16
2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 1 「定量的品質管理」手法の企業での取り組み事例 品質・生産性目標の設定方法 現場で定着させるテクニック ~品質管理を効果的に実践するには~ SECセミナー20121221日) 「定量的品質管理、実践的取組み」 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 業務プロセス改善推進室 室長 兼 生産技術本部 品質保証部 次長 藤原 良一

SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 1

「定量的品質管理」手法の企業での取り組み事例

①品質・生産性目標の設定方法

②現場で定着させるテクニック ~品質管理を効果的に実践するには~

SECセミナー(2012年12月21日)

「定量的品質管理、実践的取組み」

三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 業務プロセス改善推進室 室長

兼 生産技術本部 品質保証部 次長 藤原 良一

Page 2: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 2

① 品質・生産性目標の設定方法

プロジェクトの特性に応じた

目標値を設定しよう!

Page 3: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 3

品質・生産性目標の測定量

品質・生産性の測定量は何があるの?

点検のタイミング 種類 要件定義 設計 製作 試験 全体

見積り

・概算

・正式

生産性

再見積り

・PJ計画

生産性

品質

・規模に対する 工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL)

・生産効率 (L/Hr)

・レビュー 誤り指摘率 (件/ページ) ・レビュー密度 (Hr/ページ)

・誤り検出率 (件/KL) ・試験密度 (項目/KL)

・レビュー 誤り指摘率 (件/ページ) ・レビュー密度 (Hr/ページ)

・規模に対する 工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL)

・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績 (日/KL) ・ステップ別工数比率 (%)

・規模に対する 工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL)

・生産効率 (L/Hr) ・ステップ別工数比率 (%)

・生産効率

(L/Hr)

・レビュー 誤り指摘率 (件/ページ) ・レビュー密度 (Hr/ページ)

Page 4: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 4

目標値のガイドラインはどうやって出すの?

品質・生産性

データ 特性設定

データ

抽出

クレンジング したデータ

ガイドライン値

ドメインの

検討 データのクレンジング

ガイドライン

の精査 導出したいドメインの特性を設定

ガイドラインの精度を上げるため、有識者によるデータのクレンジングを実施

システム

人間系

導出したガイドラインを精査し、ドメインの見直し、データの再クレンジングを行い精度を上げる

○○ 全社

5

10

15

20

L/h

Javaライン生産効率(L/hr)

SEC

プロジェクト完了報告書からデータベース化

ガイドラインの精度を上げるにはデータの精査

が重要

品質・生産性目標の導出方法

Page 5: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 5

プロジェクトのドメイン設定

分類 項番 データ項目 説明

開発PJ全般 103 開発PJの種別 新規/改修・保守/再開発/拡張

107 開発PJの概要 SW開発/インフラ構築/運用構築/移行/保守/・・・

: : :

利用局面 201 業種 民営職業紹介業/酒類製造業/製本業,印刷物加工業/信書送達業/郵便局/競輪・競馬等/司法機関/・・・

202 業務の種類 会計・経理/生産・物流/受発注・在庫/物流管理/顧客管理/施設・設備/・・・

203 システムの用途 ネットワーク管理/プロセス制御/金融取引/ジョブ管理・監視/SCM/CRM/CTI/EDI/画像/音声処理・・・

: : :

システム特性 304 業務パッケージ SAP・・・

312 主要開発言語 COBOL/C++/VB/EXCEL(VBA)/Java/HTML/XML

: : : :

新規、改修、リプレースなどで選択できる

主要開発言語で選択できる

SW開発、インフラ構築、保守などで選択できる

パッケージで選択できる

※ プロジェクトプロフィールの詳細についてはSEC BOOKSの 「ソフトウェア開発データ白書」をご参照下さい。

プロジェクトプロフィールの項目は何があるの?

具体的には

Page 6: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 6

② 現場で定着させるテクニック ~品質管理を効果的に実践するには~

開発活動と管理を連動させよう!

Page 7: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 7

なぜ定量的品質管理が現場に定着しないの?

定量データがうまく収集できない・・・

データから問題を見つけられない・・・

効果のあるアクションに結びつかない・・・

開発管理とデータ収集の連動(プロセスの整備) プロセスの監視と評価

1. 現状分析によるプロジェクト推進方針の明確化 2. フェーズ推進計画の全員の同意 3. プロジェクト推進の標準化 4. プロセスの監視と評価

Page 8: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 8

定量的品質管理の進め方

設計 製作 試験

(レビュー&テスト)

現状分析

設計フェーズ 推進計画

お客様との同意

設計標準類 整備

トレーニング

製作フェーズ 推進計画

お客様との同意

製作標準類 整備

トレーニング

試験フェーズ 推進計画

お客様との同意

試験標準類 整備

トレーニング

最終 中間 プロセス評価 最終 中間

(レビュー) (レビュー&テスト)

最終 中間

(テスト計画)

進捗・品質管理支援 進捗・品質管理支援 進捗・品質管理支援

カットオーバー判定

(カットオーバー基準含む)

プロジェクト 品質評価

お客様との同意

1. 現状分析による推進方針の明確化 2. フェーズ推進計画の全員の同意

3. プロジェクト推進の標準化 4. プロセスの監視と評価

Page 9: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 9

1.現状分析による推進方針の明確化

現状分析の観点

お客様からの要求事項

システム開発点検事項、セキュリティチェック、関係部門レビュー ・・・

EXITクライテリア

実施すべき項目の観点

各フェーズでの完了事項

成果物、レビュー、EXIT判定・・・

各フェーズでの準備事項

標準類整備、申請書提出・・・

プロジェクトの前提条件や各フェーズのEXITクライテリアを元に、プロジェクト推進として実施すべき事項を洗いだす

実施すべき事項をフェーズ別に整理する。

Page 10: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 10

2.フェーズ推進計画の全員の同意

当該フェーズのアウトプットのマイルストーンを設定し、お客様の同意を得る(次フェーズの計画やプロセス整備関連も忘れずに入れる)

フェーズ推進計画をお客様やプロジェクトメンバーで共有する (極力会議形式にして全員の同意を得るようにする)

Page 11: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 11

3.プロジェクト推進の標準化

★ プロジェクトメンバーの成熟度に見合った標準類を整備する 現状実施している内容をベースに標準類を整備する

実施内容として問題がある部分は、メンバーの力量を見て補完する

★ 標準類はトレーニングを行う 極力会議形式にして全員の理解が確認できるようにすること

標準は、手順書・様式・サンプルを整備する

設計書作成ガイド

レビューチェックリスト利用 ガイド

テスト要領書作成ガイド

変更・構成・進捗・品質の管理手順 ・・・ etc

支援ツールは、利用ガイドとツールを整備する

進捗管理、レビュー、障害管理などの支援ツール

設計のQCポイント

Page 12: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 12

品質管理プロセスを進捗管理の予実管理で監視 設計書作成・レビュー

コード作成・レビュー

テスト要領書作成・レビュー

テスト項目計画・実績

品質管理プロセスを 進捗計画に展開

進捗管理表

計画 実績

プログラム仕様書 CD UT書 UT実施 プログラム仕様書 ・・・ 着手 作成完了 レビュー

反映完了

テスト

項目

着手 完了

① ②

③ ④

① ② ③ ④

プロジェクト推進計画が実践されているかを監視する

進捗管理の中に品質管理プロセスを組み込むことで、確実に 品質管理プロセスの監視が行える

4.品質管理プロセスの監視と評価

Page 13: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 13

レビュー状況を可視化

客観的なデータから品質を分析 レビュー工数の投入は適切か? (レビュー工数率)

レビュー工数と誤り検出の傾向は? (誤り検出率)

上流設計の誤りの検出量は適切か? (誤り分類)

必要であれば、お客様を巻き込み対応を検討する

4.プロセスの監視と評価

★ プロセスの質を評価する プロセスを実践しているのみでなく、プロセスへの投入工数や障害・誤り摘出状況を評価する

障害・誤り摘出状況に関しては、その内容についても問題がないか評価する

Page 14: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 14

当該フェーズの品質が確保出来ているかを多角的に分析する

4.プロセスの監視と評価

★ 分析項目

品質目標に対する分析

レビューやテストでの誤り内容の分析

品質の収束度の分析

サブプロジェクトの主な誤りと対応状況、フォロー項目の明確化

性能評価

・・・など

Page 15: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 15

まとめ

1. 品質・生産性目標は実績値を参考に、 プロジェクトの特性を加味して設定する。

2. 定量的品質管理を行うには、プロセスの安定化(活動の明確化)が必要。

3. 開発で行うべき活動と開発管理を連動 させてデータを確実に収集する。

Page 16: SEC 2012 「定量的品質管理、実践的取組み」 - IPA(Hr/KL) ・規模に対する 工期実績 (日/KL) ・規模に対する工数実績 (Hr/KL) ・規模に対する工期実績

2012/12/21 Copyright(c) MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION SYSTEMS Co. All rights Reserved 16

プロジェクトマネジメント学会誌 通巻70号

特集:プロジェクトの品質と顧客満足 より抜粋

「ソフトウェア開発プロジェクトの計数管理フレームワークによる定量的管理」 より抜粋

計数管理を効果的に活用するためには、プロジェクト実績の集計と分析の結果を元に、「測定の評価」を行い測定プロセスの改善を実施しなければならない。ここで重要な点は、単に分析の結果を評価するのではなく、測定利用者のフィードバックに対応し測定プロセスを見直す仕組みを組み込むことである。

プロジェクト性能(生産性、欠陥密度、工期遵守率など)はプロジェクトの属性や非機能要因の影響に大きく左右されるものである

基準値により適切な管理を行うためにはプロジェクトの特性を反映した基準とする必要がある。

信頼度成長モデルは、テストの初期段階でも欠陥の検出が収束していると判定してしまう場合がある。そのため、基本的にはテストケース又はテスト労力が60%に満たない場合は、予測の結果を利用しない。

「高品質ソフトウェア開発を実現する品質会計技法」より抜粋 品質会計は、データに基づいて品質管理を実施する。しかし、適用場面においては、計測されたデータだけに頼ることなく、現場で実際に起こっている事実の確認を重要視している。その理由は、データだけに頼ると、事実を誤認する恐れがあるからである。

参考情報