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DNL プライベート展 Light with 2019 照明お役立ちセミナーレポート

「光の質をワンランク上に引き上げる照明器具選定５つのポイント」

BY DNL・2019 年 11 月 13-15 日

岡本　賢 (Ken Okamoto)1977 年　愛媛県生まれ2000 年　日本大学工学部建築学科卒業2002 年　日本大学大学院工学研究科建築学専攻修了2002 年　株式会社ライティングプランナーズアソシエーツ2007 年　Ripple design 設立2018 年　日本大学生産工学部　非常勤講師

間 接 照 明 に 用 い る LED ラ イ ン 照 明 は LED の 進 化 に よ っ て、 細 く 面 発 光 す る ド ッ ト レ ス の もの や、 レ ン ズ に よ る 配 光 制 御 に よ っ て 狭 配 光 の 光 を 出 せ る ラ イ ン 照 明 な ど、 様 々 な タ イ プ の照 明 器 具 が 登 場 し て い ま す。DN ラ イ テ ィ ン グ の 製 品 だ け で も そ の 種 類 は ３ ０ 種 類 以 上 に 及び、 配 光・ 色 温 度・ 演 色 性 な ど の 項 目 で 細 分 化 す れ ば そ の 数 は さ ら に 増 え ま す。 ま た 照 明 業界 全 体 を み て も 日 本 は LED ラ イ ン 照 明 の 数 が 非 常 に 豊 富 で そ の 数 は 膨 大 な も の に な り ま す。

その中から自分が設計した空間にイメージ通りの照明器具を選択することは LED 照明に移行してから難しくなってきていると思います。ですからいつも決まった器具を使っているという方は多いと思います。それでも昨今の LED ライン照明は全体的な性能があがっているので大きな失敗をすることはありません。より空間や光のイメージに適した照明器具を選択できると、光の質をワンランク上に引き上げる事が可能になります。

2019 年 11 月 13 〜 15 の三日間、DN ライティングの新製品展示会に合わせて、照明デザイナーの岡本賢氏による間接照明のテクニックセミナーを行いました。セミナーでは、照明の細かい部分まで自分で考えて設計してきた経験と豊富な知識を基に、効率的な器具選定のコツを伝授くださいました。こと、最新のライン照明器具の使い方について、「効率的な器具選定のメソッドと最新の LED ライン照明に対応した間接照明のテクニック」と題して、施工事例や具体的なテクニックを図表を交えてわかりやすく解説いただきました。

目次1. 効率的な器具選定のメソッド2. 最新の LED ライン照明に対応した間接照明のテクニック3.DN ライティングの新製品

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1. 効率的な器具選定のメソッド器具選定のメソッドとは器具選びの手法やテクニックのことを指します。前述のとおり膨大な LED ライン照

明の中から普段どのような基準で器具を選定しているのか？岡本氏は器具選定の際、次の 5 つのポイントから照明器具を絞り込んでいるそうです。

Point １．明るさのイメージPoint ２．配光のイメージPoint ３．発光面のタイプPoint ４．電源（トランス）の有無Point ５．間接照明の納まり（器具設置スペースのサイズ）それぞれのポイントの概要は次の通りです。

Point １．明るさのイメージ自分が検討している間接照明にはどのくらいの明るさが必要なのか？というイメージを持つ。例えば１ｍあ

たり何 lm 程度の明るさをイメージしているか？ 数値的な明るさのイメージが難しい場合は従来光源に置き換える。例えば Hf 蛍光灯と同等とか白熱電球 60 ｗと同等など。

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Point ２．配光のイメージ拡散かウォッシャー配光（狭角）か？壁を照らす、天井を照らす、光を伸ばす、横方向に飛ばす、など。

Point ３．発光面のタイプテープライトのように粒状の LED が並ぶドットタイプか、柔らかく光が拡散し面発光するドットレスタイプ

か？特にここ数年は器具幅 20 ｍｍ以下の細い面発光ライン照明がトレンドになっている。

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Point ４．電源（トランス）の有無電源（トランス）を必要としない 100 ｖ仕様の器具か、電源を別置きするローボルト仕様の器具か？ 100v 仕

様の器具は明るさが期待できる分器具のサイズが若干大きくなり、電源別置タイプの器具は非常にスリムで極小スペースに設置可能な反面、100 ｖ仕様の器具に比べると明るさがやや劣る。

Point ５．間接照明の納まり（器具設置スペースのサイズ）ライン照明を設置するスペースのサイズはどの程度か？照らす天井や壁からの距離はどの程度確保できている

か？サイズのみならず照らす面の仕上げや素材はどのようなものかによって間接照明の効果は大きく変わる。

上記の 5 つのポイントを明確にすることで自然と計画している空間に適した照明が絞り込めてくるのではないでしょうか？

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次にその５つのポイントを踏まえた上で、岡本氏が普段照明計画を行う際に使用頻度が高い DN ライティングの製品が紹介されました。

DN ライティングのカタログの中の分類で、店舗・建築化照明のカテゴリからは次の 6 種類 ・TA-LED ・MC-LED3 ・XC-LED ・FX50-LED ・FXD-LED ・PFSH

建築化照明のカテゴリからは次の 5 種類 ・TRE2（トリムライン） ・HAS-LED ・SCF-LEDN ・SCF-LED ・SC3-LED

屋外・軒下用建築化照明のカテゴリからは次の 6 種類 ・HO2-LEDN ・SO3-LEDN ・SO3-LED ・FXE-LED-WP ・FX50-LED-WP ・FXS2-LED-WP

合計 17 種類の器具が挙げられました。よく使う照明器具を絞り込んでもこれだけの機種が挙げられる訳ですから、条件に適した照明器具を選択することは簡単ではないことがここからも分かります。また、赤字で示された器具はその中でも特に使用頻度の高い機種だという事です。

セミナーでは屋内用の器具に絞り、それぞれの特徴をいくつかのポイントに整理してわかりやすく解説して頂きました。さらに、それでも器具選びを迷ってしまう人へ向けて、岡本氏のこれまでの経験に基づく独断と偏見で、これさえ選んでおけば間違いない！という万能型の 2 機種が紹介されました。

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まず 1 機種目は TRE2 という専用電源を必要としない 100V で点灯可能なライン照明です。通称トリムラインと呼ばれています。その特徴は以下の通りです。

2 機種目は MC-LED3 という専用電源別置型のライン照明です。その特徴は以下の通りです。

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どちらのライン照明にも共通して言えることは、スリムでコンパクト、器具を直接見せてもおかしくないシンプルな意匠、十分な光量があり調光が可能である事が挙げられます。設置スペースに余裕があったり、より明るさを求められる場合は TRE2、狭いスペースに設置する必要がある場合は MC-LED3 という使い分けが望ましいとの事でした。

また、この 2 機種は調光ができる万能型のライン照明ではありますが、使う場所によっては明るすぎる場合がありますので、この 2 機種にさらに幅８mm の面発光ドットレスライン照明「XC-LED」を加えるとインテリアであればほぼどのようなケースでも対応が可能だろうというアドバイスもありました。

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ここからセミナーは後半に移ります。

2. 最新の LED ライン照明に対応した間接照明のテクニック後半は「最新の LED ライン照明に対応した間接照明のテクニック」というテーマのもとに、特に昨今ト

レンドとなっている細型の面発光ドットレスライン照明を間接照明として用いる場合のテクニックについて解説頂きました。これまでの間接照明は LED 照明に移行しても蛍光灯や、DN ライティングの製品で言えばシームレスライン等と同じディテールで間接照明を計画していれば特に問題ありませんでした。

しかし、器具幅は 20㎜以下という LED ライン照明の選択肢が豊富にある現在では、これまでにできなかったようなディテールが可能になってきました。特にコンクリート打ちっぱなしや、天井懐がほとんどないような天井にも、わずかなスリット（例えば 25mm × 25mm のスリットなど）さえあれば照明器具を設置し、十分な明るさが得られるようになりました。

LEGALAND　SANGENJYAYA / 設計：株式会社　プラスマイズミアーキテクト + 株式会社　島田宇啓建築研究所

NKG 日吉寮 / 設計：株式会社 16A [ イチロクアーキテクツ ]

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これは LED ライン照明の発光効率の向上と、器具が見えても違和感のないスリム・コンパクトな優れた器具デザインが両立したことにより実現可能になりました。これによりコンクリート打ちっぱなしの天井でも直付けダウンライトなどを用いることなく、十分な明るさが確保できます。

ただ、そのような照明手法が可能になったことで新しい問題も生まれてきます。その最たるものが器具連結の問題です。間接照明がある程度の長さになると、器具を連結する必要があります。その際には大半のLED ライン照明はコネクタを使って器具と器具をつなぎ合わせます。また、細型の LED ライン照明はその特徴を最大限に活かすために、ギリギリの設置スペースに取り付けを計画するケースが多いそうです。

例えば器具幅ギリギリの設置スペースで器具を連結する場合、コネクタを逃がすスペースがなくなってしまうという問題が生じてきます。そのために、今度は設置スペースをコネクタ連結部の余裕をみて計画する必要がありますが（特に直接光のラインを見せるデザインの場合）、そうなると非常に野暮ったいディテールになってしまいます。

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そのような問題を解消するためにいくつかのライン照明には器具をマウントアップ（かさ上げ）するようなオプションが用意されています。かさ上げした器具の下にコネクタを隠すスペースを設けることができるので、器具を連結する場合でも器具幅ギリギリのディテールを実現できます。このマウントアップのオプションは DN ライティングの製品にも用意されているとのことです。このようなオプションが用意されているか否かでそのメーカーのレベルがある程度判断できると岡本氏からのコメントがありました。

狭いスペースに細型のライン照明を設置する際に注意すべき点がもう一つあります。例えばコーニス照明の場合、ライン照明を設置するポジションが壁から 10mm 離れているか、20mm 離れているか、たった10mm の差でもその光の伸びが大きく異なります。もちろん、壁からの距離が少しでも離れた方が光はよく伸びます。タイトなディテールの場合は mm 単位での照明取り付け位置の調整が重要になってくるとの事でした。また、この光の効果についてはセミナーと同時に DN ライティングの地下で開催されていた新製品の展示会場でも体験することができ、セミナーの参加者にとってはより理解度が深まったのではないかと思います。

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3.DN ライティングの新製品その他 DN ライティングの新製品についてもいくつか解説頂きました。その中でも最近岡本氏が特に気

に入っているというのがプロファイル照明「PFS」「PFSH」です。

プロファイル照明というのは簡単にいうと、アルミの押し出し材にテープライトを取り付け、アクリルカバー（ディフューザー）で蓋をした現場で組み立てるようなライン照明です。それぞれのパーツを組み上げてしまえば、一体他のライン照明と何が違うんだ？という感じがします。

下の画像のような間接照明を行う場合、通常は建築施工で照明が設置可能なスペース（照明ボックス）を作ってもらい、アクリルのカバーとそれを受ける金具などの検討が必要になります。そこへ電気工事で照明器具を取り付け、最後にアクリルカバーで蓋をします。我々はそのディテールのイメージを描き、現場に指示を行い設計・建築施工・電気施工の担当者と打ち合わせを重ねてようやく実現するこができます。

一方プロファイル照明の場合、アルミの押し出し材とディフューザーがすでに照明ボックスの役割を果たしているので、照明器具が設置可能な 20mm × 20mm の設置スペースさえ用意してもらえば、そのスペースに器具をストンと入れるだけで設置が完了します。また押し出し材を用いたこの器具は現場で好きな長さにカットすることができるため、設置したい場所にピッタリ収めることができます。

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この器具の素晴らしいところは複雑な建築造作を行う事なく、美しい建築化照明を低コストかつ簡単に実現できる点にあります。ただし万能ではありません。テープライトをベースとしているため１ｍあたり約500lm と明るさはやや控えめなので、どこにでも使えるというわけではありません。

岡本氏はピッタリとサイズを合わせられる特徴を最大限に活かして、鏡の照明や、造作家具の間接照明に用いることをおススメしていました。

葉山医院併設住宅 / 設計：田井勝馬建築設計工房

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これまで販売されていた「PFS」は直線しか設計することができませんでしたが、L 字に曲がるコーナーパーツを持つ「PFSH」が新しく登場しました。器具の高さは「PFSH」の方が約倍（PFSH：40mm / PFS：20mm）になりますが、それでも十分にスリム・コンパクトなので、さらに光のデザインの幅が広がることが予想されます。

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最後に新製品である大光量テープライト「FXH-LED」が紹介されました。テープライトの最大の特徴は薄さです。しかしながら LED 光源がドット状に並ぶテープライトは広角配光でも指向性が強く、カットオフラインのコントロールが難しい。さらに光量も弱く、光源の映り込みもドット状になるため、細型の面発光ドットレスライン照明の選択肢が豊富にある現在では使用頻度が低くなっているそうです。

しかし新製品の「FXH-LED」はテープライトでありながら蛍光灯に迫る 1m あたり約 2800lm の明るさがあります。こうなってくると話は変わってきます。テープライトの薄さを最大限に活かす事ができようになります。例えば設置スペースがタイトなコーブ照明の場合、通常のライン照明であれば器具を隠す幕板が必要になるため、開口部分がどうしても狭くなってしまいます。しかし「FXH-LED」であれば条件によっては幕板なしでも器具が見えないコーブ照明が実現可能になります。設置スペースが狭い条件でも開口部を犠牲にすることなく十分な光量を得ることができます。

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新製品の話題も地下のショールームで開催されている新製品展示会と連動して実物を見ることによってより製品の理解度が深まるセミナーになったのではないかと思います。