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シミュレーション テクノロジーによる 医療機器設計の改善 ホワイト ペーパー 概要 このガイドは、医療機器の設計者が直面する数多くの課題と医療機器製品の設計にお いて生産性を最大化する方法について説明します。すでに開発されている医療機器を 例に、設計およびビジネス上の課題の解決と、製品の品質、信頼性、および安全性の 確保にコンカレント エンジニアリング アプローチがいかに役立つのかを解説します。

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シミュレーション テクノロジーによる医療機器設計の改善

ホワイト ペーパー

概要このガイドは、医療機器の設計者が直面する数多くの課題と医療機器製品の設計において生産性を最大化する方法について説明します。すでに開発されている医療機器を例に、設計およびビジネス上の課題の解決と、製品の品質、信頼性、および安全性の確保にコンカレント エンジニアリング アプローチがいかに役立つのかを解説します。

シミュレーション テクノロジーによる医療機器設計の改善 1

はじめに医療機器製品の設計者や開発者は、医療機器産業特有のビジネス上およびエンジニアリング上の数多くの課題に直面しています。インプラント、医薬品配送システム、診断装置、臨床研究機器、外科器具、医薬品パッケージング等の製品の設計においては、患者の安全性が、効率性、効果、コスト抑制と同様に重要になります。

ビジネス上の課題医療業界は変化や競争が激しく、日々変化しています。医療機器メーカーは、市場投入までの時間、イノベーション、コスト削減、グローバルな競争といった通常の設計上の課題に対処するだけでなく、患者の安全性に対して極めて重い責任を負い、厳密な規制基準を遵守することが求められます。

課題をさらに増やすかのように、規制当局による厳しい監視によって、医療機器メーカーは総合的な品質の安全性確保に四苦八苦しています。FDA (米国食品医薬品局) から発行される警告書の数が急増するのに伴い、医療機器メーカーが規制遵守のための活動に費やす時間と予算は増え続けています。実際、医療機器の研究開発関係の求人の 3 分の 1 は品質と規制に関するものであり、医療機器産業の研究開発費の 4 分の 1 は規制遵守のための活動に充てられています。

最近、Emergo Group が、回答者 5,400 名超の 2015 年度医療機器業界アンケート (2015 Medical Device Industry Survey) を実施し、医療機器産業の上級管理者に対して、彼らが抱える最も大きな課題は何かについて質問しました。従来の規制に関する懸念や、財政的課題が挙げられていること自体に驚きはありません。驚くべきは、これらの課題が新製品の開発と対等に扱われているということです。重要なのは、現在、医療機器の設計者が、これまで以上に新製品を迅速かつ低コストで開発すると同時に、高い品質と性能を一貫して確保しなければならないということです。

たとえば、Tensys Medical Inc. が業界初の非観血式連続動脈圧管理システムを開発した際、同社は市場投入の機会は限られており、製品を迅速に完成する必要があることを知っていました。同社は SOLIDWORKS® 設計検証ツールを使用することにより、設計サイクルを 60% 短縮し、医療機器市場に新しい分野を切り開きました。

重要なのは、現在、医療機器の設計者が、これまで以上に新製品を迅速かつ低コストで開発すると同時に、高い品質と性能を一貫して確保しなければならないということです。

Tensys Medical Inc. が設計した業界初の非観血式連続動脈圧管理システム

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さらに医療機器の開発者は、消費者の需要に製品を適合させると同時に、政府や消費者機関の基準および要件に従う必要もあります。たとえば、Kerr Group が市販医薬品パッケージを設計する際、同社の設計者は子供の誤飲等を防ぐと同時に、関節炎をわずらう高齢者でも開けやすいパッケージにする必要がある上、米消費者製品安全委員会の基準も満たさなければなりませんでした。

Kerr Group のエンジニアは、SOLIDWORKS Simulation を使ってこれらの条件を満たす設計を行っています。変化の速い医療機器製品の市場競争に勝つために、製品設計者は、開発と製造コストの削減、製造物責任問題の最小限化に全力で取り組まなければなりません。SOLIDWORKS ソフトウェアの設計検証ツールは、そのような彼らの日々の取り組みを支援します。

エンジニアリング上の課題前述の厳しい条件によって生じる課題に加え、医療機器製品設計には、処置時間や患者の負担を左右する人間工学的設計についての理解という課題もあります。医療サービスのコストは増大する一方であり、処置時間を短縮し、外科手術のコストを削減するという目標を達成するには、製品をより効率的でユーザーフレンドリーなものにすることが極めて重要です。医療従事者は、特定の外科処置に必要な外科器具に求められる可動範囲や接触荷重の要件に加え、厳しい美的要件もあり、設計者はそれを満たさなければなりません。さらに、医療機器製品に使用される材料がますます進化しており、製品エンジニアは、それらの強度や熱伝導率、材料特性に対する滅菌の効果等についても熟知しておく必要があります。

心臓ステントなどインプラント装置は完璧でなければなりません。故障は、死につながる可能性もあります。腰骨や膝などの整形外科用インプラントは、患者の苦痛や破損による危険を防ぐために、完璧に機能しなければなりません。また、患者が、適切なタイミングで、かつ生命に危険を及ぼさない形でインプラントを除去あるいは交換できるようにするために、製品エンジニアはインプラント装置の寿命を正確に予測できる必要があります。

コンカレント エンジアリング アプローチを用いた仮想シミュレーションを利用すれば、医療機器製品エンジニアは、このような複数のニーズをすべて同時に満たし、製品の品質、信頼性、および安全性を確保することができます。次に、医療機器ユーザーの具体的な例を紹介します。

医療サービスのコストは増大する一方であり、処置時間を短縮し、外科手術のコストを削減するという目標を達成するには、製品をより効率的でユーザーフレンドリーなものにすることが極めて重要です。

SOLIDWORKS Simulation により、製品設計者が顎骨再建で使用 さ れ る 人 口 顎 関 節 など、SOLIDWORKS 3D CAD ソフトウェア モデルを最適化することができました。

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医療機器業界における設計検証エンジニアが設計解析を実行する目的には、概念の確認、最良の設計を見つけるための「what if(もし~だったら)」スタディ、設計の検証、規制要件に対する対応の支援などがあります。概念の確認は開発サイクルの早い段階で必要です。「what if(もし~だったら)」スタディでは、ジオメトリ、材料の種類、使用時の荷重等のバリエーションを調べます。設計検証では、製品の信頼性をテストできると同時に、コストと時間のかかる物理的な試作品の数を減らすことができます。落下試験は、手で持って使用する機器、家庭用治療器の性能を確認するために実行します。これらすべてのテストの結果は、一般的に、規制当局に提出して承認を得るために使用できます。

FDA は医療機器製品に 3 つの分類レベルを定めています。

• Class I - 患者の体内に入ることのない、皮膚に接触するだけの受動機器

• Class II - 液体を患者の体に供給するための能動機器

• Class III - 患者の体内にインプラントされる機器

FDA は、FEA (有限要素解析) に詳しく、特に Class II および Class III の機器については、申請書類に設計検証結果が添付されることを期待しています。FDA は、このような解析結果が、確立済みの実験手法で得られた結果と一致することを求めています。

SOLIDWORKS Simulation による解析は、設計信頼性の証明に関して規制当局が求める要件を満たしています。

Dräger Medical, GmbH のエンジニアは、麻酔装置の再設計にあたり SOLIDWORKS Simulation ソフトウェアを使用することで、製品開発初期段階における試作品作成回数を 8 回から 2 回に削減しました。

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SOLIDWORKS SIMULATIONソリューションSOLIDWORKS ソフトウェアは、診断および診療装置、外科器具、インプラント、医薬品配送システム、医薬品パッケージング システムの多くのメーカーに 3D CAD プログラムとして採用されています。

SOLIDWORKS ソフトウェアを使用する製品エンジニアは、病院内で頻繁に移動する必要のある装置のポータブル性、処置のしやすさ、操作のしやすさ、医療機関および在宅ケアで使用するための設定のしやすさ等の設計上の課題を解決し、さらには、常に消費者および医療従事者の安全性を考慮しなければなりません。

概念設計から、製品開発の詳細決定、検証の段階にいたるまで、製品開発の各段階でテストを実行することは、製品の完成後の動作と、その製品が目的どおりに動作するかどうかを把握する上で、極めて重要です。直観的に操作できる SOLIDWORKS Simulation 設計検証ソリューションを利用すれば、SOLIDWORKS 3D ソフトウェア ユーザーは、設計プロセスのあらゆる段階で、さまざまなシミュレーションを実行し、エンジアリングに CAD データを活用することができます。また、SOLIDWORKS Simulation は、SOLIDWORKS 3D CAD に組み込まれているので、ユーザーは、さまざまなインターフェイスに切り替えることなく、前述のような解析を実行できます。

設計とシミュレーションの完全統合により、医療機器エンジニアは、設計変更やコンフィギュレーション別の解析を簡単に実行することができ、個別のニーズに合わせた製品作りが可能になります。SOLIDWORKS Simulation と SOLIDWORKS 3D CAD の完全な統合は、医療機器エンジニアに次のようなさまざまな利点をもたらします。

• 設計モデルとシミュレーション モデルが完全に関連しているため、あらゆる設計変更および設計バリエーションが、「what-if(もし~だったら)」シナリオのシミュレーション モデルに自動的に反映されます

• 強力な 3D CAD データ サポート: 設計特性は、材料特性、ファスナー、CFD における流体領域の自動認識、メッシュ定義のためのジオメトリ トポロジーの認識など、生産性が高くスムーズなワークフローのエンジアリング特性となります

• eDrawings の共有コミュニケーション ツールにより、シミュレーション結果を、プロジェクトのあらゆる関係者に対して簡単に伝えることができます

Dräger Medical, GmbH のエンジニアは、麻酔装置の再設計にあたり SOLIDWORKS Simulation ソフトウェアを使用することで、製品開発初期段階における試作品作成回数を 8 回から 2 回に削減しました。

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実績のあるシミュレーション ソリューションSOLIDWORKS Simulation の仮想テスト機能は、強力な FEA (有限要素解析) 基盤の上に構築されています。これまでユーザーは、SOLIDWORKS Simulation と、SOLIDWORKS Flow Simulation の CFD 機能、SOLIDWORKS Plastics のプラスチック射出成形ツール、SOLIDWORKS Sustainability の 持続可能性評価機能、および SOLIDWORKS Motion の剛体モーション シミュレーションとを組み合わせて、整形外科用インプラント、心臓ステント、人工心臓弁、ガン治療用投薬システム、溶液ポンプ、血圧モニター、麻酔装置、オープン酸素供給システム、血液遠心分離器、無針投薬システムなどの医療機器製品のテストを行ってきました。

SOLIDWORKS Simulation ソリューションは、コンカレント エンジアリングにユニークで新しいアプローチをもたらします。CAD に埋め込まれたツールを備えたこのソリューションは、最高水準の正確性と、独自の直感性およびエンジニアリング哲学を兼ね備えています。

解析機能SOLIDWORKS Simulation ソリューションは、包括的で一貫性のある、各種ツールのエンジアリング スイートを備えており、医療機器エンジニアは、1 つのソリューションだけで包括的な性能テストを実行できます。設計プロセスの中で、耐久性、静解析と動解析、アセンブリ モーション、熱伝導、流体力学、プラスチック射出成など、幅広いパラメータをテストできます。

静解析SOLIDWORKS Simulation は、圧力、ひずみ、変形を確認するための静解析を含む、幅広い構造解析機能を備えています。医療機器製品設計者は、情報を入力することで、製品の動作を把握し、設計を改善するか、エラーを回避することができます。

Tensys Medical は、あらゆる解析ツールの中で最もよく使用されるこのツールによって、手術中、患者の手首でセンサーを動かすアクチュエータを解析して、安全な間接的装置で患者の血圧を継続的に波形として出力するための最適な位置を見つけることができました。このアクチュエータのジオメトリは複雑で、Tensys のエンジニアは SOLIDWORKS Simulation の線形応力解析を使って応力の高い部分を発見し、その部分を排除しました。その後、設計者は、信頼性を高めるために設計を最適化して、ほぼ制限なく曲げ伸ばし可能な部品を開発しました。

熱解析熱解析では、医療機器の設計品における構成部品と、その環境の内部、および両者の間における温度と熱伝導を測定できます。これは、医療機器設計にとって重要な考慮事項です。多くの製品には温度依存特性を持った材料が使用されており、人間の体温と、機器に組み込まれた電子部品が発する熱によって影響を受ける可能性があるためです。また、製品の安全性も考慮すべき点です。製品やその構成部品の温度が極度に高くなる場合は、これにガードを取り付ける必要があります。

救命装置の世界的大手メーカーであるドイツの Dräger Medical は、人工呼吸器の呼吸気ユニットで使用されている材料をアルミからプラスチックに変更する際、SOLIDWORKS Simulation の線形静解析および熱解析を使って、性能と法的規制の遵守という観点から、さまざまなプラスチック素材の性能を分析しました。

SOLIDWORKS と SOLIDWORKS

Simulation の完全な統合により、医療機器製品設計者は、設計変更やコンフィギュレーション別の解析を簡単に実行することができ、個別のニーズに合わせた製品作りが可能になります。

熱解析では、医療機器の設計品における構成部品と、その環境の内部、および両者の間における温度と熱伝導を測定できます。

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固有値と振動解析医療機器が受ける振動は、性能を低下させ、製品寿命を短くし、さらには、製品の不適切な使用につながる可能性さえあります。

CT (コンピューター断層撮影) スキャナの設計および解析を手掛ける、ある大手機器メーカーにとって、固有値解析は特に重要でした。同社は、ある主要なアセンブリの固有値を緊急に調べる必要がありました。CAE 部門の責任者によれば、同チームは必要な結果をパソコン上で 20 分で得ることができたとのことです。しかもその解析は、他のシミュレーション ツールではベテランのエンジニアでも数週間かかると思われるものだったそうです。

接触解析あらゆる製品のアセンブリにとって接触解析は重要です。安全性が非常に重要となる医療機器製品の分野では特に重要となります。同じことは、医療機器製品に求められる安全率を判断する機能についても言えます。医療機器製品では、早期の故障が怪我や死につながるからです。1 例として、無針注射システムの開発を手掛ける、ある大手医療機器設計企業が挙げられます。この無針注射システムは、圧力を利用して、極細の薬剤の流れを作り出し、肌を貫通させ、皮下組織に薬剤を注入するように設計されました。同社のエンジニアは、機器の安全機構に静解析を行い、作動させる上で必要な接触力を予測しました。SOLIDWORKS Simulation を使いながら何度か設計を変更した後、緊急時に患者自身が装置を作動させるために必要な接触力のレベルを実現した最終設計を完成することができました。

CT スキャン装置のサブアセンブリの固有値解析

注入を作動させるのに必要な接触力を決定するための注入装置のトリガに関して、SOLIDWORKS

Simulation が使用されました。

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非線形解析非線形応力解析は、大半の一般的な荷重条件と材料状態における製品の次のような応力と変形を計算します。

• 動的 (時間依存) 荷重

• 構成部品の大変形

• ゴムや金属などの非線形材料の降伏点を超える応力

医療機器開発において非線形解析は、装置の破損を引き起こす要因を特定するために、多くの場合、重要な役割を果たします。SOLIDWORKS Simulation 材料データベースには、医療機器で幅広く使われている形状記憶合金「ニチノール」など、特性が事前に定義された非線形材料が数多く登録されています。非線形解析は、動脈を通るカテーテルを解析して人間の皮膚による抵抗と引張力をシミュレーションするような作業に使用されます。

従来のステントよりも挿入時の変形が少ない、新型の冠状動脈ステントを開発するにあたり、REVA Medical Inc. は SOLIDWORKS ソフトウェアを使用して、さまざまな非線形解析を行って機器の信頼性を時間軸で検証しました。これらの解析は、過去の設計よりも柔軟性や耐疲労性が高く、破損しにくいように設計された溶接接続部分に集中して行われました。その結果、性能を高めるいくつかの設計変更を行い、予想されていたよりも 50% 短い期間で製品設計を完成させることができました。

岡山大学歯学部のエンジニアは、SOLIDWORKS Simulation を使って、関節リューマチや下顎の再治療により顎関節に障害が残った患者向けに人工顎関節を設計しました。さまざまなプレートおよびスクリューのモデルや材料を解析し、非線形解析を活用することによって、顎関節に最も適切なプラスチック材料を特定することができました。

デンマークのコペンハーゲンにある National University Hospital では、SOLIDWORKS Simulation の非線形解析に、線形応力解析および熱解析を組み合わせて、侵襲的検査を行うことなくチタン製脊髄インプラントを解析しました。このインプラントは患者が一生使うことを意図しており、チタンと骨 (非線形材料) の間の相互作用は特に重要でした。非線形解析により、研究者は、インプラント周囲に骨がどのように形成されるかを確認することができました。

非線形解析により、ニチノール形状記憶合金を使ったステントの伸張を解析

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疲労解析疲労は「1 回の適用では破壊を生じるレベルに至らないが、さまざまな荷重の組み合わせやそれらの繰り返しにより生じる破壊」と定義されています。疲労解析は、繰り返し荷重サイクルまたはランダム荷重サイクルがどのように構造上の欠陥をもたらすのかを調べます。医療機器エンジニアにとって、テストの間に製品と材料の耐用年数を把握することは、患者の安全性を確保し、コンプライアンスを維持するうえで非常に重要です。

Cardiovascular Systems, Inc. (CSI) は、ダイアモンド コーティングされた使い捨てのカテーテルベースの器具を開発したことで、血液疾患の治療に革命をもたらしています。この器具は、アテレクトミーと呼ばれる治療法で使用されるものであり、遠心力を利用して動脈プラーク閉塞を最大 90% 取り除きます。

CSI が臨床試験に使用したアテレクトミー装置は全体がスチール製でしたが、FDA の承認に従う使い捨て可能なバージョンを製造するには、より安価な素材について試験する必要がありました。同社のエンジニアは、SOLIDWORKS Simulation ソフトウェアを使用して、性能を検証するために利用した高強度プラスチックの混合を試験の前に徹底的に分析することができました。

「SOLIDWORKS Simulation を使用することにより、構造解析と疲労解析を行って最適な設計と素材を選択することができました。この種の情報は、コストを抑え、品質を確保し、スケジュールどおりの開発を進める上で鍵となります」と、CSI の設計およびエンジニアリング サービス マネージャである Christopher Narveson 氏は述べています。これらの疲労解析の結果、CSI は、開発にかかる時間を 25% 短縮できました。

最適化解析設計段階における仮想テストの目的の 1 つは、環境制約条件下での製品の動作を改善することです。製品エンジニアは、CAD に組み込まれた SOLIDWORKS Simulation を使用して構造の最適化解析を行い、最適な強度と重量の比率、固有値、剛性などを見つけることができます。

医療機器エンジニアは、設計の最適化によって、動作環境におけるパフォーマンスを改善し、製造に使用される材料の量を減らして製造コストを削減することで、製品の価値を向上させることができます。最適化解析を導入することで、製品エンジニアが製品の動作についてより多くのことを把握し、その設計を改善することが可能になるのです。

CSI は、PREDATOR 360 (ダイアモンドコーティングされた使い捨てのカテーテルベースの機器) などの製品を開発することにより、血液疾患の治療に革命をもたらしています。

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数値流体解析 (CFD)流体の問題は、医療機器開発において非常に重要です。人工心臓弁、溶液ポンプ、酸素吸入など、数多くの製品において、さまざまな流体が、設計どおりに安定して、指定された温度で流れなければなりません。SOLIDWORKS Flow Simulation では、そのような問題を非常に簡単に解析できます。SOLIDWORKS Simulation と同様に SOLIDWORKS Flow Simulation も、SOLIDWORKS 3D CAD に完全に統合されています。

SOLIDWORKS Flow Simulation は、非ニュートン流体、流体の混合、熱伝達と流体の連成解析、外部/内部流れなど、流体シミュレーションを実行できます。非ニュートン流体の代表的な例に、血液の流れがあります。

Dräger Medical の人工呼吸器システムでは、SOLIDWORKS Flow Simulation を使用して、気体が人工呼吸器システムに流れこむ位置の変化による効果を解析し、患者が十分な酸素を確実に吸入できる設計を実現しました。同社によれば、SOLIDWORKS Flow Simulation と線形静的応力解析および熱解析を併用することでテストにかかる期間を約 50% 短縮し、物理的な試作品の数を 75% 削減できたそうです。

カナダの医療機器メーカーである Southmedic™ は、市場初の最小接触型オープン酸素供給システム、OxyArm™ ヘッドセットを設計しました。この機器の背後にある技術は、デフューザー カップの内部に生成される、トーチ状または渦状の流れパターンを基盤とし、さまざまな流速で、適切な濃度の酸素を患者に供給するものです。解析には、空気と酸素を混合するプロセスにおいて内部流れと外部流れの組み合わせが必要でした。SOLIDWORKS Flow Simulation では、このような複雑な CFD 解析も非常に簡単に行うことができます。Southmedic のエンジニアは、設計を微調整することにより、目には見えないプロセスで目的の性能レベルを実現し、時間とコストの節約を可能にしました。

SOLIDWORKS Flow Simulation

は、非ニュートン流体、流体の混合、熱伝達と流体の連成解析、外部/内部流れなど、流体シミュレーションを実行できます。非ニュートン流体の代表的な例に、血液の流れがあります。

SOLIDWORKS 3D CAD に完全に組み込まれた SOL IDW ORK S

Flow Simulation の直感的に操作できる CAD ツールによって、現実世界の条件で液体の流れをシミュレーションできます。

Southmedic は、CAD に組み込まれたシミュレーションの利点を活用し、設計サイクルを 45% 短縮することに成功しました。

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モーション シミュレーションSOLIDWORKS Motion Simulation によって医療機器エンジニアは、動きや荷重が急激に変化することなく、滑らかに動作する装置や器具を実現できます。モーション シミュレーションの荷重データ結果は、SOLIDWORKS Simulation に転送して部品の強度解析に使用でき、医療機器製品設計の最適化に重要な役割を果たします。

たとえば、外科的手術を最小限に抑えるための外科器具および機器の某メーカーでは、ステープラー、ファスナー、リトリーバなどの構成機器の荷重プロファイルを確認する必要がありました。そのような情報を確認するため、同社は、手術中に人体組織を押さえるための器具の機構の開閉に必要な力を最適化する必要がありました。そこで同社の設計者は、SOLIDWORKS Simulation を使用して、モーション シミュレーションから力データを取得し、設計の変更に利用しました。わずか数回の設計変更で、外科医にとって使いやすく、患者の負担も最も少ない最適な設計を完成することができました。

環境への配慮医療機器業界の大手企業は、より環境的に配慮した方法でコストを削減し、利益を高めるため、新しい環境配慮戦略を追求しています。この業界における環境配慮への取り組みは増加しており、製品開発プロセスにも影響を与えています。SOLIDWORKS Sustainability は、個々の設計について、材料、製造、アセンブリ、輸送の影響など、製品ライフサイクル全般における環境への影響を測定し、環境に関する実行可能な情報を提供します。

製造コストの削減、環境に配慮した製品開発といった利点に加え、環境アセスメントによって製品の輸送や使用、破棄の潜在的な影響を評価することで、製品の総所有コスト (TCO) が低く抑えられます。

プラスチック小型の医療機器のほとんどはプラスチックで製造されています。SOLIDWORKS Plastics を使用すれば、プラスチック部品や射出成形金型の設計者は、使いやすい射出成形シミュレーションと、高度な CAE 解析を直接活用できます。また、射出成形過程での溶融したプラスチックの流れをシミュレーションして、部品や金型の製造関連の不具合も予想できます。設計時に製造効率をすばやく評価して、コストのかかる金型の作り直しをなくし、部品の品質を改善して、市場投入までの期間を短縮できるのです。

受賞歴のある セルフパワードスーツのメーカーである Strong Arm Technologies では、 SOLIDWORKS Plastics が、リフティング システムの設計の製造効率性を最適化する上で重要な役割を果たしました。エンジニアリング担当のバイス プレジデントである Michael Kim 氏は自身の経験を次のように述べています。「当社は、製品の多くの部品を、性能に影響を与えることなく、コストを抑えて製造し、組み立てることが求められています。SOLIDWORKS の解析、製造効率性を配慮した設計、射出成形ツールにより、耐用年数の長い高性能な製品を安価に製造できます」

「たとえば、SOLIDWORKS Plastics を使用することで、仮想射出成形プロセスに部品を通して、抜き勾配の必要性がある部分を特定したり、工具に投資する前に問題を明らかにしたりすることができます」とKim氏は続けます。「SOLIDWORKS の製造性を配慮した設計ソリューションを活用することで、プロセス全体の効率化を進め、製造パートナーとの共同作業に要する時間とコストを節約できます」

SOLIDWORKS Sustainability を利用すれば、製造コストを削減し、環境に配慮した製品を開発しながら、環境アセスメントによって製品の輸送や使用、破棄の潜在的な影 響を評 価することで、製品の総所有コスト (TCO)

を低く抑えることができます。

Strong Arm Technologies は、 SOLIDWORKS Simulation を使用することで設計パフォーマンス スタディを実施し、荷重分散を最適化して、より軽量で、より強度が高く、より効果的な製品を開発しました。

結論医療機器製品の設計者は、医師のニーズ、患者の安全性に対するニーズ、規制当局のニーズを満たすことが求められます。製品の性能には人命がかかっているため、品質を妥協することは絶対にできません。医療機器製品設計者は、これらの要件をすべて確実に満たすため、ユニークなエンジニアリング ツールと、組み込まれた Simulation CAD ソリューションを利用することができます。これにより、設計プロセスの初期段階で設計中の製品の性能をテストし、概念の改善、設計の最適化、不具合の検知を行うことができます。このアプローチでは、品質に関する厳しい規制をクリアすると同時に、コストの制約を守ることができます。その結果、医療界に飛躍的進歩をもたらす、規制に適合した製品を迅速に開発することができます。余裕のないスケジュール、競合企業からの追い上げ、複雑な規制への対応などにいつも直面しているのなら、CAD と組み込みシミュレーション機能によるコンカレント エンジニアリングをご利用ください。かつてないほど迅速に課題に対応して、医療界の飛躍的進歩を実現することができるはずです。

ダッソー・システムズの3Dエクスペリエンス・プラットフォームでは、12の業界を対象に各ブランド製品を強力に統合し、各業界で必要とされるさまざまなインダストリー・ソリューション・エクスペリエンスを提供しています。 ダッソー・システムズは、3Dエクスペリエンス企業として、企業や個人にバーチャル・ユニバースを提供することで、持続可能なイノベーションを提唱します。世界をリードするダッソー・システムズのソリューション群は製品設計、生産、保守に変革をもたらしています。ダッソー・システムズのコラボレーティブ・ソリューションはソーシャル・イノベーションを促進し、現実世界をより良いものとするためにバーチャル世界の可能性を押し広げています。ダッソー・システムズ・グループは140カ国以上、あらゆる規模、業種の約19万社のお客様に価値を提供しています。より詳細な情報は、www.3ds.com (英語)、www.3ds.com/ja (日本語)をご参照ください。

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