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ROAD TEST No.5000 テスト車輌概要 MODEL TESTED ●モデル名:BUGATTI VEYRON 16.4 SUPER SPORT WORLD RECORD EDITION●車輌本体価格:邦貨換算約2億6600万円 ●日本発売時期:未定●最高出力:1200ps/6400rpm ●最大トルク:152.7kgm/3000-5000rpm●0-97km/h加速:2.6秒●113-0km/h制動距離:45.2m ●最大求心加速度:1.13G●テスト平均燃費:4.1km/ℓ●CO₂排出量:539g/km オートカーの結論 ★★★★★★★★★☆ 1 4 3 2 BUGATTI VEYRON SUPER SPORT ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツ ボディパネルは通常のカーボンファイバー製だが、この サイドパネルだけは鍛造カーボンファイバー製である。 Aピラーはスタンダードのヴェイロンよりも細くなってお り、前方視界が改善されている。 20インチのマグネシウム合金製。タイヤ(1セット2万 ユーロ=約220万円)交換5回につき、ホイール(1セッ ト5万ユーロ=約550万円)も1回交換する必要がある。 冷却システムは完全に設計し直され、その結果、ヘッド ライトの下にいくつものベントが設けられた。 BODY PANEL ボディパネル A-PILLAR Aピラー WHEEL ホイール COOLING SYSTEM 冷却システム 1 2 3 4 100 AUTOCAR 5/2011

ROAD TEST No.5000 - AUTOCAR JAPAN...BUGATTI VEYRON SUPER SPORT ROAD TESTWE LIKE Performance, Dual-clutch ’box, Road presence, Brakes, High-speed stability パフォーマンス、デュアルクラッチギアボックス、路上での存在感、ブレーキ、高速度域での

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  • ROAD TEST No.5000

    テスト車輌概要 MODEL TESTED●モデル名:BUGATTI VEYRON 16.4 SUPER SPORT WORLD RECORD EDITION●車輌本体価格:邦貨換算約2億6600万円●日本発売時期:未定●最高出力:1200ps/6400rpm●最大トルク:152.7kgm/3000-5000rpm●0-97km/h加速:2.6秒●113-0km/h制動距離:45.2m●最大求心加速度:1.13G●テスト平均燃費:4.1km/ℓ●CO₂排出量:539g/km

    オートカーの結論

    ★★★★★★★★★☆

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    BUGATTI VEYRON SUPER SPORTブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツ

    ボディパネルは通常のカーボンファイバー製だが、このサイドパネルだけは鍛造カーボンファイバー製である。

    Aピラーはスタンダードのヴェイロンよりも細くなっており、前方視界が改善されている。

    20インチのマグネシウム合金製。タイヤ(1セット2万ユーロ=約220万円)交換5回につき、ホイール(1セット5万ユーロ=約550万円)も1回交換する必要がある。

    冷却システムは完全に設計し直され、その結果、ヘッドライトの下にいくつものベントが設けられた。

    BODY PANELボディパネル

    A-PILLARAピラー

    WHEELホイール

    COOLING SYSTEM冷却システム1 2 3 4

    100 AUTOCAR 5/2011

  • BUGATTI VEYRON SUPER SPORT ROAD TEST

    WE LIKEPerformance, Dual-clutch ’box, Road presence, Brakes, High-speed stabilityパフォーマンス、デュアルクラッチギアボックス、路上での存在感、ブレーキ、高速度域でのスタビリティ

    通算5000回目となる今回の記念すべきロードテストに供されたのは、もはや滑稽にさえ聞こえる1200ps/152.7kgmのパワーと邦貨換算約2億6600万円の途方もないプライタグが与えられた、世界最速の称号を欲しいままにするヴェイロン・スーパースポーツだ。もしかすると世界はこのクルマを必要としてはいないかもしれないが、自動車産業の到達点を見極める試金石として、その存在意義はたしかにある。

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    加速能力が格段に向上しているため、巨大な2枚式スポイラーが自動展開するタイミングは、通常のヴェイロンよりも早い。

    新しいエグゾーストシステムはこのスーパースポーツのために専用で設計されたものだが、排気音はかなり控えめである。

    ボディの片側にフューエルフィラーキャップ、反対側にオイルフィラーキャップが設置されている。

    クラムシェル型のリアボディは完全に一新された。はるかに大型のNACAダクトはエンジンの冷却を助け、2枚のウィングに流れる気流を整える。

    WE DON'T LIKEToo much tyre rumble on rough surfaces, Weight, A tad priceyラフな路面ではタイヤノイズが大きすぎる、車重、高額なプライス

     VWは声高に喧伝してはいないが、ヴェイロンはもともとベントレーのモデルとして開発される手筈だった。1999年のジュネーブ・モーターショーで発表されたユノディエールというコンセプトカーが原型で、ミドエンジンで4WD、632psのW16エンジンを搭載していた。 だがベントレーは方針を変更し、このモデルはお蔵入りとなり、その復活はVWグループの総帥、フェルディナント・ピエヒにとって個人的な達成目標となった。その後、元銀行家のトーマス・ブシャーが現われ、4基のターボを備えたヴェイロンはブガッティのロードカーとして2005年に市販されたのである。

    ヴェイロンの出発点となったベントレー・ユノディエール。

    フェルディナンド・ピエヒの夢HISTORY

    REAR SPOILERリアスポイラー

    TAILPIPESテールパイプ

    FILLER CAPフィラーキャップ

    REAR BODYリアボディ5 6 7 8

    101www.autocar-mag.com

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    1

    ステアリングホイールには新しい素材が使われている。触り心地は素晴らしく、また見た目にも魅力的だ。

    オプションでフルハーネスを装備することも可能だが、その場合ヘルメットとHANSが必須となる。エアバッグ機能が解除されるからだ。

    リアビューカメラのディスプレイがルームミラー内に組み込まれている。廉価なクルマにも見られるアイディアだが、利便性は高い。

    シフトパドル付き7段DCTの動作性は申し分ない。レバーによるマニュアルシフトと、オートモードも可能。

    計器類のディテール処理が美しいが、ダッシュボードの大きさに比べると、かなり小さく見える。

    STEERING WHEELステアリングホイール

    HARNESSシートベルト

    REAR-VIEW CAMERAリアビューカメラ

    SEVEN-SPEED DCT7段DCT

    INSTRUMENTS計器類 1

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    102 AUTOCAR 5/2011

    今の世の中において、このブガッティ・ヴェイロンのようなクルマが必要とされていないのはほぼ間違いない。だが、そんなクルマが存在すること自体が祝福すべきことであるのもまた事実だ。何といってもこのヴェイロンは、4つの車輪の付いた乗り物としては究極の創造物であるからだ。これは過去100年で自動車産業がどこまで進歩してきたのかを示す尺度であり、もっとも過激で、もっとも高価な他に類を見ないクルマなのだ。 そして、いささか滑稽にさえ聞こえる1200psのパワーと200万ポンド(=邦貨換算約2億6600万円)近い価格を呈するこのスーパースポーツ・ワールドレコード・エディションは、今世紀の初めに始まったヴェイロンのストーリーの最終章を飾るものだ。そしてそのストーリーはおそらく再び綴られることはないだろう。 ゆえにわれわれはこのクルマが、本誌が実施してきたロードテストの記念すべき通算5000回目の対象として相応しいと考えたのだ。ではこれから、世界でもっとも長い歴史を持つ自動車雑誌による世界最速のロードカーの厳正テストの顛末をじっくりとお読みいただきたい。 警告:肝っ玉の小さいひとはこれから出てくるいくつかの数字に腰を抜かすかもしれない。 

    DESIGN & ENGINEERING●意匠と技術★★★★★★★★★★ 世界最速のクルマ、ヴェイロンのスーパースポーツ・バージョンにおいて特筆すべき点は、それ自体がほぼまったく新しいモデルであるといって差し支えないということだ。ほとんどあらゆる可動部品がデザインあるいは設計の見直しを受けている。だが、それだけの手間をかけながら、生産されるのは40台に満たないのだ。 ヴェイロン・スーパースポーツの心臓部は、従来のモデルに搭載されていた8.0ℓW16エンジンの設計を見直したユニットだ。W型という形式が示唆しているように、これは実質的に2基の4.0ℓV8エンジンを共通のクランクシャフトで連結したもので、ターボチャージャーを4基備える。このスーパースポーツでは圧縮比が下げられているが、ターボ容量が増やされ、過給が高められている。 最高出力は1200ps/6400rpm(スタンダードのヴェイロンに比べて199psアップの出力を、400rpm高い回転数で発生する)で、最大トルクは127.5kgmから152.7kgmに増大している。車輌重量は公称で1838kg(従来よりも50kg軽い)だが、われわれの実測では1995kgだった。したがってパワーウェイトレシオは1tあたり602psとなり、ブガッティの公称値ほど高くはない。 このエンジンに組み合わされるのは7段のDCTである。これは英国のリカルド・エンジニアリング社との共同開発によるものだ。駆動力はハルデックス4WDシステムを介して4輪に送られる。 サスペンションの基本構成は同じで、前後ともダブルウィッシュボーンだが、スタンダードのヴェイロンとスーパースポーツの違いはダンピングシステムにある。スーパースポーツでは専用のダンパーが装着され、それがあらゆる速度域においてより優れたダンピングを提供するのである。 外観上、このスーパースポーツはヘッドライト下に追加された冷却ダクトと、ルーフ上の巨大なNACAダクトによってスタンダードモデルと見分けることができる。またオプションとして、ヴェイロンがVWのテストコース、エーラ・レッシェンで2010年に431km/hを達成した際のマシーンと同じオレンジとブラックの専用カラーリングも用意されている。 ブレーキディスクは前後ともカーボンセラミック製で、前400mm、後380mmという巨大なサイズとなる。こ

    のブレーキシステム自体はスタンダードモデルと同じものだが、新しいボディに追加されたダクトによって冷却性が改善されている。驚異的な最高速度のために、タイヤはミシュラン製の専用開発品を履く。サイズはリアが365/30、フロントが265/35である。 378km/h以上のスピードを出すには、第2のイグニッションキーを使って、巨大な2枚式リアウィングが展開し

    ないように設定する必要がある。通常、ウィングはハイスピード走行時の安定性を高めるために自動的に展開する。われわれのテストでは第2のイグニッションキーは使われなかった。「300km/h以下の速度域ではリアウィングがクルマのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことはない」という説明があったからだ。

  • BUGATTI VEYRON SUPER SPORT ROAD TEST

    彫刻のように美しいエンジンがもたらす重力加速度は最大1.2Gだ。

    十分広く上質なクラフツマンシップに溢れているが、少々地味だ。

    HOW BIG IS IT?Cd=0.39

    VISIBILITY TEST 視認性テストより細くなったAピラーのおかげで前方視界が改善された。

    奥行き:360mm

    高さ:155mm

    「驚異的なトラクションとグリップ、優れたボディコントロールを備えるが、 同時に軽率なドライバーに対しては激しく牙を剥くクルマである」

    トランクには最小限の広さしかないが、洗練された造形をしている。

     ブガッティがスタンダードモデルのエンジンをこの

    スーパースポーツのために多少パワーアップしただけ

    だと思っているひとがいたら、考えを改めたほうがい

    い。16気筒の4ターボエンジンはより容量の大きいイン

    タークーラーとターボを装着するとともに、背圧を減ら

    した新エグゾーストシステム、まったく新しい冷却シス

    テム、ルーフに設けたNACAダクトから気流を導く高効

    率の吸気システムを得ているのだ。別物だといっても過

    言ではない。パワーアップしたエンジンは圧縮比が下げ

    られ、その影響でフルブースト時以外では少々レスポン

    スが低下している。最大トルクはスタンダードモデルの

    127.5kgm/2200-5500rpmから152.7kgm/3000-

    5000rpmに増大している。

    SWEETER 16ただのパワーアップ仕様にあらじ

    W16エンジンは大容量ターボとインタークーラー、新しいエグゾースト、より優れた冷却システムを獲得した。

    幅:800mm

    103www.autocar-mag.com

    INTERIOR●室内★★★★★★★★☆☆ このヴェイロンのキャビンで、クオリティ面での不満はないが、特に大きく褒めるべき点もない。全体的に素晴らしいクラフツマンシップで作られているし、計器類はゴージャスだ。バケットシートは快適かつサポート性にも優れる。センターコンソールはアルミで一体成型されたもので、噂ではそれだけで200万円以上ものコストがかかっているという。 だがテスト車の室内はシンプルすぎるし、色も地味すぎるとさえ思える。2億円を優に超えるクルマなら、誰だってもう少しラグジュアリーな室内を期待するはずだ。むしろスタンダードモデルのほうが、その革巻きのステアリングホイールを握ったときに、もう少し豪華な気分を味わわせてくれる。 けれど機能面においては申し分ない。ドライビングポジションは低く、シートは素晴らしくグリップがいい。シートベルトもオーナーの好みで通常のベルトか、フルハーネスのどちらかを選択できる。またスタンダードモデルよりもAピラーが細くなっているおかげで、前方視界もずっと改善されている。 ノーズに設けられたラゲッジスペースは狭いが、キャ

    ビン内のスペースは2シーターのミドエンジン車としては広々としている。このクルマの装備についてリストアップしていくのは意味がない行為である。オーナーが望むものは何であれ(リアシート以外は)装着可能だ。

    PERFORMANCE●動力性能★★★★★★★★★★ 端的にいって、ヴェイロン・スーパースポーツは少なくともわれわれがこれまでテストしたなかで最速のクルマである。2位以下に相当な差を付けての歴代ナンバーワンだ。 このヴェイロンはあらゆる記録を一挙に更新した。これはわれわれが355km/hまで計測した唯一のクルマである。その速度に到達するのに要したのは、わずかな距離と30秒ほどの時間である。それ以上の速度を達成するには、第2のイグニッションキーを用いて巨大なリアウィングが展開しないようにする必要があったが、強い横風が吹く状況下だったため、それは賢明ではないと判断したブガッティ側が許可してくれなかったのである。 だがそれでもなおスーパースポーツが更新した記録は多岐にわたる。そのなかでも一際燦然と輝く数字が0-161km/h加速のタイムである。確かに、このヴェイロ

    ンは素晴らしく高性能なローンチコントロールシステムと4WD、1200psのパワー、素早いシフトが可能なDCTといったアドバンテージを備えている。だがそれを考慮しても、0-161km/hが4.94秒というのはにわかには信じがたい。われわれが記録したこれまでの歴代最速はマクラーレンF1の6.3秒なのだから。往復の平均タイムでも5.0秒ちょうどであった。 もっとも驚かされるのは、このワイルドなパフォーマンスが際限がないように思えるほど、どこまでも続く点だ。241km/hからでさえ依然、強烈な加速が得られる。そんな経験はわれわれにも初めてだ。177-209km/hの加速タイム(4速ギア)はわずか1.9秒。48-113km/hは1.7秒、290-322km/hは6.0秒である。 運転席に座っているとそのパフォーマンスは額面以上に現実離れしているように感じられる。地平線に向かって猛スピードで突き進んでいる物体に乗っているという感覚が従来のクルマとは比較にならないほど鮮烈だからだ。発進加速時には身体がシートに強く押しつけられるが、このときかかっている重力加速度は1.2Gにも達する。これはたいていのクルマのフルブレーキング時に発生する重力加速度に相当する。だがあまりにも洗練度が高いので、岩のように硬い乗り心地と騒々しい排気音の

    103www.autocar-mag.com

  • 103km/h 6400rpm

    146km/h 6400rpm

    194km/h 6400rpm

    254km/h 6400rpm

    311km/h 6400rpm

    373km/h 6400rpm

    431km/h* 6604rpm

    各ギア最高速度中間加速〈秒〉湿潤路面 mph(km/h) 2速 3速 4速 5速 6速7速20-40(32-64) 1.8 3.4 ー ー ー ー30-50(40-80) 1.5 2.4 3.5 ー ー ー40-60(64-97) 1.2 2.0 3.1 4.2 5.2 ー50-70(80-113) 1.0 1.5 2.6 3.8 5.9 ー60-80(97-129) 1.0 1.3 2.1 3.3 5.76.470-90(113-145) 1.1 1.3 1.8 2.8 5.36.080-100(129-161) ー 1.3 1.7 2.3 4.65.590-110(145-177) ー 1.4 1.8 2.2 3.94.6100-120(161-193) ー 1.6 1.8 2.3 3.53.9110-130(177-209) ー ー 1.9 2.5 3.53.9120-140(193-225) ー ー 2.1 2.6 3.84.1130-150(209-241) ー ー 2.4 2.7 4.04.4140-160(193-257) ー ー ー 2.9 2.1 ー150-170(241-274) ー ー ー 3.3 ー ー160-180(257-290) ー ー ー 3.8 ー ー

    Start/finishT1

    T2

    T3

    T4

    T5T6

    T7

    48km/h-0

    48km/h-0

    80km/h-0 113km/h-0

    80km/h-0 113km/h-0

    322km/h290km/h 306km/h274km/h257km/h241km/h225km/h171 193 20948km/h 64 80 97 113 129 145 161

    322km/h

    22.2s290km/h

    16.2s

    306km/h

    19.4s

    274km/h

    13.7s

    257km/h

    11.8s

    241

    10.2s

    225

    8.8s

    171

    5.7

    193

    6.6s

    209

    7.6s

    48km/h648097113129 145 161

    1.4s 1.8 3.12.2 2.6 5.03.6 4.310s5s0 20s15s

    計測テストデータ

    ■ドライサーキット ラップタイム:1分8秒5(ノーブルM600参考タイム:1分10秒5)途方もないパワーを持つヴェイロンは、ドライコンディションでも慎重なスロットル操作が求められるが、ESPは素早く働き、ドライバーがコーナー途中でスロットルを開けすぎることを防いでくれる。ドライバーが辛抱強く、スムーズにスロットルを操作すれば、シャシーバランスは良好である。

    TRACK NOTES 「驚異的なパワーをどの程度まで使えるのか掴めれば、そのシャシーの真価が分かり始める」ヴェイロンはT1の立ち上がりがとても速いので、T2を抜ける際にスロットルを戻す必要がある。

    T7のアペックスの通過速度は87km/h。ニュートラルなシャシーバランスのおかげで、立ち上がりで早めでパワーをかけられる。

    ■発進加速テストトラック条件:天候晴れ、乾燥路面、気温摂氏6.0度0-402m発進加速:10.1秒(到達速度:238km/h)0-1000m発進加速:18.0秒(到達速度:295km/h)

    乾燥路面

    湿潤路面

    ■ウェットサーキット ラップタイム:1分11秒6(ノーブルM600参考タイム:1分16秒5)ウェットでは4WDであることが有利に働いた。ヴェイロンの安定感はグリップの限界まで驚異的で、ハイドロプレーニングも顕著ではない。ESPを解除すると、半径が一定のコーナーでリアを滑らせて回るのがたやすい。

    ■制動距離

    BUGATTIVEYRONSUPERSPORT

    NOBLEM600

    車重が災いして、長いT7コーナーでは70km/h以上を維持するのが難しい。アウディRS6アヴァントはここで79km/hを維持できる。

    T1への進入では速度を50km/h以上落とさなければならないが、グリップは強力である。

    エンジン形式:W型16気筒クワッドターボ,7993cc最高出力:1200ps/6400rpm最大トルク:152.7kgm/3000-5000rpm許容回転数:6500rpm比出力:150ps/ℓ馬力荷重比:653ps/t駆動方式:ミド縦置き4輪駆動ブロック:アルミ軽合金/ヘッド:アルミ軽合金ボア×ストローク:86.0×86.0mmバルブ配置:4バルブDOHC圧縮比:8.3:1

    シャシー/ボディ車輌重量:1838kg/1995kg(テスト実測値)抗力係数:0.34-0.38ホイール:(前)10.0J╳20、(後)14J╳21タイヤ:(前)265/35R20、(後)365/30R21

    変速機7段DCTギア比/1000rpm時車速①3.18/16.1②2.24/22.9③1.68/30.4④1.29/39.8⑤1.06/48.4⑥0.88/58.3⑦0.78/65.3

    最終減速比:2.581

    燃料消費率メーカー公表値:市街地/郊外/混合モード2.7/6.7/4.3km/ℓオートカー実測値総平均/動力性能計測時/ツーリング4.1/2.1/6.2km/ℓ燃料タンク容量:100ℓ現実的な航続距離:410kmCO₂排出量:539g/km

    サスペンション前:ダブルウィッシュボーン式/コイル後:ダブルウィッシュボーン式/コイル

    ステアリング形式:油圧アシストラック&ピニオンロック・トゥ・ロック:2.75最小回転半径:13.4m

    ブレーキ前:φ400mmセラミックVディスク後:φ380mmセラミックVディスク

    静粛性3速最高回転時:87dB3速48km/h走行時:68dB3速80km/h走行時:73dB3速113km/h走行時:76dB

    安全装備ABS/EBS/ESPEuroNCAP/na

    発進加速乾燥路面 実測車速mph(km/h)   秒0-30(48) 1.40-40(64) 1.80-50(80) 2.20-60(97) 2.60-70(113) 3.10-80(129) 3.60-90(145) 4.30-100(161) 5.00-110(177) 5.70-120(193) 6.60-130(209) 7.60-140(225) 8.80-150(241) 10.20-160(257) 11.80-170(274) 13.70-180(290) 16.20-190(306) 19.40-200(322) 22.20-210(338) 26.00-220(354) 31.1

    BUGATTI VEYRON SUPER SPORT DATA

    104 AUTOCAR 5/2011

    ほかのスーパーカーに乗っているのと比べ、その加速が倍ほどにも強烈に感じられるのだ。 2t近い車重にもかかわらず、このヴェイロンは優れた動力性能を発揮し、ペダルフィールも良好で、113km/hからの制動距離も45.2mという短さである。

    RIDE & HANDLING●乗り心地と操縦安定性★★★★★★★★★☆ 継ぎ目のない加速感はきわめて強く、それがハンドリングにも大きく貢献している。スロットルペダルがステアリングの一部になったような感覚さえあるほどだ。このヴェイロンの際限ないパワーのどの程度までを使えるのかが分かってくれば、そのシャシーの真価が理解できるようになってくる。 普通の道路で普通のスピードで走らせたとき、ヴェイロンは普通のミドエンジンスーパーカーとほとんど変わらない感じがする。だがスロットルをぐっと踏み込んだ瞬間から、クルマの全体的なフィールが変わり、明確に別格なのだというオーラを醸し出してくる。 もし路面が少しでも濡れていたら、黄色のESPランプが直ちに点灯する。スロットルを軽く踏んだ状態でもそうだ。ドライコンディションでも、スロットルを元気に踏み込むと4WDシステムがトルクを適正に分配するため懸命に働いているのが感じ取れる。 しかしスーパースポーツは公道を飛ばすときに特別怖じ気づくようなクルマではない。車体が巨大だとは感じられず、正確なステアリングと、しなやかな乗り心地(巨

  • BUGATTI VEYRON SUPER SPORT ROAD TEST

    われわれはこう考える

    結論

    車輌価格最高出力最大トルク

    0-97km/h加速最高速度

    燃料消費率(欧州/混合)車輌重量(公称値)

    CO₂排出量

    邦貨換算約2億6600万円 4272万円 邦貨換算約1億7500万円 邦貨換算約3000万円 邦貨換算約1億7000万円1200ps/6400rpm 670ps/8250rpm 697ps/6000rpm 659ps/6800rpm 950ps/6850rpm152.7kgm/3000-5000rpm 63.2kgm/6500rpm 79.5kgm/4000rpm 83.5kgm/3800rpm 112.1kgm/5100rpm2.6秒 3.35秒(0-100km/h) 3.4秒(0-100km/h) 3.5秒 3.1秒(0-100km/h)431km/h 335km/h 344km/h 362km/h 394km/h4.3km/ℓ 5.7km/ℓ na na na1838kg 1605kg 1310kg 1250kg 1390kg539g/km 411g/km na na na

    BUGATTI VEYRON SS WRブガッティ・ヴェイロンSS WR

    FERRARI 599 GTOフェラーリ599GTO

    PAGANI ZONDA CINQUEパガーニ・ゾンダ・チンクエ

    NOBLE M600 ノーブルM600

    KOENIGSEGG AGERAケーニッグゼグ・アゲーラ

    トップスピードは431km/hに達し、それでいて日常的に乗れる。エンジニアリングの勝利。

    ★★★★★★★★★☆

    日常ドライビング用途に徹しているが、それでいながらヴェイロンよりもシャープなマシーン。

    ★★★★★★★★★☆

    ゾンダの有終の美を飾る壮観なマシーン。希少性が高い。

    ★★★★★★★★★☆

    別世界の乗り心地とハンドリング。英国レスターシャーで生産。

    ★★★★★★★★★☆

    ケーニグセグの最新で最高のマシーン。これまで以上に速く、希少。

    ★★★★★★★★☆☆

    BUGATTI VEYRONAUTOCAR VERDICT ★★★★★★★★★☆

    挑戦することがあるだろうか? このヴェイロンの後継モデルがあるのだろうか? それとも、これは自動車史における鮮烈なスパークのごとき一瞬の輝きなのだろうか? 今のところ、ほかのクルマがこのヴェイロン・スーパースポーツをどうやって凌ぐのか想像するのは難しいが、本当にどうなるかは誰にも分からない。当面の間、われわれはこのクルマの能力に驚嘆し続けるだろう。これはわれわれがテストした過去最速のクルマである。ただしマクラーレンF1などと同様、エモーショナルな魅力にはやや乏しい。

     世界はブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツを必要としていないかもしれないが、このクルマがない世界はずっと華やかさに欠けたものになっていただろう。少なくとも、この世界でもっとも途方もないクルマのもっとも途方もないバージョンは、オートカーの過去の記録を、われわれの誰一人として信じられないほどの勢いで一気に塗り替え、衝撃をもたらしたのである。 0-322km/h加速が22.2秒という記録が今後ほかのクルマに破られることがあるのだろうか? VWと同じエンジニアリング力と財務力を持ったメーカーがこのようなプロジェクトに再び

    TESTERS' NOTES テスターのひと言コメント●356km/hで走っているとき、このクルマはVWゴルフが96km/hで走行しているときのように安定していた。しかも強い横風 を受けていながらである。信じられない。 スティーブ・サトクリフ●ヴェイロン・スーパースポーツのABSはマクラーレンF1GTRのABSを担当したエンジニアそのひとが開発したものだ。 急ブレーキ能力は素晴らしい。 マット・プライアー●ドライでのフル発進加速では、4輪すべてからタイヤスモークがあがった。壮観な光景だ。 マット・ソーンダース

    JOBS FOR THE FACELIFT マイナーチェンジ時に望むこと●オレンジ色のホイールは2億円オーバーのクルマとしては安っぽい。●右ハンドル仕様車に“mph”表示のスピードメーターを装備する予算を確保してほしい。●排気音を可変する装置を付けてほしい。全開時、キャビンにはロードノイズしか聞こえてこない。

    ROAD TEST No.5000

    TOP FIVES 世界の頂点で覇を競う

    「自動車産業が過去100年でどこまで進歩してきたかを示す尺度である」

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    大なリアタイヤのせいで少々騒々しい)のおかげで、たいていの道路において、ほかの大部分のスポーツカーと同じ感覚で走らせることができる。 ヴェイロン・スーパースポーツのポテンシャルをさらに確かめるにはサーキットが必要となる。サーキットを走って明らかになるのは、このクルマが驚異的なトラクションと強力なグリップ、素晴らしいボディコントロールを備えているということだ。だが同時に、軽率なドライバーには激しく牙を剥くクルマであることも明らかになる。ESPを解除すると、初めのうちはスロットルでのコントロールがやりやすくなったと感じるが、戻すべきでないタイミングでスロットルを戻すと、巨大なエンジンの慣性が突然、露わになってくる。 またクイックなコーナーでのターンでも、4WDシステムが有効に機能するまで待つ必要がある。もし待たないと、アンダーステアの傾向が強い。ターンインの際に少しスロットルを残してやるとアンダーステアは消えるが、やり方を間違うとオーバーステアを招いてしまう。 

    BUYING & OWING●購入と維持★★★★★★★★☆☆ ヴェイロン・スーパースポーツの生産予定台数は40台に満たない。そして最後の1台がファクトリーを出たとき、それでヴェイロンのプロジェクトは終了である。長期的に見て有益な投資かどうかは判断が難しいが、現時点ではきわめて高価な買い物である。もっとも安いモデルで約2億3000万円+税金、このワールドレコード・エディション(予定生産台数は5台)は約2億6600万円である。ヴェイロンを買うひとがガソリン代のことを気にするとは思えないが、念のため記しておくと、テスト車の燃費は平均で4.1km/ℓ、ベストが6.2km/ℓ、ワーストが2.1km/ℓであった。

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