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東北地域における中山間地域活性化の取組事例 <東北農政局の収集事例> 平 成 2 6 年 6月 東北農政局 中山間地域活性化取組事例集②

東北地域における中山間地域活性化の取組事例 <東北農政局の収 … · ・平成23年6月に、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定を受け、

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東北地域における中山間地域活性化の取組事例

<東北農政局の収集事例>

平成26年6月東北農政局

中山間地域活性化取組事例集②

人材の活躍の場づくり

女性の活躍

高齢者の活躍 世代間の連携

人材育成

外との連携

都市農村交流

企業との連携

新規就農者の受入

外部人材の受入

地域の魅力づくり

景観保全 新規作物の導入

ブランド化

6次産業化

耕作放棄地の活用

集落間・地域の連携

地域資源の活用

中山間地域活性化に向けた主な取組内容

農地・作業の受皿

○本事例集は、中山間地域活性化の取組について、東北農政局が把握している事例をとりまとめものである。○各事例の取組内容は、「人材の活躍の場づくり」「外との連携」「地域の魅力づくり」に分類・整理をした。

中山間地域活性化取組事例一覧

取組事例(取組主体等)名 市町村

① ミニトマト及び地域の特産農産物を活用した加工品の製造、販売((有)まごころ農場) 【青森県弘前市】

② 地域資源を活用したグリーン・ツーリズム、ブランド化の推進(弘前市鬼沢地区) 【青森県弘前市】

③ 不作付地を社会福祉事業に活用(社会福祉法人就労サポートセンターさつき) 【青森県平内町】

④ 耕作放棄地の有効利用を図り大規模経営((株)黄金崎農場) 【青森県鰺ヶ沢町】

⑤ 生産者の顔が見える流通・販売促進!(しちのへ産直七彩館) 【青森県七戸町】

⑥ 日本一の菜の花を次世代の子どもへ(NPO法人菜の花トラストin横浜町) 【青森県横浜町】

⑦ 意欲をもって生産・販売!(夢産直かみごう) 【岩手県遠野市】

⑧ 美土里と温もり伝える懐かしの田舎未来(京津畑交流館「山がっこ」) 【岩手県一関市】

⑨ 地場産農産物の加工・販売に取り組む事例(江刺区下餅田) 【岩手県奥州市】

⑩ まちぐるみによる耕作放棄地発生防止・再生の取組み(葛巻町農業委員会) 【岩手県葛巻町】

⑪ 新規導入した小麦を使用したパンの製造・販売((農)アグリ平泉) 【岩手県平泉町】

⑫ 高齢者でもできる!集落ぐるみの鳥獣対策(土倉集落) 【岩手県住田町】

⑬ 「きらぼし」と「上山農園」との連携による農と福祉の発展(中山地区) 【岩手県一戸町】

⑭ 天候に左右されない農業体験施設((農)モーランド) 【宮城県気仙沼市】

⑮ そばの作付拡大に不作付地を活用(鬼首そば生産組合) 【宮城県大崎市】

⑯ 「鳴子の米プロジェクト」で地域を活性化(鳴子地区) 【宮城県大崎市】

⑰ 町商工会と連携したそばで地域振興を図る(たまゆら鄕蕎麦生産組合) 【宮城県村田町】

⑱ 被災地の代替地等としての耕作放棄地を再生 (南三陸地域耕作放棄地対策協議会) 【宮城県南三陸町】

取組事例(取組主体等)名 市町村

⑲ 「えごま」を活用した商品開発(大内農産加工品開発協議会) 【宮城県丸森町】

⑳ 特産品のぶどうで6次産業化に取組み((農)大沢ファーム) 【秋田県横手市】

㉑ 「中滝ふるさと学舎」思い出の校舎は出会い(交流)の拠点へ(かづのふるさと学舎) 【秋田県鹿角市】

㉒ 菜の花から始まるエコで環境にやさしい農業を目指す(合同会社 大地) 【秋田県仙北市】

㉓ 農業生産条件の強化に取り組む事例(大宮田向) 【秋田県仙北市】

㉔ バイオマスタウン構想と連携した耕作放棄地再生利用((株)あぐりランド) 【秋田県小坂町】

㉕ 耕作放棄地の有効利用を図り規模拡大((有)米作) 【山形県鶴岡市】

㉖ 多様な担い手の確保(田麦野) 【山形県天童市】

㉗ 「いやしの里」づくり(ブナの実21) 【山形県舟形町】

㉘ 耕作放棄地を活用したソバによる地域の活性化(神田地区「ソバ作付推進委員会」) 【山形県戸沢村】

㉙ 交流人口を拡大し活力ある町づくり(鳥海山“おもしろ自然塾”推進協議会) 【山形県遊佐町】

㉚ NPOが創り出す、ゆうきの里(NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会 【福島県二本松市】

㉛ 知見豊富なシニアと若い世代が連携して地域活性化(NPO法人りょうぜん里山がっこう) 【福島県伊達市】

㉜ 湯本の豊かな地域資源を活用した交流(EIMY湯本地域協議会) 【福島県天栄村】

㉝ 南会津の子ども農山漁村交流プロジェクト(南会津町農村生活体験推進協議会) 【福島県南会津町】

㉞ 耕作放棄地の再生による農業振興で地域活性化(舘岩地区) 【福島県南会津町】

㉟ 農業部門の企業参入-耕作放棄地の活用に向け農業法人を設立-((有)F.K.ファーム) 【福島県南会津町】

㊱ 交流による活性化と移住・定住者確保の取組(NPO法人苧麻倶楽部) 【福島県昭和村】

㊲ 菜の花栽培による景観形成から菜種の加工・販売へ(八木沢農用地利用改善組合) 【福島県会津美里町】

ミニトマト及び地域の特産農産物を活用した加工品の製造、販売((有)まごころ農場)青森県弘前市

1 概要① 取組の概要・ 弘前市の東部に位置する、有限会社まごころ農場が所在する石川地域は、高齢化が進み、耕作放棄地面積率が高い地域。・ 平成元年にりんご生産からミニトマト生産へ経営を転換し、8年に有限会社を設立。水耕栽培による22種類以上のミニトマト生産を行うとともに、平成17年度からはミニトマトを原料としたジュース、ジャム等の製造、販売を開始。・ 平成23年6月に、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定を受け、24年3月に加工場を整備。ミニトマト及び地域特産農産物(毛豆、ほうれんそう)を活用した、ドレッシング、レトルト食品、ゼリー、ジェラート及び、業務用の1次加工品(ピューレ、冷凍品)の開発、販売を行っている(平成24年度売上げ98百万円)。

② うまくいっているポイント・ 加工用のトマトの作付等、耕作放棄地の有効利用が図られた。・ 各地の展示会や百貨店の催事販売に積極的に参加したことで認知度がアップし、また、数種類(数色)のトマトを利用することで、特色のある商品展開をしたことにより、付加価値を高めた加工品の販売に繋がった。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 商品化に際して、時間・経費がかかりすぎる。

・6次産業化推進整備事業(H23)

(青森県弘前市)

【取組内容】 6次産業化地域資源の活用耕作放棄地の活用

斎藤社長ほか同社社員

地域資源を活用したグリーン・ツーリズム、ブランド化の推進(弘前市鬼沢地区)青森県弘前市

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 取組みの自立的継続に向けた積極的なPRと認知度の向上。・ 創作演劇の発展的継続、歴史・伝説を付加価値としたニンニク等のブランド化の推進。

創作演劇の様子

・都市農村共生・対流総合対策交付金(H25~H26)

・新しい公共支援事業(内閣府H24)

・農地・水保全管理支払い交付金(H24~)

(青森県弘前市)

【取組内容】 都市農村交流 企業との連携 地域資源の活用

1 概要① 取組の概要・ 鬼沢地区では、地域の活性化を図るため、NPO法人と連携して、地域資源を活用した「鬼沢まるごとMap」を作成し、グリーン・ツーリズムを推進。・ 地域に伝わる「鬼伝説」と「義民・藤田民次郎」を融合させ、創作演劇「鬼と民次郎」として見える化し、又、この上演をきっかけとして、地域内での世代を超えたコミュニティ活動も深まる。・ 全国でも珍しいニンニクを奉納する地元の鬼神社の習わしにかけて、生産が増加しているニンニクに鬼伝説・歴史を融合させ、高付加価値化を目指す。・ これらを組み合わせて、ニンニクの作付け・収穫体験も取り入れ、地域の文化・歴史も学べるグリーン・ツーリズムとして実施。

② うまくいっているポイント・ 知見・能力を有するNPO法人と連携し、集落内で新たな発想での地域振興を検討。・ 歴史と伝統を見える化し、新たな付加価値の創出という地域ぐるみの取組み。・ 用排水路の保全、景観保全といった協働の取組みによる地域力が効果を発揮。

ブランド化

不作付地を社会福祉事業に活用(社会福祉法人就労サポートセンターさつき)青森県平内町(茂浦地区)

1 概要① 取組の概要・ 平内町の西部に位置する茂浦地区は、高齢化が進み、耕作放棄率が高い地域。・ 平内町茂浦地区の全水田(16ha)は不作付地となっていたが、平内町を拠点に活動している社会福祉法人就労サポートセンターさつきは、障害者の一般就労作業の訓練実施を目的に、茂浦地区の不作付地9haを借り入れ。・ 初期投資を抑えるため、不作付地の再生作業には社会福祉法人の職員の農機具を借り受けて使用するほか、閉校した小学校を借り受けて農機具の保管場所や作業員の休憩所等として活用。

・ 社会福祉法人は、茂浦地区の不作付地7haについても3年を目途に借り入れ、畦畔や用水路の整備を進めながら不作付地の解消に取り組む予定。

② うまくいっているポイント

・ 障害者の一般就労作業の訓練として不作付地9haに水稲を栽培したことにより、不作付地の解消や茂浦地区の農地保全が図られた。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 茂浦地区の不作付地となっている残り7haについても3年を目途に借り受け、解消を図ることとしているが、畦畔や用排水路の整備が必要。

【取組内容】

・トラクターの支援(日本財団)

・田植機の支援(丸紅株式会社)

地域資源の活用耕作放棄地の活用外部人材の受入

水稲作業を通じた訓練の様子

(青森県平内町)

耕作放棄地の有効活用を図り大規模経営((株)黄金崎農場)青森県鰺ヶ沢町

1 概要① 取組の概要・ (株)黄金崎農場は、地域の耕作放棄地等を活用、集積して、経営規模を拡大。・ 昭和51年に法人化し、農地面積 30haでスタート。農地の借受け、耕作放棄地の自力再生を行い、平成22年度には国からの助成金を活用して3.1haを再生するなど、現在の経営面積は500ha。・ 農場は、世界遺産・白神山地の山麓周辺と岩木山麓の2カ所にあり、経営面積500haは日本でもトップクラス。・ 加工用のじゃがいもをはじめ、小麦・大豆・加工用ダイコンなどを栽培。

② うまくいっているポイント・ 黄金崎農場は、平成12年に経営の立直しを迫られ、主力作物として、じゃがいもの販売力を強化するため、ジャパンポテトと提携し、民間では初めての種芋の原種生産を行うとともに、加工用じゃがいもを中心とした生産に取組み、収益を向上。・ 複数市町村の農場で、地域女性農業者を期間雇用し、就労の場を確保。また、小規模農家からの農地借受けの難しい当該地域で、地道な説得により農地を借受け、規模拡大に成功。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ この地域は高冷地帯で夏ダイコンの作付けに適しており、作付面積を増加させるため、今後も耕作放棄地も活用し、規模を拡大。・ 生産者から消費者に直接作物を届ける地産地消のネットワークを実現するため、契

約栽培を中心とする方針から地元コンビニエンスストア等での直売コーナー設置。

耕作放棄地再生後

・耕作放棄地再生利用緊急対策(H22~)

(青森県鰺ヶ沢町)

【取組内容】 耕作放棄地の活用企業との連携

農地・作業の受皿

「しちのへ産直七彩館」 生産者の顔が見える流通・販売促進! 青森県七戸町

(活用している制度・予算)

・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(H20)

(青森県七戸町)

【取組内容】 都市農村交流

1 概要① 取組の概要・ 道の駅しちのへに㈱七戸物産協会が「しちのへ産直七彩館」を併設。・ 七戸物産協会と産直友の会(生産者)が連携し、館内を常時巡回し、来館者との会話を交えながら、販売商品のニーズを把握。その情報により、販売商品の選定や、販売方法の工夫(商品を小分けして売る等)、さらに作付計画の参考としている。・ 地元農家の有志で構成されている七戸町かだれ田舎体験協議会(事務局:七戸町農林課)では、四季折々の農業、農村、自然の魅力を知ってもらおうと農産物収穫体験のイベントを行っており、地域ならではのグリーン・ツーリズムを展開。また、これらの活動を紹介したチラシ、パンフレットを作成し道の駅しちのへと、しち

のへ産直七彩館の店頭に並べ、来館者へ紹介、配布。・ JA女性部での、そばもち、手打ちそばの実演販売により来訪者が著しく増加。

② うまくいっているポイント・ 消費者ニーズにあった作付計画により農産物の出荷量が伸び、農業所得が向上。・ 都市と農村の交流により、生産者の生き甲斐や地域住民相互の親睦に繋がっている。

2 今後の課題・ 消費者へのPR、来訪者を呼び込む企画及び戦略を検討。

集落間・地域の連携企業との連携女性の活躍

日本一の菜の花を次世代の子どもへ (NPO法人菜の花トラストin横浜町) 青森県横浜町

1 概要① 取組の概要・ 横浜町は、菜の花作付面積全国一であったが、耕作放棄により面積が減少。日本一の菜の花を次世代に残すため、「菜の花トラストin横浜町」(H14)を設立。・ 菜の花トラストin横浜町は、地元小中学生を交えた農業体験として耕作放棄地に菜の花を咲かせる取組みや、収穫した菜の花からなたね油を搾る取組みを開始。・ 平成20年にはNPO法人化し、国の交付金を入れずに全国から会員を募って会費で耕作放棄地を再生し、再生作業体験機会の創出、収穫物の受取サービスを会員に提供。さらになたね油を販売。

② うまくいっているポイント・ 広大な菜の花畑は、観光資源として農村景観を形成するとともに、開花の時期には多数の会員が訪れ、地域が活性化。・ 地元からの雇用で、雇用機会の創出に貢献し、信頼を獲得。・ 生産するなたね油が農林水産大臣賞を受賞したことが生産者の励み。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 更なる取組みの推進を図るため、都市農村交流や情報発信の推進による認知度の向上。

耕作放棄地から菜の花畑へ

(青森県横浜町)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 景観保全都市農村交流

「夢産直かみごう」 意欲をもって生産・販売! 岩手県遠野市

(活用している制度・予算)

・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(H23)

(岩手県遠野市)

【取組内容】 地域資源の活用

2 今後の課題・ 消費者へのPR、来訪者を呼び込む企画及び戦略を検討。

1 概要① 取組の概要・ もともとビニールハウスで地元農家が直接販売を行っていたが、地元農家から強い要望を受けて遠野市が、地域内の農業者が広く参画しやすい受け皿として、平成24年4月「夢産直かみごう」をオープン。・ 農家、酪農家が経営する地域の伝承料理が味わえる食堂、ジェラート工房、体験農園を併設。・ 市内には他にも産直施設が9つあり、遠野市は各々の産直施設の特色を紹介した遠野市産直ガイドを作成して、それぞれの施設で消費者に配布。・ 他にもホームページで伝承料理レシピを紹介し、お取り寄せ可能な情報を広く発信。・ 産直連絡協議会が高校生と連携してワークショップを開催。高校生が農作物の作付計画、栽培管理、収穫、産直施設での販売体験に取組み。・ さらに東京の出張産直販売所での販売にも(不定期だが)取組み。

② うまくいっているポイント・ 夢産直かみごうの来客数が増加(H24・11万2,000人、H25・13万5,000人)したことにより、販売額も増え、農業所得が向上。・ 来訪者の産直巡り、周遊などに工夫。・ レシピ紹介ホームページのお取り寄せコーナーへの関東圏からのアクセスが多い。

都市農村交流 集落間・地域の連携人材育成 6次産業化

美土里と温もり伝える 懐かしの田舎未来(京津畑交流館「山がっこ」)岩手県一関市

1 概要① 取組の概要・ 惜しまれながら閉校した小学校が解体の危機を乗り越え、地域内外の人々が集う交流拠点施設「山がっこ」として平成23年7月に復活。かつての学び舎は、農事組合法人京津畑やまあい工房と京津畑自治会の連携で運営され、地域の“結い”の力で再生。・ 山がっこは、地域内外の行事や交流などさまざまな活動に利用され、訪れる人々に山村の魅力を発信するとともにふるさとのシンボルへと変身。・ 「集会所」、「宿泊施設」、「食堂」、「食材加工(京津畑やまあい工房の活動拠点)」の機能を併せ持ち、地元産の原材料を主にお惣菜、おやつ、郷土料理を提供。

② うまくいっているポイント・ 京津畑やまあい工房と自治会、農家との連携により議論を重ねて多様な機能を有する活動拠点化に成功。H25年7月~11月 利用者数2,048名(うち宿泊者数129名)・ 地域内交流(郷土芸能「神楽」、食の文化祭等)と地域外交流(大学ゼミ、部活合宿、農村スティ等)では、地域のおもてなしと交流によって、地域内外から元気・活気をもらい、相互にうまく機能。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 住民が主役の地域づくりをしつつ、山がっこを核として、地域資源の掘り起こし、都市

農村交流をテコに地域を元気づける活動をさらに推進し、京津畑ファンを増やす。

山がっこ外観

・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(廃校・廃屋等改修交流施設、H21)

(岩手県一関)

【取組内容】

(写真)

地域資源の活用

都市農村交流 6次産業化

地場産農産物の加工・販売に取組む事例(下餅田(しももちた))岩手県奥州市江刺区

1 概要① 取組の概要・ 平成15年度から試験的に転作田でそばの栽培を開始。平成17年度からは、地域で経営するそば屋「もちた屋」を開業して地域活性化に取組み。

② うまくいっているポイント・ 材料となる「そば」は、協定農用地内の転作田で作付けしたものを使用し、

そば以外の食材も極力地元産を使用。併せて、地域に古くから伝わる料理「南蛮もち」を復活させ店のメニューに

加えるなど、農家レストランらしさを経営方針として営業。・ 店が繁忙となる日曜日や祝日には、集落内の各家庭からボランティアで店を手伝う仕組み。・ これらを通じて、「自分たちが経営しているそば屋」という意識付けを行い、そば屋の経営を中心とした地域活性化に集落一丸となって取り組み、地域外のお客からも好評を得て、順調に売り上げを伸ばしている。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 農地を守っていくため、現在の営農組合を中心に認定農業者や近隣集落と連携しながら、持続的な農業生産活動の共同化を図る必要。・ また、土日の共同取組活動に積極的に参加している集落内の若者はサラリーマンが多いことから、彼らに農業の持つ意味、多面的機能の重要性をさらに啓蒙する必要。

農家レストラン「もちた屋」

・中山間地域等直接支払交付金(H12~)

(岩手県奥州市)

【取組内容】 6次産業化女性の活躍 人材育成 都市農村交流 地域資源の活用

まちぐるみによる耕作放棄地発生防止・再生の取組み (葛巻町農業委員会)岩手県葛巻町

1 概要① 取組の概要・ 町の耕作放棄地が増大してきたため、農業委員会は、平成8~9年に農家へのアンケート調査を実施。この結果、高齢化・後継者不足で耕作放棄地予備群が100haを越えることが判明。・ 農業委員が、「農地再生コーディネ-タ-」となり、地権者と規模拡大志向農家との調整を行い、耕作放棄地予備群の農地の流動化と耕作放棄地の再生を呼び掛け。・ 農業委員会の取組みは、保育園児によるサツマイモ、ジャガイモ、トウモロコシの作付け等、園児の食農教育への取組みに発展。・ 農家や農業委員会による耕作放棄地の再生に加え、町内の建設業者の農業参入により、これまでに49haを再生。

② うまくいっているポイント・ 農地再生コーディネ-タ-が、農地情報の提供、あっせんを行って農業委員会による耕作放棄地の再生に成功。農地中間管理機構が行おうとする取組みの先取り。・ 農業委員会による耕作放棄地の再生の取組みにかかる幅広な活動は、町全体の活性化に寄与。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 再生した農地からの農産品の商品化、付加価値化・ブランド化の拡大。・ 条件の悪い耕作放棄地への対応。

耕作放棄地を再生した農地

・耕作放棄地再生利用緊急対策(H20~)

岩手県葛巻町)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 世代間の連携企業との連携

10

新規導入した小麦を使用したパンの製造・販売((農)アグリ平泉)岩手県平泉町

1 概要① 取組の概要・ (農)アグリ平泉は、経営所得安定対策を契機に、地区の転作作業を受託する法人として平成18年に設立。・ 小麦、大豆、加工用米、飼料用米を中心に、大規模なブロックローテーションにより農地の効率的利用を図るとともに、高品質・安定生産を実現。・ 女性の視点を生かした農産加工品直売施設の運営及び直営パン店を経営。

② うまくいっているポイント・ 生産が減少していた県の奨励品種「コユキコムギ」の作付を開始。この小麦粉を使用した「平泉きんいろあんぱん」を商品化し、直営パン店で販売。法人経営の安定化に寄与。・ 農産加工品直売施設には、直営パン店のほか地域農産物を加工・販売する漬物店、総菜店が軒を連ね、地域農産物のPRに加え、雇用の創出にも貢献。・ ライス・アート(田んぼアート)を実施し、田植え交流や稲刈り体験など消費者交流と農作業体験学習の場を提供。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ さらなる収量、品質の向上及びコストの削減。・ 年間を通じて生産活動できる雇用の仕組み。・ 消費者ニーズを捉えた商品開発。

小麦の収穫と、直営パン屋で販売しているパン(右上)

・県営経営体育成基盤整備事業(H10~16)

・経営所得安定対策(H19~)

・新いわて農業担い手支援総合対策事業(H19)

・農業・食品産業競争力強化支援事業(H20)

(岩手県平泉町)

【取組内容】 地域資源の活用新規作物の導入女性の活躍 6次産業化都市農村交流

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高齢者でもできる!集落ぐるみの鳥獣対策(土倉集落)岩手県住田町

1 概要① 取組の概要・ 活動の第一歩として「被害を及ぼしている相手を知る」ことを目的に、農作物野生

鳥獣被害対策アドバイザーを講師に迎え、集落で研修会を実施。

・ 集落環境の現状と課題を共有するため、住民同士で集落内の点検を行い、鳥獣の

侵入経路や目撃情報などの具体的な情報を地図上に記して「集落点検図」を作成。

・ 集落点検の結果を踏まえ、「集落環境対策」、「予防対策」、「捕獲対策」の三項目に

整理し、住民同士で具体的な取組について議論。

・ 具体的な活動時期や体制などを記載した集落オリジナルの被害防止計画を策定。

・ 猟友会員による捕獲活動と併せて、住民を3班に分け当番制で見回りを実施。② うまくいっているポイント・ 平成22年度に被害額、面積ともに過去最高の被害を受け、五葉中農林業振興会長

を中心とした農家が、「もうこれ以上被害を増やしたくない。自分たちでなんとかしなけ

れば。」と被害対策への機運が高まった。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 地域のシカ防護網等の補修・維持、集落点検の継続。町内外への活動の普及。

集落点検図の作成

・鳥獣被害防止総合対策交付金(H23、H25)

(岩手県住田町)

【取組内容】

(写真)

高齢者の活躍 耕作放棄地の活用

12

「きらぼし」と「上山農園」との連携による農と福祉の発展(中山地区) 岩手県一戸町

1 概要① 取組の概要・ 岩手県北部で一戸町の南側、岩手町に隣接する標高450mの高冷地で、農業、牧畜、養鶏などの一次産業が主体の地域。・ 平成18(2006)年、障害者自立支援法が施行されたことを契機として、地域で暮らす障害者の日中活動の場の提供を目的として、中山地区に特定非営利活動法人「きらぼし」(平成19(2007)年)設立。・ 「きらぼし」は、生活介護事業、自立訓練(生活訓練)事業、就労継続支援事業等を展開し、地域に在住している障害者に対して各種事業や活動の場を提供し、安定した生活を送ることができるよう就労支援を実施。・ また、以前から多くの障害者を作業実習生として受け入れてきた農業生産法人上山農園等と作業委託契約を結び、障害者を派遣し「農家の労働力不足を新たな就労の場」に開拓、地域の活性化に繋がることを目的に農作業に取り組んでいる。

② うまくいっているポイント・ 中山地区では、農業と福祉が地域の2本柱となっており、農業と福祉の連携が地域の活性化に寄与している。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 農作業は、春から秋の作業が中心であり、障害者の冬場の作業をどう確保し、通年雇用に結び付けていくかが課題。・ 地域に暮らす障害者が高齢化していること、障害の重い障害者が多くなったことから、障害者の派遣を要望する農家はいても農作業ができる障害者がいない状況。

農作業をする障害者

(岩手県一戸町)

【取組内容】

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農地・作業の受皿 集落間・地域の連携外部人材の受入

・障害者自立支援対策臨時特例事業(厚労省事業)

天候に左右されない農業体験施設((農)モーランド) 宮城県気仙沼市

(活用している制度・予算)

・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(H20)

(宮城県気仙沼市)

【取組内容】 地域資源の活用

1 概要① 取組の概要・ 周辺農家から家畜の預託放牧を行っている(農)モーランドは、子供達の動物とのふれあいや乳製品加工体験に取組み。・ 平成21年には、天候や季節を気にすることなく、農業体験が可能となるよう研修棟を整備。・ 地場産食材を活かしたバーベキューや乳製品などの提供施設も整備。さらに体験メニューは、モーランドが指定した農家で搾乳した原料を使ったアイスクリームづくり、バターづくりや、乗馬、ブルーベリー摘みなど豊富。・ ゴールデンウィークや春の遠足シーズン、夏休みの子供会行事の時期に利用が多いが、クリスマスツリーの飾り付けを行うなど研修棟などの通年利用にも取組み。

② うまくいっているポイント・ 計画的受入れが可能になり、バターづくり、乗馬など体験メニューを充実させたことで雇用人員を増加させることができて対応サービスが向上。・ 地場産品の販売所確保により、生産者の所得安定に寄与。

2 今後の課題・ 学校行事で体験に訪れた子供達の家族が再来し、乳製品の購買に繋がるサイクルを目指すべく、集客力の向上。

都市農村交流 6次産業化

14

そばの作付拡大に不作付地を活用(鬼首そば生産組合)宮城県大崎市(鳴子地区)

1 概要① 取組の概要・ 鳴子地区は、宮城県の北西部の山間に位置し、豊富な温泉資源と四季の景観に恵まれた地域。・ 中山間地で比較的栽培しやすい作物でもあるそばを地域の特産品とするため、地域の農業者が中心となり鬼首そば生産組合を設立し、活用されていない不作付地等を生産組合が引き受けそばを栽培。

・ 生産組合では、約50haのそば栽培の傍ら「そば道場」と称した食と農をつなげる食農講座にも取り組んでおり、地元の小・中学生にそばの播種から収穫作業、そば打ちと食卓に届くまでの一連の作業を通じて食育を推進。

・ 当地区では、古くからあった「そばねっけ」というそばを食す文化が時代の流れと共に失われていたが、そば栽培によりそば文化を復活させる一面も。

② うまくいっているポイント・ 不作付地や耕作放棄地の再生と地域の景観維持、子供たちの地域農業の現状や食育に対する理解を深めることができた。・ 地域の子供たちのための取組は、地域農業の誇りと愛着をはぐくんでおり、そばの栽培を通して鬼首そば生産組合が地域農業の中心的役割を担っている。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 保有する農機具等の老朽化が進んでおり、更新時は組合員の負担も増えることから、円滑に更新を進めるよう対応が必要。

【取組内容】 地域資源の活用 耕作放棄地の活用

(宮城県大崎市)

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開花期のそば

「鳴子の米プロジェクト」で地域を活性化(鳴子地区)宮城県大崎市

1 概要① 取組の概要・ 鳴子地区は東日本有数の温泉観光地。稲作農家の大部分は小規模経営だが、コメの生産者手取り価格1俵1万8千円を確保し、農業を持続できるよう、地域の生産者、JA、自治体、旅館・飲食店等による「鳴子の米プロジェクト」を平成18年から開始。・ 新品種「ゆきむすび」を導入、生産者と地元の旅館・飲食店・消費者との交流活動を通じた販売を展開し、地域を活性化。交流活動を行う中で、食育の推進や都市住民との交流・農業体験を実施。

② うまくいっているポイント・ 農業の衰退は鳴子温泉の田園風景の喪失、観光客の減少につながるという問題意識を共有し、地域一丸となって取組みを展開。・ 高冷地に適した新品種ゆきむすびを導入したことが鳴子の米のブランド化につながり、生産者がコメづくりへの自信を得たことで生産意欲も向上。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 都市と農村の交流や情報発信の更なる取組みによる消費者の参加拡大と認知度の向上。・ 鳴子の米プロジェクトの継続のため、食育や地域の若い世代が農業に関わる仕組みづくりを検討。

地元の中学生への講演

・都市農村共生・対流総合対策交付金事業(H25~H26)

(宮城県大崎市)

【取組内容】 都市農村交流 景観保全 ブランド化

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町商工会と連携しそばで地域振興を図る(たまゆら鄕蕎麦生産組合)宮城県村田町

1 概要① 取組の概要・ 村田町の北東部に位置する姥ケ懐地区は、山間地域で高齢化が進み、調整水田・自己保全管理水田等の不作付地が多い地域。・ 村田町姥ケ懐地区では、農業者や商工会議所関係者らが従来から山間農地の荒廃防止と高齢化社会の生きがい創設による活性化を目指し、町の観光事業に寄与することを目的に活動を行っており、平成18年に町の遊休農地利活用事業を活用し、遊休農地の再生と地域振興を図るためそばと麦の作付を始めた。・ 平成18年の取組当初は、18haの耕作放棄地にそばを作付けし、一部小麦を組み合わせた二毛作に取り組み、現在は24haにまで拡大。・ 生産したそばは、「たまゆらのそば」として、町内のそば屋、高速道路のSAで販売。また、町商工会と連携しそば祭り、そば焼酎の商品化など地域興しの取組を行っている。

② うまくいっているポイント・ 取組がテレビ報道され、全国から商品に対する問合せが増加し、そば製品の販売増と観光客が多く訪れ地域活性化に結びついた。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 今後、付加価値の高い商品である「そば焼酎」の増産・販売及びそば祭りによる一層の地域活性化をはかる。

・村田町遊休農地利活用事業(H18)

【取組内容】 企業との連携 地域資源の活用耕作放棄地の活用

(宮城県村田町)

商品化したそば焼酎と麦焼酎

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「えごま」を活用した商品開発(大内農産加工品開発協議会)宮城県丸森町

1 概要① 取組の概要・ 福島県に接する中山間地の大内地区では、農業者など地域住民が地元産の「えごま」で加工品開発に取り組み、「いきいきえごまドレッシング」(4種類)を商品化。・ 地区内の「いきいき交流センター大内」(直売所・レストラン)での販売等のほか、生産設備増強によって丸森町内の主要観光施設での販売も始め、着実に販路拡大を推進。

② うまくいっているポイント・ 丸森町は6次産業化と農商工連携を推進しており、本協議会は丸森町や町振興公社との連携のもとで取組を実施。・ 開発に当たっては地域住民によるワークショップを開催し、販路拡大に当たってはマーケティング調査を実施。・ いきいきえごまドレッシングの製造・販売を地域住民が主体的に取り組むコミュニティビジネスとして事業化し、地元の農産物の生産振興にも寄与。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ いきいきえごまドレッシングのインターネット販売や首都圏での販売など、更なる展開に向けた取組。・ 人口が減少傾向にある本地域の活性化のため、新商品の開発など6次産業化の更な

る進展。

いきいきえごまドレッシング

・食と地域の絆づくり被災地緊急支援事業(H23)

(宮城県丸森町)

【取組内容】 6次産業化地域資源の活用

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被災地の代替地等としての耕作放棄地を再生 (南三陸地域耕作放棄地対策協議会)宮城県南三陸町

1 概要① 取組の概要・ 南三陸町は、菊やほうれんそうでブランド化を図り、成果を上げてきたが、東日本大震災により、低平地の農地のほとんどが津波で浸水し、耕作できない状況。・ 対策協議会が津波被災農家へ農地を斡旋するため、耕作放棄地の活用制度を説明。・ 対策協議会が町内の農家が所有する山間部の耕作放棄地について、再生利用の調整をし、2.7haの耕作放棄地を再生。・ 再生された農地を被災農家4名が借受け、菊、ほうれんそうを再び作付け。

② うまくいっているポイント・ 対策協議会が、耕作放棄地の土地所有者と津波被災農家との間で調整に奔走した結果、両者の意向が合致。・ 被災農家が生産した菊、ほうれんそうは、全国の物産展での販売の他、JAへも出荷。菊については、震災前から独自に取引していた卸業者との取引を再開。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 震災以前のレベルに生産の回復を目指す。・ 今後は、こまつなと野菜の生産増を目指す。また、地産地消の推進。

再生した農地での菊の栽培

・被災地営農継続支援耕作放棄地活用事業(H23~)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 ブランド化

(農村計画部)

(宮城県南三陸町)

19

特産品のぶどうで6次産業化に取組み((農)大沢ファーム)秋田県横手市

1 概要① 取組の概要・ 横手市は秋田県下有数の果樹産地で、中でも農事組合法人大沢ファームが所在する大沢地域は、市東部の山間部に位置する市内最大のぶどう産地。・ 以前は、農家個々が生産したぶどうを、(社)横手市観光協会が買い上げ、県外の加工会社への生産委託によりぶどうジュースを生産・販売。・ 高付加価値化による農業経営の安定に向け、農業者自らぶどうジュースの加工・販売に取り組もうと、平成24年に農事組合法人を設立。・ 平成24年5月に、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画認定。・ 平成25年には、旧学校給食センターを借りてジュース加工場を整備し、ぶどうジュース等の製造・販売を開始。

② うまくいっているポイント・ ぶどう生産農家の法人化による原料の安定的な確保とリスク分散を図り、ジュース加工場の整備により雇用の拡大にもつながっている。・ (社)横手市観光協会との連携により、消費者ニーズの把握と国内高級スーパーや海外スーパー等への販路を確保した安定的な販売が図られている。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ ぶどうや洋なし以外の地域の農産物を活用したジュース加工。・ 輸出用ジュースの輸出拡大。

ぶどう等のジュース

・農山漁村6次産業化推進整備事業(H24)・加工業務用農産物出荷拡大支援事業(県単、H25)

(秋田県横手市)

【取組内容】 ブランド化 6次産業化企業との連携

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「中滝ふるさと学舎」 思い出の校舎は出会い(交流)の拠点へ(かづのふるさと学舎) 秋田県鹿角市

(活用している制度・予算)

中滝ふるさと学舎外観

・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(H21)

(秋田県鹿角市)

【取組内容】 地域資源の活用

1 概要① 取組の概要・ 中滝小学校は平成20年11月に廃校となったが、地域住民からコミュニティの拠点の存続を求められていた鹿角市が、都市住民との交流による地域活性化を図るため、コミュニティと交流拠点の機能を併せ持つ施設として、廃校を「中滝ふるさと学舎」に改装。・ 中滝ふるさと学舎内の、ふるさとギャラリー、森のカフェ「こもれび」はコミュニティの場に利用され、森の工房、食の工房ではクラフト体験、調理体験などを取組み。・ 中滝ふるさと学舎を運営している「かづのふるさと学舎」は、地域農家から地元食材の提供や農作業体験の受入れをしてもらうなど農家と連携した取組みを実践。

② うまくいっているポイント・ 中滝ふるさと学舎での体験に加え、森林浴、川遊び、ノルディックウオーキングなど体験メニューが豊富かつ充実。・ 観光スポットとしてテレビ番組や旅行誌で紹介され、来訪者が増加。・ 地元食材の提供等により、地域農家の活力と所得安定に寄与。

2 今後の課題・ 更なる来訪者の増加に向けてイベントの企画立案。

都市農村交流

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菜の花から始まるエコで環境にやさしい農業を目指す(合同会社 大地)秋田県仙北市

1 概要① 取組の概要・ トラック運送企業(株)秋田運送は、ディーゼル車規制をきっかけに、耕作放棄地での菜の花の栽培、菜の花からのBDF(バイオディーゼル燃料)の活用を考え、農業生産法人合同会社「大地」を設立。・ 大地は、これまで大仙市、横手市、小坂町の耕作放棄地の再生を積極的に実施。平成24年には廃止牧場の耕作放棄地240haのうち約120haを再生し、菜の花を栽培。・ 作付けした菜の花は、BDFとして自社で活用する他、菜種油として道の駅や土産物店で販売。

② うまくいっているポイント・ 異業種参入者が、耕作放棄地に菜の花を導入、大規模な菜の花畑は地域の景観形成に貢献。・ あきた菜の花プロジェクトの一員として、地域の資源循環型社会の実現に貢献。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 大型機械を活用した耕作放棄地再生の取組みを継続するため、菜種油の販路拡大及びBDFの需要拡大が必要。

大型機械で耕作放棄地再生

・被災地営農継続支援耕作放棄地活用事業交付金(H24)・耕作放棄地再生利用緊急対策交付金(H20~)

(秋田県仙北市)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 新規作物の導入企業との連携

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農業生産条件の強化に取組む事例(大宮田向(おおみやたむかい))秋田県仙北市

1 概要① 取組の概要・ 地域の用排水路は大部分が素堀りであり、排水不良による農作物への悪影響があったことから、平成17年度から、素掘り水路へのU字側溝の新設、老朽した側溝の更新を実施。

② うまくいっているポイント・ 自己施工による用排水路の整備に重点的に取組み、施設に不具合が有る場合等の迅速な対応が図られている。また、用水路整備の取組み以外では、農道の砂利補修にも取り組む等、自治体

の整備負担が軽減される効果にもなっている。・ 以上の農業生産のためのインフラ整備だけでなく、地域に古くから伝わる手踊りの踊り手が少子化で少なくなっているため、集落外の農家等と連携して踊り手育成を支援するなど、経営面だけでなく農村文化(伝統文化)の継承を大事にし、継承をきっかけに集落外との連携が図られている。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 素掘り水路へのU字側溝の新設等による用排水路の整備は、排水不良の解消による農作物の品質向上に加え、農作業の負担軽減や効率化等に大きな効果があることから、引き続き計画的な施設整備を進める取組みが必要。

U字側溝を新設

・中山間地域等直接支払交付金(H14~)

(秋田県仙北市)

【取組内容】 地域資源の活用人材育成 外部人材の受入

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集落間・地域の連携

バイオマスタウン構想と連携した耕作放棄地再生利用((株)あぐりランド)秋田県小坂町

1 概要① 取組の概要・ 農業による地域貢献を目指していた小坂町ポークランドグループは、循環型農業実践のため耕作放棄地を活用。・ ポークランドグループの(株)あぐりランドは、国からの助成金を活用して、借受けた耕作放棄地約28haを再生利用。

・ (株)あぐりランドは、「なたね」や「大豆」を再生農地に作付、BDF(バイオディーゼル燃料)利用の他、食用なたね油として直売施設や取引先の生協・量販店で販売。さらに、なたねカスは自社「桃豚」の自給飼料にも活用。・ 「農業で幸せになろう」を合い言葉に、養豚を中心とした食の安全を追求した生産、有機野菜の栽培の実践、生ゴミの堆肥化など、安全と資源循環を目指した農業を実践。

② うまくいっているポイント・ 町が取組むバイオマスタウン構想の実現と、農地を仲介する農業委員会とグループが目指す循環型農業が一体的な連携のもとに耕作放棄地解消を通じて融合。・ 資源循環農業を目指した地元企業で、就労しやすい職場づくりに取組み、地元からの信頼獲得と人材を受入れ。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 他作物の導入による連作障害の防止及び大型機械の導入などにより営農規模を拡大し、ポークランドグループが取組む循環型農業のさらなる推進を図る必要。

再生農地の菜の花

・耕作放棄地再生利用緊急対策(国)(H23~)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 新規作物の導入 ブランド化

(秋田県小坂町)

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耕作放棄地の有効活用を図り規模拡大 たらのき代天狗森地区((有)米作)山形県鶴岡市

1 概要① 取組の概要・ 地元建設会社の(株)王祇建設は、農業が抱える諸問題(農業従事者の高齢化、経営の効率化、地元雇用)の一助になればとの思いで(有)米作を設立。

・ 県営事業で造成された150haの農地のうち耕作放棄されていた55haを(有)米作が取得し、初期は23haを全額自己資金で、その後24haを国からの助成金を利用して再生。農地の再生及び規模拡大に伴う農作業従事者新規4名を地元雇用。・ 再生された農地では、枝豆、赤カブ、にんじん、アスパラガス、かぼちゃ及びニンニク等を生産するとともに、枝豆を加工した味噌を販売するなど6次産業化にも取組。

② うまくいっているポイント・ 地場販売の外に、県内外の企業との契約栽培による販売、ネット販売等、広範に渡る販路を開拓・確保。・ 中山間地域の耕作放棄地の大規模再生の事例、及び企業の農業参入のモデル事例として地域を牽引。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 農地が標高600mに位置し、農作業の可能な期間が5.5ヶ月と限定されることから、売上額の増加を目指してブランド化・加工等による6次産業化をさらに推進。・ 適地作物の導入について、さらに研究・検討を図り、収益性を高めるよう栽培技術の向上に努力。

耕作放棄地再生後

・耕作放棄地再生利用緊急対策(H22~)・農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業(県単、H22~)・庄内活き活きファームづくり総合支援事業(県単、H22)・鶴岡市先導的農業組織等育成事業(市単、H22)

【取組内容】 耕作放棄地の活用 新規作物の導入企業との連携

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(山形県鶴岡市)

多様な担い手の確保(田麦野(たむぎの))山形県天童市

1 概要① 取組の概要・ 景観作物作付け、ビオトープ、水路、農道等の維持・管理(鳥獣防護柵設置、草刈り)、団体の組織化、農道舗装、用排水路補修等、様々な活動に取組み。

② うまくいっているポイント・ 三方を山に囲われた狭隘な地形を利用し、田麦野の特産である香りの良い「でわかおり(そば)」を栽培。・ 集落内にある交流施設「ぽんぽこ」にて開校の県内外の方を対象とした『ぽんぽこ塾』を通じた組織づくりを行い、農作業体験を実施。・ 開校にあたり県内の大学生も参加しており、若い人達との交流をして多様な担い手の確保に繋げている。・ 学生が集落へ入ってきてからは、野菜作り等で高齢者がいきいきとしており、地域の活性化へも繋がってきている。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 担い手を育成する環境を整えながら集落営農の確立。・ 集落外との連携により農村景観などの資源の活用や都市住民との交流を促進し、集落全体の活性化。

・ ネギ・食用菊の栽培など、高付加価値型農業の推進。

『ぽんぽこ塾』塾生

・中山間地域等直接支払交付金(H12~)

(山形県天童市)

【取組内容】 高齢者の活躍 人材育成 外部人材の受入 地域資源の活用

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都市農村交流 景観保全

「いやしの里」づくり(ブナの実21)山形県舟形町

1 概要① 取組の概要・ 地域住民が連携し、自然と共生しながら経済活動と結びつける地域づくりに取組み。・ 農山村地域の過疎地であっても、農業の営みに支えられた地域文化と、都会にはない豊かな自然のある町、世界に発信できる「いやしの里」づくりを実証的に進める目的で、任意団体「ブナの実21」を平成9年3月に設立。・ トキ草などの絶滅危惧種が生息する手倉森湿地の観察会、農村環境保全に係る実践活動を行うための地域体制の整備や人材の確保、農産物の生きものマークに基づくブランド化やふるさと便活動(地場産漬け物)、交流会の開等により都市農村交流を促進し地域を活性化。

② うまくいっているポイント・ 150年前に建てられた別荘の囲炉裏を囲み企画立案及び実践活動を拡大。・ 都市農村交流活動により、交流人口が年々拡大。・ ブナの実21がとりまとめ役となり、住民(地域への愛着)や行政(効果的な町づくり)及び企業(イメージアップ)との協力による地域(人)づくり活動を実践。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 地域再生を図る手倉森・堂ヶ沢地区自然環境再生計画を策定し、地域や企業及び行政と連携・協力しているが、資金不足のため計画に沿った保全活動が進まない。・ 地域では、若者の減少・少子高齢化が著しく進行し、農林業に携わる担い手が不足して農村機能の維持管理が困難な状況にあり、その対策が大きな課題。

絶滅危惧種が生息する手倉森湿地の観察会

・食と地域の交流促進対策交付金(H23~25)

【取組内容】

(写真)

都市農村交流 地域資源の活用 ブランド化企業との連携 外部人材の受入 景観保全

(山形県舟形町)

27

耕作放棄地を活用したソバによる地域の活性化(神田地区「ソバ作付推進委員会」) 山形県戸沢村

1 概要① 取組の概要・ 戸沢村神田地区は、葉たばこと野菜の生産が盛んであったが、兼業化が進み離農する農家が相次ぎ、担い手の減少により耕作放棄地の発生が進んだことが契機となって、平成10年に神田地区「ソバ作付推進委員会」を組織。・ ソバ作付推進委員会は、これまでに13haの耕作放棄地を再生。栽培が容易なソバを導入し、組織一丸となって播種・収穫の共同作業を実施。・ さらには、委員会の活動は村内ソバ職人会の設立、手打ちそば店の開業(村内5店舗)、ソバ焼酎原料の契約栽培、新ソバ祭り開催の取組みに寄与。

② うまくいっているポイント・ 地区住民が多数参加した話し合いによる耕作放棄地の再生への取組み。・ ソバ打ち体験、新ソバ祭り等、ソバによる地域活性化の取組みが成功。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 耕作放棄地の発生を防止するため、担い手確保の取組みが必要。・ そばの価格が下落傾向にあるため、品質向上への取組みが必要。

再生した農地でソバの収穫

・山形県ふるさと水と土保全隊活動調査事業(県単)(H10)

・山形県ふるさと水と土保全隊活動モデル支援事業(県単) (H11~H12)

・農用地開発荒廃農地対策事業(村単)(H15)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 新規作物の導入

(山形県戸沢村)

28

交流人口を拡大し活力ある町づくり(鳥海山“おもしろ自然塾”推進協議会)山形県遊佐町

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 子ども農山漁村交流プロジェクトの継続実施と民泊受入家庭の拡大。・ 協議会運営の安定した体制整備。

農業体験

・食と地域の交流促進対策事業(H23~H24)

・強い林業・木材産業づくり交付金(林野庁、H17)

・グリーン&ブルーツーリズム体験事業(町単、H25~)

(山形県遊佐町)

【取組内容】 都市農村交流 地域資源の活用

1 概要① 取組の概要・ 遊佐町では、平成9年度より東京都内の小学生を受入れ、農業体験、カントリーエレベータ見学、農家民宿などの体験活動を実施。・ さらに充実した活動とするため、平成23年度に鳥海山“おもしろ自然塾”推進協議会を設立し、交流体験型宿泊施設、農林漁業体験実習施設を拠点に、地域資源をフル活用した交流を促進。・ 鳥海山の恵まれた自然環境を生かして「海抜0mから2,236mまるごと自然体験」をキャッチフレーズに、ゼロメートルでの磯遊びと岩ガキ剥き体験から、孟宗掘り、そば打ち体験、高原での山野草ハイキングなどを組み合わせた様々な体験メニューを展開。・ また、被災地交流として、岩手県大槌町や福島県相馬市からの小学生の受入れ(H24実績28人)のほか、町内小学生の大槌町への教育旅行を実施し、相互交流が進む。

② うまくいっているポイント・ 活動の核となる施設の活用と併せて、協議会として体制整備したことにより、設立後2年で体験指導の講師育成や民泊受入家庭の組織化に成功。・ 山形県が取組む教育旅行と連携した誘致活動により、受入れ校が増加し、交流が拡大。

人材育成 集落間・地域の連携

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NPOが創り出す、ゆうきの里(NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会)福島県二本松市

1 概要① 取組の概要・ 当地域は、阿武隈山系の西側の中山間地域に位置し、1970年代なかばから青年団活動を基盤に、トマトやキュウリなどの施設栽培と少量多品目栽培の有機農業による複合経営を確立。・ 現在、 「NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会(2005年設立)」が地域活動の中心となり、桑畑の再生を目的とした桑の葉パウダーをはじめ特産品の開発、産直の強化、独自の認証制度、新規就農者の受入れ、道の駅ふくしま東和の運営。・ 会員は約250人、うち約160人が農家で、ゆうき産直部会の会員は30人。・ 道の駅ふくしま東和を地域再生の拠点として、ゆうきの里東和は地産地消からまちづくりまでを担い「新しい公共」の主体となっている。

② うまくいっているポイント・ 出荷する野菜には、農薬の使用を慣行栽培の半分以下にする、化学肥料を慣行栽培の半分以下にして完熟有機質堆肥を使用するなどの6つの約束を果たしたことを示すシールを貼ることで消費者に安心感をもってもらう。・ 複数のリーダーが存在し、新規就業者の育成、有機農業の担い手、グリーンツーリズムの拡充、消費者・都市住民への働きかけ等、個性を活かして地域をアピールしている。・ 高齢者の生きがいづくりと地域のコミュニティづくりが盛んである。

(活用している制度・予算)

・ 県北あぶくま・里山暮らしサポート活動支援事業(県単)

・ 過疎集落等自立再生緊急対策事業(県単)

・ 新規就農者研修支援事業(市単)

・ 移住・定住推進事業(市単)

2 今後の課題・ 新規就農希望者の定住促進のための生活基盤確保・ 農産物の安定供給及び品質と生産技術の向上

げんきな野菜が並ぶ道の駅ふくしま東和

(福島県二本松市)

【取組内容】 ブランド化耕作放棄地の活用新規就農者の受入都市農村交流

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6次産業化

知見豊富なシニアと若い世代が連携して地域活性化(NPO法人りょうぜん里山がっこう)福島県伊達市

1 概要① 取組の概要・ 大石地区は、人口流出による高齢化が進み、地域活性化のため、住民で構成する「りょうぜん里山がっこう」を平成12年に立上げ、19年にNPO法人化。・ 福島大学の学生と知見豊かなシニア住民が連携し、地域の新発見をテーマに、大石地区の名所・旧跡、歴史や由来等の地域資源の調査に取組み、交流を継続。・ 地域の伝承料理を再発見するため、集落間の連携により料理を集めた「大石たべもの博大交流会」をイベントとして定着化。

② うまくいっているポイント・ 学生と住民の連携や集落間の連携で、「大石はひとつ!」を合い言葉に地域一丸となった活性化の取組みを推進。・ 大石たべもの博大交流会における参加者からの評価を活かし、好評を得た伝承料理を商品化。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 交流会等で寄せられた参加者の意見を今後の活動の改善につなげること。・ 活性化講座によって参加者が得た経験を、地域全体の活性化へ結びつけること。

大石たべもの博大交流会にて

・都市農村共生・対流総合対策交付金(H25~27)

(福島県伊達市)

【取組内容】 地域資源の活用都市農村交流 集落間・地域の連携外部人材の受入

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湯本の豊かな地域資源を活用した交流(EIMY湯本地域協議会)福島県天栄村

1 概要① 取組の概要・ 集落が有する農村環境の魅力を再認識するための調査や分析、農村環境保全に係る実践活動を行うための地域体制の整備や人材の確保、農産物の生きものマークに基づくブランド化や交流会の開催など、農村環境を活用した取組みを通じて都市農村交流を推進し、地域を活性化。・ 以前から地域再生ネットワークを組織し取組みを推進。さらに再生可能エネルギーを取り込んだ活動に発展させるため、「EIMY湯本地域協議会」を平成20年8月に設立。・ 大学との連携により地域の資源(棚田、ホタル、里山、茅葺き屋根)を活用した地域づくりと都市と農村の交流事業に取組み。

② うまくいっているポイント・ 湯本の豊かな地域資源を活用した交流事業(ホタルの里、棚田、湯本とれたて市)を推進し、地域の自然と独自の食文化を最大限活用。・ 特にホタルの里交流事業は、地元旅館と連携し、観光客が増加。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 耕作放棄地の増加に歯止めをかけるため、新規就農を目指す若者等の滞在・定住促進を図るための環境整備。・ 東日本大震災に伴う原発事故により放射能汚染とその風評被害により大打撃を受けた地域農業や観光産業の再生。・ 少子高齢化が進んでも持続可能な集落の再生のため集落連携の推進。

ホタルの里下草刈り作業

・広域連携共生・対流等推進交付金事業(H22)

・食と地域の交流促進集落活性化対策事業(H23~H25)

・都市農村共生・対流総合対策交付金事業(H26~H28)

(福島県天栄村)

【取組内容】 人材育成 都市農村交流 景観保全 地域資源の活用 ブランド化

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南会津の子ども農山漁村交流プロジェクト(南会津町農村生活体験推進協議会)福島県南会津町

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 相互交流教育旅行の継続実施と併せて需要の掘り起こし、広域連携による受入体制の整備、大規模校の受入れ等を進め、安定した需要の確保。

農家民泊・収穫体験

・広域連携共生・対流等交付金(H20~H21)

・食と地域の交流促進対策事業(H23~H24)

・都市農村共生・対流総合対策交付金(H25~H26)

・南会津町小学生集団宿泊体験活動事業(町単、H25~) ほか

(福島県南会津町)

【取組内容】 都市農村交流 企業との連携 地域資源の活用

1 概要① 取組の概要・ 首都圏等からの教育旅行団体や小学校、中学校、高校、海外留学生を受入れ。・ 農村生活体験(農業体験、林業体験、自然体験など)、宿泊体験(農家民泊など)活動のほか、豪雪地帯である南会津ならではの雪国体験、駒止湿原ハイキング、地元産そばのそば打ち体験等、積極的に地域資源を活用して特色ある取組を展開。・ 子ども農山漁村交流に際して、都市の子どもの受入れにとどまらず、当該都市へ南会津の子どもたちを送り出し、子ども同士の濃密な相互交流を実施。

② うまくいっているポイント・ 当協議会は、農家のほか、旅館・民宿組合、行政機関等を構成員として、事務局を観光会社が担っており、交流受入れのトータルコーディネートが可能な組織形態。・ 送り手側に「なぜ、福島に?」との声がある中で、大震災・原発事故による風評被害を払拭するため、協議会組織あげての誘客キャラバンを継続して実施。この結果、1校(H23実績)まで減少した交流が4校まで戻り、さらに約4,200名(H24実績)を受入れ。・ キズナ強化プロジェクト(外務省)による海外(米国、フィリピン、インドネシア等)の青少年の受入実績を生かしたグローバルな情報発信によって、南会津のおもてなしを求めたリピーターや新規の海外の青少年受入れが拡大。

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耕作放棄地の再生による農業振興で地域活性化(南会津町舘岩地区)福島県南会津町

(活用している制度・予算)

・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(H19)

【取組内容】

(写真)

企画調整室で地図を添付

耕作放棄地の活用

1 概要① 取組の概要・ 町と(有)会津高原たていわ農産が連携し、平成19年度から23年度にかけて、耕作放棄地の実態調査と農地の再生に取組み。・ 再生した農地で生産したそばは南会津地方に古くから伝わる郷土料理「裁ちそば」として、赤かぶは伝統野菜「舘岩赤かぶ」として、舘岩地区のそば処や道の駅で提供。・ また、旧舘岩村時代に技術の伝承・普及と村おこしを目指して「裁ちそばの会」が設立され、今は、この会が中心となってそばの収穫体験を実施し、農家民泊との連携により、地域活性化に取組み。

② うまくいっているポイント・ 耕作放棄地の再生が農業振興のきっかけとなり、農村景観の保持に繋がっている。・ 裁ちそばの会による取組みが地域のコミュニティを高め、都市住民等との交流による地域活性化に結びついている。・ 農産物の安定的な供給場所(販売所等)の確保により、農産物が安定に生産できるとともに農業所得が向上。

2 今後の課題・ 他の耕作放棄地の再生の継続と、裁ちそばの会による技術伝承・普及の取組みを拡大させ、都市住民との交流機会の増加を目指す。

景観保全都市農村交流

再生した農地でのそば栽培

(福島県南会津町)

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農業部門の企業参入-耕作放棄地の活用に向け農業法人を設立-((有)F.K.ファーム)福島県南会津町

1 概要① 取組の概要・ 地元建設会社が南会津町内の耕作放棄地の再生・活用による農業部門への参入を目的に(有)F.K.ファームを設立。・ F.K.ファームは県単事業を活用して20haの耕作放棄地を再生し、自力施工の再生と合わせて44haを再生。現在、ソバ52ha、アスパラガスなどの野菜4haまで作付拡大。・ ソバは、県育成品種の「会津のかおり」を導入。町内の自社製粉所で加工し、自社直売所で販売の他、そば店で提供。・ アスパラガスは、地元の加工組合との連携により粉末化、アスパラ味のソフトクリームとロールケーキの生地に利用。

② うまくいっているポイント・ 異業種参入者が、堅実な農業経営を展開、ソバを核とした地域振興に取組み、地域農業の担い手として積極的に活動。・ 作業が難しくなった高齢農家の農地を借りて、農作業受託を実施。貸手から信頼を獲得。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 南会津産ソバとしてブランド化の確立。・ 地域における若者の安定した雇用の拡大。

・稔りの農地総合再生事業(県単)(H18)

(福島県南会津町)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用 新規作物の導入企業との連携 6次産業化

再生した農地でのそば栽培

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交流による活性化と移住・定住者確保の取組 (NPO法人苧麻(ちょま)倶楽部)福島県昭和村

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 地域住民と村外の若者などとの交流は順調に推移。一方、村への移住・定住者を増やすことと、伝統文化や高齢者の智恵を受け継ぐ人の確保が課題。

ムラキャンパスの様子

(福島県昭和村)

【取組内容】 都市農村交流 外部人材の受入

1 概要① 取組の概要・ 昭和村は、高齢化や人口減が課題となり、危機感を抱いた地元住民が平成17年に「誰もが主役のむらづくり会議」を設置。平成19年に「NPO法人苧麻倶楽部」に再編し活性化に取組み。・ 主な取組内容は、都市部の若者がボランティア活動を行う「昭和村ワークキャンプ」。また、大学生が合宿型で地域住民から学びながら交流する「ムラキャンパス」。・ これら参加者は、地域住民との農作業や雪下ろし作業、聞き取り体験などを通じて交流を深め、村の活性化に大きな役割。・ さらに、田舎暮らし希望者の発掘のため、プレ移住体験用の専用住宅を活用。移住・定住者を増やす取組みも実施。

② うまくいっているポイント・ これらの取組みを通じて、数百人規模の若者が通年で村を訪れるため、地域住民が「えがお」や活力を取戻す。・ NPO法人化したことで、目的と実施主体が明確になり、継続した取組みが可能。

・食と地域の交流促進対策交付金(H23)

・福島県緊急雇用創出基金(H23~H25)

・公益信託うつくしま基金(H24~H26)

・日本郵便年賀寄附金配分事業(H26)

・昭和村各種団体育成事業

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菜の花栽培による景観形成から菜種の加工・販売へ(八木沢農用地利用改善組合)福島県会津美里町

1 概要① 取組の概要・ 担い手育成基盤整備事業高田西部地区(平成8年~14年)による基盤整備を契機に平成9年に前身となる八木沢水稲直播栽培実行委員会を組織し、水稲直播に取組み。・ 地区内で3つの直播受託組織が組織され、平成15年に土地利用や作業調整を主とした八木沢農用地利用改善組合に改組。・ 平成22年女性部(菜の花会)を創設し、耕作放棄地に菜の花を栽培。会津若松市の老舗の油屋で菜種油を絞り、地元で行われる菜の花まつり等で販売するほか、菜種油を使った揚げ凍み餅の加工販売に拡大。

② うまくいっているポイント・ 土地利用調整により、生産組織による水稲湛水直播面積が拡大し、全国でも有数の直播面積(地区内水田121haのうち、平成25年直播面積は95ha)。・ 移植栽培では流通業者向けとして有機JAS栽培に取組むなど、市場ニーズに応じた栽培を実施。・ 耕作放棄地再生の取組みとしての菜の花栽培(景観形成)から、加工、販売に発展。

(活用している制度・予算)

2 今後の課題・ 法人化により、組織の体制強化を図る必要。

再生した農地での菜の花栽培

・担い手育成基盤整備事業(H8~14)

(福島県会津美里町)

【取組内容】

(写真)

耕作放棄地の活用女性の活躍 6次産業化

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