21
- 1 - 《目次》 はじめに SSH プログラム活動報告 SSH 部活動報告 ①はじめに このレポートは、 2012 年度(平成 24 年度)SSH プログラム(学校単位のプログラム)SSH 部の活動内 容について新聞形式でまとめたものです。 SSH プログラムのタイトルは この四角で囲まれています SSH プログラムの日程はオレンジの 四角で囲まれています SSH 部の研究タイトルは黒の長四角で白抜き表示にしてあります 掲載内容は以下の通りです SSH プログラム活動報告》p21. 8th International Student Science Fair 20124 29 日~5 6 日) 2. Waseda-NJC Exchange Programme20127 20 日~26 日) 3. 8th International Intelligent Ironman Creativity Contest2012(7 27 日~8 3 ) 4. 小笠原研修 オガサワラグワの研究 4.5 小笠原研修 研修概要(8 26 日~8 31 日) 5. 1st ASIA PACIFIC CONFERENCE OF YOUNG SCIENTISTS(APCYS)9 1 日~9 8 日) 6. NJC-Waseda Exchange Programme(11 3 日~11 9 ) 7. Japan Super Science Fair 2011 11 9 日~13 日) 8. 海洋研究開発機構研修(12 月日~日) 9. マイクロ水力発電所(神流川沿岸発電所)見学(1 30 日) SSH 部活動報告》p15 1. 水力発電班 2. きのこ研究班(NJC との共同研究含む) 3. 宇宙エレベータ研究班(実験・活動・共同研究報告) 4. レゴブロックによる宇宙エレベータの模型作り班 5. 窒素レーザー班 2012 年度(平成 24 年度) 早稲田大学本庄高等学院 SSH (スーパーサイエンスクラブ) 活動報告レポート 10

SSH プログラム活動報告》p2 · - 1 - 四角で 《目次》 ① はじめに ② sshプログラム活動報告 ③ ssh部活動報告 ①はじめに このレポートは、2012年度(平成24

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Page 1: SSH プログラム活動報告》p2 · - 1 - 四角で 《目次》 ① はじめに ② sshプログラム活動報告 ③ ssh部活動報告 ①はじめに このレポートは、2012年度(平成24

- 1 -

《目次》

① はじめに

② SSH プログラム活動報告

③ SSH 部活動報告

①はじめに

このレポートは、2012 年度(平成 24 年度)の SSH プログラム(学校単位のプログラム)と SSH 部の活動内

容について新聞形式でまとめたものです。 ❏SSH プログラムのタイトルは この四角で囲まれています ❏SSH プログラムの日程はオレンジの 四角で囲まれています ❏SSH 部の研究タイトルは黒の長四角で白抜き表示にしてあります 掲載内容は以下の通りです

《SSH プログラム活動報告》p2~

1. 8th International Student Science Fair 2012(4 月 29 日~5 月 6 日) 2. Waseda-NJC Exchange Programme2012(7 月 20 日~26 日) 3. 8th International Intelligent Ironman Creativity Contest2012(7 月 27 日~8 月 3 日) 4. 小笠原研修 オガサワラグワの研究 4.5 小笠原研修 研修概要(8 月 26 日~8 月 31 日) 5. 1st ASIA PACIFIC CONFERENCE OF YOUNG SCIENTISTS(APCYS)(9 月 1 日~9 月 8 日) 6. NJC-Waseda Exchange Programme(11 月 3 日~11 月 9 日) 7. Japan Super Science Fair 2011 (11 月 9 日~13 日) 8. 海洋研究開発機構研修(12 月日~日) 9. マイクロ水力発電所(神流川沿岸発電所)見学(1 月 30 日)

《SSH 部活動報告》p15 ~

1. 水力発電班 2. きのこ研究班(NJC との共同研究含む) 3. 宇宙エレベータ研究班(実験・活動・共同研究報告) 4. レゴブロックによる宇宙エレベータの模型作り班 5. 窒素レーザー班

2012 年度(平成 24 年度) 早稲田大学本庄高等学院

SSH 部(スーパーサイエンスクラブ) 活動報告レポート

第 10 号

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- 2 -

私たち、3

年長谷川加奈子、今澤怜那、2

年筒井

音羽は、カナダのマニトバ州で2012

年4

月29

から5

月4

日まで行われた第八回International

Student Science Fair 2012に参加しました。

まず私たちは成田空港を出て、大学に迎えられ、

マニトバ大学の敷地内へとリムジンで案内されて

行きました。部屋からはウィニペグが見渡せ絶景で

した。夜が明け、サイエンスフェアは始まりを迎え

ました。バディたちに出会い、自己紹介などを行っ

た後、開会式が行われました。参加者全員が大学の

部屋に集められ、代表生徒や代表の先生方による挨

拶が行われました。その後、各学

校の研究発表の時間となりました。

発表内容の科目によって会場が分

けられており、私たちは異形葉性

について発表したため、生物学の

グループとなりました。夕食後、

生徒による動画、ビデオアクティ

ビティというものが行われました。

内容は全くサイエンスフェアに関

係のない、ゾンビの真似や奇声をあげたり、踊った

りなどをしている我々生徒の姿を撮影したものと

なりました。やっている間はなにをしているのか理

解できませんでしたが、後にそれが映像部によって

編集され完全なる動画となって閉

会式で公開されたのでした。

二日目は、大学でワークショップ

が行われました。ワークショップ

は6つあり、グループ分けは事前

にされており、同じグループで四

日目も行動しました。これは一日

中行われ、その後Fort R

ichmond

Collegiate

の体育館に行き、三日目のポスターセッ

ションの準備を行いました。その後、文化紹介でパ

フォーマンスが行われました。私たちは浴衣を着て、

風呂敷の折り方をステージで見せながら他の生徒

にも作ってもらうという参加型にして行いました。

他の学校は踊りや歌などを披露してくれました。

三日目は、各学校の研究発表第二弾が行われたの

ち、Fort Richm

ond Collegiate

でプレゼンテーショ

ンやポスターセッションが行われました。その後、

Fort Richm

ond Collegiate

による歌の披露などが

行われました。

四日目は事前に分けられたグループでそれぞれに

ついて詳しく学べるよう場所を移動しました。グル

ープは天候変化に関する研究のグループ、きれいな

水に関する研究のグループ、ゲノムによる健康向上

に関する研究、世界の食糧問題に関する研究、そし

て社会のための科学の6つのグループにわけられ

ました。詳しく学んだあと、ポーロパークでショッ

ピングをし、一日が終わりました。

五日目は前日のグループで学んだことをまとめポ

スターを作り、他のグループへプレゼンテーション

行い、閉会式となりました。そこで第二回文化紹介

が行われ、一日目に撮影したビデオが流され、五日

間のサイエンスフェアは幕を閉じました。

【三年

今澤怜那】

8th International Student Science Fair

私たち、3年長谷川加奈子、今澤怜那、2年筒井

音羽は、カナダのマニトバ州で2012

年4月二九日

から5月4日まで行われた第8回

International Student Science Fair 2012

に参加しました。

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- 3 -

1日目ハブ空港で有名なチャンギ空港に到着。空港

を出ると、じめっとした独特の気候に驚く。バスに

乗り込み、N J

C

のドミトリーに到着後、食堂で用意

されていたお弁当と、りんごをまるごと一個食べる。

ミーティングで会期中のスケジュールを確認し、就

寝。

二日目

朝、ロビーでバディと面会。

お互い緊張しつつも、移動中のバスでは一緒に歌

を歌ったり、変顔で写真を撮ったり、(

実用的な)

本語を教えたりして、あっという間に打ち解ける。

シンガポール動物園では、ホワイトタイガーやア

フリカゾウなど、多種多様な動物を間近で見学。一

般は立ち入り禁止の研究室では、可愛らしい研究者

の方が勢いよくタランチュラのケージを床に落と

し、全員で絶叫。その後、全員で爆笑。

夜はシンガポール名物、チキンライスの有名なレ

ストランでWe

lcome Di

nner

。生徒はバディとホスト

ファミリー宅へ。

三日目

Botanic Gardens

にて

NJC

Rainforest

のツアーを行う。熱帯

雨林特有の樹木に生命の美しさを

感じる。

お昼は植物園の中心にある

Palm

Valley

でピクニック。フリスビー

で汗を流し、無料で配給されてい

たアクエリアスで乾いた喉を潤す。

国立ラン園を見学後、バスでベイ

エリアへ。不思議なデザインの建

Singapore Art Science Museum

にてハリーポッター展を見学。バ

ディと撮った合成写真を購入する。

今年の六月にできた

Gardens by

the Bay

へ徒歩で移動し、日本人の

生徒だけでF

lower Dome

へ。隣のC

loud Forest

入る前に、皆でアイスクリームを買って食べて少し

休憩。C

loud Forest

は高くて大き

な滝が印象的である。どこかジブ

リに登場する空に浮くお城に似て

いる気も…。

夜、生徒たちはホスト家庭での

BBQ

パーティー。たくさん歩いたた

めか、皆、黙々と肉をほおばる。

その後各ホストファミリー宅へ。

四日目バディと一緒に登校。指紋認証で出席確認が

されるシステムに驚きを隠せない。

Morning Assembly

で校長から

紹介を受ける。堂々とした早本生

代表の挨拶に、全校生徒の拍手喝

采となぜか笑いが起こる。

バディによる学校案内後、プレ

ゼンテーションで両校を紹介し

合う。早本生はアドリブで紺碧の

空を熱唱。日本文化の紹介として、

茶道のお手前を披露し、NJ

C

の生

徒は少し渋い表情でお抹茶を嗜

んだように見られる。

日本のフードコートのような

食堂で各自バディのおすすめを

尋ねながら、昼食を購入。中でも

タピオカは甘くてとても美味し

い。 午

後はΣラボでN

JC

の生徒による研究発表。若干

一名、睡魔と戦う早本生も…。この後、共同研究を

進めるためのディスカッションを「物理」「環境」「菌

類の抗菌作用」の三班に分かれて

行う。どの班も電子辞書とジェス

チャーを駆使する早本生の姿が

見られる。

その後、生物の授業に参加して

豚の目玉を解剖したり、バスケの

対抗戦をしたりした。夜はドミト

リーの屋上で月のクレーターを

観察し、某タレントのポーズで記

Singapore National Junior

College

Waseda-NJC

ExchangeProgramme

が今回も七月二〇日

Singapore National Junior

College

Waseda-NJC

ExchangeProgramme

が今回も七月二〇日~二六

日の六泊七日で開催されました!

Waseda-N

JCExchangeProgram

me

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- 4 -

念撮影もした。

五日目各自ホストファミリーに別れを告げ、ドミ

トリーに荷物を預けてN

JC

へ。

午前中はΣラボで共同研究に関するミーティン

グの続き。全て英語でのディスカッションは想像以

上にハードだ。しかし、この経験はとても刺激的で

「もっと英語を使いこなしたい」という気持ちが湧

く。 午

後は化学の中和滴定の授業に参加。その後、荷

物をまとめてドミトリーを出発。ホテルチェックイ

ンが済むと、バディとチャイナタウンで一緒に夕食

とショッピングを楽しむ。

六日目日本の科学未来館に似た

Science Centre

で体験学習。バディたちの科学に対する興味と関心

を持つ様子が印象的。

バスでN

JC

に戻り、食堂での最後の昼食。早本生

と食堂のおばさんの言葉のキャッチ。その後、共同

研究の最終ミーティングと、今後の方向性を三班ご

とにプレゼンを行った後、お世話になったN

JC

を発

ち、ホテルに戻る。

夜はイタリア料理店で

Farewell Party

。早本生

(

女子)

は浴衣、バディはドレスで登場。そこに言葉

の壁は無く、ひたすら会話で盛り上がりを見せる。

ショッピングモールで買い物をした後、お互いに記

念品を交換し合い、最後の最後まで涙で別れを惜し

む。 最

終日ホテルチェックアウトを済ませ、空港に向

かうバス内で朝食を取る。

空港に到着。期間中ずっとお世話になったN

JC

Lee

先生とここでお別れ。

シンガポールに別れを告げて六時間後、全員で無

事日本に帰国。成田空港で解散。

【二年

秋場美穂】

以上が今年度のシンガポール研修の報告です。こ

の研修を通じて、「国際交流で一番大事なのは、相

手に伝えたい、相手を理解したいと思う気持ち」

であると実感しました。

最後に、お世話になったNJCの生徒の皆さん・教

員の皆様・ホストファミリーの皆様へ心から感謝

申し上げます。

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Ironman C

reativity Contest

とは?

アイアンマンコンテストは7/30

~8/2

の3日間・

72

時間続けて行われます。全30

チーム(国際は5

チーム)

が、タスクに取り組みながらバーチャルマ

ネーを集め、最終ミッションに臨みます。

日本チーム初の入賞をめざし、意気込んで参加し

ましたが、残念ながら今年も入賞することは出来ま

せんでした。他国と交流する中で日本チームに足り

ない積極性や応用力の無さ、参加した1人1人が自

分たちに足りない世界との差を体感しました。と同

時に一回り成長も自覚しました。

この経験と反省を生かし、ぜひ来年は入賞したい

と思います。

【二年

前田伽南】

左上写真・開会セレモニー練習にて。Why Do Fools Fall In Love? を 6 人全員で歌いました。

結果は全チーム中 3 位!優勝は韓国。 右上写真・初日の台湾観光にて、夜ご飯を食べた

鼎泰豊というお店のキャラクターと一緒に。 下の写真・閉会セレモニーにて参加者集合写真

―日程―

7/27

出国、台湾観光(

足つぼ、夜市)

7/28

台湾観光(

旧中正紀念館、台北101)

7/29

国際チーム交流、オープニングセレモニー

7/30 am8:00

コンテスト開始

~8/2 72hours non-stop contest 8/3

台湾市内観光、帰国

8th Intelligent Ironm

an

Creativity C

ontest 2012

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二〇一二年八月二十六日、東京都竹芝桟橋から出

航した小笠原丸から、二〇一二年度小笠原研修が始

まった。

小笠原諸島とは、日本列島の南に位置し、父島・

母島・姉島・弟島・兄島などからなる三十余りの島々

のことである。一度も大陸と陸続きになっていない

海洋島であるため、学術的価値が高く、二〇一一年

度には世界遺産に登録された。本校は、小笠原固有

種であるオガサワラグワの遺伝子汚染について数

年前から年一回調査を行っている。

本年度の夏の小笠原研修では、近年、調査の対象

としていた桑の樹山地区を離れ、新しく石門地区で

の調査を行った。調査の目的は、外来種シマグワと

の交雑が懸念されている固有種オガサワラグワの

実地調査である。具体的には、オガサワラグワの胸

高直径・G

PS

を使った位置の特定などからオガサ

ワラグワの生態調査を行った。

私、長谷川加奈は卒業研究で桑を扱う関係で、今

回、三回目の小笠原研修に参加させていただいたが、

小笠原の桑に関する環境は素晴しいものであった。

この研究は二〇一一年度の服部の卒業研究を引き

継いだものであるが、その研究のきっかけも、この

小笠原研修のオガサワラグワの遺伝子汚染にあっ

た。固有種オガサワラグワ・シマグワとオガサワラ

グワの雑種の外見的な違いを調べた時、葉に大きな

違いが見られたことである。具体的には、シマグワ

には本州と同じように葉にいくつかの切れ込みが

入ることが多いが、島固有種のオガサワラグワには

全く切れ込みが入らない。また、雑種には、シマグ

ワよりは少ない枚数ではあるが、切れ込みが入るも

のもあった(図参照)。

これらことから、桑の葉には切れ込みが入るもの

と入らないものがあるということ、また、それは種

類によって、つまり遺伝子的な相違によって生じる

のではないかという予想をたてた。そして、服部の

卒業研究では、桑の葉の切れ込みには一定のパター

ンがあることを証明した。これを引き継ぎ、私の研

究では桑の葉の切れ込みのパターンの更なる解明

を目標とした。

小笠原では、きっかけとなったオガサワラグワ・

その雑種の実地調査で切れ込みに注目すると共に、

島全体に分布しているシマグワについて切れ込み

の数のデータを取った。本州では様々な桑が生えて

いるため、遺伝子が入り混じっていると考えらえる。

これに対し、小笠原にシマグワが入ってきたのは数

回であり、その中でしか交雑していないと考えると、

本州よりは遺伝子の入り混じりが少なく、よりパタ

ーンが見えやすいのではないかと考えたのだ。この

ため、データをとるのには非常に適した環境であっ

た。様々なプログラムの合間に、後輩や先生の協力

を仰ぎながら桑の葉のデータをとった。本来のプロ

グラムで疲れている中、嫌な顔一つせずに手伝って

もらったことや、疲れている時・慣れない厳しい日

差しの中桑のデータをとった時にかけてもらった

声援は私にとってかけがえのないものであった。こ

の場を借りてもう一度お礼を言いたいと思う。

【三年

長谷川加奈】

オガサワラグワ・

シマグワ

雑種

小笠原研修

―オガサワラグワの研究―

二〇一二年八月二十六日、東京都竹芝桟橋から出

航した小笠原丸から、二〇一二年度小笠原研修が始

まった。

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- 7 -

私たちは、SSHプログラムの一環として、八月

二十六日~八月三十一日にかけての六日間、小笠原

諸島へ行った。

小笠原諸島は、東京から船で約二十五時間かかる

場所にある。また、海洋島なので、今まで一度も陸

続きになったことがないため、固有種が多く存在し

ている。そんな小笠原諸島の中で、今回、私たちは

主に父島と母島で研修をした。

丸一日かけてやっと母島に着いた二日目の午後、

母島公民館で「ちびっこサイエンス教室」を開いた。

そこで、子供たちに簡単な風力発電機の作り方を教

え、地域の方々と交流をした。

三日目には、今回

の研修のメイン

である石門地区

での植物の調査

を行った。石門地

区は、本来許可が

ないと入れない

地域なので、人間

の手が加わっておらず、自然のままの姿を見ること

ができる。しかし、道らしい道はなく、足場が悪い

ところもあり、そのうえ行動する範囲も広かったた

め、調査はとても大変であった。だがその分、マル

ハチ(

左上図)

やオガサワラグワなど、本州では見ら

れないような植物を数多く見ることができた。特に

オガサワラグワは環境庁のレッドデータブックに

リストアップされているほど貴重な植物で、かけが

えのない経験となった。

そして四日目。母島での生活の最終日、私たちは

海洋生物とサンゴの白化を観察するために、シュノ

ーケリングを行っ

た。シュノーケリン

グを行う場所(左

図)に向かう途中に

イルカを見られる

スポットがある。

例年ならば、そこで

イルカが見られる

のだが、台風が近づ

いていた影響もあ

り、残念ながら見ら

れなかった。また、

シュノーケリング

も波が少し高かったので、深く潜ることはできなか

った。しかし、遠くからでも色とりどりの魚や白化

したサンゴを見ることができた。美しい景色を十分

に堪能した後、私たちは母島をあとにして、父島へ

と向かった。

小笠原諸島で最後の日となった五日目、私たちは最

後の調査として南島(左図)へと向かった。南島は

無人島で、ウミガメの産卵地になっている。実際、

私たちは自然の中で必死に生きているウミガメの

子供を見た。残念ながら長い間はいられなかったが、

鮮やかな自然を全身で感じることができた。

その後、父島に戻り、小笠原諸島を後にした。

今回の小笠原研修は、私にとって他ではできないよ

うな経験を与えてくれた。今はめったに見られない、

人間の手がほとんど加わっていない自然に触れる

ことができ、また、今までしたことのないシュノー

ケリングもできた。小笠原にしか存在しない自然の

中で得たものは、非常に大きかったと思う。今回の

ような他ではできない経験を求めて、これからも新

しいことに挑戦していきたいと思う。

【一年

伊藤颯一郎】

小笠原研修

私たちは、SSHプログラムの一環として、八月二

十六日~八月三十一日にかけての六日間、小笠原諸

島へ行った。

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- 8 -

2012

年9月2

日~9

月7

日にかけてA

sia Pacific C

onference of Young Scientists 2012

が行

われた。これは環太平洋の13

の国と地域の高校生

がインドネシア・ボルネオ島を舞台、科学をテーマ

にした国際交流プログラムである。

9月1日

現地への直接便がないため前日から

の移動。生徒三名と引率の先生計四名での参加とな

る。無事に経由地であるジャカルタに到着。

空港のホテルに到着後夕食。そこで我々はインド

ネシアの歓迎と洗礼を受けた。まずはなんといって

も物価の安さ。そして食べ物が辛い。また両替の際

に一万円分少なく渡されるハプニング。しかし胸は

明日からの日々が待ち遠しく高鳴っていた。

9月2日

ついに現地へ移

動の日。早朝4

時に起床。現

地時間が日本より2

時間遅い

ため日本時間6

時だが、すで

に疲労困憊の状態でいざ現地

カリマンタンへ。

現地到着するとバディのSidy

さんと合流。そのままバスに

乗り込み会場となるホテルへ。

会場のホテルは周りの風景と異なりすごくきれい

で異彩を放っていた。

翌日のプレゼンを前にこの日はポスターセッシ

ョンがあり緊張しながらも初めて英語での説明を

体験した。

Welcom

e

パーティーでは初めての英語での自己

紹介、会話に戸惑いつつも徐々に友達もできていっ

た。そして私たちはある事実に気が付く。なんと日

本からの参加は早稲田大学本庄高等学院だけだっ

たのだ。この日は翌日のプレゼンに備え練習をして

すぐに就寝。

9月3日

ついにプレゼ

ン本番。私たちのテーマは

「Space Elevator

」宇宙エレ

ベータである。三人とも初の

海外交流。特にそのうち二人

はプレゼン自体が初めてと

不安は大きかったが何とか

やり遂げた。しかし一つ悔い

が残るのが、質疑応答である。

次回以降の課題となるであ

ろう。

ほかの参加者たちの発表も参考になるものが多

く面白かった。

この日の夜にはパランカラヤ(現地)の民族舞踊体

験が行われた。マナサイと呼ばれるものでステップ

も簡単ですぐに踊ることができた。

9月4日

プレゼン二日目。私たちはもうすでに

終わっているためほかの発表を見るつもりだった

がバディーの発案で観光に行くことに。パランカラ

ヤ流タクシーで向かう。インドネシアでも日本の漫

画やアニメは人気でタクシーにもナルトのポスタ

ーを発見。

物価は相変わらずの安さ。三人でお揃いのTシャ

ツを買うなど満喫。また水道水が飲めないため、日

本円で50

円ほどのポカリと10

円ほどの水を購入。

また、折り紙で鶴を教えたところ人気だった。今後

の海外交流の際も試してみようと思う。

ホテルに戻ると今度はプールで

水球をやるとの噂。すぐに水着に

着替え、プールに向かう。今まで

全く話さなかった人たちとも会話

ができ楽しむことができた。

またこの日の夜には国別の出し

物があり私たち日本チームは「

人羽織」

を披露。他の国の人にも体

験してもらい好評だった。伯母からもらってきた着

物もプレゼントしこれもまた好評だった。

9月5日

ついに全チームプレゼンを終えこの

日はツアー。科学のクイズに答えながら観光をする

というもの。一つ一つ説明すると長くなってしまう

のでいくつかピックアップすると、与えられた材料

を用いて汚い水を浄化したり、卵を落としても割れ

ないようにパラシュートを作ったりというもので

ある。

なおそれぞれに得点がありチーム別対抗となっ

ていた。成績はというと日本人三人はバラバラのチ

2012

年9

月2日~9

月7

日にかけてA

sia Pacific C

onference of Young Scientists 2012

が行われた。

これは環太平洋の13の国と地域の高校生がインド

ネシア・ボルネオ島を舞台、科学をテーマにした国

際交流プログラムである

1StAsia Pacific Conference

Of

Young Scientists

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- 9 -

ームで内二つのチームが一

位、二位となった。他の国

の人たちとも積極的な交流

ができ、大満足な一日にな

った。恐らく私はこの一日

を一生忘れることはないだ

ろう。

9月6日

数学と科学

に関する講義があった。し

かしそんな堅苦しいもので

はなく、それらがどれだけ楽しいものかという講義

だった。

講義の合間には友達同士で相手の名前を自分た

ちの国の言語で書いてプレゼントしていた。私たち

日本人は相手の名前をひらがな、カタカナ、当て字

の漢字で書いた。これが予想以上に好評だった。

楽しい時間が過ぎるのは

アッという間で明日はここ

を発たなければならない。表

彰式では特別賞をいただい

た。金賞を狙っていたので少

し悔しくはあるがよい経験

になった。夜遅くまで写真を

撮ったり、たまたま持って行

っていた画像を使って学校

の話をしたりいた。

9月7日

ついに最後の

日。朝早くの便でジャカルタに。日本へ向かう便が

深夜だったのでジャカルタ観光へ。独立記念博物館

などを訪れた。

観光を終えジャカルタ空港に戻るも時間はまだ

まだある。そんな折一通のメールが。「なんで最後

のパーティーに来なかったの?」なんとジャカルタ

でパーティーが模様されていたのだ。本来はバディ

ーから連絡があるのだが私たちにはそれがなかっ

た。最後の最後にインドネシアらしさが残った。来

年はジョグジャカルタ開催とのこと。

そして深夜の便で翌9月8日無事帰国。

【二年

黒澤

佑太郎】

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- 10 -

Waseda-NJC

Exchange

Programme

NJC-Waseda

とは対象に

NJC

の生徒を日本に招き、

ホームステイや日本観光をする交流プログラムで、

11

月3

日~9

日)に開催された。

私がNJCとの交流で一番印象に残っているの

は東京観光だ。グループに分かれてそれぞれ行先を

決め、その日は自由にいろいろなところに行った。

最初は彼女たちが楽しんでくれるか心配で、日本人

生徒だけであれこれとコースを考えたりもして、決

まったコースは上野、原宿だった。に上野へ着いて、

おいしいものを食べたりお土産を買ったりした。彼

女たちは駄菓子屋さんや日本ならではのスナック

菓子に興味を持っていて、私たちが普段当たり前に

食べているお菓子も日本の文化の一つなのだと思

った。

お店を回って過ごしているとあっという間に時

間がたち、私たちは

原宿へと移動した。

原宿は私たちくらい

の年代にはもってこ

いの場所である。や

はりここでも買い物

をした。おすすめの

お店、服のお店など

を回りながら彼女た

ちとの距離が少しず

つ縮まっていくよう

なそんな気がした。

最後にクレープを食

べて私たちは原宿を

後にし、オリンピックセンターがある参宮橋へと向

かった。

最初は少し緊張していた私も、彼女たちと過ごす

日を重ねるにつれてどんどん仲良くなれているよ

うに思った。東京観光をして思ったのは、住んでい

る国、話す言葉が違っても、同じ年代の同じ女の子

であること。言葉の壁はあっても、分かりあいたい

という気持ちを持てば、仲良くなれるということだ。

自分から積極的に話すことも大事だ。失敗すること

を考えずにとりあえず言いたいことを伝えてみよ

うとすること。最初はうまくいかなくても、自然と、

またゆっくりと同じ話題で話し、笑えるようになる。

そう感じた。

そのうち流行っているものの話や恋の話をする

こともできるようになった。アクティビティーをし

たり、いろいろな場所に行けて短い間だったがとて

も充実して楽しかったと思う。機会があれば、ぜひ

また彼女たちに会いたい。

【二年

榎本万理枝】

NJC

-Waseda

ExchangeProgramm

e

NJC-Waseda Ex

change Pr

ogramm

は夏のWa

seda-NJC

Exchange Programme

とは対象にN

JC

の生徒を日本に

招き、ホームステイや日本観光をする交流プログラ

ムで(1

1

月3

日~9

日)に開催された。

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- 11 -

2012

年11

月10日~14

日にかけて立命館高校主

催のJapan Super Science Fair(

以下JSSF

と略)

開催された。JSSF

は、ISSFと並び世界で最も大

きな規模の国際高校生学会だ。今年度は

RSSF (R

itsumeikan Super Science Fair)

ら数えて10

回目の開催となり、19か

国(海外29

校国内11

校)から生徒120

名が参加した。本学院からは1

年の坂

本玲・古谷真菜美、2

年の藤井すみれ・

萬羽里映の四名が参加した。

⒒月9日

授業終了後すぐに電車に乗り、開催地の立命館大

学びわこ・草津キャンパスへ向かう。私たちが到着

したときには、すでにほとんどの参加者が到着して

いて、国際色豊かになっていた。

⒒月⒑日

バディと合流し、オープニングセレモニーが行わ

れた。オープニングビデオは私と同じ高校生が作っ

たものとは思えないほどクオリティが高く、驚いた。

午後には、建築家の鳴川肇氏によるスペシャルレ

クチャー「W

orld without E

nd

」があった。難しい

科学の知識がなくても楽しめる、わかりやすい基調

講演だった。

その後、サイエンスゾーンをした。これは六つの

ゾーンに分かれ、それぞれで与えられた課題に、一

グループ4人ほどで取り組む企画だ。例えば

Construction Zone

ではスパゲティを用いて強度の

高い橋を作る、Robot Zone

ではプログ

ラミングで制御して既定のコースを走

る蛇ロボットを作る、という課題が出

された。それぞれのグループが国を混

合したメンバーとなっているため、外

国の生徒ともたくさんの交流ができた。

⒒月⒒日

この日は、JSSF

のメインイベント

であるプレゼンがあった。まず、藤井と萬羽による

Creating M

icro Hydroelectric

Generation and

Studying Its Practicability

。私たちは、立命館高校

のコアSSH

プログラム「世界に通用する英語プレ

ゼンテーション養成プロジェクト」に参加していて、

このプログラムの最終目標の場がJSSF

となってい

た。そのため、四月から都内で三度の講習や滋賀で

の韓国K

SA

との合同合宿、台湾研修などの準備を

してきた。私たちは、複数によるプレゼンでよく見

られる「スライドごとの役割分担」方式を用いず、

漫才のような「掛け合い」というオリジナルなプレ

ゼンスタイルに挑戦した。一人が聴衆の立場になり

聴衆の聞きたい内容をもう一人に問いかけ、問いか

けられた方が答えていく、というやり方だ。多くの

聴衆がいる前でプレゼンするためとても緊張した

が、何度も練習したおかげで上手くいった。プレゼ

ンが終了したときには会場から歓声が上がり、コメ

ンテーターの先生方からもお褒めの言葉をいただ

くことができ、大きな達成感を味わうことができた。

また、ポスターセッションでは、持参した手作りの

発電装置に多くの人が興味を示してくれたので嬉

しかった。坂本と古谷はN

JC

のDeborah

と共同研

究プレゼンをした。三人で一緒に準備する期間が短

く、プレゼンの練習も前日の夜だけだったが、落ち

着いていて、立派な発表だった。

⒒月⒓日

B

rushbot Olym

pic

が行われた。Brushbot

とは歯

ブラシに取り付けた小型モーターの振動で動作す

る単純なロボットのことだ。ボーリング部門と短距

離走部門の二つがあり、坂本がボーリング部門、萬

羽がスピード部門の日本代表になった。日本はスピ

ード部門で3

位をとり、会場がとても盛り上がった。

その後、文化交流をし、日本にはない外国の文化

の素晴らしさを楽しく学んだ。

⒒月⒔日

企業見学をした。坂本と古谷は

月桂冠へ、藤井と萬羽は村田製作

所へ行った。普通では見ることの

できない場所へ行くこともでき、

興味深い体験ができた。

私は、JSSF

への参加という貴重

な経験をすることができ、本当に

良かった。プレゼンのスキルアップができただけで

はなく、英語で外国人と交流をすることもできた。

Japan Super Science Fair

2012

【二年

萬羽里映】

2012

年⒒月⒑日~⒕日にかけて立命館高校主催

のJapan Super Science Fair(

以下JSSF

と略)

開催された。JSSF

は、ISSFと並び世界で最も大

きな規模の国際高校生学会だ。今年度はR

SSF (R

itsumeikan Super Science Fair)

から数えて10

回目の開催となり、⒚か国(海外

29

校国内11

校)から生徒120

が参加した。本学院からは1年の

坂本玲・古谷真菜美、2年の藤井

すみれ・萬羽里映の四名が参加した。

Japan Super Science Fair

2012

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- 12 -

平成二十四年十一月十日(土)~十一日(日)に

かけて、「独立行政法人科学技術振興機構」が主催

するサイエンスアゴラが開催された。

このレポートでは、私が出席した「レゴブロック

による宇宙エレベーターデザイン&実験教室」を中

心に述べる。

1、サイエンスアゴラ2012

の概要

サイエンスアゴラとは、一年に一度、東京の

台場地区で開催されている、科学の交流イベン

トである。全国各地からブースを出展する団体

を募り、当日会場に来た一般の人と交流する。

入場出場自由で、イベント期間中は科学に関係

した、バラエティ豊かなイベントが催される。

今回も、全国から二百以上の団体が集まった。

2、「レゴブロックによる宇宙エレベーターデザイ

ン&実験教室」の内容

この展示は、日本大学理工学部と日本宇

宙エレベーター協会が用意されたものであ

る。まず、日本大学の青木教授から宇宙エ

レベーターに関するプレゼンテーションを

聞く。このプレゼンテーションでは、宇宙

エレベーターの模型を組み立てるうえでの

コツなどが説明された。

プレゼンテーションが

終わると、あらかじめ用意さ

れたレゴブロックを借りて、

約四十~五十分かけて宇宙

エレベーターの模型をつく

る。 そ

の後、会場に設置された約5メートルのベルト

に取り付けて試走させる。

(写真は学院で製作した模型です。)

3、大学生との交流

日本大学の学生が、宇宙エレベーターの模型

をつくるコツ、さらに模型の速さを競うクライ

マーレースのルールも、丁寧に教えてくださっ

た。

4、参加した感想

最初のプレゼンテーションの中で、自身で模

型をつくる時の参考になるものがあった。

えば、私が考え付かなかったようなタイヤの組

み合わせ方を教えていただいたり、宇宙エレベ

ーターそのものに関する興味深い話を拝聴し

たりした。また、このプレゼンテーションから

得た新しい知識を、私たちが作った模型に応用

させたくなった。

そのプレゼンテーションの後には約5メー

トルという、左図のような普段実験できない長

さのベルトを使って実験できた。大学生が作っ

た模型と比べると、模型の機構は違うが、私た

ちが作った模型の遅さを実感した。

だが、まだまだ私たちは早いものも作れるとも

思った。

研究当初は、「レゴブロックは子供の玩具だ」

と思っていた。だが、このイベントに参加して、

レゴブロックに対する私の見方が変わった。私

にとって「サイエンスアゴラ」とは、小さい物

事から可能性を見出し、それを共有するための

イベントだと思う。皆さんも、今年のサイエン

スアゴラに遊びに行き、自分が知り得なかった

小さな可能性を探してみてはどうだろうか。

今年のサイエンスアゴラは十一月九日(土)

~十日(日)に、東京・お台場地域で開催され

る予定だ。

【1年

山田隼汰】

サイエンスアゴラ

平成二十四年十一月十日(土)~十一日(日)にか

けて、「独立行政法人科学技術振興機構」が主催する

サイエンスアゴラが開催された。

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- 13 -

〈日時・場所>

・二〇一二年一二月一七日~一八日

・神奈川県横須賀市夏島町

<

日程>

一日目

・午前九時頃学校出発、午後一時

到着

・パイロット歴十八年の鈴木さんに深海6

500

の世界や潜水艦の歴史についてのお話を

伺う。

・施設見学

・ブタメンのカップに圧力をかける実験

二日目

・潜水と人間(講義)

・高圧環境体験(四気圧の体験実習)

・体験ダイビング(空気ボンベを背負って水

深三メートルのプール実習)

<

深海6500mの世界>

水深6500mの水圧は約650㎏/

㎠(気圧)

だそうで、そんな中で生きている深海魚たちはすご

いと思いました。

*深海魚の名前と特徴

深海魚の寿命は短くても

30

~40

年。体のほとん

どの成分が脂で、それで生きていられる。深海魚の

和名はジャムステックの研究者たちがつけている

ことが多く、学名ではジャムステッキと名のつく魚

もいるらしい。アンコウはオスのほうが小さく、退

化してメスと同化してしまうことが多い。タカアシ

ガニは日本の固有種に近く、世界一大きいカニでも

ある。熱水噴出孔(チムニー)のそばにいる生物の

一つチューブワームは、食べることも排泄もしない

ことから、地球が誕生した時の生き物ではないかと

いわれている。

<

高圧環境体験>

四気圧の世界を体験しました。気圧は少しずつか

けていくのですが、耳抜き(つばを飲み込む、鼻を

つまんで鼻で息を吐く、など)をしないと圧力のせ

いで耳が痛くなり、鼓膜がやぶれてしまう人もいる

と聞いて、少し恐怖を感じましたが、楽しく貴重な

体験をすることができ、本当によかったです。気圧

が高くなるにつれて男子も女子も次第に声質が同

じようになって、終いには顔を見ないと誰が話して

いるのか分からない状況にまでなりました。また、

硬式テニスボールがいとも簡単につぶれるのでび

っくりしました。うちわを持って入ったのですが、

空気が重くて、あまり扇げませんでした。また、気

圧を下げる前に風船を膨らましておくと、気圧を下

げている途中に破裂しました。

気圧の上下を自ら体験することで、暗記しなくて

も、体で体験する方が印象に残るのだなと思いまし

た。

<

ダイビングの体験>

・人生初のダイビングで、慣れないと初めは鼻呼吸

ができないと聞いて不安でした。ダイビングに使用

したのは、「マスク・スノーケル・フィン」の三点

セット。空気ボンベなしで潜った方が、ボンベがあ

るときよりも耳抜きがしにくく、ダイビングの難し

さを知りました。

・水深1

.5m

まで潜る練習だけでなく、水深3m

プー

ルでもダイビング練習をさせて頂きました。1

.5m

と3

mではかかる圧力が違うので耳抜きが大変でし

た。空気中では空気ボンベがすごく重かったけれど、

水中では軽く感じ、水の浮力を身をもって体感しま

した。プールの底を這うようにして進むのがとても

楽しかったです。

【二年

清水理穂】

日本海洋研究開発機構

(JAMSTEC)

研修

〈日時・場所>

・二〇一二年一二月一七日~一八日

・神奈川県横須賀市夏島町

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- 14 -

2013

年1

月30

日に行われた、神流川沿岸発電所

の見学に参加した。当日は関東農政局神流川沿岸農

業水利事業所の方に来ていただき、施設の見学や、

発電所の運用の特徴などをお話しいただいた。

神流川沿岸発電所は、本庄市の隣、埼玉県上里町

にある。当日は到着してすぐに解説が始まった。ま

ず発電所の概要についての説明があり、発電所が土

地改良施設の維持管理費の軽減を目的に造られた

ことや、年間522

千kwh

(一般家庭約160

世帯の

一年間の消費電力に相当)の電力を発電しているこ

との説明を受けた。さらに、この施設は従属発電と

いう方式を採用しており、農業用水から用水の権利

の範囲内で取水することで、新たに水利権を取得す

る必要がないという説明もあった。

次に実際に建屋に入り、発電機等を見学した。建

屋に入った一番の印象は、とにかく機械から発せら

れる音が大きいということだった。実際に発電機本

体に近づくと話がほとんど聞こえないくらい音が

大きくなったが、それでも水力発電施設としてはか

なり小さい音であるということだった。実際の発電

機はカタツムリ型の水車など、想像していた形と少

し違った。当然中を開けてみることはできないが、

パネルなどで内部構造や水の流れなどを解説して

いただいたので、構造は理解しやすかった。ところ

で、水力発電と一言で言っても、水車の形はいくつ

か種類があり、この発電所の発電機はフランシス水

車を採用している。他にも有効落差と使用水量の違

いで数種類の水車があるが、この発電所では水を農

業で使用することや、経済性からフランシス水車に

している。さらに、電力の買い取り値段が固定され

ていることから試算し、発電原価が最小になる水車

一台・最大使用水量0.9m

3/s

になるように規模決定

したとのお話もあった。

最後に、発電と将来についてのお話があった。例

えば、現在農家は農業用ハウスを使用するために年

間約1000

万リットルの重油を使用しているが、再

生可能エネルギーをうまく活用することによって、

約7

割の重油を節約できるそうである。そして、こ

の発電所のように、小規模ではあるが再生可能エネ

ルギーを利用する発電所が全国に広がらないと、原

発廃止はできないとのお話を受けた。最後に参加者

からの質疑応答があり、見学は終了した。

この見学で、私たちが普段生活している地域にも、

将来のエネルギー問題を解決する先進的な糸口が

あることを知ることができた。原発ゼロが叫ばれて

いる中で、このような施設はぜひ増えていってほし

いと思う。

【二年

浦野貴之】

神流川沿岸発電所見学

2013

年1

月30

日に行われた、神流川沿岸発電所

の見学に参加した。当日は関東農政局神流川沿岸農

業水利事業所の方に来ていただき、施設の見学や、

発電所の運用の特徴などをお話しいただいた。

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私たちは、小さい用水路にも設置できる「マイク

ロ水力発電」の実用化に取り組んでいる。より効率

よく発電するため、タービンの形をどのようにすれ

ばよいか、昨年五月より実験を重ねてきた。この研

究を通して、身近に存在する水のエネルギーを活用

した、様々な価値を持った小規模発電の仕組みを考

えていきたい。

①研究の動機

私達は震災を経験から、電気は生活に無くてはな

らないものであり、人の気持ちも明るくさせてくれ

ているだと感じた。そこで、持続可能な発電方法を

見つけたいという強い思いがあった。

そんな時、川の研究班でお世話になっているNP

Oの方から、水力発電の取り組みについてお話を頂

いた。取水場に沈んだごみや泥に空気を送り込み、

水環境を改善しようというプロジェクトで、そのポ

ンプを動かす電力を自分たちで発電しようという

のである。川は都会にも多く存在する。とても小さ

な「マイクロ水力発電」を作れば、農業用水や小さ

な堀もエネルギーとして活用することが出来る。そ

こで、四つの川が流れ、水が豊富な本庄市で、この

研究に取り組むことにした。

②研究結果

タービンを自転車のハブダイナモに接続し、水の

力で回転させる。どのような条件で回りやすいのか

を実験した。左図のように、プラスチックの板とパ

イプ、テープで模型を作った。これを川に沈め、二

十秒間あたりに何度回ったかを計測してデータを

積み重ねていった。

+回ろうとする力(トルク)について

羽の枚数を増やすほど、トルクが大きくなること

がわかった。また、軸の半径が大きいほど、トルク

が大きくなるという結果になった。

+回るスピードについて

羽の枚数を増やしても、回転するスピードはあま

り変わらなかった。ただ、2枚の時は羽の間隔が短

すぎて、2枚目の羽が水流を受けられず遅くなって

しまった。効率よくすべての羽が水に当たるために

は、羽の間隔が12cm

は必要なことがわかった。ま

た、羽の傾きは8cm

が最適であった。

(

下図参照)

③試作品とこれからの課題

これらの結果をもとに、羽の傾きが8cm

でパイ

プの半径が大きいタービンを作り、ダイナモに接続

した。家具の足に付属するタイヤを軸に通すことで、

摩擦を減らした。手で回してみるとスムーズに動き、

沢山のLE

D

ランプを光らせることが出来たが、実

際に川に沈めてみると、びくとも動かなかった。水

流で回転させることの難しさを痛感したので、これ

からはタービンの形や沈める深さを工夫して、「ト

ルクを大きくすること」

「負荷を軽くすること」

を改善していきたい。最

終的には、どのような環

境に、どのような種類の

タービンが適当なのか

明らかにしたい。

【2年

藤井すみれ

萬羽里映】

マイクロ水力発電の実用化にむけて

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- 16 -

概要

今年度のきのこ班の活動では、大久保山の散策をし、

きのこの発見・観察・採集を行った。

また、きのこの発見が望めない時期には、散策を

しながら里山の自然について学んだ。

前年度に引き続き、きのこの殺菌作用についてシ

ンガポールとの共同研究を行った。

内容

①通常活動

今年は多くのきのこに恵まれ、多種多様のきのこ

を観察することができた。アシボソノボリリュウと

いう、大久保山では初めて観察されたきのこもあっ

た。その他にはベニイグチ、ドクベニタケ、ノウタ

ケ、アミガサタケ、シロオニタケ、キツネノハナガ

サ、クリタケ、キッコウアワタケ、テングタケなど、

実に多くのきのこが見られた。

②NJC

(National Junior C

ollege

)との共同研究

前年度と同様に、きのこの抗菌作用についての共

同研究を行ったが、今回はうどんこ病に対する作用

に重点を置いて行った。自然素材であるきのこを利

用してうどんこ病への対処ができるかどうか確か

める、というものである。うどんこ病は、

生体内で増殖し、新しい葉も急速に蝕んでいくもの

である。そのため、感染した苗にきのこを与え、次

に出てくる葉が感染していなかったら、うどんこ病

に対する抗菌作用または殺菌作用がきのこにはあ

る、とみることにした。

まず、キュウリの苗を育てるところから始めた。

既にうどんこ病に感染して

いる葉を用意し、それをペ

ースト状にしたものを苗に

与えて感染させた。この実

験で使用したキノコはマツ

オウジ、ナラタケ、クロハ

ツなど、大久保山で採集さ

れたものだ。それらを粉状

にすりつぶして水を加え、うどんこ病に感染したキ

ュウリの苗に吸わせた。その結果、実験に使用

した苗数十株の大部分が、うどんこ病に感染して

いない新しい葉を生やした。そこから、きのこに

はうどんこ病を抑える、もしくは治す働きがある

と判断した。

③里山の自然についての学習

本学院周辺の里山を、顧問の内野先生の解説を

受けながら散策し、里山の自然とその利用につい

ての理解を深めた。

来季に向けて

冬場は寒く、キュウリを育てることが困難にな

り、共同研究を継続できなくなってしまった。ま

た、きのこも見られなくなり、浅い活動となって

しまった。来季はそのことを踏まえ、冬季の活動

もしっかりと考えていきたい。

NJC

との設備の違いに悩まされ、断念せざる

を得なかった実験もあった。実現可能な範囲で計

画を立て、目的意識を持って研究を遂行したい。

【1年

坂本玲】

きのこ研究会研究報告

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- 17 -

2012

・5

・28

実験の準備

キノコ(

シイタケ、マイタケ)

をすりつぶし、乾

燥させ、粉状にする。粉状になったものを水、

エタノール、アセトン、アセトンエタノールの

どれかにとかし、試験管に入れる。メンブラン

へルターで、試験管の上澄みの液体を吸い取り、

大腸菌につけ、抗菌作用があるか調べる。

①で抗菌作用があったらうどんこ病のかかった

植物にかける。

この実験のまとめとして、

1.

うどんこ病とは何か。

2.

現在使われている農薬のデメリット

3.

キノコの抗菌作用で代用できるか

2012

・6

・3

実験でどの植物を使うか

この時期にかかりやすい病気を調べ、育つのが早い

植物を使う。

この時期に育つ植物:キュウリ

かかりやすい病気:

1.べと病

*葉だけが発病し葉脈に病斑を生じる。

*高温多湿(

ビニールハウス)

なところで、発症。

*アリエッティ水和剤で除去。

2.炭素病

*葉、茎、果実に発病。円形の病斑を生じる。

*露地雨の多い時期に発症。

*トップジンM中和剤で除去。

3.うどんこ病

*葉に白い斑点が出来始め、そのうち葉全体が白

くなり植物の光合成を妨げる。

*四月から十月に発生しやすい。

*カダンセーフで除去。

2012・6・19

キノコさがし

2012

・7・11

キノコさがし

見つけたキノコ:

・クロハツ

・チチタケ

・アミガサタケ

・シイタケ(

栽培)

・ハツタケ

・フクロツルタケ

など

2012

・7

・11

実験

五月二八日の実験予定を変更して、粉状になった

キノコを水にとかし、そのままうどんこ病にかか

ったキュウリの苗にまいた。

この時、キュウリは本葉が二枚出てきているも

のを選んだ。

やく一週間後うどんこ病が治癒したのを確認。

2012

・9

・14

畑づくり

2012

・9

・21

畑づくり

大久保山の一角に2m×

4mくらいの小さな畑

をつくった。雑草だらけで石がごろごろしている

ような悪条件の土地だったが、何とか耕した。そ

こに、ポットに入っていたキュウリの苗を植え替

えた。

【1年

小笠原咲】

きのこ研究会活動報告

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- 18 -

共同研究

きのこ班報告

概要

昨年度の共同研究できのこ班は、大腸菌

に対するきのこの抗菌性をテーマとして

実験を行っていた。しかし、日本の学校で

大腸菌の使用は認められていないこと等

が原因となり、十分な研究結果を出せなか

った。そこで、今年度の共同研究では大腸

菌の代わりにうどんこ病を用いることを、

NJC

の実験室で行われた打ち合わせで提

案した。目的は、農薬を使用しないでうど

んこ病に対処する方法を見出すことだ。

内容

実験器具や実験設備が十分なN

JC

側が寒天培養地での実験を進め、こちら側

はキュウリを用いた生体内での実験を行

う計画になった。互いの、欠けている箇所

を補い合う形で共同研究を行った。

NJC

側の実験方法を、大腸菌を用いた

実演で説明してもらい、筆者も体験した。

実験方法は、きのこを粉末状にし、寒天培

養地に開けた穴に入れ、その上から培養す

る予定の菌(この場合は大腸菌だった)を

塗り、後でどれだけ殺菌され

たのかを調べるというもの。殺菌された場合、きのこ

を入れた穴の周りだけ寒天そのものの色が現れるた

め、殺菌された部分をサークルの直径で測ることがで

きる。大腸菌を塗る時、妙に気分が高まったのを覚え

ている。

こちら側の実験方法は、きのこを粉末状にして水に

溶かしたものを、うどんこ病に感染させたキュウリの

苗に与えて、次に出てくる葉が感染しているかどうか

を調べるというものだ。大久保山で採集した様々なき

のこを用い、種類によって抗菌の効果も異なるのか、

ということについても調査することが決まった。N

JCとの共通の材料として、シイタケとヒラタケを使用。

帰国後、日本とシンガポールを繋ぐ数回のビデ

オ会議で互いの進行状況と、発生した問題への対応を

話し、確認し合った。日本のうどんこ病に当たるもの

がシンガポールでは見つからないとのことで、NJC

は身近にある数種類のカビを用いて実験を行った。

結果と考察

夏季に行った一度目の実験では、うどんこ病に感染

した苗の大部分が、きのこを与えた後、新しい健康な

葉を生やした。

2学期に行った二度目の実験では、寒さでキュウリ

とうどんこ病が弱ってしまったため、実験が頓挫して

しまった。今回の研究で残った反省点・課題は少なく

ない。一度目の実験結果から、きのこに抗菌作用があ

ることは確かめられたが、きのこを種類ごと、パーツ

ごとに分けて調べることができなかった。また、土が

キュウリに影響を及ぼした可能性も考えられる。総合

的に見て、満足のいく結果とはならなかった。それに

対しN

JC

は、エノキ、シイタケ、ヒラタケ、殺菌剤

のそれぞれの効果を比較し、シイタケが最も大きな抗

菌作用を持つことを突きとめるなど、面白い結果を出

していた。

課題の解決策として、高温・高圧力で土を無菌状態

にして実験を行うのはどうか、という意見が出たが、

無菌を保てる設備がない。そこで、少しでもほかの菌

からの影響を避けられるように、土ではなく水で育て

ることになった。これからも継続し、納得できる結果

を得られるように、より完成度の高い実験を目指して

いきたい。

研究に対する熱意が十分にあるN

JC

との共同研究

は、とても良い刺激になった。シンガポールと日本は

距離もあり、主にビデオ会議でしか情報を交換できず

大変だった。しかし、ひとつの同じ目標に向かい、共

に研究を進めるのには一種の高揚感があり、面白かっ

た。また、ひとつの目標にも、様々なアプローチの仕

方があることを実感できる貴重な機会となった。研究

に真摯に取り組む姿勢を、これからも保っていきたい

と改めて感じた。

【1年

坂本玲】

Waseda-N

JC Exchange Programm

e 2012

共同研究きのこ班

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一、概要

レゴブロックで宇宙エレベーターの模型をつく

る。できた模型が一定の距離を昇る時間を計測し、

そしてどのような工夫を施せばより模型が早くな

るのか考える。

二、研究内容

1、模型の速さを速くする

2、模型を安定させる

三、模型を速くする工夫

1、軽量化

取り除いても走行に支障のない部品はできるだ

け取り除く。これにより、無駄な負荷を極力減らす

ことができる。

2、歯車を組み合わせる

下図の左の歯車には歯は16

個、右の歯車には歯は8個ある。

このとき、左の歯車にはモーター

を、右の歯車にはタイヤを取り付

ける。その状態でモーターを動か

すと、タイヤをモーターの二倍の

速さで動かすことができる。

ただ、この方法で模型を速くするには限界がある。

この方法でタイヤの回転速度は速くなるが、その分

タイヤのまわる力が弱くなってしまうのだ。

タイヤの、回る速さと力のバランスの調節が、歯

車を取り扱ううえで重要な点なのだ。

四、実験の流れ

1、歯車の配置や模型の構造を考え、どう改造すれ

ば速くなるか考える。

2、1で考えたことをもとに、実際に模型をつくる。

(予定通りに模型を作れなければ1へ)

3、輪ゴムの張りを調節する。

(輪ゴムを取り付けられなければ2へ)

4、試運転させる。(ベルトの長さは1.5m

とする。)

(輪ゴムの張りが強すぎて模型が動かない、ま

たは張りが弱すぎて模型が落ちるならば3

へ)

5、反省

6、1に戻る。

五、結果

今回は試作品を1つ作り、それぞれ改良前と改良

後で1.5m

走り終える時間を5回計測した。

改良前

改良後

改良後の模型

六、考察

三で挙げた工夫によって、昇り降り共に時間が短

くなった。歯車を使用したことが時間を大きく縮め

られた最も大きな要因だと考える。

七、将来展望

・ベルトのテンションも、模型の速さに関わってい

るそうだ。だからベルトのテンションと模型の速

さとの関係も調べたい。

・様々なセンサーを使って、あらゆる事態にも臨機

応変に対処できるような模型の組み立てにも挑

戦したい。

【1年

山田隼汰・清水皓裕・阿久津裕亮】

1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均昇り 5.39 5.12 5.19 5.38 5.57 5.33降り 3.03 2.97 2.93 3.08 3.07 3.016

1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均昇り 3.95 4.05 3.96 4.37 4.06 4.078降り 1.9 2.06 2.06 1.96 1.87 1.97

レゴブロックによる宇宙エレベーターの模型作り

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図2 断面図

目的

日本は現在中国からレアメタルを輸入しているが、最近の

日中関係の悪化により、輸入が難しい状況になっている。そ

こで新しいレアメタルの生産場所として、月が注目を浴びて

いる。現在月に行く方法としてロケットがあげられるが、

我々は宇宙エレベーターこそがその役を担うべきだと考え

た。そこで我々はこれらの乗り物をエネルギー面において比

較してみることにした。

内容

宇宙エレベーターとは

宇宙エレベーターは軌道エレベーターとも呼ばれており、ケ

ーブルを伝って、静止軌道と呼ばれる地上から36000

km

まで行くための乗り物である。しかし宇宙エレベーター

はまだ構想段階にある。そこで我々は宇宙エレベ

ーターの大まかな構造を考えた。

宇宙エレベーターの構造

我々は図1のような構造が最も宇宙エレベーターに適する

と考えた。このモデルでは赤くなっている。

3階と7階部分が登っていくためのモーター室となってお

り、そのほかの階が人や物質を運ぶためのスペースとなって

いる。我々のモデルに基づけば、このエレベーターは一度に

23トンもの人や物質を運ぶことができる。(

詳細は図3)

宇宙エレベーターはロケットと同じように断熱材や耐久

材を必要とする。そこで我々は宇宙エレベーターの壁の構造

も考えた。図2のイメージがその断面図である。我々は物質

をこのように組み合わせることで、宇宙に行くための十分な

耐久性と断熱性を満たせると考えた。

ここで問題となるのが宇宙エレベーターでは静止軌道ま

でしか行くことができないということだ。そこで我々はステ

ーションの先にあるカウンターウェイトからロケットを月

に飛ばす方法を考えた。もしこれが実現すれば、ロケットは

遠心力だけで月に到達することができ、燃料を必要としなく

なる。

比較

次に私たちは宇宙エレベーターの優位性を証明するため

に日本の最新型ロケットであるH

II-B

ロケットと比較した。

図3を見て

わかるよう

にHII-B

ケットは約

530トン

でその85

パーセント

が燃料で占

められてい

る。一方宇宙エレベーター本体の重さは320トンであるこ

とから、宇宙エレベーターはH

II-B

ロケットの65%の重

さであるとわかる。同様に宇宙エレベーターとロケットが運

ぶことができる質量を比較してみたところ、宇宙エレベータ

ーの方が約3倍多く運ぶことができ、さらにエネルギー面か

ら比較しても、宇宙エレ

ベーターはH

II-B

ロケッ

トの1800

分の1

のエ

ネルギーで同じ距離

が進めることがわか

る。

結論

現在の宇宙開発は

ロケットを中心に発

達しているが、もし

宇宙エレベーターが

開発されれば、少な

い燃料で多くの人や

物が運ぶことが可能

になる。宇宙エレベ

ーターが完成すれば

宇宙開発が発達して

いくことは言うまで

もない。

地球には限られた

資源しかない上に、それらが徐々に

枯渇に向かっている現在、私たちは宇宙を新しい舞台に加え

る必要がある。宇宙エレベーターの開発が宇宙開発の第一歩

なのだ。【2年

馬場

・中村友哉】

比較 (kg) 宇宙エレベーター HII-B ロケット

本体の重さ 320*10^3 531*10^3

燃料の重さ 0 531*85

ペイロード 23*10^3 8*10^3

全体の重さ 343*10^3 539*10^3

必要な

エネルギー(J)

3*10^10 5.4*10^13

宇宙エレベーター

図1宇宙

エレベーターの構図

ジョイナー

高性能断熱材

アルミニウム合金

サーマルブランケット

表1 宇宙エレベーターとHII‐Bロケットの比較

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◇目的◇

身近なものからできるだけ出力が強い窒素レー

ザーを作る。色素溶液に窒素レーザー光を当てるこ

とで色々な波長のレーザー光を得る。レーザーの原

理である誘導放出を実験を通して知る。

◇実験のために用意したもの◇

窒素レーザー、アルミホイル、真空ポンプ、ローダ

ミン6G

有機蛍光色素、ローダミンB(食紅)、

有機蛍光色素、無水エタノール、シリンダーレンズ、

光を平行に集光するレンズ、アルゴン、高圧トラン

スとしてネオントランス、フライバックトランス、

窒素は空気中の窒素を利用、PE

T

シート、0.5

mm

薄ければ薄いほど良いが、薄すぎると絶縁破

壊をおこしやすい。スパークギャップスイッチ

クロナットを向かい合わせたものを利用・0m

m

15m

m

まで可変可能

◇窒素レーザーについて◇

・材料及び道具

ジクロロメタン、アクリル板、アルミ板、研磨剤、

紙やすり(#160

、#600

、#1500)

◇実験方法◇

1,窒素レーザーをアルミホイル、真空ポンプ、抵

抗とつなぐ。

2,真空ポンプで窒素レーザー内の空気を抜く。

3,ギャップスイッチで窒素レーザーのコンデンサ

ーに電気を溜める。

4,一定の電荷に達すると、レーザーが発射される。

窒素レーザーの波長は337

.1nm

で肉眼では見にく

いので、蛍光色素の入った印刷用紙で確認(青色光)

◇仮説◇

レーザーの色と溶液の色は一致すると予想した。レ

ーザーの方向は溶液で変化しないと予想した。

◇結果◇

ネオントランスでは電圧が足らずなかなか発振し

なかった。スパークギャップスイッチについては、

10m

m

くらいから窒素レーザーは発振した。出力

窓付近では1cm

が5m先では5cm程度までの拡

がりだった。

【2年 望月純】

窒素レーザーの研究