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日本語教育の取組の現状と課題 平成 29 3 14 一般財団法人 日本語教育振興協会

日本語教育の取組の現状と課題 · 1 日本語教育機関を日本語教育振興基本法(仮称)の中に教育機関として規 定し、所管官庁を明確にされることを要望します

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日本語教育の取組の現状と課題

平成 29 年 3 月 14 日

一般財団法人 日本語教育振興協会

Ⅰ 協会設立の経緯

・ 昭和63年秋、いわゆる「上海事件」が発生

・ 外国人が安心して日本語学習ができるよう日本語教育機関の平成元年、

質的向上を図るため、当協会を設立

平成2年、文部省(当時)、法務省、外務省から財団法人設立認可

・ 主な事業として、日本語教育機関の審査認定事業、各種研修事業、留学

生の適正な受入れ等を実施

なお、事業仕分け(平成22年5月)まで、審査認定の結果は法務省告

示の参考とされていた

・ 平成26年4月 財団法人から一般財団法人への移行認可

Ⅱ 受入れ留学生等の状況

1 受入れ留学生の状況

・ 109か国・地域から50,847人(過去最高)(平成27年 7 月 1日現在) 前年同期より、7,180人の増(16%増) ・ 留学生の出身国の大きな変化 ベトナム・ネパールが急増、中国・韓国・台湾が減少 ・ 進学者 21,208人、進学率 77% 専門学校への進学者急増(ベトナム・ネパール)

平成 27 年度留学生数及び進学状況

国・地域 留学生数 進学率 主な進学先

中国 17,655 83.9% 大学・大学院

ベトナム 15,715 84.5% 専門学校

ネパール 6,301 92.6% 専門学校

その他 11,176 48.0%

全体 50,847 77.0%

2

・ このように、日本語教育機関の留学生は、大学、専門学校等の留学生教

育に重要な役割を果たしている

・ 上記留学生のほか、短期滞在者、家族滞在者、定住者及び技能実習生に

対する日本語教育の実施

・ 留学生の在籍・進学状況の参考資料

別紙1:日本語教育機関の在籍者数の推移

別紙2:国・地域別在籍者数の推移

別紙3:学校種別進学者の推移

別紙4:平成26年度国別進学者内訳

2 日本語教育機関の設置者及び教員の状況

協会認定の日本語教育機関 345機関(平成27年 7 月 1 日現在)

(設置者別)

学校法人・準学校法人 108機関

財団法人・社団法人・宗教法人等 21機関

株式会社・有限会社 193機関

任意団体・個人等 23機関

(教員数)

常勤 1,723人 非常勤 4,233人 計 5,956人

Ⅲ 協会の主な事業

1 日本語教育機関の質的向上のための審査・認定

・ 「日本語教育機関の運営に関する基準」(別紙5)に基づく審査・認定

認定日本語教育機関 345機関

・ 日本語教育機関のための第三者評価の実施

自己点検・評価を行った日本語教育機関からの申請を受けて、当協会が

第三者評価を実施(平成 27年度から実施、4機関認定)

3

・ 日振協ビジネス日本語準拠プログラム登録事業の実施

「日振協ビジネス日本語準拠プログラム登録に関する基準」に適合する

ものを登録(平成 27年度から実施、5機関登録)

2 日本語教育機関への留学生の適正な受入れの促進

・ 認証システムの利用

*中国教育部学位及び大学院生教育発展センターとの合意による大学入

学統一試験の成績等の認証システムの利用促進(平成 18年 10月から実

施)

*ベトナム教育訓練省との合意による高等学校卒業統一試験の成績等の

認証システムの一層の利用促進(平成 23年 8月から実施)

*認証システムの導入により入学選考の一層の適正化。

・ 留学生合同オリエンテーション実施

中国人留学生合同オリエンテーション(在日中華人民共和国大使館と共

催)及びベトナム人留学生合同オリエンテーション(在日ベトナム社会主

義共和国大使館と共催)

・ 留学生の刑法犯、行方不明者等の発生防止

毎月各機関から報告を受け、実態を共有し、上記合同オリエンテーショ

ンをはじめ各種の研修会でパンフレット「安全な留学生活のために」(別

添)を作成・配布するなど周知徹底を図り、関係者が発生防止に努力

3 日本語教育機関及び日本語教育に関する情報の提供及び資料の刊行

・ ホームページに認定の日本語教育機関の概要について、5か国語(日本

語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語)で掲載し、情報発信

・ 日本語教育機関要覧の発行・配布(在外日本国公館 114 館、在本邦外

国公館 44館など)

4 日本語教育機関に関する調査・研究・開発

・ 受入れ留学生の多様化に対応した日本語教育の習得状況の調査検討

4

5 日本語教育機関の水準向上のための研究会・研修会の開催

・ 設置代表者、教員、事務職員等を対象に、9種類の研修会等を実施(日

本語学校教育研究大会、トップセミナー、日本語教育セミナー、新任主任

教員研修、生活指導担当者研修、事務研究協議会、申請取次者講習会等)

6 日本語教育機関と大学、専門学校等との連携の推進等

・ 大学の日本語専攻学生の教育実習の受入れ及び学生交流の推進

・ ビジネス日本語、看護師・介護福祉士・IT人材、技能実習生、定住者・

その子弟等の日本語教育について関係各省・関係機関との連携推進

・ 地域の小・中学校等と連携して、国際理解教育及び交流の推進

Ⅳ 課題・要望

1 日本語教育機関を日本語教育振興基本法(仮称)の中に教育機関として規

定し、所管官庁を明確にされることを要望します

2 留学生が安心して学習でき、かつ、その経済的負担を軽減し、また教職員

が安定して働ける環境作りを支援するため、下記の施策の実施を要望します

① 国が認証する評価機関による日本語教育機関の教育の質を維持・保証す

る第三者評価制度の創設

② 留学生の授業料等にかかる消費税の非課税

③ 留学生の国・地方公共団体及び民間の奨学金の創設・充実

④ 留学生に対する通学用割引定期乗車券等の適用

⑤ 日本語教員の養成・確保、研修、処遇改善のための支援

⑥ ベトナム教育訓練省の高等学校卒業統一試験の成績等の認証システム

の活用により、留学生の受入れの適正化

5

(注)各年度7月1日現在の在籍者数を示す(日振協調べ)。

83 88 89 90 93 94 96 00 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13  14    15 16年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年  年 年 年 年 年 年 年 年 年   年 年

留学生10万人計画

上海事件発生

日本語教育振興協会

(

日振協)

設立

文部省「

日本語教育施設の運営に関する基準」

制定

日振協の財団法人化

私費外国人留学生学習奨励費支給予約制度事業 開始

日本語教育施設の運営に関する基準改正

就学」

不法残留者数激増ピー

ク(

二三、

九九五人)

法務省入国在留審査の厳格化

法務省留学生等に係る身元保証書の廃止

留学・就学の入国在留審査緩和(

提出書類の簡素化を含む。

)

日本語教育施設に在籍する就学生対象の学習奨励費支給制度事

業 開始

中国で初めて留学フェ

ア・セミナー

実施

日振協維持会員ガイドライン制定

日本留学試験 開始

犯罪に強い社会の実現のための行動計画

入国在留審査の厳格化

就学生・留学生の犯罪等に係る定期報告実施

中国人入学者合同オリエンテー

ショ

(

東京)

日振協維持会員ガイドライン一部改定

中国人入学者合同オリエンテー

ショ

(

東京・大阪・福岡・名

古屋

)中国の大学統一試験等の認証システム開始

留学生30万人計画

在留資格「

留学」

と「

就学」

の一本化(

入管法の改正)

在留資格「

就学」

の廃止(

7月から)

行政刷新会議WG(

事業仕分)(

5月)

ベトナム国の大学入学統一試験等の認証システム開始

東日本大震災

新しい在留管理制度がスター

外国人登録証明書→

在留カー

ド)

ベトナム人留学生合同オリエンテー

ショ

(

東京・名古屋

)

ベトナム人留学生合同オリエンテー

ショ

(

東京

)

ベトナム人留学生合同オリエンテー

ショ

(

東京・名古屋・大

阪・広島・福岡

)

日本語教育機関の告示基準の公布(

七月)

35,576 35,95333,107

20,580

14,585

11,22413,234

15,269

21,787

30,631

33,757

39,20542,729

35,379

25,860

30,607 31,66334,937

42,651 43,669

33,239

29,235

37,91843,667

50,847

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

1991

(㍻3)

1992

(㍻4)

1993

(㍻5)

1994

(㍻6)

1995

(㍻7)

1996

(㍻8)

1997

(㍻9)

1998

(㍻10)

1999

(㍻11)

2000

(㍻12)

2001

(㍻13)

2002

(㍻14)

2003

(㍻15)

2004

(㍻16)

2005

(㍻17)

2006

(㍻18)

2007

(㍻19)

2008

(㍻20)

2009

(㍻21)

2010

(㍻22)

2011

(㍻23)

2012

(㍻24)

2013

(㍻25)

2014

(㍻26)

2015

(㍻27)(人)(年)

日本語教育機関の在籍者数の推移(別紙1)

29,271

22,408

18,093 18,25016,118

17,655

6,708

3,484

2,675 2,386

2,0812,041

1,924

1,395

1,425 1,425

1,8372,070

1,087

1,410

2,039

8,436 13,758

15,715

943

1,221

1,371

3,095

4,779

6,3013,736

3,321

3,632

4,326

5,094

7,065

43,669

33,239

29,235

37,918

43,667

50,847

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度

(単位:人) 国・地域別 在籍者数の推移

その他

ネパール

ベトナム

台湾

韓国

中国

(別紙2)

7

5,810

7,079

9,718

13,087

16,461

18,463

19,649 20,360

11,835

15,267

16,592 16,751

20,193

21,978

17,623

15,228

16,179

21,208

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

(単位:人) 学校種別進学者の推移

計 大学院 大学 専修学校専門課程 その他

(別紙3)

8

平成26年度国別進学者内訳

中国1,921

ベトナム

86

ネパール

35

韓国

19

台湾

62ミャンマー

4

その他

110

大学院

2,237

中国3,457

ベトナム1,060

ネパール

398

韓国

180

台湾

125

ミャンマー

33

スリランカ

20その他

335大学

(単位:人)

5,608

中国3,446

ベトナム5,218

ネパール2,242

韓国

411

台湾409

ミャンマー

183

スリランカ210

その他

677

専修学校

専門課程

(単位:人)

12,796 中国170

ベトナム187ネパール

37

韓国

25

台湾

30

スリランカ

11 その他107

その他

(単位:人)

567

(単位:人)

(別紙4)

9

- 1 -

(別紙 5)

日本語教育機関の運営に関する基準

(趣旨)

1 この基準は,日本語の学習を主な目的として来日し滞在する外国人を対象に日本語教育を行

う教育機関(以下「日本語教育機関」という。)がその目的を達成するために備える必要があると考

えられる要件を明らかにし,もって我が国における日本語教育機関の質的水準の向上に資する

ことを目的とする。

(自己評価等)

1の2 日本語教育機関は,その教育水準の向上を図り,当該日本語教育機関の目的及び社会

的使命を達成するため,当該日本語教育機関における教育活動等の状況について自ら点検及

び評価を行い,その結果を公表するよう努めなければならない。

② 前項の点検及び評価を行うに当たっては,同項の趣旨に即し適切な項目を設定するとともに,

適当な体制を整えて行うものとする。

③ 日本語教育機関は,第1項の点検及び評価の結果について,当該日本語教育機関の職員以

外の者による検証を行うよう努めなければならない。

(情報の積極的な提供)

1の3 日本語教育機関は,当該日本語教育機関における教育活動等の状況について,広く周

知を図ることができる方法によって,積極的に情報を提供するものとする。

(修業期間)

2 日本語教育機関の修業期間は,1年以上とする。ただし,必要に応じ,6か月以上とするものと

する。

(学校の始期及び終期)

3 日本語教育機関の学年の始期及び終期は,各日本語教育機関においてその規則で定めるも

のとする。ただし,学年の始期は原則として2度までとするものとする。

(授業時数)

4 日本語教育機関の授業時数は,1年間にわたり760時間以上で,かつ,1週間当たり20時間

以上とするものとする。

(生徒数)

5 日本語教育機関の収容定員は,教員数,施設及び設備その他の条件を考慮して,当該日本

語教育機関の規則で定めるものとする。

- 2 -

(同時に授業を行う生徒数)

6 日本語教育機関において,日本語の一の授業科目について同時に授業を行う生徒数は,20

人以下とするものとする。

(授業科目)

7 日本語教育機関においては,日本語学習の目的に応じて日本語教育を施すにふさわしい授

業科目を開設するものとする。

(入学者選考)

7の2 日本語教育機関は,入学者の選考に関し,学習能力,勉学意欲,経費支弁能力等につ

いて適切な方法により確認するものとする。

(在籍管理)

7の3 日本語教育機関は,生徒の勉学,生活,資格外活動等について適切な在籍管理に努め

るものとする。

(教員数)

8 日本語教育機関には,校長,主任教員及び次の表に定める数の教員(主任教員を含む)を置

くものとする。

生徒の定員の区分 教 員 数

生徒数 60 人まで

生徒数 61 人以上

生徒定員 - 60

3 +

20

② 前項で必要とされる教員の数の2分の1以上は,専任の教員(常勤の校長が教員を兼ねる場合

は,当該校長を含む。)であることが望ましいが,当分の間3分の1以上とするものとする。ただし,

専任教員は最低2人以上とするものとする。

③ 校長が10に規定する主任教員の資格を有する場合,校長は主任教員を兼ねることができるも

のとする。

(校長の資格)

9 日本語教育機関の校長は,教育に関する識見を有し,かつ,教育,学術又は文化に関する業

務に原則として5年間以上従事した者であるとする。

(主任教員の資格)

10 主任教員は,日本語教育に関する教育課程の編成など教育的知識・能力を備えた者とし,常

勤の日本語教員又は日本語研究者として3年以上の経験を有する者であるものとする。

- 3 -

② 主任教員は専任教員のうちから選任するものとする。

(教員の資格)

11 日本語教育機関の教員は次の各号の一に該当するものとする。

一 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する主専攻(日本語教育科目45単位以

上)を修了し,卒業した者

二 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する科目を26単位以上修得し,卒業した

三 日本語教育能力検定試験に合格した者

四 次のいずれかに該当する者で日本語教育に関し,専門的な知識,能力等を有するもの

(1) 学士の学位を有する者

(2) 短期大学又は高等専門学校を卒業した後,2年以上学校,専修学校,各種学校等(以下

「学校等」という。)において日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事した者

(3) 専修学校の専門課程を修了した後,学校等において日本語に関する教育又は研究に関

する業務に従事した者であって,当該専門課程の修業年限と当該教育に従事した期間と

を通算して4年以上となる者

(4) 高等学校において教諭の経験のある者

五 その他これらの者と同等以上の能力があると認められる者

(校長・教員の欠格事由)

12 日本語教育機関の校長又は教員となる者は次の各号に該当する者ではないものとする。

一 禁治産者又は準禁治産者

二 禁固以上の別に処せられた者

三 教員免許状取上げの処分を受け,2年を経過しない者

四 日本国憲法施行の日以後において,日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊

することを主張する政党その他の団体を結成し,又はこれに加入した者

五 外国人の入国又は在留に関する不正行為を行い,3年を経過しない者

(位置及び環境)

13 日本語教育機関の位置及び環境は,教育上及び保健衛生上適切なものであるものとする。

(校地)

14 日本語教育機関には,その教育の目的を実現するために必要な校地を備えるものとする。

(校舎)

15 日本語教育機関には,その教育の目的を実現するために必要な校舎を備えるものとする。

(校舎の面積等)

16 日本語教育機関の校舎の面積は,同時に授業を行う生徒1人当たり2.3㎡以上とするものと

する。ただし,115㎡を下回らないものとする。

- 4 -

② 日本語教育機関の校舎には,教室,教員室,事務室,図書室,保健室その他必要な附帯施

設を備えるものとする。

③ 日本語教育機関の教室は,同時に授業を行う生徒数に応じ,必要な面積を備えるものとする。

(設備)

17 日本語教育機関は,生徒数などに応じ,必要な種類及び数の視聴覚教育機器,図書その他

の設備を備えるものとする。

(設置者)

18 日本語教育機関を設置する者は,国及び地方公共団体のほか,次の各号に該当する者とす

る。

一 日本語教育機関を経営するために必要な経済的基礎を有すること。

二 設置者(法人の場合は,当該日本語教育機関の経営を担当する役員とする。)が日本語教

育機関を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

三 設置者(法人の場合は,当該日本語教育機関の経営を担当する役員を含む。)が社会的信

望を有すること。

② 次の各号に該当する者(法人の場合は,当該日本語教育機関の経営を担当する役員を含

む。)は,設置申請できないものとする。

一 申請時において、過去3年以内に日本語教育施設の審査事業の認定に関する規程(平成

元年10月3日文部省告示第139号)第1条第1項並びに日本語教育機関の設備及び編制

についての審査・証明事業の認定に関する規程(平成13年3月30日法務省告示第169号)

第1条の規定に基づき認定を受けた審査等事業を実施する公益法人(以下「認定法人」とい

う。)から日本語教育機関の認定の取消しを受けた者又は廃校をした者

二 12に規定する校長・教員の欠格事由の各号に該当する者

(経営の区分)

19 日本語教育機関の経営は,その設置者が認定法人の認めた日本語教育機関以外の事業を

行う場合には,その事業の経営と区分して行われるものとする。

(生活指導担当者)

20 日本語教育機関には,生活指導担当者を置くものとする。

② 生活指導担当者は,生徒の生活指導及び進路指導に関する知識を有するとともに,12に規

定する校長・教員の欠格事由の各号に該当しない者であるものとする。

(健康管理)

21 日本語教育機関は,生徒の入学後できるだけ早期にその健康診断を行うものとし,1年経過後,

再度健康診断を行うよう努めるものとする。

(名称)

22 日本語教育機関の名称は,日本語教育機関として適当なものであるものとする。

- 5 -

(規則)

23 日本語教育機関は,その規則を定め,少なくとも次の事項を記載するものとする。

一 修業期間,学年,学期及び授業を行わない日に関する事項

二 教育課程,学習の評価及び授業日時数に関する事項

三 収容定員及び教職員組織に関する事項

四 入学資格に関する事項

五 授業料,入学料,その他の費用徴収に関する事項

六 寄宿舎に関する事項

七 その他必要な事項

(附則)

14(校地),15(校舎)の規定の適用については,新規申請の日本語教育機関に限るものとし,

従前の基準により認定を受けた日本語教育機関の更新申請又は変更申請についてはなお従

前の例によるものとする。

(従前の例)

(校地)

日本語教育機関には,その教育の目的を実現ずるために必要な校地を備えることが望ま

しい。

(校舎)

日本語教育機関には,その教育の目的を実現ずるために必要な校舎を備えるものとずる。

ただし,校舎の自己所有が困難な場合には,賃借権が選切に設定され教育機関として安

定的に確保されているものとする。

(附則)

本基準は,平成15年9月1日から施行し,平成15年11月1日以降の申請に係る審査から適

用するものとする。

(附則)

本基準は,平成19年8月2日から施行する。

〔留意事項〕

なお,この日本語教育施設の基準に示したもののほか,日本語学校の質的水準の向上の観

点から,本協力者会議が留意すべきであると考えた点は次のとおりである。

1 昭和60年5月13日付の「日本語教員の養成等について」(日本語教育施策の推進に関す

る調査研究協力者会議)及び昭和62年4月10日付の「日本語教員検定制度について」(日

本語教員検定制度に関する調査研究会)の両報告でそれぞれ示されているとおり,日本語教

員には国際的感覚と幅広い教養,豊かな人間性,日本語教育に対する自覚と情熱,日本語

教育に関する専門的な知識・能力などが求められていること。特に,日本語教育施設におい

- 6 -

ては,その専任教員の採用に当たって大学の学部における日本語教員養成の主専攻課程

又は副専攻課程を修了した者や日本語教育能力検定試験の合格者などの確保についての

配慮が望まれること。

2 日本語教育施設における教育課程の編成に当たっては,現在,(財)日本国際教育協会及

び国際交流基金が共同して実施している「外国人日本語能力試験」の級別認定基準の各項

目を参考とすること。

3 日本語教育施設においては,その対象とする外国人の多くが,日本の事情等を十分に理解

するに至っていない者であることを考慮し,生活指導を含め十分な配慮の下にその教育を行う

必要があること。

4 日本語教育施設における1日当たりの授業時間数については,その対象とする外国人の主

たる来日目的が日本語の学習であることを考慮して,適切に配当すること。

- 1 -

(別紙 6)

日本語教育機関による留学生の受入れに関するガイドライン

平成15年6月11日 日本語教育振興協会維持会員協議会制定

近年,特に学校数・学生数が急増している状況の中で,日本語教育振興協会維持会員日本語教育機関

(以下「日本語教育機関」という。)の間に自主的にガイドラインを作成する必要があるとの気運が高

まり,平成14年4月,日本語教育振興協会(以下「日振協」という。)にガイドライン検討委員会が

設置された。同委員会は,日本語教育が単なる語学教育にとどまらず,次世代を担う人材の育成を通じ,

日本の伝統的な文化や社会の現状を世界に発信するとともに,民族,国家,宗教,人種,性別,文化な

どの違いを乗り越えて,日本と世界の人々との友好的な関係の醸成・維持・発展に寄与しうるかけがえ

のない役割を担うものであるとの認識に立ち,1年間にわたる慎重かつ綿密な審議を経てガイドライン

の最終報告をまとめ,これを維持会員協議会が平成15年6月11日に採択し制定した。本ガイドライ

ンが,日本語教育機関に対する正しい理解を促進するとともに,国内外の社会的信頼を高めることに寄

与することを切に願うものである。 一, 目的 本ガイドラインは,日本語教育機関が,自らその教育と経営の内容において,「日振協の日本語教育

機関の運営に関する基準及び日本語教育機関審査内規(以下,「日振協の認定基準」という。)」の水準

を維持するために最善の努力をはらうにとどまらず,その社会的使命を自覚して,よりよい姿,あるべ

き形をめざしてさらに前進しようとするための指針を示すものである。 二, 経営者の責任 1 日本語教育機関の経営者は,日振協の認定基準及び本ガイドラインの趣旨に沿って,学生が安心し

て勉学できる教育機関として,健全で安定した経営を継続的に行う責任がある。 2 日本語教育機関の経営者は,常に教育内容の点検と改善を行い,高い教育水準を維持するよう,ま

た,学習環境の改善のために最善の努力を怠ってはならない。 3 日本語教育機関の経営者は,教育の質的向上のために不可欠な教職員の処遇や職場環境の改善に対

しても最善の努力を怠ってはならない。 4 日本語教育機関の経営者は,本ガイドラインが示す事項を遵守し,また,教職員に対してもこれを

遵守するよう必要な指導を行う。 5 日本語教育機関の経営者は,その教育機関の運営にあたっては,日振協及び日本語教育機関全体へ

の社会的信頼をそこなってはならない。

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三, 教職員の能力向上 日本語教育機関は,そこにかかわるすべての教職員が本ガイドラインの趣旨を達成できるよう,日振

協等の教職員研修に積極的に参加するなど必要な研鑽の機会を設ける。 四, 学生の受入れ 日本語教育機関は,真に勉学の意思と能力を有する者のみを受け入れるよう最善を尽くす。 そのため, 1 学生の募集に際しては,本ガイドラインの趣旨を守って正確な情報提供を行い,決して誇大・虚偽

の広告をしてはならない。 2 国外で学生募集活動を行う場合は,当該国(地域)の文化,慣習,社会事情をよく理解の上,適切

な活動を行うものとする。 3 学生の募集に当たっては,仲介機関の斡旋に全面的に依存するなどの安易な方法に頼ることなく,

また,仲介機関を介する場合は,当該機関との信頼関係の醸成に努めるとともに,日本語教育機関の

責任において厳格な選考を行うものとする。 五, 学生の在籍管理 1 日本語教育機関は,学生が心身ともに健康でその学習目的を全うできるよう最善の配慮を払わなけ

ればならない。特に,入学する学生に対しては,日本での学生生活を支障なく送ることができるよう,

生活と勉学の両面について,日本と学生の母国との文化,生活習慣,法制度等の違いを入学直後の時

期に細部にわたって説明するなど行き届いた指導が必要である。 2 日本語教育機関は,学生が在留資格認定の対象となる教育機関であることを認識し,学生に長期欠

席,所在不明,不法就労,不法残留等が発生しないよう適切な管理を行う責任がある。 3 日本語教育機関は,在留審査関係の申請取次等,学生に代わって法律上の手続に必要な場合に限り

旅券(パスポート)を本人の同意の下に預かることができるものとする。 4 日本語教育機関は,学内秩序の維持が必要な場合であっても,生じた問題又は生じるおそれのある

問題には教育的配慮をもって解決にのぞむべきであり,旅券や外国人登録証明書を預かったり,金銭

を徴収するなどの拘束的手段をもって対処してはならない。 5 日本語教育機関が教育の対価として受け取る入学金・授業料等の納付金とは別に,一定の期限を設

けて学生に返還するという約束の下に受け取る,いわゆる「預かり金」については,名称のいかんを

問わずこれを求めてはならない。ただし,一般に学生寮(自己所有,賃貸を問わない。)にかかわる

敷金,各種保険料等も「預かり金」と呼ばれることがあるが,これらは,社会通念上許容されている

ものなので,ここにいう「預かり金」には含まないものとする。 6 在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新,在留資格変更,資格外活動許可,再入国許可の申請

など入国・在留にかかわる諸手続において,各日本語教育機関担当者は学生の極めて個人的な情報を

扱うことから,これら学生のプライバシー保護について十分配慮しなければならない。 7 日本語教育機関は,学生の在籍管理において,地方入国管理局をはじめ関係諸官庁との信頼関係が

維持できるよう常に努力を怠らないものとする。

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六, 学生の勉学環境・福祉・健康への配慮 1 日本語教育機関は,学生が安心して勉学できる環境の維持・向上に努めるとともに,福祉の実現と

健康の維持管理に最善の配慮を払う。 2 日本語教育機関は,学生の傷病や事故に対して,健康診断の実施,国民健康保険や公営・民間の補

償制度への加入などの配慮を怠ってはならない。 3 日本語教育機関は,学生宿舎(自己所有であるか,賃貸かを問わない)の住環境の良し悪しが学生

の健康や生活,ひいては勉学意欲にも大きな影響を及ぼすことを認識し,その整備には十分な配慮を

払う必要がある。 七, アルバイト アルバイト等は,日本語教育機関がこれを紹介することは法令によって規制されていることを十分認

識した上で,学生がアルバイトをする場合は事前に必ず資格外活動許可を得るなど,我が国の法令を遵

守するよう必要な指導を怠ってはならない。また,来日すればアルバイトが保証されているといった誇

大宣伝をしてはならない。 八, 納付金 1 納付金は,出願選考料,入学金,授業料,施設設備費等のそれぞれについて,納入方法等を募集要

項に明記しなければならない。 2 納付金は,入学時に1年を超える納入を求めてはならない。 3 納付金納入後に学生の不入学又は退学等が生じた場合は,日本の教育機関として,不当と見なされ

ない基準に基づいて納入金を返還する,あるいは返還しないものとし,そのため,次のような基準を

定めて,入学予定者にあらかじめこれを明示しなければならない。 3-1 在留資格認定証明書が不交付の場合 → 出願選考料を除く全納入金を返還する。 3-2 在留資格認定証明書は交付されたが入国査証(ビザ)の申請を行わず不来日の場合 → 出願選考料と入学金を除く全納入金を返還する。ただし,入学許可書,在留資格認定証明

書の返却が必要。 3-3 在外公館で入国査証の申請をしたが認められず来日できなかった場合 → 出願選考料と入学金を除く全納入金を返還する。ただし,入学許可書の返却と在外公館に

おいて査証が発給されなかったことの確認が必要。 3-4 入国査証を取得したが,来日以前に入学を辞退した場合 → 入国査証が未使用でかつ失効が確認できた場合は,出願選考料と入学金を除く全納入金を

返還する。ただし,入学許可書の返却が必要。 3-5 入国査証を取得し来日し入学した学生が,中途退学した場合 → 出願選考料と入学金は返還しない。授業料,施設設備費等も原則として返還しない。ただ

し,返還対象としない納入金の範囲は,各日本語教育機関の定めるところに従うものとす

る。なお,その規定は,日本の教育機関として不当と見なされるものであってはならない。 また,来日後の不入学に伴う納付金の返還については,中途退学と同等とみなし本項の規

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定に従うものとする。 九, 違反 ガイドライン運用委員会は,日本語教育機関がガイドラインに著しく違反した場合,又は故意に違反

した場合の当該日本語教育機関名の公表等を日振協に要請することができる。 十, 改定 1 ガイドラインの改定は,ガイドライン検討委員会が発議し,維持会員協議会の出席者の過半数で決

し,可否同数のときは,議長の決するところによる。ただし,あらかじめ通知された事項について書

面によって表決し,又は他の維持会員を代理人として表決を委任した者は,出席者とみなす。 2 前項の規定にかかわらず,ガイドライン検討委員会は,維持会員協議会の開催に代えて,維持会員

の書面による投票を行うことができることとし,その投票の過半数により決する。 附 則 本ガイドラインは,平成15年6月11日から施行する。 附 則 本ガイドラインの改定は,平成17年2月26日から施行する。 附 則 本ガイドラインの改定は,平成22年7月6日から施行する。