Upload
others
View
1
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
SPARC M10 システム
システム運用・管理ガイド
マニュ アル番号 : C120-E679-092014 年 11 月
Copyright © 2007, 2014, 富士通株式会社 All rights reserved.
本書には、オラクル社および/またはその関連会社により提供および修正された技術情報が含まれています。
オラクル社および/またはその関連会社、および富士通株式会社は、それぞれ本書に記述されている製品および技術に関する知的所有権を所有または管理しています。これらの製品、技術、および本書は、著作権法、特許権などの知的所有権に関する法律お
よび国際条約により保護されています。
本書およびそれに付属する製品および技術は、その使用、複製、頒布および逆コンパイルを制限するライセンスのもとにおいて
頒布されます。オラクル社および/またはその関連会社、および富士通株式会社およびそのライセンサーの書面による事前の許可なく、このような製品または技術および本書のいかなる部分も、いかなる方法によっても複製することが禁じられます。本書の
提供は、明示的であるか黙示的であるかを問わず、本製品またはそれに付随する技術に関するいかなる権利またはライセンスを
付与するものでもありません。本書は、オラクル社および富士通株式会社の一部、あるいはそのいずれかの関連会社のいかなる
種類の義務を含むものでも示すものでもありません。
本書および本書に記述されている製品および技術には、ソフトウェアおよびフォント技術を含む第三者の知的財産が含まれてい
る場合があります。これらの知的財産は、著作権法により保護されているか、または提供者からオラクル社および/またはその関連会社、および富士通株式会社へライセンスが付与されているか、あるいはその両方です。
GPLまたはLGPLが適用されたソースコードの複製は、GPLまたはLGPLの規約に従い、該当する場合に、お客様からのお申し込みに応じて入手可能です。オラクル社および/またはその関連会社、および富士通株式会社にお問い合わせください。この配布には、第三者が開発した構成要素が含まれている可能性があります。本製品の一部は、カリフォルニア大学からライセンスされて
いるBerkeley BSDシステムに由来しています。
UNIXはThe Open Groupの登録商標です。
OracleとJavaはOracle Corporationおよびその関連企業の登録商標です。
富士通および富士通のロゴマークは、富士通株式会社の登録商標です。
SPARC Enterprise、SPARC64、SPARC64ロゴ、およびすべてのSPARC商標は、米国SPARC International, Inc.のライセンスを受けて使用している、同社の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
その他の名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。
このソフトウェアまたは関連ドキュメントを、米国政府機関もしくは米国政府機関に代わってこのソフトウェアまたは関連ド
キュメントをライセンスされた者に提供する場合は、次の通知が適用されます。
U.S. GOVERNMENT END USERS: Oracle programs, including any operating system, integrated software, any programsinstalled on the hardware, and/or documentation, delivered to U.S. Government end users are "commercial computer software"pursuant to the applicable Federal Acquisition Regulation and agency-specific supplemental regulations. As such, use,duplication, disclosure, modification, and adaptation of the programs, including any operating system, integrated software, anyprograms installed on the hardware, and/or documentation, shall be subject to license terms and license restrictions applicable tothe programs. No other rights are granted to the U.S. Government.
免責条項: 本書または本書に記述されている製品や技術に関してオラクル社、富士通株式会社および/またはそのいずれかの関連会社が行う保証は、製品または技術の提供に適用されるライセンス契約で明示的に規定されている保証に限ります。このような
契約で明示的に規定された保証を除き、オラクル社、富士通株式会社および/またはそのいずれかの関連会社は、製品、技術、または本書に関して、明示、黙示を問わず、いかなる種類の保証も行いません。これらの製品、技術、または本書は、現状のまま
提供され、商品性、特定目的への適合性または第三者の権利の非侵害の黙示の保証を含みそれに限定されない、明示的であるか
黙示的であるかを問わない、なんらの保証も、かかる免責が法的に無効とされた場合を除き、行われないものとします。このよ
うな契約で明示的に規定されていないかぎり、オラクル社、富士通株式会社および/またはそのいずれかの関連会社は、いかなる法理論のもとの第三者に対しても、その収益の損失、有用性またはデータに関する損失、あるいは業務の中断について、あるい
は間接的損害、特別損害、付随的損害、または結果的損害について、そのような損害の可能性が示唆されていた場合であっても、
適用される法律が許容する範囲内で、いかなる責任も負いません。
本書は、「現状のまま」提供され、商品性、特定目的への適合性または第三者の権利の非侵害の黙示の保証を含みそれに限定さ
れない、明示的であるか黙示的であるかを問わない、なんらの保証も、かかる免責が法的に無効とされた場合を除き、行われな
いものとします。
目次
はじめに xix
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 1
1.1 SPARC M10 システムとは 1
1.2 XSCFファームウェアとは 4
1.2.1 XSCFの概要 4
1.2.2 XSCFの特長 5
1.2.3 XSCFの機能 10
1.2.4 マスタXSCF/スレーブXSCFの仕組み 14
1.2.5 モデルによるXSCF構成の違い 14
1.3 ネットワーク構成 17
1.3.1 システムの接続イメージ 17
1.3.2 XSCF-LANのポート番号と機能およびファイアーウォールにつ
いて 22
1.4 ハイパーバイザとは 22
1.5 Oracle VM Server for SPARCとは 23
1.6 OpenBoot PROMとは 24
第2章 XSCFにログインする/ログアウトする 25
2.1 システム管理用端末を接続する 25
2.1.1 シリアルで接続する 26
2.1.2 シリアル接続した場合の端末と作業 27
2.1.3 XSCF-LANで接続する 28
iii
2.1.4 XSCF-LANで接続した場合の端末と作業 30
2.2 XSCFシェルにログインする 31
2.2.1 シリアル接続でXSCFシェルへログインする方法 31
2.2.2 XSCF-LAN経由でSSH接続によるXSCFシェルへログインする方
法 32
2.2.3 XSCF-LAN経由でTelnet接続によるXSCFシェルへログインする
方法 34
2.3 XSCFシェルからログアウトする 35
2.4 XSCF Webにログインする 35
2.4.1 事前に設定が必要な項目 36
2.4.2 サポートブラウザ 36
2.4.3 ウェブブラウザで有効化が必要な機能 36
2.4.4 XSCF Webでログインする方法 36
2.5 XSCF Webからログアウトする 38
2.6 接続できるユーザー数 38
第3章 システムを設定する 39
3.1 XSCFのセットアップを行う前に 39
3.1.1 セットアップ前の初期作業について 39
3.1.2 サポート情報について 40
3.1.3 セットアップのためのユーザーインターフェースとアクセス方
法 40
3.1.4 設定をスムーズにするために 41
3.2 XSCFファームウェアの設定内容を理解する 41
3.2.1 XSCFを使用するための設定項目 42
3.2.2 マスタXSCFを確認する 42
3.2.3 スタンバイ状態のXSCFで実行できる機能 44
3.2.4 コマンドの詳細オプションをマニュアルページで確認する 45
3.3 XSCFシェルを使ってセットアップする 45
3.4 XSCF Webを使ってセットアップする 50
3.5 XSCFユーザーを作成する/管理する 51
3.5.1 XSCFユーザーアカウントについて 51
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月iv
3.5.2 パスワードおよびパスワードポリシーについて 52
3.5.3 ユーザー権限の種類 53
3.5.4 XSCFユーザーアカウント関連の設定項目とコマンドを確認する
55
3.5.5 XSCFユーザーアカウントの登録のながれ 55
3.5.6 登録済みのユーザーを確認する 56
3.5.7 パスワードポリシーを確認する/変更する 57
3.5.8 XSCFユーザーアカウントを追加する/パスワードを設定する 59
3.5.9 ユーザー権限を設定する 60
3.5.10 ユーザーアカウントを有効にする/無効にする 61
3.5.11 ログインロックアウト機能を有効にする/無効にする 61
3.5.12 XSCFユーザーアカウントをLDAPを使用して管理する 62
3.5.13 XSCFユーザーアカウントをActive Directoryを使用して管理す
る 68
3.5.14 XSCFユーザーアカウントをLDAP over SSLを使用して管理する
85
3.6 XSCFの時刻、日付を設定する 102
3.6.1 XSCFと物理パーティションの時刻の関係を理解する 103
3.6.2 論理ドメインの時刻管理ポリシー 104
3.6.3 時刻に関連する設定項目とコマンドを確認する 105
3.6.4 タイムゾーンを設定する 105
3.6.5 サマータイムを設定する 106
3.6.6 システムの時刻を設定する 107
3.6.7 制御ドメインの時刻とXSCFの時刻を同期させる 108
3.6.8 XSCFをNTPサーバとして指定する 109
3.6.9 XSCFをNTPクライアントとして指定する 110
3.6.10 XSCFで使用するNTPサーバを設定する 111
3.6.11 NTPサーバにpreferを指定する/解除する 112
3.6.12 XSCFのstratum値を設定する 113
3.6.13 XSCFのローカルクロックのクロックアドレスを変更する 114
3.7 XSCFネットワークを設定する 116
目次 v
3.7.1 XSCFネットワークを使用してサービスを利用する 116
3.7.2 XSCFネットワークインターフェースを理解する 117
3.7.3 XSCFネットワークインターフェースの構成 118
3.7.4 ネットワークグループのサブネットを理解する 121
3.7.5 SSCPで設定するIPアドレスを理解する 121
3.7.6 XSCFネットワークに関連する設定項目とコマンドを確認する
123
3.7.7 XSCFのネットワーク設定のながれ 124
3.7.8 XSCFネットワークの有効/無効、XSCF-LANのIPアドレス、
ネットマスクを設定する 125
3.7.9 引き継ぎIPアドレスを設定する 127
3.7.10 SSCPのIPアドレスを設定する 128
3.7.11 XSCFホスト名およびドメイン名を設定する 131
3.7.12 XSCFのルーティングを設定する 132
3.7.13 XSCFのDNSを設定する 135
3.7.14 XSCFネットワークにIPパケットフィルタリングルールを設定す
る 137
3.7.15 XSCFのネットワーク設定を反映させる 139
3.7.16 XSCFネットワークの接続状態を確認する 141
3.8 XSCFへログインするときのSSH/Telnetサービスを設定する 142
3.8.1 SSHおよびTelnetに関連する設定項目とコマンドを確認する 143
3.8.2 SSHおよびTelnetサービスを有効にする/無効にする 143
3.8.3 SSHサービスのホスト鍵を設定する 144
3.8.4 SSHサービスのユーザー公開鍵を登録する/削除する 145
3.8.5 SSH/Telnetサービスのタイムアウト時間を設定する 147
3.9 XSCFへログインするときのHTTPSサービスを設定する 147
3.9.1 外部およびイントラネット内の認証局を利用する場合のながれ
148
3.9.2 自己認証局を利用する場合のながれ 148
3.9.3 HTTPSに関連する設定項目とコマンドを確認する 149
3.9.4 HTTPSサービスを有効にする/無効にする 149
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月vi
3.9.5 外部またはイントラネット内の認証局を利用してウェブサーバ
証明書をインポートする 150
3.9.6 自己認証局を構築してウェブサーバ証明書を作成する 152
3.10 XSCFのセキュリティを強化するための監査を設定する 153
3.10.1 監査の用語を理解する 153
3.10.2 監査データの収集を理解する 154
3.10.3 監査に関連する設定項目とコマンドを確認する 154
3.10.4 監査を有効にする/無効にする 155
3.10.5 監査ファイルのデータを消去する 156
3.10.6 監査ポリシーを設定する 157
3.10.7 監査ログを参照する 159
第4章 利用形態に合わせてシステムを設定する 161
4.1 システムの高度を設定する/確認する 161
4.1.1 システムの高度を設定する 161
4.1.2 システムの高度を確認する 162
4.2 システムの起動を制御する 163
4.2.1 暖機運転時間を設定する/確認する 163
4.2.2 起動時の待ち時間を設定する/確認する 164
4.3 二系統受電を有効にする/無効にする 166
4.3.1 二系統受電を有効にする 166
4.3.2 二系統受電を無効にする 166
4.3.3 二系統受電の設定を確認する 167
4.4 消費電力を抑える 168
4.4.1 消費電力の上限値を設定する 168
4.4.2 温度異常/電力異常負荷時の対処 170
4.5 DVDドライブを接続する 170
4.5.1 外付けDVDドライブ使用する 170
4.5.2 外付けDVDドライブからOracle Solarisをインストールする 172
第5章 CPUコアアクティベーション 175
5.1 CPUコアアクティベーションとは 175
5.2 CPUコアアクティベーションキーとは 177
目次 vii
5.3 CPUコアリソースを管理する 178
5.4 CPUコアアクティベーションを追加する 179
5.4.1 CPUコアアクティベーションを追加するまでのながれ 179
5.4.2 追加のCPUコアアクティベーションを購入する 180
5.4.3 CPUコアアクティベーションキーを確認する 180
5.4.4 CPUコアアクティベーションキーを登録する 180
5.4.5 CPUコアリソースを物理パーティションに割り当てる 182
5.4.6 CPUコアリソースを論理ドメインに追加する 183
5.4.7 論理ドメインの構成情報を保存する 184
5.5 CPUコアアクティベーションを削除する 184
5.5.1 CPUコアアクティベーションを削除するまでのながれ 184
5.5.2 CPUコアリソースを論理ドメインから削除する 185
5.5.3 CPUコアリソースを物理パーティションから解放する 185
5.5.4 削除するCPUコアアクティベーションキーを確認する 185
5.5.5 CPUコアアクティベーションキーをSPARC M10システムから削
除する 186
5.6 CPUコアアクティベーションをエクスポートする 186
5.6.1 CPUコアアクティベーションをエクスポートするまでのながれ
187
5.6.2 エクスポートするCPUコアアクティベーションキーを確認する
187
5.7 CPUコアアクティベーションに関する各種の情報を表示する 188
5.7.1 CPUコアアクティベーションに関する各種の情報を表示する 188
5.7.2 CODログを確認する 189
5.7.3 CPUコアアクティベーションキーの情報を表示する 190
5.7.4 有効にしたCPUコアリソースの使用状況を表示する 191
5.8 CPUコアアクティベーションキーを保存する/復元する 192
5.8.1 CPUコアアクティベーションキーを保存する 192
5.8.2 CPUコアアクティベーションキーを復元する 192
5.9 CPUコアアクティベーションでエラーが発生した場合の対処 193
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月viii
5.9.1 使用中のCPUコアリソースの数が有効にしたCPUコアリソース
の数を超えている場合 193
5.9.2 有効だったCPUコアリソースの数が故障によってCPUコアアク
ティベーション数を下回った場合 193
5.10 CPUコアアクティベーションに関する重要事項 194
第6章 システムを起動する/停止する 197
6.1 システムを起動する 197
6.1.1 入力電源投入からシステム起動までのながれ 197
6.1.2 電源スイッチを使用する 198
6.1.3 poweronコマンドを使用する 200
6.2 システムを停止する 201
6.2.1 システム停止から入力電源切断までのながれ 202
6.2.2 システム全体を停止する 202
6.3 システムをリセットする 204
第7章 物理パーティションを制御する 205
7.1 物理パーティションを構築する 205
7.2 物理パーティションの動作モードを設定する 205
7.2.1 物理パーティションに搭載されたCPUとCPU動作モード 206
7.3 物理パーティションの電源を投入する 212
7.4 物理パーティションの電源を切断する 213
7.5 物理パーティションの構成を変更する 214
第8章 論理ドメインを制御する 215
8.1 論理ドメインを構築する 215
8.2 Oracle Solarisカーネルゾーンを構築する 216
8.2.1 Oracle Solarisカーネルゾーンのハードウェアおよびソフトウェ
ア要件 216
8.2.2 Oralce SolarisカーネルゾーンのCPUの管理 216
8.2.3 Oralce Solarisカーネルゾーンの留意事項 216
8.3 XSCFシェルから制御ドメインコンソールに切り替える 217
8.3.1 XSCFシェルから制御ドメインコンソールへ切り替える方法 217
8.3.2 制御ドメインコンソールに接続する場合 217
目次 ix
8.4 制御ドメインコンソールからXSCFシェルに戻る 218
8.4.1 制御ドメインコンソールからXSCFシェルへ切り替える方法 218
8.4.2 制御ドメインコンソールのログアウト 218
8.5 論理ドメインを起動する 219
8.6 論理ドメインをシャットダウンする 220
8.7 論理ドメインの優先度順シャットダウン 221
8.7.1 ドメインテーブル(ldomTable) 222
8.7.2 ドメインの情報(ldom_info)リソース 222
8.8 CPUコアアクティベーションのサポート 223
8.8.1 CPUコアアクティベーション情報の一覧表示機能 223
8.9 制御ドメインのOpenBoot PROM環境変数を設定する 223
8.9.1 XSCFファームウェアで設定できるOpenBoot PROM環境変数 224
8.9.2 制御ドメインにOpenBoot PROM環境変数を設定する 225
8.9.3 制御ドメインに設定されたOpenBoot PROM環境変数を表示する
226
8.9.4 制御ドメインに設定されたOpenBoot PROM環境変数を初期化す
る 227
8.10 ドメインコンソールロギング機能 227
8.10.1 コンソールロギング機能を無効にする方法 228
8.10.2 コンソールロギング機能を有効にする方法 228
8.10.3 サービスドメイン必要条件 229
8.10.4 仮想コンソールグループテーブル(ldomVconsTable) 229
8.10.5 コンソール(console)リソース 229
8.11 論理ドメインの構成を変更する 230
8.12 論理ドメインの時刻を設定する 230
8.13 ハイパーバイザのダンプファイルを採取する 231
8.13.1 ハイパーバイザダンプとは 231
8.13.2 ハイパーバイザダンプ機能で使用するコマンド 231
8.13.3 ハイパーバイザダンプ使用時の留意点 233
第9章 日常的にSPARC M10 システムを管理する 235
第10章 故障に備える/対処する 237
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月x
10.1 故障対策と機能を知る 238
10.2 故障が発生したときにメールで通知を受け取る 238
10.2.1 メール通報機能の特徴 239
10.2.2 故障の通報内容 239
10.2.3 メール通報に関連する設定項目とコマンドを確認する 241
10.2.4 メール通報の設定のながれ 241
10.2.5 SMTPサーバのホスト名、ポート番号、返信先メールアドレ
ス、および認証方法を設定する 242
10.2.6 通報するための宛先メールアドレスおよびメール通報機能の有
効/無効を設定する 243
10.3 SNMPエージェントでシステム状態を監視する/管理する 244
10.3.1 SNMPとは 244
10.3.2 SNMPに関連する用語 245
10.3.3 MIB定義ファイルについて 246
10.3.4 拡張MIBの電力情報を参照する 247
10.3.5 トラップについて 247
10.3.6 SNMPエージェントに関連する設定項目とコマンドを確認する
248
10.3.7 SNMPエージェントの設定のながれ 250
10.3.8 SNMPエージェントのシステム管理情報を設定するおよび
SNMPエージェントを有効にする/無効にする 252
10.3.9 SNMPv3トラップを設定する 253
10.3.10 SNMPv3の目的のホストへのトラップを無効にする 254
10.3.11 SNMPv1、SNMPv2c通信を有効にする/無効にする 255
10.3.12 SNMPv1、SNMPv2cのトラップを設定する 256
10.3.13 SNMPv1、SNMPv2cの目的のホストへのトラップを無効にす
る 256
10.3.14 SNMP設定をデフォルト値に戻す 257
10.3.15 USM管理情報を設定する 257
10.3.16 VACM管理情報を設定する 259
10.4 システムを監視する 260
目次 xi
10.4.1 ハートビート機能/Alive監視の仕組みを理解する 260
10.4.2 監視およびサーバ動作を制御する 261
10.5 故障縮退の仕組みを理解する 262
10.6 故障したハードウェアリソースを確認する 263
10.6.1 故障したメモリまたはCPUの有無をlist-domainコマンドで確認
する 263
10.6.2 故障したメモリまたはCPUの有無をlist-deviceコマンドで確認
する 263
10.7 故障CPUの自動交替を設定する 263
10.7.1 CPUコアの自動交替する場合の条件 264
10.7.2 自動交替ポリシーを変更する方法 265
10.7.3 最大試行回数と試行間隔を変更する方法 266
10.8 復旧モード(recovery mode)を設定する 267
10.9 コンポーネントを冗長構成にする 267
10.10 XSCF設定情報を保存する/復元する 267
10.10.1 XSCF設定情報の保存/復元の方法を理解する 268
10.10.2 XSCF設定情報を保存する 269
10.10.3 XSCF設定情報を復元する 270
10.11 論理ドメインの構成情報をXSCFに保存する/復元する 271
10.11.1 論理ドメインの構成情報を保存する/表示する 271
10.11.2 論理ドメインの構成情報を復元する 273
10.12 論理ドメインの構成情報をXMLファイルに保存する/復元する 275
10.12.1 論理ドメインの構成情報を保存する/確認する 275
10.12.2 論理ドメインの構成情報を復元する 276
10.13 ハードディスクの内容を保存する/復元する 277
10.14 論理ドメインをリセットする 278
10.15 論理ドメインにパニックを発生させる 279
10.15.1 ゲストドメインにパニックを発生させる 279
10.15.2 制御ドメインにパニックを発生させる 279
10.16 物理パーティションをリセットする 280
10.17 サーバを工場出荷時の状態に戻す 281
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月xii
10.17.1 初期化するためのコマンドを理解する 282
10.17.2 サーバを初期化する 282
第11章 システムの状態を確認する 285
11.1 システムの構成/状態を確認する 285
11.1.1 システムの構成/状態に関連する項目とコマンドを確認する
285
11.1.2 システムに搭載されたコンポーネントを確認する 286
11.1.3 システム環境を確認する 288
11.1.4 故障/縮退したコンポーネントを確認する 292
11.1.5 PCIボックスの状態を表示する 293
11.2 物理パーティションを確認する 296
11.2.1 物理パーティションおよび論理ドメインの構成/状態に関連す
る項目とコマンドを確認する 296
11.2.2 物理パーティションの構成を確認する 297
11.2.3 物理パーティションの稼働状態を確認する 299
11.2.4 システムボードの設定を確認する 300
11.2.5 システムボードの状態を確認する 302
11.2.6 論理ドメインの状態を確認する 303
第12章 ログやメッセージを確認する 305
12.1 XSCFで保存されるログを確認する 305
12.1.1 ログの種類と参照コマンドを確認する 305
12.1.2 ログのみかた 308
12.1.3 エラーログを確認する 309
12.1.4 監視メッセージログを確認する 311
12.1.5 パワーログを確認する 311
12.1.6 イベントログを確認する 313
12.1.7 コンソールログを確認する 314
12.1.8 パニックログを確認する 314
12.1.9 IPLログを確認する 315
12.1.10 監査ログを確認する 315
12.1.11 CODログを確認する 317
目次 xiii
12.1.12 Active Directoryログを確認する 318
12.1.13 LDAP over SSLログを確認する 318
12.1.14 温度履歴ログを確認する 319
12.1.15 snapshotでログをファイルに保存する 319
12.1.16 ローカルなUSBデバイスにログを保存する 320
12.2 警告や通知メッセージを確認する 321
12.2.1 メッセージの種類と参照方法を確認する 321
12.2.2 通知されたメッセージに対処する 323
第13章 Lockedモード/Serviceモードを切り替える 327
13.1 LockedモードとServiceモードの違いを理解する 327
13.2 運用モードを切り替える 328
第14章 信頼性の高いシステムを構築する 331
14.1 メモリをミラー構成にする 331
14.1.1 メモリのミラー構成の概要 331
14.1.2 メモリをミラー構成にする 332
14.2 ハードウェアRAIDを構成する 332
14.2.1 ハードウェアRAIDとは 333
14.2.2 FCodeユーティリティーコマンド 336
14.2.3 ハードウェアRAIDに関する留意点 336
14.2.4 ハードウェアRAIDを操作する前の準備 339
14.2.5 ハードウェアRAIDボリュームを作成する 340
14.2.6 ハードウェアRAIDボリュームを削除する 344
14.2.7 ハードウェアRAIDボリュームのホットスペアを管理する 345
14.2.8 ハードウェアRAIDボリュームおよびディスクドライブの状態
を確認する 346
14.2.9 故障したディスクドライブを確認する 348
14.2.10 故障したディスクドライブを交換する 350
14.2.11 ハードウェアRAIDボリュームを再有効化する 351
14.2.12 ハードウェアRAIDボリュームをブートデバイスに指定する
353
14.3 LDAPサービスを使用する 354
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月xiv
14.4 SANブートを使用する 354
14.5 iSCSIを使用する 355
14.6 SPARC M10 システムとI/Oデバイスの電源を連動させる 355
14.6.1 SPARC M10 システムの電源連動機能とは 355
14.6.2 電源連動の接続形態を理解する 356
14.6.3 電源連動の仕組み 358
14.6.4 電源連動を設定する前に 360
14.6.5 電源連動を設定するながれ 360
14.6.6 電源連動の設定を確認する 361
14.6.7 電源連動の設定を初期化する 362
14.6.8 電源連動機能を有効にする/無効にする 362
14.6.9 管理ファイルを作成する 362
14.6.10 電源連動グループの設定情報を取得する 364
14.6.11 電源連動グループを設定する 364
14.7 無停電電源装置を使用する 364
第15章 システム構成を拡張する 365
15.1 仮想CPUの構成を変更する 365
15.2 メモリの構成を変更する 367
15.3 PCIeエンドポイントデバイスの動的再構成機能 369
15.3.1 物理I/OデバイスをI/Oドメインに追加する 369
15.3.2 物理I/OデバイスをI/Oドメインから削除する 370
15.4 PCIボックスを使用する 371
15.4.1 PCIボックスを確認する 372
15.4.2 PCIボックスの電源を制御する 372
15.4.3 PCIボックスを接続した構成の留意点 372
15.5 SPARC M10-4Sを拡張する 374
第16章 ファームウェア/ソフトウェアをアップデートする 375
16.1 XCPのファームウェアをアップデートする 375
16.1.1 ファームウェアアップデートとは 375
16.1.2 ファームウェアをアップデートする前に 378
16.1.3 ファームウェアをアップデートする 382
目次 xv
16.1.4 ファームウェアアップデート中のトラブル 399
16.1.5 ファームウェアアップデートに関するFAQ 399
16.2 Oracle SolarisおよびOracle VM Server for SPARCをアップデートする
400
第17章 トラブルシューティング 401
17.1 XSCFで発生しうるトラブルに対処する 401
17.2 RESETスイッチの使用に関する留意点 405
17.3 よく寄せられる質問/FAQ 405
17.4 システムのトラブルをXSCFで調べる 407
付録 A SPARC M10システムのデバイスパス一覧 409
A.1 SPARC M10-1のデバイスパス 409
A.2 SPARC M10-4のデバイスパス 412
A.2.1 初期導入時のCPU構成が2 CPUの場合 412
A.2.2 初期導入時のCPU構成が4 CPUの場合 415
A.3 SPARC M10-4Sのデバイスパス 418
A.3.1 初期導入時のCPU構成が2 CPUの場合 418
A.3.2 初期導入時のCPU構成が4 CPUの場合 422
付録 B WWNに対応したSAS2デバイスを識別する 429
B.1 World Wide Name(WWN)構文 429
B.2 probe-scsi-allコマンドの出力の概要 430
B.3 probe-scsi-allコマンドを使用したディスクスロットの識別 430
B.3.1 probe-scsi-allコマンドを使用したディスクスロットの識別例
(SPARC M10-1/M10-4/M10-4S) 430
B.4 ディスクスロットの識別 432
B.4.1 formatコマンドを使用する(Oracle Solaris 11) 432
B.4.2 diskinfoコマンドを使用する(Oracle Solaris 11) 434
B.4.3 diskinfoコマンドを使用する(Oracle Solaris 10) 436
付録 C XSCF Webページ一覧 439
C.1 ページの概要 439
C.2 メニューの構成を理解する 442
C.3 利用できるページ 445
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月xvi
C.3.1 システム、物理パーティションおよび論理ドメインの状態を表
示するページ 445
C.3.2 物理パーティションを操作するページ 447
C.3.3 サーバを設定するページ 450
C.3.4 サーバを保守するページ 459
C.3.5 ログを表示するページ 460
付録 D XSCF MIB情報 463
D.1 MIBのオブジェクト識別 463
D.2 標準MIB 465
D.3 拡張MIB 465
D.3.1 XSCF拡張MIBのオブジェクト 466
D.4 トラップについて 467
付録 E Oracle VM Server for SPARCのSPARC M10システム固有機能 469
E.1 論理ドメインの優先度順シャットダウン 469
E.2 CPUコアアクティベーションのサポート 469
E.3 故障リソースの確認 470
E.3.1 list-domainサブコマンドで故障しているメモリおよびCPUの有
無を確認する 470
E.3.2 list-deviceサブコマンドで故障しているメモリおよびCPUの有無
を表示する 470
E.4 故障CPUの自動交替 470
E.5 ハイパーバイザダンプ 471
E.6 ドメインコンソールロギング機能 471
付録 F SAS2IRCUユーティリティーのコマンド表示例 473
F.1 ハードウェアRAIDボリュームの情報を表示する 473
F.2 ハードウェアRAIDボリュームを追加する 477
F.3 ハードウェアRAIDボリュームの構築状況を表示する 479
F.4 ハードウェアRAIDボリュームのホットスペアを作成する 480
F.5 ハードウェアRAIDボリュームのホットスペアを削除する 482
F.6 ハードウェアRAIDボリュームを削除する 483
F.7 ハードウェアRAIDボリュームの故障ディスクドライブを特定する 484
目次 xvii
付録 G SPARC M10-1のXSCFスタートアップモード機能 491
G.1 XSCFスタートアップモード機能の概要 491
G.1.1 XSCFスタートアップモード機能とは 491
G.1.2 使用時の条件 492
G.2 XSCFスタートアップモード機能の制限事項と留意点 493
G.2.1 システムのインストレーション作業時の制限事項と留意点 493
G.2.2 運用時の制限事項と留意点 493
G.2.3 保守時の制限事項 494
G.3 XSCFスタートアップモード機能の設定手順 495
付録 H OpenBoot PROMの環境変数とコマンド 499
H.1 SCSIデバイスの表示 499
H.2 サポートされていないOpenBoot PROM環境変数 499
H.3 サポートされていないOpenBoot PROMコマンド 500
付録 I ブートデバイスの指定方法 501
I.1 内蔵ディスクのデバイスパス 501
I.2 PHY番号指定方式 502
I.3 ターゲットID指定方式 503
I.4 SASアドレス指定方式 504
I.5 ボリュームデバイス名指定方式 505
索引 507
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月xviii
はじめに
本書は、オラクルまたは富士通のSPARC M10 システム導入後の設定方法や管理方法について説明しています。SPARC M10 システムの運用時に、必要な箇所をお読みください。
本書の内容をより一層ご理解いただくために、『SPARC M10 システム 早わかりガイド』をお読みになることをお勧めします。
なお、SPARC M10 システムは、Fujitsu M10という製品名でも販売されています。SPARC M10 システムとFujitsu M10は、同一製品です。
ここでは、以下の項目について説明しています。
■ 対象読者
■ 関連マニュアル
■ 表記上の規則
■ 安全上の注意事項
■ CLI(コマンドライン・インターフェース)の表記について
■ マニュアルへのフィードバック
対象読者本書は、コンピュータネットワークおよびOracle Solarisの高度な知識を有するシステム管理者を対象にして書かれています。
xix
SPARC M10 システム関連マニュアル(*1)
SPARC M10 システム はじめにお読みください/SPARC M10 Systems Getting Started Guide(*2)
SPARC M10 システム 早わかりガイド
SPARC M10 Systems Important Legal and Safety Information(*2)
Software License Conditions for Fujitsu M10/SPARC M10 Systems/ソフトウェアライセンス使用許諾条件
Fujitsu M10/SPARC M10 Systems Safety and Compliance Guide/安全に使用していただくために
SPARC M10 Systems Security Guide
SPARC M10システム/SPARC Enterprise/PRIMEQUEST共通設置計画マニュアル
SPARC M10 システム インストレーションガイド
SPARC M10-1 サービスマニュアル
SPARC M10-4/M10-4S サービスマニュアル
SPARC M10 システム クロスバーボックス サービスマニュアル
SPARC M10 システム版PCIボックス サービスマニュアル
SPARC M10 システム PCIカード搭載ガイド
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド
SPARC M10 システム ドメイン構築ガイド
SPARC M10 システム XSCFリファレンスマニュアル
SPARC M10 システム RCILユーザーズガイド(*3)
SPARC M10 システム XSCF MIB・Trap一覧
SPARC M10 システム プロダクトノート
SPARC M10 システム 用語集
*1: 掲載されるマニュアルは、予告なく変更される場合があります。
*2: 印刷されたマニュアルが製品に同梱されます。
*3: 特にSPARC M10システムとFUJITSU ETERNUSディスクストレージシステムを対象にしています。
関連マニュアルご使用のサーバに関連するすべてのマニュアルはオンラインで提供されています。
■ Oracle Solarisなどのオラクル社製ソフトウェア関連マニュアルhttp://www.oracle.com/documentation/
■ 富士通マニュアル
日本語サイト
http://jp.fujitsu.com/platform/server/sparc/manual/
グローバルサイト
http://www.fujitsu.com/global/services/computing/server/sparc/downloads/manual/
次の表に、SPARC M10 システムに関連するマニュアルを示します。
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月xx
http://www.oracle.com/documentation/http://jp.fujitsu.com/platform/server/sparc/manual/http://www.fujitsu.com/global/services/computing/server/sparc/downloads/manual/
字体または記号 意味 記述例
AaBbCc123 ユーザーが入力し、画面上に表示される内容を示します。
この字体は、コマンドの入力例を示す場合に使用さ
れます。
XSCF>
adduser jsmith
AaBbCc123 コンピュータが出力し、画面上に表示されるコマン
ドやファイル、ディレクトリの名称を示します。
この字体は、枠内でコマンドの入力例を示す場合に
使用されます。
XSCF>
showuser -PUser
Name:
jsmith
Privileges:
useradm
auditadm
『』 参照するマニュアルのタイトルを示します。 『SPARC M10 システム インストレーションガイド』を参照してください。
「」 参照する章、節、項、ボタンやメニュー名を示しま
す。
「第2章 ネットワーク接続」を参照してください。
表記上の規則本書では、以下のような字体や記号を、特別な意味を持つものとして使用しています。
本文中のコマンド表記について
XSCFコマンドには(8)または(1)のセクション番号が付きますが、本文中では(8)や(1)を省略しています。
Oracle Solarisコマンドは、本文中に(1M)などのセクション番号を付けています。各コマンド共、参照を促す場合にはコマンド名にセクション番号を付けています。
安全上の注意事項SPARC M10 システムをご使用または取り扱う前に、次のドキュメントを熟読してください。
■ SPARC M10 Systems Important Legal and Safety Information
■ SPARC M10 Systems Safety and Compliance Guide/安全に使用していただくために
はじめに xxi
CLI(コマンドライン・インターフェース)の表記についてコマンドの記載形式は以下のとおりです。
■ 値を入力する変数は斜体で記載
■ 省略可能な要素は[ ]で囲んで記載
■ 省略可能なキーワードの選択肢は、まとめて[ ]で囲み、|で区切り記載
マニュアルへのフィードバック本書に関するご意見、ご要望がございましたら、マニュアル番号、マニュアル名称、
ページおよび具体的な内容を、次のURLからお問い合わせください。■ 日本語サイト
http://jp.fujitsu.com/platform/server/sparc/manual/
■ グローバルサイト
http://www.fujitsu.com/global/services/computing/server/sparc/downloads/manual/
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月xxii
http://jp.fujitsu.com/platform/server/sparc/manual/http://www.fujitsu.com/global/services/computing/server/sparc/downloads/manual/
第1章
SPARC
M10 システムの概要を理解す
る
ここでは、SPARC M10 システムの概要と採用されているソフトウェア、ファームウェアを説明します。
■ SPARC M10 システムとは
■ XSCFファームウェアとは
■ ネットワーク構成
■ ハイパーバイザとは
■ Oracle VM Server for SPARCとは
■ OpenBoot PROMとは
1.1 SPARC
M10 システムとは
ここでは、SPARC M10 システムの概要を説明します。
SPARC M10 システムは、ビルディングブロック方式を採用したUNIXサーバシステムです。SPARC M10 システムの筐体を複数組み合わせることで、業務の用途や規模に応じて、柔軟にシステムを構築できます。クラウドコンピューティング時代のデー
タセンターに最適なデータベースサーバとして、また高スループットが要求される
Webサーバやアプリケーションサーバとして幅広く利用できます。
SPARC M10 システムはさまざまな用途に対応するため、次のモデルを用意しています。
■ SPARC M10-11 CPUの筐体を単体で使用する、省スペースと高性能を両立したコンパクトなモデルです。
■ SPARC M10-44 CPUまたは2 CPUの筐体を単体で使用するモデルです。
■ SPARC M10-4Sビルディングブロック(BB)方式を採用し、4 CPUまたは2 CPUの筐体を接続して使用するモデルです。必要な処理能力に応じて、SPARC M10-4Sの接続数を増
1
減できます。SPARC M10-4S同士を直接接続して最大4BB構成にできます。また、クロスバーボックスを使用することで、16BB構成にまで対応し、最大64 CPUのスケーラビリティを確保しています。
なお、SPARC M10 システムのハードウェアから見たシステム構成や仕様は、『SPARC M10 システム 早わかりガイド』を参照してください。
ソフトウェアから見たシステム構成
ここでは、ファームウェア、ソフトウェアから見たSPARC M10 システムのシステム構成を説明します。
SPARC M10 システムを導入後、必要なファームウェアやソフトウェアを使用してシステムを構築すると、図 1-1のようなシステム構成となります。図 1-1は、複数のSPARC M10-4Sをビルディングブロック方式で接続した場合のシステム構成例を示しています。
SPARC M10-4S単体は、ソフトウェア上では1つのシステムボード(PSB)として認識されます。認識されたシステムボードを、1つまたは複数個組み合わせて、物理パーティション(PPAR)を構築します。構築した物理パーティションに搭載されているCPUやメモリ、I/Oデバイスなどのハードウェアリソースを論理ドメインに割り当てることによって、システムを構成し
ます。
各論理ドメインは1台の独立したUNIXサーバとして機能します。それぞれ独立してOracle Solarisをインストールでき、業務アプリケーションなどを運用できます。
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月2
(PPAR#00)(PPAR#00)
(primary)(primary) (ldom01)(ldom01) (ldom10)(ldom10) (ldom12)(ldom12)
OracleOracleSolarisSolaris
OracleOracleSolarisSolaris
OracleOracleSolarisSolaris
OracleOracleSolarisSolaris
OracleOracleSolarisSolaris
OracleOracleSolarisSolaris
OracleOracleSolarisSolaris
(ldom00)(ldom00) (primary)(primary) (ldom11)(ldom11)
(PSB#01)(PSB#01)
CPUCPU
I/OI/O
(PSB#02)(PSB#02)
CPUCPU
I/OI/O
(PSB#03)(PSB#03)
CPUCPU
I/OI/O
(PSB#00)(PSB#00)
CPUCPU
I/OI/O
(PPAR#01)(PPAR#01)
Oracle VM Server for SPARCOracle VM Server for SPARC Oracle VM Server for SPARCOracle VM Server for SPARC
SPARC M10SPARC M10
XSCFXSCF
図 1-1 SPARC M10 システムのシステム構成例
次に、システム構成でキーとなる「物理パーティション」と「論理ドメイン」を説明
します。
物理パーティションの構築
システムを構築するには、まず、ビルディングブロック方式で接続されたSPARC M10-4Sを組み合わせて物理パーティションを構築します。物理パーティションを構築することをパーティショニングと呼び、構築されたものを物理パーティション
(PPAR)と呼びます。物理パーティションは、システムを管理するためのファームウェアであるXSCFファームウェアを使用して構築します。
物理パーティションを構築するうえで、SPARC M10-4Sの筐体は1つのシステムボード(PSB)として扱われます。物理パーティションはシステムボード単位で構成されます。
図 1-1で示す例では、SPARC M10 システムの複数のシステムボードのうち、システムボードPSB#00によって物理パーティションPPAR#00が構築されていることを表します。同様に、システムボードPSB#01、PSB#02、PSB#03によって物理パーティショ
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 3
ンPPAR#01が構築されています。
物理パーティションを構築したら、物理パーティション上のCPU、メモリ、I/Oデバイスなどのハードウェアリソースを論理ドメインに割り当てます。
なお、SPARC M10-1/M10-4は1台で使用するモデルのため、構築できる物理パーティションは1つだけです。
論理ドメインの構築
物理パーティション(PPAR)にあるCPUやメモリ、I/Oデバイスなどのハードウェアリソースを論理ドメインに割り当てます。論理ドメインは、オラクル社より提供さ
れるOracle VM Server for SPARCソフトウェアを使用して構築します。
構築した論理ドメインは、ソフトウェア上、1つのUNIXシステムとして扱われます。論理ドメインごとにOracle Solarisやアプリケーションをインストールして、業務に適用できます。図 1-1で示す例では、物理パーティションPPAR#00内のハードウェアリソースが割り当てられ、論理ドメインprimary、ldom00、ldom01が構築されています。
同様に、物理パーティションPPAR#01には論理ドメインprimary、ldom10、ldom11、ldom12が構築されています。
物理パーティションのリソースを割り当てた論理ドメインの中で、論理ドメイン全体
を制御するドメインが1つ存在します。これを制御ドメインと呼びます。制御ドメインは論理ドメインを制御するとともに、物理パーティションと論理ドメイン間のやり
とりを取りまとめる役割を担います。
SPARC
M10 システムに必要なファームウェア/ソフトウェア
SPARC M10 システムのシステムを構築するうえで必要な物理パーティションはXSCFというファームウェアを使用して、論理ドメインはOracle VM Server for SPARCというソフトウェアを使用して実現されています。システム全体を監視、管理していくうえで、XSCFファームウェアとOracle VM Server for SPARC間のやりとりは、システム内部で行われます。ユーザーが意識する必要はありません。
SPARC M10 システムでは、XSCFファームウェアとOracle VM Server for SPARC間のインターフェースを、ハイパーバイザというファームウェアが実現しています。
以降では、SPARC M10 システムで使用されるファームウェア、ソフトウェアの概要を説明します。
1.2 XSCFファームウェアとはここでは、XSCF ファームウェアの概要/機能について説明します。
1.2.1 XSCFの概要
XSCFファームウェアは、SPARC M10 システムに標準で搭載されているシステム監
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月4
視機構です。XSCFファームウェアは、サーバのプロセッサとは独立した専用プロセッサ(サービスプロセッサ)上で動作します。XSCFファームウェアは、SPARC M10-1、SPARC M10-4、およびSPARC M10-4Sの各筐体に1つずつ存在し、論理ドメインと対話したり、システム全体を管理したりします。ビルディングブロック(BB)方式で複数のSPARC M10-4Sを使ってシステムを構成している場合、SPARC M10-4Sの筐体および筐体同士を接続するクロスバーボックス(XBBOX)にサービスプロセッサが1つずつ存在しXSCFファームウェアが動作します。
サーバに入力電源が供給されていれば、論理ドメインが稼働していない状態や物理
パーティションの電源が切断された状態でもXSCF ファームウェアは稼働し、サーバが適切に動作しているかを常に監視します。また、必要に応じてサーバの構成を変更
させたり、電源を投入/切断したりします。
また、XSCFファームウェアは、ユーザーとのインターフェースを持ち、システム管理者が日常行いたいことをサポートします。
本書では、XSCFファームウェアのことをXSCFということがあります。XSCFファームウェアが動作するサービスプロセッサを搭載したボードを、XSCFユニットということもあります。
1.2.2 XSCFの特長
日常のサーバ操作や保守時に利用するユーザーインターフェース搭載
コマンドラインやウェブブラウザを使用してXSCFにアクセスすることにより、サーバの状態を把握したり、サーバを操作したり、保守したりできます。
■ XSCFシェル(コマンドラインインターフェース)
ユーザーのPCとサーバをシリアルケーブルで直接接続したり、XSCFのLANでイーサネット接続したりして、SSHサービスまたはTelnetサービスで通信できます。これにより、PCをXSCFのシェル端末として利用でき、XSCFシェルコマンドを使用できます。また、XSCFシェル上で制御ドメインを操作できるコンソール(以降、制御ドメインコンソール)に切り替えることもできます。
図 1-2は、XSCFシェル端末の例です。
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 5
図 1-2 XSCF シェル端末の例
■ XSCF Web(ブラウザユーザーインターフェース)
ユーザーのPCとXSCFのLANをイーサネット接続し、HTTPSプロトコルおよびSSL/TLSプロトコルで通信できます。これにより、PCのウェブブラウザをXSCF使用のために利用でき、XSCF Webコンソールを利用できます。XSCF Web を使用すると、階層形式でコンポーネントを表示したり、目的の操作をメニューから探
せたりでき、ユーザーは操作の負担を軽減、また、サーバ管理コストを削減でき
ます。
図 1-3は、XSCF Webコンソールの利用例です。
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月6
図 1-3 XSCF Webコンソールの例
マルチ搭載のXSCF
ビルディングブロック方式でシステムを構築している場合、SPARC M10-4Sの各筐体および各クロスバーボックス(XBBOX)に、XSCFが1つずつ存在しています。各筐体にXSCFが搭載されていることで、高信頼システムが実現されています。
図 1-4は、SPARC M10-4Sのシステムで筐体間直結による4BB構成での例です。
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 7
Standbystatus
MasterBB#00 BB#01
BB#02Slave
BB#03
Standby status
MasterXBBOX#80 XBBOX#81
BB#01 BB#07Slave
図 1-4 SPARC M10-4SのシステムのXSCF構成例-1
図 1-5は、クロスバーボックスを持つSPARC M10-4Sのシステムでの8BB構成の例です。
図 1-5 SPARC M10-4SのシステムのXSCF 構成例-2
ビルディングブロック方式でシステムを構築している場合、SPARC M10-4Sの各筐体およびクロスバーボックスに存在するXSCFは、サービスプロセッサ間通信(SP to SP communication protocol(SSCP))により、お互いの状態を監視しています。
これらのXSCFは、その役割によって次の2種類に分けられます。■ マスタXSCF:システム内に1つだけ存在し、システム全体を監視/管理するとともに、自身が搭載されているSPARC M10-4Sまたはクロスバーボックスも管理する。マスタXSCFのバックアップとして動作するスタンバイ状態のXSCFによって二重化されている。
■ スレーブXSCF:マスタXSCF以外のXSCF。自身が搭載されているSPARC M10-4Sまたはクロスバーボックスだけを監視/管理する。
これらマスタとスレーブXSCFの詳細は、「1.2.4 マスタXSCF/スレーブXSCFの仕組み」を参照してください。
外部インターフェース
SPARC M10 システムの各筐体、およびクロスバーボックスには、XSCF に関連する以下のコネクター(ポート)とLEDが搭載されています。XSCFファームウェアを使用して、ユーザー、システム管理者、および保守作業者によるサーバの監視、操作を
可能にします。各インターフェースの位置や接続方法の詳細は、『SPARC M10 システム インストレーションガイド』の「第5章 筐体にケーブルを接続する」を参照し
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月8
てください。
■ シリアルポート
シリアルポートは、XSCFシェルを使用してサーバの設定、状態表示を行うためのポートです。シリアルポート(RS-232C ポート)は、RJ-45のコネクターを使用しています。シリアルポートとPCを接続するには、RS-232Cシリアルクロスケーブルを使用します。LANケーブルしかない場合、RJ-45/RS-232C変換ケーブルまたは変換コネクターが必要です。
■ 2つのXSCF-LANポート(イーサネットポート)XSCF-LANポートは、システム管理者がイーサネットを利用して操作を行うためのLAN接続ポートです。XSCF-LANポートでは、XSCFシェルまたはXSCF Webを使用してサーバの設定、状態表示を行えます。XSCF-LANポートは2つあり、両方ともRJ-45のコネクターを使用します。各ポートは、10Base-T/100Base-TX/1000Base-Tに対応しています。
■ USBポートUSBポート(Type-A)は、前面パネルに1口と背面パネルに2口あり、USBデバイスを接続します。USBポートにDVDを接続してOracle Solarisをインストールするときなどに使用します。背面パネルのXSCF用のUSBポートは、USB1.1インターフェースに対応し、XSCFにあるハードウェア情報を保存および復元したり、ログ情報を収集したりするために使用します。
■ サービスプロセッサ間通信ポート(SSCPポート)ビルディングブロック方式でシステムを構築しXSCFが複数ある場合、SSCPを実現するために、SPARC M10-4Sの各筐体およびクロスバーボックスには、次のコネクター(ポート)が搭載されています。SSCPのケーブル接続の詳細は、『SPARC M10システム インストレーションガイド』の「第4章 ビルディングブロック接続を構成する」を参照してください。
■ SPARC M10-4S側XSCF DUAL制御ポート: 1口。マスタとスタンバイ状態のXSCF同士を接続します。
XSCF BB制御ポート: 3口。マスタおよびスタンバイ状態のXSCFから、各スレーブXSCFへ接続します。
■ クロスバーボックス側
XSCF DUAL制御ポート: 1口。マスタとスタンバイ状態のXSCF同士を接続します。
XSCF BB制御ポート: 19口。マスタおよびスタンバイ状態のXSCFから、各スレーブXSCFへ接続します。
■ LEDXSCFとXSCF-LANに関連するLEDは次のとおりです。
■ READY LED(緑)READY LEDは、点灯すると緑色になります。入力電源を投入した直後にはREADY LEDは点滅します。この点滅は、XSCFが起動し、初期化が行われていることを示します。XSCFの初期化が終了すると点滅から点灯に変わります。
■ CHECK LED(橙)CHECK LEDは、点灯すると橙色になります。入力電源を投入した直後にはCHECK LEDは点灯します。しかし、XSCFが正常に動作しているときはCHECK LEDは消灯しています。XSCFになんらかの異常があると点灯します。XSCFシェルコマンドを使用するとCHECK LEDを点滅させることができます。故障がないときも、CHECK LEDによりビルディングブロックまたはクロスバー
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 9
ボックスの特定ができます。
■ MASTER LED(緑、SPARC M10-4Sのシステムのみ)MASTER LEDは、点灯すると緑色になります。MASTER LEDは、XSCFが複数あるシステムの場合、マスタXSCFがあるSPARC M10-4Sの筐体またはクロスバーボックスを示すLEDです。マスタ側のXSCFであると点灯し、スタンバイ状態のXSCF、スレーブ側のXSCFであると消灯します。
■ Link Speed LEDXSCF-LANポートにあり、緑色または橙色に点灯するLANのLEDをLink Speed LEDといいます。Link Speed LEDは、1000 MbpsでLANに接続すると橙色に点灯し、100 MbpsでLANに接続すると緑色に点灯し、10 MbpsでLANに接続した場合は点灯しません。
■ ACT LED(緑)XSCF-LANポートにあり、緑色に点灯するLAN のLEDをACT LEDといいます。通信状態がLink upしている場合点灯し、Link downしている場合、消灯します。また、LANに接続してデータの送受信が行われている間は点滅します。そのため、LEDは点灯したり消灯したりして、点滅しているように見えます。
物理パーティション(PPAR)と仮想化制御
XSCFは、CPU、メモリ、およびI/Oのシステムリソースを筐体ごとに管理します。ビルディングブロック方式でシステムを構築した場合、XSCFはSPARC M10-4Sの1筐体(1BB)を論理的に1 つのシステムボード(PSB)と位置づけ、1つまたは複数のシステムボードをまとめ、1つの物理パーティション(PPAR)と呼ばれる仮想ブロックを構成できます。
XSCFは、システム全体を物理パーティションに分割構成することにより、必要なシステムリソース分だけ電源を投入したり、物理パーティション間でシステムボードを
追加、削除したりします。これにより、効率的なシステムリソースの使用を実現して
います。
ハイパーバイザを介した論理ドメインとの連携
SPARC M10-4Sのシステムでは、最大16個の物理パーティションを構成できます。物理パーティションのシステムリソースは論理ドメインが使用します。論理ドメインは
Oracle VM Server for SPARCソフトウェアの管理の下、複数構成できます。これらの論理ドメインの状態を管理するため、ハイパーバイザファームウェアが各物理パー
ティションで動作しています。XSCFファームウェアは、ハイパーバイザファームウェアと連携することにより、論理ドメインの使用するメモリ、CPU、およびI/Oリソースを監視します。
1.2.3 XSCFの機能
XSCFシェルおよびXSCF Web
XSCFは、ユーザーがサーバの状態表示、操作、物理パーティションの状態表示、操作、およびコンソールの表示を行うことが可能な、XSCFシェルとXSCF Webを提供しています。
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月10
注-SPARC M10-1/M10-4のシステムでは、物理パーティション構成管理機能を利用できません。SPARC M10-1/M10-4のシステムでは、それぞれ1 CPU、2 CPU、または4 CPUを搭載するただ1つのPSBで構成され、1つだけの物理パーティションで動作します。
システム初期化および初期診断
XSCFは、入力電源投入時または、XSCFのリセット時に、XSCF自身を初期診断し、異常があれば、ユーザーに通知します。また、XSCFのハードウェア初期設定や、Oracle Solarisの起動に必要なハードウェアの初期化も行います。
システム構成認識と物理パーティション構成管理
XSCFは、システム構成の状態表示、物理パーティションの構成の定義作成および変更を行います。また、XSCFは、論理ドメインの起動および停止機能を提供します。SPARC M10 システムでは、ユーザーは、CPU、メモリ、およびI/Oデバイスで構成される1つのシステムボード(PSB)で物理パーティションを構成します。このPSBに、物理パーティションおよび物理パーティションから参照できる論理的なシステムボー
ド(論理システムボード(LSB))の番号を割り当てることにより、物理パーティション構成を管理できます。
1つの物理パーティションには、Oracle VM Server for SPARCの管理の下、1つまたは複数の論理ドメインを割り当てることができます。
故障を最小限にとどめるための監視およびRAS機能
XSCFは、システムが安定して動作するために、サーバを一括して制御/監視します。システムの異常を検出した場合、ただちに、ハードウェアログを採取し、解析を行い、
故障箇所を特定し、故障状態を判断します。XSCFは状態を表示し、必要ならば、部品の縮退、物理パーティションの縮退、システムのリセットを行い、新たな故障発生
を防止します。XSCFは、システム全体の高信頼性、高可用性、高保守性(RAS)を実現しています。
監視の対象は次のとおりです。
■ ハードウェアの構成管理および監視
■ ネットワーク構成の監視
■ ファンユニットなどの冷却部および環境温度の監視
■ 物理パーティション、論理ドメイン状態監視
■ 周辺装置の異常監視
故障情報をシステム管理者に通報する機能
XSCFは、システムの動作状態を常に監視します。XSCFは、筐体内のネットワーク機能を使ってサーバへアクセスし、次のサービスを提供します。
■ Oracle Solarisが動作していない状態でのサーバモニタ機能のサービスを提供する。
■ 遠隔地からサーバへのリモート操作を可能にする。
■ トラブル発生時に、指定されたメールアドレスに通報する。
■ SNMPエージェント機能を使ってトラップ通報を行う。
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 11
メッセージおよびログの採取
XSCFはシステムの異常情報を採取し、XSCF内に保存します。ハードウェアの異常情報により異常や故障箇所を特定することで、サーバの故障予知、故障発生時の迅速か
つ的確な情報をユーザーにわかりやすく提供しています。エラーメッセージやログと
その内容は、「第12章 ログやメッセージを確認する」を参照してください。
表示されるメッセージは次のとおりです。
■ システム起動時の初期診断メッセージ
■ ネットワーク構成を監視し、構成異常を検出すると同時に表示されるメッセージ
■ 部品の異常を検出すると同時に表示されるメッセージ
電源、ファン、システムボード、メモリ、CPUなどの状態を監視し、この情報を元にシステム管理者は速やかに交換部品を知ることができます。
■ 環境の異常を検出すると同時に表示されるメッセージ
サーバの温度、CPUの温度を監視し、温度上昇によるシステム不安定を未然に防止できます。
採取されるログは次のとおりです。
■ エラーログ
■ 監視メッセージログ
■ パワーログ
■ イベントログ
■ コンソールログ
■ パニックログ
■ IPLログ
■ 監査ログ
■ CODログ
■ 温度履歴ログ
■ Active Directoryログ
■ LDAP over SSLログ
XSCFのユーザーアカウント管理
XSCFは、XSCFを使用するためのユーザーアカウントを管理します。XSCFが管理するユーザーアカウントの権限の種別は、おもに次のとおりです。ユーザーアカウント
の種別(ユーザー権限という)に従って操作可能なXSCFシェルやXSCF Webが提供されます。
■ システム管理者
■ 物理パーティション(PPAR)管理者
■ オペレーター
■ 保守作業者
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月12
セキュリティ
XSCFは、SSH、SSLによる暗号化機能および監査機能を提供します。システム運用中の操作失敗や不正アクセスをログに記録します。システム管理者はシステム異常や
不正アクセスの原因調査に利用できます。
部品活性交換支援
XSCFは、部品の活性交換時にXSCFシェルにより保守作業を支援します。保守のためのコマンドを実行すると、保守メニューが表示されます。ユーザーはメニューに従っ
て保守作業を行えます。
コンソールリダイレクション機能
XSCFは、各物理パーティションのOracle SolarisのOSコンソール(制御ドメインコンソール)を出力する機能を提供します。XSCFにSSH(Secure Shell)またはTelnet接続すれば、OSコンソールとしての機能を使用できます。
CPUコアアクティベーション機能
CPUコアアクティベーション機能は、サーバのCPUリソースを永続的に使用するための機能です。CPUコアアクティベーションは、サーバを使用する前に必ず1つまたは複数購入する必要があります。
追加でCPUリソースが必要になった場合、またはCPUリソースを減らしたい場合、XSCFからCPUリソースの追加および削除の作業を行います。CPUリソースの購入の詳細は、「第5章 CPUコアアクティベーション」を参照してください。
ファームウェアアップデート機能
XSCF WebおよびXSCFシェルコマンドを使用して、物理パーティションの電源を切断することなく新しいファームウェアイメージ(XSCFファームウェア、OpenBoot PROMファームウェア、POSTファームウェア、およびハイパーバイザファームウェア)をダウンロードできます。また、ほかの物理パーティションの電源を切断するこ
となくファームウェアアップデートができます。 なお、OpenBoot PROMファームウェア、POSTファームウェア、およびハイパーバイザファームウェアをアップデートする場合、該当の物理パーティションをリブートするとアップデート内容が適用さ
れます。ファームウェアアップデートの詳細は、「16.1 XCPのファームウェアをアップデートする」を参照してください。
グリーンIT 機能
Oracle Solaris、ハイパーバイザ、およびXSCFは、使用されていないコンポーネントに対して電源供給を抑止したり、消費電力を抑えたりします。また、XSCFは、システムの消費電力を抑えるために、消費電力の上限値をコントロールできます。上限値
を超えた場合、XSCFはただちにシステムの電源動作を判断し、シャットダウンしたり、電源を切断したりします。
時刻制御
SPARC M10 システムでは、XSCFの時計をシステムの基準時刻としています。SPARC M10 システムの物理パーティションは、物理パーティション起動時にXSCF
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 13
注-SPARC M10-1/M10-4では、DR機能を利用できません。
の時計を基準にして時刻同期を行います。XSCFは、ハイパーバイザファームウェアと連携して、制御ドメインの時刻との差分を管理します。
PPAR内システムボードの動的再構成(Dynamic Reconfiguration:DR)機能
XSCFは、システム運用中の動的なシステムボードの構成変更作業を支援します。動的再構成(以降、DR)機能を使用することで、物理パーティションを稼働させた状態で、物理パーティション内のシステムボードを追加、削除できます。DR機能の詳細は、『SPARC M10システム ドメイン構築ガイド』を参照してください。
1.2.4 マスタXSCF/スレーブXSCFの仕組み
ビルディングブロック方式でSPARC M10-4Sを接続した場合、XSCFは、SPARC M10-4Sの各筐体および各クロスバーボックスに1つずつ搭載されています。これらのXSCFは、その役割によって大きく2種類に分けられます。■ マスタXSCFシステム内に1つだけ存在し、システム全体を監視/管理するとともに、自身が搭載されているSPARC M10-4Sまたはクロスバーボックスも管理しています。
■ スレーブXSCFマスタXSCF以外のXSCFです。自身が搭載されているSPARC M10-4Sまたはクロスバーボックスだけを監視/管理します。
XSCFの中には、マスタXSCFの代わりに動作するためにスタンバイ状態となるXSCFが1つあります。マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCFはお互いに状態を監視しています。マスタXSCFに異常が発生した場合でも、マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCF間で切り替え処理が行われるため、業務を停止することなく、システムの運用、管理が継続できます。
マスタXSCFとスレーブXSCF間は、専用のケーブルで接続されており、SP to SP communication protocol(SSCP)というXSCF専用のプロトコルで通信します。マスタXSCFに設定された内容は、SSCPを経由して各スレーブXSCFに反映されます。ただし、特定の物理パーティションに設定された内容は、対象PPARに属するXSCFにのみ反映されます。
1.2.5 モデルによるXSCF構成の違い
ここでは、SPARC M10 システムのモデル構成によって、XSCFがどのように構成され、システムが監視、管理されるかを説明します。
SPARC
M10-1/M10-4および1台構成のSPARC M10-4Sの場合
SPARC M10-1/M10-4および1台構成のSPARC M10-4Sは、1つのXSCFだけで構成されています。スタンバイ状態のXSCFやスレーブXSCFはありません。
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月14
#0 #1 #2 #0 #1 #2 #0 #1 #2#0 #1 #2
BB#00 DUAL BB#01 DUAL BB#02 DUAL BB#03 DUAL
ビルディングブロック構成のSPARC M10-4S(クロスバーボックスなし)の場合
ビルディングブロック構成のSPARC M10-4S(クロスバーボックスなし)の場合は、システムは、最大4台のSPARC M10-4Sで構成され、XSCFも最大4つになります。この場合、BB#00またはBB#01とした筐体にあるXSCFが、マスタXSCFまたはスタンバイ状態のXSCFとなります。マスタXSCFに異常が発生した場合は、スタンバイ状態のXSCFがマスタXSCFに切り替わります。BB#02とBB#03の筐体はスレーブXSCFで固定となります。
■ 接続形態
マスタXSCF(図 1-6 BB#00)のXSCF BB制御ポートは、各スレーブXSCF内の、ネットワークID 0(図 1-6 BB#01-#03の#0ポート)のXSCF BB制御ポートと接続します。スタンバイ状態のXSCF(図 1-6 BB#01)のXSCF BB制御ポートは、各スレーブXSCF内の、ネットワークID 1(図 1-6 BB#02-03の#1ポート)のXSCF BB制御ポートと接続します。マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCF間はXSCF DUAL制御ポートで接続します。スレーブXSCFは、マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCFとだけ接続します。
■ XSCF制御のながれマスタXSCFは、すべてのXSCFを監視、管理しています。XSCFの各種設定は、基本的にはマスタXSCFから行います。マスタXSCFで設定した内容は、SSCPネットワークを介して、スタンバイ状態のXSCFを含む、すべてのスレーブXSCFに反映されます。また、マスタXSCFで行った特定のSPARC M10-4Sの筐体に対する設定も、スタンバイ状態のXSCFと対象となるSPARC M10-4Sの筐体内のスレーブXSCFに反映されます。
図 1-6 XSCFの接続(ビルディングブロック構成のSPARC M10-4S(クロスバーボックスなし)の場合)
ビルディングブロック構成のSPARC M10-4S(クロスバーボックスあり)の場合
ビルディングブロック構成のSPARC M10-4S(クロスバーボックスあり)は、最大16のXSCFで構成されます。この場合、XBBOX#80またはXBBOX#81としたクロスバーボックスにあるXSCFがマスタXSCFまたはスタンバイ状態のXSCFとなります。XBBOX#82とXBBOX#83のクロスバーボックスおよびすべてのSPARC M10-4Sの筐体にあるXSCFは、スレーブXSCFで固定となります。■ 接続形態
■ クロスバーボックスに対する接続
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 15
Dual #0 #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9
#14
#10
#11
#12
#13
#15
#16
#17
#18
Dual #0 #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9
#14
#10
#11
#12
#13
#15
#16
#17
#18
Dual #0 #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9
#14
#10
#11
#12
#13
#15
#16
#17
#18
Dual #0 #1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9
#14
#10
#11
#12
#13
#15
#16
#17
#18
XBBOX#80
XBBOX#82 XBBOX#83
XBBOX#81
#0 #1 #2
BB#00
#0 #1 #2
BB#01
#0 #1 #2
BB#02
#0 #1 #2
BB#14
#0 #1 #2
BB#15
マスタXSCF(XBBOX#80)は、各スレーブXSCF内の、ネットワークID 16(図 1-7 XBBOX#81-#83の#16ポート)のXSCF BB制御ポートと接続します。スタンバイ状態のXSCF(XBBOX#81)は、各スレーブXSCF内の、ネットワークID 17(図 1-7 XBBOX#82-#83の#17ポート)のXSCF BB制御ポートと接続します。マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCF間は、XSCF DUAL制御ポートで接続します。マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCF以外のXSCFへは接続しません。
■ SPARC M10-4Sに対する接続マスタXSCF(XBBOX#80)は、各スレーブXSCF内の、ネットワークID 0(図 1-7 BB#00-#15の#0ポート)のXSCF BB制御ポートと接続します。スタンバイ状態のXSCF(XBBOX#81)からは、各スレーブXSCF内の、ネットワークID 1(図 1-7 BB#00-#15の#1ポート)のXSCF BB制御ポートと接続します。スレーブXSCFに固定されているXSCF(BB#00からBB#15)は、マスタXSCFとスタンバイ状態のXSCFとだけ接続します。
■ XSCF制御のながれマスタXSCFは、すべてのXSCFを監視、管理しています。XSCFの各種設定は、基本的にはマスタXSCFから行います。マスタXSCFで設定された内容は、SSCPネットワークを介して、スタンバイ状態のXSCFを含む、すべてのスレーブXSCFに反映されます。また、マスタXSCFで行った特定のSPARC M10-4Sの筐体に対する設定も、スタンバイ状態のXSCFと対象となるSPARC M10-4Sの筐体内のスレーブXSCFに反映されます。
図 1-7 XSCFの接続(ビルディングブロック構成のSPARC M10-4S(クロスバーボックスあり)の場合)
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月16
1.3 ネットワーク構成
1.3.1 システムの接続イメージ
ここでは、システム運用時のネットワーク接続の概要を説明します。
システムは大きく分けて2つのネットワークで構成されます。1つはユーザーネットワークで、もう1つはシステム制御ネットワークです。■ ユーザーネットワーク
ユーザーネットワークは、構築したシステムを業務で利用するために使用するネッ
トワークです。業務上必要となる、ほかのサーバやPC、周辺装置と接続してネットワークを構築します。
必要に応じて、ファイアーウォール等を導入し、セキュアな環境を維持しながら
外部のインターネットに接続できるネットワーク環境を構築します。
■ システム制御ネットワーク(XSCFネットワーク)システム制御ネットワーク(XSCFネットワーク)は、システムを保守、管理するために使用するネットワークです。システムの監視、管理に使用するXSCFファームウェアの操作や電源の投入/切断、コンポーネント交換時の操作などに使用し
ます。システムの監視を遠隔操作で行う場合は、システム制御ネットワークを介
した環境を構築します。
システム制御ネットワークとユーザーネットワークを接続することもできますが、
セキュリティ上、ファイアーウォールなどを導入して、外部からシステム制御ネッ
トワークに不正侵入できないようセキュリティ対策が必要です。
システムを保守、管理するときに使用する端末(システム管理用端末)は、状況
に応じて、シリアルまたはLANで接続します。システム管理用端末の接続形態は、「2.1 システム管理用端末を接続する」を参照してください。
次に、システム構成ごとの接続イメージを示します。
図 1-8は、SPARC M10-1/M10-4/M10-4Sを1台で使用する場合のイメージです。
シリアルポートまたはXSCF-LANポートを介してシステム制御ネットワークに接続し、GbE LANポートを介してユーザーネットワークに接続します。また、SASポートからDAT、外付けDVD接続用USBポートからDVDへ、それぞれ接続します。
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 17
SAS
SPARC M10
USB
XSCFXSCF-LAN
GbE LAN
図 1-8 SPARC M10-1/M10-4/M10-4S 1台構成の接続イメージ
図 1-9は、SPARC M10-4Sを4台、クロスバーボックスを使用せずに接続して使用する場合のイメージです。
マスタXSCFをシリアルポートまたはXSCF-LANポートを介してシステム制御ネットワークに接続し、4台の筐体のGbE LANポートを介してユーザーネットワークに接続します。また、SASポートからDAT、外付けDVD接続用USBポートからDVDへ、それぞれ接続します。
SPARC M10 システム システム運用・管理ガイド・2014年11月18
GbE LAN
GbE LAN
GbE LAN
GbE LAN
XSCF
XSCF
SAS USB
SAS USB
XSCF
SAS USB
XSCF
SAS USB
SPARC M10
SPARC M10
XSCF-LAN
XSCF-LAN
SPARC M10
SPARC M10
図 1-9 SPARC M10-4S(クロスバーボックスなし)の接続イメージ
図 1-10は、SPARC M10-4Sを複数台、クロスバーボックスを介して接続して使用する場合のイメージです。
クロスバーボックス側にあるマスタXSCFをシリアルポートまたはXSCF-LANポートを介してシステム制御ネットワークに接続し、クロスバーボックスとSPARC M10-4SのGbE LANポートを介してユーザーネットワークに接続します。また、SASポートからDAT、外付けDVD接続用USBポートからDVDへ、それぞれ接続します。
第1章 SPARC M10 システムの概要を理解する 19
XSCF
XSCF
XSCF
SAS USB
XSCF
SAS USB
XSCF
SAS USB
XSCF
SAS USB
SPARC M10
SPARC M10
SPARC M10
SPARC M10
GbE LAN
GbE LAN
GbE LAN
GbE LAN
XSCF-LAN
XSCF-LAN
図 1-10 SPARC M10-4S(クロスバーボックスあり)の接続イメージ
図 1-11は、GbE LANポートを介して、ユーザーネットワークとは別のネットワークに接続する構成です。NTPサーバを使用して時刻を合わせたい場合などに、このネットワーク経由でNTPサーバに接続します。このとき、XSCF-LANポート経由のシステム制御ネットワークの間に、ファイアーウォールを設定することで、ユーザーネッ
トワークからXSCFを保護できます。
SPARC M10