193
「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤整備」 事後評価報告書 平成18年3月 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤整備」

事後評価報告書

平成18年3月

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会

Page 2: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

平成18年3月 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事長 牧野 力 殿

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会 委員長 曽我 直弘

NEDO技術委員・技術委員会等規程第31条の規定に基づき、別添のとおり

評価結果について報告します。

Page 3: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

目 次

はじめに 1 分科会委員名簿 2 審議経過 3 評価概要 4 研究評価委員会におけるコメント 7 研究評価委員会委員名簿 8 第1章 評 価

1.プロジェクト全体に関する評価結果 1-1 1.1 総論

1.2 各論

2.評点結果

第2章 評価対象プロジェクト

1.事業原簿 2-1 2.分科会における説明資料 2-2

参考資料1 評価の実施方法 参考資料 1-1 参考資料2 評価に係る実施者意見 参考資料 2-1

Page 4: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

はじめに 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構においては、被評価プロジェク

ト毎に当該技術の外部の専門家、有識者等によって構成される研究評価分科会を研究

評価委員会によって設置し、同分科会にて被評価対象プロジェクトの研究評価を行い、

評価報告書案を策定の上、研究評価委員会において確定している。 本書は、「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」の事後評価報告

書であり、第4回研究評価委員会において設置された「ロボットの開発基盤となるソ

フトウェア上の基盤整備」(事後評価)研究評価分科会において評価報告書案を策定

し、第9回研究評価委員会(平成18年3月30日)に諮り、確定されたものである。

平成18年3月

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会

Page 5: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」

事後評価分科会委員名簿

(平成17年12月現在)

氏名 所属

分科会 会長

新井 民夫 東京大学大学院 工学系研究科 精密機械工学専攻

教授 分科会 会長代理

成田 雅彦 富士通株式会社 ソフトウェア事業本部 開発企画 統括部 プロジェクト部長

井村 順一 東京工業大学大学院 情報理工学研究科 情報環境学

専攻 教授

木崎 健太郎 日経BP社 日経ものづくり編集 編集長

寺嶋 一彦 豊橋技術科学大学 工学部 生産システム工学系 教授

分科会

委員

三宅 徳久 パラマウントベッド株式会社 生産本部 主席研究員

敬称略、五十音順

Page 6: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

審議経過

第1回 分科会(平成17年12月21日)

公開セッション 1.分科会の公開について 2.評価の在り方と評価の手順について 3.評価の論点について 4.評価報告書の構成について 5.プロジェクトの概要 6.プロジェクトの個別テーマの詳細について 7.コメント、質疑応答(全体について)

第9回 研究評価委員会(平成18年3月30日)

Page 7: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

評価概要 1.総 論 1)総合評価 ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

に入れて研究開発したことは、ロボット先進国として、またロボット技術のより効率

的な開発を目標とするために、適切な選択である。本事業の開発により、仕様に基づ

いたプログラム化、コンポーネントとしての総合化が可能となり、ロボットの応用範

囲を広げ産業を活性化することが期待される。特に、ロボット要素部品の組み合わせ

で様々なロボットシステムを構築する際に、その動作のプログラミングに関する標準

的仕様や手順を提案することで部品要素をモジュール化し、システム構築を容易にし

たことは、ロボット産業の振興に資するところ大である。また、研究成果の普及活動

を展開できたことも大きな成果である。本技術は国が開発を担当すべき内容であり、

研究所、業界団体、民間の共同作業で本プロジェクトを実施できたことは今後の技術

進展のための好例と評価する。

しかし、標準化した仕様の範囲は、RT基本要素及びRT協調要素のモジュール化

に関する標準仕様を定めたものであるが、対象の広いロボット技術の中では比較的狭

い範囲であり、部分的な完成を見ただけである。競争力の点で検討の余地が残されて

おり、フレームワークの継続的改善が望まれる。 今後、画像処理等を含んだロボットアプリケーションの実証や複数の仕様性能を組

み合わせたシステムの互換性・着脱性の詳細な検討が、仕様範囲の拡大と共に望まれ

る。また、標準化を含む普及活動は具体的な見通しを立てにくい作業であることから、

ミドルウェア普及のための画期的な戦略の立案を関係者が一致して推進することを

期待する。

2)今後に対する提言 本研究開発成果を真に実効的なものとするためには、成果品のエンドユーザに対す

るサポート、ソフトウェアの改良・保守等を恒常的なものとして維持することが必須

であると考える。また、現段階で実現可能なロボット機能は限られているため、応用

の対象をサービスロボットや介護支援ロボット等に絞って開発例を多く示し、その有

用性について実証していくことを要望する。

NEDO や JARA(日本ロボット工業会)のような公共性のある団体は、標準化や

その普及に対し、中・長期的な戦略の立案、活動費や研究費の継続的な確保など、積

極的に活動すべきである。したがって、後継のプロジェクトにおいて、本プロジェク

トの目的を継続するとともに、普及や標準化に対しても活動が中断しないようにして

いただきたい。また、ロボット分野の実用化は研究レベル以上にマーケットリスクが

高く、ただちに民間がアプリケーション開発に参入しにくいと考えられるため、実用

化への助成も継続して検討するべきである。

Page 8: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

2.各 論 1)事業の位置付け・必要性について 本事業は、数々のロボット要素部品に関連する仕様の標準化に関する研究開発とし

て公共性が高く、且つ我が国がロボット分野で世界に先行している立場から、開発し

たソフトウェアは広く利用される可能性があり、標準化による国際貢献を目指した事

業として NEDO の関与は妥当であると判断される。当該事業実施の効果は、実施し

なかった場合との比較で論じられるべきであるが、ロボット用ミドルウェアが普及す

れば、その開発効率の観点からも有用性は非常に大きいと思われる。

しかし、標準化を含む普及活動は具体的な見通しを立てにくい作業であることを考

慮し、普及体制については、初年度からより明確な枠組みを構築すべきであった。な

お、後継プロジェクトにおいて本研究の成果を踏まえたロボット共通要素の共通化及

び多くのロボットへのアプリケーション実証が計画されているが、本研究の今後の普

及や産業界への効果を高める上で十分な成果が得られるよう、しっかりとした対応を

図っていくことが必要である。 2)研究開発マネジメントについて 研究開発目標及び計画に関しては、着手時点における内外動向に基づき適切な内容

が設定され、全般として妥当であった。研究開発体制も、工業会、公的研究機関を中

心とし、全体統括と実施者間の連携を含めて概ね適切といえる。また、技術の普及を

ねらって研究開発と同時に国際標準化活動を実施し、OMG(Object Management Group)において、開発されたRTミドルウェアの標準化と普及活動が開始されたこ

とは特記すべきことである。

しかし、異業種や中小・ベンチャー企業を含む多様な主体でロボット開発を容易に

するという目的を踏まえると、例外処理などの実装を計画に含めることや、複数の要

素部品メーカーを参画させるなどの開発体制がより望ましい形であったと考えられ

る。また、成果の受取手に対して、成果を普及し関与を求める体制が必ずしも十分で

はなく、普及のための検討時間が不十分であった。

研究開発事業体としての NEDO の役割が明確ではなく、NEDO の開発マネジメン

トの具体性が分かりにくい。 3)研究開発成果について すべての項目にわたり目標を達成している。特に、ロボット要素部品の標準仕様に

基づくモジュール化に関して、一つの実現形態を提示したことは、ロボット要素部品

分野ならびにロボットシステム分野の市場拡大に繋がる可能性が十分にあると判断

される。また、成果には汎用性があり、一般に向けて広く情報発信されていると認め

られることから、継続的かつ効率的発展が期待できる。

しかし、開発したミドルウェアは難易度の高くないサービスがメインのため、投入

された予算に対して仕様の規模が期待したほど大きくないように見える。今後はミド

ルウェアのバージョンアップとともに、コンポーネント、特に画像処理関係のコンポ

Page 9: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

6

ーネントの充実とより市場性の高い移動ロボットのアプリケーション開発が望まれ

る。また、ミドルウェアの標準化は、海外においても活動事例が見られることから、

本成果の特徴や優位性に関して研究開発者自身が他との比較評価を行うことで客観

性を高め、これを踏まえて今後とも引き続き評価・改良を継続して行くことが望まし

い。さらに、成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対して、研究終了後も継

続して成果を普及させる活動が求められる。 4)実用化、事業化の見通しについて 実用化イメージ、出口イメージは明確になっており、当該成果を活用して産業化を

はかることは可能である。特に基本機能に関する研究開発においては、明確な実用化

イメージの提示がなされており、可動部のあるさまざまな電子機器への応用や波及効

果も期待できる。また、JIS 化、国際規格化等、標準整備に向けて、OMG等を通し

た活動が具体的に行われている点についても評価できる。

ただし、国際的な標準規格となり得るか否かに関しては、単に技術的優劣のみなら

ず適用実績の蓄積なども重要なファクターになると考えられ、国内外企業による適用

を促進するためのサポート体制、ソフトウェアの保守・改良等の継続的な活動が望ま

れる。更に、本当の実用化ならびに「RT協調要素のモジュール化技術の普及」まで

の作業量を明確にするため、継続プロジェクトを通じて、魅力的なアプリケーション

を多数例示することと普及のための画期的な対策をたてることを期待する。また、ミ

ドルウェアの有効性および実用性をさらに示すためには、極力定量的な目標を掲げる

とともに、本研究成果を具体的なロボットに適用した実績や評価を積み上げて行くこ

とが、今後は重要である。なお、フレームワークは整ったが、それを用いたコンポー

ネントはできていないため、実証プロジェクトの成果の公開等を行うことが必要であ

る。

Page 10: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

7

研究評価委員会におけるコメント 第9回研究評価委員会(平成18年3月30日開催)に諮り、了承された。研究評

価委員からのコメントは特になし。

Page 11: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

8

研究評価委員会委員名簿

(合計 13 名)

(敬称略、五十音順)

委員長 曽我 直弘 滋賀県立大学 学長

委員長代理 西村 吉雄 東京工業大学 監事

委員 伊東 弘一 大阪府立大学 大学院工学研究科 教授

稲葉 陽二 日本大学 法学部 教授

大西 優 株式会社カネカ 顧問

尾形 仁士 三菱電機株式会社 上席常務執行役 開発本部長

黒川 淳一 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授

小柳 光正 東北大学 大学院工学研究科 教授

佐久間 一郎 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授

冨田 房男 放送大学 北海道学習センター 所長

架谷 昌信 愛知工業大学 工学部 機械学科 教授

平澤 泠 東京大学 名誉教授

吉原 一紘 アルバック・ファイ株式会社 理事 技術顧問

Page 12: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

第1章 評価

Page 13: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

この章では、分科会の総意である評価結果を枠内に掲載している。なお、枠の

下の○、●、●が付された箇条書きは、評価委員のコメントを原文のまま、参考と

して掲載したものである。

Page 14: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-1

1.プロジェクト全体に関する評価結果

1.1 総 論

1)総合評価

ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化

を視野に入れて研究開発したことは、ロボット先進国として、またロボット技

術のより効率的な開発を目標とするために、適切な選択である。本事業の開発

により、仕様に基づいたプログラム化、コンポーネントとしての総合化が可能

となり、ロボットの応用範囲を広げ産業を活性化することが期待される。特に、

ロボット要素部品の組み合わせで様々なロボットシステムを構築する際に、そ

の動作のプログラミングに関する標準的仕様や手順を提案することで部品要素

をモジュール化し、システム構築を容易にしたことは、ロボット産業の振興に

資するところ大である。また、研究成果の普及活動を展開できたことも大きな

成果である。本技術は国が開発を担当すべき内容であり、研究所、業界団体、

民間の共同作業で本プロジェクトを実施できたことは今後の技術進展のための

好例と評価する。

しかし、標準化した仕様の範囲は、RT基本要素及びRT協調要素のモジュ

ール化に関する標準仕様を定めたものであるが、対象の広いロボット技術の中

では比較的狭い範囲であり、部分的な完成を見ただけである。競争力の点で検

討の余地が残されており、フレームワークの継続的改善が望まれる。 今後、画像処理等を含んだロボットアプリケーションの実証や複数の仕様性

能を組み合わせたシステムの互換性・着脱性の詳細な検討が、仕様範囲の拡大

と共に望まれる。また、標準化を含む普及活動は具体的な見通しを立てにくい

作業であることから、ミドルウェア普及のための画期的な戦略の立案を関係者

が一致して推進することを期待する。

<肯定的意見>

日本はソフトウェア開発が弱い。そのような状況において、ロボット用ミドル

ウェアの開発は、国が支援して発展させていくべき重要課題である。今回の開

発により、 (1)仕様に基づいたプログラム化ができる。また、コンポーネントとして総

合化できる。 (2)リアルタイム性がある。 (3)設計開発しやすい。 などの成果がえられ、全般的には、目標を達成した満足のいく評価を与えるこ

とができる。 ソフトウェア自体の開発や国際標準化への活動は評価できる。 ロボット要素部品を組み合わせて様々なロボットシステムを構築する際に、そ

の動作のプログラミングに関する標準的仕様や手順を提案することで部品要

Page 15: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-2

素をモジュール化し、システム構築を容易にしようとする研究であり、ロボッ

ト産業の振興に資するところ大である、と評価できる。また、この場合、研究

開発と並行して普及活動も極めて重要であると考えられるが、その点に関して

も積極的な活動が行われている、と評価できる。 本技術は国が開発を担当すべき内容であり、研究所、業界団体、民間の共同作

業で本プロジェクトを実施できたことは今後の技術進展のための好例と評価

する。 ロボット技術をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野に

入れて研究開発をしたことは、ロボット先進国として、ならびにロボット技術

のより効率的な開発を目標とするために、適切な選択である。 研究実施事業体が日本を代表する団体であり、研究開発成果と共に、その普及

活動を展開できたことが本研究の成果である。 世界的な標準化活動への貢献の道が開けていること、日本国内ならびに世界か

らの期待が大きいことなど高く評価できる。 開発対象としてロボットの力制御を達成し、実験環境としてはロボット化され

た部屋を実現している。 論文の発表は、ほぼ適切である。研究内容が標準化を意図しているため、原著

論文は少ないが、活動としての認知度は高い。 一般に向けて広く情報発信をしたと認められるが、より初期段階からもっと積

極的な情報発信と参加者への説明が求められる。 ロボットの応用範囲を広げて、産業を活性化するという目的を踏まえれば、ソ

フトウェアの体系的な開発は不可欠であり、それを推進する研究開発といえる。 成果物としてのソフトウェア、実証実験の結果などは、所期の目的を十分達成

したものといえる。 ハードでなく、ソフトウェア分野の整備を目標にしたこと、一定の成果がでた

こと、標準団体・業界団体を使った普及の工夫は評価できる。 <問題点・改善すべき点>

今回実施された企業による応用は、実用化への可能性を示すものとして、高い

評価はできる。しかしながら、ホームオートメーションの色彩が強く、今後は、

画像処理等を含んだロボットアプリケーションの実証への発展が望まれる。 RT ミドルウェアは仕様が決まっていないと使えないということであるので、

これを改善する必要がある。

現状では、普及への具体的な見通しが説得力に欠ける。ミドルウェア普及のた

めの、これまでにない画期的な戦略を計画されることを期待する。 すでに後継のプロジェクトが本年度より立ち上がっているにもかかわらず、12

月に評価を実施するのは遅い。本来ならば本プロジェクトの評価・要望をでき

る限り早く後継のプロジェクトにフィードバックするのが望ましいと考える。 上記目的を考えれば、複数の仕様性能を有する同種ロボット部品(アクチュエ

Page 16: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-3

ータ、センサ等)を相互に組み合わせた複数種のシステムを対象として、それ

らの互換性や着脱性について、より詳細な検討が行われていることが望ましい

と言える。またアプリケーション実証システムについても、IT家電品の連携

に関する内容が主体となっており、相互に干渉の可能性のあるロボットを含む

形での実証が望ましいと考えられる。 普及活動はまだ不十分であり、今後関係者が一致して推進することを期待する。 開発対象は広いロボット技術のうち、部分的な完成を見ただけである。研究成

果としては十分だが、実用化・標準化のためにはまだ多数が残っており、多く

の参加者を得て、提案方法に適合した多様なソフトウェアの開発が望まれる。 普及活動、標準化活動は本研究プロジェクトが終了した後も継続して活動して

欲しい。 ロボットという枠組みが幅広いものになっており、ロボットに関する研究には

汎用性が認められるようになっている半面、研究テーマが微妙にずれるおそれ

があり、研究の舵取りは難しくなっているといえる。 産業への参入障壁を低めることは、国内企業同様に海外企業にとっても有利に

なる面があり、日本の強さを本当に強めることになるかどうかは必ずしも明ら

かではない点が悩ましい。 標準化した仕様の範囲が比較的狭く、開発したミドルウェアも小さいので、競

争力の点で検討の余地があります。標準化した仕様の範囲を広め、機能や適用

部品を増やしていくことを期待します。 <その他の意見> • 日本発の技術として、開発者利益も検討してほしい。 • ロボットの普及の妨げとして開発の非効率性以外にもマーケットからみた課

題があるのではないでしょうか。

Page 17: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-4

2)今後に対する提言

本研究開発成果を真に実効的なものとするためには、成果品のエンドユー

ザに対するサポート、ソフトウェアの改良・保守等を恒常的なものとして維

持することが必須であると考える。また、現段階で実現可能なロボット機能

は限られているため、応用の対象をサービスロボットや介護支援ロボット等

に絞って開発例を多く示し、その有用性について実証していくことを要望す

る。

NEDO や JARA(日本ロボット工業会)のような公共性のある団体は、標

準化やその普及に対し、中・長期的な戦略の立案、活動費や研究費の継続的

な確保など、積極的に活動すべきである。したがって、後継のプロジェクト

において、本プロジェクトの目的を継続するとともに、普及や標準化に対し

ても活動が中断しないようにしていただきたい。また、ロボット分野の実用

化は研究レベル以上にマーケットリスクが高く、ただちに民間がアプリケー

ション開発に参入しにくいと考えられるため、実用化への助成も継続して検

討するべきである。

<今後に対する提言>

ロボット関連の企業を中心として、実用化に向けた研究が必要。 次のプロジェクトが既に走っているようであるが、そこでは応用の対象が広が

りすぎの感がある。サービスロボット、介護支援ロボット等、ターゲットを絞

って有用性について深く実証していく必要がある。 後継のプロジェクトにおいて、本プロジェクトの目的を継続するとともに、普

及させるための中・長期も含めた画期的な戦略を是非計画し、実施してほしい。

本研究開発成果を真に実効的なものとするためには、国際的な普及、標準化活

動が不可欠であると同時に、成果品のエンドユーザに対するサポート、ソフト

ウェア改良ならびに保守等を恒常的なものとして長期にわたって維持する活

動と体制が必須であると考える。これらの活動は新規技術開発には該当するも

のでは無いが、何らかの形で公的資金による支援が望まれる。 NEDO や JARA のような公共性のある団体は、標準化活動やその普及活動に

より積極的になるべきである。それは自分たちで長期的な戦略を立て、活動費

や研究費を継続的に確保する能力を持つことである。ソフトウェア基盤のよう

な分野では、新規性以上に、賛同者の理解が必要となる。 ロボットは日本が誇る技術であり、今後もこの分野で継続的な普及活動を進め

るべきである。 標準化活動を研究者の委員会活動だけで終わらせるのではなく、試案の普及活

動と使用支援の活動を組み合わせて、標準化評価活動も進めることが求められ

る。 すでに後継プロジェクトが始まっている通り、次段階の研究開発を進めていた

Page 18: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-5

だくと同時に、普及や標準化に対しても活動が中断しないようにしていただき

たい。 例えばロボット自体に関するノウハウなど、国内企業の競争力強化という点で

は必ずしも日本国外に公開しないほうがよいものと、公開してもよいものと両

方あると考えられる。この両者を区別してプロジェクトを進められれば、その

ほうが望ましい。 マーケットの広いアプリケーションやプロジェクトなどより上位レイヤへの

助成を検討すべきと思います。なぜなら、ロボット分野の実用化は研究レベル

以上にマーケットリスクが高く、ただちに民間がアプリ開発に参入しにくいと

考えられるからです。 <その他の意見> • 産総研を中心とした今回の基礎研究を、今後は、企業が中心となって実用化し

ていく取組が必要である。本研究での基礎結果をこのままにして、あとは企業

で自由に開発して下さいというスタンスでは、普及が難しい。産総研が企業と

組み、さらに使いやすいシステムにしていくことが必要である。 • ミドルウェアだけの開発が先行しても、現段階で実現可能なロボット機能は限

られているためその普及は難しいと考える。そうした現在の技術能力の範囲で

実現可能でかつ市場性の高い開発例を多く例示されることを要望する。 • 「事後評価」の意味をより明確化すべきである。評価を今後の予算配分へ反映

するというより、「後期中間評価」的な意味で実施すべきであると感じる。た

とえば「研究の 終年度一年分の予算額の決定過程」(もし成果が上がってい

なければ、予算ゼロでも約束した成果を達成させる。もし追加作業が必要なら、

予算、年数を共に延ばしても進める)といった事後評価の意味が明確に繁栄さ

れるべきであろう。 • 研究者・開発者自身のリスクによる普及・ビジネス化が必要かと思います。

Page 19: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-6

1.2 各 論

1)事業の位置付け・必要性について

本事業は、数々のロボット要素部品に関連する仕様の標準化に関する研究開

発として公共性が高く、且つ我が国がロボット分野で世界に先行している立場

から、開発したソフトウェアは広く利用される可能性があり、標準化による国

際貢献を目指した事業として NEDO の関与は妥当であると判断される。当該事

業実施の効果は、実施しなかった場合との比較で論じられるべきであるが、ロ

ボット用ミドルウェアが普及すれば、その開発効率の観点からも有用性は非常

に大きいと思われる。

しかし、標準化を含む普及活動は具体的な見通しを立てにくい作業であるこ

とを考慮し、普及体制については、初年度からより明確な枠組みを構築すべき

であった。なお、後継プロジェクトにおいて本研究の成果を踏まえたロボット

共通要素の共通化及び多くのロボットへのアプリケーション実証が計画されて

いるが、本研究の今後の普及や産業界への効果を高める上で十分な成果が得ら

れるよう、しっかりとした対応を図っていくことが必要である。

<肯定的意見>

NEDO の事業として妥当であったと思われる。 公共性が高く、NEDO の関与は必要な事業であった。 国際貢献の可能性の高い事業であり、目的は妥当である。 ロボット用ミドルウェアが普及すれば、その開発効率の観点から有用性は非常

に大きく、本研究テーマは重要な研究課題であると考える。 数々のロボット要素部品に関連する仕様の標準化に関する研究開発であり、公

共性の高い事業としてNEDOの関与は妥当性を持つものであると判断され

る。予算対効果に関しても妥当性があるものと認められる。事業目的に関して

も、ロボット分野ならびに当該要素部品の分野における国際競争力の強化に留

まらず、標準化を通した国際貢献を目指した研究開発活動であると位置付けら

れるものと考えられ、妥当性を有すると判断される。 ここの開発事業体では担当できない共通化・標準化作業を NEDO の事業とし

て推進したことは高く評価できる。 21 世紀ロボットチャレンジプログラムのひとつとして、このような基盤技術が

選択されたこと自体を評価する。 出来上がったソフトウェアは広く利用される可能性が高い。 事業目的は妥当と評価する。 標準化作業が、研究者にとって必ずしも短期的評価を伴う作業ではないことは

残念だが、長期的には価値ある作業であることを認識した多くの研究者が参加

したことは高く評価できる。ただし、より広範な活動が求められたともいえる。 当該事業実施の効果は、実施しなかった場合との比較で論じられるべきで、ソ

フトウェアの標準化の重要な一方向が議論の対象になったことを評価できる。

Page 20: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-7

また、ソフトウェアの開示による効果の議論がされたことも評価できる。 ソフトウェアの開示に対する権利保護についてはより一層の対応が求められ

る。 (1)NEDOの事業としての妥当性 ロボットに用いるソフトウェアのアーキテクチャ整備は、ロボットの用途を

限定すれば一企業での改善も可能なように思えるが、広範な応用を踏まえて世

の中の標準として推進していくことは一企業では無理であり、業界団体でも難

しく、NEDOが関与する必然性はある。 (2)事業目的の妥当性 日本がロボットの分野で世界に先行しているという立場から、事業目的には必

然性がある。 製造部門以外のロボットの適用には障害が多いので NEDO の事業としては適

切と思います。ハード投資の比重の大きいロボットにあってソフトウェア分野

の整備を目標にしたことも評価できると思います。 <問題点・改善すべき点>

OMG 標準化の組織的推進が、本プロジェクトにより日本発で進められており、

グローバリゼーションの発展に寄与するものとして、評価できるが、我が国の

技術革新が、国際標準化のために不当な損失をうけないように、日本が主導と

なり、慎重に実行していくことが肝要である。

研究開始時点において、諸外国における仕様標準化の状況、動向の把握を行な

い、広い視野から本研究の位置付け、特徴対比を、より詳細に行っておくこと

が望ましかったと考える。 担当した委託先事業体は、私企業である 1 事業体を除いて、すべて日本を代表

する公共性のある機関である。初めから共通化・標準化作業に対するしっかり

とした枠組みを構築すべきであったと思われる。普及体制については初年度か

らしっかりしていたとは見えない。 出来上がったソフトウェアを本当に広く利用してもらうには、今後も継続的な

保守活動が必要だが、その財政的保証や制度はない。継続する研究プロジェク

トのひとつである「科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進」でもあくま

で新しい研究の推進に対しての予算措置になっている。NEDO が本研究の事業

体になっていることから、本研究の保守ならびに成果物の、広範な普及宣伝活

動に努めるべきである。 (1)NEDOの事業としての妥当性 今後の普及や産業界への効果を考えたとき、必要な事業だと考えるが、十分な

のかどうかは、現時点では不明確といわざるを得ない。この点は今後の「次世

代ロボット共通基盤開発プロジェクト」などにかかってしまっている。 普及の妨げとして開発の非効率性に注目しているが、マーケットからの要求を

Page 21: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-8

分析したうえ、汎用アプリケーション等、上位の研究開発目標の設定が必要と

思います。 <その他の意見> • 標準化・共通化においては、標準化作業参加者の意見を「お客様の意見」とし

て耳を傾ける位の気持ちが必要となる。これは研究者の立場と大きく異なる。 NEDO と JARA とは共により長期にわたる継続的な体制を準備してほしい。

• 日本は擦り合わせ型開発が組み合わせ型開発に比べて得意といわれる。擦り合

わせ型開発はどちらかといえば製品の付加価値を高める上で有効な一方、組み

合わせ型開発はコモディティ化した産業や製品での効率向上には不可欠とい

われる。この点で本事業を見ると、明らかに組み合わせ型開発を推進するもの

であり、パソコンのようなコモディティ化を前提とした開発効率の向上や産業

の広がりを目指すことは、現状のロボット産業の状況から見てややギャップを

感じる。ただ、ロボットが産業としていずれコモディティ化していく過程では、

ソフトのアーキテクチャを整備する試みは日本がやらなくてもどこかの国が

進めると考えられるから、同じことなら今から自ら取り組んでおいた方が良い

という点では、この事業の必要性も分かる。

Page 22: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-9

2)研究開発マネジメントについて

研究開発目標及び計画に関しては、着手時点における内外動向に基づき適切

な内容が設定され、全般として妥当であった。研究開発体制も、工業会、公的

研究機関を中心とし、全体統括と実施者間の連携を含めて概ね適切といえる。

また、技術の普及をねらって研究開発と同時に国際標準化活動を実施し、OMG(Object Management Group)において、開発されたRTミドルウェアの

標準化と普及活動が開始されたことは特記すべきことである。

しかし、異業種や中小・ベンチャー企業を含む多様な主体でロボット開発を

容易にするという目的を踏まえると、例外処理などの実装を計画に含めること

や、複数の要素部品メーカーを参画させるなどの開発体制がより望ましい形で

あったと考えられる。また、成果の受取手に対して、成果を普及し関与を求め

る体制が必ずしも十分ではなく、普及のための検討時間が不十分であった。

研究開発事業体としての NEDO の役割が明確ではなく、NEDO の開発マネ

ジメントの具体性が分かりにくい。

<肯定的意見>

研究開発の目標、計画、および研究開発実施者の事業体制は妥当であったと言

える。また技術の普及をねらって、研究開発と同時に、国際標準化活動を実施

し、OMG において、プロジェクトで開発された RT ミドルウェアの標準化と

普及活動が開始されたことは特記すべきことである。 実施体制はバランスのとれた適切な体制であると考える。 研究開発目標、計画に関しては、着手時点における内外動向に基づき適切な内

容が設定されていたものと判断される。 工業会、公的研究機関を中心とした研究開発体制が取られており、当該内容に

関する研究開発として、全体統括、実施者間の連携を含めて概ね妥当な体制で

実施されたものと判断できる。 情勢変化への対応に関しては、3年間の短期プロジェクトということもあり、

進捗に関して特に問題は無かったと判断する。 スケジュールは全般として妥当であろうが、より迅速化も検討すべきであった

と評価する。 研究開発チーム構成は概ね適切といえる。開発研究の常として、相互に研究の

成果達成を待っていたのでは、実証実験が進まないことは理解できるが、MEWの評価実験が残り 2 つの事業体の成果とは分離したままになったのは残念であ

る。 (1)研究開発目標の妥当性 目標は戦略的だと考える。「アームを取り替え可能にしたり、後から付け加え

るのを容易にしたりする」など、コンポーネント間の相互運用性をソフトウェ

アのレベルでも向上させるという目標は、定量的ではないが具体的である。

Page 23: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-10

仕様の策定を行い標準化・普及活動をすすめられたことが評価できると思う。 <問題点・改善すべき点>

RT ミドルウェアに対する社会のニーズを、さらに調査し、社会が真に求めて

いるシステムについて、継続して研究調査する必要がある。今後は、目標の定

量化をもっと明確にしていくべきだ。

普及のための、これまでにない画期的な中・長期的な目標の検討が十分でない。 事業体制を有機的に活用するための、より具体的な方策、スケジュールが望ま

れた。 定量的な目標値の設定が困難な研究テーマではあるが、例えば本研究成果を適

用した場合のソフトウェア開発効率の向上など、何らかの形でベンチマークを

設定して定量的目標値を掲げる等のことが望ましかったと考える。 研究開発の目的から考えれば、システムインテグレータとしての企業の参画も

さることながら、複数の要素部品メーカーが参画するなどの開発体制が、より

望ましい形であったと考えられる。 研究開発事業体としてのNEDOの位置づけは必ずしも明確には見えなかった。

すなわち、NEDO の開発マネジメントの具体性が分かりにくかった。 JARA は業界団体として、委員会設置以上により積極的な活動をすべきであろ

う。 「実用化シナリオに基づき、成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対

して、成果を普及し関与を求める体制」は必ずしも十分ではなかった。 普及

のための時間的余裕が一層ほしかった。全体のスケジュールから困難なことは

理解できるが、もともとの目標が基盤技術で普及促進が必要なだけに、より多

くのフィードバックを考慮する開発時間が欲しかった。 (1)研究開発計画の妥当性

異業種や中小・ベンチャー企業を含む多様な主体でロボット開発を容易にする、

というもともとの目的を踏まえると、例外処理などの実装(「次世代ロボット

共通基盤開発プロジェクト」で実施中)を計画に含めることはできなかったか

どうか。 (2)研究開発実施者の事業体制の妥当性 「RTスペース」でアプリケーションの実現を検証している点で、家電メーカ

ーを事業体制に組み込むことはできなかったか。 ロボット開発を容易にし、中小企業やベンチャーの参入を促進するという目的

と、「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」で示

された成果(さまざまな既存製品を統合してRTスペースを構築できた)との

間に微妙なずれ(RTコンポーネントの粒度が異なる)を感じる。 業界をリードしより広範囲の標準化を行い、競合力のある仕様の策定ができる

と良かったかもしれません。

Page 24: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-11

3)研究開発成果について

すべての項目にわたり目標を達成している。特に、ロボット要素部品の標準

仕様に基づくモジュール化に関して、一つの実現形態を提示したことは、ロボ

ット要素部品分野ならびにロボットシステム分野の市場拡大に繋がる可能性が

十分にあると判断される。また、成果には汎用性があり、一般に向けて広く情

報発信されていると認められることから、継続的かつ効率的発展が期待できる。

しかし、開発したミドルウェアは難易度の高くないサービスがメインのため、

投入された予算に対して仕様の規模が期待したほど大きくないように見える。

今後はミドルウェアのバージョンアップとともに、コンポーネント、特に画像

処理関係のコンポーネントの充実とより市場性の高い移動ロボットのアプリケ

ーション開発が望まれる。また、ミドルウェアの標準化は、海外においても活

動事例が見られることから、本成果の特徴や優位性に関して研究開発者自身が

他との比較評価を行うことで客観性を高め、これを踏まえて今後とも引き続き

評価・改良を継続して行くことが望ましい。さらに、成果の受け取り手(活用・

実用化の想定者)に対して、研究終了後も継続して成果を普及させる活動が求

められる。

<肯定的意見>

成果は、すべての項目にわたり目標を達成している。論文の発表は、研究内容

を踏まえ適切に行われており、一般に向けて広く情報発信を行っている。リア

ルタイム性をもつ RT コンポーネントを利用したシステムの構築は世界 高水

準である。 ミドルウェア自体の製作については基礎的な成果は十分にあると判断する。 ロボット要素部品を標準仕様に基づいてモジュール化することに関して、一つ

の実現形態を提示したことは、ロボット要素部品分野ならびにロボットシステ

ム分野の市場拡大に資するところが大きな成果であると判断される。また、成

果は投入予算に見合ったものであり、世界的に遜色のないレベルのものである

と考える。 成果は目標値をクリアしていると評価できる。 全体として及第点である。しかし、普及促進という段階には至っていない。 成果は「市場の拡大」に繋がる可能性が十分にあり、新しい試みである。 基盤的汎用的な標準化の方法論の開発なので、「新たな技術領域」を開拓する

には至らないが、継続的な効率的発展を期待できる。 「投入された予算」は有効に機能した。 論文の発表は、ほぼ適切である。研究内容が標準化を意図しているため、原著

論文は少ないが、活動としての認知度は高い。 一般に向けて広く情報発信をしたと認められるが、より初期段階からもっと積

極的な情報発信と参加者への説明が求められる。 (1)目標の達成度

Page 25: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-12

研究開発の目的はほとんど達成していると考える。 (2)成果の意義 成果には汎用性があり、世界よりも時期的に一歩先をいく取り組みであると思

う。 策定した仕様の範囲が狭い。その中では目標値はほぼクリアしているといえる。 成果は、ロボット部品の提供ビジネスが期待できる。 普及に向けて大いに活動をしているといえる。

<問題点・改善すべき点>

RT コンポーネントの国際標準化と、仕様に基づく実装および応用が今後の課

題である。

今後はミドルウェアのバージョンアップとともに、コンポーネント、特に画像

処理関係のコンポーネントの充実が望まれる。 アプリケーションとして示された例の中で、移動ロボットを考える必然性が弱

い。より市場性の高い移動ロボットのアプリケーションの開発が望まれる。 成果の目標値が定量的に設定しづらいとは言え、設定がなされていないことは、

評価に主観的な要素が入り易いとの問題を逃れ難い側面を残している。 ミドルウェアの標準化は、本研究開発以外に海外においても活動事例が見られ

ることから、それらと比較した形で本成果の特徴や優位性に関して研究開発者

自身が評価をしておくことが望ましかったと考える。 このような基盤的な標準化作業は如何に多くの賛同者が得られるかが重要。 成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対して、研究終了後も継続して

成果を普及させる活動が求められる。 成果の意義

市場の拡大あるいは市場の創造につながることは、期待はできても、その確度

についてはいまひとつ不明確ではないか。 投入された予算に対しては、仕様の規模が期待したほど大きくない。(実行部

分 15KS 程度(ヘッダ 8Kstep、実行部分 5kstep)で難易度の高くないサービ

スルーチンがメイン)。もう少し、機能レベルで大きな塊が欲しい。 <その他の意見> • 「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」は、ロボ

ット技術の開発研究であるといいながら、見た目はロボット的でない。これは

悪いことではないが、対外的な説明にはもっと工夫がいるように思える。 • 今回のテーマがミドルウェアであるので、成果が世界初あるいは世界 高水準

かより、広く利用されているかで評価するべきだ。その観点では、また始まっ

たばかりなので、不明と言える。

Page 26: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-13

4)実用化の見通しについて

実用化イメージ、出口イメージは明確になっており、当該成果を活用して産

業化をはかることは可能である。特に基本機能に関する研究開発においては、

明確な実用化イメージの提示がなされており、可動部のあるさまざまな電子機

器への応用や波及効果も期待できる。また、JIS 化、国際規格化等、標準整備

に向けて、OMG等を通した活動が具体的に行われている点についても評価で

きる。

ただし、国際的な標準規格となり得るか否かに関しては、単に技術的優劣の

みならず適用実績の蓄積なども重要なファクターになると考えられ、国内外企

業による適用を促進するためのサポート体制、ソフトウェアの保守・改良等の

継続的な活動が望まれる。更に、本当の実用化ならびに「RT協調要素のモジ

ュール化技術の普及」までの作業量を明確にするため、継続プロジェクトを通

じて、魅力的なアプリケーションを多数例示することと普及のための画期的な

対策をたてることを期待する。また、ミドルウェアの有効性および実用性をさ

らに示すためには、極力定量的な目標を掲げるとともに、本研究成果を具体的

なロボットに適用した実績や評価を積み上げて行くことが、今後は重要である。

なお、フレームワークは整ったが、それを用いたコンポーネントはできていな

いため、実証プロジェクトの成果の公開等を行うことが必要である。

<肯定的意見>

実用化イメージ、出口イメージは明確になっている。また国際化、標準整備に

向けた対応は図られている。RT スペースモデルなどにより実用化可能性が示

されている。本プロジェクトは基礎研究のみならず、実用化の見通しを踏まえ

た波及効果のある研究である。 国際標準化への活動は評価できる。 特に基本機能に関する研究開発においては、明確な実用化イメージの提示がな

されていると考える。また、国際規格化に向けてOMG等を通した活動が具体

的に行われている点についても評価できるものである。 「実用化イメージ」は基盤技術としては明確化しているが、本当の実用化まで

の作業量はまだ不明である。 知的基盤を供給・維持及び標準整備を実施することにより、成果の受取手(活

用・実用化の想定者)が実際に当該成果を活用して産業化をはかることは可能

である。しかし、そのためには、継続的な普及活動が必要である。担当した事

業体(NEDO ならびに JARA、そして産総研)はその活動主体として適切であ

る。 JIS 化、国際規格化等、標準整備に向けた対応は制度的ならびに活動の場とし

てはすでに準備ができている。 波及効果は基盤ソフトウェアという研究課題の性質上、評価しづらい。今後も

普及・開発を継続するなら効果は高い。

Page 27: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-14

(1)成果の実用化可能性 実用化イメージ、出口イメージは理解できる。またOMGで具体的に標準化へ

向けた取り組みも始まっている。公的な標準ソフトづくりは成功例が少ないが、

本プロジェクトに関してはロボットに関する既存の蓄積に基づいて開発を進

めている点、時代遅れにはなっていない点を評価したい。 (2)波及効果 すでに「次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト」で使われており、波及効

果はある。また、可動部のあるさまざまな電子機器への応用や波及効果も期待

できる。 実用化のための第一歩といえる業界団体と標準化団体の活用は評価できる。

<問題点・改善すべき点>

ミドルウェアの有効性および実用性をさらに示すためには、定量的な評価目標

をクリアにあげることが、今後は必要である。

現状では実用化への見通しは十分でない。魅力的なアプリケーションの多数の

例示と普及のための画期的な対策に関して継続プロジェクトに期待する。 国際的な標準規格となり得るか否かに関しては、単に技術的優劣のみならず適

用実績の蓄積なども重要なファクターになると考えられ、国内外企業による適

用を促進するためのサポート体制、ソフトウェアの保守、改良等の活動が今後

にわたって継続的に望まれる。 上記<肯定的意見>は、継続的な普及活動が推進されることを仮定して述べた

ものであり、本研究の成果としては一応及第点でも、本研究の目的とする「ソ

フトウェアの基盤整備」とその普及活動としてはより長期間の活動を必要とす

る。よって、<肯定的意見>に記した内容はそのまま、問題点でもある。 本当の実用化ならびに「RT 協調要素のモジュール化技術の普及」までの作業

量はまだ不明である。 JIS 化、国際規格化等、標準整備の実現のために、利用者の立場に立った、よ

り一般向け広報を積極的にする必要がある。 成果の実用化可能性

本当に普及するのか、標準になるのかは、現時点で可能性が高いと判定するの

は無理がある。 業界の合意による仕様決定は往々にさしさわりの無い範囲になり勝ちである。

他の方法も検討していただきたい。 フレームワークは整ったが、それを用いたコンポーネントは未だである。例と

して、実証プロジェクトの成果の公開が適切ではないか。 <その他の意見> • 担当した事業体(NEDO ならびに JARA、そして産総研)はその公共性並びに

Page 28: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-15

専門性に加えて、これだけの事業を担当した経緯から、今後もこの種の活動に

責任を負うこととなる。その中には普及活動と共に、「科学技術連携施策群の

効果的・効率的な推進」を継続するプロジェクトとして位置づけたように、研

究資金と活動母体の継続的な獲得という使命を帯びることを銘記すべきであ

ろう。 • コンポーネントの整備は重要であるが、これには、他の協力だけではなく、自

らのリスクで揃えてプロモーションするべきである。

Page 29: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1-16

3.評点結果

1.7

2.0

1.8

2.7

0.0 1.0 2.0 3.0

4.実用化の見通し

3.研究開発成果

2.研究開発マネジメント

1.事業の位置付け・必要性

平均値

評価項目 平均値 素点(注)

1.事業の位置付け・必要性について 2.7 A A A A B B

2.研究開発マネジメントについて 1.8 A B B B C C

3.研究開発成果について 2.0 B B B A B C

4.実用化の見通しについて 1.7 A C C A C C(注)A=3,B=2,C=1,D=0 として事務局が数値に換算し、平均値を算出。

<判定基準> (1)事業の位置付け・必要性について (3)研究開発成果について ・非常に重要 →A・重要 →B・概ね妥当 →C・妥当性がない、又は失われた →D

・非常によい →A ・よい →B ・概ね妥当 →C ・妥当とはいえない →D

(2)研究開発マネジメントについて (4)実用化、事業化の見通しについて ・非常によい →A・よい →B・概ね適切 →C・適切とはいえない →D

・明確に実現可能なプランあり →A ・実現可能なプランあり →B ・概ね実現可能なプランあり →C ・見通しが不明 →D

Page 30: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

第2章 評価対象プロジェクト

Page 31: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2-1

1.事業原簿 次ページに当該事業の推進部室及び研究実施者から提出された事業原簿を示す。

Page 32: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」

事業原簿

担当部 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 機械システム技術開発部

Page 33: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 1 -

―目次―

概 要 .............................................................................................................................................- 2 - 概 要 (日本ロボット工業会) ..................................................................................................- 7 - 概 要 (産業技術総合研究所) ..................................................................................................- 8 - 概 要 (松下電工株式会社) ......................................................................................................- 9 - プログラム基本計画 ......................................................................................................................- 10 - プロジェクト基本計画 ..................................................................................................................- 15 - プロジェクト用語集 ......................................................................................................................- 20 - Ⅰ.事業の位置付け・必要性について .............................................................................................- 23 -

1. NEDO の関与の必要性・制度への適合性 .............................................................................- 23 - 2. 事業の背景・目的・位置づけ ................................................................................................- 25 -

Ⅱ.研究開発マネジメントについて...................................................................................................- 26 - 1. 事業の目標.........................................................................................................................- 26 - 2. 事業の計画内容 .................................................................................................................- 28 - 3. 情勢変化への対応 ..............................................................................................................- 34 - 4. 中間評価結果への対応.......................................................................................................- 34 - 5. 評価に関する事項...............................................................................................................- 34 -

Ⅲ.研究開発成果について .............................................................................................................- 35 - 1.事業全体の成果 ...................................................................................................................- 35 - 2.研究開発項目毎の成果 ........................................................................................................- 38 -

Ⅳ.実用化、事業化の見通しについて .............................................................................................- 66 - 添付資料 成果発表状況一覧 .......................................................................................................- 78 -

Page 34: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 2 -

概 要

作成日 平成 17 年 11 月 10 日

制度・施策

(プログラム)名 21 世紀ロボットチャレンジプログラム

事業(プロジェクト)名 ロボットの開発基盤となるソフト

ウェア上の基盤整備 プロジェクト番号 P02018

担当推進部/担当者 機械システム技術開発部/真鍋洋介

0.事業の概要

病院、福祉施設、家庭など製造現場以外で活用されるロボットへの潜在的ニーズは高いが、

その多種多様なニーズに応えるためには、異業種、中小・ベンチャー企業を含む多様な主体に

よるロボット開発が容易となる環境の整備が必要である。

本プロジェクトでは、ロボットシステムを構成するアクチュエータ、センサ、制御プログラム等と

いった様々な機能要素をモジュール化し、それらを部品として自由に組み合わせて新しい機能を

持ったロボットシステムを容易に構築することができるソフトウェア基盤技術として、ロボット用ミド

ルウェアの開発を行う。

Ⅰ.事業の位置付け・

必要性について

我が国のロボット産業は、1970 年代から現在に至るまで、工場における生産財として利用さ

れるロボットが普及することにより拡大発展してきた。今日、我が国は世界のロボットの大半を生

産する「ロボット大国」であり、競争力のあるユーザー産業からの的確な要求に応えることなどに

より、国際的にもトップレベルのロボット技術を蓄積している。

一方、少子高齢化の進展による要介護者の人口増加や、より安全な社会の構築等の諸課題

が顕在化する中で、病院、福祉施設、家庭、災害現場などの製造現場以外で活用されるロボット

を開発・実用化することが強く期待されている。しかしながら、現時点では、これらロボットの開発

は本格化しているとは言い難い。その要因としては、個々のロボット毎に信頼性、安全性、操作

性、快適性の向上などの技術課題に対して様々な取り組みが行われているものの、これらの取

り組みの成果を相互に共用することが難しく、また、ロボット開発には、膨大な数の技術者投入

や長期間の開発を要するため、製品の価格や納期が市場のニーズと大きく乖離しており、非効

率なものとなっていることがあげられる。

このような問題を解消し、製造現場以外で活用されるロボットの開発期間の短縮とコストの低

減を実現し、実用化、製品化を進めていく手法として、アクチュエータ、センサ、制御プログラム

等といった様々なロボット要素をモジュール化し、これらを統合化することでロボットの構築を可

能とするロボット構築手法が期待されている。

このような観点から、本プロジェクトを実施し、世界に先駆けてロボット用ミドルウェアを開発する

ものであるが、解決すべき技術課題はロボット産業育成において基盤的なものであり、基礎的研

究要素や専門性が高いため、企業のリスクを考慮するとともに、民間の競争原理を利用する施

策には現時点で実効性が期待できないことから国で実施する必要がある。また、「平成 16 年度

の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」(平成 15 年 6 月総合科学技術会議)に

おいても、ロボット技術は、重点4分野の情報通信の中で人間と共存するロボットとして強化すべ

き研究開発課題として位置付けられている。

Page 35: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 3 -

Ⅱ.研究開発マネジメントについて

事業の目標

製造現場以外で活用されるロボットの実用化、製品化のためにロボット産業への産業構造改革

を狙い、ソフトウェアのインタフェースの共通化をベースにした様々なロボット要素を通信ネット

ワークを介して組み合わせることにより多様なロボットの構築を可能とするロボット用ミドルウェア

の基盤技術を確立する。具体的には、①ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの研究開

発と②モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの研究開発を実施し、下記の目標を達成する。

• 様々なロボット要素を組み合せて多様なロボットを構築することを支援するロボット用ミド

ルウェアを開発すること。

• ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数の OS、複数の通信プロトコルで利用できるよう

にすること。

• ロボット用ミドルウェアを介してロボットを構築し、当該ロボットが稼働することを実証する

こと。

• ロボット用ミドルウェアを使用してモジュール化したロボット要素の追加および交換が

可能であることを実証すること。

この 4つの達成目標を成し遂げるために、工業会による共通仕様案の検討、研究機関に

よる RT ミドルウェアのプロトタイプ開発、生活支援ロボット開発企業による RT ミドル

ウェア適用例による有用性実証という以下の 3つの研究テーマを設定した。

1)RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究

標準化仕様案の策定・公開および普及戦略の策定

2)RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発

RT ミドルウェア(基本機能)の開発と実証例による検証

3)RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発

RT ミドルウェア(アプリケーション実現機能)の開発と適用例による有用性の実証

主な実施事項 14 年度 15 年度 16 年度

RT オープンアーキテク

チャと普及システムの調

査研究 → → →

RT ミドルウェアの基本機

能に関する研究開発 → → →

事業の計画内容

RT ミドルウェアのアプリ

ケーション実現機能に関

する研究開発 → → →

会計・勘定 14 年度 15 年度 16 年度 総額

一般会計 93.3 82.1 91.9 267.3

特別会計

開発予算

(会計・勘定別に事業

費の実績額を記載)

(単位:百万円) 総予算額 93.3 82.1 91.9 267.3

経産省担当原課 製造産業局産業機械課

プロジェクトリーダー 谷江和雄(当時:独立行政法人産業技術総合研究所) 開発体制

委託先(*委託先が管理

法人の場合は参加企業数

も記載)

社団法人日本ロボット工業会

独立行政法人産業技術総合研究所

松下電工株式会社

情勢変化への対応

RT ミドルウェアの普及・標準化の調査研究過程で、少子高齢化等の問題を背景としてロ

ボット活用への潜在的ニーズが高まる中、新たなロボット基盤技術の浸透を図り、デ

ジュール標準化のプロセスでは多大な時間を要し社会ニーズに適時適切に対応すること

が困難と認識されたため、国際的なソフトウェア標準化団体である OMG(Object

Management Group)の場を活用し、効果的・効率的に標準化・普及活動を行うこととし

た。

Page 36: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 4 -

1.目標の達成状況

日本ロボット工業会の調査研究委員会において、多数の関係者の参画のもとで、オープ

ンアーキテクチャに基づく RT コンポーネントの共通インタフェース仕様案やその普及戦

略を検討した。工業会で議論した共通仕様を参照実装した RT ミドルウェアのプロトタイ

プとして産総研が OpenRTM-aist-0.2.0 を開発し、評価協力者に対して配布した。RT ミド

ルウェアのコンセプト検証のために産総研と松下電工がそれぞれの実証システムを開発

し、下記の開発目標をすべて達成していることを確認した。

• 様々なロボット要素を組み合せて多様なロボットを構築することを支援するロ

ボット用ミドルウェアを開発すること

• ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数の OS、複数の通信プロトコルで利用で

きるようにすること

• ロボット用ミドルウェアを介してロボットを構築し、当該ロボットが稼働するこ

とを実証すること

• ロボット用ミドルウェアを使用してモジュール化したロボット要素の追加およ

び交換が可能であることを実証すること

技術の普及を狙って、研究開発と同時に国際標準化活動を実施し、ソフトウェア技術の

国際的な標準化コンソーシアムである OMG(Object Management Group)において、プロ

ジェクトで開発された RT ミドルウェアの標準化と普及活動が開始されたことが特記す

べきことである。

2.成果の意義

RT ミドルウェアは、今後のロボット産業におけるリーダシップを強化するための戦略

的基盤技術のひとつである。本プロジェクトの狙いは、ロボット分野にもオープンな

アーキテクチャを導入することでロボット技術の共有や蓄積が可能になり、オーダメイ

ドなシステム開発が容易になる RT ミドルウェアの有用性を、実際にプロトタイプシス

テムを開発することで示し、賛同者を募って技術の普及を図るところにある。

本プロジェクトの主要な成果の意義をまとめると以下の 2点である。

1) 新規プロジェクトにおいて開発成果を共有する手段として利用される RT ミド

ルウェアのプロトタイプシステムを知的基盤として提供できたこと

2) 世界に先駆けて RT ミドルウェアのフレームワークを提案し、その国際標準化

と普及に向けて実質的な活動を開始したこと

投稿論文 「査読付き」3件、「その他」4件

Ⅲ.研究開発成果につい

特 許 「出願済」3件、「登録」0件、「実施」0件

Page 37: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 5 -

Ⅳ.実用化、事業化の見

通しについて

(実用化イメージ、ストーリー)

1980年以降、日本ではロボット技術の非製造用分野への拡大を目指して、複数の国家プロジェ

クトを推進し、また、産業界も研究開発に投資して様々なロボットのプロトタイプを開発してきた。

しかし、それらの成果は技術的に完成した試作品にとどまり、市場に製品として展開する兆しが

見えない。この“技術はあるが製品が育たない”状況をいかに打開するかが、今後の産業戦略の

重要課題である。従来の白物家電や産業用ロボットのように特定ニーズに応じた製品を大量生

産で安価に提供する方法では、多様な顧客ニーズへの対応が求められる生活への展開を目指

すロボット産業の市場を開拓できない。この問題解決のために必要なことはカスタムメイドの新し

いロボットを迅速に開発することを可能にする仕組みである。RTミドルウェア技術はロボットの構

成要素をオープンなインタフェースを持つモジュールとしてそれぞれ提供することを可能とする。

このようなモジュールが広く市場に提供されるようになれば、市場で調達できるものは調達し、手

に入らない要素や機能だけを自己開発することで新ロボットを構成することができ、ニーズに応

じた新製品開発を迅速化することが可能である。将来のロボット産業において、多様な顧客ニー

ズに応えるカスタムメイドビジネスを実現するために、RTミドルウェアが実現するRT要素のコン

ポーネント化をベースとして、低価格なRT要素の市場への提供と、ロボットのハードウェアを提

供する業種と顧客の要求を満たすコンテンツを設計する業種との適切な分業化が進み、ソ

リューションビジネスとして発展していくであろう。

(RTミドルウェアの利用(出口))

将来的な応用分野として、プロジェクトの中で将来有望なアプリケーション例として示したRTス

ペースのような、センサやアクチュエータを生活空間の中に分散配置させ、それらの連携動作に

より生活支援や介護を実現するといった一見ロボットに見えないが、ロボット技術を利用したシス

テムが実現される。将来は、自律移動ロボットであっても、ロボット単体で使われるのではなく、

環境内に設置されたRT化された種々のセンサや情報家電製品などと組み合わせてサービスを

提供するようになる。具体的な技術導入事例としては、平成17年度から開始された「次世代ロ

ボット共通基盤開発プロジェクト」や「分散コンポーネント方ロボットシミュレータプロジェクト」にお

いて開発成果を共有する手段として本プロジェクトで開発したRTミドルウェア技術が採用されて

おり、将来、RTミドルウェアの標準仕様に準拠したコンポーネントの実現が期待される。

(知的基盤)

RT ミドルウェア技術を実現する知的基盤として、共通仕様を満たすコンポーネントの作

成を支援するツール、それらのコンポーネントを連携動作させるための GUI ツールをサ

ンプルプログラムとともに開発キットとしてまとめ、RT ミドルウェアのコンセプト評価

用として産総研から OpenRTM-0.2.0 として一般の評価協力者に提供している。

RT ミドルウェアのユーザメーリングリストを使ってバグレポートやマニュアルの不備な

点などを含めた技術評価結果をレポートしていただくとともに、RT ミドルウェアとして

求められる機能をリクエストしていただいている。プロジェクト終了後も、これらの利

用者からいただいたフィードバックを反映して仕様を改善し、より使いやすい RT ミドル

ウェアを目指してバージョンアップを続けている。

(標準整備)

標準化に関しては、国際的なソフトウェアの標準化コンソーシアムである OMG の中にロ

ボット技術の標準化を議論するグループ(Robotics-SIG)を組織し、RT ミドルウェアプロ

ジェクトで提案してきた共通仕様である RT コンポーネントをベースとして、ロボット用

のコンポーネントのフレームワークの標準化を進めている。

(波及効果)

本プロジェクトで研究開発に取り組んだ RT ミドルウェア技術を普及させて標準化するこ

とができれば、“オープン化”を手段として業界としての適切な分業体制を確立すること

が可能である.分業体制を導入することより、それぞれの専門技術を活かした中小・ベ

ンチャー、異業種を含む多様な企業、研究開発機関等が RT 市場に続々と参入することが

可能になり、システム開発の活性化が期待される.また、多様な用途に合わせてカスタ

マイズされたシステムを提供することで RT の活用範囲が拡大され、新たな RT 産業の創

出による経済活性化が期待される。

プロジェクトをきっかけとして、ロボット分野の研究開発現場への技術導入が遅れてい

た分散オブジェクト技術などの最新ソフトウェア技術への理解を深め、それらを使いこ

なす人材育成に貢献することができた。

ロボット技術のコンポーネント化が進むことで、他人が開発した技術を導入すること容

易になり技術移転が迅速になるとともに、技術の共有や蓄積が進むであろう。ロボット

技術の研究内容自体も、従来の要素技術中心の研究開発から、システム技術の研究開発

へと研究内容が進化し、実用化に密接に結びついた具体的な利用技術の研究開発が活性

化することが期待される。

Page 38: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 6 -

事前評価 平成 14 年 新エネルギー・産業技術総合開発機構 産業技術開発室

により公募、委託先選考を実施 Ⅴ.評価に関する事項

中間評価以降 平成 17 年度 事後評価実施予定

作成時期

平成 14 年 7 月 経済産業省 産業技術環境局 研究開発課/製造産業

局 産業機械課によって直轄事業「ロボット機能発現のために必要な

要素技術開発プロジェクト基本計画」制定。

Ⅵ.基本計画に関する事

変更履歴

平成 15 年 3 月「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整

備基本計画」策定。ただし、本事業は、平成 14 年度に経済産業省の

直轄事業として開始され、経済産業省において基本計画が策定され

ている。

平成 16 年 3 月、独立行政法人移行に伴い、法人名、略称、根拠法等

の変更を行った。

Page 39: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 7 -

概 要 (日本ロボット工業会)

Ⅱ.研究開発マネジメントについて

事業の目標

RT システムを機能に応じてモジュール化・オープン化し、RT を産業界に根付かせるためには、

基盤となるアーキテクチャの提言に加えて、その効果の例示に基づく普及起爆剤が必要であ

る。そこで、RT オープンアーキテクチャの構築、仕様策定、普及方策について調査研究を実施

する。また、RT 産業の創出を支援することを目指して、本研究開発終了後に組織化を予定して

いるコンソーシアム等の普及システムの構築について調査を行うとともに、設立準備を行う。

事業の計画内容

(a)RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの仕様と実現性評価

調査研究専門委員会を組織して、RT オープンシステムアーキテクチャと RT ミドルウェアの仕様

と実現性評価に関する調査研究を実施する。具体的には、RT モジュールのインタフェース仕様

に関して、生活支援分野の実適用を想定した分析・評価を行い、RT モジュールのインタフェース

仕様を策定すると共に公開する。

(b)RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの普及方策

調査研究専門委員会において、RT オープンシステムアーキテクチャと RT ミドルウェアの普及方

策に関する調査研究を実施する。具体的には、RT オープンシステムアーキテクチャ、RT ミドル

ウェア及び RT モジュール等を産業界に普及させるために、多くの RT 関連企業等が参画する予

定のコンソーシアムの組織化方法、組織、運営方法などを明らかにし、プロジェクト終了後に速

やかに組織化する予定のコンソーシアムの設立を具体化する。

(c)ミドルウェア標準化戦略

今後、ロボット技術に関して OMG 標準などの標準化提案を実現することを目指して標準化戦略

および戦術について具体的に検討を行うため、調査研究専門委員会において、標準化戦略に

関する WG を組織して調査研究を実施する。

会計・勘定 14 年度 15 年度 16 年度 総額

一般会計 4.0 8.1 15.9 28.0

特別会計

開発予算

(会計・勘定別に事業

費の実績額を記載)

(単位:百万円) 総予算額 4.0 8.1 15.9 28.0

産業界および学識経験者による研究専門委員会を組織し、産業技術総合研究所で開発を進め

ている RT オープンアーキテクチャをたたき台としてその適用性や、オープン化への課題を調査

するとともに、RT ミドルウェアの普及方策とともに技術の国際標準化について検討し、今後の普

及戦略の指針となる報告書をまとめた。また、国際的なソフトウェア標準化団体である OMG の

中にロボット技術の標準化をミッションとする Robotics-DSIG を設立して研究開発成果の国際標

準化を推進するための活動拠点を確保した。

1.目標の達成状況

1) RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの仕様と実現性評価 (すべて達成) 目標:RT ミドルウェアに求められる仕様を策定する

各企業のロボットシステムを対象として、機能分析や適用性について調査を行ない、共通の RT オー

プンアーキテクチャとして OpenRTM を採用した。

2) RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの普及方策 (ほぼ達成) 目標:RT ミドルウェアの普及戦略をまとめ、コンソーシアム設立を準備する

企業アンケート結果を受けて、プロジェクト終了後にコンソーシアム設立という当初の目標を変更し、

効果的な普及策としてプロジェクトの研究開発と並行して標準化活動に取り組む判断をした。また、技

術普及させるための戦略を提言として報告書にまとめた。

3) ミドルウェア標準化戦略[平成 15 年度第 4 四半期から追加](目j表を大幅に上回り達成) 目標:国際標準化戦略を策定する

国際標準化の手段としてコンソーシアム標準をターゲットとして OMG を選定。OMG 内にロボット技術

の標準化を目指す活動グループ(Robotics-DSIG)を日本が主導して設立。プロジェクト終了後も活動を

続け、RT ミドルウェアのフレームワークとなるコンポーネント技術に関する標準公募文書(RFP)を発

行。

2.成果の意義

本プロジェクトで特記すべきことは、プロジェクトの一環として、コンピュータ業界における相互運

用可能な業務アプリケーションの国際規格の制定、維持、保守を行なうことを目的として設立さ

れた非営利団体 Object Management Group において、本プロジェクトで提案しプロトタイプが開

発されたロボット用ミドルウェアの標準化と普及活動が開始されたことである。これは RT ミドル

ウェアの標準化と普及にむけての大きな一歩である。

RT ミドルウェアは、今後のロボット産業におけるリーダシップを強化するための戦略的基盤技術

のひとつであり、世界に先駆けて RT ミドルウェアの標準化と普及に向けて実質的な活動を開始

したことは、我が国のロボット産業の発展にとって大きな功績となるであろう。

投稿論文 「査読付き」0件、「その他」0件

Ⅲ.研究開発成果につい

RT のロゴマーク

OMG での標準化活動 特 許 「出願済」0件、「登録」0件、「実施」0件

Page 40: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 8 -

概 要 (産業技術総合研究所)

Ⅱ.研究開発マネジメントについて

事業の目標

RT ミドルウェアのうち、RT 分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われる機能お

よび RT 要素の部品化(モジュール化)の研究開発を分散オブジェクト指向システムのミ

ドルウェアである CORBA(コルバ)をベースとして行う。具体的には、RT 要素の分類を

行い、モジュール化の形態、必要な機能、課題、インタフェース仕様などを明確にす

る。また RT 要素の典型例について実際にモジュール化を行い、基本機能実証システムの

上でモジュール化手法の検証を行う。最終的には、策定された RT ミドルウェアの仕様に

基づいてモジュール化された基本機能実証システム上でサーボ制御などを行い、簡単な

作業が実現できることを示し、RT ミドルウェアの基本機能を確立する。

事業の計画内容

(a)RT 基本要素のモジュール化

力センサ、ビジョン、ロボットアームなどの典型的な RT 基本要素をモジュール化する RT

ミドルウェアの基本機能(RT 基本要素のモジュール化支援機能)を開発する。ここで開

発した RT 基本要素のインタフェース仕様書をドキュメントとして一般公開する。また、

RT 基本要素をモジュール化したソフトウェアを類似モジュールの開発を促進するための

サンプルソースコードとしてプロジェクトメンバー等に公開する。

(b)RT 協調要素のモジュール化

サーボ制御、スキル制御などの典型的な RT 協調要素をモジュール化する RT ミドルウェ

アの基本機能(RT 協調要素のモジュール化支援機能)を開発する。ここで開発した RT 協

調要素のインタフェース仕様書をドキュメントとして一般公開する。また、RT 協調要素

をモジュール化したソフトウェアを類似モジュールの開発を促進するためのサンプル

ソースコードとしてプロジェクトメンバー等に公開する。

(c)基本機能実証システム上での RT ミドルウェア基本機能の検証

RT 基本要素、RT 協調要素の各々の典型例の機能確認を行う実証システムを構築し、その

実証試験により当該要素が稼動することを確認する。 会計・勘定 14 年度 15 年度 16 年度 総額

一般会計 42.3 33.0 32.0 107.3

特別会計

開発予算

(会計・勘定別に事業

費の実績額を記載)

(単位:百万円) 総予算額 42.3 33.0 32.0 107.3

分散オブジェクト指向システムのミドルウェアである CORBA をベースとして、RT 分野のアプリ

ケーションに広く共通的に使われる RT ミドルウェアに必要な基本機能の研究開発を行い、フ

レームワークとなる RT コンポーネントの仕様を提案。そして、RT コンポーネントの実装を支援す

るためのソフトウェア(RT ミドルウェア)のプロトタイプを開発するとともに、ひとつの開発例として

実時間制御必要となるロボットアームシステム構築に適用して機能検証をおこなった。プロジェ

クトで開発した RT ミドルウェア(OpenRTM-aist-0.2.0)を評価用として一般公開リリース。

1.目標の達成状況

1)RT 基本要素のモジュール化(すべて達成) 目標:センサ、アクチュエータなどの機能要素のモジュール化を実現する

力センサ、産業用ロボットアーム、人間型ロボットアームといった比較的ハードウェアに直結した機能要素や

制御則コンポーネント、ゲイン調整コンポーネントなどソフトウェアのみで実現できる機能要素を単体の機能

要素としてモジュール化。その過程で、モジュール化に必要な基本的なインタフェースを定め、RT コンポーネ

ントのフレームワークとして仕様化を行い、それに対応する RT ミドルウェアを開発。

2)RT 協調要素のモジュール化(すべて達成) 目標:サーボ制御などの複数モジュールの連携が必要な機能要素のモジュール化を実現する。

サーボ制御などの複数のモジュールを連携させて実現する機能要素のモジュール化のために複合 RT コン

ポーネントのフレームワークを設計。その過程で、モジュールの連携に必要なアクティビティ部の状態遷移の

定式化や複数の RT コンポーネントの状態の連携機能を導入し、それを支援する RT ミドルウェアを開発。

3)基本機能実証システム上での RT 基本機能の検証 (すべて達成) 目標:複数モジュールの実時間連携が必要な実証システムを構築し、実現可能性を示す

ロボットシステムの典型例として遠隔操作システムを選定し、RT コンポーネントを組み合わせて実証システ

ムを構築。これによりモジュール化手法として RT コンポーネントのフレームワークが有用であることを検証。

また、構築された実証システムは十分な機能を持っており RT ミドルウェアの基本機能の有効性を確認。

2.成果の意義

実際に RT ミドルウェアのプロトタイプを開発し、知的基盤技術として提供したことで、

JARA の技術戦略が描くオープンなアーキテクチャの導入により仕様を共通化したモ

ジュール群をベースにした産業構造変革の可能性を示し、ロボット関係者の RT ミドル

ウェアが狙う将来のロボット産業の姿への理解を深めた。

投稿論文 「査読付き」3件、「その他」4件

Ⅲ.研究開発成果につい

RT コンポーネントで構成され

た遠隔操作実証システム 特 許 「出願済」1件、「登録」0件、「実施」0件

Page 41: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 9 -

概 要 (松下電工株式会社)

Ⅱ.研究開発マネジメントについて

事業の目標

製造業以外の多種多様なニーズに応えるアプリケーションの構築を容易にするため、RT

ミドルウェアのうち、モジュール化された RT 要素を統合する RT ミドルウェアのアプリ

ケーション実現機能の研究開発を行う。

具体的には、 RT システムを構成する RT 要素の追加変更や RT 要素の動作変更に容易に対

応できるよう、RT ミドルウェアを統合的に管理し実行する仕組みを構築する。また、こ

の RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能が RT システムの開発を容易にすること

を、空間内に分散的に配置された RT 要素の連携により高齢者などの生活支援を行う RT

スペースという具体的なアプリケーションシステムの構築を通して実証する。

事業の計画内容

(a)RT コンポーネントを統合した RT スペースの構築

RT スペースのシナリオを作成し、代表的な機能を設定する。ここでは、RT スペースのコ

ンセプトを明確にするとともに、コンセプトを理解しやすい形で表現する。また、RT ス

ペースを構成するロボット要素を選定し、RT スペースを構築する。

(b)RT 要素を統合するアプリケーション実現機能の開発

アプリケーション実現機能を向上させるために、RT ミドルウェアコンポーネントのアセ

ンブリやディプロイメントを容易にするツールを作成する。RT スペースにおける実証試

験の結果および関連委員会からの意見を基に、開発したコンフィギュレーションサービ

ス、スクリプトサービス等の各種サービス機能および RT ミドルウェアコンポーネントの

機能を高める。また、アプリケーションソフトウェアや RT ミドルウェアコンポーネント

の作成、サービス機能の使用などを容易にする開発ツールを作成する。

(c)RT スペースにおける RT ミドルウェアの実証的検証

RT ミドルウェアの特徴を示し、その活用方法や有効性を分かりやすく示すために、RT スペース

の実証システムにて、複数のシナリオを想定してアプリケーション開発例を具体的に示

すことで RT ミドルウェアの実証的検証を行う。特に、RT 要素の追加および交換作業が簡

単に行えることを検証する。

会計・勘定 14 年度 15 年度 16 年度 総額

一般会計 47.0 41.0 44.0 132.0

特別会計

開発予算

(会計・勘定別に事業

費の実績額を記載)

(単位:百万円) 総予算額 47.0 41.0 44.0 132.0

家庭や施設等の生活者支援用途における多種多様なニーズに応えるアプリケーションの構築を

容易にすることを目的として、モジュール化された RT 要素を統合してアプリケーションを実現す

るための枠組みの確立を進めた。高齢者などの生活支援を行うことを想定して、ロボット要素が

分散配置された部屋全体がロボットシステムとなる RT スペースというアプリケーション実証シス

テムの構築を通して RT ミドルウェアの有効性を実証した。また、RT ミドルウェアの特徴を示し、

その活用方法や有効性を分かりやすく表現したビデオ映像(日本語版/英語版)を制作した。

1.目標の達成状況

1)RT コンポーネントを統合した RT スペースの構築 (すべて達成)

目標:RT 化された居住空間の導入コンセプト提案と実証用居住空間構築 RT スペースの仕様検討、手法検討、シナリオ検討を実施し、導入イメージCGを作成した。また、カメラ付イ

ンタフォン、自動扉、電気錠、照明器具、人検知センサ、テレビ、自律移動ロボットなどを配置した RT スペー

スを構築し、それらの機器がコンポーネントとして動作することを確認した。

2)RT 要素を統合するアプリケーション実現機能の開発 (すべて達成)

目標:RT 要素を統合管理及び実行管理するミドルウェアを開発 RT スペースのアプリケーションプログラム作成を支援するツールとして、コンフィギュレーションサービスなど

の各種サービスとともにGUIを使って RT 要素の連携をプログラムするアクティビティビルダを開発し、実際に

アプリケーションプログラムが実現されていることを RT スペース実証システムにより確認した。

3)RT スペースにおける RT ミドルウェアの実証的検証 (すべて達成)

目標:具体的なアプリケーション例で RT ミドルウェアの有用性を示す RT スペース実証システムを使って、具体的な日常生活支援として来客対応や遠隔監視・制御などを想定し

たアプリケーションプログラム開発例を示し、その開発シナリオの中で顧客の要求により機能追加や仕様変

更が容易に出来ることを示し、RT ミドルウェアの柔軟性や拡張性を分かりやすく示した。また、RT ミドルウェ

アの特徴を示し、その活用方法や有用性を解説したビデオ映像を日本語版と英語版でそれぞれ制作した。

2.成果の意義

本研究の成果が活用される有望なアプリケーション例として生活支援ロボットシステムへの

RT ミドルウェアの導入コンセプトを検討し、その具体的な姿として RT スペースの提案と実証シ

ステムの構築を行った。RT ミドルウェアの有用性や拡張性を具体的なアプリケーション開発例で

示すことで RT ミドルウェアのコンセプトの理解を深め、技術の普及を図ることに大きく貢献した。

投稿論文 「査読付き」0件、「その他」0件

Ⅲ.研究開発成果につい

居住空間にロボット機能を

埋め込んだ RT スペース 特 許 「出願済」2件、「登録」0件、「実施」0件

Page 42: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 10 -

プログラム基本計画

Page 43: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 11 -

Page 44: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 12 -

Page 45: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 13 -

Page 46: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 14 -

Page 47: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 15 -

プロジェクト基本計画

Page 48: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 16 -

Page 49: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 17 -

Page 50: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 18 -

Page 51: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 19 -

プロジェクト基本計画 別添資料

ロボ

ット

開発

基盤

とな

るソ

フト

ウェ

ア上

の基

盤整

備多

品種

少量

生産

にむ

け、

様々

なロ

ボッ

ト要

素を

通信

ネッ

トワ

ーク

を介

して

組み

合わ

せる

こと

によ

り多

様な

ロボ

ット

の構

築を

可能

とす

るロ

ボッ

ト用

ミド

ルウ

ェア

を開

発す

従来

のロ

ボッ

セモータ

ソフトウ

エア

ライブラリ

セモー

ソフト

ライロボ

ット

A

ロボ

ット

C

ロボ

ット

B

モー

タ力

セン

サー

ボ制

・各

ロボッ

トは

必要

なロ

ボッ

トの

要素

を全

部一

体とし

て開

発する

。・

各ロ

ボッ

トの

要素

の切れ

目が

明確で

なく

、他

のロボ

ット

には

転用が

でき

ない。

・1

つのロ

ボッ

トを

作る

のにコ

ストが

かか

る。

・新

しいロ

ボッ

トの開

発が

難し

い。

ロボ

ット

のハ

ード

ウェア

メー

カ、

ソフ

トウ

ェア

メー

カが

開発

、供

ネッ

トワ

ーク

モー

タ力

セン

ハー

ドウ

ェア

要素

のモ

ジュ

ール

ソフ

トウ

ェア

要素

のモ

ジュ

ール

サー

ボ制

ロボ

ットイ

ンテ

グレ

ータ

が開発

ロボ

ット

アプ

リケ

ーシ

ョン

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アの

開発

•ロ

ボッ

ト要

素の

モジ

ュー

ル化

支援

ミド

ルウ

ェア

の開

発(共

通イ

ンタ

フェ

ース

の作

成支

援)

•モ

ジュ

ール

の実

行・管

理支

援ミ

ドル

ウェ

アの

開発

(通

信ネ

ット

ワー

クを

介し

たモ

ジュ

ール

間の

連携

モジ

ュー

ル化

に基

づい

たロ

ボッ

達成

目標

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アは

、汎

用的

な複

数の

OS

、複

数の

通信

プロ

トコ

ルで

利用

でき

るこ

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アは

、汎

用的

な複

数の

OS

、複

数の

通信

プロ

トコ

ルで

利用

でき

るこ

ロボ

ット

開発

基盤

とな

るソ

フト

ウェ

ア上

の基

盤整

備多

品種

少量

生産

にむ

け、

様々

なロ

ボッ

ト要

素を

通信

ネッ

トワ

ーク

を介

して

組み

合わ

せる

こと

によ

り多

様な

ロボ

ット

の構

築を

可能

とす

るロ

ボッ

ト用

ミド

ルウ

ェア

を開

発す

従来

のロ

ボッ

ト従

来の

ロボ

ット

セモータ

ソフトウ

エア

ライブラリ

セモー

ソフト

ライロボ

ット

A

ロボ

ット

C

ロボ

ット

B

モー

タ力

セン

サー

ボ制

セモータ

ソフトウ

エア

ライブラリ

セモータ

ソフトウ

エア

ライブラリ

セモー

ソフト

ライセ

モー

ソフト

ライロボ

ット

A

ロボ

ット

C

ロボ

ット

B

モー

タ力

セン

サー

ボ制

・各

ロボッ

トは

必要

なロ

ボッ

トの

要素

を全

部一

体とし

て開

発する

。・

各ロ

ボッ

トの

要素

の切れ

目が

明確で

なく

、他

のロボ

ット

には

転用が

でき

ない。

・1

つのロ

ボッ

トを

作る

のにコ

ストが

かか

る。

・新

しいロ

ボッ

トの開

発が

難し

い。

ロボ

ット

のハ

ード

ウェア

メー

カ、

ソフ

トウ

ェア

メー

カが

開発

、供

ネッ

トワ

ーク

モー

タ力

セン

ハー

ドウ

ェア

要素

のモ

ジュ

ール

ソフ

トウ

ェア

要素

のモ

ジュ

ール

サー

ボ制

ロボ

ットイ

ンテ

グレ

ータ

が開発

ロボ

ット

アプ

リケ

ーシ

ョン

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アの

開発

•ロ

ボッ

ト要

素の

モジ

ュー

ル化

支援

ミド

ルウ

ェア

の開

発(共

通イ

ンタ

フェ

ース

の作

成支

援)

•モ

ジュ

ール

の実

行・管

理支

援ミ

ドル

ウェ

アの

開発

(通

信ネ

ット

ワー

クを

介し

たモ

ジュ

ール

間の

連携

ロボ

ット

のハ

ード

ウェア

メー

カ、

ソフ

トウ

ェア

メー

カが

開発

、供

ネッ

トワ

ーク

モー

タ力

セン

ハー

ドウ

ェア

要素

のモ

ジュ

ール

ソフ

トウ

ェア

要素

のモ

ジュ

ール

サー

ボ制

ロボ

ットイ

ンテ

グレ

ータ

が開発

ロボ

ット

アプ

リケ

ーシ

ョン

ロボ

ットイ

ンテ

グレ

ータ

が開発

ロボ

ット

アプ

リケ

ーシ

ョン

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アの

開発

•ロ

ボッ

ト要

素の

モジ

ュー

ル化

支援

ミド

ルウ

ェア

の開

発(共

通イ

ンタ

フェ

ース

の作

成支

援)

•モ

ジュ

ール

の実

行・管

理支

援ミ

ドル

ウェ

アの

開発

(通

信ネ

ット

ワー

クを

介し

たモ

ジュ

ール

間の

連携

モジ

ュー

ル化

に基

づい

たロ

ボッ

トモ

ジュ

ール

化に

基づ

いた

ロボ

ット

達成

目標

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アは

、汎

用的

な複

数の

OS

、複

数の

通信

プロ

トコ

ルで

利用

でき

るこ

ロボ

ット

用ミ

ドル

ウェ

アは

、汎

用的

な複

数の

OS

、複

数の

通信

プロ

トコ

ルで

利用

でき

るこ

Page 52: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 20 -

プロジェクト用語集 ◆RT(Robot Technology)

平成 13 年 5 月に社団法人日本機械工業連合会、社団法人日本ロボット工業会がまとめた

「21 世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書」で提言された概念。

報告書では、これまでの狭義のロボット概念から脱却し、「ロボット技術を活用した、実

世界に働きかける機能を持つ知能化システム」を広い意味でのロボットとしてとらえ、

その技術の総称を「RT-Robot Technology」と呼称している。

◆ロボット要素 ロボットを構成する機能要素。各種ハードウェア要素とソフトウェア要素を統合するこ

とで顧客のニーズを満たすロボットシステムが構築される。

◆ハードウェア要素 センサやアクチュエータなどのロボットを構成するハードウェア機能要素。

◆ソフトウェア要素 制御アルゴリズムや各種ソフトウェアライブラリのようにロボットを構成するソフト

ウェア機能要素。

◆モジュール 一定の単位で追加、削除、入れ替えが可能なシステムを構成する部品のこと。プロジェ

クトでは統一的なソフトウェアのインタフェースを持つソフトウェア的なモジュールを、

単にモジュールと呼んでいる。ロボット用ミドルウェアにより作成されたモジュールは

インタフェースが明確に定義され、そのインタフェースを通して提供する機能を利用す

ることができるソフトウェアとなる。

◆分散オブジェクトプログラミング ネットワークに接続した複数のコンピュータ同士で通信しながら動作するプログラムを

構成するための 手法のひとつ。データとそれを操作する手続きを一体化してカプセル化

したオブジェクトを定義して、 ネットワーク上に分散して配置したそれらのオブジェク

ト間でデータや処理要求などのメッセージを やりとりしてプログラムを構成する。巨大

化するソフトウェアを効率的に開発するための プログラミング手法として期待されてい

る。

◆IDL (Interface Definition Language) ソフトウェア開発において、オブジェクトと呼ばれるプログラム部品を他のプログラムか

ら利用するためのインターフェース(外部仕様)を記述するのに使われる言語。そのオブ

ジェクトが備えるメソッド(命令)やプロパティ(属性)などの情報を定義するのに使う。

◆ミドルウェア アプリケーションソフトの開発効率を上げるために、特定の分野で頻繁に利用される機

能を まとめて提供するソフトウェア。OS ほど汎用的でなく、アプリケーションソフト

ほど特化されておらず、 中間的な性格を持つ。グラフィックプログラム用、データベー

スプログラム用、分散オブジェクト環境用などの 様々なミドルウェアが揃いつつあり、

プログラム開発効率を向上させる鍵となっている。

◆RT ミドルウェア (RTM) ロボットシステム開発用のソフトウェア基盤技術。 RT スペースのようなロボットの機

能部品をモジュール化し、そのモジュール化された機能部品を組み合わせて、 ユーザー

の要求に応えるサービスを提供するためのソフトウェア技術。 この技術によりシステム

を設計者が簡単に効率良くシステムを組み上げていくことを可能にする。

Page 53: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 21 -

◆RT コンポーネント (RTC) RT ミドルウェアを使って作成されるソフトウェアとしてモジュール化されたロボットの

構成要素となる機能部品。 RT スペースの構成部品となる。センサモジュールのように

ハードウェアとそれを制御するソフトウェアを組み合わせた ものと、データ処理モ

ジュールのようにソフトウェアだけのものがある。 共通したインタフェースを持つため、

RT ミドルウェアを使って製造メーカーが異なる RT コンポーネントを互いに連携させ、 新しい RT コンポーネントを追加して RT スペースを組み上げることが容易である。 また、RT スペースの中で同じ機能を持つ RT コンポーネントの交換は、アプリケーション

プログラムの 小限の修正で 変更可能になる。

◆OpenRTM-aist 独立行政法人産業技術総合研究所・知能システム研究部門・タスクインテリジェンス研究

グループで開発された RT ミドルウェアの実装の1つ。

◆RT 基本要素 センサやアクチュエータといった比較的ハードウェアに直結した機能要素。

◆RT 協調要素 サーボ制御、スキル制御など複数の機能要素を連携させて実現する機能要素。

◆TAKUMI システム 「蓄積されてきた機能のリアルタイム性を損なわずに、機能拡張することのできるシステ

ム」の実現を目指して開発された、トランスピュータを用いたエージェントに基づくセン

サベーストマニピュレーションシステム。

◆UME システム TAKUMI におけるプロセッサ間通信を一般的なソケット通信(TCP/IP)に置き換えること

で、プラットフォームに依存せずに既存のモジュールを容易に結合可能としたシステム。 ◆ARTLINUX

Linux にリアルタイム処理機能を与えたソフトウェア。リアルタイム OS (Operating System)のひとつ。

◆サーボ制御 物体の位置、方位、姿勢などを制御量として、目的の任意の変化に追随するように構成さ

れた制御。

◆スキル制御 モデルや観測誤差を吸収し作業を確実に行う基本動作実現のための制御。

◆RT スペース ロボット技術を中心とした知能システム技術を利用した生活支援空間。ロボット機能が

埋め込まれたリビング・キッチンのような、センサ、アクチュエータなどの 機能部品を

生活空間の中に分散配置させ、それらの協調動作により生活支援や介護を実現する ひと

つの機能空間。将来有望なロボット市場のひとつとして期待されている。

◆OMG (Object Management Group) オブジェクト指向技術の標準化、普及をすすめるため、1989 年に設立された業界団体。

世界中の約 460 の団体が会員になっており、ソフトウェア開発の生産性を向上させるオブ

ジェクト指向モデリング、高い柔軟性を持った分散システム、新旧のソフトウェア資産を

連携させる相互運用性、データリポジトリのメタデータ技術といった基盤技術、および各

産業別の標準フレームワークの策定を行っている。これまでに CORBA (Common

Page 54: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 22 -

Object Request Broker Architecture)、UML(The Unified Modeling Language)など

を標準化した実績を持つ。 ◆MDA(Model Driven Architecture:モデル駆動型アーキテクチャ)

OMG によって策定されたモデルを中心に開発を進める方法。標準技術仕様そのものでは

なく、いくつかの標準技術仕様を体系化したアーキテクチャ。 ◆PIM (Platform Independent Model)

MDA モデルの1つで、分散オブジェクトのプラットフォームに依存しないモデル。 ◆PSM (Platform Specific Model)

MDA モデルの1つで、分散オブジェクトのプラットフォームに依存したモデル。実際に

ソフトウェアを実装するためには、CORBA などの特定のプラットフォームのモデルが必

要。 ◆UML (Unified Modeling Language)

オブジェクト指向のソフトウェア開発におけるプログラム設計図の統一表記法。1997 年

11 月に OMG によって UML が標準として認定された。

Page 55: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 23 -

Ⅰ.事業の位置付け・必要性について

1. NEDO の関与の必要性・制度への適合性

1.1 NEDO が関与することの意義

[NEDO(国)の関与の必要性とその効果]

少子高齢化の進展による要介護者人口の増加や、より安全な社会の構築などの諸課題が顕在化 する中で、これまで医療・福祉、家庭、災害現場などでロボットが本格的には利用されてこな かった。 本事業はアクチュエータ、センサ、制御プログラム等のロボット要素をモジュール化し、これ

らを統合することでロボットの構築を可能とするための基盤整備施策であり、その研究開発にあ

たっては、解決すべき技術課題はロボット産業育成において基盤的なものであり、基礎的研究要 素や専門性が高いため、一民間企業での取り組みは期待できない等の問題があるため、相当な資 金とリスク、時間、開発検討の体制等が必要であり、民間単独では研究開発が困難である。 このため、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO という)が

産・学と連携し、技術を一定レベルに高め、民間企業が商業化を目指して開発できる技術的基盤

を整備することが必要であり、その意義は大きい。 さらに、ロボット要素モジュールを統合する新たなロボット開発手法、及びロボット技術の共

有化による効率的な開発が可能となる共通基盤技術が形成され、中小・ベンチャー、異業種を含

む多様な企業、研究開発機関等におけるロボット開発を活性化し、製造現場以外におけるロボッ

トの活用の拡大につなげることができ、新規産業の創出につながるほか、我が国の産業活力の向

上に貢献するとの政策的位置づけにあり、この観点からも NEDO(国)が中心となって推進す

ることが重要である。

[制度への適合性]

本プロジェクトは、経済産業省が推進する「21 世紀ロボットチャレンジプログラム」の一

環として実施するものである。同プログラムは、我が国製造業を支えてきたロボット技術を

基盤とし、先端的要素技術の開発等の促進により、ロボットの活用範囲を家庭、医療・福祉、

災害対応などに拡大することを目的としており、本プロジェクトはその一環として、製造現

場以外で活用されるロボットの実用化、製品化を進めていく手法を開発するものである。 また、本プロジェクトで取り組む次世代ロボットに関する技術開発は、「平成 15 年度の科学技

術に関する予算、人材などの資源配分の方針」(平成 14 年 6 月総合科学技術会議)において示さ

れた重点 8 分野のうち、情報通信分野の他分野との連携の下で行う融合領域での新しい可能性を

探る研究開発や製造技術分野の製造技術の新たな領域開拓に合致するものである。「平成 16 年度

の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」(平成 15 年 6 月総合科学技術会議)におい

ても、重点 4 分野の情報通信の中で人間と共存するロボットとして強化すべき研究開発課題とし

て位置付けられている。

Page 56: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 24 -

1.2 実施の効果(費用対効果) ロボット及びロボットシステムの開発には、膨大な開発技術者の投入や長い開発期間を要する

ため、製品の価格や納期が市場のニーズと大きく乖離しているのが現状である。本事業の開発成

果は、このような現状を打破し今後拡大されることが期待されるロボットへのニーズを満たす上

で基盤技術となるものであり、その意義は大きい。 ①知的基盤と標準の整備

本事業は、アクチュエータ、センサ、制御プログラムなどの様々なロボットシステム構成要素

をモジュール化し、開発者がそれらのロボット部品を自由に組み合わせて新しい機能を持つ多様

なロボットを簡単に開発できる技術基盤を確立するものであり、ロボット開発が容易となるとと

もに各技術の共有が可能となり、現状のロボット開発の非効率性を解消する一つの手法となる。 ②新規参入の促進

これまでのロボット開発は大企業が独自の規格により、ロボットを開発してきたが、当該基盤

整備により、中小・ベンチャーのロボット産業への参入のみならず、異業種等多様な企業がロ

ボット開発に関与することが可能となる。 ③経済的・社会的基盤の確立

このような新規参入が促進されれば、ロボット産業の構造変革が生まれ、ロボットの利用に対

する大きな付加価値を付与することも可能となり産業の高度化が進む、さらに新たな産業の創出

も期待できる。 ④市場性

我が国の製造用ロボットの市場規模は、世界 大であるとはいえ、1980 年代から年間 5000 億

円~6000 億円程度で横ばい状態にある。 少子高齢化の進展による要介護者の人口増加や、より安全な社会の構築等の諸課題が顕在化する 中で、病院、福祉施設、家庭、災害現場などの製造現場以外で活用されるロボットに対する潜在 的ニーズは大きく、(社)日本ロボット工業会がまとめた 2025 年のロボット市場規模予測で は、6.2 兆円となっており、ロボットは 21 世紀の主力商品になる可能性がある。本事業はこ のようなニーズに応え、ロボット市場を拡大発展させる上で、大きな牽引の役割を担う。

Page 57: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 25 -

2. 事業の背景・目的・位置づけ [背景]

我が国のロボット産業は、1970 年代から現在に至るまで、工場における生産財として利用さ

れるロボットが普及することにより拡大発展してきた。今日、我が国は世界のロボットの大半を

生産する「ロボット大国」であり、競争力のあるユーザー産業からの的確な要求に応えることな

どにより、国際的にもトップレベルのロボット技術を蓄積している。 一方、少子高齢化の進展による要介護者の人口増加や、より安全な社会の構築等の諸課題が顕

在化する中で、病院、福祉施設、家庭、災害現場などの製造現場以外で活用されるロボットを開

発・実用化することが強く期待されている。しかしながら、現時点では、これらロボットの開発

は本格化しているとは言い難い。その要因としては、個々のロボット毎に信頼性、安全性、操作

性、快適性の向上などの技術課題に対して様々な取り組みが行われているものの、これらの取り

組みの成果を相互に共用することが難しく、ロボット開発が非効率なものとなっていることがあ

げられる。 このような問題を解消し、製造現場以外で活用されるロボットの開発期間の短縮とコストの低

減を実現し、実用化、製品化を進めていく手法として、アクチュエータ、センサ、制御プログラ

ム等といった様々なロボット要素をモジュール化し、これらを統合化することでロボットの構築

を可能とするロボット構築手法が期待されている。

[目的]

本プロジェクトでは、ロボットシステムを構成するアクチュエータ、センサ、制御プログラム

等といった様々な機能要素をモジュール化し、それらを部品として自由に組み合わせて新しい機

能を持ったロボットシステムを容易に構築することができるソフトウェア基盤技術として、ロ

ボット用ミドルウェアの開発を行う。 それによって、病院、福祉施設、家庭など製造現場以外で活用されるロボットへの潜在的ニー

ズは高いが、その多種多様なニーズに応えるためには、異業種、中小・ベンチャー企業を含む多

様な主体によるロボット開発が容易となる環境の整備に資することができる。

[位置づけ]

本事業は今後拡大が期待される病院、福祉施設、家庭、災害現場などの製造現場以外で活用さ

れるロボットへの潜在的ニーズを満たす上での基盤技術となる研究開発との位置づけであり、そ

の意義は大きい。このような知的基盤と標準を提供する取り組みは国内外でも初めてのことであ

り、本事業の成果は社会問題の解決の一助となるだけでなく、ロボット産業の活性化にも寄与す

るインパクトの大きな事業である。このため、経済産業省が推進する 21 世紀ロボットチャレン

ジプログラムの一環として位置づけられているとともに、総合科学技術会議においても重要分野

として次世代ロボットの開発が位置づけられている。

Page 58: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 26 -

Ⅱ.研究開発マネジメントについて

1. 事業の目標 本プロジェクトでは、ソフトウェアのインタフェースの共通化をベースにしたモジュール化技

術の導入により、様々なロボット要素を通信ネットワークを介して組み合わせることにより多様

なロボット構築を可能とするロボット用ミドルウェアの基盤技術の確立を目指している。 技術的にはモジュールのインタフェースの標準仕様さえ策定すれば、その仕様に準拠したモ

ジュール同士の相互運用性が確保されるはずであるが、現実には、その標準仕様を実現したロ

ボット用ミドルウェアの実装プログラムが存在しないと、その標準仕様を評価し、技術の普及を

図ることは難しい。そこで、本研究開発では、関係者の合意を得た標準仕様案だけではなく、実

際にロボットシステムを構築できるロボット用ミドルウェアのプロトタイプを開発し、知的基盤

技術として提供することが求められている。 様々なロボット要素の統合による多様なロボットの開発を可能とするために 低限必要な具体

的な開発項目として、アクチュエータ、センサ等のハードウェア要素や制御プログラム等のソフ

トウェア要素を統一的なソフトウェアのインタフェースを持つモジュールとして作成することを

支援する機能、そして、ネットワークを介したモジュールの連携を実現するためのモジュールの

実行や管理を支援する機能の実現が求められている。 ロボット開発効率を高めるロボット用ミドルウェアとしては、様々なツールやライブラリなど

が考えられるが、本研究開発ではロボット用ソフトウェアのモジュール化に 低限必要不可欠な

開発項目として、以下の2つの項目の研究開発を実施する。

(1)ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの研究開発

ロボットのハードウェア要素及びソフトウェア要素の互換・統合を可能とするため、将

来の規格化に資する統一的なインタフェースを策定する。また、この統一的なインタフェー

スを持たせるために、共通に必要となるソフトウェアをミドルウェアとして開発することで、

各要素のモジュール化を容易に行うことができるようにする。

(2)モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの研究開発

通信ネットワークを介して各モジュールが連携して作動し、容易にロボットを構築するた

めに必要となるソフトウェアをミドルウェアとして開発する。

ロボットのハードウェアメーカ、ソフトウェアメーカが開発、供給

ネットワーク

モータ力センサ

ハードウェア要素のモジュール

ソフトウェア要素のモジュール

サーボ制御

ロボットインテグレータが開発

ロボットアプリケーション

ロボット用ミドルウェアの開発• ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの開発

(共通インタフェースの作成支援)• モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの開発

(通信ネットワークを介したモジュール間の連携)

モジュール化に基づいたロボット

ロボットのハードウェアメーカ、ソフトウェアメーカが開発、供給

ネットワーク

モータ力センサ

ハードウェア要素のモジュール

ソフトウェア要素のモジュール

サーボ制御

ロボットインテグレータが開発

ロボットアプリケーション

ロボット用ミドルウェアの開発• ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの開発

(共通インタフェースの作成支援)• モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの開発

(通信ネットワークを介したモジュール間の連携)

ロボットのハードウェアメーカ、ソフトウェアメーカが開発、供給

ネットワーク

モータ力センサ

ハードウェア要素のモジュール

ソフトウェア要素のモジュール

サーボ制御

ロボットインテグレータが開発

ロボットアプリケーション ロボットインテグ

レータが開発

ロボットアプリケーション

ロボット用ミドルウェアの開発• ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの開発

(共通インタフェースの作成支援)• モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの開発

(通信ネットワークを介したモジュール間の連携)

モジュール化に基づいたロボットモジュール化に基づいたロボット

既に各企業の内部では独自のアーキテクチャを構築して、ソフトウェアのモジュール化を進め

て開発効率の向上を競っている。このインテグレーション技術が企業のノウハウであり、現在の

競争力の源泉となっている。つまり、RT ミドルウェアとしての技術的な候補は多数存在するが、

問題はいかに産業界全体で合意がとれる合理的な共通仕様が構築できるかが鍵となっている。こ

のような状況のもとでは、数字で表現できる技術性能目標はそれを達成する技術がすでに個々に

は存在するため、プロジェクトの数値目標として設定することの意義は低い。

Page 59: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 27 -

本研究開発の目標は知的基盤技術の開発にあり、その前提となっているモジュール化に基づく

新しいロボットづくりのコンセプトの普及や RT ミドルウェアのための共通仕様の合意がプロ

ジェクトのミッションとして重要となるため、先端技術開発のように現在の技術から何パーセン

トの性能向上というような具体的な数値目標の設定はなじまない。 このような観点から以下の 4 つの達成目標を定めた。

達成目標

(1) 様々なロボット要素を組み合せて多様なロボットを構築することを支援するロボット

用ミドルウェアを開発すること。

(2) ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数の OS、複数の通信プロトコルで利用できる

ようにすること。

(3) ロボット用ミドルウェアを介してロボットを構築し、当該ロボットが稼働することを

実証すること。

(4) ロボット用ミドルウェアを使用してモジュール化したロボット要素の追加および交換

が可能であることを実証すること。

それぞれの達成目標の設定理由を以下に述べる。 1)様々なロボット要素を組み合せて多様なロボットを構築することを支援するロボット用ミドルウェアを開

発すること。

知的基盤として、モジュール化のための共通仕様を定めるだけではなく、それを実現する手段

としての RT ミドルウェアのプロトタイプの提供を求めるものである。RT ミドルウェアのコンセ

プトを広く理解してもらい、普及させるためには議論のたたき台となるプロトタイプの開発が欠

かせない。

2)ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数の OS、複数の通信プロトコルで利用できるようにすること。

各々のニーズに合致したロボットシステムを容易に開発するためには、異なるベンダーから提

供されるモジュールを組み合わせることが重要になる。その際に特定の計算機やネットワークに

依存したミドルウェアでは、利用者が限定されてしまい、技術普及の阻害要因となる。そこで、

多様な開発環境を想定した RT ミドルウェアのプロトタイプの提供を求めるものである。

幅広い開発環境の選択肢は将来の賛同者からのモジュール提供の広がりに直接影響するものであ

り重要である。

3)ロボット用ミドルウェアを介してロボットを構築し、当該ロボットが稼働することを実証すること。

従来のロボットのソフトウェア開発に際しては、いかにオーバヘッドを減らして効率化したプ

ログラムを作成するが課題であった。しかし、モジュール化をベースにしたロボット作りは、ソ

フトウェアのメンテナンス性を高めて再利用を促すための共通インタフェースに揃えるために幾

分かの効率低下が避けられない。CPU 技術の高性能化により将来的には全く問題がなくなると予

測されるが、現在の技術でもモジュールを組み合わせてロボットの制御システムを構築しても、

十分なパフォーマンスが出ることを実証システムで確認するものである。

コンセプトの賛同者に実際に RT ミドルウェアを利用する動機付けするものとして重要である。

4)ロボット用ミドルウェアを使用してモジュール化したロボット要素の追加および交換が可能であること

を実証すること。

モジュール化されたソフトウェアは再利用することが容易であり、顧客の要望に応えるシステ

ム変更に際してもソフトウェア全体を見直すことなく関係するモジュールの交換、修正だけで対

応することが可能であり、システムの開発効率の向上に貢献する。これらのメリットを明確に伝

える実証システムを使ったデモンストレーションを実施するものである。

RT ミドルウェアのコンセプトの理解を深めて賛同者を勧誘するために重要である。

Page 60: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 28 -

2. 事業の計画内容

2.1 研究開発の内容 本研究開発事業は、我が国のロボット産業活性化に資するオープン化されたロボットシステム

アーキテクチャの普及を目指し、ロボットシステムの効率的な開発を支援するロボット用ミドル

ウェアを基盤技術として平成 14 年度(FY2002)から平成 16 年度(FY2004)まで 3 年間にわたって

研究開発するものである。 プロジェクト実施に際しては、単に、ロボットソフトウェアのモジュール化を推進するための

標準仕様案を策定するだけではなく、実際に相互接続を可能にするための技術、つまり、異なる

企業体などで開発されたロボットやロボット要素部品を分散オブジェクトとして共用可能な形と

してモジュール化を実現する開発支援プログラムのプロトタイプを開発する。そして典型的なロ

ボットシステム構築例を示すことで RT ミドルウェアのコンセプトを示すとともにその有効性を

実証する。また、技術開発と並行して、RT ミドルウェアを活用したシステム開発手法を広範囲

に普及させて産業活性化を推進させるための戦略を、多数の関係者の参画のもとで検討する。な

お、研究開発に際し、ロボット技術固有の機能の実現や広範なニーズを満たす標準仕様案の策定

が技術課題となるため、工業会、国の研究機関、新たな生活支援分野へのロボット技術の展開を

図る企業の三者の密接な連携が求められる。 RT ミドルウェアの研究開発に際して、RT ミドルウェアがサポートする機能を分類することに

より2つの研究開発テーマを設定した。RT 分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われ

る機能(標準 RT サービス)と個々の特定アプリケーションを構築する中で必要となる機能(非標準

RT サービス)という分類である。

プロジェクトの成果として机上の空論としての RT ミドルウェアではなく知的基盤として実際

に使うことができるものを開発しなければならない。そのために実際のアプリケーションに近い

RT システムを構築し、そこでの実証を行いながら RT ミドルウェアを開発して、その有用性を示

す研究開発テーマが必要である(アプリケーション寄りの RT ミドルウェア)。

分散オブジェクトミドルウェア

RTミドルウェア基本機能

RTミドルウェアアプリケーション

実現機能

分散オブジェクト技術

RTミドルウェア技術

RTアプリケーション ..........

...

分散オブジェクトミドルウェア

RTミドルウェア基本機能

RTミドルウェアアプリケーション

実現機能

分散オブジェクト技術

RTミドルウェア技術

RTアプリケーション ..........

...

汎用機能を規約化し、RT アプリケーション開発を支援する RT ミドルウェア

一方で、そのようなアプローチは、1つの特定アプリケーションに限定されたソフトウェアの

開発に陥る危険性がある。そこで1つのアプリケーションに限定されない RT 分野で広く使われ

るミドルウェアを開発するために、汎用的な一般化されたロボットシステム上での開発を並行し

て行なう研究開発テーマを同時に設定することが欠かせない。(基礎寄りの RT ミドルウェア)。

さらに、開発された RT ミドルウェアを開発者だけが利用するのではなく知的基盤としてロ

ボット分野全体で使われるようにするために、より広い視野でロボット関連分野全体として必要

な機能を抽出し、ロボット関連業界の合意を取りながら仕様策定を行い、その仕様を普及させる

ための戦略を検討する調査研究テーマが求められる。

Page 61: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 29 -

以上の理由により、RT ミドルウェアの研究開発として以下の3つのサブテーマを設定する。

1)RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究 標準化仕様案の策定・公開および普及戦略の策定

2)RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発 RT ミドルウェア(基本機能)の開発と実証例による検証

3)RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発 RT ミドルウェア(アプリケーション実現機能)の開発と適用例による有用性の実証

研究テーマの関連と開発目標

[研究開発テーマ間の連携]

研究開発を効率的に進めるために、仕様を確定させてから開発に取り掛かるようなシーケン

シャルな開発ではなく、標準化の仕様検討と並行して、その仕様検討のたたき台となるプロトタ

イプシステムを開発するコンカレントな開発方式を採用した。プロジェクトの中で、工業会が標

準化のための仕様案を提供し、ミドルウェアの開発者がその仕様に準拠したモジュール化手法の

ためのミドルウェアのプロトタイプを提供し、具体的なアプリケーションを対象とした実証用の

RT システムを構築した利用者が開発経験を通して仕様修正を要求するようなループが構成され、

スパイラル的に仕様の改訂が行われることで効率良く短期間に標準化のための仕様案を策定する

ことが期待される。

標準化組織

開発者利用者

標準規約の提供

仕様への要求

モジュール化手法のためのミドルウェアの提供

標準化組織

開発者利用者

標準規約の提供

仕様への要求

モジュール化手法のためのミドルウェアの提供

RT ミドルウェア発展のスパイラル

RTアーキテク

チャ検討 普及戦略検討

基本機能の開発

アプリケーション

実現機能 の開発

工業会

研究機関 民間企業

RTミドルウェア(基本機能)の

実証例による機能検証

標準化仕様の策定・公開 普及戦略の策定

RTミドルウェア(アプリケーション実

現機能)の適用例による有用性の

実証

基本機能の提供

標 準 仕 様の提供

標準仕様の提供

検討のたたき台の提供

役に立つ姿を実例で示す

機能要求

仕様への要求

Page 62: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 30 -

1)RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究 RT システムを機能に応じてモジュール化・オープン化し、RT を産業界に根付かせるために

は、基盤となるアーキテクチャの提言に加えて、その効果の例示に基づく普及起爆剤が必要であ

る。具体的には、RT オープンアーキテクチャの構築、仕様策定、普及方策(組織化)について

調査研究を実施する。また、RT 産業の創出を支援することを目指して、本研究開発終了後に組

織化を予定しているコンソーシアム等の普及システムの構築について調査を行うとともに、その

設立準備を行う。さらに、RT ミドルウェアの OMG(Object Management Group:非営利標準

化団体)標準になることなどを目的に具体的な標準化に関する調査を行なう。 (3.情勢変化への対応に詳細記述してあるように、技術の認知・普及から標準化をシーケンシャ

ルに行うのではなく、標準化活動を手段として RT ミドルウェアの普及を図る戦略に転換したた

めに、平成 15 年度の第 4 四半期から下線部の標準化を目指した具体的な標準化調査を追加) 平成 14 年度は、調査研究専門委員会を組織して、RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの仕

様と実現性評価、及び、 RT オープンアーキテクチャの普及システムに関する調査研究を実施す

る。

平成 15 年度は、前年度に検討したロボットシステムのオープンアーキテクチャ化やミドル

ウェアの仕様をロボットシステムに適用したケーススタディの調査研究を進めることにより、ミ

ドルウェア仕様の改善を図る。また、プロジェクト成果の普及方策を検討するとともに、今後の

標準化を目指した具体的な戦略について調査する。 (RT ミドルウェアの普及・標準化の調査研究過程で、少子高齢化等の問題を背景としてロ

ボット活用への潜在的ニーズが高まる中、新たなロボット基盤技術の浸透を図り、デジュール標

準化のプロセスでは多大な時間を要し社会ニーズに適時適切に対応することが困難と認識された

ため、国際的なソフトウェア標準化団体である OMG(Object Management Group)の場を活

用し、効果的・効率的に標準化・普及活動を行うこととした。) 平成 16 年度は、RT モジュールのインタフェース暫定仕様を、プロジェクト実施者以外の会員

企業のロボットに適用し、更なる高度化に資する改善要求を踏まえることにより、インタフェー

ス仕様の改善を図り、インタフェース仕様を策定する。また、プロジェクト成果の普及方策を検

討する。具体的には、プロジェクト成果普及のための報告会等を実施すると共に、プロジェクト

終了後の研究開発の継続性を踏まえた体制の構築及び OMG(Object Management Group)への参

加等国内外での標準化を踏まえた継続的な普及促進のための体制を構築する。

2)RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発 RT ミドルウェアのうち、RT 分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われる機能およ

び RT 要素の部品化(モジュール化)の研究開発を分散オブジェクト指向システムのミドルウェ

アである CORBA(コルバ)をベースとして行う。具体的には、RT 要素の分類を行い、モ

ジュール化の形態、必要な機能、課題、インタフェース仕様などを明確にする。また RT 要素の

典型例について実際にモジュール化を行い、基本機能実証システムの上でモジュール化手法の検

証を行う。 終的には、策定された RT ミドルウェアの仕様に基づいてモジュール化された基本

機能実証システム上でサーボ制御、スキル制御を行い、簡単な作業が実現できることを示し、

RT ミドルウェアの基本機能を確立する。 平成 14 年度は、力センサ、ビジョン、ロボットアームなどの典型的な RT 基本要素に必要な

機能、課題、インタフェース仕様などを明確にし、RT 基本要素のモジュール化を進める。また、

サーボ制御、スキル制御などの典型的な RT 協調要素のモジュール化に必要な機能、課題、イン

タフェース仕様などを明確にし、RT 協調要素のモジュール化を進める。さらに、機能実証に必

要な RT 基本要素を選定し、基本機能実証システムの構築に着手する。 平成 15 年度は、ロボット用ミドルウェアとして備えるべき機能を実現するための手法に関す

る前年度の検討に基づき、ロボット要素のモジュール化を容易にしてロボット用プログラム開発

を支援するための基本機能に関するミドルウェアプログラムの開発を進める。

平成 16 年度は、ロボット要素のモジュール化を容易にしてロボット用プログラム開発を支援

Page 63: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 31 -

するための基本機能に関するミドルウェアプログラムを開発する。開発にあたっては、上述の調

査研究で検討された改善要求を必要に応じて反映させることとする。また、ハードウェアを含め

てモジュール化した RT 基本要素、RT 協調要素を使って RT ミドルウェア基本機能実証システム

を構築し、実証システムの実証試験を実施する。

3)RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発 製造業以外の多種多様なニーズに応えるアプリケーションの構築を容易にするため、RT ミド

ルウェアのうち、モジュール化された RT 要素を統合する RT ミドルウェアのアプリケーション

実現機能の研究開発を行う。具体的には、 RT システムを構成する RT 要素の追加変更や RT 要

素の動作変更に容易に対応できるよう、RT ミドルウェアを統合的に管理し実行する仕組みを構

築する。また、この RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能が RT システムの開発を容易

にすることを、空間内に分散的に配置された RT 要素の連携により高齢者などの生活支援を行う

ロボティクススペースという具体的なアプリケーションシステムの構築を通して実証する。 平成 14 年度は、RT 要素の基本仕様を作成し、各モジュールを統合するために必要な機能、

課題、インタフェース仕様などを明確にする。また、RT 要素を結合したロボティクススペース

を構築するため、ロボティクススペースの機能を設定する。さらに、ロボティクススペースを構

成するロボット要素を選定し、ロボティクススペースの構築に着手する。 平成 15 年度は、アプリケーションプログラム開発を容易にしてロボット用プログラム開発を

支援するためのアプリケーション実現機能に関するミドルウェアプログラムの開発を進める。ま

た、技術検証のため、空間内に分散配置されたロボット要素の連携により生活支援を行うロボ

ティクススペースという具体的なアプリケーションシステムの構築を進める。

平成 16 年度は、アプリケーションシステムのロボット用プログラム開発を支援するためのア

プリケーション実現機能に関するミドルウェアプログラムを開発する。また、技術検証のため、

空間内に分散配置されたロボット要素の連携により生活支援を行う RT スペースという具体的な

アプリケーションシステムを構築し、そのシステムの中でいくつかの場面を想定した実証試験を

実施する。さらに、第三者の理解を促しプロジェクト成果を普及するためにミドルウェアの働き

を可視化するソフトウェアを作成する。 [全体スケジュールと予算推移]

以上の2つの研究開発テーマと1つの調査研究テーマをまとめた全体スケジュール概略図とそ

れぞれの研究開発テーマ及び調査研究テーマの予算推移を下記に示す。平成 15 年度の第 4 四半

期から「RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究」のテーマの中で戦略的に標準

化活動に取り組むことに計画変更されたため、プロジェクトの途中から調査研究テーマへ予算措

置が増加している。

実証用ロボットスペース構築

調査研究

基本機能

アプリケーション実現機能

FY2002 FY2003 FY2004

調査報告書 調査報告書調査報告書

コンセプト確認 意識と取組状況 合意形成

基本フレームワークの検討

実装と仕様改善の開発ループ(2回)

仕様の策定・公開普及戦略の策定

Ver. 0.0 Ver. 0.1 Ver. 0.2

基本機能の実証例による機能検証

アプリケーション実現機能の適用例による

有用性の実証

コンセプトシナリオ検討システム設計

RTスペースを用いた

実証実験

有用性実証デモンストレーション

実証用ロボットスペース構築

調査研究

基本機能

アプリケーション実現機能

FY2002 FY2003 FY2004

調査報告書 調査報告書調査報告書

コンセプト確認 意識と取組状況 合意形成

基本フレームワークの検討

実装と仕様改善の開発ループ(2回)

仕様の策定・公開普及戦略の策定

Ver. 0.0 Ver. 0.1 Ver. 0.2

基本機能の実証例による機能検証

アプリケーション実現機能の適用例による

有用性の実証

コンセプトシナリオ検討システム設計

RTスペースを用いた

実証実験

有用性実証デモンストレーション

研究開発スケジュール概略図

Page 64: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 32 -

(単位;百万円)

研究テーマ 14 年度 15 年度 16 年度 総額

RT オープンアーキテクチャと普及

システムの調査研究 4.0 8.1 15.9 28.0

RT ミドルウェアの基本機能に関す

る研究開発 42.3 33.0 32.0 107.3

RT ミドルウェアのアプリケーショ

ン実現機能に関する研究開発 47.0 41.0 44.0 132.0

総額 93.3 82.1 91.9 267.3

研究テーマ別の予算推移

2.2 研究開発の実施体制 経済産業省の政策原課および予算原課はそれぞれ製造産業局産業機械課及び産業技術環境局研

究開発課である。平成 14 年度は経済産業省産業技術環境局研究開発課及び製造産業局産業機械

課において基本計画を策定し直轄事業として実施したものであるが、平成 15 年度以降は、

NEDO の委託事業として研究開発が実施されている。なお、研究開発実施者の選定にあたって

は、NEDO の協力の下、平成 14 年 10 月経済産業省において選定。平成 15 年度以降は、実質的

に継続事業であるため、NEDOにおいて公募による研究開発実施者の選定は行わない。 研究実施者側の体制は、社団法人日本ロボット工業会(以下、JARA という)、独立行政法人

産業技術総合研究所(以下、産総研という)、松下電工株式会社(以下、松下電工という)の三

者が密接に連携する研究体を構成する集中管理方式を採用し、首都大学東京の谷江和雄教授(当

時:産業技術総合研究所 知能システム研究部門長/首席評価役)が研究開発責任者(プロジェ

クトリーダー)としてこの研究体を統括する。

研究開発体制図

プロジェクトリーダー 産業技術総合研究所

首席評価役 谷江和雄 研究体

日本ロボット工業会 研究項目:「RT オープン

アーキテクチャと普及シ

ステムの調査研究」

佐藤公治 (業務管理責任者)

松下電工株式会社 研究項目:「RT ミドルウェ

アのアプリケーション実現

機能に関する研究開発」

桑田亨 (業務管理責任者)

産業技術総合研究所 研究項目:「RT

ミドルウェアの基本機能

に関する研究開発」

末廣尚士 (業務管理責任者)

NEDO

委託

指示・協議

(連名契約)

(集中研方式)

Page 65: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 33 -

共同研究開発に参加する各研究開発グループの有する研究開発ポテンシャルの 大限の活用に

より効率的な研究開発の推進を図る観点から、研究体のプロジェクトリーダーとして NEDO は

谷江和雄プロジェクトリーダーを指名し、その下に研究者を可能な限り結集して効果的な研究開

発を実施する。 谷江和雄プロジェクトリーダーは、現在、IEEE Robotics and Automation Society の

President を務めており、ロボット分野では世界的に認知されている研究者であり、本研究開発

が目指すようなロボット産業界全体にオープンなロボットアーキテクチャの採用を呼びかけるプ

ロジェクトリーダーとして適任である。また、「コラボレーション遠隔操作型ロボットの開発」

(平成 10 年度~平成 11 年度 NEDO 即効型提案公募事業)のプロジェクトリーダー、「人間協

調共存型ロボットシステムの研究開発(HRP)」において国研担当テーマ「応用動作ライブラリ

に関する研究開発」の統括責任者を歴任しており、プロジェクト管理に精通している。

参加組織の具体的な研究分担は、「RTミドルウェアの基本機能に関する研究開発」(主に標

準・部品化機能)として産総研がRT分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われる機能の

研究・開発を担当し、RTミドルウェアのプロトタイプの開発を担当する。「RTミドルウェアの

アプリケーション実現機能に関する研究開発」(主に非標準・統合化機能)として松下電工が、

具体的なアプリケーションを構築する中で必要となる機能の研究・開発を担当し、RTミドルウェ

アの効果を示す実証システムの開発を担当する。さらに、開発されたRTミドルウェアを開発者

だけが利用するのではなくRT分野全体で使われるようにするために、より広い視野でRT関連分

野全体として必要な機能を抽出し、RT関連業界の合意を取りながら仕様策定を行うために「RT

オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究」としてJARAが調査研究を担当する。

実施者が連携して効率的にプロジェクトを推進するために、つくば市の産総研内のオープンス

ペースラボラトリ(OSL)にRTスペースの検証実験のための実験室を設置し、プロジェクト実

施期間中定期的(原則毎月)に技術開発ミーティングを開催して人的交流を含めて産総研と松下

電工のそれぞれの研究所で研究開発した成果を持ち寄りながらRTミドルウェア研究開発を進め

た。また、JARAが設置したRTミドルウェア普及調査研究専門委員会に、研究体の三者のメン

バーが参画してオープンなロボットアーキテクチャの議論を進めてきた。 平成 15 年度からは、研究開発と平行して国際標準化活動を開始するために、新たに JARA の

RT ミドルウェア普及調査検討委員会の中に標準化WGを設置し、RT ミドルウェア技術の普及

策のひとつとして OMG における標準化活動を開始しした。OMG において RT ミドルウェアの

コンセプトであるロボット要素のモジュール化による相互運用性を高める標準化の必要性を議論

するフォーラムを開催し、ロボット技術の標準化を議論するグループを設立し、標準化活動に踏

み出した。 外部評価・助言

産総研

松下電工

RTミドルウエア

普及委員会

・RTミドルウエアプロトタイプ提供

・標準化・普及活動支援

業界ニーズ提供

普及と標準化

RTミドルウエア

実証システム開発

標準化WG連携

RTミドルウエア

プロトタイプ開発

OMGRobotics SIG

国際標準化と普及

標準化案の提示 課題の提示

JARA

谷江和雄 PL谷江和雄 PL

推進委員会

助言

報告

外部評価・助言

産総研

松下電工

RTミドルウエア

普及委員会

・RTミドルウエアプロトタイプ提供

・標準化・普及活動支援

業界ニーズ提供

普及と標準化

RTミドルウエア

実証システム開発

標準化WG連携

RTミドルウエア

プロトタイプ開発

OMGRobotics SIG

国際標準化と普及

標準化案の提示 課題の提示

JARA

谷江和雄 PL谷江和雄 PL

推進委員会

助言

報告

研究分担の概要図

Page 66: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 34 -

2.3 研究開発の運営管理 研究開発全体の管理・執行に責任を有するNEDO技術開発機構は、経済産業省及び研究開発

責任者と密接な関係を維持しつつ、プログラムの目的及び目標、並びに本研究開発の目的及び目

標に照らして適切な運営管理を図っている。

年度末に、当該技術分野における高度な専門知識を有する外部有識者、プロジェクトリーダー、

研究主体代表、NEDO等を中心に構成したプロジェクト推進委員会を外部評価のために開催し

た。研究開発計画および研究開発の進捗状況についてNEDOに報告するとともに、意見交換す

ることで外部有識者からのアドバイスを得た。定期的に外部有識者からのフィードバックを得る

ことでプロジェクトを効率的に運営・管理し、高い研究開発成果を生み出すことを狙った。

推進委員会の委員名簿 当該技術分野における高度な専門知識を有する外部有識者、プロジェクトリーダー、研究主体代

表、NEDO等を中心に構成し、プロジェクトを効率的に運営・管理するに当たって必要な事項

についての連絡、報告、意見交換等を行い、より高い研究開発成果を生み出すことに資する。

委員長

高瀬国克

小笠原司

金子 真

新 誠一

橋本周司

橋本秀紀

大道武生

小菅一弘

水川 真

谷江和雄

平井成興

畑 能正

末廣尚士

桑田 亨

電気通信大学大学院情報システム学研究科 教授

奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 教授

広島大学大学院工学研究科 教授

東京大学大学院情報理工学系研究科 助教授

早稲田大学理工学部応用物理学科 教授

東京大学生産技術研究所 助教授

名城大学理工学部機械システム工学科 教授

東北大学大学院工学研究科 教授

芝浦工業大学工学部電気工学科 教授

(独)産業技術総合研究所評価部 首席評価役

(独)産業技術総合研究所知能システム研究部門 部門長

(社)日本ロボット工業会技術部 課長

(独)産業技術総合研究所知能システム研究部門 グループ長

松下電工㈱先行・融合技術研究所 グループ長 NEDO委員は省略。委員および所属は 終開催時点のもの。 名前に網掛けしてある委員は、外部評価委員。

3. 情勢変化への対応

RT ミドルウェアの普及・標準化の調査研究過程で、少子高齢化等の問題を背景としてロボッ

ト活用への潜在的ニーズが高まる中、新たなロボット基盤技術の浸透を図り、デジュール標準化

のプロセスでは多大な時間を要し社会ニーズに適時適切に対応することが困難と認識されたため、

国際的なソフトウェア標準化団体である OMG(Object Management Group)の場を活用し、

効果的・効率的に標準化・普及活動を行うこととした。

4. 中間評価結果への対応 短期プロジェクト(3 年間)のためプロジェクト中間評価は実施していない。 5. 評価に関する事項

該当なし

Page 67: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 35 -

Ⅲ.研究開発成果について

1.事業全体の成果

(1)目標の達成度 日本ロボット工業会の調査研究委員会において、多数の関係者の参画のもとで、オープンアー

キテクチャに基づく RT コンポーネントの共通インタフェース仕様案やその普及戦略を検討した。

工業会での議論した共通仕様を参照実装した RT ミドルウェアのプロトタイプとして産総研が

OpenRTM-aist-0.2.0 を研究開発し、プロジェクトメンバーとともに一般の評価協力者に対して

このプロトタイプを配布した。そして、RT ミドルウェアのコンセプト検証のために産総研と松

下電工がそれぞれの実証システムを開発し、それぞれ基本計画において設定されている下記の 4つの開発目標をすべて達成していることを確認することができた。

1) 様々なロボット要素を組み合せて多様なロボットを構築することを支援するロボット用ミドルウェア

を開発すること。

RT ミドルウェアのコンセプトを実証するプロトタイプシステムを構築するために、 初にコ

ンポーネント化のフレームワークを提案し、このフレームワークを検証するサンプルプログラム

としての RTM-0.1.0 を開発してプロジェクト参加メンバーに対して配布して評価いただいた。仕

様改善と実装の機能追加を行い 終プロトタイプ OpenRTM-aist-0.2.0 を開発し、プロジェクト

参加メンバー以外の一般の評価協力者に対して評価用として提供した。

※H17 年度 3 月に OpenRTM-aist-0.2.0 として一般の評価協力者に対して評価用として提供を開

始した後、実際に産学の研究開発現場で試用されている。また、更なる改良に向けて、評価結果

のフィードバックを受けているところである。

この OpenRTM-aist-0.2.0 を利用することで、様々なロボット要素を RT コンポーネントとして

構成し、GUI ツールを使ってそれらを連携させて動作させることが可能になり、RT ミドルウェア

技術の知的基盤の第一歩となるソフトウェアツールを提供することができた。

2) ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数の OS、複数の通信プロトコルで利用できるようにするこ

と。

RT ミドルウェアを構築するためのベースとして分散オブジェクト指向システムの標準ミドル

ウェアである CORBA 採用して開発を行い、基本的に CORBA がサポートする幅広い OS の上に RT コ

ンポーネントを配置して、互いに連携させて動作させることを可能とした。RT ミドルウェアと

して Windows、 Linux、 ART-Linux の 3 種類の OS をサポートし、プロジェクトの実証システム

では、実際にこれらの異なる OS の上にコンポーネントを配置して、それらを連携動作させるシ

ステムを構築して動作確認を行なった。

物理的な通信プロトコルについても、基本的に CORBA がサポートする幅広い通信プロトコルを

利用することを可能とした。プロジェクトの実証システムでは、基本的に も普及している

TCP/IP プロトコルの上にシステムを構築したが、資源が少ない組込みシステムのように CORBA

がサポートされないシステムにおいても代理(Proxy)コンポーネントの内部において独自プロト

コルでデバイスと通信させることで、通常の RT コンポーネントと同様の振る舞いをさせること

が確認出来た。

3) ロボット用ミドルウェアを介してロボットを構築し、当該ロボットが稼働することを実証すること。

生活支援をターゲットとした実証システムとして試作した居住空間を想定した RT スペースに

おいて、自律移動ロボット、電動ドア、冷蔵庫ドア、電気錠、インタフォン、照明機器、人検知

センサ、モニタテレビ、PDA などの RT コンポーネントを作成し、RT ミドルウェアとして開発し

た各種サービスを組み合わせることで、来客シナリオ、人に追従したカメラ映像、携帯電話によ

る遠隔監視・制御などの RT スペースが提供するサービスのデモンストレーションを行なった。

Page 68: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 36 -

また、実時間性が求められるロボットシステムの典型例の実証システムとして、力制御が可能

な遠隔操作システムを実時間 OS の上に RT ミドルウェアを使って構築して、現状のハードウェア

能力においても 2ミリ秒のサーボ周期で動作することを確認した。

4) ロボット用ミドルウェアを使用してモジュール化したロボット要素の追加および交換が可能である

ことを実証すること。

生活支援をターゲットとした実証システムとして試作した RT スペースにおいて、利用者の要

望に応じて必要なコンポーネントを追加して連携させるツールとしてスクリプトサービスを開発

し、RT ミドルウェアの有用性を示すシナリオをいくつか用意して、利用者の要望に応じてロ

ボット要素の追加、交換、および、連携方法の変更が柔軟に行なえることを示した。

また、実証システムとして試作した遠隔操作システムにおいて、操作対象である産業用ロボッ

トアームのコンポーネントと同じインタフェース仕様を持つヒューマノイドアームコンポーネン

トを開発し、遠隔操作プログラムを変更することなく、モジュールの実行・管理支援ミドルウェ

アツールを利用してそれらを互いに切り替えて操作することが可能であることを示した。

(2)成果の意義

RT ミドルウェアは、今後のロボット産業におけるリーダシップを強化するための戦略的基盤

技術のひとつであり、将来の生活支援ロボット市場を狙ったカスタムメイドロボット産業のブ

レークスルー技術となり、将来のロボット技術を活用したサービスのコンテンツ技術を開拓す

るための汎用的な基盤技術である。

本プロジェクトの狙いは、ロボット分野にもオープンな共通アーキテクチャを導入すること

でロボット技術の共有や蓄積が可能になり、オーダメイドなシステム開発が容易になることを、

実際にプロトタイプシステムを開発して示すことで、RT ミドルウェアのコンセプトの有用性の

理解を広げつつ、多くのロボット開発に採用されることにより開発技術の普及を図るところに

ある。

本プロジェクトの主要な成果の意義をまとめると以下の2点である。

1) ソフトウェアの共通化をベースとしたモジュール化技術の導入により、様々なロボット

要素を通信ネットワークを介して組み合わせることにより多様なロボット構築を可能と

する手段として利用される RT ミドルウェアのプロトタイプシステムを知的基盤として

提供できたこと

2) 世界に先駆けて RT ミドルウェアのフレームワークを提案し、その国際標準化と普及に

向けて実質的な活動を開始したこと

(3)特許等の取得 本プロジェクトは産総研(旧電子技術総合研究所)でモジュール化を手段として研究開発され

た UME システムや TAKUMI システムの技術をベースに、そのコンセプトを引き継いで誰でも

合意できるオープンな共通アーキテクチャを提案することを主眼としたものである。 新の先端

技術を狙ったプロジェクトではなく知的基盤技術の確立を狙うプロジェクトの性格ではあるが、

知的財産に関しては産総研から特許 1 件、実用新案 1 件、松下電工から特許 2 件を申請した。 また、RT ミドルウェア技術の認知度を高める普及戦略として、JARA が RT ロゴマークを作

成し商標登録した。 (4)論文発表・成果の普及 RT ミドルウェアは広く使われて皆が共有できる RT コンポーネントの種類がある程度揃わな

いとその利便性を享受することが出来ず、その魅力が半減してしまう。そこで、プロジェクトの

コンセプトを広く宣伝し、賛同者を増やすことが肝要となる。 そのため、ロボット技術に関する国際標準化活動が進みつつあることを一般に認知してもらい、

Page 69: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 37 -

ロボット分野だけでなく広く関連する周辺分野からの協力を期待して積極的にプレス発表を実施

した。2005 年 2 月 7 日にOMG内にロボット技術分科会(Robotics-DSIG)を設立したこと、

2005 年 2 月 24 日にプロジェクト成果として RT ミドルウェア技術の国際標準化活動をOMGで

開始したことをそれぞれプレス発表により報告した。また、プロジェクトの成果を解説したビデ

オ映像を作成して関係者に配布するとともに、ホームページ上で公開している。 また、ロボット分野の研究者・技術者のコミュニティの中においても知名度を上げて RT ミド

ルウェアの普及を図ることは重要である。そのために、日本ロボット学会のセミナーとして RTミドルウェア講習会を開催した。また、研究開発成果を積極的に発表するだけではなく、1000人以上の参加者が集まる IEEE International Conference on Intelligent Robots and System(IROS2004)や日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会(RoboMec2005)などの

国内外の学術講演会において RT ミドルウェアやロボット技術の標準化をテーマにしたワーク

ショップを企画したり、韓国の RobotWeek に合わせた国際会議(URAmI2005)や計測自動制御学

会のシステムインテグレーション部門講演会(SI2004、SI2005)などにおいて RT ミドルウェアや

ロボット技術の標準化をテーマにしたオーガナイズドセッションを企画するなど、ロボット関係

者が集まる機会ごとに RT ミドルウェアの認知度を高める努力を行い、成果普及を行なってきた。 標準化を推進する OMG のソフトウェアの専門家にも RT ミドルウェアのコンセプトを理解し

てもらい、ロボット技術の標準化活動を開始するグループを立ち上げるために、平成 16 年 8 月

の OMG モントリオール技術会議と平成 17 年 1 月の OMG バーリンゲーム技術会議において、

ロボット技術の標準化をテーマにしたフォーラムを開催して、賛同者を集めてきた。 そして、プロトタイプ実証システムを実際に見ていただくことが理解を深めるのに有効である

との判断から、産総研の一般公開、知能システム部門成果展示会(オープンハウス)、プロジェ

クト見学会などの機会に、プロジェクトで開発した実証システムの展示およびデモンストレー

ションを実施した。 これらの成果普及の努力を受けて、RT ミドルウェアのコンポーネントフレームワークの標準

化活動が OMG において開始され、RT ミドルウェア技術を活用した次期プロジェクトが開始さ

れている。

Page 70: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 38 -

2.研究開発項目毎の成果

2.1 RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究(日本ロボット工業会) 産業界および学識経験者による研究専門委員会を組織し、産総研で開発を進めている RT ミド

ルウェアのプロトタイプを議論のたたき台としてその適用性や、オープン化への課題を調査する

とともに、RT ミドルウェアの普及方策とともに技術の国際標準化について検討し、その知見を

まとめた調査報告書をまとめた。また、国際的なソフトウェア標準化団体である OMG の中にロ

ボット技術の標準化をミッションとする Robotics-DSIG を設立して研究開発成果の国際標準化

を推進するための活動拠点を確保した。 (1)目標の達成度 3 つの調査項目ごとの成果の達成度を以下に示す。 1)RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの仕様と実現性評価 (すべて達成)

目標:RT ミドルウェアに求められる仕様を策定する モジュール化をベーストしたオープンアーキテクチャに関して、各企業のロボットシステム

を対象として、機能分析や適用性について調査を行ない、RT ミドルウェアに求められる仕

様を策定し、実現性評価を行った上で、共通の RT オープンアーキテクチャとして

OpenRTM を採用した。これらにより上記目標をすべて達成することができた。

2)RT アーキテクチャと RT ミドルウェアの普及方策 (ほぼ達成) 目標:RT ミドルウェアの普及戦略をまとめ、コンソーシアム設立を準備する 普及戦略をさぐるための企業アンケート結果を受けて、プロジェクト終了後にコンソーシア

ムを設立するという当初の目標を変更し、効果的な普及策としてプロジェクトの研究開発と

並行して標準化活動に取り組むことの必要性を判断し、下記に述べる国際標準化活動を開始

した。また、Rミドルウェア技術を普及させるための戦略を提言として報告書にまとめた。

これらにより上記目標をほぼ達成することができた。

3)ミドルウェア標準化戦略[平成 15 年度第 4 四半期から追加](目標を大幅に上回り達成) 目標:国際標準化戦略を策定する。 国際標準化の手段としてコンソーシアム標準をターゲットとして OMG を選定した。OMG内にロボット技術の標準化を目指す活動グループ(Robotics-DSIG)を日本が主導して設立し

た。プロジェクト終了後も活動を続け、RT ミドルウェアのフレームワークとなるコンポー

ネント技術に関する標準公募文書(RFP)を発行したところである。これらにより上記目標を

大幅に上回り達成することが出来た。 (2)成果の意義

本プロジェクトで特記すべきことは、プロジェクトの一環として、コンピュータ業界における

相互運用可能な業務アプリケーションの国際規格の制定、維持、保守を行なうことを目的として

設立された非営利団体 Object Management Group(OMG) において、本プロジェクトで提案

しプロトタイプが開発されたロボット用ミドルウェアの標準化と普及活動が開始されたことであ

る。これは RT ミドルウェアの標準化と普及にむけての大きな一歩である。 RT ミドルウェアは、今後のロボット産業におけるリーダシップを強化するための戦略的基盤

技術のひとつであり、世界に先駆けて RT ミドルウェアの標準化と普及に向けて実質的な活動を

開始したことは、我が国のロボット産業の発展にとって大きな功績となるであろう。 (3)成果概要

ロボットシステムは広範な技術を統合的に用いるシステム技術であり、そこに含まれるロボッ

ト技術(RT)は、様々な産業分野で応用・利用できる有用な技術である。しかし、ハードウェア、

ソフトウェアともに標準化された設計手法が提案されていないため、新規ロボットシステムの開

発には、膨大な人数、資金、時間を要し、適正な価格、納期で製品を供給するのが難しく、新規

参入が難しい状況になっている。さらに、ロボットシステムは“きめ細かい”サービスの提供を

Page 71: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 39 -

求められるため、大量規格生産によるコスト削減手法も適用できない状況にある。そこで、この

現状を打破する新しいロボットシステム構築手法の確立とその産業界への普及が求められている。

本プロジェクトではそのひとつの方策としてオープンなロボットアーキテクチャの普及による

問題解決を狙っている。オープン化の目的は、“いつでも、だれでも、どこででも、そして、か

んたんに”ロボット、もしくは、RT を含んだシステムを実現できる基盤を提供できることであ

る。従って、オープン化は厳密な意味では手段であり、目的ではない。しかし、実際に普及可能

な RT のオープン化は大変困難であり、それを構築し、普及することが大きな目的となる。その

当初の目標とするところは、以下であった。

• RT システムの構築を容易にするために、ロボットシステムの機能分析に基づく RT ミドル

ウェアに求められる仕様を策定し、公開する。

• 産業界への RT の普及促進を図るために、RT 関連企業等が参画する予定のコンソーシアム

の組織化方法、組織、運営方法等を明らかにし、コンソーシアムの設立準備を行う。

RT システムを機能に応じてモジュール化・オープン化し、RT を産業界に根付かせるためには、

基盤となるアーキテクチャの提言に加えて、その効果の例示に基づく普及起爆剤が必要である。

そこで、RT オープンアーキテクチャの構築、仕様策定、普及方策(組織化)について、産業界

および学識経験者で組織する RT ミドルウェア普及調査研究専門委員会を設置し、ワーキンググ

ループを構成して各テーマに関して集中的に審議を行い具体的な検討を進め、専門委員会で各

ワーキンググループの検討結果を報告して意見を集約した。この調査研究成果として、平成 14

年度には今後のプロジェクトの開発指針となる調査研究成果報告書を、平成 15 年度には、プロ

ジェクト 終年度の検討課題を考察した調査研究成果報告書を、平成 16 年度には、プロジェク

トを総括し、今後の普及戦略を提言する調査研究成果報告書を、それぞれまとめた。

RT ミドルウェア普及調査研究専門委員会体制図

以下に、それぞれの調査項目ごとに調査研究内容と主な成果をまとめて示す。

1)RTアーキテクチャとRTミドルウェアの仕様と実現性評価

産業技術総合研究所で開発中のRTオープンシステムアーキテクチャを基本に、RT基本要素の

モジュール化の具体化、モジュールの必要機能、インタフェース仕様等の検討を行った。活動

の主体は、当会内に組織されている調査研究専門委員会とし、RTアーキテクチャとRTミドル

RT ミドルウェア普及調査研究専門委員会

委員長 :大道武生(名城大学教授)

副委員長:小菅一弘(東北大学教授)

委員 :学識経験者、ユーザー、メーカー、他

オブザーバ:経済産業省、NEDO

オープン化検討グループ 実現性評価検討グループ 標準化検討グループ

主査:大道武生(名城大学教

授)

委員:学識経験者、ユーザー、

メーカー、他

オブザーバ:経済産業省、NEDO

主査:小菅一弘(東北大学教

授)

委員:学識経験者、ユーザー、

メーカー、他

オブザーバ:経済産業省、NEDO

主査:水川真(芝浦工業大学教

授)

委員:学識経験者、ユーザー、

メーカー、他

オブザーバ:経済産業省、NEDO

Page 72: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 40 -

ウェアの仕様と実現性評価に関する調査研究を実施した。また、RTシステムの構築を容易にす

るために、ロボットシステムの機能分析に基づくRTミドルウェアに求められる仕様を策定し、

公開準備を行うべく提言を纏めた。

主な成果:

・RTシステムの構築を容易にするために、ロボットシステムの機能分析に基づくRTミドル

ウェアに求められる仕様を策定し、公開準備を行うべく提言を纏めた。

・RT オープン化分野の定義を行い、ソフトウェアベースのオープン化、機能ベースのオープ

ン化、デバイスベースのオープン化について定義した。

・ソフトウェアベースの RT オープンアーキテクチャとして、産総研開発のミドルウェア

「OpenRTM」を採用した。

・機能ベースの RT オープンアーキテクチャについては、階層構造化やインタフェースの共通

化の重要性が確認され、「OpenRTM」の適用を前提とした継続的検討の必要性を認識した。

・RT ミドルウェアを用いるアプリケーションのひとつとして RT 要素が室内に分散配置されて

いる RT スペースを想定して、必要となる様々な RT 要素モジュール・ツール等のミドルウェ

アプログラムの有効性を示した。

2)RTアーキテクチャとRTミドルウェアの普及方策

RTオープンシステム及びオープン化されたモジュールを普及させるためのコンソーシアム等

の普及組織について検討を行うため、調査研究専門委員会において、RTオープンアーキテク

チャの普及システムに関する調査研究を実施した。また、産業界へのRTの普及促進を図るため

に、複数のRT関連企業等が参画する予定のコンソーシアム等の組織化方法、組織、運営方法等

を明らかにし、コンソーシアム等の設立準備を行った。

主な成果:

・ソフトウェアベースのオープン化については、「OpenRTM-aist」をコアにした標準化 OMG 活

動を通して実現することにより世界標準である OMG 標準化がソフトウェアベースのミドル

ウェアの普及となる。

・「OpenRTM-aist」の適用実績作りを平行させる必要が不可欠であり、活動の 初の数年は、

関係者の継続的取り組みが必要である。

・普及活動組織として、業界団体等の特定の企業に偏らない組織のなかに、OMG 標準化支援の

OMG 推進会議(仮称)や「OpenRTM-aist」の実用化を支援する普及促進会議(仮称)等を設

ける。

・普及促進会議(仮称)は、OMG 活動組織と連携し、「OpenRTM-aist」活用の「RT システムの

開発支援」と「活用課題の解決」を行っていく必要がある。

3)ミドルウェア標準化戦略

今後、ロボット技術に関してOMG標準などの標準化提案を実現することを目指して標準化戦

略および戦術について具体的に検討を行うため、調査研究専門委員会において、標準化戦略に

関するWGを組織して調査研究を実施した。

主な成果:

・RT ミドルウェアを国際標準にするため、新エネルギー産業技術総合開発機構、産業技術総

合研究所および日本ロボット工業会は、コンピュータ技術に関する世界 大級の非営利国際

標準化団体 OMG の会合に定期的に参加して調査を進めた。

・2005 年 2 月に米国サンフランシスコで開催された OMG テクニカルミーティングにおいて、

RT ミドルウェア技術の標準化を目指す OMG 内の活動グループ(Robotics-DSIG)を正式に発

足させた。

・OMG で策定された分散オブジェクトに関する標準仕様のロボット分野への適用検討や、ロ

ボットの固有機能に関するミドルウェアの標準仕様策定作業を実施するとともにロボット技

術の標準化の重要性や今後の方針を議論するフォーラムを開催した。

Page 73: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 41 -

RTミドルウェア普及調査研究専門委員会(平成16年度)委員名簿

RTアーキテクチャとRTミドルウェアの仕様と実現性評価、RTオープンアーキテクチャの普

及システム、及び、ミドルウェア標準化戦略に関する調査研究を実施する。

(順不同・敬称略)

委員名 機関名・所属・役職

委員長 大道 武生 名城大学 理工学部機械システム工学科教授

副委員長 小菅 一弘 東北大学 大学院工学研究科バイオロボティクス専攻教授

委員 水川 真 芝浦工業大学 大学院工学マネジメント研究科教授

淺間 一 東京大学 人工物工学研究センター教授

菅野 重樹 早稲田大学 理工学部機械工学科教授

谷江 和雄 (独)産業技術総合研究所 評価部首席評価役

平井 成興 (独)産業技術総合研究所 知能システム研究部門部門長

末廣 尚士 (独)産業技術総合研究所 知能システム研究部門グループリーダ

北垣 高成 (独)産業技術総合研究所 知能システム研究部門主任研究員

神徳 徹雄 (独)産業技術総合研究所 知能システム研究部門主任研究員

下倉健一朗 日本電信電話㈱ サイバーソリューション研究所主幹研究員

星野 修二 石川島播磨重工業㈱ 技術開発本部技監

尾上 一彦 川崎重工業㈱ 技術開発本部システム技術開発センター第2開発部参与

角谷 和重 三洋電機㈱ メカトロニクス技術開発センタービジネスユニットメカトロシステム研究部課長

長瀬 雅之 (株)セック SI本部宇宙先端システムビジネスフィールド担当マネージャ

笠上 文男 (株)ダイヘン 執行役員・事業開発推進本部長

榊原 聡 (株)デンソーウェーブ FA事業部技術部技術1室室長

松日楽信人 (株)東芝 研究開発センターヒューマンセントリックラボラトリー研究主幹

細田 祐司 (株)日立製作所 機械研究所第4研究部主管研究員

川上 一美 富士電機システムズ(株) 産業特機統括部道路空港施設技術部部長

榊原 伸介 ファナック(株) ロボット研究所名誉所長

駒田 聡 (株)富士通研究所 ペリフェラルシステム研究所自律システム研究部部長

青山 元 富士重工業(株) クリーン事業部事業部長

伊東 一郎 (株)前川製作所 総合プロジェクト企画室部長

山本 浩司 松下電器産業(株) くらし環境開発センター生活科学グループマネージャ

桑田 亨 松下電工(株) 先行・融合技術研究所先行技術開発部主幹技師

牧田 裕行 三菱電機㈱ 先端技術総合研究所メカトロニクス技術部主席研究員

長島 是 三菱重工業㈱ 神戸造船所機械・宇宙部ロボット事業グループ長

田中 雅人 ㈱安川電機 ロボティクスオートメーション事業部技術開発部開発担当部長

オブザーバ 経済産業省

オブザーバ (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構

Page 74: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 42 -

2.2 RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(産業技術総合研究所) 分散オブジェクト指向システムのミドルウェアである CORBA をベースとして、RT 分野のア

プリケーションに広く共通的に使われる RT ミドルウェアに必要な基本機能の研究開発を行い、

フレームワークとなる RT コンポーネントの仕様を提案した。そして、提案する RT コンポーネ

ントの実装を支援するためのソフトウェア(RT ミドルウェア)のプロトタイプを開発するとと

もに、ひとつの開発例として実時間制御を必要とするロボットアームシステム構築に適用して機

能検証をおこなった。プロジェクトで開発した RT ミドルウェア(OpenRTM-aist-0.2.0)を評価用

として一般公開リリースした。 (1)目標の達成度

3つの研究開発項目ごとの達成度を以下に示す。

1)RT基本要素のモジュール化(すべて達成)

目標:センサ、アクチュエータなどの機能要素のモジュール化を実現する

力センサ、産業用ロボットアーム、人間型ロボットアーム、遠隔操縦ジョイスティックといっ

た比較的ハードウェアに直結した機能要素や制御則コンポーネント、ゲイン調整コンポーネン

ト、座標変換コンポーネントなどソフトウェアのみで実現できる機能要素を単体の機能要素と

してモジュール化した。その過程で、モジュール化に必要な基本的なインタフェースを定め、

RTコンポーネントのフレームワークとして仕様化を行い、それに対応するRTミドルウェアを開

発した。これらから、上記目標をすべて達成することができた。

2)RT協調要素のモジュール化(すべて達成)

目標:サーボ制御などの複数モジュールの連携が必要な機能要素のモジュール化を実現する。

サーボ制御、スキル制御といった複数のモジュールを連携させて実現する機能要素のモジュー

ル化のために複合RTコンポーネントが実現可能なフレームワークの設計を行った。その過程で、

モジュールの連携に必要なアクティビティ部の状態遷移の定式化や複数のRTコンポーネントの

状態の連携機能を導入し、それを支援するRTミドルウェアを開発した。これらから、上記目標

をすべて達成することができた。

3)基本機能実証システム上でのRT基本機能の検証 (すべて達成)

目標:複数モジュールの実時間連携が必要な実証システムを構築し、実現可能性を示す

ロボットシステムの典型例として遠隔操作システムを選定し、ロボット要素をRTコンポーネン

トとしてモジュール化し、それを用いて実証システム構築した。これによりモジュール化手法

としてRTコンポーネントのフレームワークが有用であることを検証した。また、構築された実

証システムはロボットシステムとして十分な機能を持っておりRTミドルウェアの基本機能の有

効性を実証することができた。これらから、上記目標をすべて達成することができた。

(2)成果の意義 本研究開発では、分散オブジェクト指向システムのミドルウェアであるCORBAをベース

として、RT要素特有の機能の実現を考慮しながらRT分野のアプリケーション全体に広く共通

的に使われるRTミドルウェアに必要な基本機能の研究・開発を行うことが目的であった。

この目的のために、RTコンポーネントのフレームワークを確立し、それに基づきRTコン

ポーネントの作成を支援するためのソフトウェア、RTミドルウェアのプロトタイプの開発を

行った。RTコンポーネントのフレームワークはOpenRTMとして今後広く普及を図ることになっ

ている。また産総研が本プロジェクトで開発したRTミドルウェアの 終プロトタイプOpenRTM-

aist-0.2.0は、研究グループ外にも公開している。産総研はRTミドルウェアで作成されたRTコ

Page 75: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 43 -

ンポーネントを基に種々の実証システムを構築したが、それらは産総研が予想したとおりの機

能を実現しており、その有用性は十分に実証できた。今後は、OpenRTM-aist-0.2.0の配布先で

も試用していただき、様々な使い方でのフィードバックを受けてより良いものへと改良を行う

予定である。

本研究開発で得られた一番の成果である RT コンポーネントのフレームワークを広く普及させ

るためには、その標準仕様化が重要である。そのような標準提案を行っていくためには、RT コ

ンポーネントのフレームワークの PIM(Platform Independent Model)仕様の作成、その PIM仕様に基づく PSM および RT ミドルウェアの実装が必要となる。また、実際に RT コンポーネ

ントを使うためには RT コンポーネントの作成支援ソフトウェアだけでなく、RT コンポーネン

トの利用支援ソフトウェアも RT ミドルウェアのなかでサポートしなくてはならない。このよう

な点では、産総研が開発した OpenRTM-aist-0.2.0 は、あくまでプロトタイプであり今後の普及

のためにはさらなる改良開発を継続することが強く期待されている。

(3)成果概要

本研究開発テーマでは、分散オブジェクト指向システムのミドルウェアである CORBA をベース

として、RT 分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われる RT ミドルウェアに必要な基本

機能の研究・開発を行う。CORBA を採用したことによりプラットフォーム非依存でネットワーク

透過な分散オブジェクト環境は既に実現されていることになる。したがって本研究開発の重点は

RT システム特有な機能を抽出、整理し、それを実現するための方法論を確立することにある。

RTシステムの特有な機能としては以下のようなものがあり、これらは分散オブジェクトミド

ルウェアを採用したというだけでは解決できないものとなっている。

パッシブなモジュールだけではなく、アクティブなモジュールを実現する機能

いわゆるオブジェクトというのは、コマンドとして送られて来たメッセージに対して応答を

返すというパッシブな動作を基本としている。これに対してロボットの要素はサーボなど、

それ自身のタスクを持つだけでなく、必要なデータを自ら収集したり、またイベントの発生

などの通知を行ったりする必要がある。

通信障害に対する動作の安全性を確保するための機能

モータなどのアクチュエータを動作させる場合、動作途中に通信障害が発生した場合にも安

全に動作させる工夫が必要となる。

モジュールの周期動作やモジュール間の時刻同期などの時間管理機能

サーボ制御では安定した周期動作が必要である。また複数のモジュールを協調させるために

は時刻同期が必要となる。センサデータの収集においても複数データ間の同時性、時間関係

の把握は極めて重要なことである。

モジュール間の高速で密な連携を実現する機能

RTシステムではサーボなど、家電ネットワークやプロセス制御などと比べるとモジュール間

の高速で密な連携が要求される。

これらRT要素特有の機能の実現を考慮しながら、多数のセンサ、アクチュエータ、インタ

フェースをネットワークに接続した汎用的なロボット研究・開発環境を構築し、RT要素をモ

ジュール化し、それらを自由に組み合わせて連携させ、作業動作の実行ができるようにする。

その過程で、RT分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われる機能を抽出して、それを

整理、整備することによりRTミドルウェアの基本機能を開発した。

RT ミドルウェア基本部の開発

1)RT コンポーネントのフレームワークの確立

本研究開発では、分散オブジェクト技術(CORBA)を用いて、ロボットの機能要素をモジュ-ル

Page 76: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 44 -

化し、ユ-ザ幅広いニーズに合わせた新しいロボットシステムを容易に構築できる枠組を提供し

ようとしている 。しかし、ここで注意しなくてはいけないことは「ロボットの機能要素のモ

ジュ-ル化」=「ロボットの機能要素の分散オブジェクト化」ではないということである。本研

究開発では、これらの違いを明確化し、モジュ-ル化に必要な機能をどのような形で実現するか

という、RT モジュールの基本形の概念設計を行った。

具体的には、ロボットの機能要素のモジュ-ル化のフレームワークとして「RT コンポーネン

ト」を提案し、必要な機能、構造およびその分散オブジェクトを用いた実現について検討を行っ

た。

2)RT コンポーネントによるモジュール化の検討

前節で説明したような分散オブジェクトの枠組みで考えると、分散オブジェクトとは IDL など

で記述された明示的なインタフェース(interface)を通してのみクライアントにサービスを行う

サーバオブジェクトである。これはコマンドとして送られて来たメッセージに対して応答を返す

というパッシブな動作の側面のみをサポートするものであり、そのオブジェクト内での処理につ

いては基本的には立ち入らない。

これに対してロボットの要素の多くはサーボなど、それ自身のタスクを持つだけでなく、必要

なデータを自ら収集したり、またイベントの発生などの通知を行ったりなどの固有の処理(アク

ティビティ、activity)を持っている。その固有の処理の中では、自身のインタフェースで要求

されるデータを随時書き換えたり、他の RT モジュールへクライアントとして要求を出したり、

などが行われることになる。

ロボットの要素を部品として再利用できる形でモジュール化するためには、上記の機能をひと

まとまりとした単位で考える必要がある。これをオブジェクトと区別して RT コンポーネントと

呼びロボットの要素のモジュール化の単位とする。RT コンポーネントの実装には分散オブジェ

クトが使われる。すなわち1つの RT コンポーネントの内部は、その機能をサポートする分散オ

ブジェクトが複数配置されることになる。

ロボットのコンポーネント特有の機能について検討した結果に基づき、典型的な RT コンポー

ネントの内部構造の設計を行った。

インタフェース部、入出力チャネル、アクティビティ部が並列に動作し、扱うデータのコンシ

ステンシーが保証されるようにそれぞれ排他制御する。インタフェース部と入出力チャネルが図

の上では同様な形式でありながら区別されている理由は、インタフェース部では主にコマンドを

扱い、分散オブジェクトのサーバとしての同期的呼び出しの受け口であり、入出力チャネルでは

主にデータを扱い、push 型の非同期通信やクライアントとして呼び出しを行った返答の待ち受

けなども行うという区別からである。

RtComponent

ActThread

InPort n

InPort 0

OutPort n

OutPort 0

put

get

replypush

put reply

get, subscribe

command command replyCORBA componentThread

RT コンポーネントの構造

Page 77: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 45 -

RT ミドルウェアの開発

1)RTM-0.1.0 の開発

RTM-0.1.0 は、まず、産総研が提案している RT コンポーネントが実際にロボットシステム構

築に使えるか否かを検証することを目的として、研究グループ内部で、RT コンポーネントを作

成し、それを利用してロボットシステムを構築するための 低限のサポートを実現するために開

発された。

RTM-0.1.0 での開発支援を模式的に描くと図のようになる。RT コンポーネントや RT アプリ

ケーションの仕様のほとんどが開発者(RTM のユーザ)の頭の中にあり、RT ミドルウェアとしては、

基本的な部分の実装とテンプレートの提供という形でわずかながらの支援を行なっているが、ほ

とんどの部分は開発者自ら手でプログラムを書く必要があるというものになっていた。

RTM-0.1.0 での RT コンポーネント開発の概要図

2)OpenRTM-aist-0.2.0 の開発

RTM-0.1.0 で提案された RT コンポーネントのコンセプトは「RT オープンアーキテクチャと普

及システムの調査研究」においてロボット技術のモジュール化の1つの階層として認められ、そ

のオープンなフレームワークを OpenRTM と呼び、今後広く普及させる方向で検討された。産総研

では、その1つの実装として OpenRTM-aist を開発した。OpenRTM-aist-0.2.0 は、その 初の

バージョンで、バージョン番号が 0.2.0 なのは、実質的に RTM-0.1.0 からの発展形だからである。

したがって OpenRTM-aist-0.2.0 のフレームワークは RTM-0.1.0 から大きく変わっていない。フ

レームワークで用いている基本インタフェースの CORBA IDL は、今後の普及、発展性を考慮しな

がら、ここまで議論をしながら並行開発を行ってきた松下電工グループの RT コンポーネントと

の共通化されたものとなっている。この部分は OMG(Object Management Group)のコンセプトで

言うと PSM(Platform Specific Model)レベルでの仕様化を行ったことに相当する。これ以外に、

ロボットの運動制御システム構築の視点から必要とされる機能を整理し、必要な部分は拡張仕様

として仕様化している。また、必要な支援機能は、支援ソフトウェアを開発しミドルウェアとし

てのサポートを強化した。

OpenRTM-aist-0.2.0 の特徴の概要は以下のとおりである。

• 内部状態遷移の明確化、詳細化

• RT コンポーネントのローダブルモジュール化

• コンポーネントマネージャの導入

Page 78: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 46 -

• ネーミングサービスの利用

• プログラムの自動生成機能の強化

• GUI の強化

• 複数コンポーネントの実時間スレッドへの割付

内部状態遷移の明確化、詳細化: RT コンポーネントのフレームワークでは、基本インタフェースと供に内部のアクティビティ

部の存在を想定している。いわゆる抽象的な分散オブジェクトとして考えた場合は、アクティビ

ティ部を持つ/持たない、アクティビティがどのような状態遷移をするか、などは実装の問題で

あり仕様としては本来あまり立ち入らない部分である。しかし、相互に密接な連携をとって働く

必要があるロボットのモジュールにとっては、それぞれの内部状態がどのようなものであるかと

いうのは極めて重要な問題となる。そこで OpenRTM-aist では、RT コンポーネントの大きな状態

を以下のように整理し、必要な IDL 定義を拡張仕様として定めている。

RT コンポーネントの内部状態遷移図

これらの状態を定めることにより、

他の RT コンポーネントに依存した RT コンポーネントやアプリケーションプログラムを

統一的に書けるようになる、

複数の RT コンポーネントを組み合わせた複合 RT コンポーネントを統一的に書けるよう

になる、

RT コンポーネントの開発者は、プログラミングの際に周期的制御や状態遷移動作など

の副次的な振る舞いは気にせず各状態での本質的な振る舞いを記述すればよくなる、

などの利点が得られている。

これらの内部状態は RT コンポーネントの持つべき 低限の状態を網羅するように設計されて

いるため、将来的には基本仕様へ繁栄させていく予定である。また、不要であれば各状態の振る

舞いは空でよいし、各 RT コンポーネントに依存した詳細な内部状態は個別に RT コンポーネント

の開発者が定めることも出来る。

コンポーネントマネージャの導入、RT コンポーネントのローダブルモジュール化、ネーミング

Page 79: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 47 -

サービスの利用:

OpenRTM-aist では、RTコンポーネントの実装支援としてコンポーネントマネージャを提供し

ている。コンポーネントマネージャはRTコンポーネントを実行するメインプログラムの定式化で

あり、RT コンポーネントのライフサイクルの管理、ネームサーバへの登録などを一括して行う。

コンポーネントとマネージャやネームサービスなどの関係は図のようになっている。RTコンポー

ネントはOpenRTM-aistでは通常、ロード可能なライブラリ形式(=モジュールと呼ぶ) で提供され、

マネージャはこのモジュールをロードし、インスタンス化することでRTコンポーネントを生成す

る。また、コンポーネントマネージャは生成したRTコンポーネントがネットワーク上の他のホス

トからも検索できるように、CORBA ネーミングサービスを使用して、ネームサーバへコンポーネ

ントの名前とオブジェクトリファレンスを登録する。また、各RTコンポーネントはコンポーネン

トマネージャを通してネームサーバに対して問い合わせることにより、他のRTコンポーネントを

名前で検索することが出来る。

RT コンポーネント、コンポーネントマネージャ、ネーミングサービス

プログラムの自動生成機能の強化:

OpenRTM-aist-0.2.0におけるRTコンポーネントの作成の大まかな流れは図のようになる。RTコ

ンポーネントの開発者は、既存のソフトウェア資産のライブラリ関数・クラスライブラリ等をコ

ンポーネントフレームワークに埋め込みコンポーネントを作成することになる。このように、ソ

フトウェアとして存在する既存のRT技術をRTコンポーネントとして作成しておくことにより、そ

れを様々な場面で再利用することが出来るようになる。

図に示すようにOpenRTM-aistで作成されたRTコンポーネントは大きく分けて2つの実行形式のバ

イナリファイルとして作成することが出来る。1つはスタンドアロンRTコンポーネントで、単一

ファイルでそのまま実行できる実行バイナリ形式である。もう1つはローダブルモジュールRTコ

ンポーネントで、動的にロード可能なローダブルモジュール形式のバイナリファイルである。RT

コンポーネントはこれらの2つの形式で作成、配布、実行することができる。

RTコンポーネント化するためのコードというのはほとんど決まりきったものになる。RTM-

0.1.0では、このコード生成はほとんど手作業であり、後からauto-rtm01という単純なRTコン

ポーネントのテンプレート生成をサポートしていた。OpenRTM-aist-0.2.0では、これらのコード

生成を自動的に行うコードジェネレータrtc-templateプログラムを作成した。rtc-templateプロ

グラムでは、RTコンポーネントの名前やタイプ、InPort/OutPort の名前や型を与えてやると、

Page 80: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 48 -

RTコンポーネントのC++(やPython) のソースコードの雛形を出力する。RTコンポーネントの開発

者は、出力された雛形のクラスの各アクティビティに対応するメソッドに行いたい処理を追加す

るだけで、RTコンポーネントの挙動を記述することができるようにした。

Component vendor can provide•Source code•Executable files•Dynamic loadable objects

Development Flow of a RTComponentDevelopment Flow of a RTComponent

User’s original sourcecode or libraries

User’s original sourcecode or libraries

RTComponentFramework

RTComponentFramework

RTComponentSource code

RTComponentSource code

RTComponentExecutable

(.exe)

RTComponentExecutable

(.exe)

RTComponentLoadable module

(.so, .dll)

RTComponentLoadable module

(.so, .dll)

RTComponentRTComponent RTComponentRTComponent

RTComponentManager

RTComponentManager

Component vendor can provide•Source code•Executable files•Dynamic loadable objects

Development Flow of a RTComponentDevelopment Flow of a RTComponent

User’s original sourcecode or libraries

User’s original sourcecode or libraries

RTComponentFramework

RTComponentFramework

RTComponentSource code

RTComponentSource code

RTComponentExecutable

(.exe)

RTComponentExecutable

(.exe)

RTComponentLoadable module

(.so, .dll)

RTComponentLoadable module

(.so, .dll)

RTComponentRTComponent RTComponentRTComponent

RTComponentManager

RTComponentManager

RT コンポーネントの開発フロー図

GUI の強化:

OpenRTM-aist-0.2.0 では、RTM-0.1.0 でもサポートしていた、RT コンポーネントの状態、入

出力ポート、接続関係などを表示し、その上で接続操作、アクティビティの on/off など操作が

GUI を用いて出来るプログラム実行管理サービスの機能を強化した。

図に RTCLink の表示を示す。現時点で強化された主な点はネーミングサービスの利用(図左

側)や RT コンポーネントの情報の表示(図右側)である。また、同時に複数のシステムウイン

ドウ(図中央上)を持つことが出来る。各システムウインドウにネーミングサービスウインドウ

中の RT コンポーネントアイコンをドラッグアンドドロップすることにより、RT コンポーネント

を表示し、それらに対して接続操作、アクティビティの on/off など操作が出来るようになって

いる。図中央下はシステムからのメッセージを表示するものである。

RTCLink の操作画面

Page 81: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 49 -

RT コンポーネントを利用した種々のシステムの作成

産総研が提案するRTコンポーネントのフレームワークおよびRTミドルウェアの有用性、実用

性を示すために、実際に種々のRT要素をRTコンポーネント化し、それらを組み合わせることに

よりロボットシステムを構築して見せた。

1)7自由度マニピュレータの分解速度制御

関節角速度制御された7関節(7自由度)のマニピュレータを1つのRTコンポーネントとし、

それを用いてベース直交座標系に対する手先直交座標系の位置・姿勢を制御する分解速度制御

システムの構築を行った。

このシステムでは、まず実機を用いず同じ入出力仕様を持つシミュレータで開発を行った。

これにより安全に全体のシステムの動作の信頼性を確認できた。その後、実機に置き換える場

合には、対応するRTコンポーネントを入れ替えるだけで他は変更なく動作させることが可能で

あった。このシステムは、画像などのセンサとそのヤコビアンを計算するモジュールをRTコン

ポーネント化しミキサーをそれに対応する形で変更すればビジュアルフィードバックなどの多

数のセンサを用いた制御システムに容易に拡張可能である。

2)マニピュレータの力制御、遠隔操縦システム

手先直交座標系の位置・姿勢に関する並進・回転速度で制御されるマニピュレータを1つの

RTコンポーネントとして、シンプルな力制御サーボ系とそれに対する遠隔操縦を行うシステム

を開発した。このシステムは、主にマニピュレータ、力制御コントローラ、力覚センサ、ジョ

イスティックの4つのRTコンポーネントから構成される。またゲイン調整用のスライダコン

ポーネント、コンポーネント出力モニタ用のデータロガーコンポーネントなども準備されてい

る。力制御コントローラモジュールは単純な比例制御アルゴリズムの実装されたコントローラ

であり、ジョイスティックからの操縦指令値と力覚センサからの力覚データの偏差にゲインを

かけ速度指令値を出力する。力覚センサモジュールはマニピュレータの手先に装備された力覚

センサで観測される力覚データを出力する。ジョイスティックモジュールは力覚センサを利用

分解速度制御のための RT コンポーネントと PA10 のシミュレータ画像と実機

a

b

c

d

e

f g h

Page 82: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 50 -

したジョイスティックであり、オペレータが加えた力を操縦指令値として出力する。

本システムにより、オペレータの操縦指令値に従ってマニピュレータを力制御できることを確

認した。このシステムでは、ARTLINUX を用いて各コンポーネントの周期タスクを管理しており、

それぞれ 2ms周期で動作している。

また、本システムの人間型ロボットの腕をマニピュレータと同じ形式の RT コンポーネントと

することで、本システムのジョイスティックコンポーネントを用いて遠隔操縦することが出来る

ことを確認した。

このように RT コンポーネントを用いてシステム構築を行うことにより、必要に応じて RT コン

ポーネントを開発し接続を変更することで、新たな機能を持つシステムを容易に構築することが

可能となる。たとえば上記のマニピュレータコンポーネントだけでなく、ジョイスティックコン

ポーネントの代わりに別の遠隔マスタコンポーネントを開発し入れ替えるだけでその遠隔マスタ

でマニピュレータを制御することが可能である。また、新たな力制御アルゴリズムを実装した

RT コンポーネントを開発し、ここで用いた力制御コントローラコンポーネントと入れ替えるこ

とで新しいアルゴリズムの制御系に交換することが可能となる。

マニピュレータの力制御、遠隔操縦システムの全景

Page 83: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 51 -

RT コンポーネント接続 GUI およびスライダ、データロガーコンポーネント

操縦用ジョイスティック

ヒューマノイド(HRP2 プロメテ)

マニピュレータ(MHI PA10)

ロボットアーム制御用共通インターフェース

ジョイスティックコンポーネント

HRP2 腕制御

コンポーネント

PA10 腕制御コンポーネント

操縦用ジョイスティック

ヒューマノイド(HRP2 プロメテ)

マニピュレータ(MHI PA10)

ロボットアーム制御用共通インターフェース

ジョイスティックコンポーネント

HRP2 腕制御

コンポーネント

PA10 腕制御コンポーネント

マニピュレータコンポーネントの交換

その他のRTコンポーネント

様々なRT要素をRTコンポーネント化し利用できることを確認するために、その他、種々のRT

コンポーネントを作成した。具体的には、可換ハンドコンポーネント、AIモータコンポーネン

ト、ロボット操縦用ゲームコントローラコンポーネントなどである。

Page 84: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 52 -

RT コンポーネントの仕様化

産総研が提案する RT コンポーネントの考え方および RT ミドルウェアの普及に重要なことの1

つに「仕様化」がある。明確で安定な仕様ができれば、標準仕様としても安心して使うことが出

来る。本研究開発においては、とりわけ RT コンポーネントの仕様化が重要である。なぜなら RT

コンポーネントの仕様を共有していれば、その実装方法、すなわちそれを作成するミドルウェア

が異なっていても、RT コンポーネントの相互運用性は保証されることになるからである。この

ような仕様化に関しては、OMG では、PIM(Platform Independent Model)と呼ばれる、実装する

分散オブジェクトプラットフォーム(CORBA や JAVA など)に非依存な仕様化と PSM(Platform

Specific Model)と呼ばれる実装する分散オブジェクトプラットフォームに依存した仕様化の2

つの概念を持っている。本研究開発では、RT コンポーネントの実装を行いそのコンセプトの有

用性を示すことを重視したため、PIM レベルの仕様化はプロジェクト内部での提案レベルのもの

である。一方、PSM に関しては、基本的には CORBA IDL の記述がそれに相当し、並行に開発を

行ってきた松下電工との協議を行い、共通部分と拡張部分とに分けて仕様化を行っている。

AI モータコンポーネント

種々の RT コンポーネント

可換ハンドコンポーネント

ロボット操縦用ゲームコント

ローラコンポーネント

Page 85: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 53 -

RT コンポーネントの仕様化の現状

Page 86: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 54 -

2.3 RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発(松下電工株式会社) 家庭や施設等の生活者支援用途における多種多様なニーズに応えるアプリケーションの構築を

容易にすることを目的として、モジュール化された RT 要素を統合してアプリケーションを実現

するための枠組みの確立を進めた。高齢者などの生活支援を行うことを想定して、ロボット要素

が分散配置された部屋全体がロボットシステムとなる RT スペースというアプリケーション実証

システムの構築を通して RT ミドルウェアの有効性を実証した。 また、RT ミドルウェアの特徴を示し、その活用方法や有効性を分かりやすく表現したビデオ

映像(日本語版/英語版)を制作した。

(1)目標の達成度 1)RT コンポーネントを統合した RT スペースの構築 (すべて達成)

目標:RT 化された居住空間の導入コンセプト提案と実証用居住空間構築

RT スペースの仕様検討、手法検討、シナリオ検討を実施し、導入イメージ CG を作成した。ま

た、カメラ付インタフォン、自動扉、電気錠、照明器具、人検知センサ、テレビ、自律移動ロ

ボットなどを配置した RT スペースを構築し、それらの機器がコンポーネントとして動作するこ

とを確認した。これらにより上記目標をすべて達成することができた。

2)RT 要素を統合するアプリケーション実現機能の開発 (すべて達成)

目標:RT 要素を統合管理及び実行管理するミドルウェアを開発

RT スペースのアプリケーションプログラム作成を支援するツールとして、コンフィギュレー

ションサービス、アクティビティサービスなどの各種サービスとともに GUI を使って RT 要素の

連携をプログラムするアクティビティビルダを開発し、その各種 RT 要素が連携して動作してア

プリケーションプログラムが実現されていることを RT スペース実証システムにより確認した。

これらにより上記目標をすべて達成することができた。

3)RT スペースにおける RT ミドルウェアの実証的検証 (すべて達成)

目標:具体的なアプリケーション例で RT ミドルウェアの有用性を示す

RT スペース実証システムを使って、具体的な日常生活支援として来客対応や遠隔監視・制御な

どを想定したアプリケーションプログラム開発例を示し、その開発シナリオの中で顧客の要求に

より機能追加や仕様変更が容易に出来ることを示し、RT ミドルウェアの柔軟性や拡張性を分か

りやすく示した。また、RT ミドルウェアの特徴を示し、その活用方法や有用性を解説したビデ

オ映像を日本語版と英語版でそれぞれ制作した。これらにより上記目標をすべて達成することが

できた。 (2)成果の意義 本研究の成果が活用される有望なアプリケーション例として生活支援ロボットシステムへの

RT ミドルウェアの導入コンセプトを検討し、その具体的な姿として RT スペースの提案と実証

システムの構築を行った。ここで提案する RT スペースとは、人の居住空間においてセンサやア

クチュエータなどのロボットの機能要素が分散配置され、それらの要素が互いに協調して動作す

ることにより新しい生活支援を実現する居住空間全体を想定したものである。 RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能の研究開発にあたり、生活支援をターゲットと

した時のアプリケーション実現機能として要求される機能を検討し、特にシステム設計を行うイ

ンテグレータが容易にロボットシステムを構築できる仕組みを開発した。 その開発内容としては、制御プログラムをモジュール化するフレームワーク、アプリケーショ

ンの構築・変更を容易にする共通サービス機能と各種ツールである。 そして、マンションの一室を模した居住空間に RT 機器を分散的に配置し、それらを RT ミド

ルウェアにより RT コンポーネントとして統合し連携動作させることで各種の生活支援アプリ

ケーションを実現した。これにより生活支援ロボットシステムにおいて、本研究のアプリケー

ション実現機能が有効であることを実証した。 RT ミドルウェアの有用性や拡張性を具体的なアプリケーション開発例で示すことで RT ミド

ルウェアのコンセプトの理解を深め、技術の普及を図ることに大きく貢献した。

Page 87: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 55 -

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットの

エレベータ乗降・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットの

エレベータ乗降・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

(3)成果概要

RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発は、ユーザーが望むサービス

に対して、既存の機能部品では対応出来ない場合においても、必要となる機能を有する機器を

RT ミドルウェアでモジュール(RT コンポーネント)化して追加し、それを組み込んで新しい

サービスを容易に構築できることを目的としている。そこで、RT ミドルウェアのアプリケー

ション実現機能として、ロボットシステムを構成する RT コンポーネントをつなぎ合わせて所望

の動作を実現する仕組みを開発した。 この仕組みとは、ロボットシステムを構築するインテグレータが、グラフィカルユーザインタ

フェースを備えたツールにより必要な RT コンポーネントをつなぎ合わせて容易に作成されるソ

フトウェアにより動作することを目指した。また、各 RT コンポーネントの動作状態監視、RTコンポーネントのデータ管理、外部指令管理など、必要なサービス機能を開発した。 そしてこのアプリケーション実現機能を活用し、居住空間にセンサやアクチュエータなどの RTコンポーネントが分散配置され、これらの RT コンポーネントが協調して動作することで生活を

支援するロボットシステム(RT スペース)を製作した。 以上のようなコンセプトに基づいた RT スペースの構成イメージを図に示す。一般の生活空間

を想定した RT スペースでは自律移動ロボットや掃除、炊事などの個別作業を行うロボットの他

にエアコンや照明などの電器機器、風呂や玄関ドアなどの住設機器もその構成要素(RT 要素)

となる。

RT スペースの構成イメージ図

単に高齢者の自立生活支援だけでなく、一般の生活者に対してもより便利で快適な生活空間を

提供する RT スペースについて、こうしたシステムが導入され使用される状況をいくつか具体的

に想定して RT スペースのありたい姿をシナリオとして検討し、解決すべき課題を確認した。 1)RT スペースの導入 RT スペースを導入する場合のインテグレータの役割を示すシナリオを検討した。

ユーザーとインテグレータが

RTスペースの導入について

打ち合わせ。

RTミドルウェアのRTスペース

作成ツールを使用し、アプリケ

ーションを作成。

作成したアプリケーションを、

シミュレーションツールを使い

動作確認。

ユーザー宅へのRT機器設置

と、アプリケーションソフトのイ

ンストール。

Page 88: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 56 -

2)リビングでの使用例 RT ミドルウェアを使い、分散配置された RT コンポーネントが協調してアプリケーションを

実現するシナリオを検討した。 3)RT スペースへのコンポーネントの追加 既に設置された RT スペースへ新しい RT コンポーネントを追加するシナリオを検討した。

4)建物全体への RT スペースの拡張 建物全体を RT スペースとして移動ロボットを居住者が共有するシナリオを検討した。 RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能

RT ミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発は、ユーザが望むサービスに

対して、既存の機能部品では対応出来ない場合においても、必要となる機能を有する機器を RTミドルウェアでモジュール(RT コンポーネント)化して追加し、それを組み込んで新しいサー

ビスを容易に構築できることを目的としている。そこで、RT ミドルウェアのアプリケーション

実現機能として、ロボットシステムを構成する RT コンポーネントをつなぎ合わせて所望の動作

を実現する仕組みを開発した。 この仕組みとは、ロボットシステムを構築するインテグレータが、グラフィカルユーザインタ

フェースを備えたツールにより必要な RT コンポーネントをつなぎ合わせて容易に作成されるソ

フトウェアにより動作することを目指した。また、各 RT コンポーネントの動作状態監視、RTコンポーネントのデータ管理、外部指令管理など、必要なサービス機能を開発した。

テレビ観戦に夢中で喉が渇

いたので飲み物を取って来て

もらうためにロボットを呼ぶ。

ロボットは部屋のセンサを使

って人の位置を検出し移動。

ユーザーのオーダーを聞き

冷蔵庫内の在庫を確認。

ロボットは、キッチン照明、

冷蔵庫ドアと協調し、飲み

物を取り出す。

取り出した飲み物をユーザー

へ届ける。

最新のお掃除ロボットを購 お掃除ロボットの情報と、

既設のRT機器と協調して

動作させるためのアプリケー

ションソフトをインストール。

更新した機器情報とソフトを

各RT機器へ送信。

追加したお掃除ロボットと、

既設のRT機器が連携して、

新たな掃除機能を開始。

運搬ロボットに、買って来た

荷物を部屋まで運び、所定の

場所へ置くことを依頼。

運搬ロボットは、依頼された

住人の住戸の位置を確認す

ると共に、住戸のサーバーへ

荷物を届けることを連絡。

運搬ロボットは、途中、エレベ

ータと連携をとり住戸へ到着。

室内のロボットへ荷物を引き渡

し、住人の指示を引き継ぐ。

室内のロボットが、住人の指

示に従い、荷物を所定の場

所へ置く。

Page 89: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 57 -

そしてこのアプリケーション実現機能を活用し、居住空間にセンサやアクチュエータなどの RTコンポーネントが分散配置され、これらの RT コンポーネントが協調して動作することで生活を

支援するロボットシステム(RT スペース)を製作した。 RT ミドルウェアのサービス機能 モジュール化された複数の RT コンポーネントを組合せて連携動作させるアプリケーションソ

フトウェアの作成および実行プロセスを支援する共通のサービスとして、次のものを用意した。 (1)RT コンポーネント管理機能:コンフィギュレーションサービス (2)スクリプト管理機能:スクリプトサービス (3)リポジトリ管理機能:ネーミングサービス(CORBA) (4)イベント管理機能:ノーティフィケーションサービス(CORBA) (5)システム動作管理機能:モニタリングサービス (6)RT コンポーネントの起動管理:アクティビティサービス (7)ヒューマンインタフェース機器からの指令管理:GUI アクションプロキシ (8)外部入力信号管理:イベントリアクタ (9)インターネットを介した遠隔操作/監視機能:FTPサービス サービス名称の後に CORBA が付いているものは、CORBA のサービスを利用したことを示す。 RT ミドルウェアの開発支援ツール また、アプリケーションソフトウェアの作成やサービス機能を使用するためのツールとして、

次のものを用意した。 (1)GUI によるアプリケーションソフト作成ツール:アクティビティビルダ (2)コンフィギュレーションデータ作成ツール:コンフィギュレーションコンソール (3)スクリプト操作ツール:スクリプトコンソール (4)コンポーネントの状態確認ツール:モニタリングコンソール アプリケーション実行プロセス ユーザーのニーズに合ったロボットシステムを構築するためには、モジュール化された複数の

RT コンポーネントを組合せて連携動作することで実現する。アプリケーションソフトウェアは

前期のアクティビティビルダにて作成する。またその実行プロセスにおいて前述の共通サービス

が機能する。 ロボットシステムのアプリケーションでは、人の指示により起動して実行するもの、センサの

検出結果や他の RT コンポーネントの処理結果から発生するイベントにより起動して実行するも

のなどがある。それらの起動信号に対応するスクリプトで記述された実行順序で RT コンポーネ

ントを実行したり、RT コンポーネント間でデータ交換するなど連携してアプリケーションの動

作を実現する。

アプリケーション実行プロセス

ネーミングサービス

スクリプト

Call コンポーネント1

Call コンポーネントn

・・・

コンフィギュレーションデータベース

コンフィギュレーションサービス

スクリプトファイル要求

スクリプトファイル

ヒューマンマシンI/F

マイク

携帯電話

タッチパネルPDA

命令

ユーザー

イベント発生

スクリプトサービス

コンポーネント

GUIアクションプロキシ

システムイベントリアクタ

コンポーネント1

コンポーネントn

・・・

呼び出し

呼び出し

IOR通知

リファレンス要求

スクリプト実行要求

スクリプト実行

ネーミングサービス

スクリプト

Call コンポーネント1

Call コンポーネントn

・・・

コンフィギュレーションデータベース

コンフィギュレーションサービス

スクリプトファイル要求

スクリプトファイル

ヒューマンマシンI/F

マイク

携帯電話

タッチパネルPDA

命令

ユーザー

イベント発生

スクリプトサービス

コンポーネント

GUIアクションプロキシ

システムイベントリアクタ

コンポーネント1

コンポーネントn

・・・

呼び出し

呼び出し

IOR通知

リファレンス要求

スクリプト実行要求

スクリプト実行ユーザ

Page 90: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 58 -

RT ミドルウェアの実証システム(RT スペース)

RT スペースとは、居住空間においてセンサやアクチュエータなどの RT 要素をモジュール化

した RT コンポーネントが分散配置され、これらの RT コンポーネントが RT ミドルウェアを介

して協調動作することにより新しい生活支援を実現する居住空間全体を指す。RT スペースでの

生活支援は、高齢者の自立生活支援だけでなく、一般の生活者への支援も行う。 本研究では、マンションの一室を模した RT ミドルウェア実証用の RT スペースを構築した。

この RT スペースにおいて、いくつもの RT コンポーネントを前述したアプリケーション実現機

能を用いて統合した。そして、RT コンポーネントを協調動作させることで生活支援をおこなう

アプリケーション(シナリオ)を作成し、RT ミドルウェアの有効性を実証した。特に、RT ス

ペースという具体的なターゲットにおいて、多数の RT コンポーネントを統合して協調動作する

アプリケーションの作成およびアプリケーションの変更や RT コンポーネントの追加変更が容易

であることを実証した。

RT スペース全景

RT スペースの構成

実証用の RT スペースは、マンションの一室を模した居住空間とし、玄関、キッチン、ダイニ

ング、リビングに多数の RT 機器を配置した。これらの RT 機器は RT ミドルウェアの共通仕様

に準拠した RT コンポーネントとなっており、それらを協調動作させて RT スペースでのアプリ

ケーションを実現した。以下に本 RT スペースを構成するために開発した各 RT コンポーネント

を示す。

RT スペースにおける RT 機器の配置

Page 91: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 59 -

1)自律移動ロボット (a)自律移動ベース

RT スペース内において障害物を検知して避け

ながら自律移動することができる。レーザレー

ダと超音波センサを用いて前方および側方の壁

障害物を検知する。バンパー部にタッチセンサ

を設置し、衝突を検知した場合は直ちに停止す

る。人とのインタフェースとしてはタッチパネ

ルを採用し、画面を触ることで行き先、仕事な

どを指示することができる。 自律移動ベース

(b)ロボットアーム

自律移動ロボットに搭載されてい

る。ハンドと連携して様々なものを

持つことができる。3 自由度(回転3

関節;肩、肘、手首)を有する。

大可搬重量は約 500g。

ロボットアーム

(c)ロボットハンド アームと連携して様々なものを把

持する。3指を有する。各指は 2 自

由度(2関節)を有し、一つのモー

タで駆動される。指の第1関節、第

2関節はワイヤーで繋がれるワイ

ヤー駆動式を採用した。指腹部には

粘弾性素材のシートを貼り、滑り止

め効果を得ている。

ロボットハンド

(d)位置計測カメラ アーム、ハンドが持つべき対象物

を検知、認識して、その位置を計測

する。自律移動ロボットの頭部上端

に 2 台のカメラを設置し、ステレオ

撮像により対象物の距離、姿勢を計

測する。

位置計測カメラ

Page 92: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 60 -

2)生活空間内の一般の機器

(a)モニタテレビ(PDP) 通常のテレビ機能に加えて、RT ミ

ドルウェアを介して玄関インタフォ

ンカメラ、室内監視カメラなど他の

RT コンポーネント化されたカメラか

らの映像を映すことができる。また、

カメラからの映像以外にも、他のコ

ンポーネントから所定フォーマット

の画像を映すこともできる。

モニタテレビ

(b)インタフォン子機(カメラ付) 押しボタン、カメラがコンポーネ

ント化されており、押しボタンを押

すことでイベントが発生する。押し

ボタンの押下でカメラが起動し、RTミドルウェアを介してその画像を

様々な表示器に映し出すことができ

る。 インタフォン子機(カメラ付)

(c)インタフォン親機

表示器の一つとしてコンポーネン

ト化されている。

(d)照明 リビング、ダイニング、キッチン

の各照明は IO サーバ(後述)内で

RT コンポーネントとなっている。他

の RT コンポーネント、RT サービス

などからの要求でON、OFFする

ことができる。 インタフォン親機

リビング照明 ダイニング照明 キッチン照明

照明機器

Page 93: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 61 -

(e)冷蔵庫ドア

IOサーバ内で RT コンポーネン

トとなっている。他の RT コンポー

ネント、RT サービスなどからの要求

に応じて自動で扉が開閉する。

冷蔵庫ドア

(f)キッチン自動ドア IOサーバ内で RT コンポーネン

トとなっている。他の RT コンポー

ネント、RT サービスなどからの要求

に応じて自動で扉が開く。

キッチン自動ドア

(g)玄関電気錠 IOサーバ内で RT コンポーネン

トとなっている。他の RT コンポー

ネント、RT サービスなどからの要求

に応じて玄関ドアの施錠、開錠を行

う。

玄関電気錠

(h)室内監視用カメラ

他の RT コンポーネント、RT サー

ビスなどからの要求に応じて室内の

様子を撮影する。得られた動画像は

RT ミドルウェアを介してネットワー

ク上にある表示器(前述のテレビな

ど)に映すことができる。パン、チ

ルトの機能を有している。 室内監視用カメラ

(i)人検知センサ リビング天井に取り付けられてい

る。リビング、ダイニングに居る人

のおよその位置を検出することがで

きる。本センサは、赤外線を計測し

て人の動作を検知するセンサを多数

用いてそれらの出力から位置を検出

している。 人検知センサ

Page 94: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 62 -

3)ヒューマンインタフェース (a)PDA

音声認識、音声出力、メニュ選択

などの機能を RT コンポーネントと

してインストールしている。これら

のインタフェースを介して RT ス

ペース内の様々な RT コンポーネン

ト、RT サービスを利用することがで

きる。 PDA

(b)携帯電話(i-アプリ対応機種) i アプリを利用して RT サービスを

利用することで RT スペース内のさ

まざまな RT コンポーネントを利用

することが出来る。動作を登録した

スクリプトを起動することで、RT ス

ペース内のロボットを動かしたり、

室内監視カメラからの画像を表示し

たりすることができる。 携帯電話

RT スペースにおける生活支援シナリオ 来客を自律移動ロボットが出迎え、玄関からリビングまで案内するという生活支援シナリオ動

作を検討した。次に、アクティビティビルダを用いて、前記シナリオをユーザニーズに従って変

更する具体例を示した。生活支援シナリオの一例として、RT スペースにおいて、設定したシナ

リオを実現する来客出迎え動作ができることを確認した。

来客シナリオ動作

(a)インタフォン画像をテレビに表示 (b)電動ドアとの連携

(c)来客の出迎え (d)来客をリビングへ案内

Page 95: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 63 -

次に、アクティビティビルダを用いて、この来客シナリオ1をユーザニーズに従って変更する

具体例を示した。来客シナリオ1では、来客の来訪を音(インタフォンの呼び鈴、自律移動ロ

ボットの音声)で知らせていた。ここでは、音に加えて光でも来訪を知らせることができるよう

に修正を加える。具体的には、ダイニングの照明を点滅させて、視覚的に来訪を知らせるように

する(以降、来客シナリオ2と呼ぶ)。来訪者の存在を視覚的に知らせるようにすることで、お

年寄りなど聴力が低下した方に優しいシステムとすることができる。 シナリオの修正は、アクティビティビルダを用いて行う。アクティビティビルダでは、矢印の

方向に処理は進んでいく。呼び鈴が押されると、ロボットの発声コンポーネントと画像表示コン

ポーネントの処理が始まり、音声による来訪者の通知がなされる。 アクティビティビルダを用いて、来客シナリオ1を修正して来客シナリオ2を作成する。呼び

鈴が押されてロボットが発声した後、ダイニング照明点灯コンポーネントと消灯コンポーネント

を繰り返し処理するように修正を行っている。 アクティビティビルダという開発ツールを用いることにより、動作シナリオをGUIを用いて

修正・変更を行うことができ、多種多様なユーザーのニーズに対応することがより簡単になるこ

とが実証できた。 人検知センサによるカメラ制御 人検知センサで検出した人の方向にカメラの向きを移動させるというアプリケーションシナリ

オを通じて、センサ(人検知センサ)からの入力値に従い、アクチュエータ(室内監視用カメ

ラ)を動作させる制御において RT ミドルウェアを用いたアプリケーションシステムの応答性を

検証した。通常の歩行程度の速度でリビング内を移動する人であれば、室内監視用カメラの視野

内に捉えつづけることが確認できた。

人検知センサと室内監視用カメラによる人の追従

携帯電話による遠隔監視・制御 RT スペース内に配置したカメラコンポーネントへの携帯電話からインターネットを経由した

接続の例を示し、RT ミドルウェアのネットワーク透過性を確認した。外出先から携帯電話を用

いて、RT スペース内の様子をモニタリングするというアプリケーションシナリオを、RT ミド

ルウェアを用いて実現した。

携帯電話による遠隔監視・制御システムの構成

人検知センサ

室内監視用カメラ

人検知センサ

室内監視用カメラ

GatewayPC

RTスペース

FTPサーバ

RTコンポーネント

LAN

インターネット

パケット通信網

携帯電話

画像ファイル

キーログファイル

画像ファイル

キー操作

GatewayPC

RTスペース

FTPサーバ

RTコンポーネント

LAN

インターネット

パケット通信網

携帯電話

画像ファイル

キーログファイル

画像ファイル

キー操作

Page 96: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 64 -

携帯電話による遠隔監視・制御動作

後に、研究開発の主な成果を以下にまとめる。

1)RT 要素を結合した RT スペースの構築

・ 生活支援をするための RT スペースのコンセプトを検討し、アプリケーション実証システム

に必要な機能を明らかにし、導入シナリオをアニメーションCGで示した。

・ RT スペースを設計し、そこに必要な機器をコンポーネント化して RT 要素としての機能を確

認した。

2)RT 要素を統合するアプリケーション実現機能の開発 ・ インテグレータが、RT コンポーネントを用いて RT システムのアプリケーションを実現する

ために、グラフィカルユーザインタフェースによるわかりやすくて容易なアプリケーション作成ツール(アクティビティビルダ)を作成した。アクティビティビルダは、必要なコンポーネントを線でつないでアプリケーションを作成する。そして、使用する RT コンポーネントのパラメータやデータがキャンバス上で記入でき、コンフィギュレーションサービスと連携して管理されている。また、すでに作成した小さなアプリケーションを1つのコンポーネントとして使用できるため、様々なコンポーネントの粒度を実現できる。

・ RT コンポーネントをシステム内にディプロイメントする機能は、CCM(CORBA Component

Model)の持つその機能を活用することとし、今回は分散的に配置された RT コンポーネント

の起動を自動化するためのユーティリティとして、アクティビティサービスを作成した。ア

クティビティサービスは、RT システム内の RT コンポーネントを自動的に起動することがで

きる。

・ RT システムを外部から監視・操作するために、インターネットを介して制御するための FTP

サービスを実装した。本サービスにより、携帯電話などで外部から RT システムの所望のア

プリケーションを起動することができる。

(a)携帯電話による端末操作 (b)無人の RT スペース

(c)室内監視用カメラ (d)携帯電話での監視画像表示

Page 97: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 65 -

3)RT スペースにおける RT ミドルウェアの実証的検証

・ RT スペースに人検出センサと室内監視カメラを追加した。また、自律移動ロボット にロ

ボットアーム、ハンド、トレイ(カップホルダ)、物品位置計測モジュールを搭載した。

・ PDA、自律移動ロボット、アーム、ハンド、カップホルダ、物品位置計測モジュール、

キッチン照明、冷蔵庫ドアなどの RT コンポーネントが連携し、ユーザの指示により冷蔵庫

から缶を取ってくるという複雑な動作を実現した。

・ ロボットによる来客出迎えアプリケーションにおいて、アクティビティビルダを用いてその

場で別の RT コンポーネントを追加しアプリケーション動作を変更できることを実証した。

・ インターネットを介して携帯電話による RT システムの遠隔操作や遠隔監視を実現した。ま

た監視カメラとして、室内の据置カメラとロボット上のカメラが容易に変更できることを確

認した。

・ RT ミドルウェアの特徴を示し、その活用方法や有効性をわかりやすく表現した映像を日本語

と英語でそれぞれ制作した。

Page 98: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 66 -

Ⅳ.実用化、事業化の見通しについて

1.実用化、事業化の見通し (1) 成果の実用化可能性 [実用化のストーリー、イメージ] 1980 年以降、日本ではロボット技術の非製造用分野への拡大をめざして、国は複数の国家プ

ロジェクトを推進し、また、産業界も研究開発に投資して様々なロボットのプロトタイプを開発

してきた。それらの成果には、技術的に完成の域に達してものも少なくない。しかし、ほとんど

が試作品レベルにとどまり、市場に製品として展開する兆しが見えない。ロボット市場の主力は、

依然として 1960 年代に商品化された産業用ロボットにとどまっているという現実がある。様々

なロボットが開発されて話題となるが、それらが消費者に満足して購入される製品に成長しない。

すなわち“技術はあるが、売れる製品がない”というのが現実である。 この“技術はあるが、売れる製品がない”という状況の背景には、ロボット技術には固有の実

用化・商品化が困難な状況があるからである。それは、自動車や半導体、携帯電話などの商品と

比較すると理解しやすい。 例えば、自動車産業には自動車という“技術で構築された人工物”商品があり、それを受け入

れる市場がある。自動車産業での技術開発は、既に市場を持つ商品の性能を改善することである。

いわば“今の技術”をそれを越える“新技術”で置き換えて顧客に商品を買い替えさせるか、新

規顧客を開拓するかして、市場を拡大することである。そこには、現在の製品コンセプトの枠組

みの中で現在の製品を越える仕様を満たす製品を技術開発で実現すれば購入される仕組み、すな

わち、技術主導の取り組みで市場を持つ製品が生み出せる仕組みがある。半導体や携帯電話、デ

ジタル家電にも同様の世界がある。 一方、ロボットの世界では産業用ロボットを除き、自動車のような先行商品がない。例えば、

介護ロボットや高齢者の生活支援ロボットが必要との意見は良く聞かれるが、現在のこうした分

野へのビジネスは人すなわちヘルパーがおこなっていて、“技術で構築された人工物”が使われ

ているわけではない。ヘルパーと同じ機能でかつ同じコストのロボットが開発できれば、むろん

ロボットがヘルパーに置き換わり、ロボットが現状のヘルパーと同等あるいはそれ以上の市場を

持つと想定される。そこで“鉄腕アトム願望”が生まれるわけだが、それは技術で構築された人

工物ではない“人”という科学的に未知な対象を技術で置き換えることを意味し、前述の技術か

ら技術への置き換えに比べて格段に困難な課題解決が求められる。人と同等のロボットの開発は

技術的に困難とすれば、①ヘルパーに頼っていることの何を技術で置き換えられるかを検討しな

ければならないが、市場を開拓するにはそれに加えて、②顧客が真に購入したがる“技術で置き

換えられるヘルパーの機能は何か”が検討されなければならない。①は技術主導の問題だが、②

は市場に受け入れられるこれまでにない新製品を発掘する問題である。 技術で解決しそうな課題のみに注目して、また、それがあたかも市場を持つかのごとく錯覚し

て①の問題のみを扱う傾向が、過去のロボット開発に見られた。それでは、ロボットの世界では

顧客に好まれる製品は開発できない。顧客のニーズを積極的に意識した、いわばマーケット主導

の製品開発努力が他の分野にも増してロボット技術の産業化には求められている。 “技術はあるが製品が育たない”状況をいかに打開するかが、今後のロボット技術とその産業

を有意義に展開し、育成する上で考慮されなければならない重要課題である。この問題解決のた

めに取るべき道は、顧客の要求に応じて製品をつくるか、新規製品に様々チャレンジし、それを

顧客に示して気に入られるものを見つけていくかのどちらかである。そこで必要なのは新しいロ

ボットを迅速に開発することを可能にする仕組みである。 ロボットの構造は、細かく見ればアクチュエータ、センサなど、また、マクロに見ればマニ

ピュレータ(腕)、移動装置(脚)、ヒューマンインタフェースなど、更には基本動作ソフトウェ

ア、アプリケーションソフトウェアというような、複数のハードウェア及びソフトウェアの要素

から構成されている。新しいロボットを開発するということは、ニーズに応じてハードウェアと

ソフトウェアの要素をユニークに組み合わせ、顧客が求める機能を実現する努力とみなせる。そ

こで、もしこれらの要素が、新しいロボットを開発する人たちが活用できるオープンなモジュー

Page 99: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 67 -

ルとして市場に提供されていれば、市場で調達できるものは調達し、手に入らない要素や機能だ

けを自己開発することで新ロボットを構成することができ、ニーズに応じた新製品開発が迅速化

される可能性がある。こうしたロボットやロボットシステムの要素をオープンモジュールとして

市場に提供する技術が検討されている。 近のコンピュータは独立なモジュールで構成されており、より高性能なモジュールを開発し

て市場に提供するモジュールサプライヤと、モジュールを組み合わせて顧客にコンピュータを提

供するアーキテクトでビジネスが展開しており、経営学の分野では、こうした産業構造の経済的

効用なども議論されている。 コンピュータの世界では、既に確立した製品があるがゆえに、その製品を前提にシステムを明

確にモジュールに分解できる。しかし、ロボット開発では、製品そのものを見出すことが目標に

なるから、必要なモジュールをすべて特定できない。役立ちそうなモジュールをあらかじめ用意

しておき、ニーズに応じて使えるものは使い、不足部分やすりあわせを要する部分は新規モ

ジュールやアプリケーションソフトウェアの設計・開発で対処しつつ、ボトムアップでシステム

を構築していくことが必要となる。そのために、市場で調達される要素がこうした新規設計の部

分と結合して使えるように、そのインタフェース構造が公開されている必要がある。

モジュール1 モジュール2 モジュールn

モジュールA モジュールm

製品?

(市場調達品) (市場調達品)(新規開発品)

・・・・・

・・・・・

モジュール1 モジュール2 モジュールn

モジュールA モジュールm

製品?

(市場調達品) (市場調達品)(新規開発品)

・・・・・

・・・・・

ロボット製品の開発 ―最終製品が既知ではないので、市場調達モジュールと

新規設計・開発モジュールの組み合わせで製品を開発する

近年のプロセッサの小型化の進展で、ロボットの制御構造も集中型から分散型に変わりつつあ

る。すなわち、要素にそれぞれプロセッサが組み込まれ、それらを体内 LAN などのネットワー

クで接続してシステムが構築される。こうしたシステムでは、要素の機構的な接続というよりも、

プロセッサに内蔵されたソフトウェアの接続性が問題となる。市場で調達される要素に内蔵され

ているソフトウェアと、ロボット開発者自身が開発設計する要素のソフトウェアがスムーズに結

合できる仕組みが必要となる。 この仕組みを構築するためのひとつの方法として、本プロジェクトでは要素を分散オブジェク

トとして扱えるようにするためのミドルウェアの開発を進めてきた。ソフトウェアの世界では

CORBA(Common Object Request Broker Architecture)、 HORB などが分散オブジェクトを支

援するミドルウェアが存在するが、ロボット開発用に適した仕様を持つものが必要である。こう

したミドルウェアを RT(Robot Technology)ミドルウェア、RT ミドルウェアで管理される要素を

RT 要素(コンポーネント)と呼んでいる。一部の企業では既に生活支援ロボットの開発に、製

品開発の迅速化とソフトウェア資源の再利用を目的として、独自のミドルウェアを採用している

例もある。今後は、企業間で共用できる RT コンポーネントを市場に提供するために、RT ミド

ルウェアの標準化を推進することも重要である。すでに、NEDO や JARA の支援のもとで、

OMG において日本主導で RT ミドルウェアの国際標準を作成する活動が始められている。 大市場に展開するロボット製品には、それを求める同質の多数の顧客が存在することが不可欠

になる。1970 年代の製造業分野では、溶接、塗装、部品搬送などの作業に関して多数の企業に

同質のニーズが存在したがゆえに、産業用ロボットの一定規模の市場が開けた。 生活支援ロボット産業などにもこの状況が成立するかを考えるとき、顧客の多様性を考慮する

と残念ながら否定的である。例えば、介護・介助ロボットとひと言でまとめられるが、そこに求

められる作業内容は極めて多様であり、切実な場合ほど個別的である。こうした顧客を対象に

“白物家電”的に大規模市場に展開するロボットが、近未来の技術進展の枠内で開発可能である

とは思えない。我々の生活への展開を目指すロボット産業には多様なニーズにきめ細かく応える

Page 100: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 68 -

仕組みが必要であろう。 エンターテイメントロボットやロボット掃除機のように白物家電的に販売されるロボットは出

現するとしても、個別化が進むニーズに対応するために、多くのロボットビジネスは今後、市場

に提供されるモジュール化された RT 要素群を背景に、それを顧客の注文に応じてシステムイン

テグレータが組み合わせ、またそれに独自のハードウェアやソフトウェアを組み込んでカスタム

メイドシステムを設計し、それを製造業者が製作して提供するソリューションビジネスとして展

開していくと考えられる。 カスタムメイド製品の提供形態は、住宅産業の注文建築や服飾産業の注文服ビジネスに見られ

るが、実は現在のロボット産業においてもよく見られる製品開発形態である。しかし、現状のカ

スタムメイドロボットはその製造コストが高くて市場が拡大していない。 コスト的に比較的低価格でカスタムメイドビジネスが成立している住宅や服飾産業の世界では、

素材、要素、設計、施工(製造)といったレベルでビジネスとしては分業が成立し、製品レベル

では、超多品種少量生産品でも、それを構成する素材、部品レベルでは資源が共有され、大量生

産を通してそれらが低価格で提供される仕組みがある。また、これら素材、部品もデザイナー

(システムインテグレータ)が顧客の要求を実現する際に活用しやすい形で市場に提供されてい

る。したがって、比較的小規模な企業体が多様なビジネスを営める環境がある。 将来のロボット産業においても同様に、多様な顧客ニーズに応えるカスタムメイドビジネスを

実現するために、RT ミドルウェアが実現する RT 要素のコンポーネント化をベースとして、低

価格な RT 要素の市場への提供と、ロボットのハードウェアを提供する業種と顧客の要求を満た

すコンテンツを設計する業種との分業化が進み、ソリューションビジネスとして発展していくで

あろう。 [RT ミドルウェアの利用(出口)]

将来的な応用分野として、プロジェクトの中で将来有望なアプリケーション例として示した

RT スペースのような、センサやアクチュエータなどを生活空間の中に分散配置させ、それらの

連携動作により生活支援や介護を実現するといった一見ロボットに見えないがロボット技術を利

用したシステムの実現が期待される。将来は、自律移動ロボットであってもロボット単体で使わ

れるのではなく、ロボット技術や RT 製品は環境内に設置される種々のセンサや、情報家電製品

などと組み合わせてサービスを提供すると考えられる。 まず、市場には異なるメーカーが提供する RT 要素としての移動ロボット、電動ドア、照明、

テレビ、冷蔵庫、ヒューマンインタフェースなどが存在すると想定する。家庭内にはホーム

LAN が構築され、それに家庭内機器を管理するサーバが接続されている。顧客が求める要求に

応じてシステムインテグレータはどのような RT 要素を市場から導入するかを決定し、また、

サーバに組み込むアプリケーションソフトウェアを設計する。そこでは、各ロボットは RT 要素

化され単体で使われるのではなく、環境内に設置された種々のやはり RT 要素化されたセンサや

情報家電製品などと組み合わされてサービスを提供するようになる。

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットの

エレベータ乗降・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットの

エレベータ乗降・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

RT 要素の統合により設計されるカスタムメイドホームサービスロボットシステムの一例

Page 101: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 69 -

つまり、愛知万博のロボット週間にデモ運用された「プロトタイプロボットプロジェクト」の

ネットワークロボティクス・RT ミドルウェアグループのロボットのような、家庭内で RT ミド

ルウェアを介して互いに連携動作ロボットの実現が期待される。

愛知万博でのミドルウェア利用ロボットシステム統合デモ概要

具体的な研究開発成果の技術導入例として、平成 17 年度から開始された「次世代ロボット共

通基盤開発プロジェクト」がある。次世代ロボット開発を効率化し、普及を促進するためには、

目や耳などのロボットの主要なパーツをモジュール化し、それらを統合する共通化・標準化の技

術開発を行いロボットの共通基盤を整備することが重要であるとの認識のもと、RT ミドルウェ

アの共通仕様に準拠したコンポーネントとして、並列分散処理を可能とするために次世代ロボッ

トに必要となる音声認識・画像認識・運動制御用のデバイス及びモジュールの研究開発が進めら

れており、将来これらのコンポーネントを搭載したロボットの出現が期待される。また、平成

17 年度から開始された、科学技術振興調整費プロジェクト「分散コンポーネント型ロボットシ

ミュレータ」において、RT ミドルウェアの共通仕様に準拠したコンポーネントとしてロボット

シミュレータの研究開発が進められており、将来コンポーネント化された分散ロボットシミュ

レータの出現が期待される。 ロボットモジュール用デバイスの共通化開発(次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト)

RTミドルウェアによる統合(実時間通信ネットワーク上のCORBA通信)

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

音声認識デバイス

音声センサ

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

運動制御デバイス

アクチュエータ

ロボットシステム

現状のロボットは認識、制御を行うプロセッサで集中的に処理を行っており、高速性や拡張性が低い。センサやアクチュエータなどの機能要素をモジュール化し並列処理するとともに、その接続を共通化することにより幅広いユーザニーズに応じたロボットシステムを容易、かつ効率的に開発することができる。これを可能にするものがRT(Robot Technology)ミドルウエアである。

現状 目標 モジュール化による分散処理

特徴:・高処理能力・低消費電力・耐ノイズ性・高信頼・小型軽量・省配線

集中処理

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

画像認識デバイス

画像センサ

ロボットモジュール用デバイスの共通化開発(次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト)

RTミドルウェアによる統合(実時間通信ネットワーク上のCORBA通信)

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

音声認識デバイス

音声センサ

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

運動制御デバイス

アクチュエータ

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

運動制御デバイス

アクチュエータ

ロボットシステム

現状のロボットは認識、制御を行うプロセッサで集中的に処理を行っており、高速性や拡張性が低い。センサやアクチュエータなどの機能要素をモジュール化し並列処理するとともに、その接続を共通化することにより幅広いユーザニーズに応じたロボットシステムを容易、かつ効率的に開発することができる。これを可能にするものがRT(Robot Technology)ミドルウエアである。

現状 目標 モジュール化による分散処理

特徴:・高処理能力・低消費電力・耐ノイズ性・高信頼・小型軽量・省配線

集中処理

ミドルウェア実時間通信I/F実時間OS

画像認識デバイス

画像センサ

Page 102: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 70 -

[知的基盤] RT ミドルウェア技術を実現する知的基盤として、共通仕様を満たすコンポーネントの作成を

支援するツール、それらのコンポーネントを連携動作させるためのGUIツールをサンプルプロ

グラムとともに開発キットとしてまとめ、RT ミドルウェアのコンセプト評価用として産総研か

ら OpenRTM-0.2.0 として提供している。技術評価への協力に同意いただいた一般の評価者に対

して、この RT ミドルウェアの開発キットをダウンロードして試用していただいている。 すべての評価協力者を RT ミドルウェアのユーザメーリングリストに登録しており、バグレ

ポートやマニュアルの不備な点などを含めた技術評価結果をレポートしていただくとともに、

RT ミドルウェアとして求められる機能をリクエストしていただいている。プロジェクト終了後

も、これらのプロジェクトメンバー以外の利用者からいただいたフィードバックを反映して仕様

を改善し、より使いやすい RT ミドルウェアを目指してバージョンアップを続けている。 [標準整備] 標準化に関しては、国際的なソフトウェアの標準化コンソーシアムである OMG の中にロボッ

ト技術の標準化を議論するグループを組織し、RT ミドルウェアプロジェクトで提案してきた共

通仕様である RT コンポーネントをベースとして、ロボット用のコンポーネントのフレームワー

クの標準化を進めている。 OMG は米国に拠点を持つソフトウェア技術の国際標準を扱う非営利コンソーシアムである。

分散オブジェクト技術のためのミドルウェアである CORBA やオブジェクトモデルを表現するた

めの記述言語となる UML などを標準仕様として制定している。これらの応用分野に依存しない

共通技術が一般に良く知られているが、一方で、企業情報システムをはじめとして、防衛、金融、

運輸、宇宙、製造、医療、ソフトウェア通信、ライフサイエンス研究などの応用分野に密着した

標準化活動を活発に行っている。 OMG では、 初に標準化が必要とされる問題を提起し、その標準化に興味を持つ加盟組織の

メンバーが集まり、その参加メンバー間での議論を通して、次第に共通認識を作り出し、標準仕

様を作り出している。この合意形成を基本とした OMG の標準化プロセスを活用すれば、技術開

発と同時進行的に OMG での議論を開始し、技術に関心を持つ仲間を集めながら、すなわち、普

及を図りつつ標準形成を達成することが出来る。ISO による標準化プロセスのように、完成した

標準仕様案を持ち込み、対抗勢力と合意形成に向けて争って標準を獲得する方式に比べて、より

早く結論に到着できることが期待される。 一方、OMG 方式の問題点は、議論を通しての合意形成をベースに標準案を制定していくため

に、持ち込んだ仕様案が全面的に 終的な標準案に採択される保証はなく、むしろ、標準化作業

を進めるボランティア組織の意見を融合した標準案になることである。すでに、市場に製品が流

通しており、提案した技術や方式が全面的に採用されないと、日本のロボット産業界の不利益に

直結する場合は、慎重に対処する必要がある。 しかし、RT ミドルウェアに関しては、現状ではそれを活用したビジネスが日本を含め世界的

にも存在するわけでなく、その点で、比較的柔軟に種々の標準仕様を許容できる状況にある。む

しろ、プロジェクトで開発されたたたき台となる原案を含め、世界の英知を集めてより優れた標

準仕様ができることにより得られるメリットの方が大きいと考えられる。 こうした状況認識のもとに、RT ミドルウェアプロジェクトにおいて、OMG での標準化活動

を通して、普及と標準化を同時並行的に推進する戦略としている。

RT ミドルウェア技術の国際標準化を推進するため、JARA に設置された RT ミドルウェア普

及調査研究専門委員会の中に標準化検討ワーキンググループ(主査:水川真(芝浦工業大学))

を組織して、標準化戦略を検討してきた。現在、NEDO、 JARA、 産総研の3組織が新たに

OMG に加盟して、OMG で理事を務めている日本企業(日立製作所、富士通)の協力を得ながら標

準化活動を開始している。 2005 年 2 月の技術会議(米国・バーリンゲーム)において、OMG の中にロボット技術の標

準化を検討するロボット技術分科会(Robotics-DSIG)を設立した。現在、既存の超分散オブジェ

クト技術分科会(SDO-DSIG)と新設したロボット技術分科会という 2 つの活動拠点をベースに

OMG の中で RT ミドルウェア技術の標準化活動に取り組みつつあるところである。

Page 103: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 71 -

現在、標準化活動を進めている RT ミドルウェアのフレームワークとなるコンポーネント仕様

は、提案者同士の対立がなく理想的に標準化プロセスが進めば以下のように約 2 年間で標準化が

達成される予定である。

• 2005 年 9 月 ロボット技術のコンポーネント化に関する標準提案公募(RFP)発行 • 2005 年 12 月 提案登録〆切 • 2006 年 1 月 一次提案(Initial Submission)〆切

(提案評価および複数の提案をたたき台とした合意形成) • 2006 年 6 月 二次提案(Revised Submission)〆切

(提案評価および関連 OMG 技術との摺り合わせ) • 2006 年 9 月 標準提案の採択

(FTF(Finalization Task Force)による公文書作成) • 2007 年 9 月 標準仕様の発行

RT ミドルウェア技術はまだ萌芽段階であり、国内コンソーシアムの組織化には至っていない。

RT ミドルウェアプロジェクト実施中は、日本ロボット工業会(JARA)に設置した RT ミドルウェ

ア普及調査専門委員会(主査:大道武生(名城大学))の中に標準化検討WGを組織して、普及

戦略のひとつとして標準化戦略を検討してきた。現在、「ロボットオープン化のための RT ミド

ルウェアの国際標準化調査」の業務委託を受けて、RT ミドルウェア 国際標準化調査専門委員会

(主査:水川真(芝浦工業大学))を JARA 内に設置して、標準化戦略の検討を進めている。 毎回、OMGの技術会議から帰国後に委員会を開催し、次回の技術ミーティングに向けて基本

戦略を検討するとともに、計測自動制御学会(SICE)の RT システムインテ グレーション部会と

共催して OMG 技術会議報告会を開催して、ロボット技術の標準化に関して興味を持つ国内企

業・大学のメンバーと情報共有を進め、標準化活動への勧誘を進めている。 今後、OMG において、ロボット技術に求められる標準仕様として各応用分野の具体的な標準

の議論が始まる予定である。次世代ロボット共通基盤プロジェクトの各応用分野の標準仕様案が

策定される予定であり、これらのプロジェクト参加企業を初めとして、国際標準化活動への参加

企業が増えていくことが期待される。

RT ミドルウェアが普及すれば、特定の応用分野の標準化でも大きな効果がある。例えば、エ

レベータの制御モジュールが RT ミドルウェアに対応して標準化されるだけで、移動ロボットが

エレベータを活用してその行動範囲を広げることが出来るだけでなく、視覚障害者や車椅子など

の利用者が行き先ボタンを押すことなく自分の携帯電話などのパーソナルなリモコン機器を使っ

てエレベータに行き先を指示でき、自分の目的階に到着したことを知ることが出来るようになる。

つまり、各種機器を製品群ごとにインタフェースを標準化して RT ミドルウェアに対応したコン

ポーネント化できれば、それらをシステムに組み込んで連携動作可能になるだけでなく、それら

の機器の操作が、それぞれの個人に合わせてカスタマイズ可能になる。このような RT ミドル

ウェアの利点が認識されると、各機器の操作インタフェースの標準化が急速に進むことが予想さ

れる。 [普及活動]

標準は広く使われないと意味がない。そのため、ロボット技術に関する国際標準化活動が進み

つつあることを一般に認知してもらい、ロボット分野だけでなく広く関連する周辺分野からの協

力を期待して積極的にプレス発表を実施している。2005 年 2 月 7 日にOMG内にロボット技術

分科会(Robotics-DSIG)を設立したこと、2005 年 2 月 24 日にプロジェクト成果として RT ミド

ルウェア技術の国際標準化活動をOMGで開始したことをそれぞれ報告した。今後も機会をとら

えて一般的な広報を行なっていく予定である。 また、研究者・技術者のコミュニティの中においても知名度を上げて RT ミドルウェアの普及

を図ることは重要である。そのために、日本ロボット学会のセミナーとして RT ミドルウェア講

習会を開催、1000 人以上の参加者が集まる IEEE International Conference on Intelligent Robots and System(IROS2004)や日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会

(RoboMec2005)などの国内外の学術講演会において RT ミドルウェアやロボット技術の標準化を

Page 104: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 72 -

テーマにしたワークショップを企画、韓国の RobotWeek に合わせた国際会議(URAmI2005)や計

測自動制御学会のシステムインテグレーション部門講演会(SI2004、SI2005)などにおいて RT ミ

ドルウェアやロボット技術の標準化をテーマにしたオーガナイズドセッションを企画するなど、

ロボット関係者が集まる機会ごとに RT ミドルウェアの認知度を高め、技術的な議論を行なう努

力を続けている。 RT ミドルウェア技術の認知度を高める普及戦略として、RT ロゴマークを作成し商標登録す

るとともに、ホームページにおいてロゴマークの利用を呼びかけた。

Page 105: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 73 -

[参考] ロボット技術は潜在的に多くの付加価値を生み出す可能性を秘めており、IT(情報技術)と同

様に産業競争力を強化する上で極めて戦略的な技術分野であり、今後のロボット産業の育成は、

21 世紀における我が国の産業競争力を支える産業戦略のひとつとして極めて重要な意義を持つ。 平成 17 年に経済産業省及び NEDO が共同してまとめたロボット分野の技術戦略ロードマップ

において、将来のロボット産業の発展を支える次世代ロボットのビジネスのシナリオを支える2

つの重要な基盤技術として RFID タグ等のユビキタスな技術を活用した環境構造化技術とともに

コンポーネント技術に基づく RT ミドルウェア技術が取り上げている。

現在 ・・・ 2010 ・・・ 2015 2025

技術分類 機能と技術

RTミドルウェア適用対象と キー技術

(RT=Robot Technology)

RTミドルウェア ・プロトタイプミドルウェア ・研究開発用ミドルウェア ・試作開発用ミドルウェア ・製品開発用ミドルウェア

普及度

ロボットターゲット

RTミドルウェア内蔵チップによる実世界コンピューティング基盤の提供

開発目標 ソフトウェア部品の再利用して実験装置を構築・コンポーネントを揃える

実現可能性検討・コンセプトを示す

ラピッドプロトタイプシステムとして試作装置を構築・信頼性を高める

製品開発手法としての技術確立・事故調査等のフィードバックで安全性を高める

ユーザ範囲 プロの研究者・技術者まで 特殊な訓練を受けたシステムインテグレータまで

高い技術力を持つ個人の趣味として(ホビー感覚で)

技術力を持つ個人の趣味として(日曜大工感覚で)

一般ユーザによるカスタマイズまで

標準化

技術課題 オープンコミュニティによる技術の集積(とりあえず動くコンポーネントを揃える)

安全性・信頼性向上(コンポーネント毎の信頼性を高める)

社会課題 技術集積の仕組み確立

一般の工学系の学生まで

技術認証の仕組み確立

事故調査の仕組み確立

責任分担の仕組み確立

動作解析技術向上(システムとしての信頼性を高める)

フレームワークモデルの標準化

共通サービスの標準化

ゲートウェイ技術の標準化(既に存在する標準技術の活用)

共通データ構造の標準化

信頼性向上技術の標準化

特定アプリケーション分野の標準化 技術水準に合わせた標準規約の改定

(ロボットモデルの記述統一) (動作レベルPIM-PSM変換ツール整備) (サービスモデル:MDA for Roboticsの実現)

モジュール化技術 機能/目標 コンポーネントの相互接続ができる

共通基盤インターフェース

フレームワーク(インテグレーション)

ロボット用共通OS

デバイスAPIの利用ができる

コンポーネント/デバイスの記述ができる

VMと実装の分離ができる

RTMコンポーネントインタフェース

SDO(Super Distributed Object)

ORiN ver.1.0->ver2.0

ロボットサービス機能設計(共通/ドメイン,粒度)

ロボットモデル記述システム(コントローラ)

モデル→コードツール(PIN->PSM)

CORBAHORBDCOMJAVA

リアルタイム性保証

ロボットサービス(to アプリ,to デバイス)のためのミドルウェア共通サービス仕様の拡充

プラットフォームフリー

デバイスプロファイリング コントローラプロファイリング

サービスプロファイリング

コンポーネント/デバイスAPI コントローラプロファイルを参照したシステムジェネレーション

サービスAPI

汎用OSとロボットサービス用OS

要求条件

ハードウェアラッピング技術

組込システムプロセッサへの分散オブジェクト導入

フォルトトレラント

ORCARobolink

UPnP

MDA for Robotics Service

機能/目標

機能/目標

機能/目標

専用モジュールのRTM化と、機能分散コントローラの実証試験

ゲートウェイ技術の標準化(新たに策定された標準技術の活用)

ミドルウェアの研究開発者

大学・研究所の一般ユーザホビー向けのコンポーネントメーカ

企業の試作開発分野の技術者

独立したシステムインテグレータ独立したコンポーネントメーカ

一般ユーザ

プロトタイプミドルウェア

オープンソース

 研究開発用ミドルウェア

安価な組込み計算機プラットフォームとSDK配布

        試作開発用ミドルウェア

組込み計算機のロボット用I/Oチップ化、LSI化

一般製品用ミドルウェア

家庭環境インフラへの浸透

ロボットシステム

産業機器連携1(各種標準連携) 産業機器連携2(相互運用,PnP))

家電機器連携

自動車や住宅との連携

コンポーネントインタフェースプロファイリング

システムおよびデバイスラッピングとデータ交換規約

動作レベルモデル,データフレームワーク

RTサービス

サービスプロファイリング

動作レベルPIM-PSM変換ツール

知能化空間内でのロボット間のコミュニケーション → 機能の相互補完、情報共有

移動空間の拡大:整地平面移動 → 不整地面移動 → 人の行動範囲をほとんどカバーできる

デバイス融合型RTミドルウェア

作業レベルモデル、データフレームワーク

作業レベルPIM-PSM変換ツール サービスレベルモデル、

データフレームワーク

サービスレベルPIM-PSM変換ツール

作業プロファイリング

・モジュール構成ロボットアーキテクチャの普及・ソフトウェアアーキテクチャの標準化・システム機能発現のためのテンプレート化モジュール・システムのログ蓄積・動作解析などの開発支援ツール

組込み計算機のロボット専用チップ

ロボット専用超小型モジュールへの組込

作業モデルフレームワーク

作業レベルPIM-PSM変換ツール整備)

コントローラAPIの利用ができる

コントローラ・システムの記述ができる

サービスAPIの利用ができる

サービス・システムの記述ができる

ロボッ動作記述システム(システム,サービス)

ロボット作業モデル記述システム(サービス)

分野別ロードマップ(RT ミドルウェア)

「ロボット分野における『技術戦略マップ』に関する調査研究成果報告書」より

ロボット技術のロードマップは、今後期待されるロボットを開発するために重要と考えられる

技術項目を、技術の難易度と社会ニーズの重要性とを考慮し、どのような手順でその研究開発を

手がけ、実現していくべきかを時間軸に対して整理したものである。 RT ミドルウェア技術に関しては、専門家から利用者を徐々に広げながら利用者からの技術

フィードバックを受けた研究開発サイクルを繰り返すことで次の世代の RT ミドルウェアを開発

するロードマップが描かれている。具体的には、2004 年頃からミドルウェアの研究者を対象と

したプロトタイプ RT ミドルウェアの研究開発から始まり、2006 年頃から大学や研究機関のロ

Page 106: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 74 -

ボット研修者やロボット作りを趣味とする一般のホビーユーザを対象とした研究開発用 RT ミド

ルウェア、2008 年頃から企業の製品試作部門や技術開発部門の技術者を対象とした試作用 RTミドルウェアを経て、2010 年以降は分業化が進み独立したシステムインテグレータや独立した

コンポーネントメーカの技術者を対象とした製品開発用ミドルウェアにより次世代ロボット産業

が立ち上がり始め、そして 2015 年以降は RT システムを導入した顧客を対象とした自分のシス

テムをカスタマイズすることが可能な一般ユーザー用 RT ミドルウェアへと段階的に発展してい

く技術開発ロードマップが描かれている。本研究開発は、この 初のプロトタイプミドルウェア

に対応するものである。この技術戦略のシナリオに沿った技術開発を進めることで、RT ミドル

ウェアは生活支援分野の次世代ロボットの基盤技術となるであろう。

Page 107: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 75 -

(2) 波及効果 [ロボット分野への技術的波及効果] 従来のロボットシステムの開発は、企業毎に独自のアーキテクチャを構築してソフトウェアの

モジュール化を進めて開発効率の向上を競ってきた。つまり、システムインテグレーション技術

がノウハウであり、競争力の源泉であった。 近年、急速な情報通信技術の発展により RT 製品のネットワークを介した連携が可能となり、

他社製品とも接続したトータルシステムとしての RT システムの実現が期待されるようになって

いる。つまり、独立した単体製品ではなく、ネットワークに接続して互いに連携してサービスを

提供する RT システムである。“機器がつながることが価値がある”と言われるように、その相

互運用性 (Interoperability)が重要となってきた。 ここで、各社が独自技術だけを前面に押し出して製品を開発していたのでは、他社製品と連携

して互いに利用してシステムを構築することが出来ない。すべての RT 製品群を自社製品で囲い

込む戦略を採用する選択肢もあるが、巨額の投資で開発した技術が無駄になるリスクが高まる。 そこで、RT ミドルウェア技術を基盤技術として確立させることができると、他社製品との相

互運用性を高めて効率的なシステム開発を実現することが可能となる。プロジェクトがターゲッ

トとして想定した病院、福祉施設、家庭などの日常生活空間で RT 要素を分散配置してそれらが

連携動作してサービスを提供する次世代ロボットが実現され、付加価値をつけるサービスという

コンテンツ競争へとロボット産業の中心が移っていくであろう。 現在の主力である製造分野の産業ロボットにおいても、迅速にかつ安価に製造ラインの組み替

えが可能となる。次々に新製品開発が求められる携帯電話産業などの製造産業分野全体の生産性

向上に貢献することが期待される。 [ロボット分野以外への技術的波及効果]

RT ミドルウェア技術の普及は、ロボット技術を使ったカスタムメイドシステムを迅速にしか

も安価に実現することが可能になり、様々な科学技術分野への技術導入が期待される。 例えば、厳しい研究開発競争の中で実験内容に応じて頻繁にシステム変更が求められるバイオ

分野や化学分野などにおいて、RT ミドルウェア技術が導入されるとロボット技術を活用した実

験設備の設計や変更が容易になり、多量のデータを必要とする実験の自動化が促進され、これら

の科学技術研究全体の効率化に貢献することが期待される。 そして、SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザなどの感染症が 近話題となっ

ているが、ロボット技術を安価にしかも容易に利用できる環境が整えば、一刻を争う検査システ

ムの自動化や、直接患者に触れない医療器械などの医療現場へのロボット技術の導入が促進され

安心安全社会の実現へ貢献することが期待される。 また、情報家電や車載通信制御分野などの個別分野ごとに独自の標準化が進められつつある分

野が数多くある。それらの特定分野で普及している技術は、その分野において対応する製品が数

多くありコストダウンが進んでいる。RT ミドルウェアの技術はそれらと対立するものではなく、

逆に、それらをロボット要素として活用する際にソフトウェアとしてのインタフェース部分を仕

様に合わせることで相互運用性を持たせて積極的に活用することを狙っている。つまり、既存の

ソフトウェア資産に対して RT ミドルウェアを使って共通のインタフェースという皮で包むイ

メージである。RT ミドルウェアをそれらのシステムとの接着剤として利用することで、互いに

連携動作させることが可能となり、それらの既存技術を融合させて人々の生活に溶け込んでいく

ことが期待される。 [経済的・社会的波及効果] ロボット技術を組み込んだ RT 製品は多様な分野にわたる技術のインテグレーションが本質で

あり、RT 製品を実現するためには個別企業だけですべての部品生産や技術力をカバーすること

が困難である。本プロジェクトで研究開発に取り組んだ RT ミドルウェア技術を普及させて標準

化することができれば、“オープン化”を手段として業界としての適切な分業体制を確立するこ

とが可能である。 つまり、将来の RT 産業のビジネスモデルは“ソリューションビジネス”であり、図に示すよ

うな産業構造への変革が期待される。つまり、競争的に要素部品を開発して提供する多くのコン

ポーネントメーカ、それらの要素部品を組み合わせてシステムをデザインするシステムインテグ

Page 108: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 76 -

レータ、その設計図をもとにシステムを製造する製造業者という分業体制を構築することで、顧

客のニーズに柔軟に対応するソリューションビジネスが可能になるというシナリオである。 このような分業体制を導入することより、それぞれの専門技術を活かした中小・ベンチャー、

異業種を含む多様な企業、研究開発機関等が RT 市場に続々と参入することが可能になり、シス

テム開発の活性化が期待される。また、多様な用途に合わせてカスタマイズされたシステムを提

供することで RT の活用範囲が拡大され、新たな RT 産業の創出による経済活性化が期待される。

ユーザシステム

インテグレータ(SI)

コンポーネントメーカ

ソリューションビジネス

発注 情報提供

製造委託

製造業者

納品

コンポーネント提供

研究機関

シーズ提供

コンポーネントメーカ

コンポーネントメーカユーザ

システムインテグレータ

(SI)

コンポーネントメーカ

ソリューションビジネス

発注 情報提供

製造委託

製造業者

納品

コンポーネント提供

研究機関

シーズ提供

コンポーネントメーカ

コンポーネントメーカ

将来期待されるロボット産業の産業構造

このようなソリューションビジネス型の産業構造変革が達成されたなら、カスタマイズ可能な

RT 製品を誰でも簡単に構築することが出来るようになり、他分野の専門家が参加するようにな

るとロボットの製造技術から利用技術へと産業の高度化が進むことが期待される。つまり、ロ

ボット技術を使った製品に囲まれた生活環境を夢見るだけでなく、具体的にそれらを組み合わせ

て実現する具体的なアプリケーションを検討することができるようになると、大きな付加価値を

つけるサービスという利用技術を語ることが出来るようになる。様々な分野の人々を巻き込んで、

ロボット技術を使った新しいアプリケーションが続々と生まれる環境が実現される将来は、まさ

に、キラーアプリケーションという宝を探し当てた者が誰でも稼ぐことができるという状況が実

現する。そのような将来は豊かな生活が実現できるとともに飛躍的な経済成長が期待される。 [人材育成等の促進] プロジェクトをきっかけとして、ロボット分野の研究開発現場に技術導入が遅れていた分散オ

ブジェクト技術などの 新ソフトウェア技術への理解を深め、それらを使いこなす人材育成に貢

献することができた。実際に研究開発に携わった企業の技術者から、「RT ミドルウェアは、 初

は python とか分散オブジェクトとか普段使わないものばかりで難しそうだと思ったけど、プロ

ジェクトの中で義務化されて実際に使ってみたら、初めて、便利さがわかった。プロジェクト終

了後は、会社の開発案件の中でこれらの技術を活用している」との報告を得ている。 平成 17 年度から開始されている次世代ロボット共通基盤プロジェクトでは 3 つのコンソーシ

アムにおいて「①画像認識用:富士通ほか、企業、大学(全 6 機関)/②音声認識用:日本電気

ほか、企業、大学(全 5 機関)/③運動制御用:産総研ほか、企業、大学(全 9 機関)」の合計

20 機関の研究者がプロジェクトに関与している。これらの研究者や技術者がプロジェクトを通

して RT ミドルウェアを実際に使ってみることは、RT ミドルウェアの利用者を格段に広げるこ

とになり、今後の発展が期待される。 また、愛知万博のロボット週間にデモ運用された「プロトタイプロボットプロジェクト」の

ネットワークロボティクス・RT ミドルウェアグループでは、参加大学の学生さんの中に RT ミ

ドルウェアを使った開発の経験者が育っている。多くの大学関係者がプロジェクトのホームペー

ジで募集している RT ミドルウェアの評価協力者に名乗りを上げていただいており、これらの大

学の学生さん達が企業に入って実際にシステムを開発する数年後にこのスキルを活かしたシステ

ム作りの試みが企業の中でも普及してくることが期待される。

Page 109: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 77 -

[研究開発の促進] ロボット技術のコンポーネント化が進むことで、他人が開発した技術を導入すること容易にな

り技術移転が迅速になるとともに、技術の共有や蓄積が進むであろう。実際に、産業技術総合研

究所内ではプロジェクトメンバー以外の異なる研究グループの研究者の間でも RT ミドルウェア

を使ってモジュール化したコンポーネントを共有する試みが始まっており、研究開発の効率化に

貢献している。

また、ロボット技術の研究内容自体も大きく変わっていくことが予測される。従来のロボット

研究は提案するアイディアを検証するロボットを試作する負担が大きく、試作システムを製作す

るだけに終わり十分な考察がされていない研究が散見され、要素技術中心の研究開発になりがち

であった。RT ミドルウェアの技術が普及することで、誰でも簡単にロボットシステムの試作が

容易に出来るようになると、実験装置を実際に使って十分な考察がされる研究が増えることが期

待されるだけでなく、研究成果をコンポーネントとして提供することが普及すれば、要素技術の

研究の技術移転も容易になり技術の蓄積が急速に進むことが予測される。研究対象も従来の要素

技術だけでなく、システム設計技術や利用技術の研究開発へと研究内容が拡大し、実用化に密接

に結びついた具体的な利用技術の研究開発が活性化することが期待される。

Page 110: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 78 -

添付資料 成果発表状況一覧 1.研究発表・講演 【ワークショップ企画等】 1. IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics (AIM2003) での併設

Workshop “Middleware Technology for Open Robot Architecture”の開催、神戸、平成 15 年 7月 20 日.

2. OMG “Robot Information Forum”の開催, OMG Technical Meeting, Quebec, Canada、平成 16 年 8月 24 日.

3. IEEE/RSJ International Conference on Robotics and Automation (IROS2004)での併設 Workshop “Robot Middleware toward Standards”の開催、仙台国際センター、平成 16 年 9 月 28 日.

4. 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2004)でのオーガナイズドセッ

ション“RT システムとオープン化”の企画、つくば、平成 16 年 12 月 17 日. 5. OMG “Robotics Showcase”の開催、OMG Technical Meeting, Burlingame, CA, USA、平成 17

年 1 月 31 日. 6. ロボティクス・メカトロニクス講演会(RoboMec2006)での併設企画として Japan – Korea

Robotics Standardization Workshop (RSW2005)の開催、神戸、平成 17 年 6 月 9 日. 7. RoboNexus2005 での BoF ミーティング“Establishing Standards in Robotics Software”の開催、

Sun Jose, CA, USA, 平成 17 年 10 月 7 日. 8. 計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2005)でのオーガナイズドセッ

ション“RT システムとオープン化”の企画、熊本、平成 17 年 12 月 18 日.

【講演】 1. 谷江和雄,A new trend of current robotics technology and the possibility of new robotics business,

The 11th International Conference on Advanced Robotics, University of Coimbra, Coimbra, PoRTugal, July 1, 2003 (Plenary Lecture).

2. 谷江和雄,New Robotic Business and RT Middleware, AIM2003 Workshop on Middleware Technology for Open Robot Architecture, July 20, 2003 (Invited Speech).

3. 末廣尚士,RT software component: software framework for modularization of RT element, AIM2003 Workshop on Middleware Technology for Open Robot Architecture, July 20, 2003 (Invited Speech).

4. 谷江和雄,IT and Robotics Industry in Future, Panel Discussion “Robotics for IT Industry”, I, IEEE International Conference on Robotics and Automation, Taipei, September 18, 2003 (Invited Panelist).

5. 谷江和雄,Robotics National Project for Human Friendly Intelligent Systems, Panel Discussion “National and International Research Initiatives in the Field of Human Friendly Intelligent Systems”, IEEE International Conference on Robotics and Automation, Taipei, September 17, 2003 (Invited Panelist).

6. 谷江和雄,How to Encourage Service Robot Business, Italy-Japan 2003 Workshop on Research on Humanoid, Service and Rescue Robots in Italy and in Japan, 早稲田大学, November 25, 2003 (Invited Speech).

7. 北垣高成,RT ミドルウェアの展開,計測自動制御学会システムインテグレーション部門講

演会,平成 15 年 12 月 19 日(キーノートスピーチ) 8. 谷江和雄,日常生活支援ロボットを目指して、21 世紀 COE 早稲田大学シンポジウム「RT

は安心を創造するか」、早稲田大学、平成 16 年 2 月 7 日(招待講演) 9. 谷江和雄、”Robotics R&D and Business -Present and Future-“, Robot Information Forum Kick-off

Meeting in OMG Technical Meeting, Object Management Group, Montreal, Canada, 平成 16 年 8 月

24 日 (Keynote Speech). 10. 神徳徹雄、Advanced Robotics Technology - introduction of AIST research activities and expectation

for standardization,OMG Technical Meeting in Montreal,Montreal, Canada、平成 16 年 8 月 24日

11. 谷江和雄、"Standardization of Robotic Component and Future Robotic Business ", IROS2004 Workshop on Robot Middleware toward Standards, 仙台、平成 16 年 9 月 28 日 (Invited Speech)

12. 神徳徹雄、"Toward Standardization in the field of Robotics"、IROS2004 Workshop on Robot

Page 111: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 79 -

Middleware toward Standards, 仙台、平成 16 年 9 月 28 日 13. 谷江和雄、” Funding Strategy II (RT Middleware), Panel Discussion: Future Robotics Projects

Design, JST Workshop on Robotics Projects and Future Funding Strategy, 仙台, 平成 16 年 10 月 1日 (Invited Panelist) (JST Workshop on Robotics Projects and Future Funding Strategy, CRDS/JST, CRDS-FY2004-WR-03, pp. 164-171, December 2004)

14. 末廣尚士,Presentation on Robot Middleware, OMG Technical Meeting,ワシントン DC.、平

成 16 年 11 月 2 日 15. 水川真、Overviews of RT(Robot Technology) Middleware for Industrial and Non-Industrial Robots,

Forum on Standardization of Intelligent Robots、Soul Korea、平成 16 年 12 月 3 日 16. 谷江和雄、Introduction to Robot Showcase – why we need RT middleware? - , OMG Technical

Meeting, Burlingame, CA, USA, 平成 17 年 1 月 31 日 17. 神徳徹雄、Future Robotics Group Activity, OMG Technical Meeting, Burlingame, CA, USA, 平成

17 年 1 月 31 日 18. 北垣高成、“RT ミドルウェアの適用例”、ロボット工学セミナー「便利な RT ミドルウェアの

使い方」、平成 17 年 7 月 13 日 19. 末廣尚士、RT ミドルゥエア -ロボット技術の新しいビジネスモデルのソフトウェア基盤-、

組込ソフトウェアシンポジウム 2004、東京、平成 16 年 10 月 14 日(招待講演) 【口頭発表】 1. 尹祐根,Linux での PA-10 制御,ロボティクス・メカトロニクス講演会,平成 15 年 5 月 25

日. 2. 北垣高成,末廣尚士,神徳徹雄,平井成興,谷江和雄,RT ミドルウェア技術基盤の確立に

向けて,ロボティクス・メカトロニクス講演会,平成 15 年 5 月 25 日. 3. 末廣尚士,北垣高成,神徳徹雄,尹祐根,安藤慶昭,RT 要素のモジュール化に関する検討

―RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その1),日本ロボット学会学術講演会,

平成 15 年 9 月 20 日. 4. 末廣尚士,北垣高成,神徳徹雄,尹祐根,安藤慶昭,RT コンポーネントの実装例―RT ミド

ルウェアの基本機能に関する研究開発(その2),日本ロボット学会学術講演会,平成 15 年

9 月 20 日. 5. 小菅一弘,RT システム,計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,平成

15 年 12 月 21 日. 6. 北垣高成,末廣尚士,神徳徹雄,尹祐根,安藤慶昭,平井成興,谷江和雄,RT ミドルウェ

アの展開,計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,平成 15 年 12 月 21日.

7. 平井成興,末廣尚士,北垣高成,神徳徹雄,谷江和雄,RT のオープン化とミドルウェア,

計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,平成 15 年 12 月 21 日. 8. 神徳徹雄,北垣高成,安藤慶昭,尹祐根,末廣尚士,RT ミドルウェアのソフトウェア開発

支援機能の検討,第 9 回ロボティクスシンポジア,平成 16 年 3 月 9 日 9. 安藤慶昭,末廣尚士,北垣高成,神徳徹雄,尹祐根,RT 要素のモジュール化および RT コン

ポーネントの実装,第 9 回ロボティクスシンポジア,平成 16 年 3 月 9 日 10. 北垣高成、末廣尚士、神徳徹雄、尹祐根、安藤慶昭、RT コンポーネントによるマニピュ

レータ制御システム構築―RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その5)―、ロ

ボティクス・メカトロニクス講演会、1A1-L1-6 (2004.06.19). 11. 尹祐根、末廣尚士、北垣高成、神徳徹雄、安藤慶昭、RT コンポーネントによるマスタアー

ム制御システムの構築―RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その6)―、ロボ

ティクス・メカトロニクス講演会、1A1-L1-7 (2004.06.19). 12. 安藤慶昭、末廣尚士、北垣高成、神徳徹雄、尹祐根、RT 複合コンポーネントおよびリアル

タイムコンポーネントの実装―RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その7)―、

ロボティクス・メカトロニクス講演会、1A1-L1-5 (2004.06.19). 13. ルメア・オリビエ、中原智治、荒木秀和、小宮山優、北野斉、RT コンポーネントによるア

プリケーション実現方法に関する検討、ロボティクス・メカトロニクス講演会、1A1-L1-8 (2004.06.19).

Page 112: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 80 -

14. 中原智治、ルメア・オリビエ、荒木秀和、小宮山優、石川武志、北野斉、RT コンポーネン

トによるアプリケーション実装例、ロボティクス・メカトロニクス講演会、1A1-L1-9 (2004.06.19).

15. ルメア・オリビエ,桑田亨、中原智治、北野斉、荒木秀和、小宮山優、石川武志「RT コン

ポーネントによるアプリケーション実現方法に関する検討」、日本ロボット学会第 22 回学術

講演会、平成 16 年 9 月 16. 安藤慶昭、末廣尚士、北垣高成、神徳徹雄、尹祐根,RT 複合コンポーネントおよびコン

ポーネントマネージャの実装-RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その 8)-,

第 22 回 日本ロボット学会学術講演会,岐阜、2004/09/15 17. 北垣高成, 末廣尚士, 安藤慶昭, 神徳徹雄, 尹祐根, "システム開発支援のための GUI コン

ポーネント- RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その 9)-", 第 22 回 日本ロ

ボット学会学術講演会予稿集, p.1C23, 2004.09, 岐阜県岐阜大学 18. 安藤慶昭, 末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄, 尹祐根, "RT コンポーネントによるロボットシス

テム開発-RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その 10)-", 計測自動制御学会 シス

テムインテグレーション部門 講演会 2004 (SI2004), pp.264-265, 2004.12, つくば国際会議場, 茨城県

19. 安藤慶昭, 末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄, 尹祐根, "リアルタイム制御のための複合 RT コン

ポーネントフレームワークの実装 ―RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その 11)―", 第 10 回 ロボティクスシンポジア, 2005 年 3 月

20. 作田康平,北垣高成,RT コンポーネントを用いた書籍整理システムの設計に関する研究、

システム制御研究会,SC-05-07~18, pp.35-38, 2005 年 3 月 21. 安藤慶昭, 末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄, 尹祐根, "RT コンポーネントによるシステム構

築法 -RT ミドルウェアの基本機能に関する研究開発(その 14)-", 日本機械学会 ロボティ

クス・メカトロニクス講演会 2005, p.2A1-N-072, 2005.06

22. 作田康平,北垣高成, 大原賢一, 水川真, "RT コンポーネントを用いたライントレースシス

テム", 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会 2005, 2005.06

23. 北垣高成, 作田康平, 大原賢一, 宮崎学, 大場光太郎, 末廣尚士, 安藤慶昭, "RT コンポー

ネントを用いたシステムの設計に向けて

-事例: 書籍整理システム-", 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会 2005,

p.2P1-N-065, 2005.06

24. 神徳徹雄, 末廣尚士, 安藤慶昭, 尹祐根, 北垣高成, 平井成興, 谷江和雄, 水川真, "RT ミ

ドルウェア標準化活動への誘い", 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会

2005, p.2P1-N-066, 2005.06

25. 北野斉, 桑田亨, 中原智治, 荒木秀和, 石川武志, 小宮山優,”RT ミドルウェアを用

いた生活支援ロボットシステム”,日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会

2005 p. 2P1-N-068 2005.06

26. 末廣尚士、北垣高成、神徳徹雄、尹祐根、安藤慶昭、ロボット用ミドルゥエア、計測自動制

御学会 システムインテグレーション部門 講演会 2004 (SI2005), 2005.12 2.文献等 【報告書】 1. 平成 14 年度「RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究」成果報告書、RT ミ

ドルウェア普及調査研究専門委員会、日本ロボット工業会、平成 15 年 3 月. 2. 平成 15 年度 「RT オープンアーキテクチャと普及システムの調査研究」成果報告書、RT ミ

ドルウェア普及調査研究専門委員会、日本ロボット工業会、平成 16 年 3 月. 3. 平成 14 年度~平成 16 年度成果報告書 「RT オープンアーキテクチャと普及システムの調

査研究」成果報告書、RT ミドルウェア普及調査研究専門委員会、日本ロボット工業会、平

成 17 年 3 月. 【解説】 1. 末廣尚士(エディタ),ロボットのオープン化,モジュール化,ネットワーク化技術特集号,

Page 113: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 81 -

日本ロボット学会誌,vol.21, no.6, 2003. 2. 北垣高成,マニピュレーションシステム:匠(TAKUMI),梅(UME),日本ロボット学会誌,

vol.21, no.6, pp.615-620, 2003. 3. 谷江和雄、[特別寄稿]ロボット市場を立ち上げるために、東芝レビュー、vol.59, no.9, pp.9-14,

2004. 4. 谷江和雄、ロボット技術の現状と今後の課題、自動車技術、vol.58, no.5, pp.4-10, 2004. 5. 神徳徹雄、生活支援ロボットシステムの開発, 産総研 Today, vol.4, no.9, p.23, 2004. 6. 神徳徹雄、RT Middleware – Robot Technology foRThe Made-to-Order Business Model, AIST Today,

no.14, p.20, Autumn 2004. 7. 北野斉,中原智治,荒木秀和,小宮山優,石川武志,”ロボットシステムのソフトウェア基盤とな

る「RT ミドルウェア」”,松下電工技報 vol.53, no.2, pp.55-61, 2005.05 8. 末廣尚士、ロボット用ミドルウェア、電気学会論文誌C、vol.125, no.6, pp.834-839, 2005. 9. 神徳徹雄、RT システムインテグレーション、計測と制御、vol.44, no.11, pp.761-764, 2005. 【プロシーディング, 国際会議】 1. 小菅一弘, 大道武生, Open Robot Architectures Strategy for Service Robots, Proceedings of the 3rd

IARP International Workshop on Service, Assistive and Personal Robot, pp.125-127, 2003. 2. 安藤慶昭, 末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄, 尹祐根, "RT-Component Object Model in RT-

Middleware - Distributed Component Middleware for RT (Robot Technology) -", 2005 IEEE International Symposium on Computational Intelligence in Robotics and Automation (CIRA2005), p.We-B2-5, 2005.06

3. 安藤慶昭, 末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄, 尹祐根,"Composite Component Framework for RT-Middleware (Robot Technology Middleware)", 2005 IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics (AIM2005), pp.1330-1335, 2005.07, Monterey, California, U.S.A.

4. 安藤慶昭 , 末廣尚士 , 北垣高成 , 神徳徹雄 , 尹祐根, "RT-Middleware: Distributed Component Middleware for RT (Robot Technology)", 2005 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2005), pp.3555-3560, 2005.08, Edmonton, Canada

5. 尹祐根,末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄,安藤慶昭, "Robot Skill Components for RT-Middleware", The 2nd International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence, pp.61-65, 2005.11

6. 神徳徹雄,末廣尚士,オリビエルメア, 横町政芳,水川真,"Robot middleware and its standardization in OMG", The 2nd International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence, pp.116-119, 2005.11

7. 安藤慶昭, 末廣尚士, 北垣高成, 神徳徹雄, "RT (Robot Technology) -Middleware Towards Component Based Networked Robot Systems Development-", The 2nd International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence, pp.120-123, 2005.11

8. オリビエルメア,神徳徹雄,末廣尚士,安藤慶昭, 大場光太郎,水川真, "RT (Robot Technology) -Middleware Towards Component Based Networked Robot Systems Development-", The 2nd International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence, pp.120-123, 2005.11

【ソフトウェア】 1. 末廣 尚士、安藤 慶昭、北垣 高成、神徳 徹雄、尹 祐根、“OpenRTM-aist-0.2.0”, 管理責任

者:末廣尚士、産総研管理番号:H17PRO-353、2005 年 3 月 29 日 【マニュアル】 1. RTComponent ユーザーズガイド version 0.1.0、産業技術総合研究所 知能システム研究部門

タスクインテリジェンス研究グループ、平成 16 年. 2. OpenRTM-aist-0.2.0 デベロッパースガイド、243 頁、産業技術総合研究所 知能システム研究

部門 タスクインテリジェンス研究グループ、平成 16 年 12 月.

Page 114: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 82 -

3.特許等 【特許出願】 1. 松下電工株式会社,自律移動体の周辺機器連携システム,特願 2003-383181,平成 15 年 11

月 12 日 2. 末廣尚士,北垣高成,神徳徹雄,尹祐根,安藤慶昭(産総研),コンポーネント化制御シス

テム,特願 2004-1562,平成 16 年 1 月 7 日. 3. 松下電工株式会社、分散オブジェクトシステム、特願 2004-174694, 【実用新案】 1. 北垣高成,可搬式小型ロボットアーム,第 3104493 号,平成 16 年. 【商標登録】 1. RT ロゴマークの作成(ロボット工業会)

平成 16 年 2 月 10 日 商標登録申請.

4.その他の公表 【成果紹介ビデオ】 1. RT ミドルウェアプロジェクト「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」研

究成果報告ビデオ(14 分間:日本語版/英語版)、平成 17 年 2 月 23 日 【成果展示会等】 1. 産業技術総合研究所知能システム研究部門の研究成果展示会(オープンハウス 2003)にお

いて「RT ミドルウェア」のプロジェクト紹介,平成 15 年 11 月 13 日. 2. 産業技術総合研究所一般公開において「RT ミドルウェア」のプロジェクト紹介,平成 16 年

7 月 24 日. 3. 産業技術総合研究所知能システム研究部門の研究成果展示会(オープンハウス 2004)にお

いて「RT ミドルウェア」のプロジェクト紹介,平成 16 年 10 月 13 日. 4. RT ミドルウェアプロジェクト研究成果発表会、機械振興会館、平成 17 年 3 月 3 日 5. RT ミドルウェアプロジェクト見学会、産業技術総合研究所、平成 17 年 3 月 11 日 6. 2005 国際ロボット展、東京ビックサイト、平成 17 年 11 月 30 日~12 月 1 日(2 日間) 【講習会】 1. ロボット工学セミナー「便利な RT ミドルウェアの使い方」、日本ロボット学会、新宿、平

成 17 年 7 月 13 日. 【プレス発表】 1. カスタムメイド生活支援ロボットシステムの実現に向けて―「ロボットの開発基盤となるソ

フトウェア上の基盤整備」(RT ミドルウェアプロジェクト)―、日本ロボット工業会/産総

研/松下電工株式会社 合同プレス発表、平成 16 年4月 8 日. 2. ロボット用ミドルウェア技術の国際標準化活動を本格化―RT の普及と産業化を目指し、国

際標準化団体 OMG に活動グループを発足―、NEDO/産総研/日本ロボット工業会 合同プレ

ス発表、平成 17 年 2 月 7 日. 3. オープンなロボットアーキテクチャを実現する RT ミドルウェアを開発―新たな生活支援ロ

ボット産業創出を目指して―、日本ロボット工業会/産総研/松下電工株式会社 合同プレス

発表、平成 17 年 2 月 24 日.

Page 115: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

- 83 -

【ホームページ】 1. RT ミドルウェアプロジェクトホームページ

http://www.is.aist.go.jp/RT/

Page 116: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2-2

2.分科会における説明資料

本資料は、分科会において、プロジェクト実施者がプロジェクトを説明する際に

使用したものである。

Page 117: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

経済産業省21世紀ロボットチャレンジプログラム

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」(RTミドルウェアプロジェクト)

事後評価分科会資料

― プロジェクト概要説明資料 ―

事業の位置付け・必要性について

NEDO技術開発機構 機械システム技術開発部

主任研究員 阿部 一也

Page 118: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

事業概要

ロボットの機能要素をモジュール化し、それらを部品として組み合わせて新しい機能を持ったロボットシステムを容易に構築することが出来るソフトウェア技術基盤として、ロボット用ミドルウェアの開発を行う

○平成14~16年度までの3年間の研究開発プロジェクト。予算総額は約2億6千7百万円

○担当原課は、製造産業局・産業機械課、及び産業技術環境局・研究開発課NEDO技術開発機構からの委託により研究開発を実施

○社団法人日本ロボット工業会、独立行政法人産業技術総合研究所、松下電工株式会社の3者が密接に連携する研究体制

2

1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性1.1 NEDOが関与することの意義

[必要性]

○本事業はロボットの活用範囲を拡大するために必要な基盤整備施策であり、公共性が高い

○基礎的研究要素であり、かつ専門性が高いため、相当な資金、時間等が要求され、単独では企業リスクが高い

○本事業により,新規産業創出や産業活性化が期待でき、産業政策的効果が高い

3

Page 119: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性1.1 NEDOが関与することの意義

[制度への適合性]

○経済産業省の「21世紀ロボットチャレンジプログラム」に合致

21世紀ロボットチャレンジプログラム

目的

我が国製造業を支えてきたロボット技術を基盤とし、先端的要素技術の開発等の促進により、ロボットの活用範囲を家庭、医療・福祉、災害対応などに拡大する

市場規模 5千億円 市場規模 約1.8兆円

次世代ロボットの実用化に向けた技術開発

人間協調・共存型ロボット開発1998~2002年度

ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備

2002~2004年度

次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト

2005~2007年度

次世代ロボット基盤的要素技術開発

2003~2005年度

戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト2006~2010年度

次世代ロボット実用化プロジェクト2004~2005年度

人間支援型ロボット実用化基盤技術開発

2005~2007年度

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

4

1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性1.1 NEDOが関与することの意義

[制度への適合性]○「平成15年度の科学技術に関する予算,人材等の資源配分の方針」(平成14年6

月総合科学技術会議)に合致○「平成16年度の科学技術に関する予算,人材等の資源配分の方針」(平成15年

度6月総合科学技術会議)においても強化すべき研究課題としての位置付け

[NEDOの関与]

○経済産業省との連携の下、中立的立場で予算配分及び民間では困難な事業を具体的に展開

○効果的・効率的な研究開発計画と開発実施体制整備(統率力あるプロジェクトリーダーの選任、RTオープンアーキテクチャと普及システムの調査研究体制を構築)

○戦略的かつ柔軟に事業を推進(研究開発後半に標準・普及活動を企画・推進)○国際標準化活動の推進(国際的なソフトウェア標準化団体での検討体制の組織化

と提案)○NEDO内の他プロジェクトとの連携(次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト等で

の当該成果の活用を慫慂)

5

Page 120: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性1.2 実施の効果

○知的基盤と標準の整備ロボット開発において、各者のロボット技術が共有でき、効率的な開発が可能

○新規参入の促進中小ベンチャーや異業種など多様な企業がロボット開発に容易に参入することが可能

○経済的・社会基盤の確立ロボット産業の構造変革により、ロボット産業が活性化するだけでなく、ロボット利用に対する大きな付加価値を付与され、新規産業の創出につながる期待大

○市場性ロボット産業は2025年の市場規模予測では6.2兆円産業となっており,21世紀の主力製品になる可能性大。RTミドルウェアは本市場拡大を実現するための仕掛けの1つ

6

2.事業の背景・目的・位置付け[背景]

ロボット開発の非効率性から製品化・実用化が進まない

各種サービスを提供する

ロボットの開発と実用化への期待の高まり

現実

病院,福祉施設,家庭等

製造現場以外で求められる機能

多種多様のニーズカスタムメイドロボットの生産が求められる

少子高齢化社会

•労働力不足

•要介護者増加

ロボット要素をモジュール化し,これらを統合することでロボットの構築を可能とするロボット構築手法が期待される

ロボット要素をモジュール化し,これらを統合することでロボットの構築を可能とするロボット構築手法が期待される

我が国のロボット技術は産業用ロボットで蓄積した技術により高い国際競争力を維持

7

Page 121: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

2.事業の背景・目的・位置付け

[目的]○ロボットを構成するアクチュエータ、センサ、制御プログラム

等といった様々な機能要素をモジュール化し,それらを部品として自由に組み合わせて新しい機能を持ったロボットシステムを容易に構築することができるロボット用ミドルウェアの開発を行い、ソフトウェア基盤技術を構築

○製造現場以外で活用されるロボットに求められる多種多様なニーズに応え、中小・ベンチャー企業を含む多様な主体によるロボット開発が容易となる環境を整備

8

2.事業の背景・目的・位置付け

[位置付け]

○拡大が期待される病院,福祉施設,家庭,災害現場などの製造現場以外で活用されるロボットへの潜在的ニーズを満たす上での基盤技術となる研究開発との位置付け

○知的基盤と標準の整備を同時に提供する取り組みは国内外でも初めて、その成果は社会問題の解決の一助となるだけでなく,ロボット産業の活性化に寄与

○経済産業省が推進する21世紀ロボットチャレンジプログラムの一環との位置付け

○総合科学技術会議においても次世代ロボット開発は重要分野との位置付け

9

Page 122: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備

事後評価説明資料

産業技術総合研究所知能システム研究部門長

平井成興

サブ・プロジェクトリーダー

研究開発マネージメント

1

Page 123: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

プロジェクトの全体像

ロボット開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備多品種少量生産にむけ、様々なロボット要素を通信ネットワークを介して組み合わせることにより多様なロボットの構築を可能とするロボット用ミドルウェアを開発する

従来のロボット

セモータソフトウエアライブラリ

セモーソフトライ

ロボットA

ロボットCロボットB

モータ力センサ

サーボ制御

・各ロボットは必要なロボットの要素を全部一体として開発する。

・各ロボットの要素の切れ目が明確でなく、他のロボットには転用ができない。

・1つのロボットを作るのにコストがかかる。・新しいロボットの開発が難しい。

ロボットのハードウェアメーカ、ソフトウェアメーカが開発、供給

ネットワーク

モータ力センサ

ハードウェア要素のモジュール

ソフトウェア要素のモジュール

サーボ制御

ロボットインテグレータが開発

ロボットアプリケーション

ロボット用ミドルウェアの開発• ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの開発

(共通インタフェースの作成支援)• モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの開発

(通信ネットワークを介したモジュール間の連携)

モジュール化に基づいたロボット

達成目標

ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルで利用できること

ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルで利用できること

ロボット開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備多品種少量生産にむけ、様々なロボット要素を通信ネットワークを介して組み合わせることにより多様なロボットの構築を可能とするロボット用ミドルウェアを開発する

従来のロボット従来のロボット

セモータソフトウエアライブラリ

セモーソフトライ

ロボットA

ロボットCロボットB

モータ力センサ

サーボ制御

セモータソフトウエアライブラリ セモータソフトウエアライブラリ

セモーソフトライ セモーソフトライ

ロボットA

ロボットCロボットB

モータ力センサ

サーボ制御

・各ロボットは必要なロボットの要素を全部一体として開発する。

・各ロボットの要素の切れ目が明確でなく、他のロボットには転用ができない。

・1つのロボットを作るのにコストがかかる。・新しいロボットの開発が難しい。

ロボットのハードウェアメーカ、ソフトウェアメーカが開発、供給

ネットワーク

モータ力センサ

ハードウェア要素のモジュール

ソフトウェア要素のモジュール

サーボ制御

ロボットインテグレータが開発

ロボットアプリケーション

ロボット用ミドルウェアの開発• ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの開発

(共通インタフェースの作成支援)• モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの開発

(通信ネットワークを介したモジュール間の連携)

ロボットのハードウェアメーカ、ソフトウェアメーカが開発、供給

ネットワーク

モータ力センサ

ハードウェア要素のモジュール

ソフトウェア要素のモジュール

サーボ制御

ロボットインテグレータが開発

ロボットアプリケーション ロボットインテグ

レータが開発

ロボットアプリケーション

ロボット用ミドルウェアの開発• ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの開発

(共通インタフェースの作成支援)• モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの開発

(通信ネットワークを介したモジュール間の連携)

モジュール化に基づいたロボットモジュール化に基づいたロボット

達成目標

ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルで利用できること

ロボット用ミドルウェアは、汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルで利用できること

2

マネージメントのポイント

• 事業計画の設定知的基盤技術に適した目標の設定の工夫

• 事業の実施基盤、応用、ユーザー、それぞれの代表機関が参画・実施

• 情勢変化への対応標準化に早期に着手、2004年4月からOMG (Object Management Group)での活動を開始

• 成果普及活動プレス発表、学術発表、RTM講習会、Webでの公開など

• 中間評価への対応本件は3年計画のため対象外

3

Page 124: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

研究開発の内容

(1) ロボット要素のモジュール化支援ミドルウェアの研究開発 (主に産総研)

(2) モジュールの実行・管理支援ミドルウェアの研究開発 (主に松下電工)

4

知的基盤技術に適した目標設定

• 様々なロボット要素の組合せを支援できること

• 汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルに

対応できるものであること

• 開発ミドルウェアの、実機での作動確認

• モジュールレベルの追加・可換性の実証

以上が、モジュール化支援用、実行・管理支援用いずれのミドルウェアにおいて満足されること。業界として普及可能なものであること(JARA調査研究)

5

Page 125: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

具体的テーマ分担

• RTオープンアーキテクチャと普及システムの調査研究(JARA)標準化仕様案の策定・公開および普及戦略の策定

• RTミドルウェアの基本機能に関する研究開発(産総研)RTミドルウェア(基本機能)の開発と実証例による検証

• RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発(松下電工)RTミドルウェア(アプリケーション実現機能)の開発と適用例による有用性の実証

6

実施体制

外部評価・助言

産総研

松下電工

RTミドルウエア

普及委員会

・RTミドルウエアプロトタイプ提供

・標準化・普及活動支援

業界ニーズ提供

普及と標準化

RTミドルウエア

実証システム開発

標準化WG連携

RTミドルウエア

プロトタイプ開発

OMGRobotics SIG

国際標準化と普及

標準化案の提示 課題の提示

JARA

谷江和雄 PL谷江和雄 PL

推進委員会

助言

報告

外部評価・助言

産総研

松下電工

RTミドルウエア

普及委員会

・RTミドルウエアプロトタイプ提供

・標準化・普及活動支援

業界ニーズ提供

普及と標準化

RTミドルウエア

実証システム開発

標準化WG連携

RTミドルウエア

プロトタイプ開発

OMGRobotics SIG

国際標準化と普及

標準化案の提示 課題の提示

JARA

谷江和雄 PL谷江和雄 PL

推進委員会

助言

報告NEDO

7

Page 126: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

推進委員会のメンバー

電気通信大学大学院情報システム学研究科 教授奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 教授広島大学大学院工学研究科 教授東京大学大学院情報理工学系研究科 助教授早稲田大学理工学部応用物理学科 教授東京大学生産技術研究所 助教授名城大学理工学部機械システム工学科 教授東北大学大学院工学研究科 教授芝浦工業大学工学部電気工学科 教授(独)産業技術総合研究所評価部 首席評価役(独)産業技術総合研究所知能システム研究部門 部門長(社)日本ロボット工業会技術部 課長(独)産業技術総合研究所知能システム研究部門 グループ長松下電工㈱先行・融合技術研究所 グループ長

高瀬国克小笠原司金子 真新 誠一橋本周司橋本秀紀大道武生小菅一弘水川 真谷江和雄平井成興畑 能正末廣尚士桑田 亨

委員長

NEDO委員は省略。委員および所属は最終開催時点のもの。赤字の委員は、外部評価委員。 8

年度展開

実証用ロボットスペース構築

調査研究

基本機能

アプリケーション実現機能

FY2002 FY2003 FY2004

調査報告書 調査報告書調査報告書

コンセプト確認 意識と取組状況 合意形成

基本フレームワークの検討

実装と仕様改善の開発ループ(2回)

仕様の策定・公開普及戦略の策定

Ver. 0.0 Ver. 0.1 Ver. 0.2

基本機能の実証例による機能検証

アプリケーション実現機能の適用例による

有用性の実証

コンセプトシナリオ検討システム設計

RTスペースを用いた

実証実験

有用性実証デモンストレーション

実証用ロボットスペース構築

調査研究

基本機能

アプリケーション実現機能

FY2002 FY2003 FY2004

調査報告書 調査報告書調査報告書

コンセプト確認 意識と取組状況 合意形成

基本フレームワークの検討

実装と仕様改善の開発ループ(2回)

仕様の策定・公開普及戦略の策定

Ver. 0.0 Ver. 0.1 Ver. 0.2

基本機能の実証例による機能検証

アプリケーション実現機能の適用例による

有用性の実証

コンセプトシナリオ検討システム設計

RTスペースを用いた

実証実験

有用性実証デモンストレーション

JARA

AIST

MEW

2800万円

1億730万円

1億3200万円

合計 2億6730万円 9

Page 127: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

6

全体成果

10

各分担の目標達成状況

すべて達成RTスペースにおけるRTミドルウェアの実証的検証

すべて達成RT要素を統合するアプリケーション実現機能の開発

すべて達成RTコンポーネントを統合したRTスペースの構築

2.3 RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発(松下電工株式会社)

すべて達成基本機能実証システム上でのRT基本機能の検証

すべて達成RT協調要素のモジュール化

すべて達成RT基本要素のモジュール化

2.2 RTミドルウェアの基本機能に関する研究開発(産業技術総合研究所)

目標を大幅に上回り達成ミドルウェア標準化戦略[平成15年度第4四半期から追加]

ほぼ達成RTアーキテクチャとRTミドルウェアの普及方策

すべて達成RTアーキテクチャとRTミドルウェアの仕様と実現性評価

2.1 RTオープンアーキテクチャと普及システムの調査研究(日本ロボット工業会)

11

Page 128: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

7

目標達成状況

• 様々なロボット要素の組合せを支援できること

• 汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルに

対応できるものであること

• 開発ミドルウェアの、実機での作動確認

• モジュールレベルの追加・可換性の実証

以上、すべて達成できた。

12

成果の発表・普及活動

8国際会議

1ホームページ公開

26口頭発表

6展示会出展

4論文発表(その他)

3論文発表(査読付)

1講習会

8ワークショップ等

3プレス発表

3特許出願

19招待・依頼講演

13

Page 129: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

8

成果の意義

• 複数の新規プロジェクトにおいてRTミドル

ウェアのプロトタイプシステムを知的基盤として提供

• 世界に先駆けてRTミドルウェアのフレーム

ワークを提案し、その国際標準化と普及に向けて実質的な活動を開始

14

Page 130: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

RTオープンアーキテクチャと普及システムの調査研究

2005年12月21日日本ロボット工業会

名城大学 大道武生

ミッション

• RTシステムの構築を容易にするために、ロボットシステムの機能分析に基づくRTミドルウェアに求められる仕様を策定し,公開する。

• 産業界へのRTの普及促進を図るために、複数のRT関連企業等が参画する予定のコンソーシアムの組織化方法、組織、運営方法等を明らかにし、コンソーシアムの設立準備を行う。

1

Page 131: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

スケジュール

(1)RTアーキテクチャとRTミドルウェアの

仕様策定と実現性評価

• H14年度:仕様案の策定

• H15年度:仮想ロボットでの評価

• H16年度:実際のロボットへの適用評価

(2)RTアーキテクチャとRTミドルウェアの

普及システムの構築

• H14年度:普及システムの方策を検討

• H15年度:普及システムの組織化方法、運営方法等の検討

• H16年度:普及システムの組織化方法、運営方法等の提言

コンソーシアム等検討組織の設立準備

2

ロボットミドルウェア現状の調査対象(H14,15FY)

• 研究事例

マニピュレータ(産総研)

移動ロボット(名城大)

ロボティクススペース(松下電工)

生活支援ロボティクス(東北大)

遠隔操作システム(芝浦工大)

AIBO(ソニー)

Hadaly-2(早大)

• システム開発事例

ORCA(東芝)

ApriAlpha(東芝)

お手伝いロボット(三洋電機)

人間共存ロボット

2足ロボット

清掃ロボット(富士重工)

産業用移動ロボット(デンソー)

3

Page 132: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

オープン化ソフトウェアとその課題(H14,15FY)

• ORiN• Open-R• ORCA• RSI• ・・・・・・

• ECHO-NET• ・・・・・・・・・

• 公開性

• 中立性

• リアルタイム性

• ネットワーク対応

• 普及性

• 新しいオープンアーキテクチャ

4

普及のための合意事項(H14,15FY)• 手作りロボット開発は限界

• リアルタイム制御をサポート可能

• 機能の統合化は行わない

• ネットワークに特殊な条件をつけない

• オブジェクト型,分散システム試行

• リアルタイム性の共存

• 実用化可能なシステムと普及

• 可能な範囲の合意形成と普及

• 産総研RTMの提案検討

5

Page 133: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

普及のための基本思想と階層的合意形成(H14,15FY)

• RT機能のモジュール化

• モジュール化の目的

RTシステム開発の容易化,低コスト化

• モジュールの定義とオープン化

機能モジュール

ソフトウェアモジュール

デバイスモジュール:機能+ソフトウェア

6

分散モジュールによるシステム構成1

A1 A2

A3

A4 A5

A9 A10

A7

A11A8

7

Page 134: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

分散モジュールによるシステム構成2

A1 A2

A3

A4 A5

A9 A10

A7

A11A8

×

× ×

マニピュレータ

移動ロボット

視覚処理

8

16年度検討指針(15年度までの議論の確認)

(1)ソフトウェアベースのオープンアーキテクチャを、産業技術総合研究所開発のRTC(OpenRTM-aist)を用いることにして検討を進める。

(2)このコンセプトはOMG提案を基軸に世界標準化を図ることを合わせ検討する。

(3)実装については、当面は各企業、もしくは有志グループ(後述のSIG)の実装方式の中でRTC化を推進していくことを前提とする。これらの競合のなかで有効な方式に収束していくと判断。UML表現から!

(4)機能ベースのオープン化、特に、モジュール間のインタフェースのあり方については、RTCの普及と並行して今後とも推進していく。

9

Page 135: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

6

プロジェクトの進め方 H16年度

日本ロボット工業会

RTミドルウェア普及調査専門委員会

オープン化検討グループ

実現性評価検討グループ

産業技術総合研究所

標準化検討グループ

Open RTM-aist

OMG10

Open RTM-aist

In/Out の定義11

Page 136: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

7

適用事例

弁当盛り付けロボット実験システム

12

適用事例 指摘事項

1)安全にすべてのモジュールが連動して終了処理できる機能(デストラクタ)の実装

2)初心者にも使いやすい統合開発環境の実現

3)APIマニュアルやチュートリアルなどドキュメント

の充実

4)GUI上に表示されるコンポーネントのデザイン

5)RTMがネイティブに動作する専用ハードウェア

の実現

13

Page 137: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

8

適用事例 完全機能モジュール化システム

14

完全機能モジュール化システムの効果と課題

• RTM化の効果の例開発の効率化

機能の拡張性・変更性

• 今後の確認事項の例割り込み処理の体系化

非常停止,異常処理,・・・・

異種機能付加の体系化

15

Page 138: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

9

RTM普及のために:アンケート調査

2-1)産総研版RTMを使ってみたいですか。

そう思う18%

どちらかと言えばそう思う

34%どちらかと言えばそう思わない

6%

そう思わない18%

その他24%

OpenRTM-aistは普及の基盤となる

16

RTM普及のために:アンケート調査

3-2)今後、JARAがRTMに関するコンソーシアムを立ち上げた場合、そこに参加するお考えはありますか。

そう思う16%

どちらかと言えばそう思う32%

どちらかと言えばそう思わない

5%

そう思わない26%

その他21%

普及組織に参加する用意がある

17

Page 139: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

10

適切な標準化活動?

3-3)OMGでの標準化の活動に参加するお考えはありますか。

そう思う5%

どちらかと言えばそう思う

5%

どちらかと言えばそう思わない

16%

そう思わない32%

その他42%

標準化推進までは??

Best fit for OMG

18

コンポーネントのRTC化方策と組織

(1)国家予算を活用したRTC開発戦略

(2)インタフェース仕様とミドルウェア仕様の分離および実装手段の緩和

(3)技術分野別RTC仕様の具現化OMG Robot SIG

(4)標準化/実装仕様/相互接続/情報交換/普及などを目的とした組織化

有志組織:OMGを参考にした組織

19

Page 140: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

11

OMG (Object Management Group)の組織概念

• コンピュータ業界における相互運用可能な業務• アプリケーション規格の制定,維持,保守を行うことを目

的としているオープンな非営利団体

• メンバー 約780社,準拠製品約300以上• 設立 1989年• オブジェクト指向モデリング

→ ソフトウェア開発,生産性向上

• 分散システム→高い柔軟性• 基盤技術

• 相互運用性→新旧ソフトウェア資産の連携• データリポジトリのメタデータ技術

• 産業別標準フレームワーク策定

http://www.omg.org/ http://www.otij.org/ より 20

OMGの代表的活動成果

• OMG技術– MDA (Model-Driven Architecture)

• 特定の技術に依存しないモデリング主導のシステム開発,およびライフサイクル管理を実現するための参照アーキテクチャ

– CORBA(Common Object Request Broker Architecture)

• 分散システム環境のインフラを整備,標準化

– UML(Unified Modeling Language)• 各要素の意味(セマンティクス)と表記する方法(構文)を統一した分析/モデリング言語

– CWM(Common Warehouse Metadata)• UML,XML(Extensible Markup Language),XMI(XML Metadata InterchangeI)を基盤とし,データウェアハウスにおける共通のメタモデルを定義.データのインポート,エクスポート,動的なデータ操作等に対する統一モデルを提供

http://www.omg.org/ http://www.otij.org/ より 21

Page 141: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

12

OMG 標準化プロセス

• 合意ベースの標準化

• 公平性を確保する厳密なプロセス

• ボランティアによるリーダーシップ

RFI発行

優先度の検討

ロードマップ作成

ボランティア募集

WGの組織

標準化項目明確化

RFP発行

標準仕様案の合意

submission

仕様としての整合性確認

AB審査とTC採決

文書化作業

標準化すべき技術の抽出標準化すべき技術の抽出

WG1

WG2

WG322

活動経過

• 第1 回SDO 会議

November 2, 2004 (Washington DC)

Robotics WG スタートin SDO

• Technical Meeting (Burlingame, CA)

Jan 31-Feb 4,2005

Robotics Showcase

US ベンダープレゼン

第2 回SDO 会議

• 導入プレゼンテーション

RT ミドルウェアの必要性(水川)April 26, 2004 (St. Louis)

• Robotics Information 日本のRT 技術の紹介

August 24, 2004 (Montreal)

• RoboNexusPresentationOctober 22, 2004 (Santa Clara, CA )

23

Page 142: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

13

結論

• OpenRTM-aistは普及の基盤となる.

• 良いものが出来れば使いたい.

• 有志によるトップダウン的アプローチ

• OMG標準化の組織的推進

• 有志によるボトムアップ的アプローチ

RTCの量・質の提供のための組織的開発活動

24

達成度評価

• RTアーキテクチャとRTミドルウェアの仕様と実現性評価

• RTアーキテクチャとRTミドルウェアの普及方策

• ミドルウェア標準化戦略[平成15年度第4四半期

から追加]

• 目標を全て達成

OpenRTM-asitの適用合意

• 目標をほぼ達成

普及方策の提言

機能例証活動と標準化の

両輪活動継続

• 目標を大幅に上回り達成

OMG提案と Robotic SIG

25

Page 143: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

14

継続は力

RTM適用活動

(実利的な積み上げ手法) OMG標準活動 (トップダウン的手法)

標準のみは出来る

Open化・標準化が事業を促進

閉じた実用システム

26

Page 144: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

RTミドルウェアの基本機能に関する

研究開発

RTミドルウェアの基本機能に関する

研究開発

産業技術総合研究所

知能システム研究部門

末廣 尚士

2005年12月21日

産業技術総合研究所

知能システム研究部門

末廣 尚士

2005年12月21日

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」(RTミドルウェアプロジェクト)

事後評価 資料 (個別テーマ)

RT分野のアプリケーション全体に広く共通的に使われる

RTミドルウェアに必要な基本機能の研究・開発を行う。

目的

研究開発課題

(1) RT基本要素のモジュール化(2) RT協調要素のモジュール化(3) 基本機能実証システム上でのRT基本機能の検証

基本計画

1

Page 145: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

(1) RT基本要素のモジュール化RTコンポーネント形式マニピュレータ、センサなどのコンポーネントの実装

(2) RT協調要素のモジュール化内部状態の共通化複数コンポーネントの実時間スレッドへの割付サーボ制御、スキル制御のコンポーネント化

(3) 基本機能実証システム上でのRT基本機能の検証GUIによる実行管理支援種々のRTコンポーネントの作成マニピュレータの分解速度制御の実現遠隔操縦・力制御システムの実現

目標の達成(1)

2

目標の達成(2)目標の達成(2)

• RTミドルウェア基本部(OpenRTM-aist-0.2.0)– JARAでオーソライズされたOpenRTMのコンセプトの

実装の提供

– 仕様の提案:OMGでの標準化のベースとして採用。

– 実装のα版の提供:試用版のダウンロード。セミナー

の開催。

– 他のNEDOプロジェクトでの利用。

– 正式版は、OMGでの標準化後を予定。

3

Page 146: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

目標の達成(2)目標の達成(2)

• 基本機能の実証

– 7自由度マニピュレータの分解速度制御(シミュレーション、実機)

– マニピュレータの遠隔操縦、力制御(PA10、HRP2)– その他のRTコンポーネント

– つくば-秋葉原間の遠隔操縦実験(2005.8.4)

4

成果の意義成果の意義

• 新しいロボットを容易に作れるようになる。

– 新しいロボット市場の創造、拡大

• OMGでの標準化を通して世界をリードしている。

• 仕様は、OS、言語に依存しない。

• 実装(OpenRTM-aist-0.2.0)はLinux/Windows、C++/Pythonをサポート

5

Page 147: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

RTコンポーネント作成とRTミドルウェアによる支援

RTコンポーネント作成とRTミドルウェアによる支援

ロボットの要素機能(ソフトウェアを含む)

要素機能のRTCとしての

デザイン

RTCテンプレート

生成機能

機能RTCの

テンプレート

RTミドルウェアによる支援(OpenRTM-aistなど、

実装依存)

機能RTC

RTC作成者の仕事

機能RTCの

仕様記述

RTC実装

ツールライブラリ

RTC標準仕様

6

RTC利用アプリケーション作成とRTミドルウェアによる支援

RTC利用アプリケーション作成とRTミドルウェアによる支援

ロボットアプリケーション

デザイン

利用RTCの

選択

RTCスタブ

生成機能

利用RTCの

スタブ

RTミドルウェアによる支援(OpenRTM-aistなど、

実装依存)

アプリケーション作成者の仕事

RTC利用

ツールライブラリ

RTC標準仕様

RTC作成者

が提供

利用RTCの

一覧

ロボットアプリケーション

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

注:作成時にはRTCの仕様記述のみで十分。実装本体は不要。

注)

7

Page 148: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

RTC利用システムの実行とRTミドルウェアによる支援

RTC利用システムの実行とRTミドルウェアによる支援

インストールされたRTC

RTC検索

サービス利用RTCの

プロキシ

RTミドルウェアによる支援(OpenRTM-aistなど、

実装依存)

ユーザへのサービス

RTC利用

サービス(モニタリング、

コンフィギュレーション、RTCLinkなど)

RTC標準仕様

RTC作成者

が提供 利用RTCの

一覧

ロボットシステム

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

機能RTCの

仕様記述

機能RTC

ロボットシステムの稼動

実RTCのインストール 8

成果のポイント(1)成果のポイント(1)成果のポイント(1)

RTコンポーネントのフレームワーク

RtComponent

ActThread

InPort n

InPort 0

OutPort n

OutPort 0

put

get

replypush

put reply

get, subscribe

command command reply

CORBA componentThread

マニピュレータシステム

マニピュレータ(MHI PA10)+力センサ

操縦用ジョイスティック

データグラフ化ツール

ゲイン調整スライダヒューマノイドシステム

ヒューマノイド(HRP2 プロメテ)

ロボットのモジュールの共通仕様

ロボットのモジュールの共通仕様

共通仕様に基づくRTコンポーネントおよび

アーム制御システムの作成

共通仕様に基づくRTコンポーネントおよび

アーム制御システムの作成 9

Page 149: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

6

操縦用ジョイスティック

ヒューマノイド(HRP2 プロメテ)

マニピュレータ(MHI PA10)

ロボットアーム制御用共通インターフェース

ジョイスティックコンポーネント

HRP2 腕制御

コンポーネント

PA10 腕制御コンポーネント

成果のポイント(2)成果のポイント(2)

RTコンポーネントにすると

産業用ロボットもヒューマノイドの腕も同じソフトで動かせる。

RTコンポーネントにすると

産業用ロボットもヒューマノイドの腕も同じソフトで動かせる。

RTコンポーネントの相互利用が可能。

新しいロボットシステムの開発が容易になる。

RTコンポーネントの相互利用が可能。

新しいロボットシステムの開発が容易になる。

10

OpenRTM-aist-0.2.0OpenRTM-aist-0.2.0大きく分けて2つの部分がある。

• RT技術のモジュール化のフレームワーク– RTコンポーネント

• RTコンポーネントをプログラムとして実現するための支援ツール– RTコンポーネントの作成支援

– RTコンポーネントによるシステム作成支援

– RTコンポーネントの実行支援

11

Page 150: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

7

RTコンポーネントモジュール化のフレームワーク

RTコンポーネントモジュール化のフレームワーク

コマンドインタフェース入力出力インタフェースアクティビティ

•インタフェースの単純化•独立性、自律性•ネットワーク透過性と通信の効率化

RtComponent

ActThread

InPort n

InPort 0

OutPort n

OutPort 0

put

get

replypush

put reply

get, subscribe

command command replyCORBA componentThread

•RTC間の相互接続や再利用性を保証する。

•最低限のインタフェースの構造を定める。•実装に関しては規定しない。プラットフォーム非依存。•実装を知らなくてもインタフェースの情報のみでRTCを利用できる。

12

OpenRTM-aist-0.2.0の

支援ツール

OpenRTM-aist-0.2.0の

支援ツール

• RTコンポーネントの作成支援– RTコンポーネントフレームワークの実装– プログラムテンプレートの自動生成機能– 内部状態遷移の明確化、詳細化

• RTコンポーネントによるシステム作成支援– コンポーネントマネージャの導入– RTコンポーネントのローダブルモジュール化– 複数コンポーネントの実時間スレッドへの割付

(ARTLinux上での実験的試み)

• RTコンポーネントの実行支援– 実行管理GUI– ネーミングサービスの利用

13

Page 151: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

8

RTコンポーネントを利用した

種々のシステムの作成

RTコンポーネントを利用した

種々のシステムの作成

• 7自由度マニピュレータの分解速度制御(シミュレーション、実機)

• マニピュレータの遠隔操縦、力制御(PA10、HRP2)

• その他のRTコンポーネント

14

7自由度マニピュレータの分解速度制御

7自由度マニピュレータの分解速度制御

• RTコンポーネント

– Pa10vel:関節角度制御されたpa10– pa10_sim:関節角度制御されたpa10のシミュレータ

– pa10fk:pa10の順運動学計算

– frm_ctrl:手先位置・姿勢に関する位置制御則

– move:軌跡動作制御

– mixer:入力値、ヤコビアンのミキサー

– jinv:分解速度制御

15

Page 152: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

9

マニピュレータの遠隔操縦、力制御

マニピュレータの遠隔操縦、力制御

• RTコンポーネント

– 手先並進・回転速度制御された実機PA10– PA10手首6軸力センサ

– 6軸ジョイスティック

– 力制御則

– 手先並進・回転速度制御されたHRP2– 手先並進・回転速度制御されたHRP2シミュレータ

16

その他のRTコンポーネントその他のRTコンポーネント

• 可換ハンドコンポーネント

• AIモータコンポーネント

• ロボット操縦用ゲームコントローラコンポーネント

• ファントムコンポーネント

など。

17

Page 153: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

10

秋葉原 つくば

HRP2アーム

マスターアーム

手首力センサ

速度指令

力情報

RTコンポーネント

入力ポート

出力ポート

MHI PA10アーム

遠隔操縦、力感覚提示遠隔操縦、力感覚提示2005.8.4にデモ

18

まとめまとめ

• 成果の概要– OpenRTM-aist-0.2.0– RTコンポーネントを利用した種々のシステムの作成

– RTMの仕様提案

• プロジェクトの目標を達成– RT基本要素のモジュール化

– RT協調要素のモジュール化

– 基本機能実証システム上でのRT基本機能の検証

• 今後の課題– RTコンポーネントの国際標準化と仕様に基づく実装

– RTMのさらなる普及

19

Page 154: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

RTミドルウェアのアプリケーション

実現機能に関する研究開発

松下電工株式会社

平成17年12月21日

「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社開発項目

RTコンポーネントを結合した

実証用RTスペースの構築

RTコンポーネントを統合する

アプリケーション実現機能の

開発

実証用RTスペースにおける

RTミドルウェアの実証的検証

平成14年度 平成15年度 平成16年度研究開発項目

モジュール間インタフェースの基本構想

RTスペースの構想・設計,構築着手

RTスペースの構築

アプリケーション実現機能を仕様化

アプリケーションの実現

RTミドルウェアの実証的検証

1

Page 155: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社生活支援ロボットシステム

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットのエレベータ乗降

・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

現在RTスペースに設置されているもの

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

RTミドルウェアにより、RTコンポーネントを自由に組み合わせ・統合して作られる安全・安心・快適・便利な生活空間

2

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社RTミドルウェアによるアプリケーション実現イメージユーザのニーズに応じたロボットシステムをインテグレータが容易に構築

RTスペースの導入

ユーザーとインテグレータがRTスペースの導入について打ち合わせ。

RTミドルウェアのRTスペース作成ツールを使用し、アプリケーションを作成。

作成したアプリケーションを、シミュレーションツールを使い動作確認。

ユーザー宅への機能部品設置と、アプリケーションソフトのインストール。

機能部品の追加

最新のお掃除ロボットを購入。 お掃除ロボットの情報と、既設の機能部品と協調して動作させるためのアプリケーションソフトをインストール。

更新した機器情報とソフトを各機能部品へ送信。

追加したお掃除ロボットと、既設の機能部品が連携して、新たな掃除機能を開始。

3

Page 156: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社

2.RTコンポーネントを結合した実証用RTスペースの構築

1.RTコンポーネントを統合するアプリケーション実現機能の開発

アプリケーション実現機能の目標

3.実証用RTスペースにおけるRTミドルウェアの実証的検証

4

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社RTミドルウェアのアプリケーション構築の仕組み

機能部品の制御プログラムをモジュール化するフレームワーク

コンフィギュレーションサービス モニタリングサービス ネーミングサービス タイムサービスノウティフィケーションサービス

スクリプトサービス

RTコンポーネントの

インターフェース定義

IDL

RTコンポーネントの

インターフェース定義

IDL

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

個々のRTコンポーネント専用処理

Calls &Supports

Security API

RTミドルウェアサービスアクセス

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

リモートコンポーネントアクセス

Multimedia API

ACE (OS 抽象化層)

ハードウェアドライバor SDK

ハードウェア/ローカル資源アクセス

Discovery API

リモートコンポーネントからのアクセス

RTコンポーネント標準インターフェース

個々のRTコンポーネント専用のインターフェース

いくつかのRTコンポーネントに標準のインターフェース

データ構造への標準インターフェース

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

ロギングサービス

RTコンポーネントの

処理の実装

RTコンポーネントの

処理の実装

コンフィギュレーションサービス モニタリングサービス ネーミングサービス タイムサービスノウティフィケーションサービス

スクリプトサービス

RTコンポーネントの

インターフェース定義

IDL

RTコンポーネントの

インターフェース定義

IDL

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

個々のRTコンポーネント専用処理

Calls &Supports

Security API

RTミドルウェアサービスアクセス

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

リモートコンポーネントアクセス

Multimedia API

ACE (OS 抽象化層)

ハードウェアドライバor SDK

ハードウェア/ローカル資源アクセス

Discovery API

リモートコンポーネントからのアクセス

RTコンポーネント標準インターフェース

個々のRTコンポーネント専用のインターフェース

いくつかのRTコンポーネントに標準のインターフェース

データ構造への標準インターフェース

リモートコンポーネントからのアクセス

RTコンポーネント標準インターフェース

個々のRTコンポーネント専用のインターフェース

いくつかのRTコンポーネントに標準のインターフェース

データ構造への標準インターフェース

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Access from R

emote C

omponent

RTM ComponentStandard Interface

Component SpecificInterface

Component Specific Standard RTM Interface

RTM Base ObjectsStandard Interfaces

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

Configuration APIMonitoring API State Management API

Logging API

Concurrency API

Calls

Uses

Business Logic

Calls &Supports

Security API

RTM Services Access

Positioning API

Geometry API

Data Exchange API

Rem

ote Com

ponent Access

Multimedia API

ACE (OS Abstraction Layer)

Specific Hardware Driveror Technology SDK

Hardware / Local Resource Access

Discovery API

ロギングサービス

RTコンポーネントの

処理の実装

RTコンポーネントの

処理の実装

拡張インタフェイス

基本インタフェイス

5

Page 157: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社

1.RTコンポーネントの管理:コンフィギュレーションサービス

2.スクリプトの管理:スクリプトサービス

3.リポジトリ管理:ネーミングサービス(CORBA)

4.イベント管理:ノウティフィケーションサービス(CORBA)

5.時間管理:タイムサービス(CORBA)

6.システムの動作管理:モニタリングサービス

7.RTスペースへのRTコンポーネント配備:ディプロイメントサービス(CORBA)

8.RTコンポーネントの起動管理:アクティビティサービス

9.ヒューマンインターフェース機器からの指令管理:GUIアクションプロキシ

10.外部入力信号管理:イベントリアクタ

11.インターネットを介した遠隔操作/監視機能:webサーバ

(注:サービス名の後にCORBAが付いているものは、CORBAのサービスを利用)

アプリケーション構築,変更のためのサービス

6

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社

1.GUIによるアプリケーションソフト作成ツール:アクティビティビルダー

2.コンフィギュレーションデータ作成ツール:コンフィギュレーションコンソール

3.スクリプト操作ツール:スクリプトコンソール

4.Webによるサービス作成ツール:Webページ

5.コンポーネントの状態確認ツール:モニタリングコンソール、コンポーネントブラウザ

6.RTコンポーネントが自由に使えるホワイトボード:リモートキャンバス

アプリケーション構築,変更のためのツール

7

Page 158: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社生活支援ロボットデモシステム(RTスペース)

住設要素およびロボットをRTミドルウェアによりRTコンポーネントとして統合し、

家庭における多種多様なニーズに応える生活支援ロボットデモシステム

(RTスペース)を構築した。

8

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社生活支援ロボットデモシステム(RTスペース)

電動ドア 電気錠

キッチン照明

ダイニング照明

リビング照明

PDA

移動ロボット

テレビ

(ヒューマンマシンI/F)

インターホン親機

カメラ付きインターホン子器

ホームサーバ

入出力制御PC

無線LAN冷蔵庫ドア

1.移動機能用: 音声出力機能付移動ロボット(音声および映像)、アーム付移動ロボット

2.視覚機能用

・画像入力: 移動ロボット上のアクティブカメラ、インターホン子器のカメラ、室内カメラ

・画像出力: ディスプレイ用モニタテレビ

3.コミュニケーション用: PDA(音声認識,ディスプレイ上のメニュー選択)

4.生活空間内の一般の機器

照明(リビング、ダイニング、キッチン)、冷蔵庫ドア、電動ドア、玄関電気錠、インターホン

5.その他:人検知センサ

人検知センサ

室内カメラ

9

Page 159: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

6

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社RTコンポーネントの配置

コンポーネント、サービス、ユーティリティの合計:64個10

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社RTスペースでの実証

◆ お客様お出迎え、冷蔵庫からの缶の取出し、屋外からの遠隔監視などのシナリオを実現し、RT要素が滑らかに連携していることを確認した。

◆ 同一機能のハードウェアでは同じRTコンポーネントが使用できることを確認した。

・ロボット上のカメラ、室内カメラ、インタフォンのカメラで同一のコンポーネント使用。・2台のロボットの自律移動機能で同一のコンポーネント使用。

(マニピュレーション機能の追加)

◆ アクティビティビルダーでお出迎えシナリオが容易に変更できることを確認した。

ビデオ

11

Page 160: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

7

2005.12.21

「RTミドルウェアのアプリケーション実現機能に関する研究開発」

松下電工株式会社

2.RTコンポーネントを結合した実証用RTスペースの構築

1.RTコンポーネントを統合するアプリケーション実現機能の開発◆モジュール化された制御プログラム(RTコンポーネント)を用いてシナリオを

実現する仕組みを開発した。

◆インテグレータの役割を想定して、アプリケーションの構築,変更を容易にする

RTミドルウェアの共通サービス機能と各種ツールを開発した。

◆住設要素およびロボットをRTミドルウェアによりRTコンポーネントとして統合した

生活支援ロボットデモシステム(RTスペース)を構築した。

アプリケーション実現機能の目標達成状況

3.実証用RTスペースにおけるRTミドルウェアの実証的検証◆RTスペースにおいてRTミドルウェアにより各RT要素が滑らかに連携して

シナリオを実現することを実証した。

◆ソフトウェア資産が活用しやすい(流用できる)ことを実証した。

◆RTミドルウェアのツールを用いてシナリオの変更が容易であることを実証した。

すべて達成した

すべて達成した

すべて達成した

12

Page 161: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

1

実用化、事業化の見通し

産業技術総合研究所知能システム研究部門長

平井成興

サブ・プロジェクトリーダー

実用化・事業化シナリオ

• “技術はあるが製品が育たない”売れる製品の発掘

が必要。

• 既存のニーズに無いモデルの開発・試作基盤が必要。

• ロボットの構成要素のモジュール提供が効果的

• モジュールの市場化で新ロボットを容易かつ迅速に構成

• カスタムメイド、ソリューションビジネスとして発展

Page 162: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

2

RTM実用化・普及のロードマップ

2005 2010 2015

プロトタイプ研究開発用

試作開発用

一般製品用実装検証

原理検証

実用検証

応用製品販売

2

関連動向の概要

• 技術的完成度

OpenRTM-aist-0.2.0+実モジュールによる実証

• ユーザの広がり

プロジェクト内部委員会での試用

他機関とも共同研究開発計画

・連携プロジェクトの充実

次世代ロボット共通基盤開発

連携施策群シミュレータ開発

3

Page 163: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

3

知的基盤の充実

• RTコンポーネントの作成支援ツール、連携動作GUIツールをサンプルプログラムとともに評価用キットとしてとして提供(OpenRTM-aist-0.2.0)

• RTミドルウェアのユーザメーリングリストを使ってバ

グレポートやマニュアルの不備な点などを含めた技術評価結果をレポートを収集。

• RTミドルウェアとして求められる機能のリクエストも

受けている。

• プロジェクト終了後も、バージョンアップを継続中。

4

RTミドルウェアの利用(出口)

• センサやアクチュエータを生活空間の中に分散配置させ、それらの連携動作により生活支援や介護を実現するシステムが期待される。

• 自律移動ロボットも、環境内RTセンサや情報家電製品などと組合せ、より高度なサービスを提供できるようになる。

• 平成17年度開始の「次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト」や「分散コンポーネント方ロボットシミュレータプロジェクト」で採用、標準仕様に準拠したコンポーネントの実現が期待される。

5

Page 164: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

4

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットのエレベータ乗降

・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

ホームゲートウェイ

ホームサーバー

【玄関】・開閉操作・施錠

【エレベータ】・ロボットのエレベータ乗降

・自動メンテナンス

【キッチン】・レシピ表示・異常時警報

【照明】・遠隔操作・調光制御

【窓】・開閉操作・自動換気・戸締り確認・破壊警報

インターネット

【エアコン】・遠隔操作・室内環境制御

【各機器モニタ】・遠隔操作・アプリケーション修正

【移動ロボット】・搬送・移動ユーザI/F・留守番・見回り

【風呂】・遠隔操作・異常時警報

ネットワーク

【テレビ】・各種映像表示・環境状態表示

RTスペースモデル

6

愛・地球博でのRTM統合デモ

7

Page 165: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

5

次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト

RT ミドルウェアによる統合(実時間通信ネットワーク上の CORBA 通信)

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

音声認識デバイス

音声センサ

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

運動制御デバイス

アクチュエータ

ロボット

システム

現状 目標 モジュール化による分散処理

特徴:

・高処理能力

・低消費電力

・耐ノイズ性

・高信頼

・小型軽量

・省配線

集中処理

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

画像認識デバイス

画像センサ

RT ミドルウェアによる統合(実時間通信ネットワーク上の CORBA 通信)

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

音声認識デバイス

音声センサ

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

運動制御デバイス

アクチュエータ

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

運動制御デバイス

アクチュエータ

ロボット

システム

現状 目標 モジュール化による分散処理

特徴:

・高処理能力

・低消費電力

・耐ノイズ性

・高信頼

・小型軽量

・省配線

集中処理

ミドルウェア

実時間通信 I/F実時間 OS

画像認識デバイス

画像センサ

合計20機関がRTミドルウェアを使用8

基礎技術の仮想化

連携施策:ロボットシミュレータ

ネットワーク・ヒューマン・インターネットワーク・ヒューマン・インターフェースの総合的な研究開発フェースの総合的な研究開発

コミュニケーション技術ネットワーク技術等

大都市大震災軽減化大都市大震災軽減化特別プロジェクト特別プロジェクトIIIIII

情報収集技術移動技術

バイオ・ミメティックバイオ・ミメティックコントロール研究コントロール研究

知能技術制御技術

次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト 戦略的基盤技術力強化事業戦略的基盤技術力強化事業

ロボット用デバイス ロボット用部品

ロボットワールドシミュレータ

RTミドルウェア

RTミドルウェア

ハードウェア基盤

ソフトウェア基盤

応用・実利用

通信分野

ネットワーク・ヒュネットワーク・ヒューーマン・インターマン・インターフェースの総合フェースの総合的な研究開発的な研究開発

建設分野

ロボット等によるロボット等によるITIT施施工システムの開発工システムの開発

海中ロボットによる作業海中ロボットによる作業と監視に関する研究と監視に関する研究

農業分野

果菜類ロボッ果菜類ロボット収穫技術のト収穫技術の開発開発

防災分野

消防・防災ロ消防・防災ロボットの研究ボットの研究開発開発

生活支援・医療福祉分野

次世代ロボット実用化プロジェクト次世代ロボット実用化プロジェクト

人間支援型ロボット実用化プロジェクト人間支援型ロボット実用化プロジェクト

連携施策による連携施策による基盤技術開発基盤技術開発

9

Page 166: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

6

OMGでの活動

• 合意ベースの標準化

• 公平性を確保する厳密なプロセス

• ボランティアによるリーダーシップ

標準化すべき技術の抽出

RFI発行

優先度の検討

ロードマップ作成

ボランティア募集

WGの組織

WG1

WG2

標準化項目明確化

RFP発行

標準仕様案の合意

submission

仕様としての整合性確認

AB審査とTC採決

文書化作業

WG3

10

活動実績

ロボット技術を議論するグループ(Robotics-SIG)を組織、H17の12月には正式な応用分野の一つ(DTF)に昇格させた。

RTミドルウェアプロジェクトで提案してきた共通仕様であるRTコンポーネントをベースとして、

ロボット用のコンポーネントのフレームワークの標準化を進めている。

標準提案公募(RFP)までこぎつけた

11

Page 167: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

7

OMG活動今後の予定

• 2005年 9月 ロボット技術のコンポーネント化に関する標準提案公募(RFP)発行

• 2005年12月 提案登録〆切• 2006年 1月 一次提案(Initial Submission)〆切(提案評価および複数の提案をたたき台とした合意形成)

• 2006年 6月 二次提案(Revised Submission)〆切(提案評価および関連OMG技術との摺り合わせ)

• 2006年 9月 標準提案の採択(FTF(Finalization Task Force)による公文書作成)

• 2007年 9月 標準仕様の発行

12

普及・啓蒙活動その1

• 「ロボットオープン化のためのRTミドルウェアの国際標準化調査」の業務委託を受けて、RTミドルウェア国際標準化調査専門委員会(主査:水川真(芝浦工業大学))をJARA内に設置

• SICEのRTシステムインテ グレーション部会と共催してOMG技術会議報告会を開催、ロボット技術の標

準化に関して興味を持つ国内企業・大学のメンバーと情報共有、標準化活動を実施中

13

Page 168: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

8

普及・啓蒙活動その2

• 日本ロボット学会のセミナーとしてRTミドルウェア講

習会を開催

• IROS2004やRoboMec2005などの国内外の学術講演会においてRTミドルウェアやロボット技術の標

準化をテーマにしたワークショップを企画

• 韓国RobotWeekに併せたURAmI2005やSICEのSI2004、SI2005などにおいてオーガナイズドセッ

ションを企画

• RTロゴマークを作成し商標登録

14

将来への期待

ユーザシステム

インテグレータ(SI)

コンポーネントメーカ

ソリューションビジネス

発注 情報提供

製造委託

製造業者

納品

コンポーネント提供

研究機関

シーズ提供

コンポーネントメーカ

コンポーネントメーカユーザ

システムインテグレータ

(SI)

コンポーネントメーカ

ソリューションビジネス

発注 情報提供

製造委託

製造業者

納品

コンポーネント提供

研究機関

シーズ提供

コンポーネントメーカ

コンポーネントメーカ

15

Page 169: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

9

波及効果

全般的応用を想定した実問題による

標準的RTモジュール群の構築

ネットワークロボット

建設ロボット

果樹摘取ロボット

介護支援ロボット

異分野

異分野ででも柔軟で迅速な

も柔軟で迅速な

RTシステム開発が可能に

RTシステム開発が可能に

災害復旧ロボット

多種多様なメカトロシステムへの迅速な対応で

新規市場の創生・国際競争力強化

応用・実利用共通基盤構築

プロセス機器

光学計測機器

バイオ操作機器

16

Page 170: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料1 評価の実施方法

Page 171: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-1

本評価は、「技術評価実施規程」(平成 15 年 10 月制定)に基づいて研究評価を

実施する。

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)における研究評価

の手順は、以下のように被評価プロジェクト毎に分科会を設置し、同分科会にて研

究評価を行い、評価報告書(案)を策定の上、研究評価委員会において確定している。 「NEDO 技術委員・技術委員会等規程」に基づき研究評価委員会を設置 研究評価委員会はその下に分科会を設置

NEDO

評価報告書(案)審議・確定

理事長

評価書報告

評価報告書(案)作成

実施者プロジェクトの説明

国 民

評価結果公開

推進部署

分科会B 分科会D

分科会A 分科会C

事務局

研究評価部

研究評価委員会

推進部署評価結果の事業等への反映

NEDO

評価報告書(案)審議・確定

理事長

評価書報告

評価報告書(案)作成

実施者プロジェクトの説明

国 民

評価結果公開

推進部署

分科会B 分科会D

分科会A 分科会C

事務局

研究評価部

研究評価委員会

推進部署評価結果の事業等への反映

Page 172: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-2

1.評価の目的 評価の目的は「技術評価実施規程」において、

業務の高度化等の自己改革を促進する。 社会に対する説明責任を履行するとともに、経済・社会ニーズを取り

込む。 評価結果を資源配分に反映させ、資源の重点化及び業務の効率化を促

進する。 としている。 本評価においては、この趣旨を踏まえ、本事業の意義、研究開発目標・計画の妥

当性、計画と比較した達成度、成果の意義、成果の実用化の可能性等について検討・

評価した。 2.評価者 技術評価実施規程に基づき、事業の目的や態様に即した外部の専門家、有識者か

らなる委員会方式により評価を行う。分科会委員選定に当たっては以下の事項に配

慮して行う。 科学技術全般に知見のある専門家、有識者 当該研究開発の分野の知見を有する専門家 研究開発マネジメントの専門家、経済学、環境問題その他社会的ニー

ズ関連の専門家、有識者 産業界の専門家、有識者

また、評価に対する中立性確保の観点から事業の推進側関係者を選任対象から除

外し、また、事前評価の妥当性を判断するとの側面にかんがみ、事前評価に関与し

ていない者を主体とする。 これらに基づき、分科会委員名簿にある6名を選任した。 なお、本分科会の事務局については、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合

開発機構研究評価部が担当した。 3.評価対象

平成13年度に開始された「ロボットの開発基盤となるソフトウエア上の基盤整

備」プロジェクトを評価対象とした。 なお、分科会においては、当該事業の推進部署から提出された事業原簿、プロ

ジェクトの内容、成果に関する資料をもって評価した。

4.評価方法 分科会においては、当該事業の推進部室及び研究実施者からのヒアリングと、そ

Page 173: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-3

れを踏まえた分科会委員による評価コメント作成、評点法による評価及び実施者側

等との議論等により評価作業を進めた。 なお、評価の透明性確保の観点から、知的財産保護の上で支障が生じると認めら

れる場合等を除き、原則として分科会は公開とし、研究実施者と意見を交換する形

で審議を行うこととした。 5.評価項目・評価基準 分科会においては、次に掲げる「評価項目・評価基準」で評価を行った。これは、

研究評価委員会による『各分科会における評価項目・評価基準は、被評価プロジェ

クトの性格、中間・事後評価の別等に応じて、各分科会において判断すべきもので

ある。』との考え方に従い、第1回分科会において、事務局が、研究評価委員会に

より示された「標準的評価項目・評価基準」(参考資料1-7頁参照)をもとに改

訂案を提示し、承認されたものである。 プロジェクト全体に係わる評価においては、主に事業の目的、計画、運営、達成

度、成果の意義や実用化への見通し等について評価した。各個別テーマに係る評価

については、主にその目標に対する達成度等について評価した。

Page 174: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-4

評価項目・評価基準

1.事業の位置付け・必要性について

(1)NEDOの事業としての妥当性 ・ 21世紀ロボットチャレンジプログラムの選定基準等に適合していたか。 ・ 民間活動のみでは改善できないものであったか、又は公共性が高いことによ

り、NEDOの関与が必要とされる事業であったか。 ・ 当該事業を実施することによりもたらされる効果が、投じた予算との比較に

おいて十分であったか。 (2)事業目的の妥当性 ・ 内外の技術開発動向、国際競争力の状況、エネルギー需給動向、市場動向、

政策動向、国際貢献の可能性等から見て、事業の目的は妥当であったか。

2.研究開発マネジメントについて (1)研究開発目標の妥当性 ・ 内外の技術動向調査、市場動向調査等に基づき、戦略的な目標が設定されて

いたか。 ・ 具体的かつ明確な開発目標を可能な限り定量的に設定していたか。 ・ 目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されていたか。

(2)研究開発計画の妥当性 ・目標達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配分を

含む)となっていたか。 ・目標達成に必要な要素技術を取り上げていたか。 ・研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切だったか。

(3)研究開発実施者の事業体制の妥当性 ・適切な研究開発チーム構成での実施体制になっていたか。 ・安易な業界横並び体制に陥ることなく、真に技術力と事業化能力を有する企

業を実施者として選定していたか。 ・全体を統括するプロジェクトリーダー等が選任され、十分に活躍できる環境

が整備されていたか ・目標達成及び効率的実施のために必要な、実施者間の連携が十分に行われる

体制となっていたか。 ・実用化シナリオに基づき、成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対

して、成果を普及し関与を求める体制を整えていたか。 (4)情勢変化への対応等 ・進捗状況を常に把握し、計画見直しを適切に実施していたか。 ・社会・経済の情勢の変化及び政策・技術動向に機敏かつ適切に対応していた

か。 ・計画見直しの方針は一貫していたか(中途半端な計画見直しが研究方針の揺

らぎとなっていなかったか)。

Page 175: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-5

3.研究開発成果について (1)目標の達成度

・成果は目標値をクリアしているか。 ・全体としての目標達成はどの程度か。 ・目標未達成の場合、目標達成までの課題を把握し、課題解決の方針が明確に

なっているか。 (2)成果の意義

・成果は市場の拡大或いは市場の創造につながることが期待できるか。 ・成果は、世界初あるいは世界最高水準か。 ・成果は、新たな技術領域を開拓することが期待できるか。 ・成果は汎用性があるか。 ・投入された予算に見合った成果が得られているか。

(3)特許の取得 ・特許等(特許、著作権等)は事業戦略に沿って適切に出願されているか。 ・外国での積極的活用が想定される場合、外国の特許を取得するための国際出

願が適切にされているか。 (4)論文発表・成果の普及 ・論文の発表は、質・量ともに十分か。 ・成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対して、適切に成果を 普及しているか。 ・一般に向けて広く情報発信をしているか。

4.実用化の見通しについて (1)成果の実用化可能性

・実用化イメージ・出口イメージが明確になっているか。 ・知的基盤を供給・維持及び標準整備を実施することにより、成果の受取手(活

用・実用化の想定者)が実際に当該成果を活用して産業化をはかることがで

きる見込みはあるか。 ・JIS化、国際規格化等、標準整備に向けた対応は図られているか、その見

込みはあるか。一般向け広報は積極的になされているか。 (2)波及効果 ・成果は関連分野への技術的波及効果や経済的・社会的波及効果等を期待でき

るものか。 ・プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発や人材育成等を促進するなど

の波及効果を生じているか。

Page 176: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-6

標準的評価項目・評価基準

2004.03.23

1.事業の位置付け・必要性について

(1)NEDOの事業としての妥当性 ・ 特定の施策(プログラム)、制度の下で実施する事業の場合、当該施策・制

度の選定基準等に適合しているか。 ・ 民間活動のみでは改善できないものであること、又は公共性が高いことによ

り、NEDOの関与が必要とされる事業か。 ・ 当該事業を実施することによりもたらされる効果が、投じた予算との比較に

おいて十分であるか(知的基盤・標準整備等のための研究開発の場合を除く)。

(2)事業目的の妥当性 ・ 内外の技術開発動向、国際競争力の状況、エネルギー需給動向、市場動向、

政策動向、国際貢献の可能性等から見て、事業の目的は妥当か。

2.研究開発マネジメントについて (1)研究開発目標の妥当性 ・ 内外の技術動向調査、市場動向調査等に基づき、戦略的な目標が設定されて

いるか。 ・ 具体的かつ明確な開発目標を可能な限り定量的に設定しているか。 ・ 目標達成度を測定・判断するための適切な指標が設定されているか。

(2)研究開発計画の妥当性 ・目標達成のために妥当なスケジュール、予算(各個別研究テーマ毎の配分を

含む)となっているか。 ・目標達成に必要な要素技術を取り上げているか。 ・研究開発フローにおける要素技術間の関係、順序は適切か。

【本標準的項目・基準の位置付け(基本的考え方)】 本項目・基準は、研究開発プロジェクト及び課題設定型助成事業の中間・事

後評価における標準的な評価の視点の例であり、各分科会における評価項目・

評価基準は、被評価プロジェクトの性格、中間・事後評価の別等に応じて、各

分科会において判断すべきものである。 なお、短期間(3年以下)又は少額(予算総額 10 億円未満)のプロジェクト

及び課題設定型助成事業に係る事後評価については、以下の「3.」及び「4.」

を主たる視点として、より簡素な評価項目・評価基準を別途設定して評価をす

ることができるものとする。

Page 177: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-7

・継続プロジェクトや長期プロジェクトの場合、技術蓄積を、実用化の観点か

ら絞り込んだうえで活用が図られているか。

(3)研究開発実施者の事業体制の妥当性 ・適切な研究開発チーム構成での実施体制になっているか。 ・安易な業界横並び体制に陥ることなく、真に技術力と事業化能力を有する企

業を実施者として選定しているか。 ・研究管理法人を経由する場合、研究管理法人が真に必要な役割を担っている

か。

・全体を統括するプロジェクトリーダー等が選任され、十分に活躍できる環境

が整備されているか ・目標達成及び効率的実施のために必要な、実施者間の連携 and/or 競争が十

分に行われる体制となっているか。 ・実用化シナリオに基づき、成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対

して、成果を普及し関与を求める体制を整えているか。

(4)情勢変化への対応等 ・進捗状況を常に把握し、計画見直しを適切に実施しているか。 ・社会・経済の情勢の変化及び政策・技術動向に機敏かつ適切に対応している

か。 ・計画見直しの方針は一貫しているか(中途半端な計画見直しが研究方針の揺

らぎとなっていないか)。

3.研究開発成果について (1)目標の達成度 ・成果は目標値をクリアしているか。 ・全体としての目標達成はどの程度か。 ・目標未達成の場合、目標達成までの課題を把握し、課題解決の方針が明確に

なっているか。

(2)成果の意義 ・成果は市場の拡大或いは市場の創造につながることが期待できるか。 ・成果は、世界初あるいは世界最高水準か。 ・成果は、新たな技術領域を開拓することが期待できるか。 ・成果は汎用性があるか。 ・投入された予算に見合った成果が得られているか。

Page 178: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-8

(3)特許の取得 ・特許等(特許、著作権等)は事業戦略に沿って適切に出願されているか。 ・外国での積極的活用が想定される場合、外国の特許を取得するための国際出

願が適切にされているか。

(4)論文発表・成果の普及 ・論文の発表は、質・量ともに十分か。 ・成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)に対して、適切に成果を 普及しているか。 ・一般に向けて広く情報発信をしているか。

4.実用化、事業化の見通しについて (1)成果の実用化可能性

・産業技術としての見極め(適用可能性の明確化)ができているか。 ・実用化に向けて課題が明確になっているか。課題解決の方針が明確になって

いるか。

(2)事業化までのシナリオ ・コストダウン、導入普及、事業化までの期間、事業化とそれに伴う経済効果

等の見通しは立っているか。

(3)波及効果

・成果は関連分野への技術的波及効果及び経済的波及効果を期待できるもの か。

・プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発や人材育成等を促進するなど

の波及効果を生じているか。

※ 基礎的・基盤的研究及び知的基盤・標準整備等の研究開発の場合は、以下

の項目・基準による。

Page 179: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 1-9

*基礎的・基盤的研究の場合 4.実用化の見通しについて

(1)成果の実用化可能性 ・実用化イメージ・出口イメージが明確になっているか。 ・実用化イメージ・出口イメージに基づき、開発の各段階でマイルストーンを

明確にしているか。それを踏まえ、引き続き研究開発が行われる見通しは立

っているか。

(2)波及効果 ・成果は関連分野への技術的波及効果等を期待できるものか。 ・プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発や人材育成等を促進するなど

の波及効果を生じているか。 *知的基盤・標準整備等の研究開発の場合

4.実用化の見通しについて

(1)成果の実用化可能性 ・知的基盤、標準整備に対する公共的な需要が実際にあるか、その見込みはあ

るか。 ・公共財として知的基盤を供給、維持するための体制は整備されているか、そ

の見込みはあるか。JIS化、国際規格化等、標準化に向けた対応は図られ

ているか、その見込みはあるか。一般向け広報は積極的になされているか。

(2)波及効果

・成果は関連分野への経済的・社会的波及効果等を期待できるものか。

・プロジェクトの実施自体が当該分野の研究開発や人材育成等を促進するなど

の波及効果を生じているか。

Page 180: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料2 評価に係る実施者意見

Page 181: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-1

研究評価委員会(分科会)は、評価結果を確定するに当たり、あらかじめ当

該実施者に対して評価結果を示し、その内容が、事実関係から正確性を欠くな

どの意見がある場合に、補足説明、反論などの意見を求めた。研究評価委員会

(分科会)では、意見があったものに対し、必要に応じて評価結果を修正の上、

最終的な評価結果を確定した。 以下に最終的な評価結果と、評価に対する実施者意見及びそれに対する評価

委員の見解を示す。

Page 182: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-2

評価に対する実施者意見 実施者意見に対する評価

委員の見解 【評価結果(1.1 総論 総合評価)】

ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤

構築という手法から標準化を視野に入れて研究開

発したことは、ロボット先進国として、またロボッ

ト技術のより効率的な開発を目標とするために、適

切な選択である。本事業の開発により、仕様に基づ

いたプログラム化、コンポーネントとしての総合化

が可能となり、ロボットの応用範囲を広げ産業を活

性化することが期待される。特に、ロボット要素部

品の組み合わせで様々なロボットシステムを構築

する際に、その動作のプログラミングに関する標準

的仕様や手順を提案することで部品要素をモジュ

ール化し、システム構築を容易にしたことは、ロボ

ット産業の振興に資するところ大である。また、研

究成果の普及活動を展開できたことも大きな成果

である。本技術は国が開発を担当すべき内容であ

り、研究所、業界団体、民間の共同作業で本プロジ

ェクトを実施できたことは今後の技術進展のため

の好例と評価する。

しかし、[1]標準化した仕様の範囲は、RT基本

要素及びRT協調要素のモジュール化に関する標準

仕様を定めたものであるが、対象の広いロボット技

術の中では比較的狭い範囲であり、部分的な完成を

見ただけである。競争力の点で検討の余地が残され

ており、フレームワークの継続的改善が望まれる。

今後、[2]画像処理等を含んだロボットアプリ

ケーションの実証や複数の仕様性能を組み合わせ

たシステムの互換性・着脱性の詳細な検討が、仕様

範囲の拡大と共に望まれる。また、標準化を含む普

及活動は具体的な見通しを立てにくい作業である

ことから、ミドルウェア普及のための画期的な戦略

の立案を関係者が一致して推進することを期待す

る。

Page 183: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-3

[1] 【実施者意見】 以下の文章への訂正を要望する。 「標準化した仕様の範囲が、RT基本要素及びRT

協調要素のモジュール化に関する標準仕様を定め

たものであるが、今後のロボットの多様な用途への

展開のためには、具体的な機能に則したRTコンポ

ーネントを開発し提供していくことが望まれる。」

【理由】 本研究では広い範囲のロボットシステム構築に

資するため、ロボットシステムを構成する要素間の

連携を可能とするRT基本要素及びRT協調要素

のモジュール化の標準仕様を定めたものであり、標

準化の範囲としては必要十分なものと考えている。

しかしながら、RTミドルウェアが多様な用途のロ

ボットシステムへ適用していくためには、各用途に

応じたアプリケーションにRTミドルウェアを適

用できる具体的な仕様を定めたRTコンポーネン

トを用意し、提供していくことが必要である。今後、

後継プロジェクトである「次世代ロボット共通基盤

開発プロジェクト」において、サービスロボットの

汎用的な機能に応じたRTコンポーネントを開発

し、その普及を図ることとしている。 [2] 【実施者意見】 以下の文章への訂正を要望する。

「画像処理等を含んだロボットアプリケーション

の実証や複数の仕様性能を組み合わせたシステム

の互換性・着脱性の詳細な検討が、RTコンポーネ

ントの開発・提供と共に望まれる。」 【理由】 上記[1]と同じ。

[1] 【評価委員見解】 本プロジェクトで設定

された目標から見ると、実

施者意見の通り、標準化の

範囲は達成されているが、

例外処理などの実装を標

準仕様の範囲に含めるべ

きであったと考える。ま

た、当フレームは仕様・規

模も比較的小さく、競争力

の点からも今後継続的に

拡張すべきと考えられる。

[2] 【評価委員見解】 上記[1]と同じ理由に

より、訂正を受け入れられ

ない。

Page 184: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-4

【評価結果(1.1 総論 今後に対する提言)】

本研究開発成果を真に実効的なものとするため

には、成果品のエンドユーザに対するサポート、ソ

フトウェアの改良・保守等を恒常的なものとして維

持することが必須であると考える。また、現段階で

実現可能なロボット機能は限られているため、応用

の対象をサービスロボットや介護支援ロボット等

に絞って開発例を多く示し、その有用性について実

証していくことを要望する。

NEDO や JARA(日本ロボット工業会)のような公

共性のある団体は、標準化やその普及に対し、中・

長期的な戦略の立案、活動費や研究費の継続的な確

保など、積極的に活動すべきである。したがって、

後継のプロジェクトにおいて、本プロジェクトの目

的を継続するとともに、普及や標準化に対しても活

動が中断しないようにしていただきたい。また、

[3]ロボット分野の実用化は研究レベル以上にマ

ーケットリスクが高く、ただちに民間がアプリケー

ション開発に参入しにくいと考えられるため、実用

化への助成も継続して検討するべきである。 [3] 【実施者意見】 以下の文章への訂正を要望する。

「ロボット分野の実用化はマーケットリスクが高

く、ただちに民間がアプリケーション開発に参入し

にくいと考えられるため、平成17年度から開始し

た後継プロジェクト(次世代ロボット共通基盤開発

プロジェクト)において、本研究の成果を活用した

アプリケーションの実証を適切に行っていくこと

が必要である。」 【理由】 アプリケーション開発への支援は、後継プロジェ

クト(次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト)

[3] 【評価委員見解】 元々、事後評価の前に後

継プロジェクトが走って

いること自体、論理的な矛

盾を含んでいるとの見解

が分科会委員の中に強く

あります。それ故、このよ

うに特定名称を記入する

ことは研究予算システム

全体あるいは事後評価シ

ステムの方法を問題とす

る可能性がありますが、そ

れでもよろしいでしょう

か。そのために、単に「後

継プロジェクト」としまし

た。 後継プロジェクトで助

成が十分かは、前に存在す

る本プロジェクトの事後

評価の時点では判断でき

ないため、「新たな助成事

業は不要」とまでは言い切

れない。また、アプリケー

ションを主体としたテー

マは、アプリケーション開

発業者、サービス提供業者

等、市場との距離が近いグ

Page 185: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-5

で3分野(画像処理、音声認識、運動制御)におい

て、5種以上のロボットへのアプリケーション実証

を予定しており、新たな助成事業は不要であると思

料。

ループの参入を促すため

に必要であり、後継プロジ

ェクトとは異なる主体で

あると考える。 【評価結果(1.2 各論 事業の位置付け・必要

性について)】 本事業は、数々のロボット要素部品に関連する仕

様の標準化に関する研究開発として公共性が高く、

且つ我が国がロボット分野で世界に先行している

立場から、開発したソフトウェアは広く利用される

可能性があり、標準化による国際貢献を目指した事

業として NEDO の関与は妥当であると判断される。

当該事業実施の効果は、実施しなかった場合との比

較で論じられるべきであるが、ロボット用ミドルウ

ェアが普及すれば、その開発効率の観点からも有用

性は非常に大きいと思われる。

しかし、[4]標準化を含む普及活動は具体的な

見通しを立てにくい作業であることを考慮し、普及

体制については、初年度からより明確な枠組みを構

築すべきであった。なお、後継プロジェクトにおい

て本研究の成果を踏まえたロボット共通要素の共

通化及び多くのロボットへのアプリケーション実

証が計画されているが、本研究の今後の普及や産業

界への効果を高める上で十分な成果が得られるよ

う、しっかりとした対応を図っていくことが必要で

ある。 [4] 【実施者意見】 当該箇所の削除を要望する。 【理由】 普及体制については、日本のロボット関連企業

[4] 【評価委員見解】 「初年度から普及体制を

構築している」、「海外動向

を把握している」等の実施

者意見は、単に自己評価を

述べただけであり、

Page 186: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-6

の大部分が加盟しロボット産業のまとめ役である

ロボット工業会を本研究の主体に位置づけ、普及の

あり方・体制について初年度から検討を進める体制

を構築しており、また、本プロジェクトで実際に各

種調査やセミナー等の普及活動を実施しており、

「初年度からしっかりしていたとは言い難く」との

指摘は当たらない。また、研究開始時点において、

米国等の動向を把握し、また、国内外の既存のミド

ルウェアとの特徴対比の検討を実施した上で、本研

究に着手し、研究開始後においても諸外国の動向を

把握してきており、指摘はあたらない。また、本研

究の成果の見通しが明らかになった段階で、ロボッ

ト分野の国際標準化団体であるOMGに対して、具

体的な標準化提案を行う方針を固め、実行に移した

ことは、本研究成果の普及の上で極めて重要であ

り、適切な対応である。OMGへの提案の際には、

諸外国の状況や本研究の特徴等を十分把握・検討し

ており、研究初年度では本研究成果の見通しが十分

でない段階ではあったが、可能な限り特徴対比も行

っていることから、指摘は当たらない。

報告書、報告内容からは十

分であったとは言い難い。

ただ、原案の文章は何もし

ていなかった様な書きぶ

りになっているため、意見

3 と同様に「標準化を含む

普及活動は具体的な見通

しを立てにくい作業」への

理解を加え、文章を訂正す

る。

【評価結果(1.2 各論 研究開発マネジメント

について)】 研究開発目標及び計画に関しては、着手時点にお

ける内外動向に基づき適切な内容が設定され、全般

として妥当であった。研究開発体制も、工業会、公

的研究機関を中心とし、全体統括と実施者間の連携

を含めて概ね適切といえる。また、技術の普及をね

らって研究開発と同時に国際標準化活動を実施し、

OMG(Object Management Group)において、

開発されたRTミドルウェアの標準化と普及活動

が開始されたことは特記すべきことである。

[5]しかし、異業種や中小・ベンチャー企業を

含む多様な主体でロボット開発を容易にするという

目的を踏まえると、例外処理などの実装を計画に含

Page 187: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-7

めることや、複数の要素部品メーカーを参画させる

などの開発体制がより望ましい形であったと考えら

れる。また、[6]成果の受取手に対して、成果を普

及し関与を求める体制が必ずしも十分ではなく、普

及のための検討時間が不十分であった。

[7]研究開発事業体としての NEDO の役割が

明確ではなく、NEDO の開発マネジメントの具体

性が分かりにくい。 [5] 【実施者意見】 当該箇所の削除を要望する。 【理由】

RTミドルウェアという、ロボット分野では全

く新しい独自の発想に基づいた開発であることか

ら、限られた予算において本研究で注力すべきこと

は、RTミドルウェアを開発・構築すること及びそ

の有効性を実証することにあり、異業種・中小・ベ

ンチャー、要素部品メーカーなどのへの展開は普及

体制を構築した上で本研究終了後に実施すること

としている。このため、当初の注力すべきことを実

行するためには、適切な体制であったと考えてい

る。今後は、本研究成果を踏まえた国際標準化を行

い、国内の多様な開発主体への普及を図っていくこ

ととしている。また、例外処理などの実装について

は、本研究では実施していないが、技術的には実装

することは可能である。 [6] 【実施者意見】 当該箇所の削除を要望する。 【理由】 日本ロボット工業会に委員会を設置し、普及のた

めの体制検討を行うとともに、本研究成果の国際標

[5] 【評価委員見解】 「異業種・中小・ベンチャ

ー、要素部品メーカーなど

のへの展開」を目的として

いるのであるから、早い段

階で参画した方が標準化

や普及に効果が大きく、よ

り望ましい体制であった

と考えます。このことか

ら、原案のままとします。

[6] 【評価委員見解】 「普及のための検討をよ

り早期から実施すべきで

あった」という提言であ

り、実施者の訂正理由は妥

当ではないと判断します。

Page 188: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-8

準化の取り組みを本研究期間の途中から開始して

いる。また、ロボット工業会を通じて、成果の受け

取り手である会員企業などに対して情報提供や成

果発表等を行っており、指摘は当たらない。 [7] 【実施者意見】 当該箇所の削除を要望する。 【理由】

NEDO は研究開発マネジメントを適切に行って

きたと自負しており、指摘は当たらない。主な具体

例としては、OMGへの提案に関し、デファクトや

デジュール標準の分析や標準活動等に対する提案

及び本研究予算以外に別途標準化に関する予算を

確保し対応をした。また本研究の成果を更に発展さ

せるために、後継プロジェクトとの連携を提案・立

ち上げを行うなどの対応をし、本プロジェクトのみ

ならず、それを超えて効果的・効率的にマネジメン

トしている。

このことから、原案のまま

とします。 [7] 【評価委員見解】

本 プ ロ ジ ェ ク ト で

NEDO が何をしたかにつ

いて具体的な報告がなか

ったことと、今後その点を

より明確にしていただき

たいことから、原文のまま

とします。

【評価結果(1.2 各論 研究開発成果につい

て)】 すべての項目にわたり目標を達成している。特

に、ロボット要素部品の標準仕様に基づくモジュー

ル化に関して、一つの実現形態を提示したことは、

ロボット要素部品分野ならびにロボットシステム

分野の市場拡大に繋がる可能性が十分にあると判

断される。また、成果には汎用性があり、一般に向

けて広く情報発信されていると認められることか

ら、継続的かつ効率的発展が期待できる。

しかし、[8]開発したミドルウェアは難易度の

高くないサービスがメインのため、投入された予算

に対して仕様の規模が期待したほど大きくないよ

うに見える。今後はミドルウェアのバージョンアッ

Page 189: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-9

プとともに、コンポーネント、特に画像処理関係の

コンポーネントの充実とより市場性の高い移動ロ

ボットのアプリケーション開発が望まれる。また、

[9]ミドルウェアの標準化は、海外においても活

動事例が見られることから、本成果の特徴や優位性

に関して研究開発者自身が他との比較評価を行う

ことで客観性を高め、これを踏まえて今後とも引き

続き評価・改良を継続して行くことが望ましい。さ

らに、成果の受け取り手(活用・実用化の想定者)

に対して、研究終了後も継続して成果を普及させる

活動が求められる。 [8] 【実施者意見】 当該箇所の削除を要望する。 【理由】 本研究はRTミドルウェアの標準化及びその有

効性の実証を行うことを目的としたものであり、開

発したソフトウェアのプログラムの行数で評価す

るのは適切ではない。 [9] 【実施者意見】 以下の文章への訂正を要望する。 「また、ミドルウェアの標準化は、海外においても

活動事例が見られることから、本成果の特徴や優位

性を踏まえ、今後とも引き続き、研究開発者自身が

評価・改良を行っていくことが望ましい。」 【理由】 本研究成果であるRTミドルウェアは国際標準

化の活動や後継プロジェクトの成果等の動向を踏

まえ、評価・改良を行っていく必要がある。

[8] 【評価委員見解】 ヒアリング時において、

行数を問い合わせた理由

を委員が述べたとおり、こ

れはひとつの経験的な指

標です。行数で評価してい

るのは、開発成果の一部分

です。単に行数で評価した

訳ではなく、投入予算に対

して仕様の規模が十分で

はないとの判断です。 また、このような意見が

出たとしても、前半で「す

べての項目にわたり目標

を達成している。」と記述

があるので、問題はないと

考えます。 [9] 【評価委員見解】 「優位性があるか否か」の

客観的判断において、内外

の他事例との相対的な比

較を行うことが重要であ

ることを指摘しているの

であり、「優位性に関して」

を「優位性を踏まえ」と書

き換えることは適切では

ないと考えられる。

Page 190: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-10

【評価結果(1.2 各論 実用化の見通しについ

て)】 実用化イメージ、出口イメージは明確になってお

り、当該成果を活用して産業化をはかることは可能

である。特に基本機能に関する研究開発において

は、明確な実用化イメージの提示がなされており、

可動部のあるさまざまな電子機器への応用や波及

効果も期待できる。また、JIS 化、国際規格化等、

標準整備に向けて、OMG等を通した活動が具体的

に行われている点についても評価できる。

ただし、国際的な標準規格となり得るか否かに関

しては、単に技術的優劣のみならず適用実績の蓄積

なども重要なファクターになると考えられ、国内外

企業による適用を促進するためのサポート体制、ソ

フトウェアの保守・改良等の継続的な活動が望まれ

る。更に、[10]本当の実用化ならびに「RT協

調要素のモジュール化技術の普及」までの作業量を

明確にするため、継続プロジェクトを通じて、魅力

的なアプリケーションを多数例示することと普及

のための画期的な対策をたてることを期待する。ま

た、[11]ミドルウェアの有効性および実用性を

さらに示すためには、極力定量的な目標を掲げると

ともに、本研究成果を具体的なロボットに適用した

実績や評価を積み上げて行くことが、今後は重要で

ある。なお、[12]フレームワークは整ったが、

それを用いたコンポーネントはできていないため、

実証プロジェクトの成果の公開等を行うことが必

要である。 [10] 【実施者意見】 以下の文書への訂正を要望する。 「更に、本研究成果の普及を図るため、継続プロジ

ェクトを通じて、魅力的なアプリケーションを多数

例示することと普及のための画期的な対策をたて

ることを期待する。」

[10] 【評価委員見解】 原文も研究成果の普及

という視点で述べたもの

であり、普及は実用化が目

的であることから、「実用

化」を削除する理由はない

Page 191: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-11

【理由】 後継プロジェクト(平成 17 年度から開始した「次

世代ロボット共通基盤開発プロジェクト」)でのア

プリケーション提示の必要性としては、本研究成果

の普及という視点を述べるべきである。 [11] 【実施者意見】 以下の文書への訂正を要望する。 「ミドルウェアの有効性および実用性をさらに示

すためには、本研究の成果であるミドルウェアを具

体的なロボットに適用した実績や評価を積み上げ

ていくことが、今後は重要である。」 【理由】 本研究はRTミドルウェアの構築という標準仕

様を開発したものであり、一般的な技術開発プロジ

ェクトのような定量的な目標設定はなじまないと

考える。むしろ、RTミドルウェアの有効性や実用

性を示す具体的なロボットへの適用実績を積み上

げ、その評価を適切に行っていくことが重要かと考

える。 [12] 【実施者意見】 以下の文書への訂正を要望する。 「フレームワークは整ったが、それを用いたコンポ

ーネントは今後開発し、実装していく必要があるこ

とから、実証プロジェクトの成果の普及等を行うこ

とが必要である。」 【理由】 RTミドルウェアの利用拡大のためにはRTコン

ポーネントを用途に応じて開発し、実装していくこ

とが必要であり、本研究の成果や後継プロジェクト

と判断する。

[11] 【評価委員見解】 「有効性、実用性をさらに

示すための今後の課題」と

の位置づけで指摘したも

のであり、定量的な効果を

提示することは重要であ

る。また、この指摘は「本

研究」についてではなく、

「今後に対して」である。

但し、定量的目標には難し

さがあることも認めるの

で、実施者訂正案を踏まえ

て文章を訂正する。

[12] 【評価委員見解】

訂正理由が不明です。実

施者案の「今後開発し、実

装していく必要がある」

は、「できていない」こと

であり、単に表現を変えた

だけである。文章を訂正し

ない。

Page 192: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

参考資料 2-12

の成果を活用し、RTミドルウェアの普及を図って

いくことが必要である。

Page 193: 「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の 基盤 …ロボット技術(RT)をソフトウェアの共通基盤構築という手法から標準化を視野

本研究評価委員会報告は、独立行政法人新エネルギー・産業技

術総合開発機構(NEDO技術開発機構)研究評価部が委員会

の事務局として編集しています。

平成18年3月

NEDO技術開発機構 研究評価部 部長 笹岡 賢二郎 主幹 高松 秀章

担当 細坪 富守

*研究評価委員会に関する情報はNEDO技術開発機構のホームページ

に掲載しています。

(http://www.nedo.go.jp/iinkai/kenkyuu/index.html)

〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310番地

ミューザ川崎セントラルタワー(20F)

TEL 044-520-5160 FAX 044-520-5162