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KAWAI Takayoshi
地域の魅力を高めるヒント ~シティプロモーション事例から学ぶ
東海大学文学部広報メディア学科河井孝仁
第51回全国広報広聴研究大会 2014.6.6
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの必要性
• 行政にとって
– 少子高齢化による持続性へのリスク
– 地域自立・自律の一方での財政難
– 平成の大合併による関心の分散
2
地域経営の確保
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの必要性
• 住民・市民にとって
–住居地からの離脱困難状況を基礎に
• 危機での生命確保を可能とする地域機能確保
• 高齢者の生活維持を可能とする地域機能確保
• 子どもの育ちを的確に実現する地域機能確保
–地域への参画に伴う心理所得付与
• 地域に関わることへのシビックプライドの昂進
3
生活維持・存在意義(アイデンティティ)の確保
KAWAI Takayoshi
シティプロモーション
• 人々が継続的して幸せに暮らす地域を作りだすために、
• 地域の魅力を発散・編集・研磨し
• 地域内部に効果的に訴求することで、
• 市民や、地域内のNPOや企業の、さらに翻って行政内部の、
• 地域経営に向けた活動意欲をひきだすこと
これを前提として
4
「満足している」にはとどめない、より能動的に
KAWAI Takayoshi
シティプロモーション
これを前提として
• 地域内外へ、
• 多様な地域魅力の効果的な訴求を
• 市民や地域のNPO・企業とともに行うことを可能にし、
• 人材、物財、資金、情報などの資源を獲得し、地域内部で活用可能とする こと
5
KAWAI Takayoshi
言い換えれば
• 地域イメージのブランド化(後述)により
• ステークホルダー及び顧客の意欲をつくりだし、
• 地域持続のための資源を獲得すること
–個々の地域特産品のブランド力だけを高めることではない
6
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの目的
/103
7
定住人口・訪問人口
参画意欲
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの目的
• 市民・顧客の「参画総量」の増加
/103
8
定住人口・訪問人口
参画意欲
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの目的
/103
9
定住人口・訪問人口
参画意欲
• 「人口」だけが増えても成功ではない
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの目的
• 「人口」が増えなくても成功はある
/103
10
定住人口・訪問人口
参画意欲
KAWAI Takayoshi
ブランド化
• 魅力の発散・編集・研磨による差別的優位性の実現
• 効果的訴求による評判形成→行動変容
• 継続的な信頼確認
11
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの留意点
• 地域経営の的確な実現を図るために、プリンシパルである市民の参画意欲、地域推奨意欲を向上させることが第一義の目的となる
• そのうえで、地域経営のエージェントである企業やNPO、(さらに反射的に)行政の活動意欲を向上させることが可能となる
• その結果として、地域内外への地域魅力の積極的訴求が行われ、資源の獲得が実現される
12
上記は順番ではなく、並行的にも行われ、 相互に影響を与えることにも注意
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの進め方
13
KAWAI Takayoshi /103
14
差別的優位性実現のための
地域魅力創造サイクル
正統性 エンジン
研磨
共有
編集
発散
KAWAI Takayoshi
正統性エンジン
• 行政だけが行うわけではない
/103
KAWAI Takayoshi
ステージ 1 発散
• 意欲ある市民の参画(正統性エンジン)による魅力発見・異化
• 一人50,100という過剰な発散
• ワークショップ
–ワールドカフェ方式も活用
• 課題からではなく
魅力からの意見交換
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誘発→多様な魅力の発見・・・しかし拡散
KAWAI Takayoshi
ステージ 2 共有
• 個人的・具体的に提示された魅力を、多方向な視野を持った市民の集まりとして(正統性エンジン)可能なかぎり実際に体験。「なぜ、それがこの人にとっては魅力なのか」を共に考える。
17
KAWAI Takayoshi
ステージ 3 編集
• 編集:要素を組み合わせることで、個別要素の和を超える魅力を作り上げる作業
• ブランド化 =差別的優位性→評判構築→信頼の連鎖 を踏まえて
18
KAWAI Takayoshi
ステージ 3 編集(BattleField 設定)
• 発散→共有ステージにより確認した個別魅力を基礎に
• 地域の特徴、資源、現状評価、競合分析を加えて
→我々はどこで勝てる可能性があるのか
(領域を重ねる)
19
BattleField
KAWAI Takayoshi
ステージ 3 編集(BattleField 設定)
• 例)宇都宮は、どのフィールド(重ねた領域)で、差別的優位性を持つことができるのか との認識
–宇都宮→充実した生活環境+楽しい日常
+特徴ある食(餃子・カクテル)
–浜松 →製造業発達+家康の出世城
+初子祝いの凧揚げ祭
–松山 →暖かい気候+温泉+親しみやすい人柄
–東広島→大学の集積+企業研究所
+知的な環境
20
KAWAI Takayoshi
ステージ 3 編集(ブランドメッセージ構築)
• 設定したBattleFieldを前提に
• どのような地域を築いていくのか
という
• 地域イメージとしての
• ブランドメッセージを市民の参画を得つつ(正統性エンジン)構築 (例:市民アンケート)
–未来志向: 「どうなっているのか」のではなく 「どうありたいのか」 (正統性エンジン)
–市民による参画(正統性エンジン)を促す内容 ともに築いていきたいと思えるメッセージか
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KAWAI Takayoshi
ステージ 3 編集(ブランドメッセージ構築)
• 宇都宮:充実した生活環境+楽しい日常+特徴ある食 →「住めば愉快だ宇都宮」
• 浜松:製造業発達+家康の出世城+初子祝いの凧揚げ祭 →「出世の街 浜松」
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KAWAI Takayoshi
ステージ 3 編集(ブランドメッセージ構築)
• 松山→暖かい気候+温泉+親しみやすい人柄
→「いい、加減。まつやま」
• 東広島→大学の集積+企業研究所+知的な環境
→「くふうに満ちてる東広島」
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KAWAI Takayoshi
ステージ 4 研磨
/103
24
魅力増進サイド
発散ステージで提示された魅力、その後に発見された魅力をブランドメッセージに沿って、さらに磨き上げる
自転車で通行しやすい → 専用道の検討
ブランドメッセージを実現するために 克服すべき課題を解決する
課題解決サイド 自転車の放置
→ 駐輪場設置
個々の魅力をブランドメッセージに沿って磨き上げる、個々の課題をブランドメッセージに沿って解決する作業
KAWAI Takayoshi
ブランドメッセージをハブにする
• すべての政策をブランドメッセージにリンクさせる
–子育て支援をどうリンクさせるか
–廃棄物処理はどうリンクさせるか
/103
25
ブランド メッセージ
子育て 支援
廃棄物 処理
防犯
to be continued
スポーツ 振興
KAWAI Takayoshi
ブランドメッセージをハブにする
• 出世の街 浜松
/103
26
KAWAI Takayoshi
正統性エンジン
• 使いやすいツールを用意することで市民・民間が工夫しやすい仕組み
知的財産としての扱いに留意
• 市民が「まちを推奨したい」という気持ちの向上を図る仕組み
再び ステージ 1 発散へ
/103
27 27
後に述べるメディア活用戦略モデルも参考に
KAWAI Takayoshi
愉快ロゴ
• 「住めば愉快だ」オリジナルロゴ
–企業の主力商品のポスターにレイアウト
–ピンバッジを作成
–参加団体・企業の自発的な展開が目立つ
打てば愉快だ宇都宮
泊まれば愉快だ宇都宮
跳べば愉快だ宇都宮
逢えば愉快だ宇都宮
• 130団体・企業(2011)
→300団体・企業以上(2013)
/103
28
KAWAI Takayoshi
愉快市民証
• 宇都宮が好きで、宇都宮を愉快にしていきたいという想いを持つ方を認定、愉快市民証発行
• 宇都宮を盛り上げたい!と考えている人
• 宇都宮に住んでいなくてもOK
• 宇都宮の愉快(良さ・楽しさ)を発見し、楽しみ、そして周りに伝えることがミッション
• 1700人(2011)
→3000人以上(2013)
/103
29
KAWAI Takayoshi /103
30
差別的優位性実現のための
地域魅力創造サイクル
正統性 エンジン
研磨
共有
編集
発散
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの進め方
31
KAWAI Takayoshi
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
メディア活用戦略モデル
/103
32 32
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
KAWAI Takayoshi
活用できるメディアは
/103
33 33
オウンド
メディア
(自社メディア)
アーンド
メディア
(獲得メディア)
ペイド
メディア
(購入メディア)
広報誌
公式サイト
新聞記事
テレビニュース
クチコミ
広告
ソーシャルメディア(人間関係を通じて伝わるメディア)
Twitter Facebook 地域SNS
KAWAI Takayoshi
「メディア」とは何か
• media ミディアム medium の複数形
• medium 中間、媒介、媒体、手段、霊媒、溶剤
• 異なる人、異なる社会の仲立ちをするもの、
• しかしそれは、単なる仲介、仲立ち以上の役割を果たす
– 『現代メディアを学ぶ人のために』世界思想社
• イベントもメディアに。人もメディアに。店舗もメディアに。
/103
34
つなぐ。つなぐことによって変える
34
KAWAI Takayoshi
フェイズ 1 傾聴
/103
35 35
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
KAWAI Takayoshi
フェイズ 2 認知獲得
/103
36 36
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
KAWAI Takayoshi
差別的優位性(「○○初」)
• 福井県鯖江市が「鯖江市役所JK課」スタート、女子高校生が新しいまちづくり
/103
37
KAWAI Takayoshi
トレンドとギャップ
• 恋をしたら流山市に「恋届」を提出しよう
/103
38
KAWAI Takayoshi
物語としての「出世大名家康くん」
• 物語の要素
–魅力ある登場人物
–ベースとしての日常
–事件としての非日常
–課題解決(失敗)
–日常への回帰(失敗)
/103
39
KAWAI Takayoshi
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
フェイズ 3 関心惹起
/103
40 40
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
KAWAI Takayoshi
ターゲティング
• 各務原市 転入促進
–市外からの来場者が7割を占める映画館
–市の魅力を伝えるアニメーション形式のCM
–CMは「名古屋まで30分」
–ロビーに、市の魅力を伝える「巻物」型パンフ
–CM「ロビーに秘密の巻物が」とPR
–家族連れが
パンフレットを手に取る
/103
41
KAWAI Takayoshi
ターゲティング
• 「父になるなら流山市」
• ターゲット
• デモグラフィック ジオグラフィック
/103
42 42
KAWAI Takayoshi
共感による関心惹起
• SR:社会的責任を果たすことによる尊敬
–北九州市「世界に貢献する水道」
– JICA技術協力プロジェクト(カンボジア)等に参画
–島田市の復興支援
/103
43
KAWAI Takayoshi
フェイズ 4 探索誘導
/103
44 44
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
KAWAI Takayoshi
探したくなる仕組み、仕掛け
/103
45
KAWAI Takayoshi
フェイズ 5 着地点整備
/103
46 46
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
KAWAI Takayoshi
信頼性のある着地点
/103
47
KAWAI Takayoshi
eシマッター
eラジオ eコミ案内人
編集
編集
裏打ちする・個別有用性をつくる着地点
/103
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クロスメディアポータル
KAWAI Takayoshi
フェイズ 6 行動促進
/103
49 49
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
KAWAI Takayoshi
事例:西都市移住支援公式サイト
/103
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ペルソナ設定に よる想像力
KAWAI Takayoshi
事例:武雄市Facebook
/103
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市の職員を前面に
協働相手の メンバーを前面に
興味のある方の参加をお待ちしています
インターナル コミュニケーション
の重要性
KAWAI Takayoshi
「人間性」の活用
–無機質ではない有機的な発信
• Facebook 伊藤ハム ハム係長
/103
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プロジェクトの実施
KAWAI Takayoshi
ゲーミフィケーションとしての未来自治体
• 課題解決にゲーム的な要素である
参加を容易にしたうえで、競争・協力や達成感、心理的報酬などを組み込み、意欲を高める手法
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KAWAI Takayoshi
フェイズ 7 情報共有支援
/103
54 54
傾聴しつつ、①魅力を認知させ、②魅力を「自分事」化させ、 ③魅力を探索させ、 ④着地する的確な場所を整備し、 ⑤魅力を活用させ、 ⑥各時点で情報を発信させる
地域経営のステークホルダーの行動変容を促すメディア活用
認知獲得
A
着地点整備
L
行動促進
A
情報共有 支援
S
L
傾聴
探索誘導
S
関心惹起
I
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
情報共有 支援
S
KAWAI Takayoshi
尼崎市の口コミツール
• 忍たま乱太郎のカード
• 裏は感熱。こすると「影の尼崎観光特使」という文字と尼崎の説明
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KAWAI Takayoshi
メディア活用戦略モデルを実現する協働
• シティプロモーションを個別主体で行うことは困難
• 協働・連携によって効果が上がる
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KAWAI Takayoshi
事例:「広報しまだ」と「みんな笑顔」
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フリーペーパー 「みんな笑顔」
8月号
広報しまだ7月号
KAWAI Takayoshi
民間店舗
民間店舗誘客
フリーペーパー 「みんな笑顔」
8月号
「みんな笑顔」の強み
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KAWAI Takayoshi
協働による学び・成長
SECIモデル(野中郁次郎)から
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現場で共感しあう
共感した知恵や思いを、文字や言葉、図にする
文字や言葉や図を連携させる
連携させた知恵を自分の中に落とす
KAWAI Takayoshi
シティプロモーションの進め方
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KAWAI Takayoshi
4つの評価(多面的総合評価フレーム)
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戦略・実績
納税者 訴求対象者 パートナー 職員
費用対効果 各段階での
行動変容 協働実現 関与者成長
コミュニケーションツールとして
KAWAI Takayoshi
評価指標の提案
• ネット・プロモーター・スコア(NPS)
• 推奨者の割合 - 批判者の割合 = 推奨者の正味スコア(NSP)
• あなたは、○○市への定住(訪問)を友人に薦めますか?
その11段階の評価をもとに、数値によって3つのグループに分ける。
– 10~9:推奨する立場(プロモーター)
– 8~7:推奨も批判もしない受動的な立場
– 6~0:批判的な立場
/103
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KAWAI Takayoshi
ご清聴ありがとうございました
河井孝仁
@tacohtk
https://www.facebook.com/tk.kawai
http://www28.atwiki.jp/tacohtk/
/103
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