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江口さんとの幻の論文
中山 優 (立教大学数理物理センター)
1993年8月28日
1993年8月28日
• 江口さんをテレビでみた!
1993年8月28日
• 江口さんをテレビでみた
• おしえて、理科のえらい人
1993年8月28日
• 江口さんをテレビでみた
• おしえて、理科のえらい人
• ウゴウゴルーガ、夏休みスペシャル!
• ちなみに、おしえてえらい人のコーナーは• 第一回が宇宙のえらい人「佐藤勝彦先生」
• 最終回が恋愛のえらい人「飯島愛先生」
Liouville 理論の duality
• 元の理論に dual のポテンシャルを足すべき• Dual なのでどちらか一方(のみ)で定義されるべき
• この理論は厳密に解ける(DOZZ, Teschner…)• 「解」には bとその逆数を入れ替える対称性がある
N=2 super Liouville 理論の duality?
• この理論には2種類の Liouville potential (super とKahler)が導入できる
N=2 super Liouville 理論の duality?• 「解」の性質(e.g. Hosomichi) からなんらかの意味で
dualであると考えられた
• 修士論文の発表会でこれを解説したら・・・
• (柳田さん)解ける場の理論に興味があるのはいいけど、そもそも dual に思えない
• Y のシフト対称性が では破れているが にはある
僕の回答・・・• Hori-Kapustin のミラー対称性というのがある
• N=2 super Liouville ⇔ SL(2)/U(1) 風間・鈴木 coset
• そこで、ミラーのシガーをターゲットスペースにとった非線形シグマ模型に形式的な T-dual 変換をすると dual のケーラーポテンシャルの最低次が出る
• Y のシフトの「破れ」は、ミラーではシガーの空間で巻き付き数が保存しないという非摂動効果になっている。
• それをもう一回 T-dual を取るとトランペットの先でターゲットスペースが特異になっていて・・・
• 苦しい(涙)。そして本郷の理論研は怖い。
2004年6月9日(水)
•突然江口さんからメールが届く
•懸案のN=2 Liouville duality は Eguchi-Hanson 空間の対称性から理解できる(ので議論しませんか?)というノートが送られてくる
• この未発表(?)の仕事の解説をしたい(もし、どこかで発表されていたら教えて下さい。)
その前に Eguchi-Hanson 空間と N=2 Liouville 理論について少しだけ
• SU(2) holonomy を持った Hyper Kahler多様体
• 3つの複素構造(Kahler form と (反)正則 2-form) がSU(2) tripletになる
• Q=1 に取った N=2 super-Liouville 理論から作った弦理論は、Eguchi-Hanson 空間上の弦理論と等価(実際、Q=1 で c=6 であった e.g. Eguchi-Sugawara
• このため、実は N=4 の超対称性がある(SU(2)はどこから?)
• Hyper Kahler rotation はどう実現される?
N=4 SUSY in N=2 Liouville (Q=1)• Q=1 は特別で Y の半径が free fermion radius!
• Dirac fermion (Majorana 2つ)を全部ボソン化してみる
• すると Y と H は等価
• あるいは、Y をフェルミオン化すると、2つのDirac (4つのMajorana)フェルミオンができて、それらが基本的に等価になって(!)N=4 super conformal algebra (SCA) を作ることができる。
• しかも Liouville の指数形が等しい!
N=4 SUSY in N=2 Liouville (Q=1)• N=4 super conformal currents
隠れた SU(2)• Majorana Fermionが4つなので、 Liouville
interaction がなかったら SO(4) = SU(2)x SU(2) のR対称性がある
• しかし、Liouville potential はそれを SU(2) に破り
隠れた SU(2)の意味• 「破れた」SU(2)の作用は(Liouville potential なしで)
• この SU(2) は幾何学的には Eguchi-Hanson space のHyper Kahler rotation に相当している!
• そして、SU(2) によって、3つのLiouville potential はtriplet として回転する(つまり、複素構造の取替えそのものが N=2 Liouville の duality!)
江口さんの慧眼
• N=4 のSCFT を N=2 のSUSYの言葉で書くと、manifest にする SUSY の取り方の選び方は、hyper Kahler rotation を固定して一つ複素構造を選ぶことに相当
• このとり方で、Kahler potential と super potential が交換している
• N=2 super Liouville duality は hyper Kahler rotation (実は全部足しても1つ選んでも等価!)
• S をどれか一つ選ぶと、SU(2)xSU(2) を SU(2) に破る
• 柳田さんの質問はこれで解決されている。Super potential は U(1) を破り、Kahler potential は U(1) を破っていないように見えたが、実は、理論の方にさらに大きな対称性があって、Kahler potential の方がそれを破っているのである。
その後
• これが未発表(?)なのはなぜか?
• Q=1でないときは(僕には)よくわからない
• 江口さんの青春の夢「K3 の Ricci flat計量を求めること」
• N=4 SCFT の共形ブートストラップ? (Lin-Shao-Simmons-Duffin-Wang-Yin)• Eguchi-Hanson SCFT が bound を saturate• K3 の Laplacian の固有値に
bound (太鼓の音から)
• 江口さんは立教大学で
共形ブートストラップにも
興味を持たれていた(奥田、長谷川)
立教での江口さん
• 数理物理センター設立、センター長(2012~2017)「キャンパスを綺麗にすることに命をかけていて、学生がみんなハッピーに見える」
• 「共形場理論」の出版(岩波書店 2015)
• 修士指導学生(小林)
• 博士指導学生(奥田、長谷川→中山へ引き継ぎ)
「中山さん、あなたも僕の血を継いでるのだから…」
• PTEP の編集長(2017~)
「この仕事をやって初めて僕は自分の知らない物理がたくさんあることがわかった。」
• Rikkyo mathphys 2020 1/11、1/12
• Eguchi Memorial Symposium 3/12、3/13 (IPMU、本郷と共催)
1冊のコクヨファイル