-Chong LIN*6

The concept of the universal decompression table (UDT) formulates its tables by using

a maximal decompression step that produces no bubbles and shows 5 time constants (Tau)

or 7.21 half-times (T//2,T/4 = ln2(Tau)) for each stage. One of the 5Tau in each stage was

27

総務部安全管理室(海域開発・利用研究部)

海域開発・利用研究部

ハワイ大学生理学教室

Administration Department (Coastal Research Department)

Coastal Research Department

Department of Physiology , University of Hawaii

used to produce pressure changes and the remaining 4Tau for the equilibration at the new

pressure. A UDT table is, therefore, characterized by a long stage time of only a few large

decompression stages. For example, decompression from a 300-m saturation dive requires

only 5 stages. The major advantage of UDT is that tables calculated for one species are

convertible for use in other species. The calculation of UDT tables relies heavily on the

value of TVi. We generate values of T/2 based on body mass, in the form of TJ4 = aWx.

Where W is body weight in kg, TJ4 is half-desaturation time in min and a and x are con-

stants obtained experimentally. We proved UDT tables calculated by using TV2 ―26.36W0-59

to be safe for rats rabbits and dogs. It was revised and became T%=25.990Wa577 by includ-

ing mice, in addition to rats, rabbits, and dogs. In this report, we compared the stages as

in the original UDT tables and linear decompressions of UDT tables calculated by using

T^2=25.990W °-577. By using 5Tau for each stage, the linear decompression proved to be safe

for mice, rats, rabbits, and dogs. The linear decompression procedure is more simple to

carry out. By extrapolation of these results, we calculated the decompression for humans

from 300-m saturation to be 7.1 days as opposed to the current accepted decompression of

12 days. The short human decompression table from 300-m saturation dive remains to be

validated.

Key Words : Saturation Dive, Decompression table, Animal experiment decompression

sickness

１　はじめに

Universal Decompression Table (UDT) (Y. C. Lin et

al., 1988° 19892)) を 用いて飽和潜水 の減圧時間を安全

に短縮するために動物実験で有効性を検討 した。 UDT

は，体重（Ｗ）を指標にして半飽和時間（Ｔ ％）を計算

し，減圧 ユニット(Tau : Time Constant, 5Tau=7.21T

％）を設定することによって小動物からヒトまで簡便に

作成することができる。我々は，実験動物を用い体重 と

半飽和時間の関係式を確立, 減圧ユニットの設定等 の基

礎データを得 ることを目的として実証実験を実施 した。

第 １報のラット，ウサギ，イ ヌの実証実験の結果は，

５ Ｔａｕの減圧〔５ Ｔａｕとは, SDT (減圧 点間減圧時間及

び減圧点停留時間）の内１ Ｔａｕを減圧点間の減圧時間 に

充て，残り４ Ｔａｕを減圧点での停留時間とする階段 減圧

である。〕よりも，最 も安全 に短縮された減圧法は１ Tau

（１ Ｔａｕとは, SDT の全て の時間を減圧点間 の減圧 時間

に充てる直線減圧である。）であった。 これ らの結果が

示すことは，減圧点間減圧 スピードを遅 くし（ＳＤＴの内

減圧点間減圧時間を長く取る），減圧点停留 時間を補助

的な減圧時間にする減圧法が良 いことが示された3）‘）。言

い換えると階段減圧法より直線減圧法が安全な総減圧時

28

間の短縮になることが示唆された5）6）。

上記の結果から，体重と半飽和時間の関係式ry2=26.

36W0,59 ( 5 Ｔａｕ階段減圧法）に再度検討を加えた。修正

された関係式25.990Wa677 ( 5 Ｔａｕ階段減圧法）を

用い実験動物にマウスを加えラット，ウサギ，イヌを用

いて階段減圧法と直線減圧法について実証実験を行い安

全な減圧法の比較検討をした。また，減圧点間減圧スピー

ドの結果から導かれた体重と半飽和時間の関係式Ｔ％＝

40.954Wa 4りこっいて実証実験を実施し，階段減圧法の肥

満動物への適用を検討した。

２　ＵＤＴ作成のための理論式

2.1　Universal dF‰Ａｘ(万能最大深度差)

dPmax - 0.415P汗0.73 0r p2=(p>- 1 ｡25)/1.710

P1: 飽和深度，P2:次の減圧点

2｡2　Step Decompression Time

(減圧点間減圧時間及び減圧点停留時間)

JAMSTECR, 33 (1996)

W:体重， R:減圧点間減圧スT yz :半飽和時間，

Saturati伺

Pres割Jre.鋼.

300 ピード

げ

λοリ一叩お拘帥犯叫帥

ω脚阻錨制

ω崎憾帽

lt ..... .

P』'仲七v-AHv，均Jdw吟‘臼w'Awdぜ..

目唱句.命J

句

l

-

1

.

. l拘q‘a.q》

aaa.守

A自嗣ev

EXP. ny， SOT (lIin) (hr)

RaH 21 乙50Rat-2 32 3.85

一一-Rabbit-l 68 8.17 ぬ帥itザ2 8ゆ 9.57 Ra凶it-3 80 3.83-5.75

- 00g-1 125 15. ()喧

， T Y，o26. 36W・...

dP=13伽Total Decompression Time (総減圧時間)

TDT = nSDT + dP.nd/R

2.3

nSDT:減圧点の数， dP.nd :最終減圧点からの深度差

dP--46o

<1'=80明

100 84

38

11

3

3.1 <1'=1111

図1 T Yz=26.36 WO.69の300m飽和潜水階段減圧法

Fig. 1 Universal Decompression Table from 300m

Saturation Dive CH.-02， P02=O.5bar， 5Tau)

ω

e吃7111

50 4() 20 30 De<X四r回sionTi嗣.hr・

。イヌについて6

ウサギは 3

ウサギ，

Saturat i伺Pressure . m

300

T y2=25.990Wω77の階段減圧法による実証実

験

3.2

TOT (hr) zω 13.65 26.閃51.85 54.20

刊一

ω

EXP， ITY， SOT {削n) (hr)

_ .lbJse 4 0.48 Rat・3 27 3.30

- RabbiH 54 6.43 Rabbit-5 86 10.37

-ーー恥q・2 109 13.10 ITY，冨25.990W・・'lT

T Yz=26.36Wo.59の実証実験の結果から修正した換算

式Tyz = 25.990 Wo.577で実施した。図 2に示すとおりの

<1'=21111

<1'=46111

<1'=8伽

dP=136伺

」ーー」

10

2 0 0 It

164 I!

100 84

38 11

o

ウサギ，イヌについて 5実験を実施し

マウスは 1実験22匹〈体重約40g)を使用した。

トは 1実験9匹(体重約600g)，ウサギは 2実験計 6羽

(体重約 3.5kg)， 1回の実験に 2羽を使用した。イヌは

l実験 2匹(体重約12kg)を使用した。

フッ

ラット，マウス，

h

，'-。

関4() 30 20

加C慣畢同盟i開 Ti闘 .hr .

図2 TYz=2お5.9ω90W

Fig. 2 Universal Decompression Table from 300m

Saturation Dive (H.-Oz， POz=O.5bar， 5Tau)

Ty2=40.954Wω"の階段減圧法による実証実

験

上記 2実験及び第 1報4)のデータより減圧点間減圧ス

ピードの成功例を取り出し算出した換算表により実施し

ラットは 1実験26匹(体重約500g)，ウサギは 1実

験 5羽(体重約4kg)を使用した。

3.3

fこ。

一一一 3Tauny， SOT TOT {minl (hr) (hr) 4 0.30 1.4岬21 1.53 1.11 49 3.53 16.52 114 8.23 38.48

dP=lh.

一ー-5Ta u EXP. ny， SOT TOT

{・in)(hr) (hr) 胤時e 4 札48 2.27 Rat 21 2.弱 11.95 Rabb i t 49 5.88 21.50

59 1.08 33.22 阪瑚 IIT 14.02 65.52

本TY，=25. 990 W・.sn

dP=8Om

dP=1~泊

Satu同tionPres制問.ID •

300 Ty2=25.990W附 7の直線減圧法による実証実

験

図 3に示すとおりのマウス， イヌをウサギ，

3.4

200 164

1 0 0 84

38

11

164 lllIー

ムー一一一

実験方法

Ty2=26.36 W仰の階段減圧法による実証実験

図 1に示すとおりのラット，

実験を実施した。ラットは 2実験計18匹(体重約

600--700g)， 1回の実験に 9匹を使用した。

実験計9羽(体重約 4--4.5kg)，1回の実験に 3羽を使

用した。イヌは 1実験2匹(体重約 13.5kg)を使用したc

ラット，

使用し 5Tau， 3 Tauについて各実験動物 1実験づ、つ

(ウサギは 5Tauの実験を 2回実施した。)計 9実験を実

施したo 1回の実験にマウスは21--22匹(体重約40g)，

ラットは 9匹(体重約700g)，ウサギは 3羽(体重約2.5

--3.5kg)，イヌは 2匹(体重約12--13.5kg)を使用した。 60 50 40 20 Dea圃oressionTi醐.hr .

10 。

ウサギの体重換算の考慮

階段減圧法の実証実験において， UDT作成にあたっ

ての体重は，ラット，ウサギの加齢による肥満について

ラット，3.5 TYz=2お5.99ωOW

Universal Decompression Table from 300m n 1

Saturation Dive (H.-Oz， POz=O.5bar久， Linear)

29

図3

Fig. 3

JAMSTECR， 33 (1996)

体重に対する脂肪量 (体脂肪率:%FAT)を考慮した

実験も実施した。成熟期から老化に進行するに伴って%

FATを約20%から約40%として算出した。

3.6 実験動物種

マウスはICR種雄，ラットはウイスター系今道種雄，

ウサギはジャパニーズホワイト種雄，イヌはアメリカ ン

ビーグル種雄を使用した。

3.7 実験動物種による半飽和時間 ( T~) の対比

体重と半飽和時間の換算式によるヒト，マウス，ラッ

ト，ウサギ，イヌの半飽和時間の対比を下表に示す。

換算式 TYz=26.36W0.5S TYz=25.990Wω押 TYz=40.954Wωi

種類 体重 半飽和時間(TYz) min

ヒ 302 341

マウス 40g 4 4 8

ラット 700g 2 1 2 1 3 4

ウサギ 4kg 6 0 5 9

イ ヌ 12kg 1 1 4 109 141

3.8 実証実験

各実験共150m/hrの加圧スピードでヘリウムで加圧

し， 2時間で'300mに到達，その後マウスは4時間，ラッ

トは 7時間，ウサギは11時間，イヌは12時間の飽和潜水

停留後減圧を開始した。階段減圧の減圧点停留深度，直

線減圧の減圧スピード変更点は， 164m，84m， 38m及び

11mで‘ある。酸素分圧は0.5bar，環境温度は300m相当深

度庄で32+lOCと各減圧点毎に示適温度に設定した。湿

度は55土5%とした。

3.9 減圧表の判定

各減圧表の良否は，減庄中から減圧終了後までの死亡

の有無と動物シミュレーターの覗き窓からの各実験動物

の動作，呼吸数など，また，減圧終了後は憲物シミュレー

ターから搬出後の歩行動作などの肉眼的観察による減圧

症の発症の有無により判定した。

4 実験結果

4.1 T ~ =26.36W仰の階段減圧法による実証実験

表 1-1に実験結果を示す。

ラットは体重約700gで'TYz=21minでは， 9例中 5例

に減圧症の発症が観られた。 %FATから体重l.4kgに換

30

算したTYz=32min'ま，減圧症の発症も観られず全例正

常であった。

ウサギは体重約4.5kgでTyz =68min， %FATから体

重6.5kgに換算したTYz=80minの2実験共， 3例中 2

例に減圧症の発症が観られた。TYz=80minで、減圧点間

減圧時間及び減圧点停留時間 (SDT)を2: 3 Tau(5Tau

の通常は 1: 4 Tau)で減圧した場合は，減圧症の発症も

観られず全例正常であった。

イヌは体重約14kgで、TYz=125minは，減圧症の発症

も観られず全例正常であった。

実験前後の体重の変化は，全ての実験で減少し変化率

は2.8'""8.9%であった。

4.2 T I'2=25.990Wω77の階段減圧法による実証実

験

表 1-2に実験結果を示す。

マウスは体重約40gで、TYz= 4 minは，減圧症の発症

も観られず全例正常であった。

ラット は体重約600gで%FATから体重1.1kgに換算 し

たTYz=27minは，減圧症の発症も観られず全例正常で

あった。

ウサギは体重約3.5kgで、Tyz =54min， %FATから体

重8.0kgに換算したTYz=86minの2実験共， 3伊j中全

例と 3例中 2例に減圧症の発症が観られた。

イヌは体重約12kgで~Tyz = 109min は，減圧症の発症

も観られず全例正常であった。

実験前後の体重の変化は，全ての実験で減少し変化率

は1.6'""4.8%であった。

4.3 T~ん=40.954W0.49曹 の階段減圧法による実証実

験

表 1-3に実験結果を示す。ラットは体重約500gで

TYz=29minは，減圧症の発症も観られず全例正常であっ

た。ウサギは体重約4kgでTYz=82minは， 5例中 3例

に減圧症の発症が観られた。実験前後での体重の変化は，

両実験とも減少し変化率は， 4.5'"" 6.6%であった。

4.4 T ~ =25.990Wω77の直線減庄法による実証実

験

表2-1に5Tauの実験結果を示す。

マウスは体重約40gでTYz= 4 minは，減圧症の発症も

観られず全例正常であった。

ラッ トは体重約700gで、TYz=21min'ま，減圧症の発症

も観られず全例正常であった。

JAMSTECR， 33 (1996)

表1 UDT実証実験の結果 (5Tau)

Table 1 -1--3 Test Parameters， Body Weingt Change and Outcome for UDT・300for Stage Decompression

Method.

表 1-1 (TY2=26.36W0.59)

T~ 包出

21

SDT 色r)

2.50

3.85

8.17

T

)一

拐

犯

8

mh一肌

i

m札

実験動物種In

p

u

p

b

つhn

v

qO

内

4

i

一+一+一

引」一

oonv

hパ-pono

fL-pophu

&rν LU

PU

-、ムe

w

y

Au

o

nu Change 鐙i-2.8

-4.4

-4.3

n

P

D

P

b

nruAU

円

δ

内

ru

+一+一

司

t

氏U

nO

噌

i

pOFO

ラットー 1 9

9 32

68

ラット ー2

ウサギー1

ウサギ-2

ウサギー3

イヌ -1

内毛U

円ぺU

円ペ

u

n

J臼

4.42+0.14kg

4.22+0.13kg

3.95+0.05kg

13.5+0.5kg

4.23+0.22kg

3.97+0.11kg

3.74+0.05kg

12.3+0.9kg

80 9.57 39.55

80 3.83・5.75 41.00

125 15.02 62.08

-5.9 2/3DCS

-5.3 Good

-8.9 Good

結果

5/9DCS

Good

2/3DCS

UDT存蔵体重(kg)

0.7

1.4

5.0

6.5

6;5

14.0

SDT

lli2 0.48

3.30

6.43

10.37

13.10

TDT (hr)

2.00

13.65

26.60

51.85

54.20

Body weight Out

36.9+0.9g

564+24g

3.19+0.08kg

3.53+0.15kg

11.3+0.1kg

Change 鑑i-1.6

-2.6

-4.8

-1.7

-1.7

実験動物種 n In

37.5+1.0g マウス 22

9 579+26g

3.35+0.08kg

ラット -3

ウサギ-4

ウサギー5

イヌー2

27

54

86

109

qdqu

ワIH

3.59+0.17kg

11.5+0.3kg

表 1-3 (TY2=40.954Wo綱)

T弘 SDT TDT Body weight Change (min) (hr) (hr) In Out (%)

29 3.48 14.13 511.8+26.6g 478.0+26.5g -6.6 Good

82 9.85 40.76 4.24+0.38kg 4.05+0.32kg -4.5 3/5DCS

Tau:減圧法のユニット. SDT:減圧点間減圧時間及び減圧点停留時間， TDT:総減圧時間

実験動物種 n

ラット -4 26

ウサギ-6 5

*TY2:半飽和時間，

DCS:減圧症

結果

Good

Good

3/3DCS

2/3DCS

Good

結果

UDT作成

益重住g20.04

1.1

3.5

8.0

12.0

UDT存蔵体重包g2

0.5

4.0

表2 UDT実証実験の結果(直線減圧)

Table 2 -1--2 Test Parameters.Body Weight Change. and Outcome for UDT・300for Linear Decompression Method.

表 2-1 (TY2=25.990Wωぺ5Tau)

TY2 SDT (min) (hr)

TDT 色r)

2.27

11.95

27.50

33.22

65.52

Body weight In Out

Change (%)

-1.0

-2.。

実験動物種 n

マウス 内

Lnuu

内

O

R

u

n

L

円FUM 4 0.48

2.55

5.88

7.08

14.02

40.3+2.4g

684+24g

2.63+0.22kg

4.06+0.19kg

13.3+0.1kg

σ

b

p

b

F

b

p

b

p

b

Aせ

ro

'k

b

n

・b且

〉

山

つ

白

A守

1

A

A品

E

U

+

一ρ

2

仏

いん

A

U

A

H

v

n

U

』l-

Mmw

土+一

K

Mい

ハ

凸

A

V

F

同

u

・

5

1

8

U

。，Mq

o

ラット 21

ウサギ

ウサギ

49

59

117

+5.7

-5.2

-4.5 イヌ

結果

Good

Good

Good

Good

Good

UDT作成体重(kg)

0.04

0.7

3.0

4.0

13.5

-4.9 Good

+0.4 2/9DCS

-3.3 2/3DCS

2一種

i

一一物

お一期

(TY2=25.990wO.517， 3Tau)

T弘 SDT(min) (hr)

TDT (hr)

Body weight Out

凸しv

pbkF

釦

κLurk

c

n In

マウス 4

21

49

114 -3.3

1.40. 40.7土1.3g

7.17 667土15g

16.52 3.34 +0.06kg

'

i

n

w

v

q

o

ワu

nL

0.30

1.53

3.53

8.23

38.7+1.5g

670+15g

3.23+0.08kg

11.9+0.5kg

ラット

ウサギ

イヌ 38.48 12.3+0.3kg

結果

Good

UDT存蔵体重(kg)

0.04

0.7

3.0

13.0

*TY2:半飽和時間. Tau:減圧法のユニット. SDT:減圧点間減圧時間及び減圧点停留時間. TDT:総減圧時間DCS:減圧症

JAMSTECR， 33 (1996) 31

ウサギは体重約 3kgで~TY2=49min，体重約4kg""eT

Y2=59minの2実験共に減圧症の発症も観られず全例正

常であった。

イヌは体重約13.5kgでTy2 =117minは，減圧症の発

症も観られず全例正常であった。

実験前後の体重の変化率は-4.5--+5.7%であった。

表 2-2に3Tauの実験結果を示す。

マウスは体重約40gでTY2=4 minは，減圧症の発症

も観られず全例正常であった。

ラットは体重約700gで、TY2=21minで、は， 9例中 2例

に減圧症の発症が観られた。

ウサギは体重約3.5kgでTY2=49minで、は，.3例中 2

例に減圧症の発症が観られた。

イヌは体重約12.5kgでTY2.= 114minは，減圧症の発

症も観られず全例正常であった。

実験前後の体重の変化率は-4.9--+0.4%であった。

5考察

5.1 階段減圧法による体重と半飽和時間について

T Y2=26.36wo.59 (r=0.994)の実証実験の結果を図 4

に示す。イヌにおいては成功したが，ラット，ウサギに

おいては減圧症例が多数観られた。この換算式の導出時

のラット，ウサギの体重は，約O.4kgと3.0kgであった。

今回の体重は，約ラット0.7kg，ウサギ4.5kgで、あった。

UDTは，体重の多少による結果の違いは本来ないはず

である。減圧症と%FATの関係は，相関が高いと言わ

れている。 この体重約ラット0.7kg，ウサギ~.5kgは，ラ ッ

トが50週令以上，ウサギが30週令以上であり，加令によ

る肥満と考えられることから， %FATを考慮した体重で

実験を実施した。この結果ラットにおいては成功したが，

ウサギにおいては未だ減圧症例が観られ不成功に終わり，

ウサギは減圧に対するストレスが他の使用した実験動物

に比較し大きいことが示唆された。また，体重と半飽和

時間の関係は，体重と呼吸循環代謝量の関係と同ーと観

ることができ，ウサギの減圧には呼吸循環代謝も検討す

る必要があろう。 ウサギの成功例は， %FATを考慮し

かっSDTを 2Tau-3 Tauの減圧点間減圧スピードを%

に遅くした減圧であった。

第 1報の結果からも，安全な減圧時間の短縮には減圧

点間減圧スピー ド(減圧点間減圧時間)と減圧点停留時

間の関係、が重要な問題であり，その結果として総減圧時

間の短縮になることが示唆されている。例制つまり，減

圧点間減圧スピードを遅くし減圧点停留時間を短くした。

32

TDT(総減圧時間)は殆ど同一であるが，dP~叫に対する

減圧スピードのストレスが減少したためと考えられーる。

再度導いた換算式TY2=25.990W附 (r=O.970)の実証

実験の結果を図5に示す。マウス，イヌにおいては，問

題なく成功した。また， ラットにおいても%FATを考

慮した体重で成功した。しかし，ウサギにおいては%F

ATを40%に考慮しでも不成功であった。 5Tauの階段

減圧法は，肥満動物には使用できないと考えられ，正常

な実験動物用ということができる。

表 3-.1--表 3-3にマウス，ラット，ウサギ，イヌ

のそれぞれの半飽和時間(TY2)に対する減圧点間減圧

スピードと実験結果を示す。マウスはTY2=.4min，ラッ

トはTY2=27min， 32min，ウサギはTy2 = 160min (SD

Tを 2Tau-3 Tauから換算)，イヌは Ty2 =85min，

109min， 125minの減圧点間減圧スピードが成功した。

これらの結果は，ウサギがイヌよりも減圧が困難という

ことができる。

図6に体重と半飽和時間の関係を減圧点間減圧スピー

ドの結果から導かれた換算式は， T y2 =40.954W附 (r=

0.865)で，実証実験の結果ラットは成功したもののウサ

ギにおいては不成功に終わり，この換算式で肥満ウサギ

の体重例えば4.5kgを計算すると TY2=87minになり，

これまでの実証実験の結果から減圧は不成功ではないか

と恩われる。この換算式も正常な実験動物用ということ

ができる。

5.2 階段減圧法と直線減圧法の比較について

T y2 = 25.990 WIl577の直線減圧法による実証実験の結

果を図7に示す。マウス，ラット，ウサギ，イヌの各実

験動物においても成功した。ラット，ウサギは共に%F

ATからの体重の補正も必要がなく，特にウサギにおい

ては実験前後で体重の増加が観られ減圧ストレスも低かっ

たと考えられる。この実証実験の減圧点間減圧スピード

を表4-1に示す。もちろん階段減圧法に比較し減圧ス

ピードは遅いが，総減圧時間(TDT)は5Tauの階段減

圧法と殆ど同一である。

また， T Y2=25.990WOST1の直線減圧法を 3Tauで、減圧

を実施した場合は，ラット，ウサギにおいて不成功であっ

た。表 4-2にこの実証実験の減圧点間減圧スピードを

示す。 Tyz =25.990W0.517の 5Tau階段減圧法と減圧点

間減圧スピードを比較すると ラットは遅く，ウサギにお

いても同様に (SDTを2Tau: 3 Tauで減圧し成功した。)

殆ど同一であったが共に不成功であったということは，

階段減圧法の SDTの減圧点停留時間が不活性ガスの排

JAMSTECR，. 33 (1996)

1. 000 1. 000

切は

半

飽

和

時

間

T

100

二ご;鮭守 二11;…叫"・…… "・・"--，..，--，，…ー…} 一一一一.__._-

ν T

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11111111 xljffi

%

半

飽

和

時

間

T

100

11三一トー一ー

一幽.

一 一 ー トー一 田明

一 一 ト m ト--ー一 ートー 一一一回一 一

一一 崎T二1rih=lhl0-..99-97t6w-) e..

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........ 園田・ー・醐

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i〆/ “一・

4・4・・・M ・ーー・ ーー ト 句

トー . ト一一 .個・.

トーー ._---1--ト，

/ '

/

I

(min) 10 (min) 10

O. 7

体重 (kg)

図4 半飽和時間 (TYDと体重の関係t 5 Tau (Step)

TYz=26.36W脚階段減圧法実証実験の結果

Fig. 4 Result of T yz =26.36 W0.59 Stage Decompression

Method.

0.04・ 4 13

体重 (kg)

図5 半飽和時間 (TYz)と体重の関係t 5 Tau (Step)

TYz=2お5.99ωOWFig. 5 Re閃sultもofTYz=2お5.9ω90W

Method.

0.04 4 13

1. 000 回目叩_"'"恒明叫+唱団 ， 回......._...........問問団側F ・ー...........慣 例量

旬 0・国ト刷。

:n=二:トート・句喧 守 トー

/ レ〆

| イ-一一 e ・1

-剛山 r 戸T1-+Hi11 I H-一一回崎四」四ト・ ー.一 ".~，，~--- ー7"r"1-r'l"n'rr---r'--'トーー …ー ー ι----.--_.__.一一

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ト //μ乙1"'1'1 ・ r

長一. 一一一一一‘ 一一一….......白

iiif;!;

一一一......_...................._........._.-....................，...Good

一 一一一一- 一…NoEO|吋11

1. 000

主幹

(min) 10

主ド

飽 100

和

時

間

TYz

(min) 10

飽 100

以川

和

時

間

T

1 1

0.3 0.7

体重 (kg)

図6 半飽和時間 (T!t2)と体重の関係(減圧点間減圧スピー ・

ド)

Oxは， T Yz =40.954W o•ω 階段減圧法実証実験の結果

Fig.6 Regression Equation was calculated for the

Correlation between Body Weight and TYz (Decompression Speed between Decompression

Steps). And Result of TYz=40.954Woω Stage

0.04 3 4 13 0.04 O. 7

体重 (kg)

3 4 13

図7 半飽和時間 (TYz)と体重の関係t 5 Tau (Linear)

T Yz=25.990W附直線減圧法実証実験の結果

Fig. 7 Result of T yz = 25.990W0.5T7 Linear

Decompression Method.

Decompression Method.

JAMSTECR， 33 (1996) 33

3Tau直線減減圧点間減圧スピード (5Tau， 圧法)

Table 4 -1 -2 Decompression Speed between Decompression Steps (Experiment for Linear Decompression Method，

5 Tau and 3 Tau) .

表4-1-2減圧点間減圧スピード(階段減圧法，

マウス，ウサギ，イヌ)

Table 3 -1 .......， 3 Decompression Speed between

Decompression Steps (Experiment for

Stage Decompression Method， Rats，

mice， Rabbits and Dogs) .

ラット，表3-1--3

5 Tau)

減圧スピード (dp/dt)(m/min)

減圧点間減圧スピード(直線減圧，表4-1減圧点間減圧スピード(ラット)

117 (イヌ)

59 (ウサギ)

49 (ウサギ)

21 (ラット)

dp (m)

TY2=4 (マウス)

深 度(m)

減圧点減圧スピード (dp/dt)(m/min) (マウス)

4 21

0.16

0.09

0.06

0.03

0.02

0.32

0.19

0.11

0.06

0.04

0.38

0.23

0.13

0.08

0.04

0.89

0.52

0.30

0.18

0.10

4.69

2.76

1.59

0.93

0.55

136

80

46

27

11

300

164

84 38

11

-

噌

inr-ntua且Tro

22.67

13.33

7.67

4.50

2.75

4.53

2.67

1.53

0.90

0.52

27

3.40

2.00

1.15

0.68

0.41

29

3.32

1.95

1.12

0.66

0.39

TY2=32

136 2.93

80 . 1.72

46 1.00

27 0.59

11 0.34

dp (m)

深度(m)

表3-1

減圧点

300

164

84 38

11

ti内

FU4084ro

Good Good .Good Good Good 実験結果

Good Good Good Good Good 実験結果

減圧点間減圧スピード(直線減圧， 3 Tau) 表4-2減圧点間減圧スピード(ウサギ)表3-2

減圧スピード (dp/dt) (m/min) 減圧スピード (dp/dt)

(m/min)

114 (イヌ)

49 (ウサギ)

21 (ラット)

0.28

0.16

0.09

0.06

0.03

0.64

0.38

0.22

0.13

0.07

1.49

0.87

0.51

0.30

0.17

dp (m)

TY2=4 (マウス)

dp (m)

深度(m)

減圧点

深度(m)

減圧点

*80 54 68 80 82 TY2=86

7.75

4.53

2.65

1.55

0.91

136

80

46

27

11

300

164

84 38

11

唱

i

円

JU丹、

u

a且

τFhu

0.59 0.35.

0.20

0.12

0.07

1.76

1.03

0.60

0.35

0.21

1.39

0.82

0.47

0.28

0.16

1.19

0.69

0.41

0.24

0.14

1.15

0.68

0.39

0.23

0.14

1.09

0.64

0.37

0.22

0.13

136

80

46

27

11

300

164

84 38

11

噌

i

n

L

n

ふ

4斗

a

Fhu

DCS Good 実験結果

減圧点間減圧時聞を2Tauとしたo

DCS DCS DCS DCS

* Good DCS DCS Good 実験結果

ヌ)減圧点間減圧スピード(イ表3-3

d

/

nド、lノ

-

d

n

一

九.m一

tF〆

-

。一-m~一m

-b

・、，，‘、、-

ス圧減dp (m)

深度(m)

減圧点

74 86 TY2=125

1.27

0.75

0.43

0.25

0.14

1.10

0.65

0.37

0.22

0.13

0.87

0.51

0.29

0.17

0.10

0.75

0.44

0.26

0.15

0.09

136

80

46

27

11

DCS Good Good Good

300

164

84

38

11

実験結果

1inLquAUE

Fhu

を使用した場合に比較し4倍も速くなることになる O 言

い換えると，直線減圧法はSDTを減圧点間減圧時間に

全て充て，従って減圧点間の減圧スピードが階段減圧法

に比較し 4倍も遅くなることになる。また，直線減圧法

は最終減圧点から減圧終了までの減圧点間減圧時間(減

圧点間減圧スピード)も長く(遅く)なる。従って，総

減圧時間は最終減圧点までは同一になり，最終減圧点か

JAMSTECR， 33 (1996)

出に有効に作用したということができるo また，総減圧

時間も短時間過ぎたと考えられるO

階段減圧法と直線減圧法の違いは，TY2が同一の場合

SDTは同一時間になる。しかし 5Tauの場合は，

(減圧点間減圧時間及び減圧点停留時間)の内，階段減

圧法は 1Tauが減圧点間減圧時間4Tauが減圧点停留時

間になり減圧点間の減圧スピードが5Tauで、直線減圧法

34

SDT

SDT=36.29hr， TDT=;:7.1day，が試算できた。また，

5Tau階段減圧 (TYz=40.954W側 9)の場合は3T%=

341min， SDT=40.98hr， TDT"'-:7.1day，が試算できた。

このように総減圧時間が殆ど同ーを示し，総減圧時間に

UDT-Human

(飽和潜水用万能減圧表のヒト (70kgJでの試算)

Table 5 Trial of UDT-Human (Body Weight 70kg).

5Tau直線減圧の場合 (TY2 =25.990Wo.~71)

・半飽和時間 TY2=302 min ・減圧点間減圧時間及び減圧点停留時間

SDT=36.29 hr ・総減圧時間 TDT=170.17hr勾 7.1day.減圧点間減圧スピード

表5

減圧スピード(m/min) ' (m/hr)

dp (m)

深度(m)

減圧点

3.75

2.20

1.27

0.74

0.44

2.

0.062

0.037

0.021

0.012

0.007

5Tauの階段減圧の場合 (TY2=40.954Wo .•. ω) ・半飽和時間 TY2=341 min ・減圧点間・減圧時間及び減圧点停留時間

SDT=40.98 hr ・総減圧時間 TDT:-169.58hr勾 7.1day.減圧点間減圧スピード

136

80

46

27

11

300

164

84

38 11

唱

EA

内

ノ

臼

内

毛

υaA守

F円

υ

減圧ス.ピード

(m/min) (m/hr) dp

(m) 深度

(m) 減圧点

16.59

9.76

5.61

3.29

1.34

0.276

0.163

0.093

0.055

0.022

136

80

46

27

11

300 164

84 38

11

唱

inL内

044FD

dP=11 ..

s

T

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D耐

71一

川

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一

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T

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5

S〈一一何一弘

一問剛一洲一時

dP=21.

cP=136側

CJ>=.4蜘.

- 5Tau.Lin・arT)4 SOT TOT (lIin) (hr) (加)

3012 36. 29 170.11

T Y.=2S. 990 Wふ '"

U 0 T -Human

dP=8伽

Saturation Pres割問.舗.

300

1 00 84

38

11

0

200

164

UOT(飽和潜水用万能減圧表)のヒトでの試

ら減圧終了までの長くなった時聞が増加するだけである。

実証実験による階段減圧法と直線減圧法の違いは，

ウス，イヌにおいて全て成功し違いは観られなかった。

しかし，ラット，ウサギにおいては階段減圧法に比較し

て直線減圧法が安全な飽和潜水の減圧時間の短縮にとっ

て明らかに優位であった。

半飽和時間 (TYz)に7. 21の係数を乗じて 5Tauの

SDTを計算するが，この SDTは飽和時間と観ることが

できる。 ω この飽和時間は，加圧時間をある程度短縮

しでも殆ど障害となることはない。しかし，減圧の過程

ではその短縮，減圧法等で減圧症を伴う。階段減圧法は

前述したように減圧点間減圧スピードが直線減圧法に比

較し速くなり，飽和深度から減圧点，そして，次の減圧

点到着時の体内ガス圧(過飽和状態)が常時高い状態に

あるO この過飽和状態が限界を超えると血中に気泡が発

生し，減圧症の原因を形成する。一方，直線減圧法は減

圧過程での過飽和状態が，階段減圧法に比較し常時低い

状態にある。これらの減圧点での過飽和状態の高低が，

階段減圧法に比較し直線減圧法の結果が優位であった最

大の理由であるということができる。

5.3 サルの500m飽和潜水によるUOTの応用

サルを用いた500mH.-02飽和潜水の減圧表は，減圧

点が490m，329m， 171m， 10m， 5 mでそれらの減圧点

間の減圧スピードは 500mから490mは10m/hrであり，

次の減圧点から8.57m/hr，7.50m/hr， 6.67m/hr，

6.00m/hr， 5.46m/hrの直線減圧法で，総減圧時間は，

66時間45分を実施しているの。この500m飽和潜水減圧表

は，未発表であるが減圧症の発症も観察されている。こ

の500m飽和潜水からの減圧に UDTを応用した。

UDTによる500mからの減圧点は， 281m，153m， 78m，

34m， 8 mであり，それぞれの減圧点間減圧時間を 1Tau

とし減圧点停留時間を 4Tauとする 5Tauの階段減圧法

で実施した。 UDTの作成にはTyz = 25.990 WO.S77を用い

体重約8kgとllkgのサルで実施し，総減圧時間は，それ

ぞれ49時間48分， 64時間15分であった。両実験共，減圧

症の発症も観察されず減圧が成功し， 300m以深の飽和

潜水減圧表としても安全に使用できることが確認された。

マ

Dec剖即r・ssi伺Ti冊. daY.

ヒトの300m飽和潜水減圧表(Ty2 = 25.990Wo.mの直線

減圧とTy2 = 40.954WO糊の階段減圧)

Fig. 8 Universal Decompression Table from 300m Saturation Dive (H.・02，P02=0.5bar)

35

r 6 5 2

図8

5.4

算

現在までのデータからヒト (70kg)に試算した300m

飽和潜水からの減圧表を表5と図8に示す。 5Tau 直線

減圧 (Tyz = 25.990wo.S71 )の場合は， T yz = 302min，

JAMSTECR， 33 (1996)

おいては安全な減圧ができると考えられる。しかし減

圧点間減圧スピードは，階段減圧が直線減圧の4.4倍で

ある O.この減圧点間減圧スピードは，ウサギにおいては

約 2倍でも減圧症の発症が観られている。これらの実証

実験の結果から，階段減圧法に比較し直線減圧法が飽和

潜水の減圧方法としてより安全であろうと考えられる。

短時間潜水と飽和潜水の減圧方法の違い6〉，飽和潜水に

おける長期間の減圧に対するヒ トの昼夜の代謝量に違

い9〉，当センターの飽和潜水の減圧も昼 2時間，夜間 6

時間の減圧停留を実施している10〉0 飽和潜水用減圧表は，

上記のことを考慮し，ダイパーの体格を計測し，階段減

圧法と直線減圧法の優位な面を組み合わせることによっ

て，より安全で減圧期間を効率よく設定できると考え答。

本研究は，ハワイ大学生理学教室Dr.Y. C. Linとの共

同研究「減圧症動物の生化学動態の変化と汎用減圧表の

有効性JI短時間潜水時の最適減圧手法の基礎研究」で

実施したもので、ある。

36

6 まとめ

① 階段減圧法より求めた体重と半飽和時間の換算

式は，減圧点間減圧スピードの結果Tyz =40.954

wω91 5Tauの結果Tyz = 25.990WO.577の関係が

導かれた。

②階段減圧法による肥満の減圧には，%FATか

ら体重を考慮した減圧表の作成が必要である。し

かし加令の肥満ウサギには使用できない。ウサ

ギは，マウス，ラット，イヌに比較して減圧に対

するストレスが大きい。

③ T Yz=25.990WOS17の5Tau直線減圧法は，マウ

ス，ラ ット，ウサギ，イヌ全てに，また，肥満動

物にとっても有効である。

④ 500m H.-02飽和潜水減圧表としても有効であ

ることが実証できた。

⑤ T Yz=25.990Wω77の5Tau直線減圧法とTYz=40.954W酬の 5Tau階段減圧法でヒト (70kg)の

300m飽和潜水の減圧表を試算じた場合，総減圧

時聞が共に約7.1日間で同ーを示し，海洋科学技

術センターの300m飽和潜水に使用している減圧

期間12日閉めより安全に短縮できる可能性が示唆

された。

⑤飽和潜水の減圧には，階段減圧法より直線減圧

法が安全な減圧法であることが確認された。

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