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「図解シーケンス制御実習」 サンプルページ · i シーケンス制御は,あらかじめ決められた操作を設定順序どおりに処理していく技

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「図解シーケンス制御実習」

サンプルページ

この本の定価・判型などは,以下の URL からご覧いただけます.

http://www.morikita.co.jp/books/mid/092081

※このサンプルページの内容は,初版 1 刷発行当時のものです.

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 シーケンス制御は,あらかじめ決められた操作を設定順序どおりに処理していく技術です.この技術は,生産ラインなどを中心に昔から使用されています.一方で,近年,著者らの勤務する高専において,地域企業に対するアンケートを実施したところ,その中で,技術者に修得させたい技術として,最もニーズが多かったのはシーケンス制御でした.このことからも,シーケンス制御が,今日でも多くの場面でとても大切な技術として,ますますその重要性を高めていることがわかります. シーケンス制御の基本は,スイッチやリレーなどを組み合わせた簡単な電気の回路です.したがって,基本となる技術はたいへん簡単です.一方で,簡単であるがために,高専や大学などでは軽視されてきた面があるかもしれません.しかし,実用技術を習得した即戦力となる技術者を育成するという観点から,シーケンス制御を授業に取り入れる教育機関が増えてきました.さらに,近年のコンピュータの飛躍的な発展にともなって,シーケンス制御で使用する PLC(シーケンサ)とよばれる機器のネットワーク対応などの高機能化が進んできました.これにより,シーケンス制御は,ますます重要な技術としての地位を高めています. 本書では,はじめてシーケンス制御について学ぼうとする方々を対象に,基本知識や考え方,そして応用をやさしく解説しました.図を多く用いるとともに,丁寧でわかりやすい説明を心掛けました.本書の前半ではリレーを用いたシーケンス制御,後半では PLCを用いたシーケンス制御について解説しています. 本書を読み進めば,次第にシーケンス制御のことがわかってくることでしょう.しかし,注意してください.回路図だけをみて,わかったつもりになった事柄であっても,実習をしてみれば,思わぬ問題に気がつくことは少なくありません.理解を確実にするために,どうか本書を片手に,手間を借しまずに実際の回路を配線しながら学習を進めてください. 読者の方々が本書によってシーケンス制御の基礎をマスターし,目的の制御を実現されることを心よりお祈りしています.最後になりましたが,本書出版の機会を与えてくださった森北出版の森北博巳社長にこの場を借りて厚く御礼申し上げます.

 2011年 6月著者しるす 

ま え が き

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第1章 自動制御の基礎 1

   1.1 シーケンス制御とは 1

   1.2 シーケンス制御の実現法 6

   章末問題 10

第2章 シーケンス制御の基本部品 12

   2.1 スイッチ 13

   2.2 表示器 21

   2.3 リレー 25

   2.4 タイマ 33

   2.5 カウンタ 39

   2.6 検出スイッチ 43

   2.7 モータ 51

   章末問題 54

第3章 リレーシーケンス制御の基礎 55

   3.1 シーケンス図の基礎 56

   3.2 タイムチャート 64

   3.3 スイッチ操作と論理回路 67

   章末問題 71

第4章 リレーシーケンス制御の基礎回路 72

   4.1 自己保持回路 73

   4.2 優先回路 79

   章末問題 86

第5章 リレーシーケンス制御の応用回路 87

   5.1 フリッカ回路 87

   5.2 信号機回路 89

   5.3 ベルトコンベア回路 92

   5.4 自動ドア回路 94

   章末問題 100

目 次

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第6章 PLCの基本 102

   6.1 PLCのしくみ 102

   6.2 PLCの実例 106

   6.3 PLCの使い方 115

   章末問題 121

第7章 ラダー図の基礎 122

   7.1 ラダー図の基本ルール 122

   7.2 ラダー図の考え方 128

   7.3 命令語とラダー図 135

   章末問題 139

第8章 PLCシーケンス制御の基礎回路 140

   8.1 論理回路 140

   8.2 自己保持回路 144

   8.3 タイマ回路とカウンタ回路 145

   8.4 優先回路 148

   章末問題 155

第9章 PLCシーケンス制御の応用回路 156

   9.1 タイマやカウンタを用いた応用回路 156

   9.2 センサを用いた応用回路 162

   章末問題 170

付録 〈付録A〉 ブール代数の基礎 172

     〈付録B〉 シーケンス制御用実習装置 178

     〈付録C〉 オムロンCX-Programmer の使い方 182

     〈付録D〉 三菱電機GX Developer の使い方 191

     〈付録E〉 新旧シーケンス図記号    201

問題解答 203

参考文献 214

索 引 215

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1.1 シーケンス制御とは

ここでは,自動制御の基礎として,大まかな分類や制御の例について学びましょう.シーケンス制御とフィードバック制御の違いなどをよく理解してください.

洗濯機,炊飯器,食器洗い乾燥機などの家電製品は,スイッチを押すだけで自動的に必要な動作を実行してくれます.家電製品だけではなく,自動ドアやエレベータなど,私たちの身の回りには,決まった動作を正確に実行する機器がたくさんあります.このような機器の登場により,私たちの生活は,非常に便利,かつ快適になりました.これらの機器を目的どおりに動作させるためには,「自動制御」という技術が活用されています.この章では,自動制御の各種方式や具体例などについて学びましょう.

第 1 章

自動制御の基礎

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2  第 1章 自動制御の基礎

1.1.1  自動制御とは �制御とは,機器をある目的どおりに動作させるように操作することです.したがって,自動制御とは,人手によらずに自動的に,機器をある目的どおりに動作させるように操作することを意味します.例として,操り人形を動かす(制御する)ことを考えてみましょう.図 1.1( a )は,人が人形を操作していますので,自動制御とはいえません.一方,図( b )では,制御回路やモータなどを使用することで,人手によらずに自動的に人形を動かします.つまり,図( b )のような方式は,自動制御ということができます.私たちの身の回りには,図 1.2( a )のような炊飯器や洗濯機などの家電製品,街に

出れば,信号機や自動洗車機などのように,自動制御されている機器がたくさんあり

図 1.1 制御の例

( a) 人手による制御 ( b) 自動制御

図 1.2 自動制御の例[写真提供:(a) パナソニック,(b) トヨタ自動車]

( a) 炊飯器 ( b) ロボット

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1.1 シーケンス制御とは  3

ます.また,図( b )のような人が操作しなくても動作するロボットや,宇宙で動作する無人衛星なども自動制御されている機器としてとらえることができます.

1.1.2  シーケンス制御とフィードバック制御 �自動制御は,図 1.3に示すように,シーケンス制御とフィードバック制御に大別す

ることができます.

図 1.3 自動制御の分類

( 1) シーケンス制御シーケンス制御は,「あらかじめ決められた順序に従い,あらかじめ決められた動作

を行うための制御」です.たとえば,図 1.4に示す洗濯機は,スイッチを押すと,あらかじめ決られている順序で,「洗い」から「乾燥」にいたるまでの動作を実行します.つまり,この洗濯機は,シーケンス制御によって動作しているのです.この他にも,炊飯器や自動洗車機などのようにシーケンス制御によって動作している機器はたくさんあります.シーケンス(sequence)には,「連続」という意味があります.

図 1.4 シーケンス制御の例[写真提供:パナソニック]

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4  第 1章 自動制御の基礎

( 2) フィードバック制御フィードバック制御は,「出力を目標値と一致させるために,出力を観測して目標値とのずれ(偏差)を入力側に戻しながら行う制御」です.たとえば,図 1.5に示すエアコンは,目標値として希望の室温を設定すると,温度センサなどによって室温を測定しながら冷風出力を調整し,室温が目標値(設定温度)になるように動作します.つまり,このエアコンは,フィードバック制御によって動作しているのです.この他にも,温度やモータの回転速度などを一定に保つ必要のある機器にフィードバック制御が利用されています.

図 1.5 フィードバック制御の例[写真提供:パナソニック]

このように,シーケンス制御とフィードバック制御は,用途によって使い分ける必要があります.本書の目的は,シーケンス制御の基礎をマスターすることです.シーケンス制御は,簡単な構成で実現でき,かつ応用範囲が広いため,多くの分野で使用されています.

( 3) シーケンス制御の例身近なシーケンス制御の例として,エレベータの動作を考えてみましょう(図 1.6参照).

図 1.6 エレベータの例

( b)操作スイッチ( a)外観

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1.1 シーケンス制御とは  5

エレベータに要求される目的を簡単にいえば,「ある階から他の階まで乗客を運ぶこと」です.エレベータは,この目的を達成するために,以下の動作を順番に実行します.〈エレベータの動作〉

① 各階にあるエレベータの乗車スイッチが押されたら,その階までカゴを移動させる.

② カゴを停止させたら,ドアを開ける.③ 乗客がカゴに乗り,行き先階を指定したら,その数秒後にドアを閉める.④ 目的の階までカゴを移動させる.⑤ カゴを停止させたら,ドアを開け,数秒後にドアを閉める.ただし,上記の他にも,実際のエレベータには以下のような機能などが必要となり

ます.〈実際に必要となる機能の例〉

① 定員オーバーになったら,ブザーを鳴らす.② 人や物がドアに挟まってしまったら,ドアを開ける.③ 地震や異常が発生したら,最寄りの階までカゴを移動して停止させる.

エレベータを正しく制御するために重要なのは,以下の項目です.〈制御に重要な項目〉

① カゴの移動やドアの開閉など,それぞれの「動作」が正確に実行されること.② それぞれの動作の「順番」を守ること.③ それぞれの動作を開始または,終了するための「条件」を守ること.つまり,対象物を目的どおりに動かすためには,動作,順番,条件の 3項目を的

確に制御することが重要なのです(図 1.7参照).そして,これらを人手によらずに制

図 1.7 シーケンス制御の重要項目

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6  第 1章 自動制御の基礎

御することが自動制御の役割になります.ここで,シーケンス制御の定義を再確認しましょう.シーケンス制御とは,「あらかじめ決められた順序に従い,あらかじめ決められた動作を行うための制御」です.

1.2 シーケンス制御の実現法

シーケンス制御とは,あらかじめ決められた順序で,決められた動作を行う制御であることを学びました.この制御を実際に行うためには,いくつかの方式があります.ここでは,各方式の概要について理解しましょう.

1.2.1  シーケンス制御装置の構成 �シーケンス制御を行う方式には,いくつかの種類がありますが,どの方式であっても図 1.8に示すような基本構成をしています.シーケンス制御装置は,入力装置,出力装置,そして中核となる制御回路から構成されます.

図 1.8 シーケンス制御装置の基本構成

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1.2 シーケンス制御の実現法  7

( 1) 入力装置入力装置は,動作の開始や終了の条件を制御回路に与える役割をします.たとえ

ば,押しボタンスイッチなどは,人が操作する入力装置です.また,磁気センサや位置センサなどは,動作している機械の状態を検出して制御回路に与える入力装置です.

( 2) 出力装置出力装置は,制御回路からの信号を外部に出力する役割をします.たとえば,ラン

プやブザーなどは,動作の開始や終了の状態を人に知らせる出力装置です.そして,モータなどは機械を動かすための出力装置です.また,モータや電磁弁,エアシリンダなどのように受け取ったエネルギーを機械的な動作に変換する部品をアクチュエータ(actuator)ともいいます.

( 3) 制御回路制御回路は,シーケンス制御を正しく動作させるための司令塔です.入力装置から

受け取った信号にもとづいて,あらかじめ決められた動作を決められた順に実行するように出力装置に信号を与えます.シーケンス制御を実現することは,適切な入力装置と出力装置を決めた後,確実に動作する制御回路を設計することなのです.

1.2.2  シーケンス制御の分類 �制御回路は,内部に配置したスイッチを電気的に切り替えることで,シーケンス制

御を実現します.使用するスイッチとしては,リレー,ディジタル IC,PLCの 3種類が考えられます.このため,どのスイッチを用いて制御回路を構成するのかによって,図 1.9に示すように,シーケンス制御を分類することができます.

図 1.9 シーケンス制御の分類

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8  第 1章 自動制御の基礎

( 1) リレーシーケンス制御方式リレーシーケンス制御方式は,制御回路内のスイッチに,リレー(電磁継電器)とよばれる部品を用いる方式です.図 1.10に,リレーの外観例を示します.

図 1.10 リレーの外観例

リレーは,電磁石によって機械的な接点の ON,OFFを切り替えるスイッチです.このため,リレーシーケンス制御は,有接点シーケンス制御ともいわれます.リレーについては,第 2章で詳しく説明します.リレーシーケンス制御には,つぎのような特徴があります.① 回路設計や変更が容易② 簡単な制御は安価に実現が可能③ 複雑な制御には不向き

( 2) ディジタルシーケンス制御方式ディジタルシーケンス制御方式は,制御回路内のスイッチに,ディジタル ICやトランジスタなどの半導体素子を用いる方式です.図 1.11に,ディジタル ICの外観例を示します.この制御方式は,リレーシーケンス制御方式と異なり,機械的な接点を用いません.スイッチの切り替えは,半導体のスイッチング作用によって電子的に行われま

図 1.11 ディジタル ICの外観例

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1.2 シーケンス制御の実現法  9

す.このため,無接点シーケンス制御ともいわれます.また,制御にマイクロコンピュータを利用することも少なくありません.ディジタルシーケンス制御には,つぎのような特徴があります.① 応答が高速② 回路の小型化が可能③ 低消費電力化が可能④ 回路設計や変更が困難

( 3) PLCシーケンス制御方式PLC(ピー・エル・シー)とは,プログラマブルロジックコントローラ(program-

mable logic controller)の略称であり,シーケンサとよばれることもあります.PLC

の中には,リレーやタイマなど制御回路に必要な部品が多数納められていると考えることができます.そして,それらの部品の接続や動作の仕方をプログラムで指示します.つまり,PLCは,シーケンス制御のために作られた専用の小型コンピュータであるととらえることができます.図 1.12に,PLCの外観例を示します.

図 1.12 PLCの外観例

PLCについては,第 6章で詳しく説明します.PLCシーケンス制御には,つぎのような特徴があります.① 多くの入出力装置の接続が可能② 複雑な回路でも配線が簡単③ 複雑な制御の実現が可能④ ノイズに強い⑤ 回路の小型化が可能

制御したい内容を考えて,上記のようなそれぞれの方式がもっている特徴を活かせるように,どの方式を使うかを決めることになります.一般的には,簡単な制御であ

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10  第 1章 自動制御の基礎

ればリレーシーケンス制御,使用するリレーが多数になる複雑な制御であれば PLC

シーケンス制御,小型化が必須ならディジタルシーケンス制御が採用されます(図 1.13参照).もちろん,どの制御方式を採用するかは,経済的なコストも大切な要因になります.

図 1.13 各方式の特徴

実際の制御の現場では,PLCシーケンス制御が広く採用されています.一方で,PLCシーケンス制御を行うためには,リレーシーケンス制御の知識が必須となります.このため,本書では,前半でリレーシーケンス制御,後半で PLCシーケンス制御を扱い,これらをマスターするための基礎事項について詳しく解説します.

● 章末問題 ●1.1 つぎの文章の①~⑧に適切な用語を,解答群から選びなさい.    自動制御とは, ① によらず ② をある ③ どおりに動作させるように

④ することである.自動制御は, ⑤ 制御と ⑥ 制御に大別することができる. ⑤ 制御は,あらかじめ決められた ⑦ に従い,あらかじめ決められた⑧ を行うための制御である.

   〈解答群〉フィードバック,順序,目的,操作,人手,シーケンス,動作,機器1.2 つぎの制御の中から,シーケンス制御であると考えられるものを選びなさい.   ① 交通信号の制御   ② DVDレコーダのタイマ録画制御   ③ エアコンの温度制御   ④ 切符の自動販売機   ⑤ 無人自動車を一定速度で走らせる制御1.3  つぎの部品をシーケンス制御に用いる場合,入力装置または,出力装置のどちらとな

るか答えなさい.

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章末問題  11

   ① ランプ ② モータ ③ 光センサ ④ 押しボタンスイッチ   ⑤ ブザー ⑥ 電磁弁1.4  アクチュエータとは,どのような部品か説明しなさい.1.5  シーケンス制御を実現する 3種類の方式について,つぎの問に答えなさい.   (1) 各方式の名称を答えなさい.   (2) 各方式において,スイッチとして使用する制御回路の主要部品の名称を答えなさ

い.1.6  PLCの正式名を答えなさい.1.7  リレーシーケンス制御方式の特徴を答えなさい.1.8  PLCシーケンス制御方式の特徴を答えなさい.1.9  ガソリンスタンドなどに設置されている自動洗車機をシーケンス制御機器ととらえて,

開始から終了までの各動作を,図 1.14を参考に実行順に流れ図として表しなさい.

図 1.14 自動洗車機動作の流れ

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4.2 優先回路  79

で戻る.つまり,自己保持状態がはじまってから指定した時間が経過したときに,コイルに

直列接続されたタイマの b接点を一瞬だけ開いて自己保持状態を解除することで,指定した時間だけ動作を継続させています.

4.2 優先回路

複数の動作を実行できる回路において,各動作につけられた優先順位をもとに,実際に実行する動作を決定する回路を優先回路といいます.優先回路は,動作の順番を守らせる機能や,ある動作が実行されている間は他の動作は実行させないようにする機能,先に受け付けた入力に対応する動作を実現する機能などを実現するために利用されており,シーケンス制御回路が所望の動作を実現するために必要な回路です.本節では,よく利用される優先回路として,直列優先回路,インタロック回路,並列優先回路について理解しましょう.

問題 4.2

図 4.10( a )に,図 4.8のワンショット回路の実体配線図を,図 4.10( b )に図 4.8の回路のランプの ON, OFFを表現するタイムチャートを描き込みなさい.

図 4.10 問題 4.2

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80  第 4章 リレーシーケンス制御の基礎回路

4.2.1  直列優先回路(順序回路)�1.1.2項で,洗濯機に「洗い」,「すすぎ」,「脱水」,「乾燥」の動作を順序どおりに実行させるためにシーケンス制御が使われることを説明しました.この他にも,信号機のランプを「青」,「黄」,「赤」の順番で点灯させたり,指定された順番どおりに押しボタンスイッチが押された場合のみに装置を動作させたりするなど,「順序を守らせる制御」の応用例は非常に多く存在します.ここで,「指定した動作を指定した順序で実行させるための回路」は直列優先回路(順序回路)とよばれています.なお,直列優先回路は,動作の順番を守らせるためだけではなく,装置の操作順番の間違いによる誤動作を根本的になくすためなどにも利用されています.本項では,直列優先回路の構成を理解しましょう.図 4.11の回路で,押しボタンスイッチ BS1,BS2を押す順番と,ランプ Lの点灯状態の関係について考えてみましょう.

図 4.11 直列優先回路(順序回路)

押しボタンスイッチ BS1を先に押すと,回路は以下のように動作します(図 4.12参照).① 押しボタンスイッチ BS1を押すと,リレー R1のコイルに電流が流れる.② リレー R1のコイルが励磁し,2番地上のリレー R1の a接点が閉じられ,リレー R1が自己保持状態になる.

③ 押しボタンスイッチ BS2を押すと,②で閉じられた a接点を通じてリレー R2

のコイルに電流が流れる.④ ③の動作により,3番地上のリレー R2の a接点が閉じられ,リレー R2も自己保持状態になる.また,ランプ Lにも電流が流れ続けるため,押しボタンスイッチ BS2から手を離してもランプが点灯し続ける.

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4.2 優先回路  81

図 4.12 押しボタンスイッチBS1 を先に押した場合の動作

これに対し,押しボタンスイッチ BS2を先に押した場合は,押しボタンスイッチBS1も,2番地上のリレー R1の a接点も,どちらも制御母線につながっていないため,回路には電流が流れず,ランプ Lが点灯することはありません(図 4.13参照).

図 4.13 押しボタンスイッチBS2 を先に押した場合

つまり,図 4.11の回路の回路では,押しボタンスイッチ BS2はリレー R1の a接点を介して制御母線へつながっているため,ランプ Lを点灯させるためには,押しボタンスイッチ BS2を押す前に,押しボタンスイッチ BS1を押してリレー R1を自己保持させておかなければなりません.

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82  第 4章 リレーシーケンス制御の基礎回路82 第 4章 リレーシーケンス制御の基礎回路

問題 4.3

図 4.14( a )に,図 4.11の直列優先回路の実体配線図を,図 4.14( b )に図 4.11の回路のランプ Lの ON, OFFを表現するタイムチャートを描き込みなさい.

図 4.14 問題 4.3

4.2.2  インタロック回路 �図 2.81に示したように,交流モータは,コンデンサ両端の端子が同時に電源に接続されると,両方へ回転しようとするため,壊れてしまいます.したがって,交流モータを利用する装置では,モータが一方へ回転しようとする場合には,逆方向へ回転させないように回路を構成します.一方,装置に重大な故障が起こった場合,動作を緊急停止させた後は,操作入力を受け付けないようにする機能が必要です.ここで,「ある動作を実行している間は他の動作を受け付けなくする回路」をインタロック回路といいます.本項では,インタロック回路の構成について学びます.図 4.15の回路で,3番地上のリレー Rの b接点の役割に注意しながら,押しボタンスイッチ BS2を押し続けている状態で押しボタンスイッチ BS1を押した場合に,緑ランプGLと赤ランプ RLのどちらが点灯するかを考えてみましょう.図 4.15の回路の動作は以下のようになります(図 4.16参照).

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4.2 優先回路  83

図 4.15 インタロック回路の例

図 4.16 押しボタンスイッチBS1 を押した場合

① 押しボタンスイッチ BS2を押すと,赤ランプ RLに電流が流れ,赤ランプ RL

が点灯する.② 押しボタンスイッチ BS1を押すと,(押しボタンスイッチ BS2の状態にかかわらず)リレー Rのコイルに電流が流れてコイルが励磁するとともに,緑ランプGLに電流が流れ,緑ランプGLが点灯する.

③ リレー Rのコイルが励磁したことにより,3番地上の b接点が開いて赤ランプRLが消灯する.

つまり,図 4.15の回路は,押しボタンスイッチ BS1が押されて緑ランプ GLが点灯している間は,3番地上のリレー Rの b接点が必ず開放状態となることを利用し, 押しボタンスイッチ BS2が押されても,赤ランプ RLが点灯しない構成になっています.この回路のリレー Rの b接点のように,ある動作が実行されている間,他の動作は実行できないようにするための b接点をインタロック接点といいます.

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84  第 4章 リレーシーケンス制御の基礎回路

問題 4.4

図 4.17( a )に,図 4.15のインタロック回路の実体配線図を,図 4.17( b )にリレー R,緑ランプGL,赤ランプ RLの ON, OFFを表現するタイムチャートを描き込みなさい.

図 4.17 問題 4.4

4.2.3  並列優先回路 �インタロック回路を応用すると,「最も早くはじまった動作が最優先され,他の動作は実行できなくなる回路」を構成することができます.このような回路は並列優先回路とよばれており,身近な応用例としてクイズの早押しボタン判定回路があります.本項では,クイズの早押しボタン判定回路を例に,並列優先回路について理解しましょう.図 4.18の回路の動作について,2番地上のリレー R1の b接点の役割に注意しながら,押しボタンスイッチ BS1が先に押された場合の回路の動作について考えてみましょう.押しボタンスイッチ BS1を先に押すと,図 4.18の回路は以下のように動作します(図 4.19参照).① リレー R1が自己保持し,緑ランプ GLが点灯し続ける.

② リレー R1が自己保持することで,3番地上のリレー R1の b接点が開放状態になる.つまり,押しボタンスイッチ BS2に対してインタロックがかかるので,押しボタンスイッチBS2を押しても,赤ランプ RLを点灯させることはできなくなる.

図 4.18 並列優先回路

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4.2 優先回路  85

なお,図 4.18の回路構成は上下対称になっているため,押しボタンスイッチ BS2

を先に押した場合はリレー R2が自己保持して赤ランプ RLを点灯させ続けるとともに,押しボタンスイッチ BS1に対してインタロックをかけます.つまり,押しボタンスイッチ BS1を押しても緑ランプ GLを点灯させることができなくなります.このように,並列優先回路は,複数ある動作がお互いにインタロックをかけ合う構造になっています.

問題 4.5

図 4.20(a)に,図 4.18の並列優先回路の実体配線図を描き込みなさい.また,図 4.20 (b)に,図 4.18の並列優先回路で,押しボタンスイッチ BS1を先に押した場合,および,押しボタンスイッチ BS2を先に押した場合の,リレー R1,R2,緑ランプ GL,赤ランプ RLの ON,OFFを表現するタイムチャートを描き込みなさい.

図 4.20 問題 4.5

図 4.19 押しボタンスイッチBS1 を押した場合の並列優先回路の動作

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86  第 4章 リレーシーケンス制御の基礎回路

● 章末問題 ●4.1  図 4.21に,適切な図記号,端子番号,文字記号,配線を描き加え,つぎの順番で動作

する回路のシーケンス図を完成させなさい.ただし,利用するカウンタは図 2.55( b )に示したカウンタであるとする.

 ① 押しボタンスイッチ BS1を 10回押すと,緑ランプGLが点灯する.

 ② ①の後で押しボタンスイッチ BS2を押すと,手を離しても赤ランプ RLが点灯し続ける.

 ③ ボタンスイッチ BS3を押すと,最初の状態に戻る.

4.2  図 4.22の回路(新入力優先回路)のタイムチャートを描きなさい.

図 4.22 章末問題 4.2

4.3  以下の動作をする回路(3人用早押しボタン判定回路)のシーケンス図を描きなさい.   ① 押しボタンスイッチ BS1,BS2,BS3に対して,緑ランプ GL1,GL2,GL3のそ

れぞれが点灯する.ただし,スイッチから手を離してもランプの点灯状態は続くものとする.

  ② 最初に点灯したランプ以外は,他の押しボタンスイッチを押しても点灯しない.   ③ 押しボタンスイッチ BS4を押すことで,最初の状態に戻すことができる.

図 4.21 章末問題 4.1

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   著 者 略 歴上 泰(かみ・やすし)九州工業大学 情報工学部 制御システム工学科 卒業九州工業大学大学院 情報工学研究科 情報科学専攻 博士前期課程修了九州工業大学大学院 情報工学研究科 情報科学専攻 博士後期課程修了博士(情報工学)現在 国立明石工業高等専門学校 電気情報工学科 准教授

落丁・乱丁本はお取替えいたします.

堀 桂太郎(ほり・けいたろう)千葉工業大学 工学部 電子工学科 卒業日本大学大学院 理工学研究科 電子工学専攻 博士前期課程修了日本大学大学院 理工学研究科 情報科学専攻 博士後期課程修了博士(工学)現在 国立明石工業高等専門学校 電気情報工学科 教授

編集担当 二宮 惇(森北出版)編集責任 石田昇司(森北出版)組  版 dignet印  刷 丸井工文社製  本   同

図解シーケンス制御実習―ゼロからわかる自動制御― © 上 泰・堀 桂太郎 2011

2011年 7月 28日 第 1版第 1刷発行 【本書の無断転載を禁ず】2012年 11月 8日 第 1版第 2刷発行

著  者 上 泰・堀 桂太郎発 行 者 森北博巳発 行 所 森北出版株式会社

東京都千代田区富士見 1‒4‒11(〒102‒0071)電話 03‒3265‒8341/FAX 03‒3264‒8709http://www.morikita.co.jp/

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